JP3673906B2 - 抵抗器及びこれを用いた陰極線管用電子銃、並びに抵抗器の製造方法 - Google Patents

抵抗器及びこれを用いた陰極線管用電子銃、並びに抵抗器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗パターンを覆って表面にオーバーコートガラスを塗布して成る抵抗器、及びこれを用いた陰極線管用電子銃、並びに抵抗器の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレビ、ディスプレイ等において高解像度化の要求が非常に高まっている。
【0003】
そのため、例えば図4に示すような、共有電界拡張レンズ(EFEAL:Extended Field Elliptical Aperture Lens )構造の電子銃31が開発され、商品化されてきている(SID '97 DIGEST p347-350(1997) 参照)。
【0004】
この電子銃31では、図示しないが赤R、緑G、青Bの3色に対応する電子ビームを発生させる3つの陰極K、電子ビームを加速及び制御する各電極即ち第1電極G1 、第2電極G2 、第3電極G3 、第4電極G4 、第5電極G5 、後述の中間電極GM、第6電極G6 、及びコンバージェンスカップ35を有し、電子銃31の長手方向と略平行に抵抗器32が取り付けられて成る。図4中33はステム、34はステムピンである。
【0005】
このEFEAL構造の電子銃31には、従来のフォーカス電圧(例えば6kV)とアノード電圧(例えば27kV)の中間の電圧(例えば14kV)を印加する新規の電極が必要になる。
そこで、陽極側の第6電極G6 とフォーカス電極である第5電極G5 との間に中間電極GMを設けている。EFEAL型構造の電子銃31では、第5電極G5 、中間電極GM、第6電極が、図示しないがそれぞれ3つの電子ビームに対応したビーム透過孔を有する電界補正電極板を内部に有し、各電極G5 ,GM,G6 が断面長円形の筒体とされている。
【0006】
そして、この中間電極GMに上述の例えば14kVの中間の電圧を印加することにより、中間電極GMの電界補正電極板(図示せず)のビーム透過孔への電界のしみ込みで電子ビームの形状やコンバージェンスを制御して、これらを最適化することができる。
【0007】
ここで、陰極線管の外部から電子銃に電圧を供給するステムピン34から供給できる電圧は、ピン間の耐電圧特性から10kV程度が限界である。
従って、中間電極GMに例えば14kV等の中間電圧を供給するために、ステムピン34からの低い電圧と、陽極側の高い電圧の間を接続して分圧する、抵抗器32が不可欠となっている。
【0008】
図5は、図の電子銃31の抵抗器32である。図5Aに断面図、図5Bに平面図を示す。この抵抗器32は、例えばアルミナ等のセラミック基板36の片面に、導電膜を所定のパターンに塗布形成した抵抗パターン37が印刷焼成されている。
そして、抵抗パターン37の上及びセラミック基板36の裏面には、抵抗パターン37を保護するためのオーバーコートガラス38が形成されて抵抗器32が構成されている。
【0009】
抵抗器32は、セラミック基板36の抵抗パターン37が形成された面を電子銃31側、反対側の面を外側、即ち陰極線管のネックガラス側として電子銃31に取り付けられる。
【0010】
抵抗器32の左端の高圧電極部39には、アノード電圧例えば、25〜32kV程度の高圧が印加され、右端のアース電極部41は接地されるか、又は陰極線管外部の外付け抵抗に接続される。
図4の電子銃31では、高圧電極部39がコンバージェンスカップ35に接続され、アース電極部41がステムピン34を通じて接地され、中間電極部40が中間電極GMに接続される。
【0011】
上述のような抵抗器32は、例えばいわゆる内部分割抵抗器(IBR:Inner Breeder Resistor)、IMR(Inner Middle voltage breeder Resistor)、IFR(Inner Focus breeder Resistor)等があり、上述の中間電極GMへの中間電圧の供給の他にも、陰極線管の電子銃のコンバーゼンス特性を得るためのコンバーゼンス電圧の供給、陰極線管の電子銃のフォーカス電圧の供給、さらにはテレビ受像機のフォーカスコントローラ等にも用いられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような抵抗器32の場合、動作中にナトリウムのイオンマイグレーションによるデンドライト(Dendrite)の成長が発生し、抵抗パターン37間が導通してしまうことがあった。
【0013】
例えば、図5Bに示すように、オーバーコートガラス38とセラミック基板36との界面において、オーバーコートガラス38のエッジの部分から抵抗パターン37に向かってデンドライト42の成長が生じる。
【0014】
このデンドライト42の成長は、次のように説明することができる。
図6に示すように、オーバーコートガラス、セラミック基板及び抵抗パターン中に不純物として含まれるNa2 Oからナトリウム原子がイオン化し、ナトリウムイオンNa+ が発生する。このナトリウムイオンNa+ が、電位勾配に沿ってイオンマイグレーションを起こし、陰極側(低電位側)Kに移動する。
さらに、陰極側Kで周りの酸化物から酸素を奪って、酸化ナトリウムNa2 Oの層として析出し、陰極側Kから陽極側(高電位側)Aに向かって酸化ナトリウムNa2 Oから成るデンドライト42が成長していく。
【0015】
このデンドライト42の成長が、陰極線管の動作中に進行すると、前述のように抵抗パターン37間の導通が生じる。例えば図5Bの場合、本来は中間電極部40から14kVを供給してきたものが、低電圧側の抵抗パターン37が短絡して実質的抵抗が短くなることにより、中間電極GMの電位が15kV等の電圧に上がってしまいフォーカスの不良を起こしてしまう。
【0016】
特に最近では、上述のEFEAL型の電子銃31等のように、電気的、機械的に過酷な条件下で抵抗器が使用される要求が高まり、抵抗パターン37間導通の問題が深刻化されている。
また、電子銃31の小型化を図ろうとすると、抵抗器32において抵抗パターン37の間隔が狭くなり、短絡が生じやすくなるため、電子銃31の小型化が難しかった。
【0017】
上述した問題の解決のために、本発明においては、抵抗パターン間の短絡を抑制することにより、寿命が長く小型化が図れる抵抗器、及びこの抵抗器を備えた陰極線管用電子銃、並びに抵抗器の製造方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の抵抗器は、抵抗パターンを覆って表面にコーティングされるオーバーコートガラスのナトリウム濃度が、純水で洗浄することにより500ppm以下とされているものである。
【0019】
本発明の陰極線管用電子銃は、抵抗パターンを覆って表面にコーティングされるオーバーコートガラスのナトリウム濃度が、純水で洗浄することにより500ppm以下とされている抵抗器を備えて成るものである。
【0020】
本発明の抵抗器の製造方法は、抵抗パターンを覆って表面をコーティングするオーバーコートガラスを作製する際に、オーバーコートガラスの原材料のガラスカレットを粉砕する工程の後に、粉砕したガラス粉末を純水で洗浄し、ナトリウム濃度を500ppm以下にする工程を有する。
【0021】
上述の本発明の抵抗器によれば、オーバーコートガラスのナトリウム濃度が500ppm以下とされていることにより、オーバーコートガラスと抵抗パターンとの間等における、ナトリウムイオンの移動によるデンドライトの成長を低減することができる。
【0022】
上述の本発明の陰極線管用電子銃によれば、その所要の電極に所要の電圧を印加するための抵抗器において、そのオーバーコートガラスのナトリウム濃度が500ppm以下とされていることにより、オーバーコートガラスと抵抗パターンとの間等における、ナトリウムイオンの移動によるデンドライトの成長を低減することができ、所要の電圧の変動が抑えられる。
【0023】
また、上述の本発明の抵抗器の製造方法によれば、粉砕したガラス粉末を純水で洗浄することにより、ナトリウム濃度を低減して、ナトリウム濃度の低いオーバーコートガラスを製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は、抵抗パターンを覆って表面にコーティングされるオーバーコートガラスのナトリウム濃度が、純水で洗浄することにより500ppm以下とされている抵抗器である。
【0025】
本発明は、抵抗パターンを覆って表面にコーティングされるオーバーコートガラスのナトリウム濃度が、純水で洗浄することにより500ppm以下とされている抵抗器を備えて成る陰極線管用電子銃である。
【0026】
本発明は、抵抗パターンを覆って表面をコーティングするオーバーコートガラスを作製する際に、オーバーコートガラスの原材料のガラスカレットを粉砕する工程の後に、粉砕したガラス粉末を純水で洗浄し、ナトリウムを500ppm以下にする工程を有する抵抗器の製造方法である。
【0027】
図1は、本発明に係る抵抗器の概略構成を示す。図1Aに断面図、図1Bに平面図を示す。この抵抗器2は、絶縁基板6、例えばアルミナ基板等のセラミック基板の片面に、導電膜、例えばPb2 Ru2 7 を主体とした導電膜を所定のパターンに塗布形成した抵抗パターン5が印刷焼成等により形成されている。抵抗パターン5の一端には、低電圧を供給するための端子となる低圧電極部9が形成され、抵抗パターン5の他端には、高電圧を供給するための端子となる高圧電極部7が形成され、抵抗パターンの中間には、分圧された中間の電圧が得られる端子となる中間電極部8が形成される。
そして、抵抗パターン5の上(図1Aでは絶縁基板6の両面)には、抵抗パターン5を保護するためのオーバーコートガラス4が、例えば焼成によって所定の厚み、例えば数10〜数100μmの厚みで形成されて抵抗器2が構成されている。本発明では、特にオーバーコートガラス4に含まれるナトリウム濃度が500ppm以下に設定される。
【0028】
この抵抗器2では、低圧電極部9に低圧、例えばアース電圧を供給し、高圧電極部7に高圧を供給することにより、中間電極部8からアース電圧と高圧との中間の電圧が取り出される。
【0029】
ここで、抵抗器でのデンドライトの成長について、さらに詳述する。
上述のオーバーコートガラスのエッジ部分から抵抗パターンに向かう成長の場合の他に、直接に抵抗パターン相互間、中間電極部と抵抗パターン間、及び低圧電極部と抵抗パターン間においても、条件によっては前述のデンドライトの成長の現象が起こりうる。
【0030】
このデンドライトの成長は、以下の数1に示すイオン移動の式によって説明することができる。
【0031】
【数1】
Na=A0 ・NNa・exp(−Q/kT)・dE/dx・f(dT/dx)
Na:Na+ イオンの移動
0 :定数
Na:単位堆積当たりのNa原子数(atoms/cm3
Q :活性化エネルギー(eV)
k :ボルツマン乗数
T :動作温度(K)
dE/dx :電位勾配
f(dT/dx):温度勾配dT/dxの関数
【0032】
従って、数1より、ナトリウムのイオンマイグレーションを抑制してDendrite成長を抑えるには、以下のような対策が考えられる。
(1)単位体積当たりのナトリウム原子数(ナトリウム濃度)NNaを減らす。
(2)電位勾配dE/dxを緩やかにする。
(3)動作温度T及び温度勾配dT/dxを抑える。
(4)抵抗パターン5間の距離を広げ、デンドライトによる抵抗パターン5間の短絡を生じにくくする。
【0033】
しかしながら、上述の(2)及び(3)はxを大きくする、また(4)は抵抗パターン5間を広げることから、いずれも抵抗器2を大きく形成することが必要になる。これにより、抵抗器2全体の大きさに制約が生じる等の短所が生じる。
【0034】
これに対して、(1)は、抵抗器の全体を大きくする必要がなく、後述する例えば陰極線管に内蔵する小型の抵抗器2に適した手法である。
【0035】
上述の数1より、動作温度Tや電位勾配dE/dx等他の条件が同じ(一定)であれば、ナトリウムイオンの移動JNaは、ナトリウム濃度NNaに比例することがわかる。
【0036】
従って、図1の抵抗器2において、オーバーコートガラス4のナトリウム濃度NNaを低減することにより、数1よりナトリウムイオンの移動JNaも低減される。
ナトリウムイオンの移動JNaが低減されると、デンドライトの成長が抑制されるため、抵抗パターン5間の導通を抑制し、これにより抵抗器2の寿命を長くすることができる。
【0037】
上述のナトリウム濃度の低減には、オーバーコートガラス4、絶縁基板6、及び抵抗パターン5の材料のそれぞれにおいてナトリウム濃度を低減することによって効果が期待できる。
特にその中でも、オーバーコートガラス4のナトリウム濃度は、通常1000ppmと高く、これを500ppm以下にすることで、ナトリウムイオンの移動JNaを低減させ、デンドライトの成長を抑制して、抵抗パターン5間の導通に至るまでの時間を大幅に伸ばすことができる。
【0038】
このように、本実施の形態の抵抗器2によれば、オーバーコートガラス4のナトリウム濃度を500ppm以下にすることにより、デンドライトの成長を抑制し、抵抗パターン5間の導通を抑制することができるので、抵抗器2の寿命を長くすることができる。
また、抵抗器2を大きくしなくても抵抗パターン5間の導通を抑制できるため、従来よりも、抵抗器2の小型化を図ることが可能になる。
【0039】
次に、本発明の抵抗器に用いられるナトリウム濃度500ppm以下のオーバーコートガラス4を実現するためには、次のような製造手法がある。図2に製造工程を示す。
【0040】
まず、原材料のガラスカレット21に可能な限りナトリウム濃度の低いものを用いる。
【0041】
この原材料のガラスカレット21を水22と混合し(混合工程S1)、粉砕する(粉砕工程S2)。
【0042】
次に、粉砕工程S2の後に、特に、水22と混合して粉砕したガラスカレット21を純水によって洗浄する(純水洗浄工程S10)。この純水洗浄工程S10を設けることにより、多くのナトリウムイオンが洗い流されるため、ナトリウム濃度を低減することができる。
【0043】
そして、この原料を用いて、粉砕後の濾過(濾過工程S3)を行って、さらに遠心沈降機により分離を行う(遠心沈降工程S4)。
次に、乾燥して(乾燥工程S5)、再度濾過(濾過工程S6)を行う。
さらにアルミナ23と混合(混合工程S7)する。
一方、ペースト化するためのビヒクル24を調整する。
最後に、ビヒクル24とガラスを混合して(混合工程S8)ペースト化し(ペースト化工程S9)、オーバーコートガラス4を塗布するためのペースト25を形成する。
【0044】
このオーバーコートガラス4用のペースト25を用いることにより、上述のナトリウム濃度500ppm以下のオーバーコートガラス4を製造することができる。
【0045】
抵抗器2は、上述のオーバーコートガラス4用のペースト25を用いて、例えば次のようにして製造することができる。
まず、絶縁基板6、例えばアルミナ等のセラミック基板に、導電ペースト、例えば金ペースト等の電極材を焼き付けて、高圧電極部7、中間電極部8、アース電極部9を形成する。
その後、例えばPb2 Ru2 7 等の導電膜のペーストを、所定のパターンで印刷塗布し、溶剤を蒸発させた後に、焼成して抵抗パターン5を形成する。
さらに、上述のオーバーコートガラス4用のペースト25を抵抗パターン5上に印刷塗布する。尚、図2の場合は、セラミック基板6の裏面にも塗布する。
そして、ペースト25を乾燥した後に焼成することにより、抵抗パターン5を被覆してオーバーコートガラス4を形成することができる。
このようにして、抵抗器2を構成することができる。
【0046】
上述の抵抗器2は陰極線管の電子銃の例えば中間電極への中間電圧の供給、電子銃のフォーカス電極へのフォーカス電圧の供給、電子銃のコンバージェンス特性を得るためのコンバージェンス電圧供給用等の抵抗器、さらにテレビ受像機のフォーカスコントローラ用の抵抗器にも適用することができる。
【0047】
図3は、上述の抵抗器を備えた本発明に係る陰極線管用電子銃の概略構成を示す。この図3は、前述のEFEAL型の電子銃に適用した場合を示している。
【0048】
この電子銃1は、図示しないが赤R、緑G、青Bの3色に対応する電子ビームを発生させる3つの陰極K、電子ビームを加速及び制御する各電極即ち第1電極G1 、第2電極G2 、第3電極G3 、第4電極G4 、第5電極G5 、中間電極GM、第6電極G6 、及びコンバージェンスカップ12を有して成る。図3中10はステム、11はステムピンである。第5電極G5 にフォーカス電圧が、第6電極G6 にアノード電圧が、また中間電極GMにフォーカス電圧とアノード電圧の中間の電圧が供給されて、ここに共有電界拡張レンズが構成される。
【0049】
このEFEAL型構造の電子銃1では、前述の図4の電子銃31と同様に、第5電極G5 、中間電極GM、第6電極G6 が、図示しないがそれぞれ3つの電子ビームに対応したビーム透過孔を有する電界補正電極板を内部に有し、各電極G5 ,GM,G6 が断面長円形の筒体とされている。
【0050】
そして、本発明では、特に、中間電極GMに図1で示した抵抗器2から中間電圧を供給するために、電子銃1の片側に抵抗器2が配置される。
【0051】
抵抗器2は、絶縁基板6の抵抗パターン5が形成された面を外側、即ち陰極線管のネックガラス側、反対側の面を電子銃1側として電子銃1に取り付けられる。
【0052】
抵抗器2の左端の高圧電極部7には、アノード電圧、例えば、25〜32kV程度の高圧が印加され、右端の低圧電極部9はアース電極部となり、接地されるか、又は陰極線管外部の外付け抵抗に接続される。
図3の電子銃1では、抵抗器2の高圧電極部7がコンバージェンスカップ12に接続され、アース電極部9がステムピン11を通じて接地され、中間電極部8が中間電極GMに接続される。
【0053】
そして、抵抗器2の中間電極部8から、フォーカス電圧とアノード電圧の中間の電圧、例えば高圧の半分程度の14kVの中間電圧が取り出されて、電子銃1の中間電極GMに供給される。
【0054】
上述の陰極線管用電子銃1によれば、寿命が長く小型化を図ることができる抵抗器2を備えて構成することにより、中間電極GMへの中間電圧の変動が抑えられ、陰極線管の故障を低減し、また陰極線管の小型化、長寿命化、高信頼性化を図ることができる。また、抵抗器2が小型化されるので、電子銃の設計に制約が生じにくい。
【0055】
尚、本発明は、フォーカス電圧を上述の抵抗器2の中間電極部8から供給するようにした電子銃、コンバージェンス電圧を上述の抵抗器2の中間電極部8から供給するようにした電子銃にも適用できる。図1の抵抗器2を電子銃のフォーカス電圧用抵抗とする場合は、例えば高圧の25%前後、電子銃のコンバーゼンス電圧用抵抗とする場合は、例えば、95%前後の電圧が、夫々中間電極部8から取り出される。
【0056】
本発明の抵抗器、陰極線管用電子銃及び抵抗器の製造方法は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0057】
【発明の効果】
上述の本発明の抵抗器によれば、抵抗器の抵抗膜上に形成するオーバーコートガラスのナトリウム濃度が500ppm以下とされていることにより、デンドライトの成長を抑制して、抵抗パターン間の導通が生じるまでの時間を長くすることができる。
従って、抵抗器の寿命を延ばすことができる。
【0058】
また、本発明の抵抗器により、抵抗器を大きくしなくても抵抗パターン間の導通を抑制できるため、従来よりも、抵抗器の小型化を図ることが可能になる。
【0059】
また、本発明の陰極線管用電子銃によれば、寿命が長く小型化を図ることができる抵抗器を備えることにより、陰極線管の故障を低減し、また陰極線管の小型化も図ることができる。
【0060】
また、本発明の抵抗器の製造方法によれば、ガラスカレットを粉砕した後に純水による洗浄工程を行うことにより、ナトリウム濃度の低いオーバーコートガラスを製造することができる。
これにより、上述の抵抗器の長寿命化及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗器の実施の形態の概略構成図である。
A 断面図である。
B 平面図である。
【図2】本発明の抵抗器の製造方法に係るオーバーコートガラスのペーストの製造工程図である。
【図3】本発明に係る陰極線管用電子銃の概略構成図(平面図)である。
【図4】EFEAL型の陰極線管用電子銃の概略構成図(平面図)である。
【図5】図4の電子銃に用いる抵抗器の概略構成図である。
A 断面図である。
B 平面図である。
【図6】デンドライトの成長を説明する図である。
【符号の説明】
1…電子銃、2…抵抗器、4…オーバーコートガラス、5…抵抗パターン、6…絶縁基板、7…高圧電極部、8…中間電極部、9…低圧電極部、10…ステム、11…ステムピン、12…コンバージェンスカップ、21…ガラスカレット、22…水、23…アルミナ、24…ビヒクル、25…ペースト、31…電子銃、32…抵抗器、33…ステム、34…ステムピン、35…コンバージェンスカップ、36…セラミック基板、37…抵抗パターン、38…オーバーコートガラス、39…高圧電極部、40…中間電極部、41…アース電極部、42…デンドライト(dendrite)、G1 …第1電極、G2 …第2電極、G3 …第3電極、G4 …第4電極、G5 …第5電極、G6 …第6電極、GM…中間電極

Claims (3)

  1. 抵抗パターンを覆って表面にコーティングされるオーバーコートガラスのナトリウム濃度が、純水で洗浄することにより500ppm以下とされている
    ことを特徴とする抵抗器。
  2. 抵抗パターンを覆って表面にコーティングされるオーバーコートガラスのナトリウム濃度が、純水で洗浄することにより500ppm以下とされている抵抗器を備えて成る
    ことを特徴とする陰極線管用電子銃。
  3. 抵抗パターンを覆って表面をコーティングするオーバーコートガラスを作製する際に、
    上記オーバーコートガラスの原材料のガラスカレットを粉砕する工程の後に、
    粉砕したガラス粉末を純水で洗浄し、ナトリウムを500ppm以下にする工程を有する
    ことを特徴とする抵抗器の製造方法。
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