JP3673532B2 - 駆動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、駆動装置に関し、特に、駆動力を歯車列で伝達するように構成した駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3、図4、図5および図6を参照して、例えば、電子写真法を用いるプリンタのような装置で用いられている歯車列から成る従来例の駆動装置を説明する。最初に、歯車列の分解斜視図である図3を参照すると、金属板1には、金属の軸21、22、23、24が加締めによって固定されている。これらの軸21、22、23、24の各々に、ギア(歯車)31、32、33、34が互いに係合した状態で、それぞれ嵌合支持されて、歯車列が構成されている。モータ4はこれらの軸とは反対側から、モータ軸がこれらの軸側に突出するように、金属板1に取付けられている。ピニオン41は、ギアの1つと係合するように、モータ軸の先端に取付けられている。このようにして、モータからの駆動力が歯車列に伝達される構成となっている。
【0003】
このように部分的に組み立てられた歯車列を持つ金属板1は、図4の矢印で示すように、例えば、プリンタのような本体装置のシャーシ6に取付けられる。なお、具体的には、シャーシに設けられている例えば給紙装置(図示せず)で用いるギア71や定着装置(図示せず)で用いるギア72と前述の歯車列を係合して、モータからの駆動力を歯車列を介してこれらのギアに伝達し、さらに、給紙装置や定着装置に伝達するように取付けられる。
【0004】
本体装置のシャーシ6は樹脂で作られており、このシャーシには金属板1をシャーシ6に固定するための複数の円筒状の脚部61、62、63、64、65が適当な配置で形成されている。次に、図5を参照して、シャーシ6に対する金属板1の固定方法を説明する。図5は、固定に用いる脚部のうちの1つの脚部を示す断面図である。金属板1には、シャーシ6の複数の円筒体に対応するそれぞれの位置に固定用ビス12のためのビス穴13(ビス12の頭部より径が小さい)が形成されている。また脚部61の中心にはビスをガイド(固定)するための穴61aが形成されている。
【0005】
取付けは、シャーシ6の上に、シャーシ6の複数の脚部のガイド穴と金属板1の複数のビス穴13が一致するように、金属板1を載せ、ビス12をビス穴13を通して脚部のガイド穴に挿入して締め付ける。ビスを締め付けると、ビスの推力によってビスの頭部と金属板とシャーシは強く結合され、互いに堅く固定される。多数の箇所でビス締めするので、シャーシと金属板は非常に強い力で結合される。このため、これらの間で歯車列も確実に保持される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例の歯車列から成る駆動装置には、以下に説明するような欠点があった。通常、工場では、ビス締めに電動や空気圧駆動のビス締め工具を用い、ビス締めの際のトルク管理を行っている。そして、締め付けトルクは6〜12kgcmである。ビス締めをする場合、特に量産工程では、ビスが間違いなくまっすぐ締め付けられる保証はなく、極端な場合には、図6に示すように斜めに入ることが十分あり得る。
【0007】
このような場合に生じる問題を説明すると、図6に示すように、斜めに入ったビスの頭部は、A点で金属板1と当接することになる。このとき、ビス締め付けトルクが12kgcmであり、ビスの頭部が6mmの半径を持つとすると、ビス12の頭部と金属板1が接して矢印Bの方向に12kgcm/0.6cm=20kgの荷重が金属板1にかかることになる。ビスの締め付け終了時には、締め付け工具にはトルクリミットが働くが、衝撃的であるため、実際には、金属板に作用する荷重は数十kgに及ぶことになる。このような力が駆動装置に働くと、駆動装置は変位したり、変形したりし、ギアの係合が不適切になり、その結果、変音、騒音、回転ムラ、異常摩耗を生じることになる。極端な場合には、ギアが係合できなかったり、食い込んで回転不能に陥ったりする場合もある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
従来例では、ビスの締め付け方法は、部品の締結方法として、全方向完全固定を意図したものである。たとえ、弾性部材が共締めされているとしても、ビス締めされた段階ではビスの推力によって十分圧縮されており、もはや自由度がない状態になっている。
【0009】
一方、本発明においては、ビス締め後も少なくとも1つの方向には自由度を有するような固定手段を用いることにより、駆動装置に変位や変形をもたらす荷重が生じても、残された自由度の中で回復可能にすると共に、自由度を残すことによって駆動装置に伝わる荷重の軽減を図る。また、自由度を残し固定手段を用いることによって、歯車列から成る駆動装置からプリンタ等の装置本体に伝わる振動等の軽減を図る。
【0010】
【実施例】
次に、本発明の駆動装置の実施例を説明する。
【0011】
(実施例1)
図1は、本発明の駆動装置の実施例1の断面図である。図1において、1は金属板(ギアプレート)であり、この金属板の上には、複数の軸100、101等(図1ではそのうちの2つを示す)が加締られていて、これらの軸にはギア30、31等が嵌合し、歯車列を構成している。従来例と同様に、モータ(図示せず)を含めたこの駆動装置は、本体装置のシャーシ6に固定される。
【0012】
固定の際、金属板1のシャーシ6に対する位置決めは、金属板1に取付けられた軸100、101等の先端をシャーシの位置決め穴91、92等に嵌合することによって行われる。この実施例では、ギアの軸が位置決め軸を兼ねているが、別個の軸を位置決め用として設けてもよい。
【0013】
金属板は、シャーシに対して位置決めされた後に、ビス12をゴムシート82を介してシャーシ6の脚部61に締めることによって、シャーシに対して固定される。この場合、金属板上の穴13はシャーシ6の脚部61の先端のストレート部62の径より大きくかつビス12の頭部の径より小さくなるように選ばれる。
【0014】
また、シャーシ6には、ゴム足81を保持するための脚部65が形成されており、ゴム足81はその脚部の先端の凹部65aに嵌入されるようにして保持される。もし、ギア30、31とゴム足81が存在しなければ、金属板1はストッパがない状態となり、シャーシへ近づく方向には動くことができるが、シャーシから遠ざかる方向には動けない。金属板1をシャーシ6に取付けた状態では、ゴム足81は金属板1とシャーシ6の間にあって圧縮された状態にある。このゴム足81の弾性によって金属板1は常にシャーシから遠ざかる方向に付勢されている。金属板1はこの付勢力によって常にゴムシート82に突き当てられ、シャーシとの間の距離が規定されるようになっている。
【0015】
図1には、ゴム足81は3つしか図示していないが、実際には、それより多く存在し、金属板1を支えている。また、ギヤ、軸、ビス止め足部に関しても同様に図示しない箇所にも存在する。
【0016】
この構成によって、ギアの入り得るスペースの高さLは、脚部61の高さをL61とし、金属板の板厚をtとし、ゴムシート82の圧縮前の寸法をL82aとし、圧縮後の寸法をL82bとすると、L=L61−t+(L82a−L82b)であり、このLはギアの高さより大きくなっている。ゴムシート82は、ゴム足81の弾性により若干圧縮されるが、極めて僅かであり、圧縮されることによってギアのスペースLが増大する方向なので、特に問題はない。
【0017】
次に、従来例に関連して前述したようなビスの斜め締めによる変形、変位の力が図1の矢印Aの方向に加わって場合について考えると、最初にこの力の大きさであるが、ビス12の頭がシャーシの脚部61との間に金属板を直接挟んで共締めしている従来例と比べると、この力は小さい。従来例では、金属板1とビスの頭部の金属同士の摩擦によって荷重が伝えられるのに対して、この実施例では、ビス頭とゴムシート82の間、ゴムシート82と金属板1の間の2回の摩擦伝達を介している。また、従来例では、ビス頭と金属板を互いに向かって押し付けている力は、ビス締め力であり、締め終わりの衝撃力は非常に大きい。これに対して、この実施例では、この押し付け力はゴム足81の弾性力と等しいために、小さい値に制御できる。
【0018】
さらに、もし荷重が加わって、軸が倒れたりして変位が生じても、弾性変形内であれば、ビス頭とゴムシートの間もしくはゴムシートと金属板の間の摩擦力のいずれか小さい方と釣り合う程度まで変位を回復することが可能である。
【0019】
また、このように自由度を残した固定方法により、モータを始めとする駆動系の発生する振動が本体(シャーシ)に伝わり難くなっている。即ち、この実施例では、モータやギアの振動は、軸から金属板に、金属板からゴムシートに、ゴムシートからビスに、ビスからシャーシへという経路を経て順に伝わる経路と、軸からシャーシへと伝わる経路があるが、後者の経路は、嵌合なので、結合力が弱く、伝達経路としても弱い。前者の経路は金属板とゴムシートの間の摩擦力、ゴムシートの粘性、ゴムシートと金属板の間の摩擦力で振動が減衰して伝達される。この結果、騒音や振動によるシャーシへの悪影響を少なくすることができる。
【0020】
(参考例)
図2は、本発明の駆動装置の参考例の断面図である。この参考例においても、プリンタの駆動装置が本体装置の一面に結合される構成は、従来例の装置や実施例1と同様である。この参考例では、駆動装置は本体下部に取付けられる構成になっている。符号12は装置本体の外装を示し、本体下部には板金で作られた底板11がある。駆動装置はこの底板11に懸架される状態で取付けられている。
【0021】
駆動装置は、金属板(ギア側板)1に加締められた軸100、101、102、103(その他の軸は図示せず)に取付けられたギア30、31、32、33(その他のギアは図示せず)によってモータ2の回転駆動を減速して伝達するように構成されている。これらの軸は全て鉛直方向に直設されている。駆動装置は、位置決め軸104、105が底板11に形成したエンボス加工の穴11aに嵌合して位置決めされる。モータ2を含めた駆動装置はかなりの重量になるが、裏カバー14とスペーサゴム81(実施例1のゴム足81と同様な機能を持つ)によって支えられている。
【0022】
即ち、駆動装置は固定手段をもたず、軸104、105で位置決めされているだけである。しかし、軸がすべて底板11のエンボス加工の穴11aに嵌合しているので、水平方向の位置決めは正確である。駆動装置を支えているのは、スペーサゴム81を介して裏カバー14のスナップフィット部15、16(その他のスナップフィット部は図示せず)だけである。スナップフィット部は、駆動装置が落下する方向だけを支えているので、駆動装置は上方向には何ら規制されておらず、自重で底板に懸架されている。
【0023】
モータおよび歯車列の振動は、本体に対しては軸から底板11に伝わるものと、ギア側板1からスペーサゴム81、モールドの裏カバー14を介して底板に伝わるものがある。しかし、いずれも伝達の効率は低い経路であり、嵌合部やゴムで減衰される。また、ギアやモータから発せられる音は、裏カバーで密閉された上に、底板11と外装12で遮蔽されるので、騒音は静かに抑えられる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、歯車列から成る駆動装置を組み立てるのに、自由度を残して固定するようにしたので、本体への振動の伝達を少なくすることができると共に、組み立て時の外力による位置ずれを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の駆動装置の実施例1の断面図である。
【図2】図2は、本発明の駆動装置の参考例の断面図である。
【図3】図3は、従来例の駆動装置の分解斜視図である。
【図4】図4は、従来例の駆動装置と本体の関係を示す斜視図である。
【図5】図5は、従来例の駆動装置の固定方法を説明するための部分拡大断面図である。
【図6】図6は、従来例の駆動装置の固定方法の問題点を説明するための部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 金属板(ギア側板)
30、31 ギア
12 ビス
6 本体装置のシャーシ
81 ゴム足
82 ゴムシート
14 裏カバー
11 本体装置の底板
Claims (2)
- 歯車列の各ギア及び軸を挟んで支持する互いに対向した第1プレート及び第2プレートと、前記第2プレートに設けられた第1脚部と、前記第1プレートを介して前記第1脚部にビス締めされるビスと、を有する駆動装置において、
前記第2プレートに設けられた複数の第2脚部と、前記第1プレートを前記第2のプレートから離間させる方向に付勢するために圧縮状態で前記第1プレートと前記複数の第2脚部の間に配置された複数の弾性部材と、を有し、前記第1脚部は、前記複数の第2脚部の間に配置されていることを特徴とする駆動装置。 - 前記第1プレートを前記第2プレート側に付勢するために前記ビスの頭部と前記第1プレートの間に配置された別の弾性部材を有することを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
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