JP3673277B2 - 高い強度及び印刷適性を有し且つ平滑な表面を有する、層をなしたアラミド紙 - Google Patents

Description

発明の背景
本発明は平滑な表面並びに良好な引張強さ及び引裂強さを有する改良された、層をなしたアラミド紙に関する。平滑な表面は、より良い印刷鮮明度を供給するが、特にこうした紙を高温におけるラベル用途に対して有用にする。表面の平滑性を改良する従来技術は、しばしば低減されたレベルの機械強度及び／又は熱安定性をもたらす。さらに、高い温度及び圧力で加圧されたか或いはカレンダー処理された合成紙は、一般に表面上に繊維を有するが、これらの繊維は、最終用途プロセスで紙が処理される場合に、粗さ或いはぎざぎざを引き起こす。
発明の概要
本発明は、４０〜５５重量％のファイブリッド（fibrid:製紙用合成繊維）を含んでなり、本質的にアラミドファイブリッドとフロック（floc:短繊維）とからなる基板層並びにその各々が該基板層に密接に結合している１個または２個の表面層を含んでなり、そして、該表面層は、本質的に６５〜９０重量％のアラミドファイブリッドと１０〜３５重量％のアラミドフロックとからなり且つ紙の重量の１０〜６７％を構成することを特徴とする、平滑な表面を有する多層アラミド紙を提供する。好ましくは、紙は、０．８〜１．０ｇ／ｃｃの密度及び１〜３０ミル（０．０２５〜０．７６２ｍｍ）の厚さを有する。
発明の詳細な説明
本発明の多層アラミド紙は、所望の性質を提供するために、異なる組成を有する複数の層から構成される。表面層は、平滑な表面を提供するものであり、６５〜９０％のアラミドファイブリッドと１０％〜３５％のアラミドフロックとを含む。表面層は紙の重量の１０〜６７％を構成する。表面層は高い引裂強さを提供するものである。多層紙を単一構造物として機能させるためには、複数の層間の界面における繊維物質を混ぜ合わせることが好ましい。このことは、抄紙機中において完成紙料からなる層（layer of furnish）、すなわち、フロック及びファイブリッドを含む抄紙用水性分散液を、前もって形成した未乾燥の完成紙料からなる層上に配置するか、２または３層の液圧型ヘッドボックスを使用する抄紙機のスクリーン上に異なる組成を有する複数の層を同時に配置することによって、達成される。抄紙機から出てくる紙を乾燥し、好ましくは１〜３０ミルの厚さにカレンダー処理する。層をなした紙の密度は、ラベルとしての使用には、好ましくは、０．８〜１．０ｇ／ｃｃである。
本発明の多層紙は優れた機械特性を有することが見い出された。最終用途用にそれを製造するために必要とされる処理を受けた後においてさえ、平滑な表面は高度の平滑性を保持する。印刷の鮮明さ及び色濃度を達成すべき場合には、この特性が重要である。
アラミドフロックは、例えば米国特許第３，０６３，９６６号；同第３，１３３，１３８号；同第３，７６７，７５６号及び同第３，８６９，４３０号の各明細書に記載されている方法で製造されるような、高温耐性フロックであるか或いはより長いアラミド繊維から切断された短繊維である。それは、代表的には、非可融性の芳香族ポリアミドからなる、２〜１２ｍｍの長さ及び１〜１０デシテックス（decitex）の線密度を有する短繊維をいう。
アラミドファイブリッドは、米国特許第３，７５６，９０８号明細書に記載されているようにフィブリル化装置を用いて製造できるが、その装置中で、ポリマー溶液を単一工程で沈殿させて剪断する。
試験及び測定
全切断強さ。紙の引張切断強さは、“紙及びボール紙の引張切断強さの標準試験方法”のためのＡＳＴＭ法Ｄ ８２８−８７に基づいて測定される。試験片は、幅２．５４ｃｍで、長さ２０．３ｃｍであり、引張試験機のあご部は最初に１２．７ｃｍだけ離しておく。１０個の紙試料を縦方向（ＭＤ）で試験し、１０個を横方向（ＣＤ）で試験し、そして各方向についての値を平均する。ＭＤ強さ及びＣＤ強さの合計を紙密度及び紙の坪量で割って、全切断強さを得る。
厚さ。紙の厚さはＡＳＴＭ Ｄ ３７４−７９（１９８６年）に従ってキャリパーを用いて測定される。
密度。紙の密度はＡＳＴＭ Ｄ ６４６−８６に従って紙の単位面積当たりの重量（坪量）を測定しそしてそれを厚さで割って求められる。
摩耗した繊維の数。
これらの紙の摩耗特性をさらに調べるために、紙を折り畳み、折り目の縁を暗いバックグラウンドを背景にして見た。固体紙の表面上の約０．５ｍｍより大きく伸びた繊維の数を、摩耗した繊維の数（センチメーター当たり）とするが、これは試料の粗さの度合いを示す。
以下の実施例は、本発明を具体的に説明するものであるが、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
実施例
実施例１
米国特許第３，７５６，９０８号明細書の実施例１の記載のとおりに製造したポリ（ｍ−フェニレンイソフタルアミド）からなるファイブリッドと、６７％のジメチルアセトアミド（ＤＭＡｃ）、９％の塩化カルシウム及び４％の水を含む溶液からポリ（ｍ−フェニレンイソフタルアミド）を乾式紡糸して製造したフロックとを組み合わせて、２層構造物を作製した。紡いだフィラメントを水性液体中に入れた。該水性液体中に入れたフィラメントは、乾燥ポリマーを基準として約１００％のＤＭＡｃ、４５％の塩化カルシウム及び３０〜１００％の水を含んでいた。フィラメントを洗浄し、そして抽出−延伸プロセスにより４回引張った。該プロセス中に、塩化物含量及びＤＭＡｃ含量はそれぞれ約０．１０％及び０．５％に低減した。フィラメントは２デニール（２．２ｄｔｅｘ）を有し、代表的な次の特性を有していた。３４％の切断点伸び、及び４．３グラム／デニール（３．８ｄＮ／ｔｅｘ）の強度（tenacity）。次に、フィラメントを０．２７インチ（０．６８ｃｍ）の長さのフロックに切断し、水中で約０．３５％の濃度のスラリーとした。
ファイブリッドとフロックのブレンドを別々に２層液圧型ヘッドボックスに仕込んだ。薄片の出口（ここで、層がわずかに混合される）まで、該ヘッドボックスは、各ブレンドを明確な層として維持した。これにより、各層の個々の性質を維持しつつ、複数の層間の良好な結合が許容される。次に、プレスと乾燥により長網抄紙機上で通常なされるように、形成したシートを処理する。
紙を赤外線ヒーターを用いて完全に乾燥した後、７２５ポンド／線インチ（１３０ｋｇ／ｃｍ）の圧力を用いて、３０フィート／分（９メーター／分）の線速度で、３２０℃でカレンダー処理する。
層の組成は、３５〜６５％のファイブリッド及びその残りがフロックを形成するように変動する。高ファイブリッド層（６５％のファイブリッド）が最終シートの全坪量の３３〜６７％の範囲に及ぶように、各層の坪量を調節した。試験紙の全ファイブリッド含量は、シートについては４５〜５５％の範囲に及んでいたのに対して、単一層からなる対照紙（Ｃ−１−１）については５３％であった。各層の坪量（ａｉｍ）及び組成を表１に示す。

カレンダー処理された紙が機械的に処理された結果としての、シートの表面上のゆるんだ繊維の量を測定した（表２）。サイド１は基板層（低ファイブリッド含量を有する層）であり、サイド２は表面層（高ファイブリッド含量を有する層）である。

高ファイブリッド含量を有する紙の表面上のゆるんだ繊維の数が顕著に低減した場合においてさえ、同様の平均組成を有しているが層をなしていない対照紙に対して、優れた機械特性が保持されている（表３）。

実施例２
構造物の上面及び底面の両面に高ファイブリッド層を有する、４．０〜４．５オンス／ヤード²（１３５．６〜１５２．６ｇ／ｍ²）の、層をなした構造物を製造した。上面及び底面の層（外層）は、等しい坪量を有してした。上面及び底面の層は６５％のファイブリッドと３５％のフロックを含む。実施例１のヘッドボックスを用いて既に製造され形成されたシート上に、第二のヘッドボックスを用いて完成紙料を噴射して、上層を作製した。対照（Ｃ２−１）は単一層からなる紙であった。各層の坪量（ａｉｍ）及び組成を表４に示す。

紙を機械処理した結果として表面上の繊維の量が改善されたことは、表５から明らかである。

紙の表面上のゆるんだ繊維の数が大幅に低減した場合においてさえ、同様の平均組成を有しているが層をなしていない対照紙に対して、優れた機械特性が保持されている（表６）。対照と比較した場合の３００℃における低い縮み並びに高い引裂及び引張特性は、殊に注目に値する。

Claims (2)

1. 高質印刷に適する表面を有する、カレンダー処理された多層アラミド紙であって、該多層アラミド紙は、４０〜５５重量％のファイブリッドを含んでなり、且つ本質的にアラミドファイブリッドとアラミドフロックとからなる基板層並びに１個または２個の表面層を含んでなり、該表面層の各々は該基板層に密接に結合して、統合された単一のシートを形成し、該表面層は、紙の重量の１０〜６７％を構成し且つ本質的に６５〜９０重量％のアラミドファイブリッドと１０〜３５重量％のアラミドフロックとからなり、紙の全表面はカレンダー処理されており、そして、該シートは０．８〜１．０ｇ／ｃｃの密度及び１〜３０ミル（０．０２５４〜０．７６２ｍｍ）の厚さを有する、ことを特徴とする多層アラミド紙。
2. 該紙が、該基板層の反対側に密接に結合している２個の表面層を含んでなる請求の範囲第１項記載の紙。