JP3673162B2 - 中空コンクリート床板用埋設中空型枠固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、中空コンクリート床板(ボイドスラブ)を構築する際の埋設中空型枠の固定構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軽量コンクリート床板として、コンクリート中に中空管などの中空型枠を埋設した中空コンクリート床板が多く採用されており、その構成は、この発明の一実施例を示す図1、図2を参照して説明すると、スラブ用型枠1上に円筒中空管などの中空型枠2を配置してその間にコンクリートCを打設して中空部Pを形成するものである。
【0003】
この構成において、中空型枠2はスラブ用型枠1との間に所定の隙間t(下被り)を設けるため、受台(バンド4)を介して載置され、この受台を種々の手段により、スラブ用型枠1に固着するとともに、中空型枠2を上面から番線(バンド10)などを用いて固定することにより、コンクリート打設時に生じる中空型枠2の浮き上りを防止するようになっている。
【0004】
しかし、各中空型枠2の間にコンクリートCを流し込むと、コンクリートCの衝突によって、中空型枠2に横方向の移動が生じる場合があり、動けば中空型枠2の間隔のバラ付きが生じ、中空部Pの配設精度が低下し、スラブ設計上の問題が生じる場合がある。
【0005】
このため、従来では、図6に示すように、押えバンド10に丸棒鋼などの鉄筋20を直接に溶接aする手段がある。また、図7に示すように、両端にフック20aを有する鉄筋20を押えバンド10に係止する手段もある。これらによれば、中空型枠2の横への動きを鉄筋20によって阻止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の手段は、一旦、溶接固定した後に、中空型枠2の再間隔調整をしようとすると、溶接部aを外さなければならず、そのため、多大な労力を要するとともに、更に作業条件の悪い現場に溶接装置の持ち込みを必要とする。
【0007】
また、後者の手段は、中空型枠2の各間隔ごとに鉄筋20を用意しなくてはならず、さらに、再間隔調整が実質的に不可能であるうえに、フックの係止のため、外れ易く、外れれば、移動を阻止し得ない。
【0008】
この発明は、中空型枠の間隔調整とその間隔の再調整を可能とすることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は、中空型枠をスラブ型枠に固定する帯状体をシャフトで連結し、そのシャフトと帯状体はシャフトがその長さ方向に移動可能でかつその任意の移動位置で固定可能に係止するようにしたのである。中空型枠には発泡樹脂製などの中実でも実質的に中空状でボイドとなり得るものも含む。
【0010】
シャフトを帯状体に対し移動して、各中空型枠間の長さに対応させ、その対応した状態で固定し、シャフトでもって隣接する中空型枠を一体化する。この一体化によりコンクリート打設時の中空型枠の横移動が阻止される。中空型枠間の再調整時には、固定をゆるめて、シャフトを再移動させ、所要の位置で固定する。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態としては、スラブ用型枠上に中空型枠を並列に配設し、その中空型枠を前記スラブ用型枠に固定の支持具で固定した中空コンクリート床板用埋設中空型枠固定構造において、前記支持具は、前記中空型枠にその一側外面から上外面を通り他の側外面に圧接してその両端が上記スラブ用型枠に固定された押え用帯状体から成り、隣接する中空型枠の各支持具間にはその両帯状体に亘るシャフトが渡され、そのシャフトと帯状体はシャフトがその長さ方向に移動可能で、かつその任意の移動位置で固定可能に係止している構成を採用し得る。
【0012】
この構成は、実開平6−82296号公報記載技術などのように上記支持具のみによって、中空型枠の位置決め及び浮き上がりを防止するものの外、実開昭62−42644号公報、特開平9−203205号公報記載技術などのように、中空型枠用受台を有するものに採用し得る。
【0013】
しかし、後述の実施例のごとく、上記支持具に上記中空型枠にその一側外面から下外面を通り他の側外面に圧接する受台用帯状体を付加し、上記押え用帯状体とその受台用帯状体の両端を固定するとともに、その固定部を支持杆により上記スラブ用型枠に固定したものにあっては、支持杆がスラブ用型枠から抜けるなどによって、中空型枠が動く可能性があり、シャフトの連結による一体化は、その支持杆の抜けを有効に阻止するなどの利点がある。
【0014】
上記シャフトと押え用帯状体との係止構造は、例えば、前記押え用帯状体にカラーを設けるとともに、そのカラーに前記シャフトを移動可能に貫通させ、カラーにはビスをシャフトに圧接可能にねじ込んだ構成を採用し得る。ビスを弛めれば、シャフトは動くことができ、ビスを締め付ければ、シャフトは動き得なくなって、中空型枠間は一定化する。
【0015】
【実施例】
図1乃至図4に一実施例を示し、図において、1はコンクリート床板(打設)用スラブ型枠、2はスラブ型枠1上に受台(受金具)3を介して並列に配設される円筒型枠(中空型枠)で、スラブ型枠1との間に所定の隙間tを有する。型枠2は、パイプなどの円筒状のものや、角筒状のもの、さらには発泡スチロールなどの合成樹脂製の中実状のものを用いてもよい。
【0016】
受金具3は、円筒型枠2を略下半部から支持する略半円状の下部帯状バンド(受台用帯状体)4と、その帯状バンド4の両端に設けた(形成した)フランジ5に固定したナット6と螺合して上下方向に位置決めされる受金具支持ボルト7とからなる。8は支持ボルト7の下端に設けた台座である。9は円筒型枠2の略上半部を被嵌する浮力押え金具で、この金具9は略半円状の上部帯状バンド(押え用帯状体)10からなり、その両端側に支持ボルト7の挿通が可能な金具(スリーブ)11が溶接などにより固定されている。
【0017】
また、上部帯状バンド10の頂部には円筒状の振れ止めカラー12が2個並列して溶接などで固定される。カラー12には内方に向くめねじ13が形成されている。14は、並列する浮力押え金具9のカラー12間に挿入して架け渡す振れ止めシャフト、15は止めビスである。
【0018】
この実施例は、以上の構成であり、つぎに、その組立て作用を説明すると、スラブ型枠1上に円筒型枠2を所定の間隔をもって受台3を介して配設する。すなわち、支持ボルト7の台座8を型枠1上に固定すると、下部帯状バンド4はスラブ型枠1から浮いた状態となり、この状態で受台3の下部帯状バンド4の上に円筒型枠2を載せる。このとき、支持ボルト7は台座8を介して型枠1へ、釘打ち、ボルト止めなどの種々の固定手段により固定する。
【0019】
次いで、円筒型枠2を浮力押え金具9で固定する。すなわち、浮力押え金具9のスリーブ11を支持ボルト7に挿通して上部帯状バンド10をそのスリーブ11を介してフランジ5に着座させ、支持ボルト7にナット16をねじ込む。これによって、円筒型枠2は受台3と押え金具9により確実に固定される。さらに、振れ止めシャフト14を、一側の浮力押え金具9のカラー12に挿入するとともに、他側(隣り)の浮力押え金具9のカラー12に挿し込んで、両カラー12、12間に架け渡す。シャフト14が両カラー12、12間をまたいだ状態で、カラー12のめねじ13に止めビス15をねじ込んでシャフト14を固定する。これによって、円筒型枠2はシャフト14、浮力押え金具9を介して固定され、その間隔が一定となる。
【0020】
このようにして、各円筒型枠2を型枠1上に配設固定した状態で、該型枠1上にコンクリートCを打設して円筒型枠2がコンクリートC中に埋設されたコンクリート床板(コンクリートスラブ)を構築する。
【0021】
このとき、円筒型枠2はコンクリート打設時のコンクリートCの衝突による横移動が確実に防止されて一定の間隔が保持される。これにより、円筒型枠2の配設精度が著しく向上する。また、円筒型枠2の振れ止め作業が、シャフト14をカラー12に挿通後、止めビス15で固定するだけで、溶接を要しないことから、容易かつ高能率となる。さらに、固定能力もアップし、信頼性の高いものである。
【0022】
また、円筒型枠2を一旦型枠1上に配設固定した後に再調整、例えば、円筒型枠2の間隔を変更する場合にあっては、止めビス15を緩めるだけで、簡単に行うことができるため、その作業のための労力が大巾に低減される。
【0023】
上記実施例では浮力押え金具9の頂部に振れ止めカラー12を2個並設した例を示した。この場合、シャフト14の長さは隣接する円筒型枠2の間隔より少し長いものを用いて、隣接する円筒型枠2、2同士を連結するようにした。これは、前記円筒型枠2とさらに隣接する円筒型枠との他の1個のカラーを用いてシャフトで連結するためである。したがって、図5に示すように、長いシャフト14を用い、振れ止めカラー12に順次挿通するようにすれば、カラー12は1個だけでもよい。
【0024】
なお、中空コンクリート床板を構築するに当り、図示省略したが、円筒型枠2の配設の前後において常法により鉄筋が配筋され補強される。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、以上のようにしたので、中空型枠の間隔調整とその間隔の再調整が可能であるとともに、コンクリート打設時の中空型枠の横移動を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の要部断面図
【図2】同実施例の要部概略斜視図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】図2の要部拡大断面図
【図5】他の実施例の要部概略斜視図
【図6】従来例の要部斜視図
【図7】従来例の要部斜視図
【符号の説明】
1 コンクリート床板用型枠(スラブ型枠)
2 円筒型枠(中空型枠)
3 受台(受金具)
4 下部帯状バンド(受台用帯状体)
5 フランジ
6 ナット
7 支持ボルト
8 台座
9 浮力押え金具
10 上部帯状バンド(押え用帯状体)
11 金具(スリーブ)
12 振れ止めカラー
13 めねじ
14 連結シャフト(振れ止めシャフト)
15 止めビス
C コンクリート
P 中空部
Claims (1)
- スラブ用型枠1上に中空型枠2を並列に配設し、その中空型枠2を前記スラブ用型枠1に固定の支持具で固定した中空コンクリート床板用埋設中空型枠固定構造において、
上記支持具は、上記中空型枠2にその一側外面から上外面を通り他の側外面に圧接してその両端が上記スラブ用型枠1に固定された押え用帯状体10から成り、隣接する中空型枠2、2の各支持具間にはその両帯状体10に亘るシャフト14が渡され、上記押え用帯状体10にカラー12を設けるとともに、そのカラー12に、前記シャフト14をその長さ方向に移動可能に貫通させ、カラー12にはビス15をシャフト14に圧接可能にねじ込んで、そのシャフト14と帯状体10はシャフト14がその長さ方向に移動可能でかつその任意の移動位置で固定可能に係止していることを特徴とする中空コンクリート床板用埋設中空型枠固定構造。
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