JP3672471B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents
光電変換素子の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3672471B2 JP3672471B2 JP37408599A JP37408599A JP3672471B2 JP 3672471 B2 JP3672471 B2 JP 3672471B2 JP 37408599 A JP37408599 A JP 37408599A JP 37408599 A JP37408599 A JP 37408599A JP 3672471 B2 JP3672471 B2 JP 3672471B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- gas
- photoelectric conversion
- conversion element
- plasma
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
Landscapes
- Photovoltaic Devices (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光電変換素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜太陽電池の光入射側のドープ層は変換効率を向上させる上で1つの重要な要因として歴史的にも様々な開発が行われてきた。
特に、アモルファスシリコン(a−Si)系の窓層としてのp層は光電変換層ではないため、光吸収量が小さく、かつ高導電率で、良好なp/i界面特性を有するという相反する特徴を満足させる必要がある。
そこで、特公平3−40515号公報及び特公平3−63229号公報等に記載されているように、ボロンをドーピングしたa−SiC膜を、p層として用いる方法が一般に用いられている。
しかし、このp型a−SiC膜は、光吸収量を十分に小さくするためには膜中のC量を数十パーセントまで増加しなければならず、これに起因して膜質の悪化を招くとともに、導電率が低下し、素子全体の内部抵抗を増加させてしまうという問題がある。
【0003】
そこで、光吸収量と導電率との双方を満足させるために、導電率の低下を最小限にとどめながら、光吸収量をできる限り小さくするという微妙な調整が行われる。
一方、このボロンがドーピングされたa−SiC膜は、光電変換層(a−Si膜)と界面の整合性が悪く、発生した光キャリアの再結合中心となる。
そこで、セル特性への影響を緩和するために、膜中のC量を滑らかに変化させたアモルファス膜をバッファ層としてp/i界面に挟み込む方法が一般に用いられている。
また、上記以外のp層の成膜方法として、特開平7−22638号公報に、アモルファスボロン層を作製した後にa−Si層を積層することによりp型のa−Si層を形成する技術が記載されており、Appl. Phys. 36(1997)467 に、アモルファスボロン層を作製した後にアモルファスカーボン層を積層することによりp層を形成する技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガラスのような透光性基板上に光電変換素子を形成する場合には、基板側が光入射側となるため、ガラス上にITO、SnO2等の透光性の金属酸化膜を作製し、その上にp層として、原料ガス(例えば、B2H6、SiH4、GeH4、CH4等)と、H2、Ar、He等からなる希釈ガスを添加した混合ガスを用いて、プラズマCVD法によりa−Si膜を形成し、さらに、i層、n層を順次積層するのが一般的である。
【0005】
しかし、このような金属酸化膜上にB2H6ガスのプラズマを発生させると、ボロンラジカルによって、a−Si膜中のSiの結合手を終端している水素の引き抜きが起こり、膜中にダングリングボンドと呼ばれる未結合手を多数形成するとともに、金属酸化膜の還元反応を引き起こし、金属酸化膜を黒化させる。その結果、窓層であるp層の光吸収量が増加するとともに、金属酸化膜の透過率が低下し、素子の短絡電流を大幅に低下させるというという問題が生じる。
a−Si膜の光吸収量の増加を抑えるためには、Cを膜内に混入させることが有効であるが、その反面、p層の導電率の大幅な低下を引き起こす。したがって、セル特性にシリーズ抵抗を生じさせないような所望の導電率を得ようとすると、光吸収量が無視できないほど大きくなり、十分な光電流が確保できないという問題点があった。
また、金属酸化膜の還元を抑制するためには、金属酸化膜の表面をZnO等で被覆することが極めて有効であるが、プロセス上、工数の増加を招き、大幅なコストアップになる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、酸化物系透明導電膜と良好な界面特性を確保しながら、a−Si膜中におけるホウ素による水素の引き抜きを抑制してp層の膜質低下を抑えることができる光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、透光性基板上に透光性金属酸化物層及びpin接合を有する光電変換素子を製造するに際して、p層を、第1p層として原料ガス、少なくとも1種の不活性ガスからなる希釈ガスおよび該原料ガスに対して0.001〜1.0容量%の酸化性ガスを混合したガスを用いてp型不純物が均一に添加された膜厚5nm以下のアモルファスシリコン層を成膜し、前記第1p層上に、第2p層としてi層に近づくにつれて不純物濃度が減少するようにアモルファスシリコン層を成膜することにより形成する光電変換素子の製造方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の光電変換素子の製造方法においては、透光性基板として、例えば、ガラス基板、ポリイミド、PET、PEN、PES、テフロン等の樹脂基板等、種々のものを使用することができる。なお、この基板は、基板の利用態様に応じて、さらに絶縁膜、導電膜、バッファ層等又はこれらが組み合わされて形成された基板であってもよい。基板の厚さは特に限定されるものではないが、適当な強度や重量を有するように、例えば0.1〜30mm程度が挙げられる。また、基板表面には凹凸を有していてもよい。
【0009】
また、透光性金属酸化物層として、ZnO、ITO、SnO2 等の導電性酸化物等を使用することができる。なかでも、還元雰囲気において影響の著しいITOを使用した場合には、本発明の効果は特に顕著である。これらは、単層又は積層層として形成されていてもよい。透光性金属酸化物層の膜厚は、使用する材料等により適宜調整することができるが、例えば、200〜2000nm程度が挙げられる。また、透光性金属酸化物層の表面又は裏面には、凹凸が形成されていてもよい。凹凸は、例えば、可視光領域の光の波長程度、0.1〜1.2μm程度の高さ、0.1〜10μmのピッチを有するものが挙げられる。
光電変換素子のp層は、透光性金属酸化物層上に、まず第1p層を形成し、さらに第2p層を積層して形成することができる。
第1p層は、水素ガスを用いないで、原料ガスと少なくとも1種の不活性ガスからなる希釈ガスとを用いて、CVD法、好ましくはプラズマCVD法により、膜厚5nm程度以下のアモルファスシリコン層として形成し得る。
原料ガスとしては、例えば、SiH4、SiF4、SiH2Cl2、SiCl4、Si2H6等が挙げられる。
【0010】
また、希釈ガスとしては、不活性ガス(Ar、He、Ne、Xe)の単独又は2種以上の混合ガスが挙げられる。原料ガスと希釈ガスとの混合比は、例えば、容量比で1:1〜1:10程度が挙げられる。具体的には、成膜装置の大きさ等に応じて適宜調整することができ、10sccm:10sccm〜10sccm:100sccm程度が挙げられる。
【0011】
なお、原料ガスと希釈ガスとの混合ガスに、酸化性ガスを混合して用いてもよい。ここで酸化性ガスとは、酸素元素を含有するガス、例えば酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、オゾン等の単独又は2種以上の混合ガスが挙げられる。酸化性ガスの使用量は、原料ガス、好ましくはSH4ガスの0.001〜1.0容量%が挙げられる。
p層を構成するp型不純物(ボロン等)は、原料ガスに、例えば、B2H6ガスを混入して成膜と同時にドーピングしてもよいし、アモルファスシリコン層を形成した後、イオン注入又は熱拡散等によりドーピングしてもよい。これにより、第1p層にp型不純物を均一添加することができる。なお、不純物が均一に添加されているとは、Si原子10000個程度に対してキャリアが1個あればよいことから、このようなキャリア密度を維持できる程度のキャリア、例えばボロン等のアクセプタが第1p層全体にわたって存在している状態を意味する。
第1p層において膜厚が5nm以下とは、第1p層の光学的な吸収量が無視できる範囲の膜厚を意味しており、シリコンの1原子層以上の膜が含まれる。また、この膜は全面において均一な膜厚を有していることが好ましいが、例えば、透光性金属酸化物層の表面に島状に形成されていてもよい。
【0012】
また、第1p層が成膜された後、その表面にプラズマを照射してもよい。この際のプラズマは、不活性ガスの単独又は2種以上の混合ガス;水素ガス;酸化性ガスの単独又は2種以上の混合ガス;これらのガスの内の2種以上の混合ガス、例えば、水素ガスと酸化性ガスとの混合ガス(例えば、容量比で1:0.001〜5.0)等を処理ガスとするプラズマが挙げられる。プラズマ照射の条件は、特に限定されるものではないが、例えば、1kHz〜13.56MHz程度の高周波電源、10〜1000秒間程度の時間、10〜1000W程度の電力を用いることが挙げられる。
このようなプラズマ処理により、第1p層中の光吸収係数を増大させることができ、つまり第1p層中の光吸収量増加を抑制できるため、比較的高い短絡電流が得られることとなる。
【0013】
次に、第1p層上に、i層に近づくにつれてp型不純物を減少するように第2p層を成膜する。第2p層を成膜する方法は、原料ガスの中にp型不純物を含まないで成膜する以外は、第1p層を形成する方法と同様の方法で形成することができる。なお、第2p層の成膜においては、希釈ガスとして第1p層と同様に不活性ガスを用いるものであってもよいし、原料ガスに酸化性ガスを添加した混合ガスを用いるものであってもよい。また、水素ガスが添加されていないガスを希釈ガスとして用いることが好ましいが、必ずしも水素ガスが添加されていないガスを用いるものでなくてもよい。
このような方法で成膜することにより、p型の不純物を積極的に含有させないが、下地である第1p層からp型不純物が拡散することにより、結果的に第1p層に近い側で第1p層に近いp型不純物濃度を有し、i層に近づくにつれてp型不純物濃度が減少する第2p層を形成することができる。
【0014】
また、第2p層は、所定膜厚を成膜する毎に得られた第2p層表面に、及び/又は第2p層を成膜した後のその表面に、プラズマ処理を施すことが好ましい。なお、第2p層の複数層のすべての表面がプラズマ処理されていてもよいが、その中の一部の層の表面のみがプラズマ処理されていてもよい。この際のプラズマは、第1p層表面にプラズマ処理を施す場合のプラズマと同様のものが挙げられる。なかでも、水素ガスと酸化性ガスとの混合ガス(例えば、容量比で1:0.001〜5.0)等によるプラズマが好ましい。プラズマ照射の条件は、特に限定されるものではないが、例えば、1kHz〜1MHz程度の高周波電源、10〜1000秒間程度の時間、10〜1000W程度の電力を用いることが適当である。なお、この際の所定膜厚とは、例えば、1〜30nm程度が挙げられる。また、所定膜厚毎にプラズマ処理を複数回施す場合には、周波数、照射時間及び電力の少なくとも1つを順次小さくすることが好ましい。このようなプラズマ処理により、第2p層中の光吸収係数を、i層に近づくにつれて徐々に増大させることができ、つまり第1p層中の光吸収量増加を徐々に抑制できるため、短絡電流を向上できるとともに、Voc及びF.F.の低下を抑制することができる。
【0015】
なお、第2p層の形成は、第1p層を形成した成膜装置、例えばプラズマCVD装置のチャンバと同一のチャンバで行ってもよい。この場合には、特別なドーピングプロファイルを設計することなく、雰囲気中に存在する第1p層形成の際のp型不純物の混入により、結果的に特定のドーピングプロファイルを有する第2p型を形成し、光吸収係数を増大させることができ、つまり第1及び第2p層中の光吸収量増加を抑制できる。また、作業性も向上する。よって、製造コストの抑制を実現することができることとなる。
【0016】
また、第2p層の形成は、必ずしも第1p層を形成した成膜装置のチャンバと同一のチャンバでなくてもよく、異なるチャンバで形成してもよい。この場合には、第2p層に過剰の不純物の拡散を及ぼすことがないため、第2p層内の内部電界制御を容易に行うことができる。
p層は、上記のような構成により、その下層に形成された透光性金属酸化物層と良好な界面特性を確保しながら、不純物の水素の引き抜き作用によるp層の膜質低下を抑制することができる。
また、後述するi層に十分な内部電界を形成でき、比較的大きな開放電圧が確保でき、光吸収量の増加を抑制できるため比較的大きな短絡電流を得ることができる。
【0017】
本発明の光電変換素子におけるi層及びn層は、通常、光電変換素子におけるpin接合に使用されるi層及びn層であれば、特に限定されるものではない。例えば、i層及びn層としては、いずれも上述したようなアモルファス層により形成され、i層はキャリアとなる不純物が導入されておらず、n層はドナーとなる不純物、例えば、リン、砒素等が1018〜1019cm-3程度で導入された層が挙げられる。これらの膜厚は、光電変換素子により得ようとするエネルギー、p層、n層中等の不純物濃度等により適宜調整することができるが、例えば、それぞれ100〜600nm程度、30〜100nm程度が挙げられる。なお、i層は、p層を成膜した成膜装置のチャンバとは異なるチャンバで形成することが好ましい。i層へのp型不純物の混入が防止できるからである。
【0018】
裏面電極層は、通常電極として使用される導電材料であれば特に限定されることなく、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属、上述した透光性金属酸化物等が挙げられる。これらの膜厚は、光電変換素子の使用態様に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明の光電変換素子は、基板上に、pin接合を1つだけ有していてもよいし、並列または直列に、併設又は積層して、繰り返し複数個有していてもよい。また、pin接合を構成するn層、i層及びp層の全てがアモルファスシリコン層により形成されていなくてもよい。さらに、透光性金属酸化物層、p層、i層、n層、裏面電極層の間に、任意にバッファ層、中間層、導電層、絶縁層等をさらに備えていてもよい。
以下に、本発明の光電変換素子の製造方法の実施例を説明する。
【0019】
実験例
透明ガラス基板上に、希釈ガスをH2またはHeとして、SiH4/B2H6/H2(He)=1/0.1/20の混合ガスを200sccmで流し、投入電力200Wで、2種類の高ドープa−Si層を成膜した(第1p層)。この層は少量のSiH4を混合したガスで成膜した高ドープa−Si膜で、光吸収量が無視できる膜厚に設定する。ここでは、この単膜の300nmの成膜時間から算出した成膜速度から2nmに設定した。
この後、同一チャンバーで成膜時にp型不純物をドープしない拡散ドープ層を10nm成膜し(第2p層)、この拡散ドープ層中に下地の高ドープ層からボロンを拡散させることで、この層全体をp層化した。
その後、H2またはHeの希釈ガスでこれらの層を繰り返して成膜し、膜厚300nmの2種類のp層を作製した。
【0020】
得られた2種類のp層の光吸収量を図1に示す。また、比較例として、同じ膜厚で、拡散ドープ層(第2p層)を形成しないp層を形成し、同様に光吸収量を測定した。その結果を図1に示す。
図1から、p層を、p型不純物をドープした層とドープしない層との積層構造とした場合、p層成膜時にボロンの水素引き抜き効果がないため、光吸収量は、拡散ドープ層を形成しないp層に比べて小さいことがわかる。また、各p層の導電率は5×10-4S/cm程度とほぼ同じであったことから希釈ガスの違いによる光吸収係数の差はここでは見られなかった。つまり、図1から、第1/第2p層の積層構造は、ドープ層のみから形成されているものと比較して光吸収率が優れていることがわかった。
なお、上記実験例では、10nm毎に高Bドープ層を積層したが、30nm以下であれば、200℃成膜で同様の導電率で光吸収量の低減効果が得られることがわかっている。
【0021】
実施例1
透明ガラス基板上にSnO2層を成膜した後、希釈ガスをH2またはHeとして、SiH4/B2H6/H2(He)=1/0.1/20の混合ガスを200sccmで流し、投入電力200Wで、2種類の高ドープa−Si層を2nmの膜厚で成膜した(第1p層)。
この後、同一チャンバーで成膜時にp型不純物をドープしない拡散ドープ層を10nm成膜し(第2p層)、この拡散ドープ層中に下地の高ドープ層からボロンを拡散させることで、この層全体をp層化した。
【0022】
得られた2種類の基板の透過率を図2に示す。
p層自身は図1の結果から両者の光吸収に差がないにもかかわらず、図2では、He希釈した膜はH2希釈の膜に比べ透過率が10%以上も増加した。
この結果から、He希釈では、H2プラズマによるSnO2層が還元/黒化が緩和されていることがわかる。
続いて、得られたp層上に、i層成膜室で200nmのi層を成膜し、n層成膜室で30nmのn層を成膜し、その上に金属電極を形成してpin型の光電変換素子を作製した。この光電変換素子は、図4に示したように、透光性基板1、透光性金属酸化物層2、第1p層7、第2p層8、i層4、n層5、金属電極6が順次形成された構造である。
【0023】
得られたpin素子のA.M.1.5照射下での短絡電流、開放電圧、F.F.及び変換効率を測定した。その結果を表1に示す。
なお、実施例1において原料ガスにH2希釈ガスを用いてp層を形成することにより得られたpin素子も同様の測定をし、比較例として表1に示すとともに、開放電圧、F.F.及び変換効率の比較例に対する比も表1に示した。
【0024】
実施例2
第1p層を、SiH4/B2H6/He/CO2=1/0.1/20/0.001〜1.0の混合ガスを用いて成膜する以外は、実質的に実施例1と同様にp層、さらにpin素子を作製した。
得られた基板の透過率を測定したところ最高63%に改善した。
また、CO2の添加量は、B2H6と同程度であるため、導電率も1×104S/cmと、窓層としては十分高い。
この結果から、原料ガス及び希釈ガスの混合ガスに、さらに酸化性ガスを微量添加することにより、H2プラズマによるSnO2層が還元/黒化が緩和されることがわかる。
【0025】
実施例3
実施例1と同様に第1p層を成膜した後、第1p層の表面を、不活性ガス(Ar、He、Ne又はXeガスのいずれか1つ)を用い、周波数13.56MHz、100Wにて100秒間プラズマ処理した。その後、同一チャンバーで成膜時にp型不純物をドープしない拡散ドープ層を10nm成膜し(第2p層)、この拡散ドープ層中に下地の高ドープ層からボロンを拡散させることで、この層全体をp層化することによりp層、さらにpin素子を作製した。
【0026】
得られた第1p層の光吸収量を測定したところ、図1に示した希釈ガスとしてHeガスを用いた場合に比較して、さらに光吸収係数を低減させることがわかった。
なお、より低い周波数でのプラズマ処理も有効であることも確認した。つまり、1MHzの周波数でプラズマ処理することにより、同様の光吸収係数の低減を得るために、13.56MHzで処理する場合よりも、処理時間を1/4に短縮できることがわかった。
一方、1MHz以下の周波数を用いると、膜に対するダメージのためpin素子のデバイス特性(F.F.)の低下がおこることも確認した。
【0027】
実施例4
第1p層を、不活性ガスに代えて、H2ガスを用いて、10kHzの周波数(100W、10秒間)でプラズマ処理する以外は、実質的に実施例3と同様に、第1p層及び第2p層、さらにpin素子を作製した。
10kHzの周波数(100W、10秒間)でH2プラズマ処理することにより、不活性ガスでのプラズマ処理(13.56MHzでのプラズマ処理)と同様の光吸収係数の低減を得るために、不活性ガスを用いて13.56MHzで処理する場合よりも、処理時間が1/10まで短縮できた。
しかも、10kHz以上でのH2プラズマ処理では、デバイス特性(F.F.)の低下は起こらなかった。
【0028】
実施例5
第1p層を、水素ガスに代えて、水素ガスと水素ガスの0.001〜5.0%のCO2ガスとの混合ガスを用いた以外は、実質的に実施例4と同様に第1p層及び第2p層、さらにpin素子を作製した。
この場合、図2に示したHeガスを希釈ガスとして用いた場合に比較して、透過率がさらに2%程度改善した。
このことから、プラズマ処理を、水素ガスと酸化性ガスとの混合ガスを用いて行う場合には、さらにp層の透過率を改善することができることがわかった。
【0029】
実施例6
実施例1と同様に第1p層を成膜した後、実施例5と同様に水素ガスと水素ガスの0.001〜5.0%のCO2ガスとの混合ガスを用いてプラズマ処理をし、その上に第2p層を成膜した。
得られた第2p層の表面に、水素ガスと、水素ガスの0.001〜1.0%のCO2ガスとの混合ガスを用いて、周波数13.56MHz、100Wにて100秒間プラズマを照射した。
その結果、得られた基板の透過率は実施例5と比較して、さらに1%程度改善した。
【0030】
つまり、第2p層をH2ガスでプラズマ処理する場合には、図3に示すように第1p層の成膜時にカソードに付着したボロンが、水素プラズマを介して第2p層中に混入するおそれがあるが、この実施例のように、第2p層の表面に水素ガスと酸化性ガスとの混合ガスによるプラズマを照射した場合には、第2p層の成膜中に生じるボロンラジカルによる膜の還元反応を抑制し、その結果、p層の透過率を改善することができる。
さらに、i層、n層及び金属電極を形成し、pin素子を作製した。
【0031】
実施例7
ガラス/凹凸SnO2基板上に、希釈ガスをHeとして、SiH4/B2H6/He=1/0.1/20の混合ガスを200sccmで流し、投入電力200Wで、2nmの膜厚で高ドープa−Si層を第1p層として成膜した。
その後、第1p層の表面に、水素ガスと水素ガスの0.001〜5.0%のCO2ガスとの混合ガスを用い、周波数13.56MHz、100Wにて100秒間プラズマ処理を行った。
続いて、同じ成膜室で、得られた第1p層上に3nmの第2p層を成膜し、H2プラズマ処理を周波数300kHz、50Wにて30秒間行った。さらに第2p層を3nm成膜し、H2プラズマ処理を周波数10kHz、50Wにて30秒間行った。
続いて、i層成膜室で200nmのi層を成膜し、n層成膜室で30nmのn層を成膜し、pin型の光電変換素子を作製し、短絡電流、開放電圧、F.F.及び変換効率を測定した。
【0032】
実施例8
実施例6と同様にプラズマ処理した第1p層の上に、3nmの第2p層を成膜し、H2プラズマ処理を13.56MHz、50Wにて5分間行い、さらに第2p層を3nm成膜し、p層成膜室でp層上に3nmの第2p層を成膜し、H2プラズマ処理を13.56MHz、50Wにて5分間行った。このように第2p層を複数積層した後に、上記と同様にi層成膜室で200nmのi層とn層成膜室で30nmのn層を成膜し、pin型の光電変換素子を形成した。このpin素子は、図5に示したように、透光性基板1、透光性金属酸化物層2、第1p層7、第2p層8a及び8b、i層4、n層5、金属電極6が順次形成された構造である。
この実施例では、実施例7に比べて第2p層の光吸収量が低減した結果、さらに短絡電流が2%向上し、F.F.も2%程度改善した。
【0033】
実施例9
実施例7と同様にプラズマ処理した第1p層の上に、3nmの第2p層を成膜し、H2プラズマ処理を周波数13.56MHz、50Wにて5分間行い、さらに第2p層を3nm成膜し、H2プラズマ処理を周波数13.56MHz、20Wにて5分間行なった後、上記と同様に200nmの膜厚のi層と30nmの膜厚のn層を成膜し、pin型の光電変換素子を作製し、短絡電流、開放電圧、F.F.及び変換効率を測定した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1の結果から、上記実施例のpin素子のA.M.1.5照射下での短絡電流は、H2ガスを希釈ガスとして用いて成膜した比較例における素子に比べて、最大6%向上した。また、開放電圧、F.F.も同等以上であった。
【0036】
さらに、実施例7のように、第2p層のプラズマ照射を低周波でかつ除々に周波数を小さくして作製した素子ではF.F.が0.74まで改善され、短絡電流も17.21mA/cm2まで改善されることがわかった。また、実施例9のように、第2p層のプラズマ照射の電力を除々に小さくして作製した素子では13.56MHzの処理を行なった素子でもp/I界面の整合性を改善された結果、開放電圧が0.92V、F.F.が0.738に改善され、短絡電流も17.21mA/cm2が得られた。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、p層を第1p層及び第2p層の積層構造とし、さらに第1p層の成膜時に不活性ガスからなる希釈ガスを用いることにより、透光性金属酸化物層のH2プラズマによる還元反応を抑制することができ、ひいては光吸収量及び透過率が改善された光電変換素子を製造することが可能となる。
【0038】
また、第1p層の成膜時に、原料ガスに酸化性ガスを添加して用いた場合には、さらに透光性金属酸化物層のH2プラズマによる還元反応を抑制することができる。
さらに、第1p層の表面に、不活性ガス、水素ガス又は水素ガスと酸化性ガスとの混合ガスによるプラズマを照射した場合には、さらに透光性金属酸化物層のH2プラズマによる還元反応を抑制することができる。特に、水素ガスと酸化性ガスとの混合ガスによるプラズマを照射した場合には、得られるp層の光吸収率を改善することが可能となる。
第2p層を狭くする際、所定膜厚成膜するごとに、プラズマを照射し、複数層積層することによって、第2p層の光吸収量をさらに低減させた結果、さらに、短絡電流が向上し、プラズマ処理中にp層不純物の取り込みも増加し、直列抵抗が低減してF.F.も改善する。
【0039】
また、第2p層を成膜する際、所定膜厚成膜するごとに得られた第2p層の表面に周波数、照射時間及び/又は電力を順次小さくしてプラズマ処理を施す場合には、p/i界面の接合特性をより改善することができ、F.F.を改善することができる。
さらに、第1p層と第2p層とを成膜装置、例えば、プラズマ化学気相成長装置の同一チャンバで形成する場合には、特別なドーピングプロファイルを設計することなく、ひいては、製造コストの大幅な抑制と簡略化が可能となる。
【0040】
また、p層とi層とを成膜装置、例えば、プラズマ化学気相成長装置の異なるチャンバーで形成する場合には、i層内に過剰なp型不純物の拡散を及ぼすことがないため、i層の内部電界制御を容易に行うことができる。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】希釈ガスとして水素ガスとヘリウムガスとの2種類を用いた場合のp層の光吸収量を示すグラフである。
【図2】本発明の光電変換素子の製造方法により透光性基板上に透光性金属酸化物層及びp層を形成した場合の透過率を示すグラフである。
【図3】第1p層の表面及び第2p層に水素ガスによるプラズマ照射を行った場合のp層中のH、O、Bの濃度を示すグラフである。
【図4】本発明の光電変換素子の製造方法により得られた光電変換素子の概略断面図である。
【図5】本発明の別の光電変換素子の製造方法により得られた光電変換素子の概略断面図である。
【符号の説明】
1 透光性基板
2 透光性金属酸化物層
4 i層
5 n層
6 金属電極
7 第1p層
8、8a、8b 第2p層
Claims (8)
- 透光性基板上に透光性金属酸化物層及びpin接合を有する光電変換素子を製造するに際して、p層を、第1p層として原料ガス、少なくとも1種の不活性ガスからなる希釈ガスおよび該原料ガスに対して0.001〜1.0容量%の酸化性ガスを混合したガスを用いてp型不純物が均一に添加された膜厚5nm以下のアモルファスシリコン層を成膜し、前記第1p層上に、第2p層としてi層に近づくにつれて不純物濃度が減少するようにアモルファスシリコン層を成膜することにより形成する光電変換素子の製造方法。
- 第1p層を成膜した後、1kHz〜13.56MHzの高周波電源を用いて、水素又は不活性ガスを処理ガスとするプラズマを照射する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 第1p層を成膜した後、水素ガスと水素ガスの0.001〜5.0容量%の酸化性ガスとの混合ガスを処理ガスとするプラズマを照射する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 第2p層を成膜する際、所定膜厚成膜するごとにプラズマを照射し、第2p層を複数層積層する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 第2p層を成膜する際、所定膜厚成膜するごとに得られた第2p層表面に、周波数、照射時間及び/又は電力を順次小さくしてプラズマ処理を施す請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 第2p層を成膜した後、水素ガスと水素ガスの0.001〜5.0容量%の酸化性ガスとの混合ガスを処理ガスとするプラズマを照射する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- p層を、プラズマ化学気相成膜装置の同一チャンバで形成する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- p層とi層とを、プラズマ化学気相成膜装置の異なるチャンバで形成する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37408599A JP3672471B2 (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | 光電変換素子の製造方法 |
US09/577,879 US6383898B1 (en) | 1999-05-28 | 2000-05-25 | Method for manufacturing photoelectric conversion device |
EP00111272A EP1056139A3 (en) | 1999-05-28 | 2000-05-25 | Method for manufacturing photoelectric conversion device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37408599A JP3672471B2 (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | 光電変換素子の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001189474A JP2001189474A (ja) | 2001-07-10 |
JP3672471B2 true JP3672471B2 (ja) | 2005-07-20 |
Family
ID=18503235
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP37408599A Expired - Fee Related JP3672471B2 (ja) | 1999-05-28 | 1999-12-28 | 光電変換素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3672471B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4730678B2 (ja) * | 2000-04-05 | 2011-07-20 | Tdk株式会社 | 光起電力素子の製造方法 |
JP4829394B2 (ja) * | 2000-04-05 | 2011-12-07 | Tdk株式会社 | 光起電力素子の製造方法 |
JP4244549B2 (ja) | 2001-11-13 | 2009-03-25 | トヨタ自動車株式会社 | 光電変換素子及びその製造方法 |
WO2003085746A1 (en) * | 2002-04-09 | 2003-10-16 | Kaneka Corporation | Method for fabricating tandem thin film photoelectric converter |
WO2004038774A2 (en) * | 2002-10-25 | 2004-05-06 | Unaxis Balzers Ltd. | Method for producing semi-conducting devices and devices obtained with this method |
-
1999
- 1999-12-28 JP JP37408599A patent/JP3672471B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001189474A (ja) | 2001-07-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6383898B1 (en) | Method for manufacturing photoelectric conversion device | |
KR101024288B1 (ko) | 실리콘계 박막 태양전지 | |
EP0969523B1 (en) | Process for producing a photovoltaic device | |
KR100847487B1 (ko) | 탠덤형 박막 광전변환 장치의 제조방법 | |
AU2005200023B2 (en) | Photovoltaic device | |
JP5285651B2 (ja) | 太陽電池の製造方法 | |
EP1939947B1 (en) | Silicon-based thin-film photoelectric converter and method of manufacturing the same | |
EP1906457A1 (en) | Method of Manufacturing Tandem Thin-Film Solar Cell | |
JPH06151916A (ja) | 多接合光電デバイスおよびその製造法 | |
CN114335228A (zh) | 异质结太阳电池、其制备方法及发电装置 | |
JP3672471B2 (ja) | 光電変換素子の製造方法 | |
JP4780931B2 (ja) | 光電変換装置および光発電装置 | |
JP4780928B2 (ja) | 光電変換装置およびそれを用いた光発電装置 | |
WO1999038216A1 (fr) | Dispositif de cellule solaire et son procede de production | |
JP2004214442A (ja) | 光起電力装置およびその製造方法 | |
WO2021010127A1 (ja) | 半導体装置および太陽電池並びに半導体装置の製造方法 | |
JP4780930B2 (ja) | 光電変換装置の製造方法 | |
JP4471963B2 (ja) | 光電変換素子の製造方法 | |
JP3753556B2 (ja) | 光電変換素子及びその製造方法 | |
JP4717122B2 (ja) | 薄膜太陽電池の製造方法 | |
WO2010067704A1 (ja) | 光起電力装置及びその製造方法 | |
JP2002237609A (ja) | タンデム型薄膜太陽電池の製造方法 | |
KR101833633B1 (ko) | 태양전지 및 그 제조 방법 | |
KR102674774B1 (ko) | 고광전변환효율 태양전지 및 고광전변환효율 태양전지의 제조 방법 | |
JP2004289188A (ja) | 光電変換素子の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050118 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050322 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050412 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050419 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080428 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |