JP3672267B2 - 微量金属分析用標準ガス、標準ガスの調製装置および標準ガスの調製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、標準ガス、特に、微量金属を分析するために用いられる標準ガスに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
近年、IC等の電子部品の集積度が高まるに従って、それを製造するためのクリーンルーム内の雰囲気には、より高度な清浄度が求められている。また、各種分析用や半導体の製造用などに用いられる高純度ガス、純水あるいは有機溶媒などについても、分析精度や製造効率をより高めるために、より高純度なものが求められている。特に、このような雰囲気中や高純度ガス中(以下、単に雰囲気中という)あるいは純水や有機溶媒などに不純物として含まれる金属化合物の許容量はng/m3 (ナノグラム:10-9g/m3 )オーダーとされているため、上述の雰囲気中や純水、有機溶媒などに含まれる金属化合物の検出精度の向上が特に要求されている。
【0003】
ところで、雰囲気中などに含まれる微量な金属化合物の分析方法は、分析対象に対して何らかの前処理を施してから分析する方法(間接法)と、分析対象をそのままで直接分析する方法(直接法)とに大別することができる。
【0004】
例えば、雰囲気中の微量な金属化合物を分析する場合、間接法による分析方法では、雰囲気中に含まれる金属化合物を一旦吸収液に捕集するなどの前処理を行い、得られた吸収液を試料として分析機器に導入して分析している。しかし、このような間接法では、上述の様な前処理が必要なために操作が煩雑であり、前処理の過程で用いる試薬、器具および分析環境などから試料が汚染を受けやすい。このため、信頼性の高い分析結果を得るためには、クリーンルームなどの環境設備を備えた特別な分析室において、超高純度試薬や石英器具類などを用いる必要がある。
【0005】
また、間接法では、上述の前処理において、被分析金属元素を含む全ての化合物を完全に捕集する必要があるが、雰囲気中に含まれる被金属元素などの形態はガス状や粒子状などと一定でなく、また、ガス組成や粒子径も様々であるため、完全な捕集法を確立するのは極めて困難である。このため、間接法では、信頼性の高い分析結果を得るのが困難である。
【0006】
一方、直接法による分析手法としては、例えば、ICP/AES(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いる方法が挙げられる。このような直接法によれば、雰囲気を前処理することなくそのままの状態で直接分析することができるため、間接法の場合に比べて信頼性の高い分析結果が容易に得られる。
【0007】
ところが、このような直接法では、被分析金属元素の標準ガスが必要となるため、分析可能な被分析金属元素は、それ用のボンベ詰めの標準ガスが調製可能なもの、具体的にはアルシンを用いる砒素、セレン化水素を用いるセレン、シランを用いる硅素の場合などの僅か数元素に限られている。
【0008】
本発明の目的は、クリーンルーム内の雰囲気や高純度ガス中、あるいは各種分析用、半導体の製造用などに用いられる純水、有機溶媒などに含まれる金属化合物を直接法により分析するための標準ガスを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の目的を達成するために鋭意研究した結果、昇華性を有する金属化合物を用い、この化合物の昇華圧と気体中における拡散速度とを利用すれば、極めて低濃度の標準ガスを長期間安定して供給できることを見い出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る微量金属分析用標準ガスは、温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物の蒸気と、この金属化合物に対して不活性な気体とを含み、金属化合物の蒸気を1ppt〜10ppmの濃度範囲で含むものである。
【0012】
また、金属化合物は、有機金属錯体、有機金属カルボニルおよび有機金属キレートからなる群から選ばれた少なくとも1つのものである。
【0013】
また、本発明に係る標準ガスの調製装置は、温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物を用いて微量金属を分析するために用いられる標準ガスを調製するためのものである。この装置は、金属化合物を封入するためのセルと、流入口と流出口とを有しかつ金属化合物に対して不活性な気体を流すための流路と、セルと流路とを接続するための連通管とを備えている。連通管は、流入口と流出口との間において流路に接続している。
【0014】
このような調製装置では、セル内に封入された金属化合物から発生した蒸気が連通管を介して流路内に導かれる。流路内では、流入口から導入された不活性な気体が金属化合物の蒸気と混ざり合い、標準ガスとなって流出口から外部に放出される。
【0015】
なお、この調製装置は、例えば、セルを加熱するための加熱装置をさらに備えていてもよい。このような加熱装置を備えている場合は、セル内の金属化合物を加熱することができるので、金属化合物から蒸気を発生させ易くなり、例えば昇華圧が小さな金属化合物を用いた場合でも、安定的に標準ガスを調製することができる。
【0016】
本発明に係る標準ガスの調製方法は、微量金属を分析するために用いられる標準ガスを調製するための方法である。この方法では、流路と連通管とを備えた上述の本発明に係る標準ガスの調製装置を用いて、温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物から発生する蒸気を連通管を介して流路に導き、流路において当該蒸気と金属化合物に対して不活性な気体とを混合して標準ガスを調製している。
【0017】
このような本発明に係る標準ガスの調製方法は、温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物から安定的に発生する蒸気と、金属化合物に対して不活性な気体とを本発明に係る標準ガスの調製装置を用いて混合しているので、目的とする標準ガスを安定的に調製することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の標準ガスで用いられる、温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物は、温度20℃以上において固体でありかつ昇華圧を有するものである。当該金属化合物の昇華圧は、20℃以上で10-7Pa以上であり、200℃以下の温度で10-4Pa以上が好ましい。昇華圧が20℃以上で10-7Pa未満の場合は、昇華圧が小さすぎるため、必要な濃度の標準ガスが得られにくい。同様に、200℃以下の温度で10-4Pa未満の場合も、昇華圧が小さすぎるため、必要な濃度の標準ガスが得られにくい。
【0019】
なお、本発明に係る標準ガスの調製装置を用いて20℃で連続的にかつ安定的に標準ガスを調製するためには、20℃で10-4Pa以上の昇華圧を有する金属化合物を用いるのが好ましい。
【0020】
上述の金属化合物としては、通常、有機金属錯体、有機金属カルボニル、有機金属キレートなどの有機金属化合物が用いられる。有機金属錯体の具体例としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルジルコニウム(II)ジクロライド、ジシクロペンタジエニル鉄(II)、ジシクロペンタジエニルニッケル(II)が挙げられる。
【0021】
また、有機金属カルボニルの具体例としては、モリブデンヘキサカルボニル、クロムヘキサカルボニル、タングステンヘキサカルボニル、ジコバルトオクタカルボニル、ジマンガンデカカルボニルなどが挙げられる。
【0022】
さらに、有機金属キレートの具体例としては、アセチルアセトン(AA)、ジビバロイルメタン(DPM)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(HFA)、3−フェニル−2,4−ペンタンジオン(PAA)、ビバロイルトリフルオロアセトン(PTA)、トリフルオロアセチルアセトン(TAA)、トリ−n−オクチルホスフィンオキサイド(TOPO)、セノイルトリフルオロアセトン(TTA)などのキレート剤と、Al(III)、Ba(II)、Be、Ca(II)、Cd(II)、Ce(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(III)、Cu(II)、Fe(II)、Fe(III)、Ga(III)、Mg(II)、Mn(II)、Mn(III)、Mo(III)、Ni(II)、Pb(II)、TiO(II)、V(III)、Zn(II)、Zr(IV)、U(IV)などの金属とのキレートが挙げられる。
【0023】
なお、分析対象中に数種類の金属化合物が含まれているような場合、本発明の標準ガスは、数種類の上述の金属化合物による蒸気を含んでいてもよい。
【0024】
また、本発明の標準ガスで用いられる、上述の金属化合物に対して不活性な気体としては、上述の金属化合物と反応しないものであれば特に限定されることなく種々のものを用いることができる。具体的には、窒素、ヘリウム、水素、炭酸ガス、酸素、アルゴン、一酸化炭素、亜酸化窒素などが例示できる。これらの気体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を混合して用いられてもよい。
【0025】
なお、上に挙げた不活性な気体の中には、上に例示した金属化合物のうちのいずれかと反応し得るものもあるが、この場合は、気体と金属化合物との組合せを、両者が互いに反応しないように設定する。
【0026】
上述の金属化合物の蒸気と上述の不活性な気体とを含む本発明の標準ガスは、通常、金属化合物を1ppt〜10ppm(10-12〜10-5m3/m3)の濃度範囲で含んでいる。濃度が1ppt未満の場合は、分析計の検出感度に限界があるため、標準ガスの濃度を正確に測定すること(値付け)が困難となる。
【0027】
次に、上述の標準ガスの調製装置について説明する。図1は、本発明に係る標準ガスの調製装置の一形態の縦断面図である。図において、標準ガス調製装置1は、主に、セル2と流路3と連通管4とを備えている。
【0028】
セル2は、上述の金属化合物を封入するための部材であり、例えばフッ素樹脂を用いて円筒状に形成されている。セル2の内部には、金属化合物を封入するための空間5が設けられている。また、セル2の図上端部には、空間5に繋がる、連通管4の一端を接続するための接続口6が設けられている。
【0029】
流路3は、金属化合物に対して不活性な気体を流すための筒状の部材であり、略水平に配置されている。この流路3の両端部には、それぞれ気体の流入口7および流出口8が設けられている。また、流路3において、流入口7と流出口8との略中間部には、連通管4の他端を接続するための接続口9がT字状に設けられている。
【0030】
連通管4は、セル2と流路3とを接続するための部材であり、セル2と同様に例えばフッ素樹脂製である。連通管4の両端部には、それぞれジョイント部10および11が形成されている。ジョイント部10および11は、それぞれセル2の接続口6および流路3の接続口9に対して着脱可能な状態で気密に挿入されている。
【0031】
次に、上述の標準ガス調製装置1を用いて標準ガスを調製する方法について説明する。
【0032】
先ず、連通管4をセル2および流路3から取外し、セル2の空間5内に金属化合物12を入れる。そして、その金属化合物12の上方に、通気性を有するシリカウール13を配置する。次に、連通管4のジョイント部10および11をそれぞれセル2の接続口6および流路3の接続口9に気密に装着する。
【0033】
次に、流路3の流入口7側から流出口8側に向けて、セル2内に封入した金属化合物12に対して不活性な気体を流し始める。ここで用いる不活性な気体は、セル2内の金属化合物12に対して不活性なものとなるよう適宜選択する。
【0034】
セル2内の金属化合物12からは、それが昇華性を有するために、その蒸気が図に矢印で示すように発生し始める。この蒸気は、シリカウール13を通過して連通管4内を上昇し、流路3内に流入する。流路3内に流入した金属化合物12の蒸気は、流路3内を流れる不活性な気体と混ざり合い、流出口8から外部に流出する。これにより、不活性な気体中に金属化合物12の蒸気が含まれた、目的とする標準ガスが調製される。
【0035】
このような標準ガスの調製方法において、金属化合物12の蒸気が連通管4内に拡散する速度は、連通管4の長さに反比例し、内面積に比例することから、連通管4の長さおよび内面積を適当に調整することにより、標準ガスの濃度を所望の範囲に調整することができる。また、流路3内を流れる不活性な気体の流量を可変にしておけば、連通管4から流路3内に流れ込む蒸気との混合割合を調整することができるため、これにより標準ガスの濃度を調整することもできる。例えば、不活性な気体の流量を5〜5,000ml/分の範囲で調整できるようにすれば、標準ガスの濃度を約1,000倍の範囲で調整することが可能になる。
【0036】
このような手法により濃度を調整すれば、本発明の標準ガスは、1ppt〜10ppmの濃度範囲に容易に調整することができる。
【0037】
なお、上述の標準ガス調製装置1では、流路3に対して1つのセル2のみを連通管4を介して接続するように構成したが、本発明に係る標準ガス調製装置では、流路3に対して2つ以上のセル2を接続するように構成することもできる。この場合、2つ以上のセル2にそれぞれ異なる金属化合物を封入すれば、2種類以上の金属化合物の蒸気を含む標準ガスを調製することができる。
【0038】
また、上述の標準ガス調製装置1は、セル2を加熱するためのヒーターをさらに備えていてもよい。この場合、ヒーターによりセル2内の金属化合物12を加熱することができるので、金属化合物12として昇華圧が小さいもの、例えば、上述したように200℃以下の温度で10-4Pa以上の昇華圧を有する金属化合物を用いることができる。
【0039】
本発明の標準ガスは、クリーンルームなどの雰囲気中や高純度ガス中あるいは純水や有機溶媒中に含まれる金属を直接法により定量分析する際などに用いられる。具体的には、ICP/AES(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)やMIP/MS(マイクロ波誘導プラズマ質量分析法)により雰囲気中やガス中に含まれる金属を定量分析する際に用いられる。これらの分析方法は、いずれも高感度分析法であり、MIP/MSの場合は数pptレベル、ICP/AESの場合は数ppbレベルの分析が可能である。このため、これらの分析方法では、必要とされる標準ガスの濃度も数pptから数ppbであるが、本発明の標準ガスは、このような濃度範囲に設定可能なため、これらの分析方法用として用いた場合に特に有効である。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例1
予め清浄な窒素で置換した容積122mlのバイアル瓶3本を用意し、それぞれにクロムヘキサカルボニルを5mg、10mgおよび40mgずつ加えた。その後、各バイアル瓶をテフロンセプタムを用いて密栓し、20.0℃の恒温水槽に3時間放置した。
【0042】
次に、各バイアル瓶内の気体をガスタイトシリンジを用いて5mlずつ採取した。これを窒素ガス1,000mlを予め入れておいた3つのテドラーバッグのそれぞれに注入して十分に混合した。
【0043】
続いて、各テドラーバッグ内の気体全量をクロロホルム20mlを入れたシンター付きガラス吸収瓶に100ml/分の速度で吸引し、その後クロロホルムを用いて50mlに希釈した。このクロロホルム溶液を、ICP/AES(セイコー電子工業株式会社製のSPS1500VR型)に導入し、クロロホルム溶液中に含まれるクロムの濃度を測定した。そして、その結果に基づいて、下記の計算式を用いて各テドラーバッグ内のクロムヘキサカルボニルの濃度を求めた。
【0044】
【数1】
【0045】
次に、各バイアル瓶内に清浄な窒素を注入して大気圧と均圧化させ、これをさらに恒温水槽内に5時間放置した。そして、上述の操作と同様の操作を繰返し、同様に各テドラーバッグ内のクロムヘキサカルボニル濃度を求めた。
【0046】
同様に、恒温水槽内にはじめから24時間、10日、30日、90日および180日放置した場合についてもテドラーバッグ内のクロムヘキサカルボニル濃度を求めた。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の結果から、バイアル瓶内にクロムヘキサカルボニルが存在する限り、その量とは無関係に一定濃度の標準ガスが得られることが明らかになった。また、長時間放置しても、安定した標準ガスが得られることが判った。
【0049】
実施例2
図1に示した標準ガス調製装置を準備した。なお、連通管として、管の内面積:長さの比率が1:500のものを用いた。
【0050】
標準ガス調製装置のセルにクロムヘキサカルボニル100mgを入れ、装置を20.0℃の恒温水槽にセットした。そして、流路に100ml/分の速度で窒素ガスを流しながら放置した。
【0051】
窒素ガスを流し始めてから1時間、2時間、8時間、16時間、24時間、10日、30日、90日および180日後に、流路の流出口から流出するガス中に含まれるクロムヘキサカルボニルの濃度を電子捕獲検出器付きガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製:GC−14A)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表2から、標準ガス調製装置は、略一定濃度の標準ガスを長時間にわたって安定して供給できることが判った。
【0054】
また、標準ガス調製装置において窒素ガスの流速を100ml/分、200ml/分、300ml/分、500ml/分、750ml/分および1,000ml/分に設定した場合について、流路の流出口から流出するガスをMIP/MS(株式会社日立製作所製:P−6000型)に導入して質量数52(Cr)におけるカウント数を測定したところ、図2に示すような極めて良好な直線関係が得られた。
【0055】
実施例3
実施例2で用いたものと同様の標準ガス調製装置を用い、セルにモリブデンヘキサカルボニル100mgを入れて30.0℃の恒温水槽にセットした。その後、窒素ガスを100ml/分の流速で流して実施例2と同様の実験を行った。結果を表3に示す。表3から、この実施例の場合も極めて安定して標準ガスを供給することができることが判った。
【0056】
【表3】
【0057】
実施例4
実施例2で用いたものと同様の標準ガス調製装置を用い、セルにタングステンヘキサカルボニル100mgを入れて20.0℃の恒温水槽にセットした。その後、窒素ガスを100ml/分の流速で流して実施例2と同様の実験を行った。結果を表4に示す。表4から、この実施例の場合も極めて安定して標準ガスを供給することができることが判った。
【0058】
【表4】
【0059】
本発明に係る微量金属分析用標準ガスは、温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物の蒸気を1ppt〜10ppmの濃度範囲で含んでいるので、雰囲気中に含まれる金属化合物を直接法により分析するために利用することができる。
【0060】
また、本発明に係る標準ガスの調製装置は、昇華圧を有する金属化合物からの蒸気を連通管を介して流路に導き、そこで当該金属化合物に対して不活性な気体と混合しているので、一定濃度の標準ガスを安定的に調製することができる。
【0061】
さらに、本発明に係る標準ガスの調製方法は、昇華圧を有する金属化合物から発生する蒸気と、それに対して不活性な気体とを本発明に係る標準ガスの調製装置を用いて混合しているため、一定濃度の標準ガスを安定的に調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る標準ガス調製装置の一形態を示す縦断面図。
【図2】実施例2において、MIP/MSにより測定した質量数52(Cr)におけるカウント数と窒素ガス流量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 標準ガス調製装置
2 セル
3 流路
4 連通管
7 流入口
8 流出口
12 金属化合物
Claims (5)
- 温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物の蒸気と、
前記金属化合物に対して不活性な気体とを含み、
前記金属化合物の蒸気を1ppt〜10ppmの濃度範囲で含む、
微量金属分析用標準ガス。 - 前記金属化合物が、有機金属錯体、有機金属カルボニルおよび有機金属キレートからなる群から選ばれた少なくとも1つである、請求項1に記載の微量金属分析用標準ガス。
- 温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物を用いて微量金属を分析するために用いられる標準ガスを調製するための調製装置であって、
前記金属化合物を封入するためのセルと、
流入口と流出口とを有する、前記金属化合物に対して不活性な気体を流すための流路と、
前記セルと前記流路とを接続するための連通管とを備え、
前記連通管は、前記流入口と前記流出口との間において前記流路に接続している、
標準ガスの調製装置。 - 前記セルを加熱するための加熱装置をさらに備えた、請求項3に記載の標準ガスの調製装置。
- 微量金属を分析するために用いられる標準ガスを調製するための調製方法であって、
流路と連通管とを備えた請求項3または4に記載の標準ガスの調製装置を用いて、温度20℃以上で昇華圧を有する金属化合物から発生する蒸気を前記連通管を介して前記流路に導き、前記流路において前記蒸気と前記金属化合物に対して不活性な気体とを混合する工程を含む、
標準ガスの調製方法。
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