JP2016090464A - 酸素安定同位体濃度測定方法、及び酸素安定同位体濃度測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、特許文献1には、大気試料又は試料水から採取した溶存気体試料を、液体窒素を冷媒とした第1のトラップによりCO2、N2O及び水蒸気を吸着除去してO2ガス、N2ガス及びArガスのみからなる試料ガスを作製し、この試料ガスを、液体窒素を冷媒とした第2のトラップ中のモレキュラーシーブで捕集し、モレキュラーシーブを加熱して、捕集した試料ガスを流出すると共に、冷却されたモレキュラーシーブパックトカラムにキャリアガスと共に導入し、モレキュラーシーブパックトカラムの出口から流出されるArガスから時間的に分離して流出されるO2ガスを、液体窒素を冷媒とした第3のトラップ中のモレキュラーシーブで捕集することによりO2ガスを単離し、単離O2ガスの三種安定酸素同位体比を、質量分析装置により測定する大気中又は溶存気体中の三種安定酸素同位体比測定方法が開示されている。
また、特許文献1に開示された三種安定酸素同位体比測定方法では、3つのトラップ(具体的には、第1ないし第3のトラップ)を用いて、O2ガスを単離させ、質量分析装置を用いて、16O、17O、及び18Oの3種類の酸素安定同位体の各濃度を求めていた。そのため、試料を導入から酸素安定同位体の各濃度を算出するまでの時間が長くなってしまう(例えば、5時間程度)という問題があった。
また、試料に含まれる3種の酸素安定同位体と炭素部材を構成する炭素とを不完全燃焼させることで一酸化炭素としてC16O、C17O、及びC18Oを生成し、赤外分光法により、該一酸化炭素に含まれるC16Oの吸光度、C17Oの吸光度、及びC18Oの吸光度を同時に取得し、予め作製した第1ないし第3の検量線と、該一酸化炭素に含まれるC16Oの吸光度、C17Oの吸光度、及びC18Oの吸光度と、に基づいて、試料に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を求めることが可能となるため、試料を導入から3種の酸素安定同位体の各濃度を算出するまでの時間を短くすることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る酸素安定同位体濃度測定装置の概略構成を模式的に示す図である。図1では、説明の便宜上、本実施の形態に係る酸素安定同位体濃度測定装置10の構成要素のうち、反応炉15、炭素部材16、第1の加熱装置18、第2の加熱装置19、及び赤外分光装置27の筐体49を断面で図示する。
試料導入部11に導入される試料は、3種の酸素安定同位体である16O、17O、及び18Oを含んだ試料であり、例えば、液体試料である水やガス試料である酸素ガスを用いることができる。
試料導入部11に導入された試料は、キャリアガス供給源から供給されたキャリアガスとともに、反応炉15内に供給される。キャリアガスとしては、例えば、窒素、或いはアルゴンやヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
上記試料導入部11、試料導入ライン12、及びバルブ13は、試料導入系を構成している。本実施の形態では、赤外分光装置27を用いるため、質量分析装置(図示せず)を用いたときのように、気密性の高い試料導入系を有する必要がない。
このため、バルブ13として、高い気密性を有し、かつ高価なダイヤフラムバルブを用いる必要がなくなるので、安価なバルブ(例えば、ボールバルブ)を用いることができる。
反応炉15のガスが導出される導出口側は、ガス供給ライン21の一端と接続されている。反応炉15は、ガス供給ライン21を介して、赤外分光装置27のセル25と接続されている。
このため、反応炉15の材料は、上記加熱温度に耐え得るような材料を用いる必要がある。このような材料としては、例えば、融点が2072℃の酸化アルミニウム(アルミナ)、炭化ケイ素(融点が2730℃)、或いは窒化ケイ素(融点が1900℃)等を用いることができる。
C+H2O → CO+H2 ・・・(1)
C+O2/2→ CO ・・・(2)
該二酸化炭素は、下記(3)式、及び下記(4)式に示す化学反応により、生成される。
CO + 2H2O → CO2 +2H2 ・・・(3)
CO+O2/2 → CO2 ・・・(4)
これにより、試料に含まれる16O、17O、及び18O(酸素安定同位体)の濃度の検出精度を向上させることができる。
CO2+C → 2CO ・・・(5)
炭素部材16の材料としては、例えば、黒鉛、石炭、コークスのうち、少なくとも1種を用いることができる。このような材料を炭素部材16の材料とすることで、炭素部材16を一酸化炭素を生成する際に必要な炭素源として用いることができる。
これにより、酸素が不足した状態が形成され、試料に含まれる16O、17O、及び18Oと、炭素部材16を構成する炭素(C)と、の反応により、一酸化炭素が生成されやすくなる(言い換えれば、二酸化炭素が生成されにくくなる。)。
第1の加熱装置18としては、例えば、ヒーター(例えば、マントルヒーター)を用いることができる。
第1の領域15Aの温度が100℃よりも低いと、不完全燃焼状態における一酸化炭素の生成率が低下する恐れがあり、好ましくない。一方、第1の領域15Aの温度が1100℃よりも高いと、二酸化炭素が多量に生成する恐れがあり、好ましくない。
したがって、試料が水の場合、100℃以上1100℃以下の温度となるように、第1の領域15Aを加熱することで、第1の領域15A内において、酸素を不足させて、不完全燃焼状態にすることが可能となるので、一酸化炭素を効率良く生成できる。
第1の領域15Aの温度が200℃よりも低いと、不完全燃焼状態における一酸化炭素の生成率が低下する恐れがあり、好ましくない。一方、第1の領域15Aの温度が300℃よりも高いと、二酸化炭素が多量に生成する恐れがあり、好ましくない。
したがって、試料が酸素ガスの場合、200℃以上300℃以下の温度となるように、第1の領域15Aを加熱することで、第1の領域15A内において、酸素を不足させて、不完全燃焼状態にすることが可能となるので、一酸化炭素を効率良く生成できる。
この場合、反応炉15の導入口側から反応炉15の導出口側に向かう方向に対して、温度が高くなる温度勾配(温度差)を設けるとよい。
上記構成とすることで、二酸化炭素の生成率を低減することができる。
第2の加熱装置19は、反応炉15の第2の領域15Bにおいて、第1の領域15Aで生成された二酸化炭素を還元する還元反応が起こりやすい温度となるように、第2の領域15Bを加熱する。
第2の加熱装置19は、第1の加熱装置18が反応炉15(第1の領域15A)を加熱する温度よりも高い温度で、反応炉15(第2の領域15B)を加熱する。これにより、反応炉15には、反応炉15の導入口側から導出口側に向かう方向に対して温度が高くなる温度勾配(温度差)が形成される。
第2の領域15Bの温度が1100℃以下であると、還元反応における一酸化炭素の生成率が低下する恐れがあり、好ましくない。一方、第2の領域15Bの温度が1500℃よりも高いと、二酸化炭素が分解する恐れがあり、好ましくない。
これにより、赤外分光装置27の検出部52が検出するC16Oの吸光度、C17Oの吸光度、及びC18Oの吸光度の検出感度が向上するため、後述する第1ないし第3の検量線L1〜L3、及び検出部52が検出するC16Oの吸光度、C17Oの吸光度、及びC18Oの吸光度と、に基づいて、水に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を高精度に求めることができる。
第2の領域15Bの温度が300℃以下であると、還元反応における一酸化炭素の生成率が低下する恐れがあり、好ましくない。一方、第2の領域15Bの温度が1200℃よりも高いと、二酸化炭素が分解する恐れがあり、好ましくない。
これにより、赤外分光装置27の検出部52が検出するC16Oの吸光度、C17Oの吸光度、及びC18Oの吸光度の検出感度が向上するため、後述する第1ないし第3の検量線、及び検出部52が検出するC16Oの吸光度、C17Oの吸光度、及びC18Oの吸光度と、に基づいて、酸素ガスに含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を高精度に求めることができる。
この場合、反応炉15の導入口側から反応炉15の導出口側に向かう方向に対して、第2の領域15Bの温度が高くなるように、第2の領域15Bを加熱するとよい。このような構成とすることで、一酸化炭素の生成率を高めることができる。
また、2つの反応炉を直列に接続し、1つ目の反応炉の外周面を覆うように第1の加熱装置18を配置し、1つ目の反応炉の後段に配置された2つ目の反応炉の外周面を覆うように第2の加熱装置19を配置させてもよい。
バルブ23は、ガス供給ライン21に設けられている。バルブ23が開かれると、セル25内に一酸化炭素を含むガスが供給され、バルブ23が閉じられると、セル25内への一酸化炭素を含むガスの供給が停止される。
セル本体45の容量は、例えば、1〜10Lの範囲内で設定することができる。
一酸化炭素の赤外吸収波長が2100〜2200cm−1程度であることを考慮すると、窓部46,47の材料としては、例えば、KBr、LiF、NaCl、KCl、ZeS等を用いることができる。
赤外線照射部51は、筐体49内に収容されており、赤外線を照射する部分が窓部46と対向するように配置されている。赤外線照射部51は、窓部46を介して、セル45内に位置する一酸化炭素に赤外線(入射光)を照射する。
検出部52は、C16O、C17O、及びC18Oの各吸光度を検出することができる。検出部52は、吸光度に関するデータを検出した際、該データをデータ処理装置53に送信する。
MCT検出器の測定波長域は、600〜11700cm−1である。また、TGS検出器の測定波長域は、350〜12500cm−1である。
記憶部(図示せず)には、予め取得した16Oの濃度とC16Oの吸光度との関係を示す第1の検量線に関するデータと、17Oの濃度とC17Oの吸光度との関係を示す第2の検量線に関するデータと、18Oの濃度とC18Oの吸光度との関係を示す第3の検量線に関するデータと、第1ないし第3の検量線、及び測定により得られる試料に含まれるC16O、C17O、及びC18Oの各吸光度に基づいて、試料に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を算出するためのプログラムと、が格納されている。
演算部(図示せず)は、記憶部に格納された上記プログラムを用いて、試料中に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を算出する。
バルブ32は、セル本体45の近傍に位置する排気ライン31に設けられている。バルブ32は、赤外分光装置27が一酸化炭素の吸光度を測定する際には閉じられ、セル本体45内のガスを排気する際には開かれる。
圧力計39は、ガスが供給されたセル本体45内の圧力を測定する。圧力計39としては、例えば、ブルドン管式圧力計やダイアフラム式圧力計等を用いることができる。
始めに、第1及び第2の加熱装置18,19により、反応炉15全体を加熱(加熱温度は、例えば、200〜1200℃)し、バルブ32を開いた状態でポンプ34を用いて、酸素安定同位体濃度測定装置10の系内を0.1MPa以下の真空状態とする。
これにより、反応炉15内に存在する水分や二酸化炭素を排出させる(以下、この工程を「前処理工程」という。)。上記前処理工程は、例えば、1時間程度行うとよい。
上記検量線作製工程は、16Oの濃度、17Oの濃度、及び18Oの濃度が未知な水(試料)を測定する前に行う。
始めに、上述した温度範囲内の温度となるように、第1及び第2の加熱装置18,19を用いて、反応炉15を加熱した状態を維持した上で、試料導入部11に、16Oの濃度、17Oの濃度、及び18Oの濃度が既知のサンプルを導入し、キャリアガスとともに、反応炉15内に供給する。
第2の領域15Bを通過した一酸化炭素を含むガスは、バルブ23及びガス供給ライン21を介して、セル本体45内に供給される。
なお、C16O、C17O、及びC18O)、赤外吸収波長が約30cm−1異なるため、吸光度を同時に検出することができる。
なお、第1ないし第3の検量線L1〜L3の作製方法については、後述する実施例1において詳述する。
Gaussian03は、分子軌道計算プログラムであり、入力した分子構造を計算により最適化し、熱力学的に安定した状態の分子伸縮振動を予想し、赤外吸収波長を簡易に計算することができる。
また、炭素の同位体として、12Cと13Cが自然界に存在しているが、12Cの天然存在比が約99%に対し、13Cの天然存在比は約1%と微量である。さらに、13Cで構成された一酸化炭素ガスは、12Cで構成された一酸化炭素ガスと異なるところに赤外吸収波長があるため、吸収度の測定に影響はない。
表2に示す赤外吸収波長は、HPCシステムズ株式会社製のGaussian03(method: B3LYP、Basisset: ccpvdz)にて計算した値である。
これにより、サンプルに含まれていた16O、17O、及び18Oの影響を低減することが可能となるので、測定により得られる水(試料)に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度の精度を向上させることができる。
始めに、第1の加熱装置18により、第1の領域15Aの温度が100以上1100℃以下の所定の温度となるように加熱するとともに、第2の加熱装置19により、第2の領域15Bの温度が1100℃よりも高く、かつ1500℃以下の所定の温度となるように加熱する。
また、キャリアガスとして高純度ヘリウムガス(純度が99.99%以上)を用いる場合、キャリアガスの流量は、例えば、1L/minとすることができる。
このような還元工程を行うことで、ガス中に含まれる一酸化炭素の割合を高めることが可能となるので、検出部52が検出する一酸化炭素の吸光度の精度(信頼性)を向上させることができる。
第2の領域15Bを通過した一酸化炭素を含むガスは、バルブ23及びガス供給ライン21を介して、セル本体45内に供給される。
具体的には、検出したC16Oの吸光度と交差する位置の検量線L1の直下に位置する16Oの濃度の値が、水(試料)に含まれていた16Oの濃度となる。水(試料)の17Oの濃度を求める場合には、第2の検量線L2を用いる。また、水(試料)の18Oの濃度を求める場合には、第3の検量線L3を用いる。
これにより、サンプル導入時と試料導入時とにおいて、生成される一酸化炭素ガスと二酸化炭素ガスとの比率が一定となるため、第1ないし第3の検量線L1〜L3を用いて、水(試料)に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を求めることができる。
具体的には、同一の試料を測定する場合、試料を導入から酸素安定同位体の各濃度を算出するまでの時間を、特許文献1に開示された分析装置を用いた場合の時間の1/3程度にすることができる。
<酸素安定同位体濃度測定装置の構成>
実施例1では、図1に示す酸素安定同位体濃度測定装置10を用いて、水(試料)に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度(未知の濃度)を求めた。
実施例1では、反応炉15として、内径50mm、長さ1000mmの酸化アルミニウム製の筒状の反応炉を用いた。反応炉15の内容量は、18Lとした。
炭素部材16としては、高さ5mm、直径5mmの円柱形状の高純度黒鉛製ペレット(純度が99.9%以上)を用いた。これを反応炉15内に充填させた。
始めに、18Oの濃度が98atom%の水と、17Oの濃度が20atom%の水と、18Oの濃度が98atom%の水と、16O、17O、及び18Oの濃度が天然存在比とされた精製水と、該精製水と18Oの濃度が98atom%の水とを半分ずつ混ぜた水と、該精製水と17Oの濃度が20atom%の水とを半分ずつ混ぜることで生成された17Oの濃度が10atom%の水と、の6種類のサンプルを準備した。
なお、上記6種類のサンプルに含まれる16O、17O、及び18Oの濃度は、アネルバ株式会社製の質量分析計であるAGS7000を用いて測定した。
なお、16Oの天然存在比が99.754atom%、17Oの天然存在比が0.037atom%、18Oの天然存在比が0.209atom%である。
次いで、反応炉15の第1の領域15Aを1000℃、第2の領域15Bを1200℃に加熱した状態で、マイクロシリンジ(図示せず)を用いて、1種の上記サンプルを導入し、純度が99.99%以上の高純度ヘリウムガス(キャリアガス)とともに、該サンプルを反応炉15内に供給した。
このとき、サンプルの導入量は、1mLとした。また、高純度ヘリウムガスの流量は、1L/minとした。
このような処理を、上記6種類のサンプルについて、それぞれ行い、各サンプルに含まれるC16O、C17O、及びC18Oの各吸光度を測定した。
図2に示す点P1、及び図4に示す点P9は、18Oの濃度が98atom%の水を測定したときの結果に基づく点である。図2に示す点P2、及び図4に示す点P8は、精製水と18Oの濃度が98atom%の水とを半分ずつ混ぜた水を測定したときの結果に基づく点である。図2に示す点P3、図3に示す点P4、及び図4に示す点P7は、精製水を測定したときの結果に基づく点である。
図3に示す点P5は、17Oの濃度が10atom%の水を測定したときの結果に基づく点である。図3に示す点P6は、17Oの濃度が20atom%の水を測定したときの結果に基づく点である。図2〜図4を参照するに、第1ないし第3の検量線L1〜L3は、直線性を有することが判った。
次いで、第1ないし第3の検量線L1〜L3を作製した際に使用した酸素安定同位体濃度測定装置10と同じ装置を用いて、上記サンプルを用いた際のC16O、C17O、及びC18Oの各吸光度の測定と同様な手法により、水(試料)を用いて、C16O、C17O、及びC18Oの各吸光度を測定した。
このとき、700〜4000cm−1の範囲の赤外吸収波長で、C16O、C17O、及びC18Oの各吸光度を測定したこと以外は、上記サンプルのときと同様な条件を用いた。
実施例2では、図1に示す検出部52として、日本分光株式会社製のTSG検出器搭載の赤外分光計FTIR6200型(型番)を用いたこと以外は、実施例1と同様な試験を行った。
その結果、水(試料)に含まれていた16Oの濃度が76.1%、17Oの濃度が0.5%、18Oの濃度が23.4%であり、実施例1の測定結果、及びAGS7000を用いたときの測定結果との差がほとんどないことが確認できた。
実施例3では、16O、17O、及び18Oの各濃度が既知の酸素ガス(サンプル)として、16O濃度が74.3%、17O濃度が0.7%、18O濃度が25%の酸素ガス(大陽日酸株式会社製)を用いて、実施例1と同様な手法により、第1ないし第3の検量線(図示せず)を作製した。
次いで、実施例3では、試料導入部11に、ガスタイトシリンジを用いて、試料として10mLの酸素ガス(16O、17O、及び18Oの各濃度が未知の酸素ガス)を導入し、第1の領域15Aを250℃に加熱し、第2の領域15Bを1100℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様な試験を行った。
その結果、酸素ガス(試料)に含まれていた16Oの濃度が74.5%、17Oの濃度が0.8%、18Oの濃度が24.7%であり、第1ないし第3の検量線に基づいて、酸素ガスに含まれる未知の16O、17O、及び18Oの各濃度を測定できることが確認できた。
比較例1では、第1の領域15Aを90℃に加熱し、第2の領域15Bを1550℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様な試験を行った。その結果、水(試料)に含まれていた16Oの濃度が61.0%、17Oの濃度が0.6%、18Oの濃度が18.5%であり、実施例1のように、精度良い濃度を得ることができなかった。
比較例2では、第1の領域15Aを150℃に加熱し、第2の領域15Bを1300℃に加熱したこと以外は、実施例3と同様な試験を行った。その結果、酸素ガスに含まれていた16Oの濃度が52.2%、17Oの濃度が0.6%、18Oの濃度が17.0%であり、実施例3のように、精度良い濃度を得ることができなかった。
Claims (8)
- 試料中に含まれる3種の酸素安定同位体である16O、17O、及び18Oの各濃度を測定する酸素安定同位体濃度測定方法であって、
16Oの濃度、17Oの濃度、及び18Oの濃度が既知のサンプルを用いて、赤外分光法により、C16Oの吸光度、C17Oの吸光度、及びC18Oの吸光度を取得し、16Oの濃度とC16Oの吸光度との関係を示す第1の検量線と、17Oの濃度とC17Oの吸光度との関係を示す第2の検量線と、及び18Oの濃度とC18Oの吸光度との関係を示す第3の検量線を作製する検量線作製工程と、
内部に炭素部材が充填され、かつ加熱されることで、不完全燃焼状態とされた反応炉内に前記試料を導入させ、前記試料に含まれる前記3種の酸素安定同位体と前記炭素部材を構成する炭素とを反応させることで、一酸化炭素であるC16O、C17O、及びC18Oを生成する不完全燃焼工程と、
前記反応炉から導出された前記一酸化炭素を含むガスをセル内に導入し、赤外分光法により、前記一酸化炭素であるC16O、C17O、及びC18Oの各吸光度を同時に取得する吸光度取得工程と、
前記第1ないし第3の検量線と、前記吸光度取得工程で取得した前記C16Oの吸光度、前記C17Oの吸光度、及び前記C18Oの吸光度と、に基づいて、前記試料に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を求める工程と、
を有することを特徴とする酸素安定同位体濃度測定方法。 - 前記不完全燃焼工程では、前記一酸化炭素の他に二酸化炭素も生成され、
前記不完全燃焼工程と前記吸光度取得工程との間に、前記不完全燃焼工程よりも高い温度で前記反応炉を加熱し、前記反応炉内に存在する前記二酸化炭素を、前記炭素部材を構成する炭素で還元させて、一酸化炭素としてC16O、C17O、及びC18Oを生成する還元工程を有することを特徴とする請求項1記載の酸素安定同位体濃度測定方法。 - 前記試料は、水であり、
前記不完全燃焼工程では、100℃以上1100℃以下の温度で前記反応炉を加熱することを特徴とする請求項1または2記載の酸素安定同位体濃度測定方法。 - 前記試料は、水であり、
前記還元工程では、1100℃よりも高く、かつ1500℃以下の温度で前記反応炉を加熱することを特徴とする請求項2または3記載の酸素安定同位体濃度測定方法。 - 前記試料は、酸素ガスであり、
前記不完全燃焼工程では、200℃以上300℃以下の温度で前記反応炉を加熱することを特徴とする請求項1または2記載の酸素安定同位体濃度測定方法。 - 前記試料は、酸素ガスであり、
前記還元工程では、300℃よりも高く、かつ1200℃以下の温度で前記反応炉を加熱することを特徴とする請求項2または5記載の酸素安定同位体濃度測定方法。 - 試料中に含まれる3種の酸素安定同位体である16O、17O、及び18Oの各濃度を測定する酸素安定同位体濃度測定装置であって、
一端が試料導入ラインと接続され、他端が赤外分光装置のセルと接続された筒状の反応炉と、
前記反応炉内に充填され、炭素を含む炭素部材と、
前記試料が前記反応炉内に導入された際、前記反応炉内が不完全燃焼状態となるように、該反応炉を加熱することで、前記試料中に含まれる16O、17O、及び18Oと前記炭素部材を構成する炭素とを反応させることで、一酸化炭素としてC16O、C17O、及びC18Oを生成する第1の加熱装置と、
予め取得した16Oの濃度とC16Oの吸光度との関係を示す第1の検量線、17Oの濃度とC17Oの吸光度との関係を示す第2の検量線、及び18Oの濃度とC18Oの吸光度との関係を示す第3の検量線と、前記反応炉内で生成されたC16O、C17O、及びC18Oの各吸光度と、に基づいて、前記試料中に含まれる16O、17O、及び18Oの各濃度を算出する前記赤外分光装置と、
を有することを特徴とする酸素安定同位体濃度測定装置。 - 前記反応炉は、前記試料が導入される前記反応炉の導入口側に配置され、前記第1の加熱部により加熱される第1の領域、及び前記一酸化炭素を含むガスが導出される前記反応炉の導出口側に配置された第2の領域を有し、
前記第1の領域を通過した前記一酸化炭素を含むガスに含まれる二酸化炭素が前記炭素部材に含まれる炭素で還元される温度で、前記第2の領域を加熱する第2の加熱装置を有することを特徴とする請求項7記載の酸素安定同位体濃度測定装置。
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