JP3671685B2 - 燃料量検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−5140には燃料タンク内で発生する蒸発燃料の量を低減するために燃料タンク内の燃料液面の変位と共に燃料液面に密着しつつ変位可能な膜により燃料室を形成している。この燃料タンクでは上記膜の一部分の変位に基づいて燃料室内の燃料量を検出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記膜には燃料タンク内の燃料液面の変位に応じて変位の仕方が異なる部位が存在する。このため燃料室内の燃料量を検出するための上記膜の一部分が変位せず、膜の他の部分が変形することがある。この場合、燃料室内の燃料量を正確に検出することはできない。特に上記燃料タンクを車両等の移動体に搭載した場合、移動体の傾きや加減速により膜が通常とは異なる形態で変形する場合があり、この場合にも燃料室内の燃料量を正確に検出することはできない。したがって本発明の目的は燃料室内の燃料量に応じて異なる形態で変位可能な複数の部位を有する燃料貯留装置において燃料室内の燃料量を正確に検出する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、1番目の発明では、鉛直方向上側の略平坦な上壁と、鉛直方向下側の略平坦な下壁と、これら上壁と下壁とをこれらの周囲縁部のところで互いに接続する側壁とを有し、これら上壁と下壁と側壁とによって燃料を貯留するための内部空間が画成されている主燃料タンクと、鉛直方向上側の上壁と、鉛直方向下側の下壁と、これら上壁と下壁とをこれらの周囲縁部のところで互いに接続する側壁とを有し、これら上壁と下壁と側壁とによって燃料を貯留するための内部空間が画成されている補助燃料タンクとを具備し、上記主燃料タンクの内部空間は該主燃料タンクの内部空間内の燃料量が所定量よりも多くなると該燃料量の増大に追従して該主燃料タンクの上壁と下壁とが互いに遠ざかって主燃料タンク外方へと膨らむように撓むことによって大きくなる空間であり、一方、上記補助燃料タンクの内部空間は該補助燃料タンクの内部空間内の燃料量に係わらず一定の大きさの空間であり、上記主燃料タンクの内部空間と上記補助燃料タンクの内部空間との間で燃料が流通可能なように上記主燃料タンクが補助燃料タンクに連結されており、該補助燃料タンクの内部空間内の燃料液面の位置または該位置の変化に伴って変化するパラメータに基づいて上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が検出される燃料貯留装置において、上記パラメータが上記補助燃料タンクの内部空間内の燃料液面の位置の変化に伴って変化する該補助燃料タンクの内部空間内の圧力であり、上記補助燃料タンクの内部空間内の燃料量が該補助燃料タンクの内部空間内に収容可能な最大燃料量よりも少ないときには該補助燃料タンク内の燃料液面の位置に基づいて上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が検出され、上記補助燃料タンクの内部空間内の燃料量が上記最大燃料量を超えた後は該補助燃料タンクの内部空間内の圧力に基づいて上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が検出される。
【0005】
2番目の発明では、1番目の発明において、上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が最も多くなったときに上記補助燃料タンクの上壁が該主燃料タンクの上壁の鉛直方向において最も高い位置にある部分よりも鉛直方向において高い位置にある。
【0006】
3番目の発明では、1または2番目の発明において、上記主燃料タンクの内部空間と上記補助燃料タンクの内部空間との間で燃料が流通可能なように上記主燃料タンクが該主燃料タンクの下壁のところで補助燃料タンクにパイプを介して連結されており、上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が最も少なくなったときに上記補助燃料タンクの下壁が上記パイプが接続されている上記主燃料タンクの下壁の部分よりも鉛直方向において低い位置にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の第一実施形態の燃料計を備えた燃料貯留装置を説明する。燃料貯留装置1は例えば内燃機関に供給すべき燃料を貯留するためのタンクとして用いられる。もちろん単に燃料を貯留するためのタンクとして用いることもできる。図1を参照すると燃料貯留装置1は略椀状の上側部分2と下側部分3とからなるハウジング4を具備する。上側部分2と下側部分3とはこれらの周縁に形成された第一フランジ2a、3aにおいて互いに連結される。ハウジング4内には燃料を貯留するための燃料室5を画成する燃料容器または燃料タンク6が配置される。上側部分2の内壁面から内方へ第二フランジ23aが突出する。また下側部分3の内壁面から内方へ第二フランジ23bが突出する。燃料タンク6の側壁9a〜9dと上壁7および下壁8との連結部がこれら第二フランジ23a、23bの間に挟まれる。これにより燃料タンク6はその上壁7および下壁8が上下に変位可能にハウジング4内に保持される。
【0011】
図2および図3を参照すると第一実施形態の燃料タンク6は互いに上下方向に配置された略長方形の一対の上壁7と下壁8と、これら上壁7と下壁8との対応する辺を互いに連結する略長方形の四つの側壁9a〜9dとを具備する。これら側壁9a〜9dはその両端縁部において隣接する側壁の端縁部に連結される。燃料タンク6は略直方体形状であり、その内部に燃料室5が形成される。したがって燃料タンク6の各壁7、8、9a〜9dは燃料貯留装置1の内部を燃料室5と空気室10とに分離する分離壁に相当する。これら上壁7、下壁8および側壁9a〜9dはエチレンとビニルとの共重合樹脂またはナイロンで作製された平坦なコア部分の両面を高密度ポリエチレンで作製された表皮部分で覆った多層構造で形成され、実質的に剛性を有する。なお燃料タンク6の上壁7または下壁8の面積は側壁9a〜9d一つの面積より大きく、上壁7および下壁8の剛性は側壁9a〜9dの剛性より小さい。また上壁7および下壁8の形状は長方形に限定されず、対の多角形であればよい。したがって上壁7、下壁8および側壁9a〜9dの形状は燃料タンク6を配置すべき空間の形状に応じて適宜選択すればよい。
【0012】
図4に示したように、燃料タンク6内に燃料が供給され、燃料タンク6が直方体形状であるときに貯留可能な燃料量(以下、所定量)を燃料タンク6内の燃料量が越えると、上壁7と下壁8とが互いに離れて外方へ膨らむように湾曲変形すると共に側壁9a〜9dが互いに近づいて内方へ凹むように湾曲変形する。すなわち第一実施形態では燃料タンク6内の燃料量が所定量を越えると上壁7が上方へ変位し、下壁8が下方へ変位し、側壁9a〜9dが横方向かつ内方へ変位する。こうして各壁がそれぞれ異なる方向へ変位し、徐々に燃料タンク6内に貯留可能な燃料量が増大する。なお上壁7および下壁8の変形量は側壁9a〜9dの変形量より大きい。
【0013】
一方、図5に示したように、燃料が燃料タンク6から流出し、燃料タンク6内の燃料量が所定量より少なくなると上壁7と下壁8とが互いに近づいて内方へ凹むように湾曲変形すると共に側壁9a〜9dが互いに近づいて内方へ凹むように湾曲変形する。すなわち第一実施形態では燃料タンク6内の燃料量が所定量より少なくなると上壁7が下方へ変位し、下壁8が上方へ変位し、側壁9a〜9dが横方向かつ内方へ変位する。こうして各壁が異なる方向へ変位し、徐々に燃料タンク6内に貯留可能な燃料量が減少する。
【0014】
再び図1を参照すると上側部分2には開口26が形成されている。この開口26にはフィルタ27が挿入される。したがって空気室10はフィルタ27を介して外気と連通する。このため燃料タンク6の上壁7および下壁8が外方へ変位するとき空気室10内の空気がフィルタ27を介して外気に流出する。また燃料タンク6の上壁7および下壁8が内方へ変位するとき空気がフィルタ27を介して空気室10内に流入する。このように開口26により燃料タンク6の上壁7および下壁8がハウジング4内で変位し易くなる。
【0015】
また燃料を燃料タンク6内に供給するための給油管11の下方端40が伸縮管41を介して燃料タンク6の下壁8の略中央部に接続される。伸縮管41は蛇腹状の管壁を有し、その断面は波形状である。このため燃料タンク6内の燃料が増え、下壁8が下方に変位するときには伸縮管41は縮む。一方、燃料タンク6内の燃料減り、下壁8が上方に変位するときには伸縮管41は伸びる。給油管11の上方端42には給油管11を閉鎖するための蓋12が取外し可能に取り付けられる。燃料タンク6内に燃料を供給する際には蓋12が取り外され、燃料が給油管11の上流端42の開口から供給される。
【0016】
給油管11の中間位置には燃料タンク6内の燃料を燃料ポンプ装置13に導入するための燃料導入管14の一端が接続される。燃料導入管14の他端は燃料ポンプ装置13に接続される。燃料ポンプ装置13内には燃料ポンプ(図示せず)が配置される。燃料ポンプ装置13内の燃料は燃料ポンプにより燃料供給管15を介して機関本体(図示せず)に供給される。また燃料ポンプ装置13には該燃料ポンプ装置13内の気体を給油管11に排出するための気体排出管17の一端が接続される。気体排出管17の他端は給油管11の上方端42に接続される。燃料タンク6内に燃料が燃料ポンプ装置13に導入されるとき、燃料ポンプ装置13内の気体が気体排出管17を介して給油管11に排出されるため、燃料ポンプ装置13内に燃料が導入され易くなる。
【0017】
燃料タンク6の上壁7の略中央部には燃料タンク6内の気体、特に蒸発燃料を燃料タンク6外に排出するためのタンク内蒸発燃料排出管18の一端が遮断弁19を介して接続される。一方、蒸発燃料排出管18の他端は給油管11に接続される。なお蒸発燃料排出管18は燃料タンク6の上壁7の変位に追従できるように可撓性を有する。また給油管11の上方部分はキャニスタ管57を介してチャコールキャニスタ56に接続される。チャコールキャニスタ56内には蒸発燃料を一時的に吸着して保持する活性炭58が挿入されている。またチャコールキャニスタ56はパージ管59を介して吸気管60に接続される。吸気管60は機関本体61に接続される。また吸気管60には機関本体61へ導入する空気の量を調整するためのスロットル弁62が配置される。パージ管59はスロットル弁62の下流側の吸気管60に接続される。パージ管59にはパージ管59を遮断するためのパージ制御弁66が取り付けられる。またチャコールキャニスタ56はパージ管59の反対側においてスロットル弁62の上流側の吸気管60に空気通路63を介して接続される。空気通路63には空気通路63を遮断するための第二遮断弁64が取り付けられる。なお機関本体61には排気通路65が接続される。したがって給油管11内で発生した蒸発燃料はチャコールキャニスタ56に一時的に保持される。パージ制御弁66および第二遮断弁64が開弁されると機関運転中に吸気管60内に発生する負圧がパージ管59を介してチャコールキャニスタ56内に導入される。こうしてチャコールキャニスタ56内の蒸発燃料が吸気管60へパージされ、処理される。
【0018】
遮断弁19は燃料液面に浮かぶことが可能なフロート20を具備する。したがって燃料タンク6内の燃料液面が遮断弁19に達するとフロート20が上昇して蒸発燃料排出管18の開口を閉鎖し、蒸発燃料排出管18を遮断する。このため燃料が燃料タンク6外に漏れることはない。蒸発燃料排出管18には逆止弁21が取り付けられる。逆止弁21は逆止弁21と遮断弁19との間の蒸発燃料排出管18内の圧力と、逆止弁21と給油管11の上方端42との間の蒸発燃料排出管18内の圧力との差圧が予め定められた正圧を越えたときに開弁し、予め定められた正圧より低くなったときに閉弁する。このため遮断弁19がいったん遮断せしめられた後に空気や蒸発燃料などの気体が燃料タンク6内に入り込むことはない。
【0019】
次に第一実施形態の燃料計を説明する。第一実施形態の燃料計はハウジング4の上側部分2の内壁面に取り付けられた第一燃料ゲージ24aと下側部分3の内壁面に取り付けられた第二燃料ゲージ24bとを具備する。第一燃料ゲージ24aは燃料タンク6の上壁7の概ね中央の外壁面に当接する第一計測アーム25aを有する。したがって上壁7に当接した第一計測アーム25aの端部は上壁7の変位に追従して変位する。第一燃料ゲージ24aはこの第一計測アーム25aの端部の変位に基づいてハウジング4内における上壁7の位置を検出する。一方、第二燃料ゲージ24bは燃料タンク6の下壁8の概ね中央の外壁面に当接する第二計測アーム25bを有する。したがって下壁8に当接した第二計測アーム25bの端部の変位に基づいてハウジング4内における下壁8の位置を検出する。第一実施形態の燃料計はこれら検出された上壁7の位置と下壁8の位置との差に基づいて燃料タンク6内の燃料の量を算出する。
【0020】
ところで例えば燃料量に応じて変位する燃料タンクの一つの部位(以下、検出部位)の変位に基づいて燃料タンク内の燃料量を算出する燃料計では、燃料タンクの他の部位が大きく変位して上記検出部位の変位が小さいときには正確に燃料タンク内の燃料量を算出することができない。特に本実施形態の燃料タンクのように上壁7および下壁8が変位する構成では下壁8が燃料の自重の影響を受けるため上壁7に比べてその変位量が大きく、従来のように上壁7の変位のみでは燃料量を誤検出する場合がある。しかしながら第一実施形態の燃料計では燃料量に応じて変位する燃料タンク6の二つの部位、すなわち上壁7の中央部および下壁8の中央部の位置に基づいて燃料タンク6内の燃料量が算出される。したがって上壁7および下壁8のいずれか一方が他方に比べて大きく変位しても両壁の変位に基づいて燃料タンク6内の燃料量を正確に算出することができる。
【0021】
また第一実施形態の燃料タンク6は前述したように直方体形状であり、常に概ね一定の方向に変位する。すなわち燃料タンク6内の燃料が燃料タンク6の振動により流動したときでも上記一定の方向に変位する。このため第一実施形態によれば燃料タンクが振動しても正確に燃料タンク内の燃料量を算出することができる。
【0022】
なお第一実施形態では上壁の中央部の位置と下壁の中央部の位置とに基づいて燃料量を算出しているが、上壁の周縁部の位置と下壁の周縁部の位置とに基づいて燃料量を算出してもよい。また計測アームの代わりに光学的に上壁および下壁の位置を検出する光学センサ、磁気的に上壁および下壁の位置を検出する磁気センサ、音波的に上壁および下壁の位置を検出する音波センサ等を用いることもできる。さらに基本的には燃料タンクの壁において変位を検出する位置は変位方向および変位量が互いに異なる燃料タンクの壁の部分とすればよい。
【0023】
次に本発明の第二実施形態の燃料計を説明する。第一実施形態では第一計測アームにより検出された上壁の位置と第二計測アームにより検出された下壁の位置とに基づいて燃料タンク内の燃料量を算出している。しかしながらこの場合、上壁および下壁の位置から燃料量を算出する処理を実行する必要がある。そこで第二実施形態では燃料計が検出した値から燃料量を算出する処理を必要とすることなく燃料タンク内の燃料量を検出する。
【0024】
図6に示したように第二実施形態の燃料計28は基準アーム28aと検出アーム28bとを有する。基準アーム28aと検出アーム28bとは共通の取付け部材29に取り付けられる。基準アーム28aの端部は燃料タンク6の下壁8の概ね中央の外壁面に当接する。一方、検出アーム28bの端部は燃料タンク6の上壁7の概ね中央の外壁面に当接する。取付け部材29では基準アーム28aを基準とした検出アーム28bの位置により燃料タンク6内の燃料量を検出する。したがって第二実施形態では燃料計が検出した値から燃料量を算出する処理を必要とすることなく燃料タンク内の燃料量を検出することができる。なお上記以外の燃料貯留装置の構成は第一実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0025】
次に本発明の第三実施形態の燃料計を説明する。第一実施形態では第一燃料ゲージおよび第二燃料ゲージをハウジング内に取り付ける。このためハウジングの内部容積を大きくとる必要があり、燃料貯留装置が大型化する。そこで第三実施形態では燃料計を配置するための空間を最小限に抑制する。
【0026】
図7に示したように第三実施形態の燃料計30は燃料タンク6内に配置される。図8に詳細に示したように燃料計30はリンク機構31を具備する。リンク機構31は上方関節点32において互いに回動可能に連結された二つの上方アーム33と、下方関節点34において互いに回動可能に連結された二つの下方アーム35とを具備する。これら上方アーム33と下方アーム35とは中間関節点36において互いに回動可能に連結される。リンク機構31は下方関節点35において取付け部材37に取り付けられる。取付け部材37は燃料タンク6の下壁8が上下動するときに伸縮管41の伸縮および下壁8の上下動を妨げないように伸縮管41に取り付けられる。リンク機構31は上方関節点32において燃料タンク6の上壁7の内壁面に当接する。またリンク機構31の上方関節点32は上壁7が上方へ変位したときに上方関節点32が上壁7の変位に追従するように上方へと付勢される。なお取付け部材37はリンク機構31を燃料タンク6に取り付ける機能を有する他に下方アーム35間の角度を検出し、この検出した角度に対応した電圧を出力する機能をも有する。また上記以外の燃料貯留装置の構成は第一実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0027】
第三実施形態では燃料タンク6内の燃料が増え、下壁8が外方へ変位したとき、取付け部材37は下壁8の変位に追従した伸縮管41の変位に追従して下方へと変位する。また燃料タンク6内の燃料が増え、上壁8が外方へ変位したとき、上方関節点32は上壁8の変位に追従して上方へと変位する。すなわち燃料タンク6内の燃料が増え、上壁7および下壁8が外方へ変位したとき、上方関節点32と下方関節点34とは互いに離れるように変位する。これと同時に中間関節点36が互いに近づくように横方向に変位する。一方、燃料タンク6内の燃料が減り、下壁8が内方へ変位したとき、取付け部材37は下壁8の変位に追従した伸縮管41の変位に追従して上方へと変位する。また燃料タンク6内の燃料が減り、上壁8が内方へ変位したとき、上方関節点32は上壁8の変位に追従して下方へと変位する。すなわち燃料タンク6内の燃料が減り、上壁7および下壁8が内方へ変位したとき、上方関節点32と下方関節点34とは互いに近づくように変位する。これと同時に中間関節点36が互いに離れるように横方向に変位する。なおリンク機構31は上方関節点34が常に燃料タンク6の上壁7に当接するように上方へと付勢されている。
【0028】
したがって第三実施形態の燃料計では上方関節点32と下方関節点34との相対位置関係に基づいて燃料タンク6内の燃料量が算出される。第三実施形態では燃料計が燃料タンクの壁の変位を妨げることがないように燃料タンク内に配置されている。このため燃料貯留装置において燃料計を配置するための空間は小さい。
【0029】
次に本発明の第四実施形態の燃料計を説明する。第三実施形態において燃料タンク内に蒸発燃料が発生しているときには上壁の内壁面の位置と燃料タンク内の燃料液面の位置とは一致しない。このため燃料タンク内に蒸発燃料が存在すると燃料タンク内の燃料量を正確に検出することができない。そこで第四実施形態では燃料タンク内に蒸発燃料を含む気体が存在するときでも燃料タンク内の燃料量を正確に検出する。
【0030】
図9〜図11に示したように第四実施形態では上方関節点32に燃料液面に浮くことができるフロート38が取り付けられる。第四実施形態のその他の構成は第三実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0031】
図10および図11に示したように第四実施形態では燃料タンク6内に蒸発燃料が存在し、燃料タンク6内の燃料液面が上壁7の内壁面と一致しないとき、リンク機構31のフロート38が燃料タンク6内の燃料液面に浮く。このため上方関節点32の位置は燃料タンク6内の燃料液面の位置を正確に示している。したがって第四実施形態によれば燃料タンク内に蒸発燃料を含む気体が存在するときでも燃料タンク内の燃料量を正確に検出することができる。
なおフロート38は燃料室内に空間がないとき常に燃料タンク6の上壁7の内壁面に密着している。したがってフロート38が上壁7の位置を正確に示すように上壁7が変形したときにこの上壁7の変形した内壁面の形状に適合するように変形可能な材料でフロート38の少なくとも上面付近を形成してもよい。
【0032】
次に本発明の第五実施形態の燃料計を説明する。第一実施形態では燃料タンクの内部空間が最小となったとき燃料タンク内には燃料が存在する。したがって第一実施形態では燃料タンクの内部空間が最小となったときから燃料タンク内の燃料がなくなるまでは燃料タンク内の燃料量を正確に検出することができない。そこで第五実施形態では燃料タンク内の内部空間が最小となってから燃料タンク内の燃料がなくなるまでにおいても燃料タンク内の燃料量を正確に検出する。
【0033】
図12および図13に示したように第五実施形態では第一実施形態の燃料計の代わりに燃料ポンプ装置13内に燃料計43が配置される。燃料計43は燃料ポンプ装置13の上壁46から下壁47まで延びる案内壁44と、この案内壁44に案内されて上下動可能なフロート45とを具備する。図12に示したように燃料ポンプ装置13の上壁46は燃料タンク6の内部空間が最大となったときの燃料タンク6の上壁7の位置より高い。したがって燃料タンク6の内部空間が最大となったときでも燃料タンク装置13内の燃料液面は上壁46の内壁面より下方にある。また燃料ポンプ装置13の下壁47は燃料タンク6の内部空間が最小となったときの燃料タンク6の下壁8の位置より低い。したがって燃料タンク6内の燃料が全て燃料ポンプ装置13内に導入される。なお燃料ポンプ装置13内には燃料ポンプ48が配置される。
【0034】
第五実施形態では燃料タンク装置13内の燃料液面の上下動に伴って燃料計43のフロート45が上下動する。フロート45は燃料タンク装置13内の最も下方の下壁47から最も上方の上壁46まで移動することができる。したがって燃料タンク6内に貯留されている燃料をその最大値から零まで検出することができる。また燃料貯留装置が振動したときの燃料の最大振幅は燃料タンク6内よりも燃料ポンプ装置13内のほうが小さい。したがって第五実施形態によれば燃料貯留装置が振動して燃料が流動したときに第一実施形態よりも正確に燃料タンク6内の燃料量を検出することができる。なお第五実施形態の燃料ポンプ装置13は燃料タンク6とは異なる副次的な燃料タンク(副燃料タンク)として機能し、副燃料タンク内の空間は補助燃料室に相当する。なおフロート45の位置は案内壁44に設けた接点とフロート内の接点との接触に基づいて検出される。またこの他にフロートの移動に伴うフロートと案内壁との間の接触抵抗やフロート周りの磁気変化に基づいてフロートの位置を検出することもできる。
【0035】
次に本発明の第六実施形態の燃料計を説明する。第五実施形態では燃料ポンプ装置の上壁を燃料タンクの内部空間が最大になったときの燃料タンクの上壁の位置より高くしなければならない。したがって燃料ポンプ装置が大型化する。そこで第六実施形態では燃料ポンプ装置内に燃料計を備えた燃料貯留装置において燃料ポンプ装置の大きさを最小限に抑える。
【0036】
図14および図15に示したように第六実施形態の燃料計49は第五実施形態と同様に案内壁44とフロート45とを具備する。しかしながら第六実施形態の燃料計49はさらに圧力センサ50を具備し、気体排出管17の開口端51が燃料ポンプ装置13の上壁46の下方まで延びる。圧力センサ50は燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方の気体の圧力を検出する。第六実施形態では気体排出管17の開口端51が燃料ポンプ装置13の上壁46の下方まで延びているため、燃料ポンプ装置13内に収容可能な最大量の燃料が燃料ポンプ装置13内に収容されたときでも燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方には空間が形成される。
【0037】
第六実施形態では燃料タンク6内の上壁7または燃料液面の位置が気体排出管17の開口端51の位置より高いとき、燃料ポンプ装置13内の燃料液面の位置は気体排出管17の開口端51の位置にある。このとき燃料ポンプ装置13内の燃料液面の位置と燃料タンク6内の上壁7または燃料液面の位置との差(以下、液面差)により燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方の気体は圧縮される。燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方の気体の圧力は液面差が大きいほど大きい。したがって圧力センサ50により燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方の気体の圧力を検出することにより燃料タンク6内の燃料量を検出することができる。一方、燃料タンク6内の上壁7または燃料液面の位置が気体排出管17の開口端51の位置より低いとき、液面差はなく、燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方の気体は圧縮されない。したがって圧力センサ50では燃料タンク6内の燃料量を検出することはできない。そこでこの時には燃料計のフロート45の位置により燃料タンク6内の燃料量を検出する。
【0038】
したがって第六実施形態によれば燃料ポンプ装置内に燃料計を備えた燃料貯留装置において燃料ポンプ装置の大きさを小さく抑えることができる。
【0039】
次に本発明の第七実施形態の燃料計を説明する。第六実施形態では燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方には常に空間が存在する。このため燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方の空間には蒸発燃料が発生してしまう。そこで第七実施形態では燃料ポンプ装置内に燃料計を備えた燃料貯留装置において燃料ポンプ装置内で発生する蒸発燃料の量を最小限に抑える。
【0040】
図16に示したように第七実施形態の燃料計52は第六実施形態と同様に案内壁44とフロート45と圧力センサ50とを具備する。しかしながら第七実施形態の燃料計49では圧力センサ50の圧力採取管53の開口端54は燃料ポンプ装置13の上壁46の下方まで延びる。また気体排出管17の開口端51は燃料ポンプ装置13の上壁46の位置で終端する。圧力センサ50は圧力採取管53内の気体の圧力を検出する。第七実施形態では気体排出管17の開口端51が燃料ポンプ装置13の上壁46の位置で終端しているため、燃料ポンプ装置13内に収容可能な最大量の燃料が燃料ポンプ装置13内に収容されたとき燃料ポンプ装置13内の燃料液面上方には空間は形成されない。したがって燃料タンク6内の上壁7または燃料液面の位置が燃料ポンプ装置13の上壁46の位置より低くなるまで燃料ポンプ装置13内には圧力採取管53内を除いて空間は形成されない。このため燃料ポンプ装置13内で発生する蒸発燃料の量を少なく維持することができる。
【0041】
第七実施形態では燃料タンク6内の上壁7または燃料液面の位置が気体排出管17の開口端51の位置より高いとき、燃料ポンプ装置13内の燃料液面の位置は気体排出管17の開口端51の位置にある。このとき燃料ポンプ装置13内の燃料液面の位置と燃料タンク6内の上壁7または燃料液面の位置との差(以下、液面差)により圧力採取管53内の気体は圧縮される。圧力採取管53内の気体の圧力は液面差が大きいほど大きい。したがって圧力センサ50により圧力採取管53内の気体の圧力を検出することにより燃料タンク6内の燃料量を検出することができる。一方、燃料タンク6内の上壁7または燃料液面の位置が気体排出管17の開口端51の位置より低いとき、液面差はなく、圧力採取管53内の気体は圧縮されない。したがって圧力センサ50では燃料タンク6内の燃料量を検出することはできない。そこでこの時には燃料計52のフロート45の位置により燃料タンク6内の燃料量を検出する。
【0042】
次に本発明の第八実施形態の燃料計を説明する。第七実施形態では燃料タンク内の燃料量を検出するために圧力センサを必要とする。このため燃料貯留装置の製造コストが増大する。また燃料ポンプ装置内にフロートを配置するための空間を作る必要がある。このため燃料ポンプ装置が大型化する。そこで第八実施形態では圧力センサを必要とせず、且つ燃料ポンプ装置を大型化することのない燃料計を提供する。
【0043】
図17に示したように第八実施形態の燃料計56は給油管11内に配置されるフロート55を具備する。したがって燃料計56は第七実施形態の圧力センサ、案内壁およびフロートは具備していない。このため燃料ポンプ装置の大きさは第七実施形態の燃料ポンプ装置に比べて小さい。なおその他の構成は第七実施形態と同じであるので説明は省略する。
【0044】
第八実施形態において給油管11の上方端42の位置は燃料タンク6内に最大量の燃料が貯留されているときの燃料タンク6の上壁7または燃料液面の位置より高い。また給油管11の下方端41の位置は燃料タンク6の内部空間が最小となったときの燃料タンク6の下壁8の位置より低い。したがって燃料計56のフロート55により燃料タンク6内の燃料を最大量から最小量まで検出することができる。なお前述したようにフロートの位置は給油管11に設けた接点とフロート内の接点との接触に基づいて検出される。またこの他に給油管11にその上方端から下方端まで複数の液面センサを並べて取り付け、これら液面センサにより給油管内の液面位置を検出してもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、主燃料タンクの内部空間内の燃料量を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の燃料計を備えた燃料貯留装置を示した図である。
【図2】第一実施形態の燃料タンクを示した斜視図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿った燃料タンクの断面斜視図である。
【図4】図3と同様の図であるが燃料タンク内の燃料が所定量より多いときの燃料タンクの断面斜視図である。
【図5】図3と同様の図であるが燃料タンク内の燃料が所定量より少ないときの燃料タンクの断面斜視図である。
【図6】本発明の第二実施形態の燃料計を備えた燃料貯留装置を示す図である。
【図7】本発明の第三実施形態の燃料計を備えた燃料貯留装置を示す図である。
【図8】第三実施形態の燃料計を示す図である。
【図9】本発明の第四実施形態の燃料計を備えた燃料貯留装置を示す図である。
【図10】図8と同様であるが燃料タンク内の燃料液面上方に空間が形成されたときの燃料貯留装置を示す図である。
【図11】第四実施形態のフロートを示す図である。
【図12】本発明の第五実施形態の燃料計を備えた燃料貯留装置を示す図である。
【図13】第五実施形態の燃料ポンプ装置の断面図である。
【図14】本発明の第六実施形態の燃料計を備えた燃料貯留装置を示す図である。
【図15】第六実施形態の燃料ポンプ装置および給油管の断面図である。
【図16】第七実施形態の燃料ポンプ装置および給油管の断面図である。
【図17】第八実施形態の燃料ポンプ装置および給油管の断面図である。
【符号の説明】
1…燃料貯留装置
6…燃料タンク
24、28、30、39、43、49、52…燃料計
Claims (3)
- 鉛直方向上側の略平坦な上壁と、鉛直方向下側の略平坦な下壁と、これら上壁と下壁とをこれらの周囲縁部のところで互いに接続する側壁とを有し、これら上壁と下壁と側壁とによって燃料を貯留するための内部空間が画成されている主燃料タンクと、鉛直方向上側の上壁と、鉛直方向下側の下壁と、これら上壁と下壁とをこれらの周囲縁部のところで互いに接続する側壁とを有し、これら上壁と下壁と側壁とによって燃料を貯留するための内部空間が画成されている補助燃料タンクとを具備し、上記主燃料タンクの内部空間は該主燃料タンクの内部空間内の燃料量が所定量よりも多くなると該燃料量の増大に追従して該主燃料タンクの上壁と下壁とが互いに遠ざかって主燃料タンク外方へと膨らむように撓むことによって大きくなる空間であり、一方、上記補助燃料タンクの内部空間は該補助燃料タンクの内部空間内の燃料量に係わらず一定の大きさの空間であり、上記主燃料タンクの内部空間と上記補助燃料タンクの内部空間との間で燃料が流通可能なように上記主燃料タンクが補助燃料タンクに連結されており、該補助燃料タンクの内部空間内の燃料液面の位置または該位置の変化に伴って変化するパラメータに基づいて上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が検出される燃料貯留装置において、上記パラメータが上記補助燃料タンクの内部空間内の燃料液面の位置の変化に伴って変化する該補助燃料タンクの内部空間内の圧力であり、上記補助燃料タンクの内部空間内の燃料量が該補助燃料タンクの内部空間内に収容可能な最大燃料量よりも少ないときには該補助燃料タンク内の燃料液面の位置に基づいて上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が検出され、上記補助燃料タンクの内部空間内の燃料量が上記最大燃料量を超えた後は該補助燃料タンクの内部空間内の圧力に基づいて上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が検出されることを特徴とする燃料貯留装置。
- 上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が最も多くなったときに上記補助燃料タンクの上壁が該主燃料タンクの上壁の鉛直方向において最も高い位置にある部分よりも鉛直方向において高い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の燃料貯留装置。
- 上記主燃料タンクの内部空間と上記補助燃料タンクの内部空間との間で燃料が流通可能なように上記主燃料タンクが該主燃料タンクの下壁のところで補助燃料タンクにパイプを介して連結されており、上記主燃料タンクの内部空間内の燃料量が最も少なくなったときに上記補助燃料タンクの下壁が上記パイプが接続されている上記主燃料タンクの下壁の部分よりも鉛直方向において低い位置にあることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料貯留装置。
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