JP3671471B2 - 計量可変機能付定量キャップ - Google Patents

計量可変機能付定量キャップ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体や顆粒状の食品、洗剤、医薬品などの内容物を定量排出する計量可変機能付定量栓体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
定量栓体の従来技術としては、例えば、実公平4−1093号公報に示されたものが知られている。すなわち、図5に示すように、円周壁(110)と底壁(120)とからなり、側面に流入口(111)を有するカップ状の本体部(100)と、天蓋(510)、縦板(520)及び傾斜板(530)とからなる仕切部(500)とで構成され、容器(20)開口部に取り付けられる粉粒体用定量栓体(10)であって、前記本体部と仕切部とを嵌合させることにより該本体部内を、前記縦板、前記天蓋及び傾斜板の上端よりも上側の円周壁とで囲まれた予備室(14)と、該予備室の下方にあり、流入口を介して容器本体内部と通じ、前記傾斜板と前記傾斜板と同等の高さのカップ状の本体部に囲まれた補充室(15)と、該補充室の下方に位置し、傾斜板より下方の円周壁に囲まれた計量室(11)と、前記予備室及び補充室に仕切部を介して隣接し、円周壁の一部と縦板とで囲まれた排出口(17)とに区画形成し、該計量室の排出口側に凹陥部(113)を設け、かつ前記流入口は本体部のほぼ半周に相当する横幅を有し、さらに前記仕切部の傾斜板は栓体の水平面に対して内容物の安息角で傾斜していることを特徴とする粉粒体用定量栓体である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した実公平4−1093号公報のような従来の定量栓体は、使用時にいつも一定の量を排出することしかできなかった。このため、使用時に、使用者が、使用目的に合わせた排出量に調節できるように、定量栓体に計量可変機能を付与することが強く求められるようになり、例えば、実開平2−148962号公報などが考案された。この考案は、容器開口部に取着されるカップ状本体部の側面に流入口が略半周にわたって形成され、本体部の上方開口部を封止した固定蓋部の前記流入口反対側に排出口が形成され、回動蓋部が固定蓋部に前記排出口の開口面積を調節自在に摺接していることを特徴とする可変計量栓体であった。しかしながら、この可変計量栓体は、排出口の開口面積を調節して、排出量を規制するものであり、計量自体を可変するものでないため、繰り返し時の排出量にむらを生じることがあった。
【0004】
本発明は、上述した使用者の強い要望に応えたものであり、使用時に排出する量を任意の量に可変して、定量排出が可能な計量可変機能付定量栓体を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、蓋体と、該蓋体に取り付け固定された定量栓体と、該定量栓体が取り付けられた蓋体と係合して定量栓体を容器口部に装着する定量キャップにおいて、
前記定量栓体が、カップ状の本体部と蓋部とから構成されており、
カップ状本体部は、円筒状の本体部周壁、本体部周壁の下端に設けられた本体部底壁、本体部周壁の上端に外方向に設けられたフランジ、及び、本体部周壁の内径の半分の幅で本体部周壁からその中心方向に伸びる垂下板とから成り、
前記垂下板の片側であって、その下端よりも上方の位置の前記本体部周壁に、周方向に伸びるスリット状であって、容器から定量栓体に内容物が流入する流入口を備え、
前記垂下板と前記本体部底壁の間に、間隔を有し、
前記フランジは、本体部を本体部周壁の軸を中心として回動させて前記垂下板を回動させ、後記計量室の容積を変化させる回動用つまみを備え、
蓋部は、前記本体部に挿入された半円柱状の排出孔と、本体部の開口部の一部を封鎖する天板とから構成されており、
排出孔は、天板に設けられた背板と蓋部周壁とから成り、
背板は、前記本体部を二分する幅で、前記垂下板より長く、かつ、前記本体部底壁との間に、内容物を排出孔に移動させる間隔を有し、
天板は回動用つまみの移動経路となる切り欠きを有する蓋部周壁を備え、
前記蓋部周壁は、本体部周壁の内面に沿う断面半円状の形状を有し、
前記スリット状流入口より上の位置で、前記背板、天板、垂下板、及び本体部周壁で囲まれた空間を内容物の計量室とし、
前記スリット状流入口より下の位置で、本体部周壁、本体部底壁、及び蓋部周壁で囲まれた空間を、前記計量室で計量された内容物を保存する待機室とし、
この待機室の内容物を前記排出孔から排出させる定量キャップである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の計量可変機能付定量キャップは、図1(a)、(b)及び(c)に示すように、蓋体(300)と定量栓体(10)と係合枠体(400)とからなり、定量栓体は、内径の半分の幅の垂下板(112)を中心方向に内面に設け、この垂下板を介して片側に横方向の外周の半分より短いスリット状の流入口(111)を垂下板の下端より上方にもつ円筒状の周壁(110)と、この周壁の上端に外方向に設けられた摺動用つまみ(131)をもつフランジ(130)と、垂下板下端より間隔をもって周壁下端に設けられる底壁(120)とからなるカップ状の本体部(100)と、背板(232)と周壁(231)とからなる本体部の垂下板より長く本体部の底壁と所定の間隔をもつ半円柱状の排出孔(230)を中央より片側裏面に垂下し、排出孔の上方に排出口(240)をもち、外周下方に切欠き(221)をもつ周壁(220)をもつ天板(210)とからなる蓋部(200)とから構成される。これらの蓋体、定量栓体及び係合枠体などの構成部材は、通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂を用いて射出成形法により作製される。
【0007】
そして、蓋体と定量栓体と係合枠体などの構成部材を定量キャップに組み立てるときに、定量栓体(10)の蓋部(200)を固定し、本体部(100)を摺動可能に組み込み、定量栓体内を、蓋部の背板(232)及び天板(210)と本体部の垂下板(112)及び流入口より上方の周壁(110)とで囲まれた計量室(11)と、この計量室に隣接する蓋部の排出孔(230)と、これら計量室と排出孔との下方に位置する蓋部の背板(232)と本体部の流入口より下方及び蓋部の排出孔より下方の周壁(110)と底壁(120)とで囲まれた待機室(12)とに区画形成する。なお、構成部材の組み立ては、対応する構成部材間に嵌合、咬合などの係合部を設けて行うものである。
【0008】
次に、本発明の計量可変機能付定量キャップの排出操作とその操作による計量化原理について、図2を用いて次に詳細に説明する。本定量キャップを開口部に装着した粉体や顆粒状の内容物を充填した容器を、まず、(a)に示すように、定量栓体(10)の本体部の周壁に設けられた流入口(111)を上方に向けて容器を倒立傾斜すると、容器(20)内の内容物(30)が容器の開口部方向に移動し、この内容物が流入口(111)から定量栓体内の計量室(11)に流入する(図中の矢印は、定量栓体内の内容物の移動を示す)。この流入する内容物の量は、流入口の位置と計量室の容量によって規制されることにより第1次の計量が行われる。次に、(b)に示すように、容器を正立状態に戻すと、計量された計量室内の内容物が、一部は注入口より容器に戻るものものがあるが、殆どの内容物は下方に位置する待機室(12)内に落下して溜まる。次に、(c)に示すように、再度、容器を倒立傾斜すると、(a)のときと同様に、容器内の内容物が周壁の流入口から内容物が定量栓体内の計量室に流入し、また、待機室内の内容物の一部が計量室に戻り、合わせて計量室内で計量化される。同時に、待機室内の他の内容物が、排出孔(230)を通過して、排出口(240)から容器外に排出される。この排出される内容物の量は、排出孔下端と本体部の底壁との間隔(13)によって規制されることにより第2次の計量が行われ、内容物は、常に使用上問題のない誤差範囲で排出口(240)から定量排出される。次に、(d)に示すように、容器を正立状態に戻すと、計量された計量室内の内容物が、一部は注入口より容器に戻るものものがあるが、殆どの内容物は下方に位置する待機室(12)内に落下して溜まる。後の排出操作は、(c)に示す状態と(d)に示す状態とを繰り返すものである。
【0009】
また、本発明の計量可変機能付定量キャップの計量を可変する方法は、定量栓体の本体部(100)のフランジ(130)に設けられた摺動用つまみ(131)で本体部を蓋部(200)に対して左回転させると、図1(b)及び(c)に示すように、蓋部の背板(232)に対する本体部の垂下板(112)との角度が回転分だけ小さくなり、計量室(11)の容量が減ずる。また、同時に、本体部の周壁(110)に設けられた注入口(111)も、回転分だけ蓋部の排出孔(230)の周壁(231)で閉鎖される。この結果、第1次の計量が少なく可変され、排出する定量が減ずる。摺動用つまみを右回転させると、第1次の計量が増え、排出する定量が増える。
【0010】
【実施例】
本発明の計量可変機能付定量キャップの一実施例を、図3及び図4を用いて次に具体的に説明する。
まず、図4に示す定量栓体の本体部(100)と蓋部(200)とを、ポリプロピレンを用いて射出成形法により作製した。本体部は、内径の半分の幅の垂下板(112)を中心方向に内面に設け、この垂下板を介して片側に横方向の外周の半分より短いスリット状の流入口(111)を垂下板の下端より上方にもつ円筒状の周壁(110)と、この周壁の上端に外方向に設けられた摺動用つまみ(131)をもつフランジ(130)と、垂下板下端より間隔をもって周壁下端に設けられる底壁(120)とからなるカップ状であり、蓋部は、背板(232)と周壁(231)とからなる本体部の垂下板と略同じ長さで本体部の底壁と所定の間隔をもつ半円柱状の排出孔(230)を中央より片側裏面に垂下し、排出孔の上方に排出口(240)をもち、外周下方に切欠き(221)をもつ周壁(220)を有する天板(210)とからなるものである。さらに、蓋体(300)の蓋部(320)及び本体部(310)と係合枠体(400)を、射出成形法で作製した。蓋体の蓋部は、材質がポリプロピレンであり、本体部との係合凸部(321)を設けたものであり、蓋体の本体部は、材質がポリエチレンであり、円形の排出口(311)をもつ天板と、蓋部との係合凹部(312)と計量栓体の摺動用つまみ(131)が移動するための切欠き(313)と内側に設けられた係合枠体と嵌合する嵌合凹部(314)をもつ周壁とからなるものである。そして、係合枠体は、材質がポリエチレンであり、周壁(410)の外側の上方に蓋体の嵌合凹部(314)と嵌合する嵌合凸部(412)をもち、内側の下方に容器と螺合する雌ねじ(411)を設けた環状体である。
【0011】
次に、図4の矢印で示すように、係合枠体(400)に計量栓体の本体部(100)を挿着し、その上に計量栓体の蓋部(200)を本体部の垂下板(112)を介して流入口(111)と対応する側に排出孔(230)を挿入させて被せたのち、蓋部(320)を係合凸部(321)で本体部(310)の係合凹部(312)に取り付けた蓋体(300)を被せて、蓋体の嵌合凹部(314)を係合枠体の嵌合凸部(412)に嵌合させて、図3に示す本実施例の計量可変機能付定量キャップ(1)を作製した。なお、定量栓体の蓋部は固定し、本体部は、摺動用つまみで摺動回転するように組み込んだ。
【0012】
次に、作製した本実施例の計量可変機能付定量キャップを、粉体状の内容物を充填した延伸ブローPETボトルの口頸部に螺合させて取り付けた。この定量栓体付ボトルで内容物の排出テストを行ってみたが、計量可変操作が容易であり、所定量の排出が繰り返し実用上問題のない誤差範囲で行われた。
【0013】
【発明の効果】
本発明の計量可変機能付定量栓体は、粉体や顆粒状の内容物に使用でき、この定量栓体を装着した容器は、常に使用上問題のない誤差範囲で定量排出でき、そのうえ、排出する量を使用時に任意の量に可変することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の計量可変機能付定量キャップの定量栓体の基本的な構造を示す断面図であり、(b)は、その計量室が最大の容量のときのA−A′断面図であり、(c)は、本体部を摺動させて計量室の容量を半分にしたときのA−A′断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の計量可変機能付定量キャップの定量栓体における計量操作とその原理を示す説明図である。
【図3】本発明の計量可変機能付定量キャップの一実施例の外観を示す斜視図である。
【図4】実施例の計量可変機能付定量キャップの構成部材を示す分解図である。
【図5】従来の一例の定量栓体の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1……定量キャップ
10……定量栓体
11……計量室
12……待機室
13……間隔
14……予備室
15……補充室
17,240,311……排出口
20……容器
100,310……本体部
110,220,231,410……周壁
111……流入口
112……垂下板
113……凹陥部
120……底壁
130……フランジ
131……つまみ
200,320……蓋部
210……天板
221,313……切欠き
230……排出孔
232……背板
300……蓋体
312……係合凹部
314……嵌合凹部
321……係合凸部
400……係合枠体
411……雌ねじ
412……嵌合凸部
500……仕切部
510……天蓋
520……縦板
530……傾斜板

Claims (1)

  1. 蓋体と、該蓋体に取り付け固定された定量栓体と、該定量栓体が取り付けられた蓋体と係合して定量栓体を容器口部に装着する係合枠体とから成る定量キャップにおいて、
    前記定量栓体が、カップ状の本体部と蓋部とから構成されており、
    カップ状本体部は、円筒状の本体部周壁、本体部周壁の下端に設けられた本体部底壁、本体部周壁の上端に外方向に設けられたフランジ、及び、本体部周壁の内径の半分の幅で本体部周壁からその中心方向に伸びる垂下板とから成り、
    前記垂下板の片側であって、その下端よりも上方の位置の前記本体部周壁に、周方向に伸びるスリット状であって、容器から定量栓体に内容物が流入する流入口を備え、
    前記垂下板と前記本体部底壁の間に、間隔を有し、
    前記フランジは、本体部を本体部周壁の軸を中心として回動させて前記垂下板を回動させ、後記計量室の容積を変化させる回動用つまみを備え、
    蓋部は蓋体に固定されており、且つ、前記本体部に挿入された半円柱状の排出孔と、本体部の開口部の一部を封鎖する天板とから構成されており、
    排出孔は、天板に設けられた背板と蓋部周壁とから成り、
    背板は、前記本体部を二分する幅で、前記垂下板より長く、かつ、前記本体部底壁との間に、内容物を排出孔に移動させる間隔を有し、
    前記蓋部周壁は、本体部周壁の内面に沿う断面半円状の形状を有し、
    前記スリット状流入口より上の位置で、前記背板、天板、垂下板、及び本体部周壁で囲まれた空間を内容物の計量室とし、
    前記スリット状流入口より下の位置で、本体部周壁、本体部底壁、及び蓋部周壁で囲まれた空間を、前記計量室で計量された内容物を保存する待機室とし、
    この待機室の内容物を前記排出孔から排出させる定量キャップ。
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