JP3671203B2 - 杜仲茶バッグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は杜仲茶バッグに関するもので、更に詳しく述べると多量の微粒子を含む杜仲茶を、優れた濾過性を有する不織布からなるバッグにより微粒子を濾過して、濁りがなくザラザラした舌触りや風味に、粗さが感じられない杜仲茶を簡単にいれることが出来るバッグである。
【0002】
【従来の技術】
杜仲茶は古来から中国で高価な薬用茶として使用されていたが、その効用が注目されて近年わが国でも飲用される様になった。わが国では主としてティーバッグ方式で使用されているが、まだ歴史が浅く杜仲茶の葉を封入するバッグの材質には種々の素材が使用されている状況である。これらの中、最も多く使用されている素材は麻、木材パルプ、ポリプロピレンからなる熱接着性を有する紙であり、その他、乾式法で得られた種々の不織布も使用されている。
【0003】
しかし、杜仲茶には多量の微粉末が含まれていることと、茶を煮沸して煮だす方法でいれるため、杜仲茶の液中にはバッグの目から漏出したかなり多量の微粉末が懸濁している。このためザラザラした舌触りが気になり風味を害する等バッグの材質及び濾過性には多くの問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
杜仲茶には通常かなり多量の微粒子が含まれているため、杜仲茶を煮だした液中にも相当多量な微粒子が漏出する。このため微粒子の濾過性に優れた不織布により、充分に煮だしても杜仲茶中に微粒子が漏出しないバッグを開発して提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
杜仲茶の葉は緑茶、紅茶、ほうじ茶等その他のお茶類と比較して抽出性が低いため、有効成分を充分抽出するために杜仲茶の葉を充分に細かく粉砕して使用される。このためかなり多量の微粒子が含まれている。杜仲茶をいれる場合には通常 10 〜 10 数分煮沸して煮だす方法が採用されているが、この微粒子と煮だし方法が相まって得られた杜仲茶は濁り液中に多量の微粒子が含まれ、その舌触りや風味を害している。
【0006】
本発明者等は、杜仲茶の葉を煮だしても微粒子が漏出せず透明度が高く、風味がよい杜仲茶が得られるバッグの素材について研究した。その結果、平均直径 10 μ m 以下の超極細繊維からなる不織布を濾過層として使用すれば、杜仲茶の葉を煮 だしても微粒子が殆ど漏出せず風味がよい杜仲茶が得られることを見出した。更に、激しい沸騰状態にも耐える強度を有する積層シートの構成及び製袋方法をも考慮して本発明に到達した。
【0007】
すなわち、杜仲茶バッグの原料シートは熱可塑性繊維の不織布からなり、少なくとも表面層及び裏面層の2層を含み、表面層はポリエステルの普通繊維からなって、裏面層の融点より 30 ℃高い温度で溶融しない不織布である。また表面層以外の少なくとも一層は平均直径 10 μ m 以下の超極細繊維からなる不織布である。これらの複数の不織布を重ね熱融着法により、多数の部分的融着域を設けることにより積層された、耐水圧が 100mm 以下であり、且つ貫通孔の平均直径が 15 〜 25 μ m の積層シートが得られる。この積層シートに杜仲茶を充填した微粒子を殆ど含まず透明度が高い杜仲茶が得られるバッグである。また、杜仲茶バッグの原料シートは表面層、中間層及び裏面層の3層の不織布を含む積層シートからなり、表面層はポリエステルの普通繊維からなり、中間層は芯がポリエステル、鞘がポリエチレンからなる芯鞘繊維からなり、裏面層は平均直径 10 μ m 以下のポリプロピレン超極細繊維からなる、厚さ 0.02mm 以上、 0.2mm 以下、目付3 g/m 2 以上、 30g/m 2 以下の不織布である。且つ表面層は裏面層の融点より 30 ℃高い温度で溶融しない不織布である。これらの不織布を重ね熱融着法により、多数の部分的融着域を設けて積層された、耐水圧が 100mm 以下であり、且つ貫通孔の平均直径が 15 〜 25 μ m の積層シートが得られる。この積層シートに杜仲茶を充填した、沈殿物含有量 6mg/l 以下の透明度が高い杜仲茶が得られるバッグである。
【0008】
本発明において、積層シートの耐水圧とは JIS L-1092 A 法で測定した耐水圧を指し、貫通孔の平均直径とは、 ASTM F316-86 の標準バブルポイント法で測定した貫通孔の平均直径を指している。また、杜仲茶に含まれる沈殿物含有量は、後述の実施例1、比較例1〜3において記載された、測定法によるものである。以下本発明について詳しく説明する。
【0009】
本発明の杜仲茶バッグの原料シートは、表面層及び裏面層の少なくとも2層の不 織布を含む積層シートからなっている。この積層シートは表面層と裏面層からなる2層の積層シートでも良く、或いは、表面層と裏面層に挟まれた中間層として1層または複数層のシートを含む積層シートでもよい。
【0010】
裏面層には熱可塑性繊維からなる不織布を使用する必要がある。熱可塑性繊維とは熱可塑性ポリマーから得られた繊維で、大部分の合成繊維はこれに含まれている。熱可塑性ポリマーとしては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等が使用出来る。
【0011】
表面層及び裏面層の少なくとも2層の不織布を含む積層シートからなり、少なくとも裏面層は熱シールを可能とするため熱可塑性繊維不織布であり、また熱シール工程に適合させるため、表面層はその融点より 30 ℃高い温度で溶融しない不織布であることが必要である。
【0012】
これは積層シートをヒートシール方式により製袋する場合、熱可塑性繊維不織布をバッグの内面側に、また融点がそれより 30 ℃以上高い熱可塑性繊維不織布を外面側にしてバッグをつくり、更にバッグの中に杜仲茶の葉を封入後入口をシールしてつくられる。その際高温のヒートシールバーをバッグの外面側に当てたとき、バッグの内面の不織布は溶融して接着される必要があるが、ヒートシールバーが直接当たる外面側の不織布も溶融してバーに接着すると、バッグに傷や変形を発生させ、また製袋工程も混乱する。このため外面層不織布は内面層の融点より 30 ℃高い温度でも溶融しない不織布である必要がある。尚、この温度差は 50 ℃以上であればより好ましい。
【0013】
本発明の杜仲茶バッグの積層シートの中、少なくとも一層は平均直径 10 μ m 以下の超極細繊維からなる不織布とする必要がある。この超極細繊維からなる不織布は、積層シートの裏面層または中間層のいずれかの一層または複数層に含まれた構造になっている。
【0014】
この超極細繊維からなる不織布は平均直径 10 μ m 以下の繊維からなっている必要があり、超極細繊維の平均直径は好ましくは5μ m 以下、より好ましくは1〜3μ m である。繊維の長さは緻密な不織布の組織が形成出来る限り特に限定しない。また不織布層の厚さは 0.02 〜 0.2 mm で、目付は3〜 30 g/m 2 が好ましく、厚さは 0.03 〜 0.1 mm で、目付は4〜 10g/m 2 がより好ましい。
【0015】
超極細繊維からなる不織布層は、本発明の杜仲茶バッグの濾過層として最も重要な機能を果たす部分である。杜仲茶バッグは緑茶、紅茶、ほうじ茶等他のお茶類やコーヒー等の嗜好性飲料のバッグと較べて最も大きく異なる点は、粉砕された杜仲茶の葉の中には他のお茶類より遙に多量の微粒子が含まれていることと、杜仲茶をいれる時は杜仲茶を封入したバッグを薬罐等にいれて、通常 10 〜 10 数分煮沸していれることである。このたため、粒径数μ m 〜数 10 μ m 程度の微粒子が煮だされた杜仲茶の液中に多量に漏出して懸濁し、茶碗の底にも沈殿している。このため杜仲茶は一名泥茶とも呼ばれている程である。また、この多量な微粒子がお茶を濁らせて外観を悪くし、舌触りや風味を害する最も大きな原因となっている。
【0016】
杜仲茶を煮だす時その中に含まれている多量の微粒子の漏出を防止出来れば、お茶の濁りや、舌触り及び風味を著しく改善することが出来る。また杜仲茶の有効成分を充分に抽出出来る様にするためには、バッグの濾過速度の低下も防ぐ必要がある。本発明のバッグの材質はこの様な観点から研究された結果得られたものである。天然繊維或いはノズルから吐出する方式で紡糸して得られる合成繊維は最も細い単糸でも通常1〜2デニル程度であるが、例えばポリプロピレン(繊維の比重 0.91) の超極細繊維の場合、前記で最も好ましい繊維径の範囲と述べた1〜3μ m は 0.0064 〜 0.06 デニルに相当する。
【0017】
従って、本発明の杜仲茶バッグの濾過層は、この様に従来の繊維と較べて著しく細い超極細繊維を緻密に集積交絡させた薄い不織布である。このため、杜仲茶に含まれている粒径数μ m 〜数 10 μ m 程度の微粒子は殆ど漏出しないから、お茶の 濁りや、舌触り及び風味を著しく改善することが出来る。これは実施例1及び比較例1〜3の濾過液中の杜仲茶微粒子の粒径分布を示した図1により、現在杜仲茶用に最も多く使用されている麻、木材パルプ、ポリプロピレンからなる熱接着性を有する紙と較べて、微粒子含有量が著しく減少することからも分かる。
【0018】
またこの極めて薄い不織布は濾過層として使用した場合濾過速度がかなり速い特徴をもっている。このため杜仲茶を封入したバッグを煮沸した時、短時間で充分に有効成分を抽出することが可能である。或いはバッグに封入する杜仲茶の粒度を従来より細かくすることも可能となり、粒度を細かくすることによって抽出効率を一層高めることが出来る。
【0019】
従って、杜仲茶バッグには極めて適した性質を有する材質で、この様な超極細繊維からなる不織布層が含まれている点が、本発明の杜仲茶バッグの最も重要な要件の一つである。
【0020】
また、杜仲茶の抽出性を更に向上させるためには、積層シートの耐水圧が 100 mm 以下とすることが好ましく、0 mm であればより好ましい。また微粒子を透過させないために、平均直径 10 μ m 以下の超極細繊維からなる不織布層が少なくとも一層含まれている必要がある。超極細繊維シートは、それを構成する繊維の直径、密度により、貫通孔の径を調整することが可能であり、積層シートの貫通孔の大きさは主として超極細繊維シートの貫通孔の大きさに依存している。積層シートの貫通孔が過大であると、微粒子の濾過液への漏出量が増加し、過少であると抽出速度が低下する。このため積層シートの貫通孔の平均直径は、 15 〜 25 μ m である必要がある。
【0021】
本発明の濾過層を形成している超極細繊維は、例えばポリマー溶融体を気体流により細流化して冷却する方法(メルトブロー法 ) によって得るか、または相互に不溶性の2成分を不均一に混合した状態で紡糸して得られた海島型複合繊維から、その1成分のみを溶解除去して得るか、或いは貼り合わせ型構造の複合繊維か ら、一部の成分の抽出除去或いは割繊法により製造されるか、または、複数の非相溶性重合体を混合紡糸して得られた複合繊維からそのマトリックス成分を抽出除去して製造されたもの等のいづれの方法で得られたものでもよい。または、熱可塑性ポリマーのスリットテープをフィブリル化して得られた平均直径が 10 μ m 以下の繊維でもよい。これらの超極細繊維の中濾過細孔径の分布の均一性を考慮すると、メルトブロー法によて得られた繊維の不織布がより好ましい。
【0022】
超極細繊維の平均直径は、約5 mm 以上の長さを有する繊維については走査型電子顕微鏡で撮影した写真から測定することが出来る。また、超極細繊維からなる不織布層にはその濾過効果に実質的な影響のない限り、少量の他の繊維、例えばセルロース繊維等が含まれている場合も本発明では許容される。
【0023】
前述の様に本発明の杜仲茶バッグの積層シートの裏面層は熱可塑性繊維不織布であり、また表面層は裏面層の融点より 30 ℃高い温度では溶融しない不織布でつくられている。この積層シートは表面層及び裏面層からなる2層のみの積層シートでもよく、或いは表面層及び裏面層に挟まれた中間層として1層または複数層のシートを有する積層シートでもよい。平均直径 10 μ m 以下の超極細繊維からなる不織布層は、杜仲茶の濾過層として最も重要な機能を果たすシートであるが、複数層からなる積層シートの中の一層または複数層として含まれているもので、裏面層或いは中間層の中一層または複数層として適宜に選択することが出来る。積層シートの中濾過層以外のシートは前述の様にバッグにヒートシール性を付与する目的の他、濾過層を補強するための支持層としての機能を有するものである。
【0024】
支持層は一般に濾過性能に実質的に影響を与えることのない様に、濾過層よりも粗い多数の濾過細孔を有する材質でつくられ、杜仲茶を煮だして濾過する際積層シートが充分に耐えられる機械的強度を付与している。
【0025】
支持層となる表面層及び中間層には、熱可塑性繊維の不織布を使用する必要がある。その他、織物、編み物、メッシュ或いはネット等の濾過性を有するものを使 用できる。また素材としてはポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリル繊維等、熱可塑性を有する繊維を使用する必要がある。その他、綿、麻等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート繊維等の半合成繊維も使用可能である。これらの繊維は長繊維であってもよく短繊維であってもよい。
【0026】
尚、支持層内の繊維は、水により膨潤することがなく、部分的に融着していて杜仲茶を煮だして濾過する際、濾過孔径を変化させないものである必要がある。
【0027】
本発明の杜仲茶バッグの積層シートは、表面層及び裏面層または中間層を積層する場合、熱融着法により各構成シートに多数の部分的な熱融着域を一定の間隔に設けて合体させる必要がある。この融着域においては各構成シートの繊維の一部分が他層に融着し、それによって両層が合体されている。また、各構成シートを熱融着法により積層する前に、予め超極細繊維からなる濾過層のみに濾過性を損なわない範囲で多数の部分的な繊維融着域を設けたシートを形成させた後、その他の構成シートと重ねた全体のシートに更に部分的な繊維融着域を多数設けて積層してもよい。
【0028】
これらの積層シート全体或いは濾過層の繊維融着域の数、形状、分布状況等は目的に応じて適宜に設定することが出来る。
【0029】
本発明の杜仲茶バッグは前述の様にして、部分的加熱を施して所定のパターンの繊維融着域を形成する。この際加熱および加圧をコントロールすることにより、繊維融着域を半透明の状態からほぼ透明にすることが可能である。繊維融着域をほぼ透明にすれば、バッグの中に杜仲茶の粉末を封入した時、内部の粉末の状態が透過して見えることにより、商品価値を高めることも可能である。
【0030】
積層シートは所定の形状及び寸法に裁断され、ヒートシール法により周縁部がシールされて上部が開口された所定の形状を有するバッグに製袋され、更に所定量 の杜仲茶の粉末を、上部の開口された部分から封入して上部をヒートシールすることにより杜仲茶バッグが得られる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0032】
(実施例1、比較例1〜3)
表面層として 2.5 デニル(平均直径 16.0 μ m) のポリエステル繊維からなる目付 10 g/m 2 の不織布を、中間層として2デニル(直径 15.6 μ m) のポリエステルとポリエチレンの芯鞘繊維〔(株)クラレ製商品名「クラレソフィット」〕からなる目付 15 g/m 2 の不織布を、裏面層として 0.06 デニル(直径 3 μ m) のポリプロピレン超極細繊維からなる目付 5 g/m 2 の不織布を使用し、これらのシートを重ね熱融着法により多数の部分的繊維融着域を設けて積層した。
【0033】
この積層シートの耐水圧は 0 mm であり、また貫通孔の平均直径は 19.7 μ m であった(実施例1)。
【0034】
杜仲茶をこの積層シートでつくったバッグに入れて抽出した場合の、杜仲茶の液の濁度と沈殿物量及びその粒度分布を調べた。積層シートで作られたバッグに杜仲茶2 g を封入し、 95 ℃の熱湯中に投入し 10 分間煮沸を続けた後、約 50 ℃まで放冷して 800 ml の杜仲茶の液を得た。この液を 40 〜 50 ℃で 0.45 μ m のフィルターで濾過して、濾過前後の波長 750nm における光の透過率 (T % ) を測定した。 100-T %を吸光率とし濾過前後の吸光率の差を濁度として表示した。測定結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
また、レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所 SALD 1000) により、杜仲茶の液中の粒径 150 μ m 以下の杜仲茶の微粒子の体積分布を測定した。
【0037】
次に上記の方法で抽出した液を室温まで放冷した後、 0.45 μ m のフィルターで濾過し、フィルター上の固形物量を乾燥・秤量し沈殿物量として表示した。沈殿物量測定値は表1に、この結果と前記で測定した杜仲茶液中の微粒子の体積分布によって算出した微粒子量の粒径分布の積分曲線を図1に示した。
【0038】
また比較のため、現在杜仲茶用に多く使用されている麻、木材パルプ、ポリプロピレンからなる、熱接着性を有する紙を使用して前記と同様な試験をした。
【0039】
この紙、すなわち湿式不織布の耐水圧は 0mm 、貫通孔の平均直径は 40.7 μ m であった(比較例1)。
【0040】
更に、表面層として平均 0.06 デニル(直径 3 μ m) のポリプロピレン超極細繊維からなる目付 9 g/m 2 の不織布を使用し、裏面層としてポリエチレンを鞘にポリプロピレンを芯とする芯鞘繊維を熱風加工によってシート化した目付 13 g/m 2 の乾式 不織布を使用し、この両層を重ね多数の部分的繊維融着域を設けて積層した。この積層シートについても前記と同様な試験をした。
【0041】
この積層シートの耐水圧は 140 mm 、貫通孔の平均直径は 17.35 μ m であった(比較例2)。
【0042】
また、表面層として平均 0.06 デニル(直径 3 μ m) のポリプロピレン超極細繊維からなる目付 5 g/m 2 の不織布を使用し、裏面層としてポリエチレンを鞘にポリプロピレンを芯とする芯鞘繊維を熱風加工によってシート化した目付 15 g/m 2 の乾式不織布を使用し、この両層を重ね多数の部分的繊維融着域を設けて積層した。この積層シートについても前記と同様な試験をした。
【0043】
この積層シートの耐水圧は 70 mm 、貫通孔の平均直径は 22.02 μ m であった(比較例3)。
【0044】
更に、表面層として 2.0 デニル ( 直径 17.6 μ m) のポリプロピレン繊維からなる目付 22g/m 2 の不織布を、裏面層として 0.06 デニル(直径 3 μ m) のポリプロピレン超極細繊維からなる目付 7 g/m 2 の不織布を使用し、この両層を重ね熱融着法により多数の部分的繊維融着域を設けて積層した。この積層シートについても前記と同様な試験をした。
【0045】
この積層シートの耐水圧は 90mm 、貫通孔の平均直径は 17.35 μ m であった(比較例4)。
【0046】
これらの試験結果も実施例1と併せて表1及び図1に示した。
【0047】
表1においてこの濁度の表示法では前記の様に、濁度の値が大きい程抽出液の透明性が低いことを示している。目付 9 g/m 2 のポリプロピレン超極細繊維不織布を含む比較例2と目付 5 g/m 2 のポリプロピレン超極細繊維不織布を含む実施例1の バッグで得られた杜仲茶が最も透明性が高く、麻、木材パルプ、ポリプロピレンからなる湿式不織布を使用したものは著しく透明性が低い。
【0048】
また、比較例1の湿式不織布のフィルターは、微粉の漏出が多く沈殿物量も多い。これと比較して超極細繊維不織布を積層した実施例1及び比較例2、3は透明性が高く沈殿物量も著しく少ないことが認められた。
【0049】
更に図1に示した抽出液中に含まれる杜仲茶の微粒子の粒度分布の結果により、 10 〜 80 μ m の微粒子の漏出量は超極細繊維からなる濾過層を含む不織布(実施例1、比較例2、3)は殆ど漏出しないのに、麻、木材パルプ、ポリプロピレンからなり熱接着性を有する紙(比較例1)は漏出量が著しく多く、両者の間には顕著な差異が認められる。
【0050】
また、超極細繊維からなる濾過層を含む不織布相互の濾過性の差異は、ポリプロピレン超極細繊維濾過層の目付量及び不織布を構成する積層シートの組成の差異によるものと考えられる。
【0051】
杜仲茶は通常 10 分間程度煮沸して抽出するが、ユーザーによっては紅茶等と同様に煮沸させずにいれる場合もある。このため紅茶と同様な方法で入れた場合の杜仲茶の味を官能試験により評価し、同時に抽出時間と杜仲茶液の色の変化の状態も観察した。この結果抽出性良好を○、ほぼ良好を△、不良を×で表示した。また、バッグを水に浸漬した時の濡れ易さの度合いも官能試験により評価し、良好を○、やや不良を△、不良を×で表示した。更に、液中への微粉末漏れが多いを×、殆ど無しを○で表示した。これらの結果を表1に示す。
【0052】
その結果、実施例1及び比較例1の様に耐水圧が 0 mm の場合抽出速度が最も速いことが認められる。次は、耐水圧 70mm の比較例3及び耐水圧 90 mm の比較例4であり、耐水圧 140 mm の比較例2は著しく遅い。抽出速度は実施例1=比較例1>比較例3>比較例4>比較例2の順であり、これらの結果から抽出速度と耐水 圧或いは濡れ易さとの相関関係が認められ、杜仲茶バッグには耐水圧 100mm 以下のシートが好ましいことが分かる。
【0053】
尚、 10 分間煮沸した場合の杜仲茶液の色すなわち濃度は、実施例1及び比較例1、2、3、4の差は殆どない。
【0054】
更に、比較例1は液中への微粉末漏れが認められ、その他実施例1、比較例2、3では殆ど認められなかった。この官能試験による微粒子漏れの有無の結果、表1及び図1に示した微粒子漏出量、粒径分布と積層シートの貫通孔の平均直径との関係を考慮すれば、貫通孔の平均直径は 15 〜 25 μ m が好ましいことが分かる。
【0055】
次に実施例1、比較例1、2、3、4のシートを使用して、トパックロータリー型杜仲茶充填機によって製袋テストを行った。この際ヒートシールバーを裏面層の溶融温度より 30 ℃高い温度に設定した。比較例2、3、4はヒートシールバーに表面層が溶融してくっつき、またシール部も熱により収縮が生じ、一部皺も発生した。実施例1、比較例1は、シールバーの汚れもバッグの熱収縮もなく、順調に製袋された。
【0056】
【発明の効果】
本発明の杜仲茶バッグは優れた濾過性を有する超極細繊維からなる不織布を濾過層として使用したバッグで、このため杜仲茶をいれる時充分煮だしても液中に微粒子は殆ど漏出しない。従って、液が濁らず透明で外観がよく、ザラザラした舌触りがなく、風味のよい杜仲茶を容易にいれることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】杜仲茶液中の微粒子の粒度分布を示す。
【符号の説明】
1 実施例1
2 比較例1
3 比較例2
4 比較例3
Claims (2)
- 杜仲茶バッグの原料シートは熱可塑性繊維の不織布からなり、少なくとも表面層及び裏面層の2層を含み、表面層はポリエステルの普通繊維からなって、裏面層の融点より30℃高い温度で溶融しない不織布であり、また表面層以外の少なくとも一層は平均直径10μm 以下の超極細繊維からなる不織布であり、これらの不織布を重ね熱融着法により、多数の部分的融着域を設けることにより積層された、耐水圧が 100mm 以下であり、且つ貫通孔の平均直径が 15 〜 25 μ m である、積層シートに杜仲茶を充填してなる、微粒子を殆ど含まず透明度が高い杜仲茶が得られるバッグ。
- 杜仲茶バッグの原料シートは表面層、中間層及び裏面層の3層の不織布を含む積層シートからなり、表面層はポリエステルの普通繊維からなり、中間層は芯がポリエステル、鞘がポリエチレンからなる芯鞘繊維からなり、裏面層は平均直径 10 μ m 以下のポリプロピレン超極細繊維からなる、厚さ 0.02mm 以上、 0.2mm 以下、目付3 g/m 2 以上、 30g/m 2 以下であり、且つ表面層は裏面層の融点より 30 ℃高い温度で溶融しない不織布であり、これらの不織布を重ね熱融着法により、多数の部分的融着域を設けて積層された、耐水圧が 100mm 以下であり、且つ貫通孔の平均直径が 15 〜 25 μ m である積層シートに、杜仲茶を充填してなる、沈殿物含有量 6mg/l 以下の透明度が高い杜仲茶が得られるバッグ。
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