JP2513153Y2 - 浸出用シ―ト - Google Patents

浸出用シ―ト

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JP2513153Y2
JP2513153Y2 JP1990054089U JP5408990U JP2513153Y2 JP 2513153 Y2 JP2513153 Y2 JP 2513153Y2 JP 1990054089 U JP1990054089 U JP 1990054089U JP 5408990 U JP5408990 U JP 5408990U JP 2513153 Y2 JP2513153 Y2 JP 2513153Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、紅茶・コーヒー・緑茶・漢方薬等のティー
バッグ、その他浸出性の原料を封入した袋の素材となる
浸出用シートの改良に関する。なお、本考案の説明にお
いては、袋の素材自体を「浸出用シート」、浸出用シー
トを素材として形成した袋を「浸出用袋」若しくは単に
「袋」と称し、紅茶等の原料を浸出用袋に封入したもの
を「ティーバッグ」と称する。
〈従来の技術〉 浸出用シートは、封入してある原料の浸出性が良好で
あること、及び機械による製袋(製袋しながら原料を充
填する)が容易なこと、すなわちヒートシールが可能な
ものであることが望まれる。
しかるに、従来の浸出用シートは、その大部分が木材
パルプやマニラ麻等の天然繊維を原料とする紙質のもの
で、熱を加えても溶けないため、ヒートシールできない
ものである。そこで、天然繊維を原料とした浸出用シー
トにヒートシール性の樹脂をコーティングした浸出用シ
ートも使用されている。
しかし、このように天然繊維を用いた浸出用シート
は、繊維自体に吸水性があるため、何れにしても浸出性
が低いという問題を有している。すなわち、ティーバッ
グとして使用する際に浸出用シートを構成している繊維
そのものが水分を含んで膨張してしまうため、ティーバ
ッグ内の浸出液が袋の外方へ抽出されるにつれて目詰ま
りが生じてしまい、浸出性が低下する傾向にある。ま
た、天然繊維を使用した浸出用シートは、その繊維その
ものの味がかすかながら浸出液に混じてしまい、風味を
損なうという問題もある。
このような理由から、天然繊維を使用せずに合成樹脂
製の不織布を浸出用シートとして用いる場合がある。
〈考案が解決しようとする課題〉 しかしながら、一般的な合成樹脂製の不織布からなる
浸出用シートは、低融点の合成樹脂を使用したものが多
いため、通常のヒートシール機による製袋の際にシール
板の熱により溶けてしまい、シール板に付着してしまう
という問題がある。
このため、合成樹脂製の不織布からなる従来の浸出用
シートの製袋には超音波シール機を使用せざるを得ない
が、この超音波シール法では製袋機そのものが特殊で、
高価であるという問題がある。また、超音波シール法で
はシール面をヒートシール法のように面接着することが
できずに線接着となってしまい、且つ製袋しながら原料
を封入するのが困難であるため、シール強度や作業性の
点で問題が残る。
本考案はこのような事情に鑑み、ティーバッグにした
場合に原料の浸出性が良好であると共に浸出液の風味も
損われず、通常のヒートシール機での製袋が可能である
浸出用シートを提供することを目的とする。
〈課題を解決するための手段〉 前記目的を達成する本考案に係る浸出用シートは、少
なくとも一部が融点230℃以上の合成樹脂からなる不織
布(以下、高融点不織布という)と、少なくとも一部が
融点100〜170℃の合成樹脂からなる不織布(以下、低融
点不織布という)とを合せてヒートシールしてあること
を特徴とする。
このように高融点不織布と低融点不織布からなる二層
構造にすると、製袋の際、高融点不織布を外側にし、低
融点不織布を内側、すなわちヒートシール面として低融
点不織布を構成する合成樹脂のみが溶ける温度でヒート
シールを行えば、シール板に直接触れる高融点不織布は
溶けないので、通常のヒートシール機により製袋にして
も不織布がシール板に付着することがない。
ここで、融点が230℃以上の合成樹脂としてはポリエ
ステル(ポリエチレンテレフタレート:融点245℃)、
ポリアミド(ナイロン66:融点265℃)、ポリフェニルサ
ルファイド(融点290℃)等を挙げることができる。ま
た、融点が100〜170℃の合成樹脂としては、低融点ポリ
エステル(融点100〜160℃)、ポリエチレン(融点90〜
140℃)、ポリプロピレン(融点160〜168℃)等を挙げ
ることができる。
本考案において高融点不織布とは融点が230℃以上の
合成樹脂のみを用いた不織布の他、他の合成樹脂とを混
合して不織布としたものや、芯鞘構造の繊維、例えば表
層に融点230℃以上の樹脂を用いて該芯鞘構造とした繊
維を不織布としたものなどをいう。また、低融点不織布
とは、融点が100〜170℃の合成樹脂のみを用いた不織布
の他、他の合成樹脂とを混合して不織布としたものや、
芯鞘構造の繊維、例えば表層に融点100〜170℃の樹脂を
用いて芯鞘構造とした繊維を不織布としたものなどをい
う。
また、本考案では高融点不織布をスパンボンド不織布
とし、一方、低融点不織布をカード不織布とするのが望
ましい。ここで、スパンボンド不織布とは溶融した樹脂
を多数の小径ノズルから押し出してこれを薄いシート状
に自己溶着させて製した不織布をいう。かかるスパンボ
ンド不織布は、長繊維から形成されているために丈夫で
繊維の離脱がないという長所を有しているが厚みが不均
一で不織布の目の大きさも不均一であるという欠点を有
する。一方、カード不織布は、溶融した樹脂を小径ノズ
ルから得られた繊維を30〜70mmの短繊維にカットし、拡
繊機により均一の厚さの綿様のシートにした後、ヒート
ローラ等で自己溶着させて製した不織布である。かかる
カード不織布は厚みが均一で不織布の目の大きさが均一
であるという長所を有しているが、強度が弱いためにや
ぶれやすく、且つ繊維が離脱しやすいという欠点を有し
ている。したがって、上述したようにスパンボンド不織
布とカード不織布とを合せることにより、互いの欠点を
補い合うことができ、高融点不織布を外側にし、低融点
不織布を内側にすると丈夫で浸出液中への繊維の離脱が
なく、しかも目の大きさが均一な浸出用シートとなる。
さらに、本考案浸出用シートの高融点不織布として
は、ポリエステル製のスパンボンド不織布を用いるのが
望ましい。そして、この場合において低融点不織布とし
て例えばポリエチレン製のカード不織布を用いると、製
袋時のヒートシールが比較的低温にて容易にできるが、
高融点不織布との接着性があまり良好ではない。一方、
低融点不織布として低融点ポリエステル製のカード不織
布を用いると、ヒートシールの温度が多少高くなるが高
融点不織布との接着性が良好になる。
また、低融点不織布として、表層がポリエチレン、低
融点ポリエステル等の融点が100〜170℃の合成樹脂から
なると共に芯層がそれより高融点の合成樹脂、例えばポ
リエステルやポリプロピレンからなる芯鞘構造の繊維で
形成されたカード不織布を用いるのが望ましい。この場
合には、浸出用シートの形成の際に表層のみが溶け芯層
が溶けない温度で高融点不織布との接合(ヒートシー
ル)を行えば、当該接合時における不織布の目のつぶれ
が防止できる。なお、この場合にも、表層を形成する樹
脂の種類によって上述したように浸出用シートとしての
特性が変わる。
さらに、本考案の浸出用シートは、高融点不織布と低
融点不織布との間に接着用不織布を用いてもよい。この
接着用不織布は、高融点不織布と低融点不織布との接合
を良好にするものであり、例えばティーバッグとして沸
騰水中などの苛酷な条件下で使用する際に両不織布が剥
離してしまうのを防止することができる。
例えば上述したようにポリエステル製のスパンボンド
不織布とポリエチレン製のカード不織布とは接合性が良
好ではないが、この間に両者に接合性のよい樹脂、例え
ば低融点ポリエステルからなる接着用不織布を用いれば
層間の剥離が防止でき、且つ製袋時には比較的低温でヒ
ートシールすることができる。その理由は、低融点ポリ
エステルは、ポリエステルと性質が似ている一方、ポリ
エチレン等と融点が近いので、両者に対して接合性が良
好であると考えられる。
また、接着用不織布は一般的なカード不織布でよい
が、その原料として上述した芯鞘構造の繊維を用いるこ
ともできる。例えば表層が低融点ポリエステル等の融点
100〜170℃の合成樹脂からなり、芯層がポリプロピレン
やポリエステル等の表層よりも高融点の合成樹脂からな
るものである。このように、接着用不織布として芯鞘構
造の繊維からなる不織布を用いた場合には、浸出用シー
トを形成する際に接合時等に目のつぶれが生じないとい
う効果が得られるのは上述した通りである。
なお、本考案の浸出用シートを製造する方法は特に限
定されないが、各不織布を各々形成した後、合せてヒー
トローラに通すことによりヒートシールしてもよいし、
何れか一又は二の不織布を形成した後、残りの不織布を
形成しながら合せてヒートローラに通すことによりヒー
トシールしてもよいし、全ての不織布を形成しながら合
せてヒートローラに通してヒートシールしてもよい。
また、本考案の浸出用シートの厚みは袋にしたときに
入れる原料により適宜変更する必要があるが、一般に20
g/m2〜60g/m2程度とすればよい。
以上説明した本考案の浸出用シートは、高融点不織布
を外側にして用いれば、通常のヒートシール機で製袋で
きる。また、合成樹脂のみを原料としているのでティー
バッグとした場合の浸出性が良好であり且つ浸出液の風
味を損なうこともない。
また、本考案に係るシートは、植物の育種用に使用す
ることができる。すなわち、例えば土壌またはその代替
物をこのシートに詰め、シートの上からは播種しておく
と、シートを通して発芽して来るので、そのまま育苗床
として使用することができる。
〈実施例〉 第1図に示すように、三層構造の浸出用シート1を製
造した。ここで、2はポリエステル製のスパンボンド不
織布からなる高融点不織布、3は芯層がポリエステルで
表層がポリエチレンの芯鞘構造の繊維で形成したカード
不織布からなる低融点不織布、4は低融点ポリエステル
製のカード不織布からなる接着用不織布であり、三層は
全面ヒートシールにより接合されている。
この浸出用シート1は、第2図に示すように、不織布
に形成されている高融点不織布2の上に、低融点ポリエ
ステル繊維がシート状に集合した綿様シート4Aと、芯鞘
構造繊維がシート状に集合した綿様シート3Aとを重ねて
ヒートローラ5に通すことにより形成される。すなわ
ち、綿様シート4Aと綿様シート3Aとをそれぞれ接着用不
織布4及び低融点不織布3に形成しながら三層をヒート
シールにより接合しており、この場合には約140℃で全
面ヒートシールを行っている。
次に、本実施例の浸出用シート1を用いてティーバッ
グを作成した。
浸出用シート1の低融点不織布3側を内側にして通常
のヒートシール機で120〜180℃の温度条件で製袋したと
ころ、シール板に不織布が付着することなく、作業性よ
く製袋が行えた。
また、かかるティーバッグを湯中で煮沸したところ、
各層間の剥離もなく、しかも、浸出性、風味の面でも問
題がなかった。
〈考案の効果〉 以上説明したように、本考案に係る浸出用シートは浸
出性が良好であると共に浸出液の風味も損わないもので
あり、しかも通常のヒートシール機で容易に製袋できる
ものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例に係る浸出用シートの構造を
示す説明図、第2図はその製造過程を示す説明図であ
る。 図面中、 1は浸出用シート、2は高融点不織布、3は低融点不織
布、3Aは綿様シート、4は接着用不織布、4Aは綿様シー
ト、5はヒートローラである。

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一部が融点230℃以上の合成樹
    脂からなる高融点不織布と、少なくとも一部が融点100
    〜170℃の合成樹脂からなる低融点不織布とを合せてヒ
    ートシールしてあることを特徴とする浸出用シート。
  2. 【請求項2】請求項1において、低融点不織布が、融点
    100〜170℃の合成樹脂からなる表層と該表層より高融点
    の芯層とで構成される合成繊維で形成されている浸出用
    シート。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、高融点不織布と
    低融点不織布との間に、高融点不織布及び低融点不織布
    の両者に対して接着性が高い合成樹脂を少なくとも一部
    に含む接着用不織布を設けてある浸出用シート。
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