JP3670736B2 - 刈払機の安全カバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転駆動せしめられる刈刃から人身を保護するために設けられる刈払機の安全カバーに係り、特に、刈り草を当該カバー周辺に詰まらせることなく効果的に外部に排除できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、刈払機は、図6及び図7にその先頭部(作業部分)の一例が示される如くに、操作杆8の先端側に、概略円形の刈刃20、概略扇形の安全カバー50、ギヤボックス22等からなる作業部3が設けられ、前記操作杆8の後端側には、図示は省略されているが、前記刈刃20を前記操作杆8に内挿されたドライブシャフト(図示省略)及び前記ギヤボックス22を介して駆動する動力源としての原動機(小型空冷2サイクルガソリンエンジン等)が配備されている。
【0003】
前記安全カバー50は、前記操作杆8の先端部付近に連結具24及びボルト26によって取着されており、図7をも参照すればよくわかるように、回転駆動せしめられる前記刈刃20の作業者に対面する側の上面を覆う概略扇形の上面ガード部52と、この上面ガード部52の外周側に前記刈刃20の周側を囲うように連設された周側ガード部53と、前記上面ガード部52における前記刈刃20の回転方向手前側の前記側端52aに前記刈刃20との隙間を縮小するように下向きに突設された草除け板部54と、からなっている。
【0004】
このような刈払機にあっては、安全鑑定基準に基づき、前記刈刃20(刃20a部分)の1/4以上をカバーで保護しておくことが要求される一方、刈刃20の露出面積がカバーによって減少せしめられるとそれだけ草刈り作業がしずらくなって作業効率が低下することになるので、通常は、前記概略扇形の安全カバー50の中心角を約90度にして、前記刈刃20を前記カバー50で略1/4だけ覆うようにされている。
【0005】
すなわち、図7に示される如くに、平面視で前記上面ガード部52の両側端52a,52bと前記刈刃20の回転外周線(刃20aの先端の回転軌跡)Hとの交点P,Qと前記刈刃20の回転軸線Oとをそれぞれ結ぶ法線R,R’(前記点P,Qを通る接線T、T’に垂直)がなす角度θは90度とされており、前記草避け板部54は前記法線R上、言い換えれば、前記接線Tに対して垂直に位置せしめられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の刈払機の安全カバー50では、前記草避け板部54が前記接線Tに対して垂直に位置せしめられていることから、前記草除け板部54に刈り草が当たっても図7の仮想線で示される如くにそれが外部にはね除けられず、そのまま前記カバー50の草除け板部54の下端54aと前記刈刃20との間に挟み込まれるれる等して詰まってしまうことが多々あった。
【0007】
このように、草が詰まると、刈刃20の回転が阻害されてその回転速度が低下し、刈刃20の回転速度が低下すると、さらに草が刈刃20及び安全カバー50に巻き付く等し、終には刈刃20の回転を止めてしまう事態が生じ、草刈り作業が難渋してしまう。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、刈り草を草除け板部で効果的に外部に排除することができ、草詰まり等を生じさせることなく円滑に草刈り作業を行うことのできる刈払機の安全カバーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る刈払機の安全カバーは、基本的には、回転駆動せしめられる刈刃の作業者に対面する側の上面を覆う概略扇形の上面ガード部と、この上面ガード部の外周側に前記刈刃の周側を囲うように連設された周側ガード部と、前記上面ガード部における前記刈刃の回転方向手前側の前面側端に前記刈刃との隙間を縮小するように突設された草除け板部とを備える。
【0009】
そして、平面視で前記前面側端と前記刈刃の回転外周線との交点と前記刈刃の回転軸線とを結ぶ法線に対し、前記草除け板部の下端が前記刈刃の回転方向手前側に突出せしめられるとともに、その突出量が外周から内周側に向かう程大きくされ、前記草除け板部が上板部と下板部とからなる蝶番構造を持ち、かつ、前記上板部は前記上面ガード部の前面側端に固定され、前記下板部は前記上板部に対して約180度開いた姿勢から前記刈刃の回転方向手前側には揺動可能とされているがその反対側には揺動できないようにされているもの、あるいは、前記草除け板部が前記上面ガード部より上方に突き出るように延設されている。
【0010】
このような構成とされた本発明に係る刈払機の安全カバーにおいては、草除け板部の下端が従来のものに比して前記刈刃の回転方向手前側に突出せしめられるとともに、その突出量が外周から内周側に向かう程大きくされている。言い換えれば、前記草除け板部の下端は平面視で前記法線に対して内周側程大きく離れるように傾斜せしめられている。
【0011】
そのため、刈り草は前記草除け板部に当たると効果的に外側に誘導され、その結果、草詰まり等を生じさせることなく円滑に草刈り作業を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る安全カバーの一実施形態が採用された刈払機1を示している。図示例の刈払機1は、U型ハンドル7を備え、このU型ハンドル7を支持する操作杆8の先端側に刈刃20、ギヤボックス22、安全鑑定に対応した本発明の一実施形態の安全カバー10等からなる作業部3が設けられ、後端側には、前記刈刃20を前記操作杆8に内挿されたドライブシャフト9及び前記ギヤボックス22を介して駆動する動力源としての、リコイルスターター6や燃料タンク4が付設された内燃機関(小型空冷2サイクルガソリンエンジン)2が配備されており、この内燃機関2にスロットル弁CVを有する気化器(図示省略)や点火プラグ5が備えられている。
【0013】
本発明の一実施形態の前記安全カバー10は、基本的には前述した図6,7に示される従来のものと同様に、前記操作杆8の先端部付近に連結具24及びボルト26によって取着されており、図2及び図3をも参照すればよくわかるように、回転駆動せしめられる前記刈刃20の作業者に対面する側の上面を覆う概略扇形の上面ガード部12と、この上面ガード部12の外周側に前記刈刃20の周側を囲うように連設された周側ガード部13と、前記上面ガード部12における前記刈刃20の回転方向手前側の前面側端12aに前記刈刃20の上面との隙間を縮小するように突設された草除け板部15とからなっている。この場合、該草除け板部15は内周側程その幅(高さ)が大きくされるとともに、前記刈刃20及び前面上面ガード部12に直交する面に対して内周側程大きく張り出し傾斜せしめられている。
【0014】
そして、ここでは、平面視(図3)で前記上面ガード部12の前面側端12aと前記刈刃20の回転外周線Hとの交点Pと前記刈刃20の回転軸線Oとを結ぶ法線Rに対し、前記上面ガード部12の前記前面側端12aの前記刈刃20上に位置する部分と、前記草除け板部15の下端15aが前記刈刃20の回転方向手前側に突出せしめられるとともに、その突出量が外周から内周側に向かう程大きくされている。
【0015】
すなわち、前記上面ガード部12の前面側端12aの前記刈刃20上に位置する部分は、前記法線Rに対して、前記点Pを基点として前記刈刃20の回転方向手前側(反時計回り)に角度α(例えば5°)だけ傾斜せしめられており、この上面ガード部12の前記前面側端12aに対して前記草除け板部15の下端15aが内周側程大きく離れるように傾斜せしめられている。
【0016】
なお、前記交点P,Qと前記刈刃20の回転軸線Oとをそれぞれ結ぶ法線R,R’(前記点P,Qを通る接線T、T’に垂直)がなす角度θは90度とされている。
このような構成とされた本実施形態の前記安全カバー10においては、前記草除け板部15の下端15aが従来のものに比して前記刈刃20の回転方向手前側に突出せしめられるとともに、その突出量が外周から内周側に向かう程大きくされ、言い換えれば、前記草除け板部15の前記下端15aは、平面視で前記法線Rに対して内周側程大きく離れるように傾斜せしめられているので、刈り草は前記草除け板部15に当たると、図3の仮想線で示される如くに効果的に外側に誘導され、その結果、草詰まり等を生じさせることなく円滑に草刈り作業を行うことができる。
【0017】
図4及び図5は本発明に係る安全カバーの第2実施形態を示している。図示例の安全カバー30は、基本的には前述した図2,3に示される第1実施形態(10)と同様に、前記操作杆8の先端部付近に連結具24及びボルト26によって取着されており、回転駆動せしめられる刈刃20の作業者に対面する側の上面を覆う概略扇形の上面ガード部32と、この上面ガード部32の外周側に前記刈刃20の周側を囲うように連設された周側ガード部33と、前記上面ガード部32における前記刈刃20の回転方向手前側の前面端部32aに前記刈刃20の上面との隙間を縮小するように取着された、上板部41と下板部42とからなる蝶番構造を持つ草除け板部40と、からなっている。
【0018】
この安全カバー30においても、特に図示はしないが、前述した実施例と同様に、平面視で前記上面ガード部32の前記前面側端32aと前記刈刃20の回転外周線Hとの交点Pと前記刈刃20の回転軸線Oとを結ぶ法線Rに対し、前記草除け板部40の下端45aが前記刈刃20の回転方向手前側に突出せしめられるとともに、その突出量が外周から内周側に向かう程大きくされている。
【0019】
それに加えて、本形態では、前記したように、前記草除け板部40が上板部41と下板部42とからなる蝶番構造を持ち、前記上板部41は前記上面ガード部32の前記前面側端32aにネジ45で固定され、かつ前記上面ガード部32より上方に突き出るように延設されており、また、前記下板部42には、前記前面側端部32aに衝接せしめられる回転止め部材44が設けられていて、前記下板部42は水平軸部43を支点として、前記上板部41に対して図5において実線で示した約180度開いた姿勢から前記刈刃20の回転方向手前側には揺動可能とされているが、その反対側には揺動できないようにされている。
【0020】
このような構成とされた本実施形態の安全カバー30においては、前述した第1実施形態と略同様な作用効果が得られることに加えて、前記草除け板部40が前記上面ガード部32より上方に突き出るように延設されているので、丈の長い刈り草でも効果的に外部に排除でき、草60が安全カバー30の上側に逃げて連結具24等に絡まる事態等を低減できる。なお、前記上面ガード部32より上方に突き出る部分は、脱着式として必要に応じて取り付けるようにしてもよい。
【0021】
また、前記草除け板部40を蝶番構造としたことにより、草刈り作業時に操作杆8の先頭部を振り上げれば、図5において仮想線で示される如くに、下板部42が軸部43を支点として揺動して上方へ開くので、刈刃20との間に大きな開口が形成され、カバー50内に入り込んでしまった刈り草を外部に容易に排除することができる。
【0022】
以上、本発明の二つの実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において、種々の変更ができるものである。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の刈払機の安全カバーによれば、草除け板部の下端が従来のものに比して前記刈刃の回転方向手前側に突出せしめられるとともに、その突出量が外周から内周側に向かう程大きくされているので、刈り草は前記草除け板部に当たると効果的に外側に誘導され、その結果、草詰まり等を生じさせることなく円滑に草刈り作業を行うことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の安全カバーが採用された刈払機を示す斜視図。
【図2】図1に示される刈払機の安全カバー及びその周辺を示す斜視図。
【図3】図1に示される刈払機の安全カバー及びその周辺を示す平面図。
【図4】本発明の第2実施形態の安全カバー及びその周辺を示す斜視図。
【図5】図4のV−V矢視要部拡大断面図。
【図6】従来の刈払機の安全カバー及びその周辺を示す斜視図。
【図7】図6に示される刈払機の安全カバー及びその周辺を示す平面図。
【符号の説明】
10 安全カバー(第1実施形態)
12 上面ガード部
12a 前面側端
13 周側ガード部
15 草除け板部
15a 下端
20 刈刃
H 回転外周線
P,Q,交点
0 回転軸線
R 法線
30 安全カバー(第2実施形態)
32 上面ガード部
32a 前面側端
33 周側ガード部
40 草除け板部
41 上板部
42 下板部
Claims (2)
- 回転駆動せしめられる刈刃(20)の作業者に対面する側の上面を覆う概略扇形の上面ガード部(12、32)と、この上面ガード部(12、32)の外周側に前記刈刃(20)の周側を囲うように連設された周側ガード部(13、33)と、前記上面ガード部(12、32)における前記刈刃(20)の回転方向手前側の前面側端(12a、32a)に前記刈刃(20)との隙間を縮小するように突設された草除け板部(15、40)とを備えた刈払機(1)の安全カバー(10、30)であって、
平面視で前記前面側端(12a、32a)と前記刈刃(20)の回転外周線(H)との交点(P)と前記刈刃(20)の回転軸線(O)とを結ぶ法線(R)に対し、前記草除け板部(15、40)の下端(15a)が前記刈刃(20)の回転方向手前側に突出せしめられるとともに、その突出量が外周から内周側に向かう程大きくされ、
前記草除け板部(40)が上板部(41)と下板部(42)とからなる蝶番構造を持ち、かつ、前記上板部(41)は前記上面ガード部(32)の前面側端(32a)に固定され、前記下板部(42)は前記上板部(41)に対して約180度開いた姿勢から前記刈刃(20)の回転方向手前側には揺動可能とされているがその反対側には揺動できないようにされていることを特徴とする刈払機の安全カバー。 - 前記草除け板部(40)が前記上面ガード部(32)より上方に突き出るように延設されていることを特徴とする請求項1に記載の刈払機の安全カバー。
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1995
- 1995-11-14 JP JP29553095A patent/JP3670736B2/ja not_active Expired - Fee Related
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