JP3670103B2 - 高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途 - Google Patents

高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP3670103B2
JP3670103B2 JP04114797A JP4114797A JP3670103B2 JP 3670103 B2 JP3670103 B2 JP 3670103B2 JP 04114797 A JP04114797 A JP 04114797A JP 4114797 A JP4114797 A JP 4114797A JP 3670103 B2 JP3670103 B2 JP 3670103B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
taste
nigerooligosaccharide
intensity
sweeteners
sweetener
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP04114797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10234331A (ja
Inventor
西 豊 小
内 桂 二 出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Brewery Co Ltd, Nihon Shokuhin Kako Co Ltd filed Critical Kirin Brewery Co Ltd
Priority to JP04114797A priority Critical patent/JP3670103B2/ja
Priority to CNB988037297A priority patent/CN1136790C/zh
Priority to AU56788/98A priority patent/AU5678898A/en
Priority to KR10-1999-7006917A priority patent/KR100469650B1/ko
Priority to PCT/JP1998/000362 priority patent/WO1998033396A1/ja
Publication of JPH10234331A publication Critical patent/JPH10234331A/ja
Priority to HK00106186A priority patent/HK1027723A1/xx
Application granted granted Critical
Publication of JP3670103B2 publication Critical patent/JP3670103B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【0001】
〔発明の背景〕
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する、高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途、具体的には、高甘味度甘味料を含有し経口摂取可能な全ての飲食物に上記ニゲロオリゴ糖を添加することにより、高甘味度甘味料の有する異味や苦味等を低減せしめ味質改善を促す、高甘味度甘味料の味質改良方法、および上記ニゲロオリゴ糖を含んでなる高甘味度甘味料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蜂蜜と果物等の飲食を通じて、我々人類が「好ましい味覚」として甘味を体験・認識し始めたのは、氷河時代以降であると言われており、他の基本味である酸味、苦味等に比べて、甘味は嗜好性の高い、歴史的により進化した味覚であると言える。甘味料の中では、蜂蜜が最も古いものであるが、さとうきびを原料とする砂糖を筆頭に、他のでんぷん原料からの単糖やオリゴ糖、糖アルコール、合成甘味料及び非糖質甘味料等々、今までに様々な甘味料が開発されてきている。
現存甘味料を大別すると、砂糖、ブドウ糖、フラクトース、マルトース、キシロース等の天然甘味料、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール、グリチルリチン、ステビオサイド等の配糖体及びその誘導体、アスパルテーム、グリシン等のアミノ酸及びペプチド、モネリン等の蛋白質、パラチノース、フラクトオリゴ糖、パラチニット等の糖転移酵素による各種オリゴ糖及び糖アルコール、その他のサッカリン、シュクラロース、アセスルファムK等の純化学合成品等に分類されるが、歴史的に最も古い甘味料である砂糖が良好な味質を有しているために、現在でも最も広く普及しているのが現状である。しかし、昨今の栄養過剰による身体の肥満化、不調に起因する成人病の増大への対応として消費者の健康食品志向が高揚しつつあり、低カロリー甘味料代替による砂糖摂取量の低減化が顕著に進行している。
【0003】
低カロリー甘味料の中でも、例えばアスパルテーム、ステビア、サッカリン、グリチルリチン、シュクラロース及びアセスルファムK等の、砂糖に比べて極めて高い甘味度を有する、いわゆる高甘味度甘味料は、低カロリー、ダイエット甘味料に適しており、徐々に消費者に認知され各種の飲食品に利用されてきている。しかしながら、上記高甘味度甘味料の多くは後味を引く持続的な甘味を有すると共に、独特な苦味や異味を併せ持つために嗜好性が低く、また独特の苦味、異味及び刺激味等は、高甘味度甘味料単独で飲食する場合のみならず、飲食品に含有される他の成分との相互作用により、より顕著に誘起されることも多いために、その使用飲食品の種類、使用量及び使用方法等に大きな制約が生じていた。
【0004】
上述の高甘味度甘味料の味質改善については、幾つかの改良法が提案されている。例えば、ヘスペリジン及び誘導体(特開平8-256725号公報)、ミョウバンやナリンジン(特開昭52-90667号公報)、グルタミン酸ナトリウム(特開昭56-148256 号公報)、グリシン, アラニン或はセリン(特開昭57-63068号公報)、アスコルビン酸(特開昭58-141760 号公報、特開昭60-114167 号公報)、有機酸(特公平5-981 号公報)、フラボン誘導体(特開平6-335362号公報)を添加・共存せしめ、味質改良を試みた報告がなされてきた。しかしながら、従来の味質改良剤は、好ましからざる持続的甘味の味質改良効果を有していても、特に高甘味度甘味料の有する異味や苦味等の味質改良に関しては不十分であり、またそれ自体の有する物性及び味質等により、使用量及び使用方法が限定されたり、或は比較的高価なために、異味や苦味等の味質改良効果を有していても、安定的且つ経済的に安価な味質改良剤として使用することができない等の問題を抱えており、これら問題点を解決する新たな味質改良剤が強く望まれていた。
【0005】
〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術が抱える問題点を踏まえ、特に高甘味度甘味料の有する異味や苦味等の味質を低減させかつ各種飲食品の風味を高めると共に、安全性及び経済性を有し、より健康的な素材を用いて、経口摂取可能な飲食品に広く利用可能な高甘味度甘味料の味質改良剤並びに高甘味度甘味良の味質改良方法および高甘味度甘味料組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ニゲロオリゴ糖を適量添加することによって、高甘味度甘味料単品並びに各種飲食品中に含有されている高甘味度甘味料の有する異味や苦味等を低減せしめ味質改善が可能となり、併せてニゲロオリゴ糖が高甘味度甘味料を含有する各種飲食品の風味を高めて嗜好性を向上させるのに極めて有用であることを見出し、この知見をもとに本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する高甘味度甘味料の味質改良剤である。
また本発明は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する味質改良剤を、高甘味度甘味料を含有する飲食品(甘味料単品の場合も包含する)に添加することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質改良方法である。
更に本発明は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する味質改良剤と、高甘味度甘味料とを含むことを特徴とする高甘味度甘味料組成物である。
【0007】
〔発明の具体的説明〕
【発明の実施の形態】
本発明において、高甘味度甘味料の味質改良剤は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有するものであり、また高甘味度甘味料の味質改良方法は、高甘味度甘味料単品または高甘味度甘味料を含有する経口摂取可能な全ての飲食品にニゲロオリゴ糖を添加することを特徴とするものであり、更に高甘味度甘味料組成物は、ニゲロオリゴ糖と高甘味度甘味料とを含むものであることは上記した通りであり、安全性及び経済性を有した高甘味度甘味料の味質改良剤であるニゲロオリゴ糖の使用により、高甘味度甘味料の有する異味や苦味等を低減せしめ味質改善が可能となり、併せて各種の高甘味度甘味料含有飲食品の風味を高めて嗜好性を向上させることを可能とするものである。
【0008】
本発明味質改良剤の有効成分であるニゲロオリゴ糖は、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースなどのように、少なくとも1つ以上のαー1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上のオリゴ糖を意味し、好ましくはグルコース重合度2〜10のオリゴ糖、より好ましくは重合度2〜7のオリゴ糖である。また本発明において、味質改良剤としてのニゲロオリゴ糖は、α−1,3グルコシド結合のみからなるオリゴ糖の他に、α−1,3グルコシド結合とそれ以外の結合(例えばα−1,1、α−1,2、α−1,4、α−1,6グルコシド結合など)とからなるオリゴ糖も包含するものである。
【0009】
ニゲロオリゴ糖は、合目的的な任意の方法により製造することができるが、具体的には下記のような公知の方法によって調製することができる。
例えば、M.Stacey and J.M.Webber:Methods in Carbohydrate Chemistry,I,339-341,Academic Press(1962 )には、微生物の生産する多糖類である、ニゲラン、エルシナン等を基質として、酵素或いは酸類などを用いて加水分解してニゲロオリゴ糖を製造する方法が提案されている。また公知のα−グルコシダーゼの糖転移・縮合反応を用いてニゲロースを調製する方法も知られている(金谷憲一他,日本農芸化学会誌,53, 385 - 390 (1979)、 H.Fujimoto et al., Agric. Biol.Chem., 52, 1345 - 1351 (1988) など)。
更に、特開平3-22958 号公報には、澱粉加水分解物に、サイクロデキストリン生成酵素を作用させてニゲロースを製造する方法が開示されている。その他に、α−1,4グルコシド結合したポリサッカライドまたはオリゴサッカライドを含む基質にα−1,3グルコシド結合をもたらす糖転移酵素のうち1種または2種以上、具体的にはAcremonium属に属し、α−1,3結合をもたらす糖転移酵素を生産する真菌、例えばAcremonium sp. S4G13 ( FERM BP-4373 ) を常法に従い、培養することによって調製される糖転移酵素を作用させてニゲロオリゴ糖を製造する方法も開示されている(特開平7-59559 号公報)。
本発明による高甘味度甘味料の味質改良剤として使用するニゲロオリゴ糖は、いずれの方法で調製されたものでも良く、上記の方法に限定されない。ただし、現在までに知られている方法の中で最も経済的な面で優れていると考えられるのは、上記特開平7-59559 号公報に記載された糖転移酵素(ニゲロオリゴ糖生成酵素)を用いた方法であり、本発明においてもこの方法に従って調製したニゲロオリゴ糖を使用するのが好ましい(後記実施例)。
【0010】
本発明の味質改良剤における「ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する」の「有効成分として含有する」とは、ニゲロオリゴ糖の他にその味質改良作用に悪影響を与えない他の成分が含まれていてもよいことを意味する。
すなわち、上述のような方法で調製した糖類(シラップ)中には、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトース等のように、少なくとも1種以上のα−1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上のオリゴ糖(ニゲロオリゴ糖)の他に、グルコース等の単糖類、α−1,3結合以外の結合からなる各種オリゴ糖(マルトース等)或いはデキストリンなども含有している場合があるが、ニゲロオリゴ糖が含有されていれば、本発明に使用可能である。また、ニゲロオリゴ糖がニゲロース単独であってももちろん使用できる。ニゲロースは重合度が高い他のニゲロオリゴ糖に比べて本発明効果が高いため、より低濃度でも効果を示す。
なお、本発明による味質改良剤は、重合度の異なる混合オリゴ糖を含むものであってもよいし、必要に応じて所望の単一重合度を有するオリゴ糖を分離(クロマト分画法などによる)して用いることもできる。また、味質改良剤の形態は上述の方法で得られるようなシロップ状の他、凍結乾燥状、粉末状、顆粒状など任意の形態でありうることはいうまでもない。
【0011】
本発明に用いる高甘味度甘味料とは、砂糖に比べて極めて高い甘味度を有する一方で、独特な苦味や異味を併せ持つために嗜好性が低く、その用途が著しく限定されているものであれば特に限定されるものではなく、例えばアスパルテーム(アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル)、ステビア(ステビオシド)、サッカリン、グリチルリチン及びアセスルファムK等が好ましい例として挙げられる。
【0012】
また、本発明において高甘味度甘味料を含有する飲食品とは、上述のように味質に問題点を抱えている高甘味度甘味料を含有し、経口摂取可能な飲食品であれば特に限定されるものではなく、例えば各種甘味料(任意の形態の高甘味度甘味量製品)、コーヒー、紅茶、清涼飲料等の飲料類、キャンディ、チョコレート、クッキー、ビスケット、羊羹、きんつば等の和洋菓子類、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品類、漬物類、ドレッシングやたれ等の調味料類等が挙げられる。これらの飲食品中の高甘味度甘味料の含量は、一般に、甘味料あるいは飲食品の種類、製法及び味付け等によって多様である。
【0013】
本発明の味質改良方法において、高甘味度甘味料を含有する飲食品へのニゲロオリゴ糖の添加方法は、高甘味度甘味料とニゲロオリゴ糖とが共存する状態となる条件のものであれば特に限定されるものではない。例えば、ニゲロオリゴ糖を、基礎となる飲食品素材加工中に高甘味度甘味料と同時に添加しても、或いは基礎食品の加工終了後に添加しても良く、各種飲食品の製造工程の実状に適した添加方法を用いれば良い。
【0014】
高甘味度甘味料を含有する飲食品に添加するニゲロオリゴ糖の量は、基本的には本発明におけるニゲロオリゴ糖の味質改良剤としての作用、すなわち高甘味度甘味料の有する異味や苦味等の好ましくない味質を低減して飲食品の風味を向上させる作用を発揮する量であればよい。
具体的には、飲食品に含まれている高甘味度甘味料の種類および量あるいは飲食品の種類などにも左右されるが、一般に、甘味度に換算して砂糖100 重量部に相当する各種高甘味度甘味料に対して0.5 〜1000重量部、好ましくは0.5 〜250 重量部添加することが望ましい。したがって、市販に入手可能な高甘味度甘味料は、製法や配合組成(フレーバー等の付随添加物)等により甘味度に差異があるが、一般に例えばアスパルテームの場合には、アスパルテーム100 重量部に対して100 〜2000重量部、好ましくは100 〜500 重量部、ステビアの場合には、ステビア100 重量部に対して75〜1500重量部、好ましくは75〜375 重量部、サッカリンの場合には、サッカリン100 重量部に対して200 〜4000重量部、好ましくは200 〜1000重量部、グリチルリチンの場合には、グリチルリチン100 重量部に対して100 〜2000重量部、好ましくは100 〜500 重量部、アセスルファムKの場合には、アセスルファムK100 重量部に対して60〜1200重量部、好ましくは60〜300 重量部、のニゲロオリゴ糖を添加する。更に、ニゲロオリゴ糖がニゲロース単独の場合においては、前述のように他のニゲロオリゴ糖よりも本発明効果が高いので、甘味度に換算して砂糖100 重量部に相当する各種高甘味度甘味料に対して、0.1 〜200 重量部添加することがより好ましい。
【0015】
なお、本発明の高甘味度甘味料の味質改良方法には、従来より味質改善の目的でその使用が試みられてきた、ヘスペリジン及び誘導体、ミョウバンやナリンジン、グルタミン酸ナトリウム、グリシン, アラニン或はセリン、アスコルビン酸、有機酸、フラボン誘導体等を所望に応じて添加・併用しても良いことはいうまでもない。
【0016】
本発明による高甘味度甘味料組成物は、味質改良剤としてのニゲロオリゴ糖と高甘味度甘味料とを含むものであることは前記したところである。本発明組成物における高甘味度甘味料とニゲロオリゴ糖との配合比は、本発明の味質改良方法において上述したように、甘味度換算で相当する砂糖に対して一般に100:0.5〜100:1000、好ましくは100:0.5〜100:250であり、ニゲロオリゴ糖がニゲロース単独の場合には、100:0.1〜100:200が好ましい。
また、本発明組成物には、前述のように従来より味質改善の目的でその使用が試みられてきた、ヘスペリジン及び誘導体、ミョウバンやナリンジン、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、アラニン或はセリン、アスコルビン酸、有機酸、フラボン誘導体等、その他、例えば着香の目的でフレーバー等が所望に応じて添加配合されていてもよい。また、従来より利用されているぶどう糖、果糖、砂糖やその他のオリゴ糖、糖アルコールなどの甘味料等を併用してもよい。
本発明による高甘味度甘味料組成物は、通常の高甘味度甘味料の有する異味や苦味等の好ましくない味質が低減された高甘味度甘味料として、あるいは各種飲食品の嗜好性を高める甘味料として有用である。
【0017】
本発明において、上述のようなニゲロオリゴ糖添加による味質改善の作用機作は充分解明されていないが、ニゲロオリゴ糖が濃厚且つ芳醇な独特の味質を持った甘味料であるために、高甘味度甘味料の有する異味や苦味等を低減せしめ味質改善を促すことに起因すると考えられる。
本発明においては、安全性、経済性を有するニゲロオリゴ糖を経口摂取可能な全ての高甘味度甘味料含有飲食物に添加することにより、高甘味度甘味料の有する異味や苦味等を低減せしめると共に各種飲食物の風味を高め、極めて簡便に味質改善を促進することが可能である。
【0018】
【実施例】
以下は、実施例により本発明について更に具体的に説明するものであるが、当該実施例の内容により本発明の技術的範囲が限定解釈されるべきではない。
〔実施例1〕
固形分30重量%のマルトース溶液を基質とし、特開平7-59559 号公報記載の方法で調製したアクレモニウム属の菌株(FERM BP-4373)が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を、1単位/g基質の量で添加して、pH7、55℃の条件下で48時間反応させてニゲロオリゴ糖シラップを調製した。得られたニゲロオリゴ糖シラップの糖組成を表1に示した。
なお、ニゲロオリゴ糖生成酵素の酵素活性は、pH7.0 の20mMリン酸緩衝液に、マルトースを0.66重量%濃度で溶解させたマルトース溶液0.75mlに、0.25mlの酵素溶液を加えて、37℃で反応させた際に、基質のマルトースから1 分間に1 μmol のグルコースを生成する酵素量を1 単位と定義した。
【0019】
〔実施例2〕
コーンスターチを常法によりα−アミラーゼを用いて液化させ、濃度30重量%、グルコース当量7の澱粉糖化液を調製した。
次いでこの澱粉糖化液にpH5に調製した後、原料とした澱粉1重量部に対して0.001 重量部のβ−アミラーゼ(商品名”β−アミラーゼ1500”、ナガセ生化学工業株式会社製)と、0.0001重量部のイソアミラーゼ(林原生化学研究所株式会社)とを添加して、55℃下に、24時間反応させて基質を得た。
その後、この基質に、特開平7-59559 号公報記載の方法で調製したアクレモニウム属の菌株(FERM BP-4373)が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を0.8 単位/g基質の量で添加して、55℃下に48時間反応させてニゲロオリゴ糖含有シラップを調製した。得られたニゲロオリゴ糖シラップの糖組成を表1に示した。
【0020】
【表1】
Figure 0003670103
*表中の数値は、糖固形分当たりの重量%を示す。また、三糖類、四糖類以上の糖類中の括弧内は、糖固形分当たりのニゲロオリゴ糖含量を示している。
よって、ニゲロオリゴ糖合計は、ニゲロース、三糖類、四糖類以上のニゲロオリゴ糖の合計量である。
【0021】
〔実施例3〕
アスパルテーム(砂糖の約200 倍の甘味度)を以下に示した砂糖濃度相当の甘味度になるように調製し、実施例2で調製したニゲロオリゴ糖シラップを添加して、異味や苦味等を低減せしめ味質改善を促進する効果について、10名のパネルで官能評価を実施した。
【0022】
【表2】
Figure 0003670103
Figure 0003670103
【0023】
〔実施例4〕
サッカリンナトリウム(砂糖の約400 倍の甘味度)を以下に示した砂糖濃度相当の甘味度になるように調製し、実施例2で調製したニゲロオリゴ糖シラップを添加して、異味や苦味等を低減せしめ味質改善を促進する効果について、10名のパネルで官能評価を実施した。
【0024】
【表3】
Figure 0003670103
Figure 0003670103
【0025】
〔実施例5〕
実施例2で調製したニゲロオリゴ糖シラップを用いて、0.1%アスパルテーム溶液を基準に0.1%アスパルテーム-1%ニゲロオリゴ糖溶液(B)及び0.1%アスパルテーム-1%イソマルトオリゴ糖(パノリッチ、日本食品化工株式会社製)溶液(C)の味質について、10名のパネラーで官能評価を実施した。結果を表4に示した。
【0026】
〔実施例6〕
実施例2で調製したニゲロオリゴ糖シラップを用いて、0.1%アスパルテーム溶液を基準に0.1%アスパルテーム-5%ニゲロオリゴ糖溶液(B)及び0.1%アスパルテーム-5%イソマルトオリゴ糖(パノリッチ、日本食品化工株式会社製)溶液(C)の味質について、10名のパネラーで官能評価を実施した。結果を表4に示した。
【0027】
〔実施例7〕
実施例5と同様に、0.05% サッカリンナトリウム溶液を基準に0.05% サッカリンナトリウム-1%ニゲロオリゴ糖溶液(B)及び0.05% サッカリンナトリウム-1%イソマルトオリゴ糖(パノリッチ、日本食品化工株式会社製)溶液(C)の味質について、10名のパネラーで官能評価を実施した。結果を表5に示した。
【0028】
〔実施例8〕
実施例5と同様に、0.05% サッカリンナトリウム溶液を基準に0.05% サッカリンナトリウム-5%ニゲロオリゴ糖溶液(B)及び0.05% サッカリンナトリウム-5%イソマルトオリゴ糖(パノリッチ、日本食品化工株式会社製)溶液(C)の味質について、10名のパネラーで官能評価を実施した。結果を表5に示した。
【0029】
【表4】
Figure 0003670103
備考;基準を同等(0)として、強い異味・苦味有或は極めて不快(−2)〜強い異味・苦味改善効果有或は極めて良好(+2)までの連続的官能評価を実施し、パネル(10名)の評価の平均を示した。
【0030】
【表5】
Figure 0003670103
備考;基準を同等(0)として、強い異味・苦味有或は極めて不快(−2)〜強い異味・苦味改善効果有或は極めて良好(+2)までの連続的官能評価を実施し、パネル(10名)の評価の平均を示した。
【0031】
〔実施例9〕
紅茶400ml にアスパルテーム0.1g或はサッカリンナトリウム0.05g を加え、更にニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)1gを添加した紅茶飲料は、アスパルテーム及びサッカリンナトリウムの異味が軽減され、嗜好性の高いものであった。
【0032】
〔実施例10〕
卵黄18g 、アスパルテーム0.15g 或はサッカリンナトリウム0.075gに、ニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)2.5gを添加した後、薄力粉12g 、牛乳250ml を加え、ハンドミキサーにより充分撹袢・混合してカスタードクリームを調製した。ニゲロオリゴ糖無添加区と比べて、アスパルテーム及びサッカリンナトリウムの異味が軽減され、良好な味質のカスタードクリームであった。
【0033】
〔実施例11〕
アスパルテーム0.4g或はサッカリンナトリウム0.2gにニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)10g 、全卵4 個(Mサイズ)を添加して予備撹袢した。更に、薄力粉100g、バター30g 、牛乳15mlを添加・撹袢し、混練した生地をケーシングしてオーブン(約150 ℃)で焼成してスポンジケーキを調製した。ニゲロオリゴ糖無添加区と比べて、アスパルテーム及びサッカリンナトリウムの異味が軽減され、こくのある良好な味質であった。
【0034】
〔実施例12〕
溶解させたショートニング6g、全卵10g と卵黄6g、食塩0.5g、水15ml及びスキムミルク1ml に対してアスパルテーム0.18g 或はサッカリンナトリウム0.09g を加え、更にニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)2gを添加した後、薄力粉55g を加えて混練し、成型した後サラダ油で揚げ(約160 〜170 ℃)ドーナツを調製した。まろやかで、良好な甘味のドーナツであった。
【0035】
〔実施例13〕
牛乳147.6g、硬化ヤシ油10g 、パインデックス#2 (松谷化学社製) 10g、アルギン酸ソーダ2g、グリセリン脂肪酸エステル0.4gにアスパルテーム0.18g 或はサッカリンナトリウム0.09g を加え、更にニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)2gを添加した後、約40℃に加温しながら撹袢・混合させてフリーザー(約-20 ℃)にて凍結した。30分毎に室温下で撹袢・混合することを3 回実施し、アイスクリームを調製した。ニゲロオリゴ糖無添加区と比べて、アスパルテーム及びサッカリンナトリウムの異味が軽減され、良好な味質で適度なオーバーランを呈していた。
【0036】
〔実施例14〕
水300ml に寒天4gを加熱溶解させ、アスパルテーム0.2g或はサッカリンナトリウム0.1gを加えて煮詰めた。更に、生あん160gとアスパルテーム0.4g或はサッカリンナトリウム0.2gとニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)5gを添加した後、約40℃に冷却しケーシングして水羊羹を調製した。ニゲロオリゴ糖無添加区と比べて、アスパルテーム及びサッカリンナトリウムの異味が軽減され、良好な風味の水羊羹であった。
【0037】
〔実施例15〕
(高甘味度甘味料組成物の調製)
アスパルテーム2g、72%(w/w )ニゲロオリゴ等シラップ(実施例2調製)20g と65%(w/w )砂糖溶液3000g を混合して、高甘味度甘味料組成物を調製した。この高甘味度甘味料はニゲロオリゴ等無添加区と比べてアスパルテームの異味が軽減され、良好な味質であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する飲食品にニゲロオリゴ糖を添加することにより、効果的に高甘味度甘味料の有する異味や苦味等の好ましくない味質を低減せしめかつ各種飲食品の風味を高めると共に、高甘味度甘味料の味質を簡便で安価に改良することができる。

Claims (6)

  1. ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質改良剤。
  2. ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する味質改良剤を、高甘味度甘味料を含有する飲食物に添加することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質改良方法。
  3. 高甘味度甘味料がアスパルテーム、サッカリン、ステビア、アセスルファムK及びグリチルリチンからなる群より選択される1種以上の甘味料である、請求項2に記載の高甘味度甘味料の味質改良方法。
  4. ニゲロオリゴ糖が、α‐1,4グルコシド結合したポリサッカライドまたはオリゴサッカライドにニゲロオリゴ糖生成酵素を作用させて調製したものである、請求項2または3に記載の高甘度甘味料の味質改良方法。
  5. ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する味質改良剤と、高甘味度甘味料とを含むことを特徴とする、高甘味度甘味料組成物。
  6. 高甘味度甘味料がアスパルテーム、サッカリン、ステビア、アセスルファムK及びグリチルリチンからなる群より選択される1種以上の甘味料である、請求項5に記載の高甘味度甘味料組成物。
JP04114797A 1997-01-31 1997-02-25 高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途 Expired - Lifetime JP3670103B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04114797A JP3670103B2 (ja) 1997-02-25 1997-02-25 高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途
CNB988037297A CN1136790C (zh) 1997-01-31 1998-01-29 食品改良剂及其用途
AU56788/98A AU5678898A (en) 1997-01-31 1998-01-29 Food improvers and uses thereof
KR10-1999-7006917A KR100469650B1 (ko) 1997-01-31 1998-01-29 식품 개량제 및 그의 용도
PCT/JP1998/000362 WO1998033396A1 (fr) 1997-01-31 1998-01-29 Renforcateurs alimentaires et utilisations de ces agents
HK00106186A HK1027723A1 (en) 1997-01-31 2000-09-28 Food improvers and uses thereof.

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04114797A JP3670103B2 (ja) 1997-02-25 1997-02-25 高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10234331A JPH10234331A (ja) 1998-09-08
JP3670103B2 true JP3670103B2 (ja) 2005-07-13

Family

ID=12600315

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04114797A Expired - Lifetime JP3670103B2 (ja) 1997-01-31 1997-02-25 高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3670103B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4166937B2 (ja) * 2000-12-11 2008-10-15 長谷川香料株式会社 新規粉末素材
EP2215914B1 (en) 2007-11-12 2013-04-24 San-Ei Gen F.F.I., INC. Method of improving sweetness qualities of stevia extract
JP5525210B2 (ja) 2009-08-27 2014-06-18 小川香料株式会社 高甘味度甘味料の呈味改善剤
JP6316599B2 (ja) * 2014-01-17 2018-04-25 花王株式会社 容器詰乳入りコーヒー飲料

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10234331A (ja) 1998-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7186431B1 (en) Sweetening compositions and foodstuffs comprised thereof
JP3602989B2 (ja) 脂肪代替食品
JP5859191B2 (ja) 高甘味度甘味料に対する呈味改良組成物およびその応用
JP4232023B2 (ja) 呈味改良組成物及びその応用
EP1210880B1 (en) Compositions containing sucralose and application thereof
US3957976A (en) Methods for reducing cholesterol levels
EP0415720A2 (en) Beta-glucooligosaccharide-containing composition, and method of improving intestinal flora
EP1629730A1 (en) Functional sugar replacement
JP2001507222A (ja) 極めて強力な甘味料の混合物の甘味力を向上させそして味を向上させる方法
KR19990006530A (ko) 수크로오스의 뒷맛 개선방법 및 그 용도
CN105338833A (zh) 改良的甜味剂
CN105307506A (zh) 改良的甜味剂
JPH10276712A (ja) 甘味組成物の製造方法
JP2023504253A (ja) 高繊維、低糖質の水溶性食物繊維、それらを含む生成物、及びそれらの製造方法と使用方法
JP3508127B2 (ja) 甘味付与方法及び甘味料
JP2632843B2 (ja) 甘味料組成物
CA2273277C (en) The use of oligosaccharides to increase the sweetness and improve the taste of an acesulfame-k/aspartame mixture
JP4217851B2 (ja) ビートオリゴ糖による甘味質の改善
JP3670103B2 (ja) 高甘味度甘味料の味質改良剤並びにその用途
CN108289486A (zh) 用于改善包含甜味低消化性碳水化合物的食品和饮品的胃肠耐受性的方法
JP2933975B2 (ja) 飲食品の甘味強化方法
JP4271385B2 (ja) 甘味料組成物及び該組成物を含有する可食性製品並びに甘味増強方法。
JP4982716B2 (ja) 糖質混合物とその製造方法並びに用途
JP3020583B2 (ja) β―グルコオリゴ糖の苦味除去法
EP1290952A1 (en) Compositions for taking dietary fibers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050318

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080422

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080422

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090422

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090422

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100422

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110422

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120422

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120422

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120422

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130422

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140422

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term