JP3669182B2 - 微生物数測定装置及び微生物数測定方法 - Google Patents

微生物数測定装置及び微生物数測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶液中の微生物数を測定するための微生物数測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶液中の微生物数を測定する方法として特開昭57−50652に記載されたもの等の多数の技術が知られている。
【0003】
しかし、従来の技術による微生物数の測定方法は、試料液に専用の薬剤、例えば酵素や色素を投入して生化学反応を起こさせ、その反応経過または結果を蛍光や発光によって測定するものであり、測定感度は比較的高いが微生物分野及び生化学分野に関する専門知識が必要であったり、また専用で高価な大型の測定装置が必要となり、さらには専任者による作業が必要となる等、とても一般的かつ簡易に微生物数を測定することができるものではなかった。
【0004】
そこで、特開昭59−91900に記載されたものをはじめとする、物理的手段のみを使い、薬剤を一切用いないで、小型で、試料系に組み込んでの自動測定が可能な、簡易な微生物数検出装置が提案されたが、微生物数が10の8乗cells/ml(1ml中に微生物数が1億個)以上にならないと検出できないためその応用範囲に著しい制限が加えられていた。
【0005】
このように、従来の技術による微生物数測定装置で測定感度を上げるためには、何らかの薬剤の使用や、専用の測定装置,専門知識を持った専任者による操作が必要であった。また薬剤を使用しない簡易型の装置では、専任者を必要とせず測定が可能になるが、微生物数が非常に多くないと測定が難しく、低感度の測定器しか得られないし、微生物を移動させて局部的に濃度を上げて感度を向上させたくても簡易でメンテナンスフリーな手段がないという問題があった。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
そこでこれらの問題を解決するため本発明は、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、簡易で高感度な測定ができ、自動測定が可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置及び微生物数測定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の微生物数測定装置は、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間のインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果を演算して微生物数を算出する演算部と、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された薄膜電極が含まれていることを特徴とする。
【0008】
これにより、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、簡易で高感度な測定ができ、自動測定が可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載された発明は、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算して微生物数を算出する演算部と、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端線に電界が集中することを特徴とする微生物数測定装置であるから、微生物数の少ない試料においても微生物を電極付近に集中させた後に電気的な手段によって微生物数を測定することができるため、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、小型、容易で高感度な測定ができる。
【0010】
請求項2に記載された発明は、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算して微生物数を算出する演算部と、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された所定厚みの薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端面に電界が集中することを特徴とするから、微生物数の少ない試料においても微生物を電極付近に集中させた後に電気的な手段によって微生物数を測定することができるため、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、小型、簡易で高感度な測定ができる。
【0011】
請求項3に記載された発明は、インピーダンスを測定する電極が薄膜電極を含む複数組の電極であって、前記複数組の電極は異なるインピーダンスをもち、それぞれの測定結果を演算部が比較することにより微生物数を算出することを特徴とするから、複数の電極における電気特性を総合的に評価して微生物数を算出することができ、ダイナミックレンジの広い測定を行なうことができる。
【0012】
請求項4に記載された発明は、インピーダンスを測定する電極が薄膜電極を含む複数組の電極であって、前記複数組の電極は同一のものからなり、それぞれの測定結果を演算部が比較することにより微生物数を算出することを特徴とするから、複数の電極の組における測定結果を総合的に評価して微生物数を算出することができ、精度の高い測定を行なうことができる。
【0013】
請求項5に記載された発明は、インピーダンスを測定する電極が薄膜電極を含む複数組の電極であって、前記複数組の電極は同一のものからなり、所定時間内に微生物の移動でインピーダンスが変化した電極の数を測定手段が計数することにより微生物数を算出することを特徴とするから、微生物濃度が低くても高感度な測定ができ、自動測定が可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0014】
請求項6に記載された発明は、測定部がインピーダンスを測定するとき、制御手段が誘電泳動力を発生するための電圧の印加を停止することを特徴とするから、ノイズの少ない状態で高精度の測定を行なうことができる。
【0015】
請求項7に記載された発明は、電極が絶縁薄膜で被覆されていることを特徴とするから、電極に微生物又はゴミ等が付着することがなく繰り返し安定性の高い、洗浄性の良い電極を構成することができ、高感度で使い勝手の良い微生物数測定装置を提供することができる。
【0016】
請求項8に記載された発明は、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算する演算手段と、演算結果から測定値と微生物数との関係を予め演算しメモリした換算テーブルと、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端線に電界が集中することを特徴とする微生物数測定装置であるから、微生物数の少ない試料においても微生物を電極付近に集中させた後に電気的な手段によって微生物数を測定することができるため、装置を小型、簡易な構造にでき、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、迅速かつ高感度な測定ができる。
【0017】
請求項9に記載された発明は、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算する演算手段と、演算結果から測定値と微生物数との関係を予め演算しメモリした換算テーブルと、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された所定厚みの薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端面に電界が集中することを特徴とする微生物数測定装置であるから、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間のインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定値と微生物数との関係を予め演算しメモリした換算テーブルと、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された所定厚みの薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端面に電界が集中することを特徴とするから、微生物数の少ない試料においても微生物を電極付近に集中させた後に電気的な手段によって微生物数を測定することができるため、装置、小型を簡易な構造にでき、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、迅速かつ高感度な測定ができる。
【0018】
請求項10に記載された発明は、複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、交流電極を印加する電極を薄膜電極とし、前記薄膜電極の端線または端面に沿って微生物を集中させて微生物数を測定することを特徴とする微生物数測定方法であるから、微生物濃度が低くても精度良く高感度にその数を測定することができる。
【0019】
請求項11に記載された発明は、複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、インピーダンスを測定するための電極を異なる特性の複数組の電極から構成し、前記複数組の電極間のインピーダンスをそれぞれ測定して、これを比較し微生物数を算出する微生物数測定方法であるから、簡易な構造でありながら高感度かつダイナミックレンジの広い範囲にわたって高精度に微生物数を測定することができる。
【0020】
請求項12に記載された発明は、複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、インピーダンスを測定するための電極を同一な複数組の電極から構成し、前記複数組の電極間のインピーダンスをそれぞれ測定して、これを比較し微生物数を算出する微生物数測定方法であるから、複数組の電極での測定結果を統計的に評価することができ、高精度の測定を行なうことができる。
【0021】
請求項13に記載された発明は、複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、所定時間内に前記電界集中部内で微生物を移動させ、微生物の移動によってインピーダンスが変化した電極の数を計数して微生物数を算出することを特徴とする微生物数測定方法であるから、微生物濃度の低い試料であっても誤差の小さな精度良い測定を行なうことができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11と(数1)〜(数5)を用いて説明する。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態である微生物数測定装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態1における微生物数測定装置の全体構成図、図2は本発明の実施の形態1における電極の説明図、図3は本発明の実施の形態1における電極の断面と電極間の電界の状態を説明するための図、図4は試料中の微生物数と測定時間と電極間の静電容量Cの関係を説明するためのグラフ、図10は電極間の静電容量の計算方法を説明するための図、図11は電極間の静電容量の計算方法を説明するためのもう一つの図である。
【0024】
図1において、1はセル、2は基板上の薄膜電極からなる平板電極、3は泳動電源回路、4は測定部、5は演算部、6は制御手段、7は試料系配管、8は電磁弁、9は表示手段である。また、図2において、10は電極の基板、11は薄膜電極、12は薄膜電極に挟まれた微小なギャップである。また、図3(a)及び図3(b)において、13は薄膜電極間に印加される電圧によって生じる電気力線、14は薄膜電極11よりも膜厚の厚い薄膜電極、15は11よりも膜厚の厚い薄膜電極14間に印加される電圧によって生じる電気力線である。また図10(a)において、50は薄膜電極11の一方の極、51は薄膜電極11の他方の極、52は想定されるCR並列等価回路を構成する静電容量、53は想定されるCR等価回路を構成する抵抗、図10(b)において、54は時間軸、55は電圧または電流軸、56は電流、57は電圧である。
【0025】
図1ないし図3に示すように、誘電泳動によって試料液体中の微生物を所定位置に移動させるために、平板電極2上の薄膜電極11が微小なギャップ12を介して対向して設けられている。本実施の形態1において平板電極2は2つの極からなり、図1および図2に示すように櫛歯状の薄膜電極11が互いに入れ子になるように配置されている。それぞれの電極はスパッタリングや蒸着やメッキ等の方法によって基板10上に密着して形成された導電体からなり、基板上で薄膜電極11が密着している部分と基板表面がむき出しになっている部分の境界である端線を有している。二つの極によって薄膜電極の端線間に構成されるギャップ12は実施の形態1においてはすべて同じ間隔である。誘電泳動のための電圧印加によってこのギャップ12付近の電界がもっとも強くなるため、ギャップ12が本実施の形態1における電界集中部になる。詳細は後述するが、微生物はもっとも電界が集中するこのギャップ12付近に向かって泳動される。
【0026】
ここで、本発明において検出対象としている微生物について説明する。本発明で言う微生物とは一般に細菌、真菌、放線菌、リケッチア、マイコプラズマ、ウイルス、として分類されているいわゆる微生物学の対象となっている生物のほかに、原生動物や原虫のうちの小型のもの、生物体の幼生、分離または培養した動植物細胞、精子、血球、核酸、蛋白質等も含む広い意味での生体または生体由来の微粒子である。また本発明では、測定対象として液体中の微生物を想定している。
【0027】
実施の形態1における薄膜電極11の膜厚は約5nmである。5nmという膜厚は後述するギャップ12の間隔100μmに比較しても、また検出対象である微生物と比較しても大変小さいので薄膜電極11は事実上厚みの無視できる2次元的な広がりのみをもつ電極と考えることが出来る。そこで、本実施の形態1では基板10上で電極の密着している部分と基板がむき出しになっている部分の境界を端線と表現している。この時、本実施の形態1で用いている平板電極2における電界集中部であるギャップ12付近の電界分布は図3(a)に示すようなものとなる。実施の形態1における薄膜電極11の膜厚は約5nmと薄いために図3(a)に示すように二つの薄膜電極11の端線に挟まれた部分にもっとも電界が集中する。
【0028】
薄膜電極の膜厚は実施の形態1においては5nmであるが、異なる膜厚の電極を用いても本発明の効果を実現する事ができる。たとえばより膜厚の大きな電極を用いた場合の電界集中部の様子を図3(b)に示す。図3(b)の薄膜電極14の膜厚は50nmであり、図3(a)の薄膜電極11に比較して十分に厚く、基板10上で薄膜電極14が密着している部分と基板表面がむき出しになっている部分の境界である端線から基板に垂直な方向に電極材料からなる壁面を構成する。この壁面を本発明では電極の端面と表現している。そして電極14の二つの極による端面に挟まれた部分の電界分布は図3(b)の符号15のようになる。
【0029】
図3(b)の場合は理想的に記載されており、二つの電極それぞれの端面は互いに平行であるが、実際に製作することのできる電極において端面は完全には平行になることはなく、端面の表面も微小な凹凸をもっている。導体表面の電界分布が凸部に集中するということは電極のエッジ効果として一般に知られているが、図3(b)の電極においても、図に示したように、電極面上方の電極エッジ部分で電界集中が生じ不均一な電界を生じると共に、詳細な図は省略するが、端面の表面に存在する微小な凹凸の凸部同志にもエッジ効果による電界集中が生じる。このように図3(b)の電極におけるギャップ12間の電界分布は実際に作製することのできる端面が不均一なものになるために複雑、不均一なものとなる。本発明においてはこのような事情を考慮し、図3(b)における電極面上方の電極エッジ部分で生じる電界集中と端面の表面に存在する微小な凹凸の凸部同志に生じる電界集中等をあわせてギャップ12部分への電界集中と考えることにする。従って、図3(b)の電極における電界集中部はギャップ12である。図3(b)のような電極を用いることにより、傷等による破断に強く寿命の長い電極を実現することができるようになる。
【0030】
ここで微生物の誘電泳動現象について説明する。高周波の交流電圧の印加によって発生する交流電界の作用で、セル1内の微生物はその誘電的な性質によって最も電場が強くかつ不均一な部分、すなわち電界集中部に泳動される。本実施の形態1では平板電極2のギャップ12付近の構成が電界集中部にあたり、中でも最も電界が集中するのはギャップ12である。従ってギャップ12部分にもっとも強く微生物が泳動される。図2に示すギャップ12は平行な電極に挟まれた部分であり、電極の伸びる方向すなわち、平板電極2の断面を描いた図3(a)または図3(b)の紙面に垂直な方向については電界の分布は均一である。しかしながら、基板面に垂直な方向では図3に示すような電界の分布が生じ、電極のエッジ同志を結んだ長さ方向の面がもっとも電界が集中することになる。ギャップ12付近に浮遊する微生物は平板電極2間に生じるこのような電界作用によってギャップ12に引き寄せられ、電気力線に沿って整列する。この時、ギャップ12付近の微生物24の移動状態は、試料液体中に存在する微生物数とギャップ12の間隔に依存するが、十分に微生物数が多い時にはギャップ12が微生物24から構成される鎖によって架橋されるほどになる。この際、当初からギャップ12付近に浮遊していた微生物は直ちにギャップ12部分へ移動するし、ギャップ12から離れたところに浮遊していた微生物は距離に応じて所定時間経過後にギャップ12部に至るため、一定時間後にギャップ12付近の所定領域に集まっている微生物の数はセル1内の微生物数に比例する。これは当然のことながら試料系7に存在する微生物数に比例するものである。
【0031】
薄膜電極11は極端に抵抗が高くない限りどのような材料から構成されてもよいが、液体中での使用、特に本実施の形態1のように水中で使用されることを想定すると、なるべくイオン化傾向が低い金属が望ましい。誘電泳動時には電極間に強い電界が生じるため、印加する周波数と水中の電解質濃度によっては電気分解が生じることがある。電気分解が生じるとイオン化傾向の大きな金属から構成された電極では、電極の溶解が生じ電極形状の崩れや極端な場合には電極の破断等が生じてしまうものである。このようなことを鑑み、本実施の形態1では電極の主材料として白金を使用している。
【0032】
基板10は、薄膜電極11を保持でき、かつ絶縁性の高いものであればどのような材料から構成されてもよいが、誘電率は低いほうが望ましい。すなわち低誘電率基板を使用するのが望ましい。なぜ誘電率の低い基板がより望ましいのかというと、薄膜電極11間の電界は図3には詳細に記載していないが基板内部にも分布するからである。基板内部の電界と基板外部に広がる電界すなわち誘電泳動のための電界との強度の比率は誘電率の比によって決まる。本実施の形態1では平滑性が高く、また、微細加工が行いやすく誘電率も比較的低いことから、低誘電率基板としてホウ珪酸ガラス基板を使用している。
【0033】
本実施の形態1において、基板10上への薄膜電極11の作成は一般的なフォトリソグラフィーを用いた方法で行っている。フォトリソグラフィーによる電極作成について以下に簡単に説明する。
【0034】
フォトリソグラフィーによる電極作成法には多くのやり方があるが、本実施の形態1では、まずホウ珪酸ガラスからなる基板10の片面全面にスパッタリングや蒸着によってクロムを下地とした白金薄膜を強固に付着させた物を作製する。ついでこの薄膜上に感光性樹脂をスピンコーティングによって均一に塗布し、感光性樹脂の硬化を促すために熱をかけてプリベークする。これに電極のパターンをあらかじめ形成したマスクを密着させて感光性樹脂を露光する。マスクによって光を遮られた部分の感光性樹脂は変化しないが、光が当たった部分の感光性樹脂は軟化し洗浄によって容易に剥離して白金蒸着面がむき出しになる。ついでこの基板を反応性のガス雰囲気下においてエッチングする。この時基板上で白金がむき出しになっている部分はエッチングによって侵され白金と下地のクロムが除去されるが、感光性樹脂が残っている部分、すなわち電極のパターン部分は樹脂によって保護されているために何ら影響を受けることがない。エッチング終了後、基板を硬化した感光性樹脂を除去する洗浄液に浸すことによって感光性樹脂を取り去る。基板上には感光性樹脂で保護されていた部分すなわち電極のパターンが残る。
【0035】
この説明の例ではマスクを使った作成法を説明した。なお、マスクとは作成したい電極の形状と同一形のガラス基板上の遮光性薄膜からなるいわゆる「型」であり、ガラス基板上の遮光性物質を電子ビーム等によって電極のパターンに合わせて除去することで作成される。作成する電極が少数の場合には白金蒸着基板上に直接電子ビームによって電極パターンを描画しても良いが、同じ物を複数作成するときには一般に上記で説明したフォトリソグラフィーの方が効率的である。
【0036】
以上、簡単にフォトリソグラフィーによる電極作成法を説明したが、これはあくまで一例であり、本実施の形態1で使用されている電極を作成する方法はほかにも多数考えられ、上記の方法以外の方法によって電極が作成されることを妨げるものではない。
【0037】
さて、本実施の形態1におけるギャップ12の間隔は100μmに設定されているが、ギャップ12の間隔は測定対象となる微生物の大きさ等の影響を受けるため必要に応じて調節される。例えば、酵母や単離細胞のような大きなものでは広く、リケッチアのように小さなものについては狭くする必要がある。また、ギャップ12の間隔は、広いほど大量の微生物を濃縮することができ、測定のダイナミックレンジも広くなるが、測定までの時間が長く必要になり、誘電泳動のために必要な電力も大きくなる。逆にギャップ12を狭くすると、電力と測定のために必要となる時間は少なくなるが、測定のダイナミックレンジは狭くなってしまうものである。以上のような理由から本実施の形態1においては、ギャップ12の間隔を100μmとしているが、この値は検出対象とする微生物に合わせて0.2〜300μmの範囲で適宜調節されることが望ましい。
【0038】
泳動電源回路3は誘電泳動を起こすための交流電流を平板電極2間に供給するものである。本実施の形態1では、後述するように、誘電泳動を起こすための交流電流を一旦遮断し、電極間のインピーダンス変化の測定を行っている。この泳動電源回路3は電磁弁8等と共に制御手段6によって制御される。
【0039】
制御手段6は、図示しないマイクロプロセッサと、予め設定されたプログラムを保存するためのメモリ、タイマー等から構成され、前記プログラムにしたがって電磁弁8の開閉を行い、泳動電源回路3を制御して、平板電極2へ特定の周波数と電圧をもった交流電圧を印加する。さらに制御手段6は測定部4と演算部5と信号の送受信を行ない適宜制御を行うことで測定動作全般の流れを管理する。
【0040】
実施の形態1において測定部4は、平板電極2のインピーダンスを調べるための交流電圧(以下、測定のための電圧という)を印加する回路、インピーダンスを調べるために必要となる平板電極2間にかかる電圧と、それによって平板電極2を流れる電流と、前記電圧と電流の位相の差を測定するための回路等から構成され、誘電泳動によって微生物が移動し、電界集中部近傍に濃縮されることに起因する平板電極2のインピーダンスの変化を測定する。インピーダンスを調べるために必要となる平板電極2間にかかる電圧と、それにより平板電極2を流れる電流と、前記電圧と電流の位相の差は演算部5に渡され、後述する手順によって演算が行われる。本実施の形態1では、測定部4は制御手段6によって制御されており、予め設定されたプログラムに従って一連の測定動作を連携して円滑に進めることができる。
【0041】
演算部5は、図示しないマイクロプロセッサ、メモリ等から構成され、詳細は後述するが、測定部4にて測定された結果から平板電極2のインピーダンスを解析し平板電極2間の静電容量を演算する。そして必要に応じて演算結果をメモリ14に格納したり、予め保存されているデータを読み出して比較を行なう等して、最終的に試料系配管7に含まれている微生物数を算出し表示部9に表示を行うなどする。なお、このマイクロプロセッサは制御手段6と演算部5とで共用することができる。また、演算部5も測定部4同様制御手段6によって制御されており、予め設定されたプログラムに従って一連の測定動作を連携して円滑に進めることができる。
【0042】
表示手段9は算出された微生物数を試料1mlあたりの微生物数としてデジタル表示する。表示手段9の表示が実施の形態1における微生物数測定装置の最終出力となる。本実施の形態1では使用者は測定された微生物数を試料1mlあたりの微生物数として直接知ることができるが、表示手段としてはたとえば多いまたは少ないであるとか、目的に応じてほかの表示方法であっても良い。さらに、試料中の微生物数を調べて殺菌装置を制御するとか、温度などの培養条件を制御するなど、使用者が直接微生物数を知る必要が無く、本微生物数測定装置を含む任意の装置の制御を行うために微生物数が明らかであれば良いような場合には、表示手段は特に設ける必要がないのは言うまでもない。
【0043】
以下、試料の導入からセル1内の微生物の濃縮、測定、洗浄にいたるまでの一連の流れを説明する。初期状態では試料系配管7とセル1を遮断するための電磁弁8は開放状態にあり、試料系配管7の液体はセル1内を自由に通過している。所定のタイミングで、予めプログラムによって設定された測定動作に入ると制御手段6は電磁弁8を閉状態にし、セル1を試料系配管7から遮断し、セル1内のみの閉鎖系を構成する。その後、制御手段6は、セル1内の液体の流動が収まると予想される予め設定された所定時間が経過すると、測定部4に測定開始の信号を送って測定の開始を指令する。
【0044】
測定開始の指令を受けた測定部4は、測定のための電圧として直ちに平板電極2間に周波数100kHz、電圧1Vの正弦波交流電圧を印加し、その時の電流値および電圧と電流の位相の差を測定する。ここで、印加される測定のための交流の周波数、電圧は、後述するようにあらかじめ濃度が明らかな微生物を含む試料による較正時に最適なものを選択すればよく、100kHz、1Vという本実施の形態で例示している値にとらわれる必要はない。なお、ここで交流電圧というのは、正弦波のほか、ほぼ一定の周期で流れの向きを変える電圧のことであり、かつ両方向の電流の平均値が等しいものである。
【0045】
測定結果は演算部5に送られる。演算部5は得られた測定結果から、平板電極2間のインピーダンス、平板電極2間に想定される等価回路を後述する抵抗と静電容量からなるCRの並列回路であるとみなしたときの静電容量値を算出する。インピーダンスは印加電圧と電流の除算で、また静電容量はそれぞれインピーダンスと電圧と電流の位相の差を角周波数の角度差で表現した値(以下、位相角という)を用いて計算されるリアクタンスとレジスタンスの値を、想定されるCR並列回路の合成インピーダンスをあらわす式に代入し、連立方程式を解くことによってRと共に算出することができる。以下、インピーダンスをZ、静電容量をC、リアクタンスをx、レジスタンスをrとして、図10、図11と(数1)〜(数5)の式を用いて詳細に説明する。
【0046】
【数1】
Figure 0003669182
【0047】
【数2】
Figure 0003669182
【0048】
【数3】
Figure 0003669182
【0049】
【数4】
Figure 0003669182
【0050】
【数5】
Figure 0003669182
【0051】
(数1)はCR並列等価回路の合成インピーダンスを表す式。(数2)はCR並列等価回路のレジスタンス表す式。(数3)はCR並列等価回路のリアクタンスを表す式。(数4)はCR並列等価回路の抵抗値を表す式。(数5)はCR並列等価回路の静電容量値を表す式である。
【0052】
図10(a)は、電極間の電気的状態を等価回路で示したものである。電極50.51の間には微生物を含んだ水が存在しており誘電泳動によって微生物が電極間のギャップに移動する前には水を電極間誘電体として構成される静電容量C52と水による電気伝導抵抗R53が並列に電極50と51間を結んでいると考えられる。また、誘電泳動によって微生物が移動した後も後述するように微生物体が誘電体微粒子としてふるまうために静電容量C52と抵抗R53の絶対値は変化しても等価回路の接続形態は変わらないと考えることができる。以下この等価回路をCR並列回路と呼ぶ。
【0053】
このようなCR並列回路に交流電圧を印加すると、回路に流れる電流56と印加した電圧57の間に図10(b)に示すような位相の差が現れることが一般に知られている。位相差を印加した電圧の周波数を角周波数ωであらわしたときの角度差θを用いて複素平面上に極座標表示すると、電圧、電流、位相角の間には図11に示す関係がある。
【0054】
インピーダンスZは測定される印加電圧と電流の除算で得られ、図11に示されたベクトルの絶対値に相当する。この時、インピーダンスZはZ=r+jx(jは虚数単位)の形で表現することができ、レジスタンスrはr=Zsinθとして図10(a)に示されたCR並列回路の合成インピーダンスの抵抗性成分、リアクタンスxはx=Zcosθとして同回路の容量性成分の逆数に関連付けられる。
【0055】
一方図10(a)のCR等価回路の合成インピーダンスは(数1)で表現され、(数1)をZ=r+jxの関係からレジスタンスrとリアクタンスxに分解して(数2)と(数3)を得る。(数2)と(数3)を連立させて変形すると(数4)と(数5)を得る。(数4)及び(数5)に測定のための電圧値、その時の電流値、電圧と電流の位相角の測定値から演算したr、x、ωを代入することにより抵抗R53と静電容量C52を知ることができる。
【0056】
このように説明すると大変煩雑であるが、演算部5は図示しないマイクロプロセッサを備えており、一連の演算は一瞬のうちに終了する。
【0057】
演算部5は算出された静電容量Cの値を初期値としてメモリに格納し、初期値の測定が終了したことを信号を送って制御手段6に伝える。以下、制御手段6と測定部4、演算部5は必要に応じて適宜信号のやり取りを行い、予め設定されたプログラムにしたがった円滑な動作を行う。
【0058】
なお、予め測定値に対応した演算を行っておき、これをテーブルにしてメモリしておけば演算を測定の都度行うのではなく、テーブルを参照するだけで微生物に換算することもできる。すなわち、予め設定された時間誘電泳動による微生物の濃縮を行なった後に測定を行い、測定のための電圧値、その時の電流値、電圧と電流の位相差を測定した後、この3つの値でメモリ上のテーブルを参照すればそこに予め演算された微生物数が書き込まれている換算式である。このような構成にすれば演算部5を設けることなく、迅速測定が可能でさらに簡易な構造の微生物数測定装置とすることができる。
【0059】
次いで制御手段6は泳動電源回路3を制御して平板電極2間に周波数1MHzでピーク電圧100Vの正弦波交流電圧(以下泳動のための電圧とする)を印加させる。この時印加される交流の周波数は誘電泳動が生じる周波数範囲であれば任意に選ぶことが可能であるが、あまりに周波数が低いと平板電極2間で望ましくない電気分解が発生し、また逆にあまりに周波数が高いと電源回路が複雑になる。そこで、本実施の形態1では十分に誘電泳動を起こすことができ、かつ泳動電源回路3も比較的簡易なものですむということで1MHzという周波数を選択している。また、泳動のための電圧は実施の形態1では100Vとしているが、試料の導伝率が大きい場合には、望ましくない電気分解が発生することがないようにより低い電圧を選択することができる。
ただこの時、測定対象となる微生物の種類によっては、測定のための電圧と泳動のため電圧は二つの異なる周波数ではなく、同一の周波数を用いても良い。任意の微生物についてそれらをもっとも効率よく泳動するために印加すべき交流の周波数ともっとも効率よく測定するために印加する交流の周波数は必ずしも同じではないが、微生物種によっては泳動と測定の最適周波数は同じになる。この場合には、単一周波数で泳動と測定を行うことができるために泳動電源回路3を簡素化することができる上に、泳動を行いながら連続的に測定を行うことが可能になり、より精密な結果を得ることができるようになる。
【0060】
さて、予め設定された所定時間が経過した後、制御手段6は平板電極2間に印加している交流電圧を一旦遮断し、測定動作を行う。測定部4と演算部5は連携して前述した方法により、平板電極2間のインピーダンスを測定、平板電極2間の静電容量を演算し、得られた値をメモリに格納する。測定終了後、制御手段6は再び誘電泳動のための交流電圧を印加する。
【0061】
以下、予め設定された時間毎に、制御手段6と測定部4は連携して泳動と測定を繰り返し、測定部4は算出された静電容量を都度メモリに格納する。このように、誘電泳動による微生物のギャップ12付近への移動と平板電極2のインピーダンス測定を繰り返すことによって、平板電極2間の静電容量の時間変化を調べることができる。
【0062】
誘電泳動のための交流電圧印加開始後、予めプログラムされた所定の回数の平板電極2のインピーダンス測定を行うと、測定部4はメモリに格納されている複数の時点における静電容量Cの演算結果から、図4に示すようにその時までの平板電極2間の静電容量Cの時間変化の傾きを計算し、後述する変換式に従って試料系配管7の微生物数を算出する。
【0063】
なぜ静電容量の時間変化の傾きを測定すれば微生物数を算出することができるかというと、微生物はイオンリッチで比較的電気伝導率が大きな細胞壁と、リン脂質からなるとともに、電気伝導率の小さな細胞膜に囲まれており、微小な誘電体粒子とみなすことができる。そして、誘電体微粒子としてみた微生物の誘電率は一般的な液体と比較して、さらに液体としては高い誘電率を持つ水と比較しても大きな値を持っている。したがって、誘電泳動によってギャップ12に移動する微生物の数が増えるに連れてギャップ12付近の見かけの誘電率は上昇していく。電極の条件を固定した状態で、その間の媒体の誘電率を変化させると静電容量Cが変化するのは周知の事実である。そこで、平板電極2間の静電容量Cの変化を通じて平板電極2間の誘電率の変化を測定すればその値はギャップ12付近に移動してきた微生物数、ひいては試料系配管7に存在する微生物数に相関した測定結果を得ることができる。このような静電容量Cの時間変化の一例を示したのが図4である。そして図4からも分かるように、測定初期の静電容量Cの時間変化の傾き(勾配)も静電容量Cの時間変化と同様に、微生物数に対応して増加しているのが分かる。静電容量Cの時間変化で微生物数を算出する場合、過渡状態をすぎてから測定した方が正確であるから、どうしても時間が長くかかるが、測定初期の静電容量の時間変化の傾き(勾配)によって微生物数を算出する場合は、比較的短時間で微生物数を算出できるという特徴がある。
【0064】
さて、静電容量C変化と試料系配管7の微生物数を関連付けるためには静電容量Cと微生物数間の変換式が必要である。この変換式は微生物数が明らかな校正用試料を、本実施の形態1で説明した微生物数測定装置の測定系を用いて予め測定し、その時の微生物数と静電容量Cの間の相関関係からばらつきを回帰分析して得られる曲線をあらわす関数をもちいる。この変換式を演算部5のメモリに記憶させ、微生物数が未知の試料を測定する場合には、所定時間内における静電容量C変化の値を代入することにより試料系配管7の微生物数を算出できる。なお、換算テーブルを用いるものは変換式による演算結果を予めメモリさせている。
【0065】
ここで実施の形態1の試料としては、例えば酵母の培養液等の単一微生物系を想定しているが、混合微生物系であっても、微生物の種類とその構成比が大きく変化しない限り、前もって同様の変換式を算出しておいて測定することが可能である。
【0066】
以上説明したように、微生物数を算出後、予めプログラムされた所定の時間が経過すると、演算部5は測定終了の通知を制御手段6に送る。これを受け、制御手段6は平板電極2への通電を停止するとともに電磁弁8を開放して洗浄に入る。ギャップ12付近に集まった微生物は、電磁弁8の開放により流入する試料系配管7の液体によって洗い流され、一連の測定動作が終了する。
【0067】
さて、本実施の形態1では、単一組の薄膜電極を使用した場合の実施の形態について説明したが、これは、薄膜電極が複数組用いられることを妨げるものではない。即ち平板電極2と同一形状を持った、即ち同一条件下で同一のインピーダンスを持った電極が複数組セル1内に設置されていてもかまわない。その場合には、それぞれの電極のインピーダンスを独立に測定しその値を平均化するなどの統計処理を行った上で静電容量Cを算出することで、より精度の高い測定結果を得ることが可能になる。
【0068】
たとえば複数の電極のうちで望ましくない不純物やごみの付着による影響で微生物数と関連しない値が測定されたとしても、測定値を平均化することでその影響を小さくすることができるし、より高度には他の電極での測定結果を参照して異常値として切り捨てる等の処理も可能となる。このように同一形状を持った電極を複数組用いて測定を行うことは、構造がやや複雑になることを除けば、精度向上の面からむしろ望ましいことであるといえる。そして薄膜電極であるが故に、複数組用いる場合でも小型にすることができる。
【0069】
このように本実施の形態1では、誘電泳動のための交流電圧と、測定のための電圧を交互に印加するため、誘電泳動による微生物の濃縮を行いながら、定期的に測定部4による平板電極2のインピーダンスを測定することができ、演算部5によって平板電極2間の静電容量Cの時間変化を検出することができるので、比較的短時間で、小型、簡易な構造でありながら、測定感度が高く、また自動測定も可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0070】
(実施の形態2)
本発明のもう一つの実施の形態である微生物数測定装置について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態2は、実施の形態1の微生物数測定装置と重複する部分があるため、実施の形態1と異なる部分について詳細な説明を加える。
【0071】
図5は本発明の実施の形態2における微生物数測定装置の全体構成図、図6は本発明の実施の形態2における電極の詳細説明図である。試料中の微生物数と測定時間と電極間の静電容量Cの関係を説明するためのグラフは図4と同様であるので詳細な説明は実施の形態1に譲って省略する。
【0072】
図5および図6において、20は実施の形態2における電極、21は電極20上に作成された薄膜電極A21、薄膜電極B22はやはり電極20上に作成された薄膜電極B22、図6において、23は薄膜電極A21のギャップ、24は薄膜電極B22のギャップである。
【0073】
実施の形態2が実施の形態1ともっとも異なる点は電極20の構成である。電極20上には薄膜電極A21と薄膜電極B22とが異なるインピーダンスを持った薄膜電極として構成されている。異なるインピーダンスとは、薄膜電極A21と薄膜電極B22をまったく同一の条件下で測定した場合、測定のための電圧の値と周波数を同一にしたとしても、測定される電流値や、位相角の値が異なるということである。実施の形態2では具体的には薄膜電極A21と薄膜電極B22はそれぞれが構成するギャップの距離が異なっている。即ち、薄膜電極A21のギャップ23は薄膜電極B22より狭い。具体的には、ギャップ23の距離は10μm、ギャップ24の距離は100μmである。
【0074】
図5において、泳動電源回路3は実施の形態1と同様のものである。泳動電源回路3は誘電泳動のための電圧を薄膜電極A21と薄膜電極B22に同時に印加することができる。
【0075】
実施の形態2での測定部4は構成的には実施の形態1の測定部4と同様であるが、薄膜電極A21と薄膜電極B22のインピーダンスをそれぞれ独立して測定できるような切り替え部を持っている(詳細には図示しない)。この切り替え部は実施の形態1においてはトランジスタスイッチまたはリレー等から構成され、制御手段6によって制御されているが、同様の目的を満たすものであればどのような構成でもよい。
【0076】
実施の形態2において微生物数を知るために行われる測定と演算の基本的な考え方は実施の形態1と同様である。即ち、微生物の誘電泳動によるギャップ付近への移動によって変化する電極の静電容量Cを調べて微生物数に換算するものである。これら一連の測定の流れを以下に説明するが、実施の形態1と重複する部分については実施の形態1に説明を譲って割愛する。
【0077】
試料が導入されると、制御手段6は、信号を送って測定部4に初期値の取得を行わせる。この時測定部4は薄膜電極A21と薄膜電極B22のインピーダンスを別々に測定する。演算部5は得られた測定値から薄膜電極A21と薄膜電極B22の静電容量Cを算出してメモリに記憶する。初期値取得後制御手段6は誘電泳動のための電圧を薄膜電極A21と薄膜電極B22に同時に印加させる。以降、あらかじめ設定された測定時間ごとに薄膜電極A21と薄膜電極B22のインピーダンスの測定と静電容量Cの算出が行われてメモリに記憶されていく。
【0078】
さて、ここで互いに異なるインピーダンスを持った電極で同時に独立して測定を行っていく利点について説明する。
【0079】
異なるインピーダンスを持った複数組の電極で同時に独立して測定を行う利点はいくつかあるが、特に実施の形態2のように互いに相似な形状で、ギャップ間隔だけが異なるような電極の組み合わせである場合には測定のダイナミックレンジの拡大が挙げられる。
【0080】
薄膜電極A21と薄膜電極B22を比較すると、薄膜電極B22のギャップ24の間隔はギャップ23よりも大きいためにギャップ24間の電界強度は弱くなり、微生物を泳動する速度は小さくなる。さらに、ギャップ24が大きいために、ギャップ24間の誘電率を微生物の移動によって変化させるためにはギャップ23に比べて多数の微生物を必要とする。このように、薄膜電極B22は薄膜電極A21に比較してより感度が低い「鈍い」電極であるといえる。したがって、微生物の濃度が高い試料において、薄膜電極A21が直ちに飽和してしまい正確な静電容量Cの時間変化の傾きが算出できないような試料においても薄膜電極B22の静電容量Cの時間変化は緩やかであるので、その傾きを正確に算出することが可能である。このようにギャップ間隔の異なる互いに相似な電極を用いることで測定のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0081】
所定回数の測定を終了すると演算部5は2つの電極から得られた2つの静電容量Cの時間変化を表すグラフの傾きを総合的に判断して最終的な試料系配管7の微生物濃度を決定する。次いでセル1内が洗浄されてすべての測定が終了する。
【0082】
このように、互いにインピーダンスの異なる複数組の電極を組み合わせることでより広範な条件下での測定を行うことができるようになり、簡易な構造でありながら、精度が高くメンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0083】
(実施の形態3)
本発明のさらにもう一つの実施の形態である微生物数測定装置について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態3においても、実施の形態1の微生物数測定装置と重複する部分があるため、実施の形態1と異なる部分について詳細な説明を加える。
【0084】
図7は本発明の実施の形態3における微生物数測定装置の全体構成図、図8は本発明の実施の形態3における電極の説明図、図9は本発明の実施の形態3における電極の一部を拡大した詳細説明図である。
【0085】
図7〜9において、30は実施の形態3における平板電極、31は平板電極30上に作成された薄膜電極、32は個々の薄膜電極への配線、33は個々の薄膜電極の対極への配線、34は各薄膜電極への通電状態を切り替える切り替え手段、35は薄膜電極のギャップである。
【0086】
実施の形態3の実施の形態1,2との相違点も平板電極30の構成にある。
実施の形態3における平板電極30は、図8に示すごとく、同一の形状で同一のインピーダンスを持った個々の薄膜電極31が多数整然と集積された構造をしている。個々の薄膜電極31は個々の薄膜電極への配線32と個々の薄膜電極の対極への配線33によって誘電泳動のための電圧と測定のための電圧が供給されるように構成されている。実施の形態3における電界集中部は図9に示すギャップ35であり、ギャップ35は全ての薄膜電極31について同一である。つまり、個々の薄膜電極31のインピーダンスは同一条件下ではすべて同じである。実施の形態3におけるギャップの大きさは2μm、整列した電極相互の間隔は8μmである。
【0087】
電極の上面及び側面部分は絶縁性の薄膜が被覆されている。実施の形態3における電極のギャップ35は2μmと狭いため、電極がむき出しのままであると泳動のための電圧の印加によってギャップ35間の電位差が非常に大きくなり、電気分解が起きやすくなる。これは周波数が低くなるほどに顕著になり、測定のための電圧と泳動のための電圧ともに選択できる周波数の範囲を狭めることになり望ましいことではない。しかしながら実施の形態3のように電界集中部を含む上面及び側面部分を絶縁性の薄膜で被覆することにより、望ましくない電気分解の発生をなくすことができる。実施の形態3においても測定と泳動のために印加される電圧は交流であるため、電極先端部が絶縁薄膜で被覆されていても静電容量変化で微生物数を測定するという本発明の原理上問題は生じない。実施の形態3では、絶縁薄膜としてシリカ膜を使用している。
【0088】
一方、個々の薄膜電極31への配線32と個々の薄膜電極31の対極への配線33は、電極の上面及び側面部分に施された薄膜に比べて十分に厚い絶縁性の厚膜で被覆されている。また、個々の薄膜電極31への配線32と個々の薄膜電極31の対極への配線33の間も同様の絶縁性の厚膜によって絶縁されている。さらに、個々の薄膜電極31への配線32と個々の薄膜電極31の対極への配線33は、浮遊静電容量が極力小さくなるように配置されている。厚膜を通して試料中に漏れ出る電界は電極の上面及び側面部分からの電界に比較すると非常に弱いものである。したがって、配線による電界は微生物の誘電泳動に対して殆ど影響を与えることはない。実施の形態3では、絶縁厚膜としてシリカ膜を使用しているが、これは前述の電界の漏れ出しを小さくするという条件を満たすものであればどのようなものであっても構わない。
【0089】
また、詳細には図示しないが、個々の薄膜電極31への配線32と個々の薄膜電極31の対極への配線33への配線は切り換え手段34を介して泳動電源回路3や測定部4に接続されており、切換回路34は平板電極30を構成する個々の薄膜電極31に対し一斉に誘電泳動のための電圧を印加することができると同時に、個々の薄膜電極31に対して測定のための電圧をそれぞれ個別に独立して印加することもできる。切り替え手段34は実施の形態2と同様に、トランジスタスイッチまたはリレー等から構成されており、制御手段6によって制御されている。また、前述した切り替え手段に求められる機能が満足されれば、構成にはとらわれないことも実施の形態2と同じである。
【0090】
さらに、平板電極30を構成する個々の薄膜電極31には整列した順に仮想的に通し番号が割り付けられており、前述した測定のための電圧の印加は整列した個々の薄膜電極31に対して通し番号順にスキャンするように行なうことができる。そして多数の電極に対しても一瞬のうちに測定を終了することが可能である。
【0091】
実施の形態3での測定部4及び演算部5は構成的には実施の形態1の測定部4と基本的に同様であるが、平板電極30を構成する個々の薄膜電極31のインピーダンスを測定することと、個々の薄膜電極31についての演算結果を電極の番号と共にメモリに保存できる点が異なっている。
【0092】
実施の形態3において微生物数を知るために行われる測定と演算の考え方は、測定される項目が個々の薄膜電極31間にかかる電圧と、それにより個々の薄膜電極31を流れる電流と、前記電圧と電流の位相の差であることと、測定結果から静電容量Cが演算されることは実施の形態1および2と同一であるが、その後、微生物数を算出する過程が実施の形態1及び2と異なる。これについて以下に説明する。
【0093】
実施の形態3における平板電極30を構成する個々の薄膜電極31のギャップ35は実施の形態1及び2と比較して小さな値となっている。したがって、実施の形態2で説明したように個々の電極はダイナミックレンジは狭いが「より感度の高い」電極であるといえる。したがって個々の薄膜電極31は例えば細菌等の微生物では数個〜10個程度、酵母やそれ以上の大きさの微生物については1個が泳動によってギャップ35に移動するとそのインピーダンスが変化する、と同時に飽和によって以降それ以上インピーダンスの変化は観察されなくなる。このように、実施の形態3における平板電極30は、たいへん感度が高いが飽和もしやすい個々の薄膜電極31の集積されたものであるといえる。
【0094】
実施の形態3においては、同一特性を持った多数の薄膜電極31に一斉に誘電泳動のための電圧を印加し、一定時間内にその中のどれだけの数の薄膜電極31のインピーダンスが微生物のギャップ35への移動によって変化するかを計数し、それを基にして微生物数の算出を行なう方法をとっている。
【0095】
具体的な測定の流れは基本的に実施の形態1と同様であるので詳細な説明は実施の形態1に譲る。異なる点は、測定毎に平板電極30上の個々の薄膜電極31全てがスキャンされてインピーダンスが測定されることである。測定は、初期値の取得後所定時間ごとに行われ、測定ごとの個々の薄膜電極31の静電容量Cの変化からあらかじめ設定された時点でそれまでにインピーダンスが変化した薄膜電極31の個数が算出される。
【0096】
なぜ一定時間内にインピーダンスが変化した電極の数を数えることによって試料中の微生物数が算出できるのかについて説明する。
【0097】
図7、図8、及び図9において平板電極30近傍に浮遊している微生物は、平板電極30に誘電泳動のための電圧が印加されるともっとも距離的に近い電極のギャップに向かって移動していく。これは微生物と電極との距離が近いほど誘電泳動力も強く感じられるからである。今、試料中の微生物数が十分に多いとすると、平板電極30上の任意の位置の個々の薄膜電極31の近傍に微生物が浮遊している可能性はきわめて高く、誘電泳動のための電圧が印加されると短時間のうちに平板電極30上の多くの電極31のインピーダンスが微生物のギャップ付近への移動によって変化する確率も高い。一方、試料中の微生物数が極めて少ない場合には、平板電極30上の任意の位置の個々の薄膜電極31の近傍に微生物が浮遊している可能性は低くなり、誘電泳動のための電圧印加後も、たまたまある電極の近傍に浮遊していた微生物は直ちにその電極に引き寄せられるが、平板電極30上のその他の個々の薄膜電極31はより遠くを浮遊している微生物を移動させないとインピーダンスが変化しないことになり、結果的に一定時間内にインピーダンスが変化する個々の薄膜電極31の数は少なくなる。
【0098】
このように、試料中の微生物数と一定時間内にインピーダンスが変化する電極の数には比例関係があり、実施の形態1で説明したように、微生物数が明らかな校正用試料を予め測定し、その時の微生物数と一定時間内に静電容量Cが変化した電極の数の間の相関関係からばらつきを回帰分析して得られる曲線をあらわす関数を知ることにより、試料系配管7の微生物数を算出できる。
【0099】
このように本実施の形態3では、一定時間内にインピーダンスが変化した電極の数を数えることによって試料中の微生物数が算出でき、簡易な構造でありながら、測定感度が高く、また自動測定も可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0100】
【発明の効果】
本願発明によれば、微生物数の少ない試料においても微生物を電極付近に集中させた後に電気的な手段によって微生物数を測定することができる。さらに、インピーダンスの時間変化の初期傾きによって微生物数を算出することにより、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、簡易で高感度な測定ができ、自動測定が可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置及び微生物数値測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における微生物数測定装置の全体構成図
【図2】本発明の実施の形態1における電極の説明図
【図3】本発明の実施の形態1における電極の断面と電極間の電界の状態を説明するための図
【図4】試料中の微生物数と測定時間と電極間の静電容量Cの関係を説明するためのグラフ
【図5】本発明の実施の形態2における微生物数測定装置の全体構成図
【図6】本発明の実施の形態2における電極の詳細説明図
【図7】本発明の実施の形態3における微生物数測定装置の全体構成図
【図8】本発明の実施の形態3における電極の説明図
【図9】本発明の実施の形態3における電極の一部を拡大した詳細説明図
【図10】電極間の静電容量の計算方法を説明するための図
【図11】電極間の静電容量の計算方法を説明するためのもう一つの図
【符号の説明】
1 セル
2,30 平板電極
3 泳動電源回路
4 測定部
5 演算部
6 制御手段
7 試料系配管
8 電磁弁
9 表示手段
10 基板
11,14,31 薄膜電極
12,23,24,35 ギャップ
13,15 電気力線
20 電極
21 薄膜電極A
22 薄膜電極B
32,33 配線
34 切り替え手段
50 一方の極
51 他方の極
52 静電容量
53 抵抗
54 時間軸
55 電圧または電流軸
56 電流
57 電圧

Claims (13)

  1. 微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算して微生物数を算出する演算部と、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端線に電界が集中することを特徴とする微生物数測定装置。
  2. 微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算して微生物数を算出する演算部と、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された所定厚みの薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端面に電界が集中することを特徴とする微生物数測定装置。
  3. インピーダンスを測定する電極が薄膜電極を含む複数組の電極であって、前記複数組の電極は異なるインピーダンスをもち、それぞれの測定結果を演算部が比較することにより微生物数を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の微生物数測定装置。
  4. インピーダンスを測定する電極が薄膜電極を含む複数組の電極であって、前記複数組の電極は同一のものからなり、それぞれの測定結果を演算部が比較することにより微生物数を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の微生物数測定装置。
  5. インピーダンスを測定する電極が薄膜電極を含む複数組の電極であって、前記複数組の電極は同一のものからなり、所定時間内に微生物の移動でインピーダンスが変化した電極の数を測定手段が計数することにより微生物数を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の微生物数測定装置。
  6. 測定部がインピーダンスを測定するとき、制御手段が誘電泳動力を発生するための電圧の印加を停止することを特徴とする請求項1〜5記載の微生物数測定装置。
  7. 電極が絶縁薄膜で被覆されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の微生物数測定装置。
  8. 微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算する演算手段と、演算結果から測定値と微生物数との関係を予め演算しメモリした換算テーブルと、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端線に電界が集中することを特徴とする微生物数測定装置。
  9. 微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記セル中に誘電泳動力を発生させ電極近傍に微生物を集中させるための交流電圧を前記電極のうちの何れかの電極間に印加する泳動電源回路と、前記電極のうち電圧を印加する電極間に集中した微生物に起因するインピーダンスを測定する測定部と、前記測定部の測定結果から微生物が電極間に集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを演算する演算手段と、演算結果から測定値と微生物数との関係を予め演算しメモリした換算テーブルと、前記泳動電源回路と前記測定部と前記演算部を制御するための制御手段とを備え、前記電極のうち誘電泳動力を発生させるための電極には基盤上に形成された所定厚みの薄膜電極が含まれており、少なくとも前記薄膜電極の端面に電界が集中することを特徴とする微生物数測定装置。
  10. 複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、交流電極を印加する電極を薄膜電極とし、前記薄膜電極の端線または端面に沿って微生物を集中させて微生物数を測定することを特徴とする微生物数測定方法。
  11. 複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、インピーダンスを測定するための電極を異なる特性の複数組の電極から構成し、前記複数組の電極間のインピーダンスをそれぞれ測定して、これを比較し微生物数を算出する微生物数測定方法。
  12. 複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、インピーダンスを測定するための電極を同一な複数組の電極から構成し、前記複数組の電極間のインピーダンスをそれぞれ測定して、これを比較し微生物数を算出する微生物数測定方法。
  13. 複数の電極を備えたセル内に微生物含有の液体を導入し、前記電極のうち何れかの電極間に交流電圧を印加して前記セル内の微生物に誘電泳動力を及ぼして電界集中部に集めるとともに、電極間に微生物が集中したことに起因するインピーダンス時間変化の初期傾きを測定して微生物数を算出する微生物数測定方法であって、所定時間内に前記電界集中部内で微生物を移動させ、微生物の移動によってインピーダンスが変化した電極の数を計数して微生物数を算出することを特徴とする微生物数測定方法。
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