JP3763195B2 - 微生物数測定装置及び微生物数測定方法 - Google Patents

微生物数測定装置及び微生物数測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶液中の微生物数を測定するための微生物数測定装置及び微生物数測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶液中の微生物数を測定する方法として特開昭57−50652に記載されたもの等の多数の技術が知られている。
【0003】
しかし、従来の技術による微生物数の測定方法は、試料液に専用の薬剤、例えば酵素や色素を投入して生化学反応を起こさせ、その反応経過または結果を蛍光や発光によって測定するものであり、測定感度は比較的高いが微生物分野及び生化学分野に関する専門知識が必要であったり、また専用で高価な大型の測定装置が必要となり、さらには専任者による作業が必要となる等、とても一般的かつ簡易に微生物数を測定することができるものではなかった。
【0004】
そこで、特開59−91900に記載されたものをはじめとする、物理的手段のみを使い、薬剤を一切用いないで、小型で、試料系に組み込んでの自動測定が可能な、簡易な微生物数検出装置が提案されたが、微生物数が108cells/ml(1ml中に微生物数が1億個)以上にならないと検出できないためその応用範囲に著しい制限が加えられていた。
【0005】
このように、従来の技術による微生物数測定装置及び微生物数測定方法では測定感度を上げるためには、何らかの薬剤の使用や、専用の測定装置,専門知識を持った専任者による操作が必要であった。また薬剤を使用しない簡易型の装置では、専任者を必要とせず測定が可能になるが、微生物数が非常に多くならないと測定が難しく、低感度の測定器しか得られないし、微生物を移動させて局部的に濃度を上げて感度を向上させたくても簡易でメンテナンスフリーな手段がないという問題があった。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
そこでこれらの問題を解決するため本発明は、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、簡易で高感度な測定ができ、自動測定が可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置及び微生物数測定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の微生物数測定装置は、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記電極間に誘電泳動力を発生させるために交流電流を流すことができる電源回路と、前記電源回路を制御するための制御手段と、微生物の数を測定するための測定手段を備え、前記セルには前記電極間に電界を集中させる電界集中部が設けられ、微生物含有液体が導入されると微生物を前記電界集中部に電界の作用によって移動させ、前記測定手段によって微生物数を測定することを特徴とした。
【0008】
これにより、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、簡易で高感度な測定ができ、自動測定が可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載された発明は、微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記電極間に誘電泳動力を発生させるために交流電流を流すことができる電源回路と、前記電源回路を制御するための制御手段と、微生物の数を測定するための測定手段を備え、前記複数の電極の少なくとも1つは円錐状の底部と該底部の先端から突出した針状突起部を有し、前記セルには前記電極間に電界を集中させる電界集中部が設けられ、微生物含有液体が導入されると微生物を前記電界集中部に電界の作用によって移動させ、前記測定手段によって微生物数を測定することを特徴としたから、電界集中部によって電極間に電界を集中させて、微生物数の少ない試料においても微生物を電極付近に集中するように移動させることができるため、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、高感度な測定ができる。さらに、電界をセル内の広範な範囲に及ぼすことが出来ると同時に微生物を電極上最も電界が集中する針状突起の位置に効率良く移動させることができる為、簡単な構造でありながら高感度でメンテナンスフリーの測定を行うことができる。
【0011】
請求項に記載された発明は、前記電極がねじれの位置で保持される対向したナイフエッジ形状を持つことを特徴とするから、微生物をセル内3次元のあらゆる方向からナイフエッジ電極が構成する電界集中部に移動させることができる為、簡単な構造でありながら高感度でメンテナンスフリーの測定を行うことができる。
【0012】
請求項に記載された発明は、前記複数の電極のうち少なくとも一対の電極間に交流電流を流すとともに、別の電極に前記一対の電極に対して所定の電圧を印加したことを特徴とするから、電気泳動力と誘電泳動力を効果的に組み合わせてセル内の微生物を迅速に所定位置に移動することができる為、微生物数が少ない試料であっても高感度な測定を行うことができる。
【0013】
請求項に記載された発明は、前記電界集中部が前記セルに設けられた誘電体からなる狭搾部であることを特徴とするから、セル内の微生物を誘電泳動力によって狭搾部分に効率良く移動させることができ、移動した微生物は壁面への付着を生じにくい為、簡易でメンテナンスフリーの測定ができる。
【0014】
請求項に記載された発明は、前記電極のうち試料に接する部分の少なくとも一部が絶縁物で被覆されていることを特徴とするから、望ましくない部分に微生物の付着を生じたりすることがなく、メンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の微生物数測定装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態1における微生物数測定装置の全体構成図である。図2は本発明の実施の形態1における電極の詳細説明図、図3は微生物数測定時に観察される散乱光強度の時間変化を説明するためのグラフである。
【0017】
図1および図2において、1はセル、2は電磁弁、3は電極、4は光源、5は受光部、6は光源光学系、7は受光部光学系、8は電源回路、10は測定手段、11は制御手段、12は試料系、13は測定窓、14はメモリ、15は絶縁被覆、21は電極底部、22は針状突起、23はギャップである。
【0018】
図1において、セル1には測定の際に光束を導入するための測定窓13と、検出光を取り出すための検出窓(図示しない)が設けられている。また誘電泳動によって試料液体中の微生物を所定位置(この場合ギャップ23近傍)に移動させるために、電極3が微小なギャップ23を介して対向して設けられている。そして実施の形態1においては電極3はいずれもが円錐状の電極底部21と円錐先端から鋭く突き出した針状突起22を備えている。このギャップ23付近の構成が本実施の形態1の電界集中部にあたるが、電極底部21と針状突起22に関しては電極3の少なくとも一方が当該構成を備えるのでもよい。針状突起22は白金で構成され、ギャップ23を挟んで一直線上で対向するように設けられる。ここでギャップ23の間隔は100μmに設定されているが、ギャップ23の間隔は測定対象となる微生物の大きさ等の影響を受けるため必要に応じて調節される。例えば、酵母のような大きなものでは広く、リケッチアのように小さなものについては狭くする必要がある。また、ギャップ23の間隔は、広いほど大量の微生物を濃縮することができ、測定のダイナミックレンジも広くなるが、測定までの時間が長く必要になり、誘電泳動のために必要な電力も大きくなる。逆にギャップ23を狭くすると、電力と測定のために必要となる時間は少なくなるが、測定のダイナミックレンジは狭くなってしまうものである。以上のような理由から本実施の形態1においては、ギャップ23の間隔を100μmとしているが、この値は微生物の大きさ等を考慮して10〜300μmの範囲で適宜調節されることが望ましい。さらに図示されていないが、電極3の電極底部21には針状突起22を中心として電極面積の一部(おおむね1/10程度)を絶縁性でかつ疎水性のフッソ系樹脂からなる絶縁被覆15でコーティングしている。
【0019】
実施の形態1においては光源4は、赤色または近赤外域に発光波長を持つレーザダイオードを用いている。受光部5は、電極3のギャップ23付近に移動した微生物によって散乱される光源4からの光を捉えるためのもので、実施の形態1ではフォトダイオードが使用されている。光源光学系6は、図示しない複数のレンズや偏向板等で構成されており、光源4の光を電極3のギャップ23付近に集中させる為に用いられる。受光光学系7はやはり図示しない複数のレンズや偏向板等で構成されており、ギャップ23付近に移動した微生物が散乱する光源4からの光を効率良くフォトダイオードに導入するために設けられている。
【0020】
電源回路8は、電極3に交流を供給する為に設けられ、電磁弁2等と共に制御手段11によって制御される。制御手段11は、図示しないマイクロプロセッサと、予め設定されたプログラムを保存するためのメモリ、タイマー、さらに測定手段10との間の信号の伝送路等から構成され、前記プログラムにしたがって電磁弁2の開閉、電源回路8を制御し、電極3への特定の周波数と電圧を持った交流電流を流すほか、測定手段11との信号の送受信を行なう。
【0021】
測定手段10は、図示しないマイクロプロセッサ、受光部5からの信号を検出する検出回路、制御手段11との間の信号を伝える伝送路等から構成され、受光部5で検出される光の強度及びその時間変化を測定、算出する。また必要に応じて演算結果をメモリ14に格納したり、予め保存されているデータを読み出して比較を行なう等して、試料系に含まれている微生物数を算出する。なお、このマイクロプロセッサは制御手段11と測定手段10とで共用することができる。また測定手段10と制御手段11は互いに通信することにより、予め設定されたプログラムに従って一連の測定動作を連携して円滑に進めることができる。
【0022】
続いて、試料の導入からセル1内の微生物の所定位置への移動、測定、洗浄にいたるまでの一連の流れを説明する。初期状態では試料系12とセル1を遮断するための電磁弁3は開放状態にあり、試料系12の液体はセル1内を自由に通過している。所定のタイミングで、予めプログラムによって設定された測定動作に入ると、制御手段11は電磁弁2を閉状態にし、セル1を試料系から遮断しセル1内のみの閉鎖系を構成する。その後、制御手段11はセル1内の液体の流動が収まると予想される予め設定された所定時間が経過すると、光源4を点灯するとともに測定手段10に信号を送って測定の開始を指令する。これを受けると測定手段10は直ちに受光部5からの信号を調べ、その値をセル1内の微生物が所定位置に移動する前の測定初期状態としてメモリ14に格納する。次いで、制御手段11は電源回路8を制御して電極3に周波数1MHz、電圧100V、正弦波の交流電流を連続的に流す。ここで、交流電流というのは、正弦波のほか、ほぼ一定の周期で流れの向きを変える電流であり、かつ両方向の電流の平均値が等しいものである。
【0023】
さて、交流電界の作用でセル内の微生物は、その誘電的な性質によって最も電場が強くかつ不均一な部分、即ち電界集中部に泳動される。ギャップ23を介して設けられた電極3が本実施の形態1の場合の電界集中部であり、ギャップ23に最も電界が集中する。この時、当初からギャップ23付近に浮遊していた微生物は直ちにギャップ23部分へ泳動され、また、ギャップ23から離れたところに浮遊していた微生物は距離に応じて所定時間経過後にギャップ23部に至るため、一定時間後にギャップ23付近の所定領域に集まる微生物の数はセル1内の微生物数に比例する。これは当然のことながら試料系12に存在する微生物数に比例するものである。
【0024】
微生物の電界集中部への移動が進行している間、測定手段10は逐次受光部5からの信号を読み取ってメモリ14に格納していく。そして、受光部5からの信号の時間変化を演算し、その変化の傾きを算出する。この信号の時間変化は散乱光強度の変化に対応する。そしてこの散乱光強度の時間変化はセル1内の微生物の数に依存し、例えば微生物数の多寡によって図3に示すごとく変化する。測定手段10は散乱光強度の時間変化から最終的に試料系12中の微生物数を変換式を用いて算出する。この変換式は微生物数が明らかな校正用試料を、本実施の形態1で説明した微生物数測定装置の測定系を用いて予め測定し、その時の微生物数と散乱光強度の時間変化の相関関係からバラツキを回帰分析して得られる曲線を示す関数に従って算出して求めたものである。この変換式をメモリ14に記憶させ、微生物数が未知の試料からの散乱光強度変化の値を代入することにより試料系の微生物数を算出する。本実施の形態1においては散乱光強度の時間変化を用いて微生物数を算出したが、散乱光強度の時間変化に代えて散乱光強度の絶対値を用いて算出してもよい。そして、測定手段10はすべての計算が終了すると制御手段11に信号を送って測定終了を知らせる。
【0025】
制御手段11は測定終了の信号を受けると、予め設定されたプログラムに従い電極3への通電を停止すると同時に電磁弁2を開放して洗浄に入る。ギャップ23付近に局在する微生物は電磁弁の開放により流入する試料系の液体によって洗い流され測定動作が終了する。
【0026】
ここで実施の形態1の試料系としては、例えば酵母の培養液等の単一微生物系を想定しているが、混合微生物系であっても、微生物の種類とその構成比が大きく変化しない限り、前もって同様の変換式を算出しておいて測定することが可能である。
【0027】
本実施の形態1のセル1は、円錐状の電極底部21と円錐先端から鋭く突き出した針状突起22からなる一対の電極3を備えているため、針状突起22先端部から遠く離れた電極底部21の裾部分にまで電界の作用を十分に及ぼすことができ、最も電界が集中する針状突起22のギャップ23部分に効率良く微生物を移動させることができる。これにより、広い範囲に存在する微生物を針状突起22のギャップ23部に移動させることができ、検出感度を向上させることができる。電界の集中のみを考慮した場合には単に針状の電極3を対向させれば事足りるが、この場合の針状の電極3は電極3から離れるに従い急激に電界強度が低下する為、電極3から離れた部分の微生物を泳動することが難しくなる。しかし、本実施の形態1の電極3は円錐状の電極底部21を備えているため、裾部分にまで電界の作用が十分及ぶものである。
【0028】
さらに本実施の形態1においては電極3の針状突起22を中心にして電極面積のおおむね1/10の部分に絶縁被覆15がコーティングされており、電界の集中によって強くギャップ23付近に移動した微生物もフッソ系薄膜の為に電極3表面とほとんど相互作用して付着することがない。従って洗浄時には速やかに針状突起22のギャップ23部から除去され、次回の測定時に影響を及ぼすことがない。
【0029】
(実施の形態2)
次に本発明の微生物数測定装置の実施の形態2について図面を参照しながら詳細に説明する。図4は本発明の実施の形態2における微生物数測定装置の全体構成図である。また図5は本発明の実施の形態2におけるナイフエッジ電極の詳細説明図である。実施の形態2において実施の形態1と重複する説明は、その説明を実施の形態1に譲って省略する。
【0030】
図4および図5において、16はナイフエッジ電極、17は補助電極、18は絶縁被覆、24は泳動電源回路である。ナイフエッジ電極16は、誘電泳動によって試料液体中の微生物を所定位置に移動させるために設けられ、互いにねじれの位置に保持されて、微小なギャップ(これが所定位置になる)を介して対向するナイフエッジ形状をもっている。ナイフエッジ電極16のギャップ付近の構成が実施の形態2の電界集中部であり、このギャップに誘電泳動を起こす電界が集中する。対向するナイフエッジ電極16の少なくとも一方の電極は白金で作られるか、または白金コーティングがなされており、補助電極17との間で行われる電気泳動力を用いた微生物移動を行うためにもこれが使われる。また実施の形態2において、ナイフエッジ電極16に備えられた対向するナイフエッジの交差部分のギャップ間隔は、実施の形態1同様100μmに設定されている。さらにナイフエッジ電極16は、ナイフエッジのエッジ部分に実施の形態1と同様の絶縁性でかつ疎水性のフッソ系樹脂からなるナイフエッジ電極絶縁被覆18がコーティングされている。
【0031】
補助電極17は白金で構成されるか、白金コーティングがなされている。補助電極17への通電は制御手段11により泳動電源回路24から行われる。泳動電源回路24は、ナイフエッジ電極16には交流電流を流すことができ、また補助電極17とナイフエッジ電極16の白金コーティング極との間には直流電圧を印加することができる。
【0032】
図4において光源4,受光部5,光源光学系6及び受光部光学系7の位置は実施の形態1と位置が異なるが、測定の方法は実施の形態1と同様であり、また測定窓も特に図示しないだけで適切な位置に設けられている。
【0033】
次に、実施の形態2における試料の導入からセル1内の微生物の所定位置への移動、測定、洗浄にいたるまでの一連の流れを説明する。初期状態では、試料系12とセル1を遮断するための電磁弁3は開放状態にあり、試料系12の液体はセル1内を自由に通過している。所定のタイミングで、予めプログラムによって設定された測定動作に入ると、制御手段11は電磁弁2を閉状態にし、セル1を試料系12から遮断して、セル1内のみの閉鎖系を構成する。制御手段11は、セル1内の液体の流動が収まると予想される予め設定された所定の時間が経過すると、光源4を点灯するとともに測定手段10に信号を送って測定の開始を指令する。これを受けると、測定手段10は直ちに受光部5からの信号を調べ、その値をセル1内の微生物が所定位置に移動する前の測定初期状態としてメモリ14に格納する。次いで、制御手段11は泳動電源回路24を制御してナイフエッジ電極16に周波数1MHzの正弦波で、電圧100Vの交流電流を連続的に流す。そして補助電極17にはナイフエッジ電極16の二つの電極のうち白金もしくは白金をコーティングした電極(以下白金極と省略する)に対し、負電位となるような直流電圧を印加する。直流電流がナイフエッジ電極16と補助電極17間を流れると、ナイフエッジ電極16の白金極と補助電極17間に存在する微生物に電気泳動力が作用する。というのは微生物は一般に表面が負に帯電しており、電気泳動力によって正極のほうへ泳動されていくからである。電気泳動力によってナイフエッジ電極16の白金極付近まで電気泳動されてくると、微生物は今度はナイフエッジ電極16間に作用する電界により誘電泳動力を受け、両者が交差している部分の微小ギャップに誘電泳動される。このように電気泳動力と誘電泳動力の二つの作用によってギャップ付近に移動した微生物は実施の形態1と同様の経過をたどって測定され、その後に洗浄される。
【0034】
本実施の形態2は実施の形態1と同様単一微生物系を想定しているが、実施の形態1と同様の方法により、混合系にも適用できることは言うまでもない。実施の形態2で説明した微生物数検出装置は実施の形態1で説明したものに比較してさらに希薄な微生物濃度の液体を測定対象とすることができる。
【0035】
本実施の形態2のナイフエッジ電極16は簡単な構造でありながら効率良く3次元空間に電界を及ぼすことができ、広い範囲から微生物を誘電的に泳動するのに向いている。更にセル1内には補助電極17があり、ナイフエッジ電極16の白金極に対して常に負の電位となるように電圧がかけられているため、補助電極17とナイフエッジ電極16の白金極が挟む大きな空間に存在する微生物を電気泳動力によってナイフエッジ電極16付近に泳動させることができる。
【0036】
そして電気泳動に伴い補助電極17とナイフエッジ電極16の白金極では電気化学反応が生じるが、いずれの電極も白金で作られるかまたは白金コーティングがなされているので電極が液体内に溶解するようなことはない。また本実施の形態2においてもナイフエッジ電極16のナイフエッジの部分には絶縁性かつ疎水性のフッソ系薄膜がコーティングされている為、電界の集中によって強力にギャップ付近に集中した微生物も電極表面とほとんど相互作用することがない。従って洗浄時には速やかにギャップ部およびナイフエッジ部から除去され、次回の測定時に影響を及ぼすことがない。
【0037】
実施の形態2の構成によれば広い範囲の微生物も、ナイフエッジ電極16のギャップ部から大きく離れたところに浮遊するものについては、電気泳動力を用いてナイフエッジ電極16近くまで移動させることができ、またナイフエッジ電極16付近に当初から浮遊していた微生物、及び前述の電気泳動力によってナイフエッジ電極16付近まで泳動されてきた微生物は、誘電泳動力で効率良く迅速にナイフエッジ電極16のギャップ付近に移動させることができる。
【0038】
ここで、以上述べた電気泳動と誘電泳動について少し詳しく説明する。電気泳動力は電気化学反応を伴うことを前提とする物質輸送の方法であり、アガロースゲル内にある核酸や蛋白質を泳動速度の違いにより分離分析する場合等、生化学分野でよく用いられる手法である。電気泳動力は、直流電圧で泳動させることができるため簡易な電源回路で駆動でき、電解質の液体であれば電極間の距離を大きく設けても泳動電圧が誘電泳動ほどには上昇しないため、簡易な構成で負に帯電した微生物を輸送することができるものである。しかし電気泳動は、微生物を局所に高濃度に集中させるには向いていない。また、電気泳動において、泳動される微生物の最終到達地点は電極表面であるため、局所に高濃度に微生物を集中させるためには、電極自体を小さくしていく必要がある。しかし、電極を小さくすると、電気化学反応が生じる場所も小さくなり、水溶液系の試料のように電気化学反応により酸素と水素等のガスが発生し、泳動された微生物は発生する気泡のために攪乱され、測定が不可能となる。さらに電気泳動は、電気化学反応で化学物質が生成したり、電極近くでは生成した化学物質によって微生物に影響が生じる可能性があるほか、泳動された微生物の電極への強固な付着が生じるなど、測定を行なう上で望ましくない影響が出るという問題がある。
【0039】
一方、誘電泳動は実施の形態1で説明したとおり、1MHzという高い周波数で電極間の極性が入れ代わるため、試料液体内のイオンはもはや電場の変化に追従できず、電気化学反応が起きてガスが発生したり、望ましくない化学物質が生成したりすることはない。また、泳動される微生物の最終到達地点は電極表面ではなく電界集中部になるため、電気泳動に比べて電極表面への微生物の付着は著しく少ない。また泳動される微生物は、電界集中部に電界の方向に沿って整列するため、実施の形態1および2で説明しているような簡易な電極の構成でありながら、所定領域に多くの微生物を集中することができる。さらに、誘電泳動によって微生物が影響を受けることは少なく、試料液体への影響は極小である。しかし、誘電泳動は高周波の電界を用い、泳動電極間隔が離れて数百Vに達するような高い電極間電圧を必要とするため、電気泳動と比較して電源回路の構成が少し複雑にならざるをえないのが短所である。
【0040】
このように、電気泳動と誘電泳動はそれぞれ長所短所をもっているが、本発明の実施の形態2ではそれぞれの長所を活かして大きな空間内に分散している微生物を効率良く電界集中部に移動させることにより、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、簡易で高感度な測定ができる微生物数測定装置の提供が実現されるものである。
【0041】
(実施の形態3)
次に本発明の微生物数測定装置の実施の形態3について図面を参照しながら詳細に説明する。図6は本発明の実施の形態3における微生物数測定装置の全体構成図である。実施の形態3において実施の形態1及び実施の形態2と重複する説明は省略する。
【0042】
図6において、1はセル、19は平板電極、20はセル狭搾部である。セル1は誘電体、実施の形態3においては光透過性のガラスで構成された円筒形のセルである。平板電極19は円盤形状であることが望ましく、平板電極19の上下の角部にエッジが形成されないように滑らかなRを与えるのが望ましい。なぜならば、エッジが形成されるとその形状効果により電界の集中を招くためである。後述するように、本実施の形態3では微生物はセル狭搾部20に向けて移動させられて微生物数が測定される構成となっているが、電極部19のエッジへ微生物が移動すると濃度が上がらず測定を難しくする。
【0043】
本実施の形態3においては、セル狭搾部20の部分の断面積はセル1の他の部分の断面積の1/20となるように設定されている。このセル狭搾部20によって、セル1内に保持される液体の一部分が絞られ、この部分に導電面積が小さい部位が形成されるものである。すなわち誘電体からなる壁面が絞られることによって、ここに電界が集中されることになる。誘電体としては上記した光透過性のガラスが適当であるが、プラスチック等の他の物質でもかまわない。またセル挟搾部20は他の形状の絞り形状であってもよい。なお、光源4,受光部5及び光学系6,7がセル狭搾部20の近傍に設けられているが、実施の形態1と測定方法は同様である。
【0044】
次いで実施の形態3における試料の導入からセル1内の微生物の所定位置への移動、測定、洗浄にいたるまでの一連の流れを説明する。実施の形態1で既に説明した部分については説明を省略する。初期状態では試料系12とセル1を遮断するための電磁弁3は開放状態にあり、試料系12の液体はセル1内を自由に通過している。所定のタイミングに、予めプログラムによって設定された測定動作に入ると、制御手段11は電磁弁2を閉状態にしセル1を試料系12から遮断し、セル1内のみの閉鎖系を構成する。制御手段11は、セル1内の液体の流動が収まると予想される予め設定された所定時間が経過すると、光源4を点灯するとともに測定手段10に信号を送って測定を開始を指令する。測定手段10は直ちに受光部5からの信号を調べ、電極3に電圧が印加される前の段階の測定の初期状態としてその値をメモリ14に格納する。
【0045】
次いで、制御手段11は電源回路8を制御して平板電極19に周波数1MHz、電圧300Vの交流を連続的に流す。この時平板電極19に挟まれた部分に浮遊する微生物には誘電泳動力が作用するが、本実施の形態3では二枚の平板電極19の中間部分に液体の電気的なセル狭搾部20が設けられているから、電界はこの狭搾部分に最も集中することになり、微生物はセル狭搾部20に向かって誘電泳動される。この誘電泳動力の作用によって狭搾部20付近に移動した微生物は実施の形態1と同様の経過をたどって測定され、その後に洗浄される。
【0046】
このように本実施の形態3においては、微生物の移動は誘電体で構成されるセル1のセル狭搾部20付近に向けて生じ、微生物が平板電極19との相互作用を行わなず、付着することが少ないため電極の材質及び取付精度の面で大きな自由度が生じる。また材質が誘電体であればセル挟搾部20に使用が可能であるため、材料選択の面でも自由度が増す。そしてこの際、例えば撥水性,撥油性の高いプラスチック等を用いれば、微生物の移動に伴う付着をさらに防止することができる。さらに、平板電極19と微生物が集中する部位を分離して考えられるため、測定系の配置の自由度を増すことができる。実施の形態3においては光源4,受光部5及び光学系6,7がセル狭搾部20の近傍に配置されているため、光学系が測定部分と極めて近くなり、精度の高い測定が可能となる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、薬剤や特別な装置を必要とすることなく、簡易で高感度な測定ができ、自動測定が可能でメンテナンスフリーの微生物数測定装置と微生物数測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における微生物数測定装置の全体構成図
【図2】本発明の実施の形態1における電極の詳細説明図
【図3】本発明の実施の形態1における微生物数と散乱光強度の時間変化の関係のグラフ
【図4】本発明の実施の形態2における微生物数測定装置の全体構成図
【図5】本発明の実施の形態2におけるナイフエッジ電極の詳細説明図
【図6】本発明の実施の形態3における微生物数測定装置の全体構成図
【符号の説明】
1 セル
2 電磁弁
3 電極
4 光源
5 受光部
6 光源光学系
7 受光光学系
8 電源回路
10 測定手段
11 制御手段
12 試料系
13 測定窓
14 メモリ
15 絶縁被覆
16 ナイフエッジ電極
17 補助電極
18 ナイフエッジ電極絶縁被覆
19 平板電極
20 セル狭搾部
21 電極底部
22 針状突起
23 ギャップ
24 泳動電源回路

Claims (5)

  1. 微生物含有の液体を導入することができ、内部に複数の電極を備えたセルと、前記電極間に誘電泳動力を発生させるために交流電流を流すことができる電源回路と、前記電源回路を制御するための制御手段と、微生物の数を測定するための測定手段を備え、前記複数の電極の少なくとも1つは円錐状の底部と該底部の先端から突出した針状突起部を有し、前記セルには前記電極間に電界を集中させる電界集中部が設けられ、微生物含有液体が導入されると微生物を前記電界集中部に電界の作用によって移動させ、前記測定手段によって微生物数を測定することを特徴とした微生物数測定装置。
  2. 前記電極がねじれの位置で保持される対向したナイフエッジ形状を持つことを特徴とする請求項1記載の微生物数測定装置。
  3. 前記複数の電極のうち少なくとも一対の電極間に交流電流を流すとともに、別の電極に前記一対の電極に対して所定の電圧を印加したことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の微生物数測定装置。
  4. 前記電界集中部が前記セルに設けられた誘電体からなる狭搾部であることを特徴とする請求項1記載の微生物数測定装置。
  5. 前記電極のうち試料に接する部分の少なくとも一部が絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の微生物数測定装置。
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