JP3668568B2 - ガスバリア性に優れた樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリア性が付与されたフィルム、シート、成形品等の樹脂成形体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸素、窒素、炭酸ガス、水蒸気等の気体の透過度が極めて小さいガスバリア材は包装用材料等の分野において需要が増大している。ガスバリア性をプラスチックフィルムまたはシート等の成形体材料に付与するためには、▲1▼エチレン- ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、芳香族系ナイロン等の気体不透過性素材で成形体を形成する、▲2▼これらの気体不透過性素材を他の材料にラミネートまたはコーティングする、▲3▼アルミ箔をフィルム状材料にラミネートする、▲4▼金属酸化物を蒸着する、▲5▼シロキサン系オリゴマー等のガスバリア性組成物を塗布する等の方法が知られている。
【0003】
しかし、▲1▼の気体不透過性素材の内、エチレンビニルアルコール共重合体や芳香族系ナイロンは耐湿性に劣り、雰囲気の湿度が大きくなるに従ってガスバリア性が大幅に低下するという問題があり、塩化ビニリデン系共重合体は塩素原子を含んでいるため、公害の原因となる恐れがある。また、▲3▼のアルミ箔ラミネートフィルムでは、包装された内容物を外から見ることができず、▲4▼の金属蒸着フィルムは可撓性に劣るため蒸着層にクラックが生じ易く、ガスバリア性の低下を引き起こすという問題があった。さらに、シロキサン系のガスバリア層は、ガスバリア性に優れてはいるが、価格が高価であるという問題があった。
【0004】
また、一方では光硬化性の樹脂をガスバリア性付与のために用いる試みがなされている。例えば特開昭60−15441号には、(メタ)アクリレート系オリゴマーとビニル単量体および光重合開始剤からなる組成物を成形体表面に塗布して紫外線硬化させることにより、ポリオレフィン成形物のガスバリア性を改良する方法が開示されている。しかしながら、この方法によって得られる成形物は、高度にガスバリア性が要求される分野に適用するには、不充分なガスバリア性しか示さないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記諸問題を解決し、ガスバリア性、特に高湿度環境下のガスバリア性に優れる層をその表面に形成した樹脂成形体を提供することを課題として掲げたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のガスバリア性に優れた樹脂成形体は、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドよりなる群から選択される1種以上の樹脂からなる成形体の表面に、分子内に3個以上の不飽和二重結合基と1級アルコール性水酸基とを有する重合性単量体(a)を1種以上含んでなる表面処理層を形成した後、該処理層を放射線照射によって硬化させたものであるところに要旨を有する。硬化前の表面処理層が前記重合性単量体(a)を80重量%以上含有するものであることがガスバリア性を優れたものとするための好ましい実施態様である。本発明の樹脂成形体は、特に、柔軟性と強度等の物性に優れたガスバリア性包装材料としての使用に適している。
【0007】
ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドよりなる群から選択される1種以上の樹脂からなる成形体の表面に、分子内に3個以上の不飽和二重結合基と1級アルコール性水酸基とを有する重合性単量体(a)を1種以上含んでなる表面処理層を形成した後、該処理層を放射線照射によって硬化させるものであるガスバリア性に優れた樹脂成形体の製造方法も本発明に包含される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、ガスバリア性に優れた樹脂成形体を提供するため、種々のプラスチック材料の中でも、可撓性に優れ、取扱いの容易なポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドのいずれか1種以上の樹脂からなる成形体を基材として使用する。なお本発明において、樹脂成形体の語は、シート、フィルムはもとより、ボトル状等の種々の形態の容器類等の成形体も含まれるものとする。
【0009】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の飽和ポリエステルや、これらを主体とする共重合物やブレンド物等が使用できる。ポリオレフィンとしては、種々のポリエチレンやポリプロピレン等の汎用ポリオレフィンの他、EVA樹脂、EVOH樹脂等の共重合体や、グラフトあるいはブレンド変性物等も使用することができる。ポリアミドとしては、ポリアミド(ナイロン)6、11、12、4−6、6−6、6−10、6−12、MXD−6等が挙げられる。本発明の樹脂成形体には、これらの樹脂が2種以上使用されている成形体、あるいはこれらの樹脂と一部他の樹脂が使用されている成形体(例えば積層物)等も含まれるものとする。
【0010】
本発明では、上記樹脂成形体の表面に、分子内に3個以上の不飽和二重結合基と1級アルコール性水酸基とを有する重合性単量体(a)を1種以上含んでなる表面処理層が設けられる。
【0011】
このとき必須的に用いられる重合性単量体(a)としては、放射線によって重合硬化するための不飽和二重結合基を分子内に3個以上もっていることが必要で、かつ、1級アルコール性水酸基を有していなければならない。重合性単量体(a)の有する不飽和二重結合基が3個より少ないと、硬化後の3次元架橋密度が低くなって、特に高湿度環境下における酸素透過度が低下するため好ましくない。また、不飽和二重結合基を3個以上有していても、1級アルコール性水酸基を有していない単量体や、水酸基を有していても2級または3級の水酸基である単量体は、1級アルコール性水酸基を有する単量体よりも、硬化後の酸素バリア性が不充分であるため、本発明では、1級アルコール性水酸基の存在を必須とした。1級アルコール性水酸基は、重合硬化段階でエステル基や水酸基と水素結合を形成するためガスバリア性を向上させる作用を有し、2級や3級の水酸基に比べ水素結合を形成し易いため、この作用が一層有効に働くものと考えられる。
【0012】
重合性単量体(a)としては、不飽和二重結合基を分子内に3個以上もち、かつ、1級アルコール性水酸基を有していれば、特に限定されないが、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が具体例として挙げられ、1種以上を混合して使用することもできる。
【0013】
本発明では、樹脂成形体の表面に上記単量体(a)を含有する表面処理層を形成する際に、上記単量体(a)が硬化前の処理層中80重量%以上含有されていること、すなわち、処理層用組成物(以下ガスバリア用組成物という)の固形分中80重量%以上含有させておくことが望まれる。重合性単量体(a)が80重量%より少ないと、高湿度下における酸素透過度が低下してしまうためである。高湿度下で使用する必要がない場合は、80重量%以下であっても構わないが、ガスバリア性を優れたものとするためには、50重量%以上の使用が好ましい。
【0014】
上記単量体(a)と共に、表面処理層を形成するために、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下の量であれば、単量体(a)と共重合可能な単量体をガスバリア用組成物中に添加してもよい。使用できる単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンエトキシ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、ビス(アクリロキシエトキシ)テトラブロモビスフェノールA、ビス(アクリロキシポリエトキシ)ビスフェノールA、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒンダトイン、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。なかでも好ましいものは、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリルアミド等である。
【0015】
本発明では、これまで説明した重合性単量体(a)を含む表面処理層を、樹脂成形体の表面に形成した後、放射線を照射して重合硬化させ、ガスバリア性に優れた硬化膜を形成するものである。表面処理層の形成は、樹脂成形体の表面に重合性単量体(a)を含むガスバリア用組成物を塗布することによって行うことができる。
【0016】
このときガスバリア用組成物中には、必要に応じて、公知の光重合開始剤(増感剤)を配合してもよい。具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、l−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のフェニルケトン類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられ、1種または2種以上の混合物として使用することができる。これらは、ガスバリア用組成物の単量体総量に対して10重量%以下で使用するとよい。多過ぎると、ガスバリア性が低下することがある。
【0017】
またガスバリア用組成物には、塗工性の向上のために溶媒を添加してもよい。溶媒としては、重合性単量体(a)や、必要に応じて用いられる他の単量体や光重合開始剤を溶解し得る溶剤であれば、特に限定されずに使用でき、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;セロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等が挙げられる。
【0018】
表面処理層の形成は、すなわち、ガスバリア用組成物を樹脂成形体に塗布する方法は特に限定されず、例えばロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法等やこれらを組み合わせた方法を採用できる。表面処理層の好ましい厚みは、硬化後で1〜10μmである。厚過ぎると可撓性に劣ることがある。なお、塗布前に樹脂成形体に対してコロナ処理等の表面活性化処理や、ウレタン樹脂等の公知のアンカー処理を行っておいてもよく、さらに塗布後、放射線の照射前に、他の素材の透明な成形体をラミネートする等の処理を行うこともできる。
【0019】
ガスバリア用組成物を樹脂成形体上に塗布して、塗膜を形成した後は、塗膜の硬化を行う。組成物が溶剤を含む場合は、硬化前に樹脂成形体の耐熱温度以下で、好ましくは100℃以下で加熱することによって乾燥させることが好ましい。硬化は、放射線の照射によって行われる。具体的には、α線、β線、γ線、加速電圧20〜2000KVの加速器から取り出される電子線や、キセノンランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等から発生する高エネルギーの波長2000Å〜8000Åの紫外線等を、適切な照射距離で照射する。電子線の場合は10秒以下の照射が、紫外線の場合は1秒〜3分程度の照射が好適である。
【0020】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
なお酸素透過度は、温度20℃、湿度90%Rhの条件で、MOCON社製の酸素透過率測定装置により測定した結果である。
【0021】
実施例1
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETAと略す)98gに1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I184と略す;チバガイギー社製)2gを溶解させ、ガスバリア用組成物1を得た。この組成物1をバーコーターで12μmのポリエチレンテレフタレート(PETと略す)に、膜厚4.5μmになるように塗布し、80℃で1分乾燥した。次いで、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで60秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は7.3cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0022】
実施例2
メタノール233.3gに、PETA99gおよびベンジルジメチルケタール(I654と略す;チバガイギー社製)1gを溶解させて、ガスバリア用組成物2とした。この組成物2を12μmのPETにバーコーターで乾燥・硬化後の厚みが3.6μmになるように塗布し、80℃で1分乾燥した。次いで、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで60秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は9.5cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0023】
実施例3
PETA98gに、ベンゾインイソプロピルエーテル(BIEと略す)2gを溶解させ、ガスバリア用組成物3を得た。この組成物3を20μmの延伸ポリプロピレンフィルム(OPPと略す)に膜厚4.5μmになるように塗布した後、ランプ出力80W/cm、照射距離10cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は7.4cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0024】
実施例4
酢酸エチル233.3gに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPEPAと略す)99gおよびベンゾインメチルエーテル(BMEと略す)1gを溶解させて、ガスバリア用組成物4とした。この組成物4を12μmのPETにバーコーターで3.6μmになるように塗布し、80℃で1分乾燥した。次いで、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで20秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は9.2cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0025】
実施例5
PETA96gとアクリル酸(AAと略す)24gの混合物に、I184を2g溶解させて、ガスバリア用組成物5を得た。この組成物5を12μmのPETに膜厚4.5μmになるように塗布した後、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は6.5cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0026】
実施例6
酢酸エチル182gとDPETA62gの混合物に、アクリルアミド(AAmと略す)15g、I184を1g溶解させ、ガスバリア用組成物6とした。この組成物6を12μmのPETにバーコーターで、乾燥・硬化後の膜厚が2.3μmになるように塗布し、80℃で1分乾燥した。次いで、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は9.3cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0027】
実施例7
PETA80gとAA9gの混合物に、AAm10gとI184を1g溶解させて、ガスバリア用組成物7を得た。この組成物7を12μmのPETに膜厚4.5μmになるようにバーコーターで塗布した後、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は6.7cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0028】
実施例8
PETAをそのままガスバリア用組成物8とし、12μmのPETに膜厚4.5μmになるようにバーコーターで塗布した後、加速電圧150KVで2Mradの電子線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は7.0cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0029】
実施例9
PETA60gとAA60gの混合物にI184を2g溶解させて、ガスバリア用組成物9を得た。この組成物9を12μmのPETに膜厚4.5μmになるようにバーコーターで塗布した後、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は23.5cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0030】
比較例1
酢酸エチル233.3gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHAと略す)99gとBME1gを溶解させて、ガスバリア用比較組成物10とした。この組成物10を12μmのPETに乾燥・硬化後の厚みが3.6μmになるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分乾燥した。次いで、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで20秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は56.3cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0031】
比較例2
酢酸エチル233.3gに、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PE4Aと略す)80g、AA19gとBMEを1g溶解させて、ガスバリア用比較組成物11とした。この組成物11を12μmのPETに乾燥・硬化後の厚みが3.6μmになるようにバーコーターで塗布し、80℃で30秒乾燥した。次いで、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は58.4cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0032】
比較例3
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(チバガイギー社製「アラルダイトEPN−1180」にアクリル酸を付加させたエポキシアクリレート(EA1と略す)100gと2gのBIEを酢酸エチル233gに溶解させて、ガスバリア用比較組成物12とした。この組成物12を12μmのPETに乾燥・硬化後の厚みが3.6μmになるようにバーコーターで塗布し、80℃で30秒乾燥した。次いで、ランプ出力120W/cm、照射距離30cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は60.0cc/m2 ・24hrs・atmであった。
【0033】
比較例4
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「エピコート1001」)にアクリル酸を付加させたエポキシアクリレート(EA2と略す)50gと、BIE2gをヒドロキシエチルアクリレート(HEAと略す)16gに溶解させたが、粘度が高すぎて成膜が行えなかった。そこで、アセトン153gに再溶解させて、ガスバリア用比較組成物13とした。この組成物13を20μmのOPPに乾燥・硬化後の厚みが4.5μmになるようにバーコーターで塗布し、80℃で30秒乾燥した。次いで、ランプ出力80W/cm、照射距離10cmで30秒間UVランプにより紫外線照射を行い、ガスバリア層を硬化させた。得られた処理フィルムの酸素透過度は56.2cc/m2 ・24hrs・atmであった。
以上の結果を表1にまとめた。
【0034】
【表1】
【0035】
表1から明らかなように、本発明の実施例はいずれも、90%RHの高湿度下において良好なガスバリア性を示した。水酸基を有しない重合性単量体を用いた比較例1、2では、酸素透過度が高くなっていることがわかる。2級水酸基を有している単量体を使用した比較例3や、2官能の単量体を使用した比較例4においても同様に、本発明の実施例に比べガスバリア性に劣っていることが確認された。
【0036】
【発明の効果】
本発明によって得られる樹脂成形体は、3官能以上でかつ1級アルコール性水酸基を有する重合性単量体を必須的に含むため、硬化後の塗膜はガスバリア性に優れ、特に高湿度下においても低い酸素透過度を示す。また放射線硬化システムの利用によって、製造スピードを速くすることができ、コスト低下に成功した。また、塗膜の可撓性や透明性にも優れているため、本発明の樹脂成形体並びにその製造方法は、ガスバリア性包装材料分野を始めとして、種々の分野に有用である。
Claims (3)
- ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドよりなる群から選択される1種以上の樹脂からなる成形体の表面に、分子内に3個以上の不飽和二重結合基と1級アルコール性水酸基とを有する1種以上の重合性単量体(a)を80重量%以上含有する表面処理層を形成した後、該処理層を放射線照射によって硬化させたものであることを特徴とするガスバリア性に優れた樹脂成形体。
- 用途がガスバリア性包装材料である請求項1に記載の樹脂成形体。
- ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドよりなる群から選択される1種以上の樹脂からなる成形体の表面に、分子内に3個以上の不飽和二重結合基と1級アルコール性水酸基とを有する1種以上の重合性単量体(a)を80重量%以上含有する表面処理層を形成した後、該処理層を放射線照射によって硬化させることを特徴とするガスバリア性に優れた樹脂成形体の製造方法。
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