JP3667049B2 - 光学素子の成形型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子の光学機能面に対応した成形面を有する上下型部材およびこれらを囲む胴型によって、加熱軟化したガラス素材塊を、前記光学機能面の周囲が方形になるように成形する光学素子の成形型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、レンズなどの光学素子は、押圧成形によって製造されるのが主流になっている。特に、最近では、f−θレンズやプリズムなどの、軸対称形状でないレンズなどにも、押圧成形法が採用されている。例えば、特開平6−256025号公報に所載の成形装置では、両面もしくは片面にトーリック面やアナモフィック面などを有する、軸非対称面の光学素子を、精度よく成形するために工夫された成形型が提示されている。
【0003】
即ち、ここでは、角穴の胴型と、それに対応して嵌合する角形の上下型部材で方形のキャビティを形成し、そこにガラス素材を充填、プレスすることで、所要の角形光学素子を成形するのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の成形方法では、次のような欠点がある。
(1)従来公知の加工手段を用いて、胴型に角穴を形成するが、必要とする角穴の加工精度(寸法、垂直度、平行度)を出すのが困難である。
(2)胴型に設ける角穴は、そのコーナーの稜線に沿って、加工上必須のR面を形成する必要があり、そのR面に対応して、胴型に挿入する上下型部材のコーナーにも、それぞれ、C面取りあるいはR面取りの加工が必要となる。しかし、加工精度の制約から、角穴のコーナーと上下型部材との隙間が、しばしば、約10μm以上となるので、プレス成形時に、ガラスがそれらの隙間に入り易く、バリを発生し、そのため、成形後に、光学素子の稜部に、欠けや割れが生じ易い。
(3)胴型に設けた角穴にガラス素材塊を充填し、その内壁にガラス素材塊の表面を密接させるので、ガラス表面と胴型の角穴内壁との間で融着が生じ易い。また、それを防ぐ目的で、角穴内壁に融着防止のコーティングを施すことも考慮されたが、角穴内のことでもあり、コーティング加工自体が非常に困難である。
(4)胴型に設けた角穴にガラスを充填し、角穴内壁にガラス表面を密接するため、成形後に、成形品の表面を角穴内壁から剥離して、胴型から取り出すのに、可成りの困難が伴う。
【0005】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その第1の目的は、光学素子を成形する場合に、その成形品の側面に融着を起こすことなく、また、成形品の稜部に欠け、割れを生じることなく、所要の精度で、容易に成形品を取り出せるように工夫した光学素子の成形型を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、光学素子の光学機能面に対応した成形面を有する上下型部材およびこれらを囲む胴型によって、加熱軟化したガラス素材塊を、前記光学機能面の周囲が方形になるように成形する光学素子の成形型において、前記胴型は前記方形の稜線部で分離された型部材を組み合わせて構成され、前記胴型の側面型部材によってガラス成形品の側面を成形すると共に、前記側面型部材の少なくとも一面に、型抜き方向に角度5度以下である勾配が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この場合、勾配の起点が、下型の成形面の高さより上側に位置していること、胴型を構成する型部材のガラス接触面が、硬質炭素あるいは貴金属を主成分とする合金にてコーティングされていること、また、胴型を構成する型部材のガラス接触面が、表面粗さ、Rmax=30nm以下であることが好ましい。
【0008】
また、前記胴型は、その型部材を組み合わせた際に生じる下型部材との隙間が8μm以下であることを特徴とする。更に、このように構成される成形型により成形される光学素子は、その光学機能面以外の少なくとも一面に型抜き方向の勾配が形成されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、光学素子の成形型の一例を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の特徴を最もよく表す光学素子用の成形型の断面図であり、また、図2は図1のX−Xに沿った断面図である。図中、符号1は上型部材であり、上側胴型5に保持されている。また、符号2は下型部材であり、下型部材2の周囲には、下側胴型として組み合わされる4個の側面型部材3、4および11、12が配置され、胴枠6で囲まれ、下型部材2と共にベース板10上に装着されている。
【0010】
なお、図中、符号7、8は、それぞれ、上型部材1、下型部材2に固定保持された位置決めピンであり、符号9はプレスロッドであって、上側胴型5に連結されている。10は下胴型6を固定するベース板である。101はこの型構造により成形された成形品であり、図3には、その成形品が示されている。
【0011】
上型部材1の成形面は平坦であり、下型部材2の成形面は凹面であって、光学素子としての成形品の光学機能面に対応し、その表面粗さは、例えばRmax=30nmに仕上げられている。また、側面型部材3、4および11、12の、成形品と接触する側の壁面は、成形される光学素子の光学機能面に相当する程度の表面粗さ:Rmax30nmに仕上げられている。これは、光学素子としての成形品の側面が取り付け基準面として機能すればよく、光学機能面ほどの表面粗さに仕上げる必要はないものの、表面粗さが大きいと、ガラスの食い込みにより、摩擦係数が大きくなり、成形品が取り出し辛くなるためである。
【0012】
また、型部材3、4および11、12の、ガラス接触表面には、硬質炭素膜がコーティングされている。これは、ガラスと型部材との融着を防止するためと、表面での摩擦係数を小さくするためである。勿論、この目的に反しない限り、例えば、硬質炭素膜の代わりに、貴金属を主成分とする合金膜でも構わない。
【0013】
更に、1つの型部材3には、下型部材2の成形面の上端縁より上部に起点を持つ勾配(符号3′にて示すテーパー角=θ)が施されている。これは、バキュームハンド(図示せず)で、成形品を取り出す場合、成形品の側面の抜き代が長ければ、長いほど取り出し辛くなるという事情に基づいてなされたもので、上下型部材の光学機能面の転写性をより良くしようとすると、成形圧力を高くする必要があり、成形品側面の充填度も必然的に高くなり、成形品と側面型部材の隙間が殆どなくなるのである。このような理由で、上記テーパー加工が非常に効果的になる。
【0014】
【実施例】
なお、このテーパー角度の適正値は、実験で求められた。それによると、テーパー角度が0.1度〜5度が良好であった。また、テーパー角度が0.1度以下であると、バキュームハンドでの吸着ミスが、テーパー角度がない場合よりは減少するものの、完全に解消するには到らない。また、テーパー角度が5度以上であると、その部分で圧力が若干、逃げるため、部分的に上型部材の転写性が悪くなる虞がある。そこで、本発明の実施例では、このテーパー角度を1度に設定してある(以下に示す表1を参照)。
【0015】
【表1】
次に、下型2と側面型部材3、4および11、12との組み合わせた際の、両者の隙間について説明する。まず、下型部材2、側面型部材3、4のL寸法は、3つを、同時加工することで、誤差のない一定値に仕上げられる。そして、これらを、側面型部材11、12で挟み込む形で、胴枠6に組み込むが、この際、下型部材2と側面型部材3、4の間に生じる隙間は、側面型部材3、4の何れかの厚みを調整することで、適宜に設定できる。また、下型部材2と側面型部材11、12の間に生じる隙間も、側面型部材11、12の何れかの厚みを調整することで、適宜に設定できる。
【0016】
これらの隙間と、その隙間に入り込むガラスの関係を実験により求めた。その結果、隙間量が10μm以上であると、その隙間にガラスが入り込み、それがバリとなって、成形品取り出し後に、そこでの欠けや割れが生じたが、隙間量が8μm以下であると、ガラスが入り込まず、損傷のない成形品が得られることが解った。よって、上記隙間は8μm以下に設定する必要がある。
【0017】
本実施例では、以上の様に構成されるが、次に、この成形型を用いてレンズを成形する方法について説明する。まず、プレスロッド9を上昇させ、型開きを行う。次に、バキュームハンド(図示せず)で、軟化したガラス素材を下型部材2の上に載置する。この状態で、赤外線加熱装置(図示せず)などで、成形型とガラス素材とを、同時に加熱する。
【0018】
このガラス素材は、例えば、成形温度が580℃(オハラLBAL42)のものを使う。成形型が580℃に達したら、プレスロッド9を下降させ、プレス成形を実施する。この際、上胴型5にある位置決めピン7(オス)と下側の胴枠6にある位置決めピン8(メス)とが嵌合され、上下型部材の軸心が合わされる。次に、窒素ガス噴射装置(図示せず)を用いて成形型全体の冷却がなされる。
【0019】
更に、成形型が約470℃になった時点で、プレスロッド9を上昇させ、型開きを行う。そして、バキュームハンド(図示せず)で成形品を取り出す。このようなサイクルで、連続成形を行った結果では、成形品の取り出しが容易に行え、欠け、割れのない成形が可能となった。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、胴型の内壁で成形品の側面を成形する場合でも、胴型が、複数の型部材から構成され、その加工精度が高く、更には表面粗さを所望の値まで高めるので、成形品の側面で、型部材接触面に融着を起こすことなく、成形後に、成形品の稜部において、欠けや割れがなく、また、容易に成形品を成形型から取り出せる。更に、上型部材の転写性が悪くなるのを防ぐことができる。
【0021】
また、上記手段によって成形された光学素子には、勾配の部分(テーパー部)が形成されるので、この光学素子を組み立てる際、それが目印となり、光学素子特有の方向性(部分的面精度の違い)を常に一定にでき、組み立て時の調整が簡単にできるなどの効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す成形型の構造図である。
【図2】同じく、断面図である。
【図3】本発明の成形型で成形した成形品の図である。
【符号の説明】
1 上型部材
2 下型部材
3、4、11、12 側面型部材
3′ テーパー度:θ
5 上胴型
6 下側の胴枠
7、8 ピン
9 プレスロッド
101 成形品
Claims (6)
- 光学素子の光学機能面に対応した成形面を有する上下型部材およびこれらを囲む胴型によって、加熱軟化したガラス素材塊を、前記光学機能面の周囲が方形になるように成形する光学素子の成形型において、前記胴型は前記方形の稜線部で分離された型部材を組み合わせて構成され、前記胴型の側面型部材によってガラス成形品の側面を成形すると共に、前記側面型部材の少なくとも一面に、型抜き方向に角度5度以下である勾配が形成されていることを特徴とする光学素子の成形型。
- 勾配の起点が、下型の成形面の高さより上側に位置していることを特徴とする請求項1記載の光学素子の成形型。
- 胴型を構成する型部材のガラス接触面が、硬質炭素あるいは貴金属を主成分とする合金にてコーティングされていることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の光学素子の成形型。
- 胴型を構成する型部材のガラス接触面は、その表面粗さが、Rmax=30nm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光学素子の成形型。
- 前記胴型は、その型部材を組み合わせた際に生じる下型部材との隙間が8μm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光学素子の成形型。
- 前記請求項1〜5で構成される成形型により成形され、その光学機能面以外の少なくとも一面に型抜き方向の勾配が形成されていることを特徴とする光学素子。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP26354497A JP3667049B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | 光学素子の成形型 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26354497A JP3667049B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | 光学素子の成形型 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11100220A JPH11100220A (ja) | 1999-04-13 |
| JP3667049B2 true JP3667049B2 (ja) | 2005-07-06 |
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Family Applications (1)
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Families Citing this family (1)
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|---|---|---|---|---|
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1997
- 1997-09-29 JP JP26354497A patent/JP3667049B2/ja not_active Expired - Fee Related
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