JP3667030B2 - 中間転写体の製造方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間転写体の製造方法、及び該中間転写体を有し、電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に第1の画像担持体上に形成されたトナー像を一旦中間転写体上に転写させた後に第2の画像担持体上に更に転写させることにより画像形成物を得る複写機、プリンタ、ファックス等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
中間転写体を使用した画像形成装置は、多色画像情報の複数の成分色画像を順次積層転写して多色画像を合成再現した画像形成物を出力する多色画像形成装置として有効であり、各成分色画像の重ね合わせのズレ(色ズレ)のない画像を得ることが可能である。
【0003】
ドラム状の中間転写体を用いた画像形成装置の概略図の例を図1に示す。
【0004】
図1に示される画像形成装置は電子写真プロセスを利用したフルカラー画像形成装置(複写機あるいはレーザービームプリンタ)であり、中間転写体として中抵抗の弾性ローラ6を使用している。
【0005】
1は第1の画像担持体として繰り返し使用される回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光体と記す)であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光体1は回転過程で、一次帯電器(コロナ放電器)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の画像露光手段(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光系等)による画像露光3を受ける。このようにして感光体上に目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばマゼンタ成分像)に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像が第1現像器41(マゼンタ現像器)により第1色であるマゼンタ成分像に現像される。この時第2〜第4のイエロー現像器42、シアン現像器43及びブラック現像器44は作動しておらず、感光体1には作用しないので、上記第1色のマゼンタ成分像は上記第2〜第4の現像器42〜44による影響を受けない。中間転写体6は、シリンダー状の支持体と、その外周面に形成された弾性層及び被覆層を有しており、矢印の方向に感光体1と同じ周速度で回転駆動される。そして、感光体1上に形成された上記第1色のマゼンタ成分像が、感光体1と中間転写体6とのニップ部を通過する過程で、中間転写体6に印加される一次転写バイアス8によって形成される電界により、中間転写体6の外周面に順次一次転写されていく。中間転写体6に対応する第1色のマゼンタ成分像の転写を終えた感光体1の表面は、クリーニング装置5により清掃される。以下同様に、第2色であるシアン成分像、第3色であるイエロー成分像及び第4色であるブラック成分像が順次中間転写体6上に重畳転写され、目的のカラー画像に対応したフルカラー画像が形成される。第1〜第4色のトナー画像を感光体1から中間転写体6へ順次重畳転写するための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性でバイアス電源8から印加される。その印加電圧は例えば+2kV〜+5kVの範囲である。91は転写ローラで、中間転写体6に対応し平行に軸受させて下面部に接触させて配設してあるが、感光体1から中間転写体6への第1〜第4色のトナー画像の転写工程においては、転写ローラ91及び後述の中間転写体クリーナ7は中間転写体6から離間することも可能である。中間転写体6上に重畳転写されたフルカラー画像は、転写ローラ91が中間転写体6に当接され、給紙カセット11から中間転写体6と転写ローラ91との当接部分に所定のタイミングで第2の画像担持体である転写材10が給送され、同時に二次転写バイアスがバイアス電源12から転写ローラ91に印加されることにより転写材10に二次転写される。トナー画像転写を受けた転写材10は定着器13へ導入され加熱定着される。転写材10への画像転写終了後、中間転写体6上の転写残トナーは中間転写体クリーナ7が当接されクリーニングされる。
【0006】
上述の中間転写体を用いた画像形成装置を有するカラー電子写真装置は、従来の技術である転写ドラム転写ドラム上に第2の画像担持体を張り付けまたは吸着させ、そこへ第1の画像担持体上から画像を転写する画像形成装置を有したカラー電子写真、例えば特開昭63−301960号公報中で述べられたごとくの転写方法よりは以下の点で優れている。即ち、各色のトナー画像の重ね合わせ時の色ズレが少ない。次に図1で示されるごとく、第2の画像担持体になんら加工、制御(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率を持たせる等)を必要とせずに中間転写体から画像を転写することができるため、第2の画像担持体を多種多様に選択することができ、例えば40g/m2 程度の薄い紙から、200g/m2 程度の厚い紙まで選択することが可能である。また、幅の広狭、あるいは長さの長短によらず転写可能であり、封筒、ハガキ及びラベル紙等までに対応することが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように中間転写体を用いることによる利点のため、すでに市場においてはこの画像形成装置を用いたカラー複写機、カラープリンタ等が稼動し始めているが、これらのカラー電子写真装置は、前記の利点を十分に生かし、ユーザーに対して真に期待され、かつ満足を与える装置として機能していないのが現状である。
【0008】
即ち、この中間転写体を用いた画像形成装置を提供する場合、次のごとく克服すべき問題点を未だ有している。
【0009】
即ち、中間転写体から第2の画像担持体、例えば紙やOHPシートへの二次転写効率が十分に高いものとなっていないことにより、画質が良好でなく、中間転写体に具備すべきクリーニング装置が不可欠となり、かつ、多量のクリーニング残トナーをクリーニングするために当該クリーニング装置が構成上かなり複雑なものとなり、高価なものとなってしまっている。
【0010】
そこで、二次転写効率を向上させる手段として、特開平7−234592号公報中で述べられているように、中間転写体表面に微粒子を存在させることが有効であるが、中間転写体表面に微粒子を存在させる方法として、特開平7−234592号公報では中間転写体表面に微粒子を擦り付けて固着させると記されている。しかしながら、このような方法では中間転写体表面に均一に微粒子を存在させることが不可能であり、微粒子の固着状態のムラによる転写ムラが画像に出てしまうといった不具合が発生する場合があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、第2の画像担持体への二次転写効率が高く、転写ムラのない良好な画質が得られ、クリーニング装置が不要で構造が複雑とならない中間転写体を得る製造方法、及び該中間転写体を有する画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、コーティングによって形成された被覆層を有する中間転写体の該被覆層が溶媒を30重量%以上含有している状態で、微粒子を湿式塗布することを特徴とする中間転写体の製造方法である。
【0013】
また、本発明は、第1の画像担持体上に形成された画像を中間転写体上に一次転写した後、第2の画像担持体上に更に二次転写する画像形成装置において、該中間転写体として前記製造方法により製造された中間転写体を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
本発明においては、中間転写体表面に微粒子を湿式塗布することにより、微粒子を極めて均一に中間転写体表面に付着させることが可能であり、二次転写効率が向上し、転写ムラのない良好な画像を得ることが可能である。
【0015】
更に、擦り付ける等の乾式塗布と比較して、湿式塗布の場合には、微粒子を多量に中間転写体表面に付着させることが可能であることから、遊離状態の微粒子を存在させることが可能で、中間転写体から第2の画像担持体への二次転写の際に、中間転写体表面とトナー(現像剤)表面との間で、微粒子がスペーサー的な役割を果たし、極めて高い二次転写効率が得られるといった効果もある。
【0016】
【発明の実施の形態】
微粒子の湿式塗布とは、微粒子分散液の中間転写体表面へのコーティングのことをいい、コーティングの方法としては、浸漬塗工、スプレーコートが用いられるが、微粒子分散液の重ね塗りが容易なことからスプレーコートが好ましい。
【0017】
また、微粒子とは、使用するトナーの平均粒径の10分の1以下の平均粒径をもつ粒子であればいかなるものでもよく、好ましくはシリカ(SiO2 )、更に好ましくは表面が疎水化されたシリカである。
【0018】
シリカ表面の疎水化方法としては、シリカ微粒子と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物のごとき処理剤で化学的に処理する。そのような有機ケイ素化合物の例としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサンが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0019】
微粒子分散液は、前記微粒子と分散媒を混合し、ボールミル、サンドミル、ホモジナイザー、ペイントシェイカー、ナノマイザーもしくはそれに類する装置を使用して分散することにより調製できるが、微粒子を均一分散できることから、ナノマイザーが好ましい。ここで、微粒子を分散する分散媒としては各種の溶剤が使用できるが、中間転写体表面と相溶性のよい溶媒が好ましい。中間転写体表面と相溶性の良い溶媒を微粒子分散液の分散媒として使用することにより、微粒子分散液を中間転写体表面にコーティングした際に、より均一に微粒子分散液を中間転写体表面に塗布することができ、中間転写体の表面が溶剤に可溶もしくは膨潤する場合には、微粒子の一部が中間転写体表面上に固定化され、微粒子の中間転写体表面からの脱落を防止する効果がある。ここで、上記特性を阻害しない範囲で、分散媒中に結着成分を配合してもよい。
【0020】
また、少なくともコーティングによって形成された被覆層を有する中間転写体の場合には、該被覆層が、溶媒を30重量%以上含有している状態で微粒子分散液をコーティングすることにより、上記と同様に微粒子の一部が被覆層上に固定化され、微粒子の中間転写体表面からの脱落を防止する効果がある。
【0021】
また、本発明で得られた中間転写体は、中間転写体上の二次転写残トナーに電荷を付与し、電界で回収する手段により中間転写体をクリーニングすることも可能である。更には、中間転写体上の二次転写トナーに電荷を付与し、第1の画像担持体から中間転写体に一次転写すると同時に中間転写体上の二次転写残トナーを第1の画像担持体に回収することも可能である。このように中間転写体上の二次転写残トナーに電荷を付与して電界で回収するといった簡単な構成で中間転写体表面をクリーニングできることから、装置の小型化と低コスト化が可能である。
【0022】
また、機械的な力で中間転写体上の二次転写残トナーをクリーニングしないことから、中間転写体に対するダメージが小さくなり、中間転写体の寿命が長くなるというメリットもある。しかしながら、ここで二次転写効率が悪いと、結果的に転写残トナーが多くなると同時に、中間転写体上の二次転写残トナーに電荷を付与して電界で回収する際の回収効率も二次転写効率と同様に悪いことから、クリーニング不良が発生し易い。また、一次転写すると同時に中間転写体上の二次転写残トナーを第1の画像担持体に回収する際にも、前記と同様にクリーニング不良が発生し易いと同時に、二次転写残トナーが正規に一次転写すべきトナーを引き連れて第1の画像担持体に回収されてしまい、前画像に相当する部分の画像濃度が薄くなってしまう画像不良(ネガゴースト)も発生し易い。しかし、本発明で得られた中間転写体を用いた場合にはこのような問題は発生せず、中間転写体上の二次転写残トナーに電荷を付与して中間転写体をクリーニングする手段との組み合わせにより、装置の小型化と低コスト化が達成できる。
【0023】
また、本発明で得られた中間転写体は、第1の画像担持体として少なくとも表面層に四フッ化エチレン(PTFE)樹脂粒子を含有する感光ドラムを用いる時にも好適である。このように表面にPTFE樹脂粒子を含有することにより第1の画像担持体である感光体ドラムから中間転写体への一次転写特性が向上し、転写中抜け等の画像欠陥のない良好な画質と高い一次転写効率が得られる。ここで中間転写体の二次転写特性が十分でないと中間転写体上の転写残トナーが増加し、実質的な転写効率は向上せず、同時に二次転写不良等の画像欠陥を発生してしまうことになる。しかし、本発明で得られた中間転写体を用いた場合にはこのような問題は発生せず、表面にPTFE樹脂粒子を含有する感光ドラムとの組み合わせにより実質的な転写効率と画像品位の向上が達成できる。
【0024】
本発明に用いる中間転写体は、例えば、円筒状の導電性支持体(芯金)61の外周面上にゴム、エラストマーまたは樹脂等を含有する基層62を有し、その基層62の表面に微粒子63を有するドラム状(図4)、基層62の外周面上に被覆層64を有し、この被覆層64の表面に微粒子63を有するドラム状(図5)、ゴム、エラストマーまたは樹脂等からなる基層62を有し、その基層62の表面に微粒子63を有するベルト状(図6)、基層62の外周面上に被覆層64を有し、この被覆層64の表面に微粒子63を有するベルト状(図7)等種々の態様の中間転写体から目的、必要に応じて選択することができるが、色ずれを小さく抑え易いことから、ドラム形状が好ましい。
【0025】
導電性支持体は、アルミニウム、鉄、銅及びステンレス等の金属や合金、カーボンや金属粒子等を分散した導電性樹脂等を用いて制作することができ、その形状としては、上述したような円筒状や、円筒の中心に軸を貫通したもの円筒の内部に補強を施したもの等が挙げられる。
【0026】
本発明に用いる中間転写体の基層、及び被覆層に使用されるゴム、エラストマー、樹脂として、例えば、エラストマーやゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ポリアミドエラストマー、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム及びノルボルネンゴム等が挙げられる。また、樹脂類としてはポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。また、これらのゴム、エラストマー、樹脂を2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0027】
また、基層及び被覆層の添加剤としてカーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、金属粉、金属酸化物、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩、導電性高分子、樹脂粒子等を用いてもよい。
【0028】
中間転写体の基層の膜厚は0.5mm以上、更には1mm以上、特には1mm〜10mmであることが好ましい。また、被覆層の膜厚は、下層の弾性層の柔軟性を更にその上の層あるいは感光体表面に伝えるために薄層にすることが好ましく、具体的には3mm以下、更には2mm以下、特には20μm〜1mmであることが好ましい。
【0029】
また、中間転写体の体積抵抗率は、101 〜1013Ω・cmであることが好ましく、特には102 〜1010Ω・cmであることが好ましい。
【0030】
以下に実施例をもって本発明を詳細に説明する。
【0031】
(実施例1)
(中間転写体基層の作成)
EPDM100重量部、酸化亜鉛5重量部、高級脂肪酸1重量部、導電性カーボンブラック8重量部、パラフィンオイル15重量部、硫黄2重量部、加硫促進剤MBT1重量部、加硫促進剤TMTD2重量部及び加硫促進剤ZnMDC1重量部を2本ロールにて冷却しながら20分間混錬してコンパウンドを調製し、この弾性層用コンパウンドを金型を用いて直径182mm、長さ320mm、厚さ3mmのアルミニウム製円筒状ローラーの表面にトランスファー成形及び加硫することにより厚さ5mmの弾性層を有するゴムローラ(1)を得た。
【0032】
(中間転写体被覆層用塗料の調製)
ポリエステルポリウレタンプレポリマー溶液100重量部、硬化剤溶液5重量部、四フッ化エチレン樹脂粒子40重量部、分散剤2重量部及びメチルイソブチルケトン(MIBK)300重量部を混合後、サンドミルで分散することにより中間転写体被覆層用塗料を調製した。
【0033】
(微粒子分散液の調製)
表面がヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された、平均粒径が0.02μmのシリカ(SiO2 )10重量部とアセトン90重量部を混合後、ナノマイザーを用いて分散することにより微粒子分散液を調製した。
【0034】
(中間転写体の作成)
前記ゴムローラ(1)に前記被覆層用塗料をスプレー塗布することにより被覆層を形成し、その直後に微粒子分散液をスプレー塗布した後、120℃で2時間乾燥、硬化させることにより中間転写体を得た。ここで、微粒子分散液を塗布する時点で、被覆層は約50重量%の溶媒を含有していた。微粒子分散液を塗布する時点の被覆層中の溶媒量は、前記ゴムローラ(1)の重量(I)、前記被覆層用塗料塗布後微粒子分散液塗布直前の重量(II)及び微粒子分散液を塗布せずに乾燥硬化したものの重量(III )を測定し、以下の計算式によって求めた。
【0035】
【0036】
この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着して転写効率を測定した結果、二次転写効率は99%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、良好な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。
【0037】
図2で71は中間転写体クリーニングローラであり、バイアス電源72から感光体の帯電電位と逆極性(この場合は+)の電圧が印加され、中間転写体6上の二次転写残トナーを帯電する。その後、中間転写体6上の二次転写残トナーは、感光ドラム1の表面電位による電界によって、感光ドラム1上に回収される。この際、感光ドラム1から中間転写体6上へトナーは一次転写されると同時に、中間転写体6上の二次転写残トナーは感光ドラム1に回収される。
【0038】
なお、本発明において、二次転写効率は以下のようにして求めた値である。200mm×100mmのシアン+マゼンタの2色のベタ画像(カバリッジ200%)を出力し、中間転写体上に残った二次転写残トナーと、第2の画像担持体である105g/m2 紙上の未定着トナーをエアーで吸引し、サンプリングされたトナーの重量から計算して求めた値である。計算式を以下に示す。
【0039】
【0040】
その後、この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着し、繰り返して105g/m2 紙上にフルカラー画像プリント試験を行った。その結果、1万枚の耐久試験後も初期と同様な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。また、上記と同様の方法で測定した二次転写効率も98%と殆ど低下が見られなかった。
【0041】
以下に本実施例の作像条件を示す。
【0042】
感光体:導電性支持体上に下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上に四フッ化エチレン樹脂微粉末(粒径0.2μm)を分散した保護層を有する有機感光体
感光体表面電位:−700V
カラー現像剤(4色共に):非磁性一成分トナー(粒径6.8μm)
一次転写電圧:+300V
二次転写電圧:+1.8kV
プロセススピード:120mm/sec.
現像バイアス:−450V
【0043】
(実施例2)
実施例1のゴム配合において、押し出し成形、蒸気加硫及び研磨を行い、外径150mm、幅320mm、厚さ0.8mmのゴムベルトを作成し、このゴムベルトを中間転写体基層として用いた以外は実施例1と同様に中間転写体を作成した。
【0044】
この中間転写体を図3に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は99%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、良好な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。図3中、65はベルト状中間転写体、92は転写帯電器である。
【0045】
その後、この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着し、繰り返して105g/m2 紙上にフルカラー画像プリント試験を行った。その結果、1万枚の耐久試験後は若干の色ずれが見られたが、許容できる画質であり、クリーニング不良も見られなかった。また、上記と同様の方法で測定した二次転写効率も97%と殆ど低下が見られなかった。
【0046】
(実施例3)
実施例1において、微粒子を表面が疎水化処理されていない平均粒径が0.02μmのシリカに変更した以外は実施例1と同様に中間転写体を作成した。
【0047】
この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は98%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、良好な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。
【0048】
その後、この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着し、繰り返して105g/m2 紙上にフルカラー画像プリント試験を行った。その結果、1万枚の耐久試験後も初期と同様な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。また、上記と同様の方法で測定した二次転写効率も97%と殆ど低下が見られなかった。
【0049】
(実施例4)
実施例1において、微粒子を平均粒径が0.2μmの四フッ化エチレン樹脂粒子に変更した以外は実施例1と同様に中間転写体を作成した。
【0050】
この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は97%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、良好な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。
【0051】
その後、この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着し、繰り返して105g/m2 紙上にフルカラー画像プリント試験を行った。その結果、1万枚の耐久試験後も初期と同様な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。また、上記と同様の方法で測定した二次転写効率も96%と殆ど低下が見られなかった。
【0052】
(実施例5)
実施例1において、微粒子を平均粒径が0.5μmのポリエチレン樹脂粒子に変更した以外は実施例1と同様に中間転写体を作成した。
【0053】
この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は96%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、ほぼ良好な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。
【0054】
その後、この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着し、繰り返して105g/m2 紙上にフルカラー画像プリント試験を行った。その結果、1万枚の耐久試験後も初期と同様な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。また、上記と同様の方法で測定した二次転写効率も95%と殆ど低下が見られなかった。
【0055】
(実施例6)
実施例1において、微粒子分散液を塗布する時点で、被覆層の溶媒の含有量が約25重量%になるまで溶媒を蒸発させた以外は実施例1と同様に中間転写体を作成した。
【0056】
この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は99%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、良好な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。
【0057】
その後、この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着し、繰り返して105g/m2 紙上にフルカラー画像プリント試験を行った。その結果、1万枚の耐久試験後、上記と同様の方法で測定した二次転写効率は93%であり、若干の二次転写効率と画像濃度の低下が見られたが許容できる画質であり、クリーニング不良も確認されなかった。
【0058】
(実施例7)
実施例1の中間転写体を図1に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は99%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、良好な画質が得られ、クリーニング不良も見られなかった。
【0059】
その後、この中間転写体を図1に示されるフルカラー電子写真装置に装着し、繰り返して105g/m2 紙上にフルカラー画像プリント試験を行った。その結果、1万枚の耐久試験後、上記と同様の方法で測定した二次転写効率は92%であり、若干の二次転写効率と画像濃度の低下が見られたが許容できる画質であり、クリーニング不良も確認されなかった。
【0060】
(比較例1)
実施例1において、微粒子分散液を塗布しなかった以外は実施例1と同様に中間転写体を作成した。
【0061】
この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は86%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、濃度の低い画像が得られ、顕著なクリーニング不良が確認されたので耐久試験は行わなかった。
【0062】
(比較例2)
実施例1において、微粒子分散液を塗布せずに中間転写体を作成し、その中間転写体上に表面を疎水化処理した平均粒径0.02μmのシリカを乾式塗布した以外は実施例1と同様に中間転写体を作成した。ここで、シリカの乾式塗布方法としては、被覆層を形成、焼成後の中間転写体を周方向に回転させながら摩擦部材を当接させ、中間転写体と摩擦部材とのニップ部分にシリカを投入することにより塗布した。
【0063】
この中間転写体を図2に示されるフルカラー電子写真装置に装着して実施例1と同様に転写効率を測定した結果、二次転写効率は91%であった。また、フルカラー画像を連続してプリントした結果、濃度ムラのある画像が得られ、若干のクリーニング不良が確認されたので耐久試験は行わなかった。
【0064】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、第2の画像担持体への二次転写効率が高く、転写ムラのない良好な画質が得られ、クリーニング装置が不要で構造が複雑とならない中間転写体を得る製造方法、及び該中間転写体を有する画像形成装置を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中間転写体を用いたカラー画像形成装置の概略断面図である。
【図2】本発明の中間転写体を用いたカラー画像形成装置の概略断面図である。
【図3】本発明の中間転写体を用いたカラー画像形成装置の概略断面図である。
【図4】本発明の中間転写体の1例の模式断面図である。
【図5】本発明の中間転写体の1例の模式断面図である。
【図6】本発明の中間転写体の1例の模式断面図である。
【図7】本発明の中間転写体の1例の模式断面図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 一次帯電器
3 画像露光
41〜44 現像器
5 感光体クリーナ
6 中間転写体
61 芯金
62 弾性層
63 微粒子
64 被覆層
65 中間転写ベルト
7 中間転写体クリーニングブレード
71 中間転写体クリーニングローラ
72 クリーニングバイアス電源
8 一次転写バイアス電源
91 転写ローラ
92 転写帯電器
10 転写材
11 給紙カセット
12 二次転写バイアス電源
13 定着器
Claims (7)
- コーティングによって形成された被覆層を有する中間転写体の該被覆層が溶媒を30重量%以上含有している状態で、微粒子を湿式塗布することを特徴とする中間転写体の製造方法。
- 前記微粒子が、シリカである請求項1に記載の中間転写体の製造方法。
- 前記微粒子が、表面が疎水化処理されているシリカである請求項1又は2に記載の中間転写体の製造方法。
- 第1の画像担持体上に形成された画像を中間転写体上に一次転写した後、第2の画像担持体上に更に二次転写する画像形成装置において、該中間転写体として、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された中間転写体を有することを特徴とする画像形成装置。
- 前記中間転写体上の二次転写残トナーに電荷を付与し、電界で回収する手段により該中間転写体をクリーニングする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記中間転写体上の二次転写残トナーに電荷を付与し、電界で回収する手段により該中間転写体をクリーニングする画像形成装置であって、第1の画像担持体から中間転写体へトナーを一次転写すると同時に中間転写体上の二次転写残トナーを第1の画像担持体に回収する手段を有する請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記第1の画像担持体が、導電性剛体ローラ上に感光層を有する感光ドラムであり、かつ感光ドラムの少なくとも表面層が四フッ化エチレン樹脂の微粉末を含有する請求項4〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
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