JP3665006B2 - ウエットプロセスシステム、および空気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被加工物にエッチング液(薬液)を吹き付けるエッチング装置等のウエットプロセス装置に設けられる空気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被加工物をエッチングして所望の回路パターンを形成したプリント基板を製造するエッチングシステムがあった。被加工物である基板の表面には、略均一に導電性の膜が形成されており、この導電性の膜の上には、さらにホトレジスト膜が略均一に形成されている。上記被加工物を露光して前記ホトレジスト膜に回路パターンを転写する露光装置、現像してホトレジスト膜を転写された回路パターンに形成する現像装置、被加工物に対してエッチング液を吹き付け、前記導電性の膜を転写された回路パターンに形成するエッチング装置、エッチングされた被加工物を洗浄する洗浄装置等、複数の装置を並べたエッチングシステムがある。エッチングシステムを構成する複数の装置は、被加工物を搬送する搬送路で結ばれている。また、各装置は、被加工物の入口と出口とを形成したカバーで覆われており、装置内で使用される現像液やエッチング液等が外部に飛散しないように構成されている。
【0003】
上記現像装置、エッチング装置、洗浄装置が、一般にウェットプロセス装置と呼ばれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記ウェットプロセス装置には、装置内の空気を排気する排気口が設けられており、この排気口と施設内に設けられている排気ダクトとを連結して、各装置内の空気を施設外に排気していた。このため、複数のウェットプロセス装置からなるエッチングシステムを設置する場合、施設内に前記排気ダクトを設けなければならず、設置にかかるコストが高いという問題があった。
【0005】
また、各装置から排気される空気には現像液やエッチング液等のミストが含まれているため、上記排気による環境破壊という問題も指摘されている。
【0006】
この発明の目的は、現像装置、エッチング装置、洗浄装置等のウエットプロセス装置に設けられ、装置内の空気を循環させることにより、設置時にかかるコストを低減し、さらには環境破壊も防止できる空気浄化装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明のウエットプロセスシステムは、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0008】
(1)装置本体の対向する両側面の一方に被加工物の入口が形成され、他方に出口が形成され、前記入口と前記出口とを結ぶ前記被加工物の搬送路を備え、該搬送路を搬送されている被加工物に薬液を吹き付ける複数のウエットプロセス装置を、前記被加工物を搬送する前記搬送路で結んだウエットプロセスシステムにおいて、
前記ウエットプロセス装置毎に、装置本体内部の空気を装置本体外部に吸引する吸引手段と、
前記吸引手段により吸引した空気をろ過するフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段によりろ過された空気を前記入口、または前記出口の少なくとも一方に導くダクトと、を備えた空気浄化装置を設け、
前記フィルタリング手段が、ウェットフィルタにより前記空気をろ過する手段であって、前記ウェットフィルタに水を吹き付けて洗浄するとともに、該水を回収するタンクを有し、このタンクに回収した水を上記ウェットフィルタに吹き付けるフィルタ洗浄手段を備えている。
【0009】
この構成では、ウェットプロセス装置毎に、吸引手段により本体内部から本体外部に吸引された空気がフィルタリング手段によりろ過される。ウェットプロセス装置には、例えば現像装置、エッチング装置、洗浄装置がある。さらに、ろ過された空気はダクトにより被加工物の入口近傍または/および出口近傍に導かれる。被加工物の入口、および出口では前記吸引手段により装置内部の空気が吸引されているため、負圧がかかっているので、前記ダクトにより入口近傍または/および出口近傍に導かれた空気が装置本体内部に戻る。
【0010】
このように、ウェットプロセス装置毎に、装置本体内部の空気を循環させるようにしたので、装置内の空気を排気するための排気ダクトが不要になり、ウェットプロセス装置の設置にかかるコストを低減できる。また、ウェットプロセス装置毎に装置内部の空気を循環しているので、複数の装置間にわたるダクトを設けなくてもよいので、システム全体を小型化できるとともに、環境破壊という問題が防止できる。
【0012】
この構成では、塩酸やアンモニア等の気化しやすい化合物を回収できる。また、フィルタ洗浄手段によりウェットフィルタに水を吹き付けるようにしたので、フィルタの目詰まりを防止することができる。さらに、フィルタに吹き付けた水を回収するタンクを設け、フィルタの洗浄に使用する水を循環させるようにしたので、フィルタの洗浄が効率的に行える。
【0013】
また、この発明の空気浄化装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0014】
装置本体の対向する両側面の一方に被加工物の入口が形成され、他方に出口が形成され、前記入口と前記出口とを結ぶ前記被加工物の搬送路を備え、該搬送路を搬送されている被加工物に薬液を吹き付けるウエットプロセス装置に設けられる空気浄化装置であって、
装置本体内部の空気を装置本体外部に吸引する吸引手段と、
前記吸引手段により吸引した空気をろ過するフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段によりろ過された空気を前記入口、または前記出口の少なくとも一方に導くダクトと、を備え、
前記フィルタリング手段は、ウェットフィルタにより前記空気をろ過する手段であり、
さらに、装置本体の動作時に、前記ウェットフィルタに水を吹き付けて洗浄するとともに、該水を回収するタンクを有し、このタンクに回収した水を上記ウェットフィルタに吹き付けるフィルタ洗浄手段を備えている。
【0015】
この構成では、装置本体の動作時にウェットフィルタにタンク内の水を吹き付けてウェットフィルタ11を洗浄するようにしたので、ウェットフィルタの目詰まりが防止でき、装置内の空気の浄化が効率的に行える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態である空気浄化装置を適用したエッチングシステムについて説明する。図1は、この実施形態のエッチングシステムを示す図である。この実施形態のエッチングシステムは、被加工物の搬送方向に現像装置1、エッチング装置2、および洗浄装置3の3つの装置をこの順に並べたシステムである。現像装置1、エッチング装置2、および洗浄装置3が、それぞれこの発明で言うウェットプロセス装置に相当する。これら3つの装置は、被加工物の搬送路5で結ばれている。各装置は、被加工物が装置本体内部に入る入口6および本体内部から出る出口7が形成されたカバー4で覆われている。
【0017】
なお、図示していないがカバー4には内部の状態を確認するための窓や、またメンテナンス時等に作業員が本体内部に入るためのドア等が形成されている。
【0018】
各装置の本体カバーの上部には、本体内部に通じる煙突8が設けられており、この煙突8にフィルタユニット9が取り付けられている。また、10はフィルタユニット9を通過した空気を、装置本体の上記入口6および出口7近傍に導くダクトである。ダクト10は、図示するように上記入口6および出口7の近傍まで延びている。
【0019】
フィルタユニット9は内部にポリプロピレンやポリエチレン等を原料とするメッシュを積層したウェットフィルタ11を備えている(図2参照)。また、フィルタユニットとダクト10との接合部には、ファン12が設けられている。このファン12は、装置本体内部の空気をフィルタユニット9に吸引する方向に回転する。
【0020】
なお、図2はファン12をダクト10内部に配置した例を示しているが、ファン12はフィルタユニット9内部に配置した構成であってもよい。また、フィルタユニット9とファン12とは、これらを一体化したフィルタ装置に置き換えてもよい。
【0021】
また、ダクト10は樹脂製のホースで構成してもよいし、また金属性の配管で構成してもよい。
【0022】
フィルタユニット9、ダクト10、ウェットフィルタ11、およびファン12がこの発明で言う空気浄化装置を構成する。
【0023】
各装置の入口6および出口7は、図3に示すラッパ形状に形成されている。ダクト10は、フィルタユニット9から入口6、および出口7の近傍まで延びている。
【0024】
なお、図3は各装置における出口近傍の拡大図である。入口6および出口7は、略同じ形状である。
【0025】
次に、この実施形態のエッチングシステムの動作について説明する。
【0026】
被加工物は、搬送路5により現像装置1、エッチング装置2、洗浄装置3をこの順に通過する。被加工物20は、基台21の表面に略均一な厚さの導電性膜22を形成し、さらに前記導電性膜22の上に略均一な厚さのホトレジスト膜23を形成したものである(図4(A)参照)。
【0027】
搬送路5により現像装置1に入る被加工物20は、その前工程においてホトレジスト膜23に回路パターンが転写(露光)されている。現像装置1は、搬送路を搬送されている被加工物20に対して現像液を吹き付け、ホトレジスト膜23を転写されている回路パターンに形成する(図4(B)参照)。周知のように、ポジ型のフォトレジスト膜23は現像装置1により露光された部分が取り除かれ、ネガ型のフォトレジスト膜23は現像装置1により露光されていない部分が取り除かれる。現像装置1で使用される現像液はアルカリ性の水溶液である。
【0028】
現像装置1において、被加工物20に現像液を吹き付ける構成については周知であるので、ここでは説明を省略する。
【0029】
現像装置1を通過した被加工物20(図4(B)に示す被加工物20)は、エッチング装置2に送られる。エッチング装置2は、搬送路5を搬送されている被加工物20に対してエッチング液を吹き付け、先の現像工程においてフォトレジスト膜23が取り除かれた部分の導電性膜22を取り除く(図4(C)参照)。これにより、導電性膜22が転写された回路パターンに形成される。エッチング装置2において使用されるエッチング液は、酸性の水溶液である。
【0030】
なお、エッチング装置2において、被加工物20にエッチング液を吹き付ける構成については周知であるので、ここでは説明を省略する。
【0031】
エッチング装置2を通過した被加工物20(図4(C)に示す被加工物20)は、洗浄装置3に送られる。洗浄装置3は、搬送路5を搬送されている被加工物に対して純度の高い水を吹き付け洗浄する。洗浄装置3を通過した被加工物20は、残存しているフォトレジスト膜23を除去する後工程に送られる。
【0032】
なお、洗浄装置3において、被加工物20に上記水を吹き付ける構成については周知であるので、ここでは説明を省略する。
【0033】
このように、エッチングシステムでは各装置で異なる性質の水溶液が使用されている。具体的には、現像装置1でアルカリ性の水溶液が使用され、エッチング装置2で酸性の水溶液が使用され、洗浄装置3で純度の高い水が使用されている。
【0034】
このエッチングシステムの動作時、各装置(現像装置1、エッチング装置2、および洗浄装置3)に設けられているファン12は回転しており、装置本体内部の空気を煙突8を介してフィルタユニット9に吸引している。装置本体内部の空気には、装置内部で使用されている水溶液のミストが含まれている。フィルタ11に、このミストが付着する。また、フィルタ11はウェットフィルタであるので、塩酸やアンモニア等の気化しやすい加工物も回収できる。したがって、フィルタ11を通過した空気はミストを取り除いた綺麗な空気となって、ダクト10を通って装置の入口6または出口7近傍に導かれる。
【0035】
ここで、各装置の入口6および出口7近傍では、ファン12により装置本体内部の空気がフィルタユニット9側に吸引されているため負圧がかかっており、また入口6、および出口7は上記のようにラッパ形状に形成したので、ダクト10から吹出された空気を略確実に装置本体内部に引き込むことができる。
【0036】
これにより、装置本体内部の空気を循環させることができるので、装置本体内部の空気の排気が抑えられ、環境破壊を防止できる。また、この実施形態のエッチングシステムでは、従来のように装置本体内部の空気を外部(施設外)に排気するための設備が不要となり、エッチングシステムの設置にかかるコストが低減できる。
【0037】
また、装置毎に装置本体内部の空気を循環させているので、複数の装置間にわたるダクトを設けなくてもよいので、システム全体を小型化できる。
【0038】
さらに、装置毎にフィルタユニット9を設けたので、フィルタ11に付着するミストは、それぞれ取り付けられている装置で使用されている水溶液である。具体的には、現像装置1ではフィルタ11に現像液のミストが付着し、エッチング装置2ではフィルタ11にエッチング液のミストが付着し、洗浄装置3ではフィルタ11に水のミストが付着する。このため、各装置のフィルタ11を水で洗浄したときにでる廃液は、その装置で使用されている成分の水溶液である。したがって、現像装置1に取り付けられているフィルタ11を洗浄した時にでた廃液は、そのまま現像液として再利用できる。またエッチング装置2に取り付けられているフィルタ11を洗浄した時にでた廃液は、そのままエッチング液として再利用できる。このように、フィルタ11を洗浄した廃液を簡単に再利用できるので、ランニングコストを低減できるとともに、この廃液を排水しないので環境破壊という問題もおきない。
【0039】
また、図5に示すようにウェットフィルタ11に水を吹き付けるポンプ15、および該水を回収するタンク16を設け、装置本体の動作時にウェットフィルタ11にタンク16内の水を吹き付けてウェットフィルタ11を洗浄するようにしてもよい。このようにすれば、ウェットフィルタ11の目詰まりが防止でき、装置内の空気の浄化が効率的に行える。
【0040】
さらに、タンク16の水は取り付けられている装置内部で使用されている水溶液の成分に応じてその濃度が徐々に上昇するので、ある程度まで上昇したら交換すればよい。このとき、タンク16から取り出される水は廃液として処理されるのではなく、上記したように取り付けられている装置で再利用すればよい。
【0041】
なお、上記実施形態では現像装置1、エッチング装置2、洗浄装置3からなるエッチングシステムを例にしたが、本願発明は現像装置1の手前に回路パターンを被加工物20に転写する露光装置や、該露光装置の手前に被加工物20の表面にホトレジスト膜を塗布する装置等、上記以外の装置を設けたエッチングシステムにも適用できる。さらに、前記洗浄装置の後ろに被加工物20の表面に残っているホトレジスト膜を除去する剥離装置にも適用できる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、この発明のウエットプロセスシステムによれば、ウェットプロセス装置毎に本体内部の空気を排気するのではなく循環させるので、装置内の空気を排気するための排気ダクトが不要になり、設置にかかるコストを低減できる。また、ウェットプロセス装置毎に装置内部の空気を循環しているので、複数の装置間にわたるダクトを設けなくてもよいので、システム全体を小型化できるとともに、環境破壊という問題が防止できる。
また、この発明の空気浄化装置によれば、装置本体の動作時にウェットフィルタにタンク内の水を吹き付けてウェットフィルタ11を洗浄するようにしたので、ウェットフィルタの目詰まりが防止でき、装置内の空気の浄化が効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるエッチングシステムを示す図である。
【図2】フィルタユニットを示す図である。
【図3】エッチングシステムを構成する装置における被加工物の出口を示す図である。
【図4】各装置における被加工物の加工を説明する図である。
【図5】別の実施形態にかかるフィルタユニットを示す図である。
【符号の説明】
1−現像装置
2−エッチング装置
3−洗浄装置
5−搬送路
6−入口
7−出口
8−煙突
9−フィルタユニット
10−ダクト
11−フィルタ
12−ファン
15−ポンプ
16−タンク
20−被加工物
Claims (2)
- 装置本体の対向する両側面の一方に被加工物の入口が形成され、他方に出口が形成され、前記入口と前記出口とを結ぶ前記被加工物の搬送路を備え、該搬送路を搬送されている被加工物に薬液を吹き付ける複数のウエットプロセス装置を、前記被加工物を搬送する前記搬送路で結んだウエットプロセスシステムにおいて、
前記ウエットプロセス装置毎に、装置本体内部の空気を装置本体外部に吸引する吸引手段と、
前記吸引手段により吸引した空気をろ過するフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段によりろ過された空気を前記入口、または前記出口の少なくとも一方に導くダクトと、を備えた空気浄化装置を設けたウエットプロセスシステムであって、
前記フィルタリング手段は、ウェットフィルタにより前記空気をろ過する手段であり、
前記ウェットフィルタに水を吹き付けて洗浄するとともに、該水を回収するタンクを有し、このタンクに回収した水を上記ウェットフィルタに吹き付けるフィルタ洗浄手段を備えたウエットプロセスシステム。 - 装置本体の対向する両側面の一方に被加工物の入口が形成され、他方に出口が形成され、前記入口と前記出口とを結ぶ前記被加工物の搬送路を備え、該搬送路を搬送されている被加工物に薬液を吹き付けるウエットプロセス装置に設けられる空気浄化装置であって、
装置本体内部の空気を装置本体外部に吸引する吸引手段と、
前記吸引手段により吸引した空気をろ過するフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段によりろ過された空気を前記入口、または前記出口の少なくとも一方に導くダクトと、を備え、
前記フィルタリング手段は、ウェットフィルタにより前記空気をろ過する手段であり、
さらに、装置本体の動作時に、前記ウェットフィルタに水を吹き付けて洗浄するとともに、該水を回収するタンクを有し、このタンクに回収した水を上記ウェットフィルタに吹き付けるフィルタ洗浄手段を備えた空気浄化装置。
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