JP3664319B2 - 多孔性基材および粘着テープまたはシート - Google Patents
多孔性基材および粘着テープまたはシート Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は多孔性薄葉紙材である粘着テープまたはシート用多孔性基材、および粘着テープまたはシート(以下、「粘着テープまたはシート」を併せて「粘着テープ」ともいう)に関し、更に詳しくは、目的とする被着体の表面に良好に追従させて貼付けることができ、しかも不要になった時は、切れ、裂け等が無く、きれいに剥がすことができる粘着テープおよびそのような粘着テープを与えうる多孔性基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、貼付け後、目的終了と共に剥がす用途に用いられる多孔性薄葉紙材を用いた粘着テープは、一般に叩解した木材パルプと、麻や合成短繊維糸等を混抄して多孔性薄葉紙材とし、紙材の強度や伸びを増大させ、被着体への追従性をよくする等のために、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム等の合成ゴムやそれらをブレンドしたものを、溶剤や水で希釈して該紙材に均一に含浸固着させ、これに粘着剤を塗布したものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして得られた粘着テープは、含浸固着処理を施してある為、紙材の強度や伸びは増大しており、目的終了と共に剥がす際、紙材の切れや裂けは出にくくなるよう設計されているが、用いる粘着剤の種類によって含浸処理剤と粘着剤の成分の相性が悪く、剥がす際、被着体に粘着剤が残留(糊残り)してしまう問題がしばしばある。特に、強制加熱や、長期の屋外暴露等の外的エネルギーを受けた場合、その現象の頻度は、かなり高くなるものであり、従って剥がす際に被着体に粘着剤が残留しない粘着テープが望まれている。
本発明の目的は、被着体面に貼付ける際に、被着体の表面に良好に追従させて貼付けることができ、剥離時には、テープの切れや裂けがなく、かつ粘着剤の残留を起こさない粘着テープおよびこのような粘着テープを与えうる多孔性基材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに到った。
【0005】
即ち本発明は、
(1)粘着剤層を形成する粘着剤成分と反応しうる官能基を含有するゴムおよび/または合成樹脂よりなる含浸処理剤で含浸処理された、叩解した木材パルプと合成短繊維を混抄した和紙からなる多孔性薄葉紙材、および含浸処理剤中の官能基と反応しうる官能基を有する粘着剤および架橋剤からなる粘着剤成分を含有する粘着剤層を含む粘着テープまたはシート、
(2)含浸処理剤が有する官能基がカルボキシル基である(1)の粘着テープまたはシート、
(3)含浸処理剤が官能基としてカルボキシル基を有し、かつ、粘着剤層を形成する粘着剤が官能基としてカルボキシル基を有し、かつ、架橋剤がエポキシ系架橋剤である(2)の粘着テープまたはシートに関する。
【0006】
本発明に使用される含浸処理剤は、ゴムおよび/または合成樹脂よりなるものであり、紙材の強度や伸びを増大させ、被着体への追従性をよくするものであれば特に制限はない。例えば、天然ゴム系、SBR、ニトリルゴム(NBR)等の合成ゴム系、ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)等からなるアクリル系樹脂やその共重合体等の常用の含浸処理剤が例示される。 当該含浸処理剤は、ゴムおよび/または合成樹脂よりなり、粘着剤層を形成する粘着剤成分と反応する必要がある。粘着剤成分については後記するが、粘着性を有する高分子化合物および架橋剤を包含する。
【0007】
当該含浸処理剤を構成するゴム、合成樹脂が粘着剤成分と反応性でない場合には、粘着剤成分と反応しうる官能基をゴム、合成樹脂に導入すればよく、かかる導入の行われたものも本発明にいうゴム、合成樹脂である。当該官能基としては、例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基、炭素−炭素二重結合や三重結合等の不飽和結合、カルボニル基、メチロール基、ニトリル基、メルカプト基、エポキシ基、ハロゲン、クロルスルホン酸基、エステル基、イソシアネート基等が挙げられ、スルホン酸塩等の形態であってもよい。
【0008】
含浸処理剤を構成するゴム、合成樹脂に粘着剤成分と反応しうる官能基を含有させる方法としては、例えば官能基を有する化合物等をゴム、合成樹脂にグラフト、共重合等させる方法が挙げられる。
当該官能基を有する化合物としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アクリル酸(AA)、メタアクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられる。
当該官能基を有する化合物は2種類以上を混合して用いても良い。
【0009】
含浸処理剤用のゴム、合成樹脂としては、紙材の強度や、伸度、引裂力等のバランスにより、適宜Tgや皮膜強度を選ぶのが良い。
【0010】
含浸処理剤(ゴム、合成樹脂として)の付着量は、強度、伸度のバランス、コストの点から、紙材に対して、4〜30g/m2 ・dryが好ましく、7〜20g/m2 ・dryがより好ましい。
【0011】
含浸処理剤には、老化防止剤、安定剤、可塑剤、充填剤、顔料、酸化防止剤等の公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0012】
本発明に使用される多孔性薄葉紙材としては、特に限定されないが、例えばクラフト紙、クレープ紙、和紙(例えば、叩解した木材パルプと麻や合成短繊維等が混抄された和紙等)等の繊維状物質からなる紙材等が挙げられる。中でも、紙材の強度、伸度の点から、叩解した木材パルプとビニロン、ポリエステル等の合成短繊維を混抄した和紙が好ましい。
【0013】
多孔性薄葉紙材の厚みは、目的によって異なるが、層間強度や剛性の点から、15〜300μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。
【0014】
含浸処理は、常法に従って行えばよく、例えばディッピング方法やロール塗布方式、またそれらの組合せによって塗布処理される。
【0015】
粘着剤層は、主として粘着剤成分より形成される。ここで、該粘着剤成分は、粘着性を有する高分子化合物および架橋剤を包含する。
粘着剤層は、粘着剤成分が結果的に含浸処理剤中のゴムおよび/または合成樹脂が有する官能基と反応しうるものであり、粘着性を持つと同時に剥離の際に粘着剤を残留させないために適度の凝集強度を持っていれば特に限定されない。
粘着性を有する高分子化合物としては、例えばブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、アクリル酸(AA)、アクリロニトリル、酢酸ビニル等からなる粘着性のアクリル系高分子化合物等があげられ、当該粘着剤成分が反応性の官能基を有しない場合には、これらに含浸処理剤を構成するゴムおよび/または合成樹脂の有する官能基と反応しうる官能基を導入させたもの等が挙げられる。
【0016】
架橋剤は、当該高分子化合物を架橋しうるものであればよく、また前記ゴムおよび/または合成樹脂に対して反応性の官能基を有していてもよく、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート(アルコレート)化合物架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙げられる。
【0017】
前記ゴムおよび/または合成樹脂と反応しうる粘着剤成分としては、次に示すような官能基を有するものが挙げられる。
例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、炭素−炭素二重結合や三重結合等の不飽和結合、カルボニル基、メチロール基、ニトリル基、メルカプト基、エポキシ基、ハロゲン、クロルスルホン酸基、エステル基、イソシアネート基等が挙げられ、スルホン酸塩等の形態であってもよい。
【0018】
このような官能基を粘着剤成分に含有させる方法としては、例えば官能基を有する化合物等を粘着剤成分に混合、グラフトまたは共重合等する方法等が挙げられる。
官能基を有する化合物としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アクリル酸(AA)、メタアクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられ、また前述の架橋剤を用いてもよい。
これら官能基を有する化合物は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0019】
架橋剤を含有する粘着剤成分としては、好ましくは官能基(例えば、カルボキシル基)を有するアクリル系粘着剤に、イソシアネート系架橋剤(例えば、コロネートL(日本ポリウレタン))を添加したものや、エポキシ系架橋剤(例えば、テトラッドC(三菱瓦斯化学))を添加したものが挙げられる。
【0020】
架橋剤の量は、用いる架橋剤によって異なる為、一概には云えないが、適度な凝集力を有すると云う点から粘着性を有する高分子化合物100重量部に対して、例えばエポキシ系架橋剤であれば0.05〜1重量部、イソシアネート系架橋剤であれば0.5〜7重量部、メラミン系架橋剤であれば0.5〜7重量部が好ましい。極端に少ないと粘着剤そのものの凝集力が低くなり、粘着剤の残留が生じ易くなる傾向があり、逆にあまり多すぎると粘着力が大きく低下し、接着不良を起こし易くなる傾向がある。
【0021】
粘着剤層の厚さは目的によって適宜決められ、5〜100μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。
【0022】
粘着剤成分には、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、安定剤、充填剤、顔料、酸化防止剤等の公知の添加剤が配合されていてもかまわない。
【0023】
粘着テープの製造は、自体既知の方法で行えばよい。
【0024】
【実施例】
実施例を以下に示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0025】
実施例1
パルプ/ビニロン(混抄比率:80/20)からなる坪量30g/m2 の和紙に、カルボキシル基を有するアクリル系の含浸処理剤(共重合組成BA:2EHA:AA=50:45:5(重量比))を付着量10g/m2 ・dryになるように含浸・塗布し、110℃×2分間乾燥して多孔性基材を得た。
このようにして得られた基材に、粘着剤成分としてアクリル系粘着剤(共重合組成BA:EA:AA=48:48:4(重量比))100重量部にイソシアネート系架橋剤として下式で表されるコロネートL:
【0026】
【化1】
【0027】
(日本ポリウレタン)を3重量部添加したものを、厚さ30μm・dryになるように塗布して、110℃×3分間加熱、粘着テープを得た。
【0028】
実施例2
実施例1の紙材に、エポキシ基を有するアクリル系含浸処理剤(共重合組成2EHA:グリシジルアクリレート=95:5(重量比))を、付着量7g/m2 ・dryになるように含浸・塗布し、130℃×3分間乾燥して多孔性基材を得た。
このようにして得られた基材に、アクリル系粘着剤(共重合組成BA:2EHA:AA=50:45:5(重量比))を厚さ25μm・dryになるように塗布して、130℃×2分間加熱乾燥し、粘着テープを得た。
【0029】
実施例3
パルプ/ビニロン(混抄比率:60/40)からなる坪量30g/m2 の和紙に、カルボキシル基を有するアクリル系の含浸処理剤(共重合組成2EHA:AA=95:5(重量比))を付着量15g/m2 ・dryになるように塗布・含浸し、120℃×2分間乾燥して多孔性基材を得た。
このようにして得られた基材に、粘着剤成分としてアクリル系粘着剤(共重合組成2EHA:BA:AA=50:48:2(重量比)100重量部にエポキシ系架橋剤(テトラッドC、三菱瓦斯化学)を0.1重量部添加したものを、厚さ35μm・dryになるように塗布して、120℃×2分間加熱乾燥し、粘着テープを得た。
【0030】
比較例1
イソシアネート系架橋剤を添加しない以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0031】
比較例2
含浸処理剤の共重合組成を、2EHA:BA=50:50(重量比)にする以外は実施例3と同様にして粘着テープを得た。
【0032】
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた粘着テープを試料とし、粘着力、引張り強度、伸び、糊残り、線出し性(見切り性)を測定した。
それぞれの測定方法は、以下の通りである。
〔粘着力〕
粘着力は、JIS Z 0237に従って、180°剥離で測定した。
〔引張り強度〕
引張り強度は、JIS Z 0237に従って測定した。
〔伸び〕
伸びは、JIS Z 0237に従って測定した。
〔糊残り〕
23℃にてメラミン塗装板に試料を貼り付け、スプレーガンにて塗料を膜厚30μm・dryになるように吹きつけ、100℃の熱風オーブンに1hr投入する。オーブンから取り出したのち、直ちに試料を90°の剥離角度で剥がし、糊残りの有無を目視にて確認した。評価は次の通りである。
○ 粘着剤残留なし
× 糊残り(残留)有り
〔線出し性〕
糊残り確認用のテストピースを用い、塗料の(線出し性)見切り性を目視にて確認した。
【0033】
以上の測定結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1からわかるように、実施例の粘着テープは、従来の粘着テープと同程度の性能を持ち、粘着テープの切れや裂けがなく、糊残りは認められなかった。
【0036】
【発明の効果】
従来の多孔性薄葉紙材を用いた粘着テープの粘着力、強度、伸び、線出し性等の性能を維持したまま、剥離時には、テープの切れや裂けがなく、かつ粘着剤の残留を起こさない粘着テープおよびそのような粘着テープを与えうる多孔性基材を提供できた。
【産業上の利用分野】
本発明は多孔性薄葉紙材である粘着テープまたはシート用多孔性基材、および粘着テープまたはシート(以下、「粘着テープまたはシート」を併せて「粘着テープ」ともいう)に関し、更に詳しくは、目的とする被着体の表面に良好に追従させて貼付けることができ、しかも不要になった時は、切れ、裂け等が無く、きれいに剥がすことができる粘着テープおよびそのような粘着テープを与えうる多孔性基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、貼付け後、目的終了と共に剥がす用途に用いられる多孔性薄葉紙材を用いた粘着テープは、一般に叩解した木材パルプと、麻や合成短繊維糸等を混抄して多孔性薄葉紙材とし、紙材の強度や伸びを増大させ、被着体への追従性をよくする等のために、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム等の合成ゴムやそれらをブレンドしたものを、溶剤や水で希釈して該紙材に均一に含浸固着させ、これに粘着剤を塗布したものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして得られた粘着テープは、含浸固着処理を施してある為、紙材の強度や伸びは増大しており、目的終了と共に剥がす際、紙材の切れや裂けは出にくくなるよう設計されているが、用いる粘着剤の種類によって含浸処理剤と粘着剤の成分の相性が悪く、剥がす際、被着体に粘着剤が残留(糊残り)してしまう問題がしばしばある。特に、強制加熱や、長期の屋外暴露等の外的エネルギーを受けた場合、その現象の頻度は、かなり高くなるものであり、従って剥がす際に被着体に粘着剤が残留しない粘着テープが望まれている。
本発明の目的は、被着体面に貼付ける際に、被着体の表面に良好に追従させて貼付けることができ、剥離時には、テープの切れや裂けがなく、かつ粘着剤の残留を起こさない粘着テープおよびこのような粘着テープを与えうる多孔性基材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに到った。
【0005】
即ち本発明は、
(1)粘着剤層を形成する粘着剤成分と反応しうる官能基を含有するゴムおよび/または合成樹脂よりなる含浸処理剤で含浸処理された、叩解した木材パルプと合成短繊維を混抄した和紙からなる多孔性薄葉紙材、および含浸処理剤中の官能基と反応しうる官能基を有する粘着剤および架橋剤からなる粘着剤成分を含有する粘着剤層を含む粘着テープまたはシート、
(2)含浸処理剤が有する官能基がカルボキシル基である(1)の粘着テープまたはシート、
(3)含浸処理剤が官能基としてカルボキシル基を有し、かつ、粘着剤層を形成する粘着剤が官能基としてカルボキシル基を有し、かつ、架橋剤がエポキシ系架橋剤である(2)の粘着テープまたはシートに関する。
【0006】
本発明に使用される含浸処理剤は、ゴムおよび/または合成樹脂よりなるものであり、紙材の強度や伸びを増大させ、被着体への追従性をよくするものであれば特に制限はない。例えば、天然ゴム系、SBR、ニトリルゴム(NBR)等の合成ゴム系、ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)等からなるアクリル系樹脂やその共重合体等の常用の含浸処理剤が例示される。 当該含浸処理剤は、ゴムおよび/または合成樹脂よりなり、粘着剤層を形成する粘着剤成分と反応する必要がある。粘着剤成分については後記するが、粘着性を有する高分子化合物および架橋剤を包含する。
【0007】
当該含浸処理剤を構成するゴム、合成樹脂が粘着剤成分と反応性でない場合には、粘着剤成分と反応しうる官能基をゴム、合成樹脂に導入すればよく、かかる導入の行われたものも本発明にいうゴム、合成樹脂である。当該官能基としては、例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基、炭素−炭素二重結合や三重結合等の不飽和結合、カルボニル基、メチロール基、ニトリル基、メルカプト基、エポキシ基、ハロゲン、クロルスルホン酸基、エステル基、イソシアネート基等が挙げられ、スルホン酸塩等の形態であってもよい。
【0008】
含浸処理剤を構成するゴム、合成樹脂に粘着剤成分と反応しうる官能基を含有させる方法としては、例えば官能基を有する化合物等をゴム、合成樹脂にグラフト、共重合等させる方法が挙げられる。
当該官能基を有する化合物としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アクリル酸(AA)、メタアクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられる。
当該官能基を有する化合物は2種類以上を混合して用いても良い。
【0009】
含浸処理剤用のゴム、合成樹脂としては、紙材の強度や、伸度、引裂力等のバランスにより、適宜Tgや皮膜強度を選ぶのが良い。
【0010】
含浸処理剤(ゴム、合成樹脂として)の付着量は、強度、伸度のバランス、コストの点から、紙材に対して、4〜30g/m2 ・dryが好ましく、7〜20g/m2 ・dryがより好ましい。
【0011】
含浸処理剤には、老化防止剤、安定剤、可塑剤、充填剤、顔料、酸化防止剤等の公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0012】
本発明に使用される多孔性薄葉紙材としては、特に限定されないが、例えばクラフト紙、クレープ紙、和紙(例えば、叩解した木材パルプと麻や合成短繊維等が混抄された和紙等)等の繊維状物質からなる紙材等が挙げられる。中でも、紙材の強度、伸度の点から、叩解した木材パルプとビニロン、ポリエステル等の合成短繊維を混抄した和紙が好ましい。
【0013】
多孔性薄葉紙材の厚みは、目的によって異なるが、層間強度や剛性の点から、15〜300μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。
【0014】
含浸処理は、常法に従って行えばよく、例えばディッピング方法やロール塗布方式、またそれらの組合せによって塗布処理される。
【0015】
粘着剤層は、主として粘着剤成分より形成される。ここで、該粘着剤成分は、粘着性を有する高分子化合物および架橋剤を包含する。
粘着剤層は、粘着剤成分が結果的に含浸処理剤中のゴムおよび/または合成樹脂が有する官能基と反応しうるものであり、粘着性を持つと同時に剥離の際に粘着剤を残留させないために適度の凝集強度を持っていれば特に限定されない。
粘着性を有する高分子化合物としては、例えばブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、アクリル酸(AA)、アクリロニトリル、酢酸ビニル等からなる粘着性のアクリル系高分子化合物等があげられ、当該粘着剤成分が反応性の官能基を有しない場合には、これらに含浸処理剤を構成するゴムおよび/または合成樹脂の有する官能基と反応しうる官能基を導入させたもの等が挙げられる。
【0016】
架橋剤は、当該高分子化合物を架橋しうるものであればよく、また前記ゴムおよび/または合成樹脂に対して反応性の官能基を有していてもよく、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート(アルコレート)化合物架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙げられる。
【0017】
前記ゴムおよび/または合成樹脂と反応しうる粘着剤成分としては、次に示すような官能基を有するものが挙げられる。
例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、炭素−炭素二重結合や三重結合等の不飽和結合、カルボニル基、メチロール基、ニトリル基、メルカプト基、エポキシ基、ハロゲン、クロルスルホン酸基、エステル基、イソシアネート基等が挙げられ、スルホン酸塩等の形態であってもよい。
【0018】
このような官能基を粘着剤成分に含有させる方法としては、例えば官能基を有する化合物等を粘着剤成分に混合、グラフトまたは共重合等する方法等が挙げられる。
官能基を有する化合物としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アクリル酸(AA)、メタアクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられ、また前述の架橋剤を用いてもよい。
これら官能基を有する化合物は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0019】
架橋剤を含有する粘着剤成分としては、好ましくは官能基(例えば、カルボキシル基)を有するアクリル系粘着剤に、イソシアネート系架橋剤(例えば、コロネートL(日本ポリウレタン))を添加したものや、エポキシ系架橋剤(例えば、テトラッドC(三菱瓦斯化学))を添加したものが挙げられる。
【0020】
架橋剤の量は、用いる架橋剤によって異なる為、一概には云えないが、適度な凝集力を有すると云う点から粘着性を有する高分子化合物100重量部に対して、例えばエポキシ系架橋剤であれば0.05〜1重量部、イソシアネート系架橋剤であれば0.5〜7重量部、メラミン系架橋剤であれば0.5〜7重量部が好ましい。極端に少ないと粘着剤そのものの凝集力が低くなり、粘着剤の残留が生じ易くなる傾向があり、逆にあまり多すぎると粘着力が大きく低下し、接着不良を起こし易くなる傾向がある。
【0021】
粘着剤層の厚さは目的によって適宜決められ、5〜100μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。
【0022】
粘着剤成分には、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、安定剤、充填剤、顔料、酸化防止剤等の公知の添加剤が配合されていてもかまわない。
【0023】
粘着テープの製造は、自体既知の方法で行えばよい。
【0024】
【実施例】
実施例を以下に示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0025】
実施例1
パルプ/ビニロン(混抄比率:80/20)からなる坪量30g/m2 の和紙に、カルボキシル基を有するアクリル系の含浸処理剤(共重合組成BA:2EHA:AA=50:45:5(重量比))を付着量10g/m2 ・dryになるように含浸・塗布し、110℃×2分間乾燥して多孔性基材を得た。
このようにして得られた基材に、粘着剤成分としてアクリル系粘着剤(共重合組成BA:EA:AA=48:48:4(重量比))100重量部にイソシアネート系架橋剤として下式で表されるコロネートL:
【0026】
【化1】
【0027】
(日本ポリウレタン)を3重量部添加したものを、厚さ30μm・dryになるように塗布して、110℃×3分間加熱、粘着テープを得た。
【0028】
実施例2
実施例1の紙材に、エポキシ基を有するアクリル系含浸処理剤(共重合組成2EHA:グリシジルアクリレート=95:5(重量比))を、付着量7g/m2 ・dryになるように含浸・塗布し、130℃×3分間乾燥して多孔性基材を得た。
このようにして得られた基材に、アクリル系粘着剤(共重合組成BA:2EHA:AA=50:45:5(重量比))を厚さ25μm・dryになるように塗布して、130℃×2分間加熱乾燥し、粘着テープを得た。
【0029】
実施例3
パルプ/ビニロン(混抄比率:60/40)からなる坪量30g/m2 の和紙に、カルボキシル基を有するアクリル系の含浸処理剤(共重合組成2EHA:AA=95:5(重量比))を付着量15g/m2 ・dryになるように塗布・含浸し、120℃×2分間乾燥して多孔性基材を得た。
このようにして得られた基材に、粘着剤成分としてアクリル系粘着剤(共重合組成2EHA:BA:AA=50:48:2(重量比)100重量部にエポキシ系架橋剤(テトラッドC、三菱瓦斯化学)を0.1重量部添加したものを、厚さ35μm・dryになるように塗布して、120℃×2分間加熱乾燥し、粘着テープを得た。
【0030】
比較例1
イソシアネート系架橋剤を添加しない以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0031】
比較例2
含浸処理剤の共重合組成を、2EHA:BA=50:50(重量比)にする以外は実施例3と同様にして粘着テープを得た。
【0032】
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた粘着テープを試料とし、粘着力、引張り強度、伸び、糊残り、線出し性(見切り性)を測定した。
それぞれの測定方法は、以下の通りである。
〔粘着力〕
粘着力は、JIS Z 0237に従って、180°剥離で測定した。
〔引張り強度〕
引張り強度は、JIS Z 0237に従って測定した。
〔伸び〕
伸びは、JIS Z 0237に従って測定した。
〔糊残り〕
23℃にてメラミン塗装板に試料を貼り付け、スプレーガンにて塗料を膜厚30μm・dryになるように吹きつけ、100℃の熱風オーブンに1hr投入する。オーブンから取り出したのち、直ちに試料を90°の剥離角度で剥がし、糊残りの有無を目視にて確認した。評価は次の通りである。
○ 粘着剤残留なし
× 糊残り(残留)有り
〔線出し性〕
糊残り確認用のテストピースを用い、塗料の(線出し性)見切り性を目視にて確認した。
【0033】
以上の測定結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1からわかるように、実施例の粘着テープは、従来の粘着テープと同程度の性能を持ち、粘着テープの切れや裂けがなく、糊残りは認められなかった。
【0036】
【発明の効果】
従来の多孔性薄葉紙材を用いた粘着テープの粘着力、強度、伸び、線出し性等の性能を維持したまま、剥離時には、テープの切れや裂けがなく、かつ粘着剤の残留を起こさない粘着テープおよびそのような粘着テープを与えうる多孔性基材を提供できた。
Claims (3)
- 粘着剤層を形成する粘着剤成分と反応しうる官能基を含有するゴムおよび/または合成樹脂よりなる含浸処理剤で含浸処理された、叩解した木材パルプと合成短繊維を混抄した和紙からなる多孔性薄葉紙材、および含浸処理剤中の官能基と反応しうる官能基を有する粘着剤および架橋剤からなる粘着剤成分を含有する粘着剤層を含む粘着テープまたはシート。
- 含浸処理剤が有する官能基がカルボキシル基である請求項1記載の粘着テープまたはシート。
- 含浸処理剤が官能基としてカルボキシル基を有し、かつ、粘着剤層を形成する粘着剤が官能基としてカルボキシル基を有し、かつ、架橋剤がエポキシ系架橋剤である請求項2記載の粘着テープまたはシート。
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-
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