JP3662324B2 - 貯蔵装置、及びそれを用いた穀物処理装置 - Google Patents

貯蔵装置、及びそれを用いた穀物処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、米屋の店頭など、比較的小規模な作業場に適する貯蔵装置と、それを用いた穀物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
穀物処理装置、例えば精米システムは、通常、主要装置として、玄米を貯蔵するタンク、玄米をブレンドする混米機、玄米を精白する精米機、混入異物や小米を除去する選穀機、更にこれらを連結する揚穀コンベアーなどで構成される。従来、このような精米システムの構築は、個々に独立して販売提供されている各装置を、適宜選択して、希望するシステムに構築するのが通例である。また、近年、商品である精白米を陳列した店舗に、精米システムを設置することが多く、この場合には、店舗の天井が低い為に、これに合わせてシステムを構築することが要求されるが、従来の玄米貯蔵用のタンクには、張込み用として、図3のようなバケットエレベーターを用いているのが通常である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、バケットエレベーターの場合、上端排出部に設けるアゴ板の為に、Aの寸法が不可欠である他、タンク中央に供給する為にBの寸法が必要で、結局、A+Bより下方にしかタンクを設置できない。これ故、タンクの上方に無駄なスペースができる他、タンクの取出口Cの位置を高く設定すると、背の低い、小容量のタンクしか用いることができず、また、背の高いタンクを用いると、別個に揚穀コンベアーが必要となる。更に、タンクに張り込まれた穀物は、その上面が山形Dになる為、タンクのスペースを最大限に利用できず、収容効率が極めて悪い。加えて、バケットエレベーターではその下端に寸法Eが必要である為、その分、張込位置が高くなって、作業者に負担がかかる問題があり、また、バケットエレベーター自体のスペースFも必要である。
【0004】
以上のように、従来のバケットエレベーターを用いた精米システムは、天井の低い店舗には不向きで、これを無理に設置しようとすると、別個に揚穀コンベアーなどが必要となって、システム全体が大形化、かつ、複雑化する。また、現在、米の販売には、米のブレンドが必須条件ある為、従来のシステムには必ず混米機を組み込んでいるが、これもシステムを大形化する要因となっている。更に従来のシステムは、個々の装置を適宜組み合わせて構築する方式であるので、手間がかかり、またどうしてもスペースに無駄が出る上に、騒音や飛散塵埃が多いなど、環境面での問題がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑み、低位置から張込むことができ、高位置から取出すことのできる貯蔵装置を提供せんとするものである。また、本発明は、貯蔵物品をタンク内で混合できる貯蔵装置を提供せんとするものである。更に、本発明は、天井に近い高さまで貯蔵でき、天井の低い場合に好適な貯蔵装置を提供せんとするものである。また、本発明は、張込み上面をほぼ平坦に均して、効率のよく収容できる貯蔵装置を提供せんとするものである。更に本発明は、小形で、無駄な空間がなく、スぺース効率のよい貯蔵装置を提供せんとするものである。更にまた本発明はタンクの満杯を知ることのできる貯蔵装置を提供せんとするものである。
【0006】
本発明は、各装置が極めてコンパクトに組み込まれ、かつ騒音のない穀物処理装置を提供せんとするものである。また、本発明は塵埃の飛散のない、環境衛生に優れた穀物処理装置を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の貯蔵装置の技術的手段は、略垂直に設けられたスクリュー式のコンベアーと、少なくとも下方部が複数の漏斗状部になったタンクとからなり、コンベアーの上部はタンクを貫通し、漏斗状部の分岐点を通って、タンクの天井中央付近に達しており、また、コンベアーは、その下端に供給口を、また上方部に取出口を有し、更に、各漏斗状部の下端流出口はコンベアーの中間部に連通され、かつ、各漏斗状部の流出口からの流出量に差を持たせたことにある。
【0008】
更に、コンベアーの上端部に拡散羽根を取付けてもよい。またタンク上部の側壁に溢流口を設けてもよい。
【0009】
本発明の穀物処理装置の技術的手段は、前記の貯蔵装置と、精穀機と、選穀機とからなり、これらが1つのケーシング内に組み込まれていて、貯蔵装置の取出口から出た穀物が精穀機、選別機と連続的に流れて、処理されるようになっていることにある。
【0010】
また、精穀機からの廃風を、サイクロンに送り、更にサイクロンからの排気をタンクの上部に送り込み、慮過材製の通気面を有するタンク天井から外部に排出するようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面の実施例に基ずいて説明する。1はコンベアーで、スクリュー2が円筒3内で回転することにより、物品を上方へ送る。このコンベアー1はケーシング4内に略垂直に設置されている。実施例では、垂直から僅かに傾斜した角度で設置されている。これは、コンベアーの上端は、ケーシングの天井中央付近に設置させる方が、物品のタンク周辺への拡散に都合が良く、また、下端は、ケーシングの側壁付近に位置させる方が、外からの物品供給に都合が良い為である。ただし、コンベアー1の設置位置や角度はこれに限定されるものではなく、設計条件に応じて自由に定めることができる。
【0012】
スクリュー2の軸の2Aの下端にはプーリーなどが取付けられ、ここにモーター5からの回転力が付与される。6は張込み用のホッパーで、ケーシング4の下部外面に設けられる。ホッパー6の出口は、コンベアー1の下端の供給口9に連通していて、ホッパー6に供給された玄米などの物品は自然流下によってコンベアー1内に入る。7は拡散羽根で、スクリュー軸2Aの上端に取付けられている。この羽根7は、積み込まれた物品が山形になろうとするのを、中央から周辺へと物品に強制的な送りを加えて、山を均らし、タンクの隅々にまで物品を行き渡らせ、もって、貯蔵効率を高める役割をする。
【0013】
図示例では、コンベアー1の円筒3は、下端から取出口8の少し上方までで途切れていて、コンベアー1の上部では、スクリュー2が剥き出し状態になっている。なお、取出口8は流出制御可能である。この為、取出口8自体や、あるいは、連結先の精穀機の供給口などにシャッター(図示せず)が取付けられている。従って、このコンベアー1では、下端で供給された物品は、スクリュー2の回転に伴って、円筒3内を上方に送られ、円筒3の上端10から吐出される。また、取出口8のシャッターが開いている時には、取出口から外部へ排出される。なお、コンベアー1の上部には、円筒3がないが、周囲に積み上がった物品が筒の役割をするので、スクリュー2の上端まで物品を送ることができる。
【0014】
実施例では、ケーシング4は角形で、その上部はタンク11になっている。また、その上部壁面には溢流口12が設けられていて、タンク11内が満杯になると、物品がこの溢流口12から流出する。なお、溢流口12は、ホッパー6の直上位置に設けられていて、流出した物品はホッパー6内に落下する。この溢流口12は、主として満杯信号用として利用するので、小さなものでよく、溢流口12から物品が零れ出ると、張り込みを中止する。
【0015】
タンク11の上部は、ケーシング4の壁面をそのまま利用しているので、1個の角筒状であるが、タンク11の下部は複数に分割され、かつ、漏斗状部13になっている。実施例では4個に分割されていて、4個の漏斗状部13(a〜d)が形成されている。また、漏斗状部13の上端と、コンベアー円筒3の上端10とはほぼ同高で、円筒3の位置が各漏斗状部13(a〜d)の分岐点になっている。この状態は図2に示されている。円筒3の位置によって、大小さまざまな漏斗状部が形成されることになるが、漏斗状部13は2個以上であれば、その数や大きさは自由である。また、円筒3は多角筒でもよい。
【0016】
各漏斗状部13(a〜d)の下端には、それぞれ流出口14(a〜d)が設けられていて、これらの各流出口14はコンベアー円筒3の側面の適当な位置に設けられた循環口15(a〜d)にそれぞれ連結パイプなどを用いて連結されている。また、各流出口14(a〜d)の口径を、大小適当な大きさで互いに異ならせたり、あるいは、コンベアーとの連結位置を変えたり、更には循環口15の傾斜角度を変えたりすることによって、各流出口からの物品流出量に差異を持たせてある。
【0017】
貯蔵装置は以上の構成よりなるので、次にその作動について説明する。先ず、取出口8のシャッターを閉め、ホッパー6に物品を供給して、コンベアー1を回転作動させると、物品は円筒3内を上昇して円筒3の上端からタンク11内に入る。物品の貯蔵量が増えて、満杯近くになると、拡散羽根7の作用で、中央部の物品が周辺部へと飛ばされ、山が均らされて、タンクの周辺まで物品が行き渡り、スペース効率よく貯蔵できる。なお、拡散羽根7が無くとも、天井板31につかえた物品は、スクリューに押されて、横方向に拡がり、ほぼタンクの周辺まで行き渡り、効率よく貯蔵できる。そして、周辺まで完全に満杯になると、溢流口12から物品が零れ出すので、張り込み作業を中止する。なお、前記の張り込み作業中、循環口15は常時、開放状態にあり、物品が円筒3内に入ろうとするが、コンベアー1には下端で噛み込まれた物品が順次、充満状態で送られてくるので、途中の循環口15からは極く僅かしか流入しない。
【0018】
次に、ホッパー6からの供給が止まると、下から送られてくる物品が無いので、各循環口15からの物品が円筒3内に入り、上方へ送られる。各循環口15(a〜d)からの流入量は、流出口14(a〜d)の大きさを変えた方式や、各循環口15(a〜d)の設けられた高さ順位を変えた方式(低位置ほど飲込量が多い)などによって差が出て、この結果、各漏斗状部13(a〜d)からの環流速度に遅速が生じ、これにより、タンク11内で貯蔵物品を混合できる。即ち、玄米は銘柄ごとに別個に袋詰されてくるので、これを適当にホッパーに供給して先ずタンク内に張り込み、その後に、循環移動させれば、タンク内で玄米が混ざって、全体が均質な米となる。
【0019】
貯蔵物品を外部に取り出す時には、取出口8のシャッターを開く。循環口15から入り、上昇移動してきた物品は、取出口8から流れ出る。なお、飲み込み量を越えた余剰物品はそのまま更にコンベアー1で上方に送られ、タンク11内に戻る。取出口8を設ける位置は自由であり、より高い位置から取り出したい場合には、円筒3を上方に伸ばし、取出口8をより高い位置に設ければよい。このように取出口8の位置は自由に定めることができるので、タンク11の各漏斗状部の流出口14(a〜d)はいくら低くてもよく、ケーシング4内の空間を最大限利用して貯蔵スペースとすることができる。
【0020】
20は精穀機、21は選穀機で、ケーシング4内のタンク下方の空間に設置されている。取出口8から流れ出た玄米は、自然流下によって精穀機20の供給口23に入る。そして、精穀機20で精白された後に、選穀機21に送られ、混入異物や小米などが除去されて、排出口24から最終製品の精白米として排出される。なお、25は精白米受箱、26は選穀機21で分離された小米などの受箱である。また、排出口24に更に別の揚穀装置などを連結して、精白米を包装工程などの次工程に送るようにすることも可能である。以上のように精穀機20や選穀機21は、ケーシング4内に収容されていて、機自体のケーシングと合わせると2重カバー状態になっているので、運転時の騒音は効果的に遮断される。
【0021】
精穀機20で発生した含糠廃風は、パイプ28などによってサイクロン27に送られる。サイクロン27はケーシング4の外部上方に取付けられていて、廃風中に含まれた糠を回収する。回収された糠はサイクロン27の下方に置かれた受袋(図示せず)に入る。そして、サイクロンによって清浄化された空気はパイプ30によって再びケーシング4内のタンク上部に送り込まれる。タンク11の天井板31は、慮過材を設けた通気面になっているので、送り込まれた空気はここで更に慮過された上で外に出る。また、サイクロン27からの排気に伴って出る騒音はタンク内で吸収されるので、運転音は静かである。なお、タンクの天井板31で慮過された糠微粉は下方に落下して、タンク内の玄米と共に処理される。
【0022】
なお、本発明は前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で自由に変形実施可能である。
【0023】
【発明の効果】
請求項1の貯蔵装置では、1個のコンベアーを張込み用と取出用とに共用しているので、装置に無駄がない上に、低位置からの張り込み、高位置からの取出が可能である。この為、タンクを低い位置に設けることが可能であり、また、タンクの収容効率がよくて、その分、背の低いタンクで済むから、天井の低い部屋の場合でも、空間を最大限有効に使った貯蔵が可能である。
【0024】
更に、各漏斗状部からの流出量に差があるので、貯蔵物品をタンク内で循環させると、各漏斗状部からの流出に遅速がでて、この結果、タンク内の全物品が均質に混合されるようになる。しかも、わざわざ混合の為の作業をしなくとも、張込中、及び張込作業が終わると、自動的に混米工程が始まり、作業性が良い。
【0025】
請求項のものでは、タンクが満杯になると、溢流口から物品が零れでるので、タンクの満杯を簡単に知ることができ、実用上、便利である。
【0026】
請求項のものでは、拡散羽根によって、中央部に積まれた物品を強制的に周辺に押しやるので、山を均らした状態で積み込むことができ、スペース効率のよい貯蔵が可能である。
【0027】
請求項の穀物処理装置は、貯蔵装置と、精穀機と、選穀機とが1つのケーシング内に組み込まれていて、全体としてコンパクトになっている上に、貯蔵から精穀、選穀までを流れ作業で処理でき、かつ、各装置がケーシング内に入っているので、騒音が少ないなどの利点がある。
【0028】
請求項のものでは、サイクロンからの排気を更にタンク内に導いて、タンクの天井の濾過材を通して排出させる方式であるから、スペースを取らずに環境衛生を保つことができ、その上、サイクロンの排気と共に出る騒音の吸収が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】穀物処理装置の縦断面図。
【図2】A−A断面図。
【図3】従来のバケットエレベーターを用いた貯蔵装置の側面図。
【符号の説明】
1 コンベアー
2 スクリュー
3 円筒
4 ケーシング
5 モーター
6 張込み用ホッパー
7 拡散羽根
8 取出口
9 供給口
10 円筒上端
11 タンク
12 溢流口
13 漏斗状部
14 流出口
15 循環口
20 精穀機
21 選穀機
23 供給口
24 排出口
27 サイクロン
31 タンク天井板

Claims (5)

  1. 略垂直に設けられたスクリュー式のコンベアーと、少なくとも下方部が複数の漏斗状部になったタンクとからなり、コンベアーの上部はタンクを貫通し、漏斗状部の分岐点を通って、タンクの天井中央付近に達しており、また、コンベアーは、その下端に供給口を、また上方部に取出口を有し、更に、各漏斗状部の下端流出口はコンベアーの中間部に連通され、かつ、各漏斗状部の流出口からの流出量に差を持たせてある貯蔵装置。
  2. 張込口の上方の、タンク上部の側壁に溢流口が設けられている請求項1記載の貯蔵装置。
  3. コンベアーの上端部に拡散羽根が取付けられている請求項1記載の貯蔵装置。
  4. 請求項1記載の貯蔵装置と、精穀機と、選穀機とからなり、これらが1つのケーシング内に組み込まれていて、貯蔵装置の取出口から出た穀物が精穀機、選別機と連続的に流れて、処理されるようになっている穀物処理装置。
  5. 精穀機からの廃風は、サイクロンに送られ、更にサイクロンからの排気はタンクの上部に送られて、濾過材製の通気面を有するタンク天井から外部に排出されるようになっている請求項記載の穀物処理装置。
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