JP3661930B2 - スプリンクラ消火設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスプリンクラ消火設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スプリンクラ消火設備は、従来から湿式や乾式、予作動式等の種々のシステム系統が利用されている。
【0003】
従来の最も一般的な、閉鎖型スプリンクラヘッドを用いる湿式消火設備では、各警戒地区に設けた閉鎖型スプリンクラヘッドの末端まで加圧水を常時充填しておくものであり、火災検出と同時に散水動作をとることができ、最も一般的な、ビル等に用いられる設備である。
【0004】
閉鎖型スプリンクラ消火設備は、配管の端末まで加圧水が常時充填されているので、物が当たる等による事故でスプリンクラヘッドが開放してしまったときには、加圧された消火水が大量に放出されるとともに、火災でないことを確認してポンプを停止するまで、散水が続けられ、大きな水損事故となってしまう。
【0005】
また、火災時には、スプリンクラヘッドが設けられている二次側の配管に開放弁の開放により一次側と同じ高圧の消火水が流れ込む。このため、二次側の配管や弁等に一次側と同等の高圧に耐えるものを使用する必要がある。このことは、二次側の配管や弁等がコスト高となって、スプリンクラ消火設備の普及を妨げる要因になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のスプリンクラ消火設備の問題を解決するため、スプリンクラヘッドの動作とともに消火に効率のよい圧力での消火水の放出ができるように、二次側の配管内を所定圧に常に調整する設備が種々提案されている。
【0007】
本発明は、試験弁を開放させると、その場所で、ヘッド1個分の放水を行い、そのときの開放弁の一次側と二次側の圧力状態を圧力計により確認することできるようにすることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、常時所定の圧力の消火水が充填された二次側配管と、該二次側配管に接続される複数の閉鎖型スプリンクラヘッドと、二次側配管内の減圧により開放する開放弁と、該開放弁の一次側に設けられ、消火水供給手段に接続された一次側配管とを備えたスプリンクラ消火設備において、前記二次側配管に接続された配管と、該配管に設けられ、前記スプリンクラヘッドの1個分の放水をする試験弁とを備え、開放弁をユニット内に設けると共に、該同じユニット内に前記試験弁を設け、試験時に、前記開放弁の動作又は圧力状態を確認できる位置に、前記試験弁を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について、図面を用いて説明する。図1は、本発明を利用したスプリンクラ消火設備の系統図である。
【0011】
警戒地区の天井に設けられる閉鎖型のスプリンクラヘッド1は、二次側配管2を介して建物の各階毎に設置されている開放弁3の二次側4に接続され、開放弁3の一次側5は、一次側配管6と元弁7を介して消火水供給手段としての加圧送水装置8に接続されている。この加圧送水装置8は、同図で図示されているポンプ9と、電路により受信盤10に接続されたモータ11等の他、図示されていない通常の逆止弁や圧力空気槽等を備えていて、水源12の消火水を加圧供給するものである。
【0012】
通常では閉鎖状態であり、二次側配管2内の減圧時に開放状態にされる開放弁3には、二次側配管2への通水を試験する試験手段20と、一次側配管6の消火水を所定圧に減圧調整して二次側配管2に供給するための調圧手段30と、開放弁3の急速閉鎖を行う遮断手段50と、二次側配管2内の圧力余剰分を排水する排水手段60等をユニット70として形成し、このユニット70内に配線される電路を外部の信号線と接続する接続端子部71もこのユニット70内に設けてある。
【0013】
試験手段20は、電動式の遠隔操作試験弁21と、スプリンクラヘッド1の1個分の排水をする1個試験弁22と、スプリンクラヘッド1の5個分等を排水する大型試験弁23とを有している。これらの弁の一次側は、二次側配管2から分岐された配管24に並列に設けられ、二次側は排水管25に接続されている。
【0014】
遠隔操作試験弁21は、受信盤10からの信号により遠隔的に操作することが可能であり、二次側配管2内の減圧により開放弁3が開放し、後述する圧力スイッチ74からの信号が得られるかどうかを確認できる。1個試験弁22は、その場でヘッド1個分の放水を行え、そのときの圧力状態を圧力計72、73により確認でき、開放弁3の動作が正常であることを確認できる。大型試験弁23は、1個試験弁22に比べて、大量の消火水を放出することができ、複数ヘッドの同時開放の場合の供給能力を確認することができる。また、放水量が変わっても二次側配管2内が調圧されていることを確認できる。これらの弁は目的や機能が異なり、試験手段20としては、その試験する目的に応じ必要な弁が設けられていればよく、また、兼用するように構成してもよい。
【0015】
調圧手段30は、二次側配管2の二次圧を配管31によりその操作室32に導入し、開放弁3の一次側5からの配管33から一次圧を取り込み、フラム34とばね35の調圧作用により弁体36の開度調整を行って、配管37により開放弁3のシリンダ38へその一次圧を導入する調圧弁40により構成されている。
【0016】
この調圧弁40は、火災時に開放弁3を開放させる機能を有している。即ち、配管31により操作室32に導入された二次側配管2内の圧力が所定圧よりも低いときは、フラム34とばね35の調圧作用により弁体36が開動作して、配管33、37を介して一次圧が徐々にシリンダ38内に導入され、ピストン41が押し上げられて(図面左方向)、連動する弁体43が開放される。二次側配管2内の圧力が所定圧よりも高いときは、フラム34とばね35の調圧作用により弁体36が閉動作して、一次圧の流入量が減少し、シリンダ38内が減圧してピストン41が下がり(図面右方向)連動する弁体43が閉動作する。
【0017】
このようにして開放弁3の開度調整が行われ、二次圧を消火動作に適した所定圧、例えば二次側直近3.5 kg/cm2 に調圧する。また、開放弁3のシリンダ38は、ピストン41の小孔42を介して配管44により二次側配管2へ連通されている。これにより、二次側配管2内は、調圧弁40の開放時に昇圧するので、常時調圧弁40の調圧作用により所定の圧力に保持され、二次側配管2の温度変化等による圧力降下時に少量の一次圧補給を行う。このとき、開放弁3は開放せず開放信号はでない。同時にピストン41の背面に圧力が流入して弁体43の摺動が緩慢になるので、調圧作用が行いやすい効果もある。
【0018】
従って、火災が発生してスプリンクラヘッド1が開放するときには、直ちに消火活動に適した所定圧の放水が可能であり、二次側配管2内の減圧に伴い、調圧弁40の作用により開放弁3が開放し、その弁体43の開度が調整されることにより、二次側配管2へは、消火活動に適した所定圧の消火水が供給される。
【0019】
遮断手段50は、スプリンクラヘッド1が衝撃等によって開放してしまった場合に散水を停止させるためのものであり、具体的には、調圧弁40から開放弁3のシリンダ38につながる配管37に設けられた常時開状態にある電動弁51である。この電動弁51は、受信盤10からの信号をモーター等により構成されている電動部52が受け、この電動部52の作用により弁51を閉止できる構成となっている。即ち、スプリンクラヘッド1の誤動作の場合に、監視区域に設けられる放水停止スイッチ53を操作することにより、受信盤10を介して電動部52へ閉止信号を送出することができる。電動部52は、その信号を受けて弁51を閉動作し、その結果、シリンダ38内が小孔42を介して減圧され、開放弁3は閉鎖される。
【0020】
この電動弁51の位置は、配管37に介在する必要はなく、シリンダ38への加圧を遮断できれば別の位置で構わない。そして、開放弁3に所謂減圧開の弁を使用する場合には、電動弁がシリンダ内の減圧を遮断することは勿論である。
【0021】
更に、電動弁の位置は、開放弁3の弁体43の開閉に係わらず、直接一次側配管6または二次側配管2に介在させてもよく、例えば元弁7を電動弁で構成しても同様の効果をなす。
【0022】
排水手段60は、二次側配管2から分岐された配管24に試験手段20と並列に設けられ、排水管25に接続されている排水弁61により構成されている。排水弁61は、配管24から操作室62に導入した二次圧がフラム63とばね64にて設定される許容圧(消火活動に適した所定圧を僅かに越える圧力)を越えるときに弁体65が開動作し、余分な二次圧を排水管25に排出し、二次圧を所定の消火活動に適した圧力に維持する。従って、温度上昇や他の要因により大きく二次側配管内2内の圧力が高くなったとしても、排水弁61が二次圧の過剰を検知し、二次圧を所定圧まで減圧させる。この排水弁61は、ばね64等の作用により開放する弁であるが、電気的に二次圧に対して開動作を行う弁であってもよい。
【0023】
その他に、本ユニット70内には、二次圧を測定するための圧力計72が配管24に、一次圧を測定するための圧力計73が配管33に接続されている。また、開放弁3の開放を検出する圧力スイッチ74が、開放弁3の弁座75に形成され弁体43閉止時には弁体43によって閉止されている流水検知室76からの枝管77に接続されている。枝管77は、オリフィス78を介して排水管25に接続されていて、開放弁3の閉止時には圧力スイッチ74を動作させた消火水が徐々に排水されるようになっている。
【0024】
次に、本実施例における動作について説明する。複数のスプリンクラヘッド1が接続される二次側配管2内には、常時消火活動に適した所定の圧力で消火水が充填されている。ここで二次側配管2内が温度降下等により僅かに減圧した場合には、調圧弁40の作用により一次側配管6内の消火水を配管33、37、シリンダ38等を介して二次側配管2内に充水し、二次側配管2内を所定圧に昇圧させる。また、温度上昇等により二次側配管2内が余分に昇圧した場合には、排水弁61が動作し、弁体65が開放して二次側の消火水を排水管25に排出して、二次圧を所定圧に減圧させる。
【0025】
この状態において、火災が発生するとスプリンクラヘッド1が開放し、二次側配管2内の消火水の放水を開始する。ヘッド1の放水が開始されると、調圧弁40が二次圧の減圧を検出して弁体36を開放し、一次側配管6の消火水をシリンダ38に導入して、開放弁3の弁体43を開動作させる。弁体43が開くと、一次側5の消火水が二次側4へ供給され、同時に流水検知室76に消火水が流入し、圧力スイッチ74が動作して、受信盤10にヘッド1の動作信号を送出する。
【0026】
調圧弁40は、開放弁3を開放させるだけでなく、操作室32に二次圧を導入することにより、弁体36の開度を調整し、開放弁3のシリンダ38に導入される一次圧を調整することにより弁体43の開度を調整して二次側配管2内が消火活動に適した所定の圧力になるように調圧動作を行う。
【0027】
開放弁3の開放により、一次側配管6の消火水が流出していくと、加圧送水装置8を構成する図示していない圧力空気槽に設けられる圧力スイッチが動作して、モータ11を起動してポンプ9を動作させ、水源12の消火水を加圧供給する。従って、開放したスプリンクラヘッド1は、調圧手段30によって制御される開放弁3を通じて、消火活動に適した所定の圧力の消火水が次々に供給され、効果的な放水を続けることができる。
【0028】
このスプリンクラヘッド1の開放が、火災を検知したものであれば問題はないが、衝撃等による誤動作の場合には、早く放水を停止させる必要がある。その場合には、その警戒区域の放水停止スイッチ53を操作する。放水停止スイッチ53を操作すると、受信盤10を介して電動弁51の電動部52に閉止信号を送出する。それにより電動弁51は閉止され、シリンダ38内は一次圧の供給が遮断されるので減圧し、開放弁3の弁体43は閉止する。すると、一次側配管6からの給水が遮断されるので、ヘッド1からの放水を停止させることができる。
【0029】
上記のように、本実施例のシステムでは、二次側配管2内の圧力を火災時のみではなく、常時も消火活動に適した所定の圧力とすることができ、スプリンクラヘッド1の誤動作の場合には、簡単に放水を停止させることのできる有用な消火設備である。この設備の開放弁3は減圧開の弁でも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、スプリンクラ消火設備において、二次側配管に接続された配管と、配管に設けられ、スプリンクラヘッドの1個分の放水をする試験弁とを備え、開放弁をユニット内に設けると共に、該同じユニット内に前記試験弁を設け、試験時に、開放弁の動作又は圧力状態を確認できる位置に、試験弁を設けたものである。
【0031】
このため、試験弁を開放させると、その場所で、ヘッド1個分の放水を行うことができ、そのときの開放弁の一次側と二次側の圧力状態を圧力計により確認することができると共に、開放弁3の動作が正常であることを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプリンクラ消火設備の一実施形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 閉鎖型スプリンクラヘッド、 2 二次側配管、 3 開放弁、
6 一次側配管、 8 加圧送水装置(消火水供給手段)、 10 受信盤、
21 遠隔操作試験弁、 22 試験弁、 24 配管、 25 排水管、
30 調圧手段、 40 調圧弁、 50 遮断手段、 51 電動弁、
53 放水停止スイッチ、 60 排水手段、 61 排水弁、
70 ユニット、 72 圧力計、 73 圧力計、 74 圧力スイッチ、

Claims (2)

  1. 常時所定の圧力の消火水が充填された二次側配管と、該二次側配管に接続される複数の閉鎖型スプリンクラヘッドと、二次側配管内の減圧により開放する開放弁と、該開放弁の一次側に設けられ、消火水供給手段に接続された一次側配管とを備えたスプリンクラ消火設備において、
    前記二次側配管に接続された配管と、該配管に設けられ、前記スプリンクラヘッドの1個分の放水をする試験弁とを備え、
    前記開放弁をユニット内に設けると共に、該同じユニット内に前記試験弁を設け、
    試験時に、前記開放弁の動作又は圧力状態を確認できる位置に、前記試験弁を設けたことを特徴とするスプリンクラ消火設備。
  2. 前記開放弁の開放を検出するスイッチと、前記配管に設けられ、開放弁の二次圧を測定する圧力計とを備えたことを特徴とする請求項1記載のスプリンクラ消火設備。
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