JP3661345B2 - 食器洗い機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄槽に収納した食器類に洗浄水を噴射して洗浄する、給湯器に接続可能な食器洗い機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の食器洗い機は図13に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図に示すように、洗浄槽1は、食器類2を内部に収納するとともに、給水弁(給水手段)3から洗浄水を供給し、底部に溜めている。洗浄ノズル4は、洗浄槽1内に回転自在に支持され、食器類2に向けて洗浄水を噴出する。洗浄ポンプ(洗浄手段)5は洗浄水を洗浄ノズル4に送り込むもので、この洗浄ポンプ5はモータ6によって駆動される。水位センサ(水位検知手段)7は、洗浄槽1内の水位を検知し、電気信号として出力する。
【0004】
ヒータ(加熱手段)8は、洗浄槽1の底部に配設され、洗浄水を加熱する。サーミスタ(温度検知手段)9は、洗浄槽1の底部に外側より密着するように取り付け、洗浄水の水温を熱伝導により検知する。排水ポンプ(排水手段)10は洗浄槽1内の洗浄水を排出するもので、この排水ポンプ10はモータ11によって駆動される。送風ファン12は、洗浄槽1内の蒸気を送り出すもので、排気口16より機外へ排出される。
【0005】
食器かご14は、食器類2を配置するものである。ドア15は洗浄槽1の内部に収納した食器類2の出し入れの際に開閉するものであり、このドア15が開いているか、閉じているかをドア開閉検知手段16により検知する。制御手段17は、食器類2の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の動作を逐次制御する。
【0006】
上記構成において動作を説明すると、利用者が食器類2を食器かご14に配置して洗浄槽1に収納し、洗剤を入れた後、運転を開始すると、まず、洗浄槽1の底部に水位センサ7が所定の水位を検知するまで、給水弁3から水道水が給水される。そして、モータ6およびヒータ8に通電され、洗浄水は加熱されながら洗浄ポンプ5により、洗浄ノズル4から食器類2に向けて噴出される。
【0007】
このとき、サーミスタ9により洗浄水の温度を検知し、制御手段17は常に洗浄水の温度を把握している。洗浄水の温度が所定の温度に到達し、かつ、洗浄開始から所定時間経過したとき、制御手段17は洗浄行程を終了し、排水ポンプ10を駆動するモータ11に通電し、一旦、洗浄水を排水する。
【0008】
つぎに、新たに水道水が給水され、前述の洗浄行程と同様の動作を数分間行い排水する。このすすぎ行程を数回くり返した後、加熱すすぎ行程と称する洗浄行程と同様の動作を行い、所定温度に到達し、かつ、所定時間経過したとき、これを終了として排水する。最後に送風ファン12を運転して、洗浄槽1内の蒸気を機外へ排出すると同時に、ヒータ8に間欠に通電を行い食器類2を加熱して、付着している水滴を乾燥させる。
【0009】
このような従来の構成において、洗浄、すすぎ、乾燥の一連の逐次動作に要する時間が約1時間と長く、もっと短時間にて運転が終了する食器洗い機の開発が望まれていた。特に、洗浄行程と加熱すすぎ行程の中で、所定温度に達し、かつ、所定時間経過したとき終了しており、この所定温度にまで加熱するのに要する時間が運転時間が長いとされる一因とされていた。
【0010】
最近では、これらを解決するために、給湯器に接続可能な食器洗い機が開発されており、給湯器から食器洗い機までの滞留水を排水してから、従来の洗浄、すすぎ、乾燥の一連の逐次動作を行っていた。
【0011】
この場合の動作を図14を参照しながら説明する。ステップ60において、給水弁3をオンさせ、給湯器から食器洗い機間に存在する滞留水を洗浄槽1内に給水する。ステップ61において、洗浄水位に達するまで水位センサ7にて検知する。洗浄水位に達すると、ステップ62にて給水弁3をオフし、ステップ63にて排水ポンプ10を20秒間オンさせ、洗浄槽1内の洗浄水を排水する。
【0012】
ステップ64にて、給水弁3を再びオンさせることにより、ステップ65にて洗浄水位に達するまで給湯を行うことができ、ステップ66にて、給水弁1をオフし、洗浄槽1内の給湯を確実に行っていた。
【0013】
なお、この種の食器洗い機に関する先行技術は、例えば特開平5−261056号公報に開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、給湯器から食器洗い機に至るまでの配管の状態は、各家庭により千差万別で、滞留水なしで食器洗い機に給湯可能な家庭もあれば、必ず滞留水が存在する家庭もある。また、食器洗い機以外での給湯器の使用状態により、滞留水の有無が変化する家庭もあり、このような家庭すべてに確実に給湯を行うために、滞留水の有無に関係なく、常に水を捨てるという制御を行っていた。そのため、滞留水なしで食器洗い機に給湯可能な家庭では、一回分給湯を無駄に捨ててしまうという問題を有していた。
【0015】
本発明は上記課題を解決するもので、初回に給湯が行われている場合には、そのまま洗浄をおこない、配管内に滞留水がある場合には、排水して滞留水を除去し、給湯を無駄に捨てることなく運転時間を短縮することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、食器類を収納する洗浄槽に給水手段により給水し、洗浄槽内の洗浄水の水位を水位検知手段により検知し、洗浄槽内の洗浄水の水温を温度検知手段により検知する。制御手段は、食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の動作を逐次制御するとともに、初期の給水開始から所定時間後に洗浄槽内の第1の水温を温度検知手段により検知し、さらに、水位検知手段により洗浄水位検知後から所定時間後に、洗浄槽内の第2の水温を温度検知手段により検知し、この第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より低い場合は洗浄槽内の洗浄水を排水手段により排水し、再度給水を行い、温度上昇値が所定値より高い場合は排水せずに洗浄行程に移行するようにしたものである。
【0017】
これにより、初回に給湯が行われている場合には、そのまま洗浄をおこない、滞留水がある場合には、排水して配管内の滞留水を除去することができ、給湯を無駄に捨てることなく運転時間を短縮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、給湯器に接続可能な食器洗い機において、食器類を収納する洗浄槽と、前記洗浄槽に給水する給水手段と、洗浄水を食器類に向けて噴出する洗浄ノズルと、前記洗浄槽に溜められた洗浄水を洗浄ノズルに送り込む洗浄手段と、前記洗浄槽内の洗浄水の水位を検知する水位検知手段と、前記洗浄槽内の洗浄水を洗浄槽外に排出する排水手段と、洗浄水を加熱する加熱手段と、前記洗浄槽内の洗浄水の水温を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段により検知した水温を記憶する記憶手段と、前記食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の動作を逐次制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、初期の給水開始から所定時間後に洗浄槽内の第1の水温を前記温度検知手段により検知し、さらに、前記水位検知手段により洗浄水位検知後から所定時間後に、洗浄槽内の第2の水温を前記温度検知手段により検知し、この第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より低い場合は洗浄槽内の洗浄水を排水し、再度給水を行い、前記温度上昇値が前記所定値より高い場合は排水せずに洗浄行程に移行するようにしたものであり、初回に給湯が行われている場合は、第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より高くなり、そのまま洗浄をおこない、滞留水がある場合には、第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より低くなるため、排水して配管内の滞留水を除去することができ、給湯を無駄に捨てることなく運転時間を短縮することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、初期の給水開始時に温度検知手段により雰囲気温度を検知し、雰囲気温度に応じて所定値を補正するようにしたものであり、雰囲気温度が高くなると、第1の水温、第2の水温間の温度上昇値は低くなるため、雰囲気温度に応じて所定値を補正することで、雰囲気温度の影響を受けずに、正確に滞留水の有無を検知することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、初期給水開始から水位検知手段により洗浄水位検知までの時間を測定し、洗浄水位検知までの時間に応じて所定値を補正するようにしたものであり、洗浄水位検知までの時間が長くなると、第1の水温、第2の水温間の温度上昇値は高くなるため、洗浄水位検知までの時間に応じて所定値を補正することで、給水手段の給水流量の差による熱伝導のタイムラグの影響を受けずに、正確に滞留水の有無を検知することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、食器類の出し入れを行うドアと、前記ドアの開閉状態を検知するドア開閉検知手段とを備え、制御手段は、初期の給水開始から第2の水温を検知するまでの間にドアが開けられたことをドア開閉検知手段により検知した場合は、洗浄槽内の洗浄水を排水し、再度給水を行うようにしたものであり、ドアが開けられたときは、食器類の追加されたり、給水の一時停止による熱伝導のタイムラグにより、第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が変化するため、この場合は、洗浄槽内の洗浄水を排水し、再度給水を行うことで、温度上昇値の変化による誤検知を防ぎ、確実に給湯を行うことができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、温度検知手段により単位時間当たりの雰囲気温度の傾きを検知し、雰囲気温度の傾きが所定値以下になるまでに再運転を開始した場合は、洗浄槽内の水温を前記温度検知手段により検知せずに、前回の温度上昇値を基にして滞留水の有無を判断するようにしたものであり、連続運転時は、前回の温度上昇値を使って滞留水の有無を判断するので、残熱に影響を受けることなく、確実に給湯を行うことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、検知した温度上昇値が所定の範囲を越える場合は、温度上昇値が所定値より低いと判断するようにしたものであり、温度測定中にノイズ等の外乱の影響によりデータが書き変わってしまった場合でも、確実に給湯を行うことができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、所定時間内に再運転を開始した場合は、洗浄水内の水温を温度検知手段により検知せずに、温度上昇値が所定値より高いと判断するようにしたものであり、前回運転後の所定時間内であれば給湯器からの配管に滞留水はないので、連続運転時の誤検知を防ぎ、確実に給湯を行うことができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
(実施例1)
図1に示すように、記憶手段18は、温度検知手段8から検知した温度を記憶するもので、通常、不揮発性メモリを使用するが、制御手段19を構成するマイクロコンピュータに、常にマイコンに電源が供給されている場合は、マイクロコンピュータ内部に搭載されているRAMを用いてもよい。
【0027】
制御手段19は、初期の給水開始から所定時間ta(たとえば、20秒)後に洗浄槽1内の第1の水温をサーミスタ(温度検知手段)9により検知し、さらに、水位センサ(水位検知手段)7により洗浄水位検知後から所定時間tb(たとえば、20秒)後に、洗浄槽1内の第2の水温をサーミスタ9により検知し、この第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値(たとえば、5K)より低い場合は洗浄槽1内の洗浄水を排水し、再度給水を行うようにしている。他の構成は従来例と同じである。
【0028】
上記構成において図2および図3を参照しながら動作を説明する。図3において給水弁3から給水(給湯)が始まると、図示のように、洗浄槽1の下部に向かって湯が流れる。給湯された湯はまず、排水口90に流れ込む。従って、洗浄槽1の低部に外側から密着するように取り付けているサーミスタ9は、洗浄水の水温を熱伝導により検知しているため、時間軸を横軸にとると、検知水温は、図2に示すようなカーブとなる。
【0029】
図2において、運転開始前はサーミスタ9により検知する温度は、食器洗い機の設置されている雰囲気温度と同じで、その温度をTa′とする。給湯器からの配管内に滞留水がなく、給水行程が開始されると、初回から給湯される場合は、湯は排水口90に流れ込み、徐々に水位は上昇していくが、サーミスタ9は洗浄槽1の下部に取りつけられているため、熱伝導に時間がかかり、サーミスタ9の温度が上昇を始めるまでに時間遅れを生じる。
【0030】
今、所定時間taを経過すると、図2の曲線Aで示すように、サーミスタ9に湯の温度の影響が出始めたころであり、このとき、第1の水温Taを検知する。そして、水位センサ7により、洗浄水位を検知した時点で給湯を終え、所定時間tb経過後に第2の水温Tbを検知する。給水行程終了後、所定時間tbだけ待ってから検知するのは、給水(給湯)行程終了後もサーミスタ9により検知する温度が上昇するので、給湯温度検知の精度を上げるためである。
【0031】
一方、給湯器からの配管内に滞留水がある場合は、洗浄槽1内には、滞留水が給水されれた後、給湯されるため、サーミスタ9により検知する温度は図2の曲線Bに示すようになり、所定時間tb経過後の第2の水温はTb’となる。このTbとTb’との間に、しきい値Tcを設けることにより、排水するか、そのまま洗浄行程を続けるかを判断させることができる。
【0032】
つぎに、図4を参照しながら具体的な動作を説明する。ステップ20にて、給水弁3をオンさせ、ステップ21で、所定時間ta経過後、ステップ22で洗浄槽1内の第1の水温Taを検知する。ステップ23にて、水位センサ7が洗浄水位を検知すれば、ステップ24へ進み、給水弁3をオフする。つぎに、ステップ25へ進み、所定時間tbのタイマー計測を開始し、ステップ26にて所定時間tbが経過すればステップ27へ進み、洗浄槽1内の第2の水温Tbを検知する。
【0033】
ステップ28にて、温度上昇の所定値を5Kに設定し、しきい値としてTaに5をプラスしてTcに入力する。ステップ29へ進み、第2の水温Tbがしきい値Tc以上であれば、滞留水がなく初回から給湯されたと判断し、ステップ30へ進み、洗浄行程に移行する。
【0034】
ステップ29にて、第2の水温Tbがしきい値Tc未満であれば、滞留水があると判断してステップ31へ進み、排水ポン14を20秒間オンさせ、洗浄槽1内の水を排水し、ステップ32にて、再び給水弁3をオンし、ステップ33にて、水位センサ7が洗浄水位を検知すると、ステップ34へ進み給水弁3をオフし、ステップ30にて、洗浄行程に移行する。
【0035】
なお、本実施例では、温度上昇の所定値として、5Kと設定しているが、この値では、給湯温度が40℃位を境として判断するようになる。5Kから下げていくと設定温度も下がり、反対に、5Kから上げていくと、設定温度上がっていくため、温度設定の調整は可能である。
【0036】
また、排水ポンプ10を20秒オンさせるのは、洗浄槽1内に溜められた洗浄水を完全に排水するのに必要なおおよその時間であり、変更は可能である。
【0037】
(実施例2)
図1における制御手段19は、初期給水開始時にサーミスタ9により雰囲気温度を検知し、雰囲気温度に応じて第1の水温Ta、第2の水温Tb間の温度上昇値と比較する所定値を補正するようにしている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0038】
上記構成において、まず、図5を参照しながら雰囲気温度と温度上昇値の関係を説明する。サーミスタ9は洗浄槽1の下部に密着させているため、雰囲気温度の影響を受けやすい。図5において、横軸に雰囲気温度をとり、縦軸に温度上昇値Tb−Taをとると、40℃給湯をした場合は、直線Eのように右下がりとなる。これは、雰囲気温度が高くなるほど、温度上昇値の差が出にくくなるためで、雰囲気温度の基準を20℃とした場合、10℃と30℃では+dt1と−dt1の差となる。給湯温度を50℃、60℃とした場合も、直線D、Cで示すように、同様の結果となる。
【0039】
このため、第1の水温Ta、第2の水温Tb間の温度上昇値と比較する所定値を雰囲気温度Tfに応じて、−dt1/10×Tf+20の一次式を用いて補正し、常に、滞留水の有無の判定を安定させる。
【0040】
つぎに、図6を参照しながら具体的な動作を説明する。なお、ステップ20からステップ27までと、ステップ30からステップ34までの動作は、上記実施例1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0041】
ステップ35にて、給水開始前にサーミスタ9により雰囲気温度Tfを測定する。ステップ36で、温度上昇の所定値を5Kに設定し、しきい値としてTaに5をプラスし、かつ雰囲気温度Tfに応じて、−dt1/10×Tf+20を加えて、Tcに入力する。この結果、雰囲気温度Tfに影響されずに、正確に滞留水の有無を判定することができる。
【0042】
なお、本実施例では、一次式により所定値を補正しているが、テーブルにより、所定値を選ぶようにしても同様な効果が得られる。
【0043】
(実施例3)
図1における制御手段19は、初期給水開始から水位センサ7により洗浄水位検知までの時間を測定し、洗浄水位検知までの時間に応じて、第1の水温Ta、第2の水温Tb間の温度上昇値と比較する所定値を補正するようにしている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0044】
上記構成において、図7を参照しながら給水完了までに要した時間と温度上昇値の関係を説明する。サーミスタ9は、洗浄槽1の下部に密着させ、洗浄槽1の水温を熱伝導により検知を行っている。このため、図7において、横軸に給水完了までに要した時間をとり、縦軸に温度上昇値Tb−Taをとると、40℃給湯をした場合は、曲線Jのように右上がりとなる。
【0045】
これは、給水が完了する時間が長くなるほど熱伝導のタイムラグを受けずに温度上昇値が出るためで、給水に要する標準時間を1分においた場合、温度上昇値が5Kであるのに対し、1.5分かかったとすると、温度上昇値はdt2高くなり、約2℃の差となる。給湯温度を50℃、60℃とした場合も、直線I、Hで示すように、同様の結果となる。
【0046】
このため、図7に示す曲線Jを直線Kに近似し、第1の水温Ta、第2の水温Tb間の温度上昇値と比較する所定値を、初期給水開始から水位センサ9により洗浄水位検知までの時間に応じて、一次式を用いて補正し、常に、滞留水の有無の判定を安定させるることができる。
【0047】
なお、本実施例では、一次式により所定値を補正しているが、テーブルにより、所定値を選ぶようにしても同様な効果が得られる。
【0048】
(実施例4)
図1における制御手段19は、初期の給水開始から第2の水温を検知するまでの間にドア15が開けられたことをドア開閉検知手段16により検知した場合は、洗浄槽1内の洗浄水を排水し、再度給水を行うようにしている。他の構成は上記実施例例1と同じである。
【0049】
つぎに、図8を参照しながら具体的な動作を説明する。なお、ステップ20からステップ34までの動作は、上記実施例1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0050】
ステップ37において、給水弁3をオンした以降にドア15を開閉したかどうかを判断し、ドア15を開閉されると、新たな食器類の追加(お皿、お椀等に水道水による予備洗浄をした残水が残っている可能性が高い)や熱伝導によるタイムラグの影響がでるため、正確な温度上昇値が測定できなくなる。したがって、ドア15が開けられた場合は、ステップ31へ進み、排水ポンプ10をオンして洗浄槽1内の洗浄水を排水し、再度給水を行うことで、温度上昇値の変化による誤検知を防ぎ、確実に給湯を行うことができる。
【0051】
なお、本実施例では、ドア15が開けられた場合に、洗浄槽1内の洗浄水を排水し、再度給水を行うようにしているが、一時停止スイッチ(図示せず)により一時停止した場合にも、熱伝導のタイムラグの影響を受けるため、同じ判断を行えば、同様の効果を得ることができる。
【0052】
(実施例5)
図1における制御手段19は、食器類2の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、サーミスタ9により単位時間当たりの雰囲気温度の傾きを検知し、雰囲気温度の傾きが所定値以下になるまでに再運転を開始した場合は、洗浄槽1内の水温をサーミスタ9により検知せずに、前回の温度上昇値を基にして滞留水の有無を判断するようにしている。他の構成は上記実施例1と同じである。食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、サーミスタにより、
上記構成において、図9を参照しながら洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作中とその後の温度について説明する。
【0053】
図9において、食器洗い機が設置されている雰囲気温度をT(通常20℃)とすると、曲線Lに示すように、洗浄行程の開始により洗浄槽1の水温はピーク値が約57℃まで上昇し、すすぎ行程(すすぎ1、すすぎ2、すすぎ3、加熱すすぎ行程)にて最高温度80℃にまで達する。乾燥行程の後、運転が終了すると、徐々に温度は低下し、約3時間(Yの時点)後に元の雰囲気温度Tに戻る。
【0054】
特に、運転終了1時間位(Xの時点)までは、洗浄槽1内にこもった高温の熱量が放出されるため、この頃に再度運転したとすると、洗浄槽1の残熱が給湯の温度上昇検知の妨げとなり、高温の給湯がされているのにも関わらず、水温が低いと判断され、排水してしまう場合がある。
【0055】
つぎに、図10を参照しながら本実施例の動作を説明する。なお、ステップ20からステップ34までの動作は上記実施例1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0056】
ステップ40において運転が終了すると、ステップ41へ進み、単位時間当たりの検知温度の傾きdTe/dteを測定し、この値をTeに入力する。ステップ42に進み、温度の傾きが1℃より高いと判断した場合はステップ44へ進み、再運転を開始するとステップ45に進み、前回の第1の水温Taを今回の第1の水温Taに入力する。同様に、ステップ46でも前回の第2の水温Tbを今回の第2の水温Tbに入力し、ステップ28へ進む。
【0057】
ここで、前回の結果を使用するのは、洗浄槽1の温度が高いため、しきい値よりも高い温度の給湯しているのにも関わらず、排水するといった誤判断を防止するためであり、残熱に影響を受けることなく、確実に給湯を行うことができる。
【0058】
ステップ42で、Teが1℃以下になれば、洗浄槽1の温度が低下し、水温検知可能であると判断し、ステップ43へ進み、再運転開始を待ち、ステップ20以降、上記実施例1と同様に動作する。
【0059】
(実施例6)
図1における制御手段19は、検知した温度上昇値が所定の範囲(たとえば、10K)を越える場合は、温度上昇値が所定値より低いと判断するようにしている。他の構成は上記実施例例1と同じである。
【0060】
上記構成において図11を参照しながら動作を説明する。なお、ステップ20からステップ27までの動作およびステップ29からステップ34までの動作は、上記実施例1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0061】
ステップ47において、第1の水温Taから第2の水温Tbまでの温度上昇値Tb−Taの絶対値をとり、それをTzに入力する。ステップ48に進み、Tzが10K以下であればステップ49へ進み、上記実施例1と同様に、第1の水温Taに5をプラスしてしきい値をTcとする。
【0062】
ステップ48で、Tzが10Kよりも高い場合は、ノイズ等の外乱により、制御手段19を構成するマイクロコンピュータまたは記憶手段18の値が書き変わったと判断して、ステップ31へ進み、排水ポンプ10をオンして洗浄槽1内の洗浄水を排水し、再度給水を行うことで、温度測定中にノイズ等の外乱の影響によりデータが書き変わってしまった場合でも、確実に給湯を行うことができる。
【0063】
(実施例7)
図1における制御手段19は、食器類2の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、所定時間(たとえば、20分)内に再運転を開始した場合は、洗浄水内の水温をサーミスタ9により検知せずに、温度上昇値が所定値より高いと判断するようにしている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0064】
上記構成において図12を参照しながら動作を説明する。なお、ステップ20からステップ34までの動作は、上記実施例1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0065】
ステップ50において運転が終了すると、ステップ51にてタイマー計測を開始し、ステップ52において、経過時間thが20分未満であれば、前回の運転直後であり、配管に滞留水はないと判断し、ステップ54に進み、再運転が開始されるとステップ55に進み、給水弁3をオンして給湯する。ステップ56で水位センサ7により洗浄水位を検知すれば、ステップ57に進み給水弁3をオフし、ステップ30に進み、洗浄行程に移行する。
【0066】
ステップ52において、経過時間thが20分以上であればステップ53に進み、経過時間thが3時間以上過ぎていた場合は、洗浄槽1の温度が雰囲気温度に戻っていると判断してステップ20へ進む。
【0067】
ステップ53において、経過時間thが3時間未満であれば、洗浄槽1の温度が雰囲気温度に戻っていないので、正確な温度上昇検知はできないと判断して、ステップ31に進み、ステップ31へ進み、排水ポンプ10をオンして洗浄槽1内の洗浄水を排水し、再度給水を行うことで、確実に給湯を行うことができる。
【0068】
なお、本実施例では、運転終了後、所定時間(20分)内に再運転を開始した場合に、洗浄水内の水温をサーミスタ9により検知せずに、温度上昇値が所定値より高いと判断するようにしているが、実際には、乾燥行程が入る場合があるので、最終給湯後からの経過時間としてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、給湯器に接続可能な食器洗い機において、食器類を収納する洗浄槽と、前記洗浄槽に給水する給水手段と、洗浄水を食器類に向けて噴出する洗浄ノズルと、前記洗浄槽に溜められた洗浄水を洗浄ノズルに送り込む洗浄手段と、前記洗浄槽内の洗浄水の水位を検知する水位検知手段と、前記洗浄槽内の洗浄水を洗浄槽外に排出する排水手段と、洗浄水を加熱する加熱手段と、前記洗浄槽内の洗浄水の水温を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段により検知した水温を記憶する記憶手段と、前記食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の動作を逐次制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、初期の給水開始から所定時間後に洗浄槽内の第1の水温を前記温度検知手段により検知し、さらに、前記水位検知手段により洗浄水位検知後から所定時間後に、洗浄槽内の第2の水温を前記温度検知手段により検知し、この第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より低い場合は洗浄槽内の洗浄水を排水し、再度給水を行い、前記温度上昇値が前記所定値より高い場合は排水せずに洗浄行程に移行するようにしたから、初回に給湯が行われている場合は、第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より高くなり、そのまま洗浄をすることができ、滞留水がある場合には、第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より低くなるため、排水して配管内の滞留水を除去することができ、給湯を無駄に捨てることなく運転時間を短縮することができる。
【0070】
また、請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、初期の給水開始時に温度検知手段により雰囲気温度を検知し、雰囲気温度に応じて所定値を補正するようにしたから、雰囲気温度の影響を受けずに、正確に滞留水の有無を検知することができる。
【0071】
また、請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、初期給水開始から水位検知手段により洗浄水位検知までの時間を測定し、洗浄水位検知までの時間に応じて所定値を補正するようにしたから、給水手段の給水流量の差による熱伝導のタイムラグの影響を受けずに、正確に滞留水の有無を検知することができる。
【0072】
また、請求項4に記載の発明によれば、食器類の出し入れを行うドアと、前記ドアの開閉状態を検知するドア開閉検知手段とを備え、制御手段は、初期の給水開始から第2の水温を検知するまでの間にドアが開けられたことをドア開閉検知手段により検知した場合は、洗浄槽内の洗浄水を排水し、再度給水を行うようにしたから、食器類の追加されたり、給水の一時停止による熱伝導のタイムラグにより温度上昇値が変化し、この温度上昇値の変化による誤検知を防ぎ、確実に給湯を行うことができる。
【0073】
また、請求項5に記載の発明によれば、制御手段は、食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、温度検知手段により単位時間当たりの雰囲気温度の傾きを検知し、雰囲気温度の傾きが所定値以下になるまでに再運転を開始した場合は、洗浄槽内の水温を前記温度検知手段により検知せずに、前回の温度上昇値を基にして滞留水の有無を判断するようにしたから、連続運転時は、前回の温度上昇値を使って滞留水の有無を判断するので、残熱に影響を受けることなく、確実に給湯を行うことができる。
【0074】
また、請求項6に記載の発明によれば、制御手段は、検知した温度上昇値が所定の範囲を越える場合は、温度上昇値が所定値より低いと判断するようにしたから、温度測定中にノイズ等の外乱の影響によりデータが書き変わってしまった場合でも、確実に給湯を行うことができる。
【0075】
また、請求項7に記載の発明によれば、制御手段は、食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、所定時間内に再運転を開始した場合は、洗浄水内の水温を温度検知手段により検知せずに、温度上昇値が所定値より高いと判断するようにしたから、前回運転後の所定時間内であれば給湯器からの配管に滞留水はないので、連続運転時の誤検知を防ぎ、確実に給湯を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の食器洗い機のシステム構成図
【図2】 同食器洗い機の初期給水行程時の洗浄槽内の検知水温の特性図
【図3】 同食器洗い機の給水行程時の洗浄槽内の状態を示す要部断面図
【図4】 動食器洗い機の動作フロチャート
【図5】 本発明の第2の実施例の食器洗い機の初期給水中の雰囲気温度と洗浄槽内の温度上昇値の特性図
【図6】 同食器洗い機の動作フロチャート
【図7】 本発明の第3の実施例の食器洗い機の給水完了迄の時間と温度上昇値の特性図
【図8】 本発明の第4の実施例の食器洗い機の動作フロチャート
【図9】 本発明の第5の実施例の食器洗い機の検知温度のを示すタイムチャート
【図10】 同食器洗い機の動作フロチャート
【図11】 本発明の第6の実施例の食器洗い機の動作フロチャート
【図12】 本発明の第7の実施例の食器洗い機の動作フロチャート
【図13】 従来の食器洗い機のシステム構成図
【図14】 同食器洗い機の動作フロチャート
【符号の説明】
1 洗浄槽
2 食器類
3 給水弁(給水手段)
4 洗浄ノズル
5 洗浄ポンプ(洗浄手段)
7 水位センサ(水位検知手段)
8 ヒータ(加熱手段)
9 サーミスタ(温度検知手段)
10 排水ポンプ(排水手段)
18 記憶手段
19 制御手段

Claims (7)

  1. 給湯器に接続可能な食器洗い機であって、食器類を収納する洗浄槽と、前記洗浄槽に給水する給水手段と、洗浄水を食器類に向けて噴出する洗浄ノズルと、前記洗浄槽に溜められた洗浄水を洗浄ノズルに送り込む洗浄手段と、前記洗浄槽内の洗浄水の水位を検知する水位検知手段と、前記洗浄槽内の洗浄水を洗浄槽外に排出する排水手段と、洗浄水を加熱する加熱手段と、前記洗浄槽内の洗浄水の水温を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段により検知した水温を記憶する記憶手段と、前記食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の動作を逐次制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、初期の給水開始から所定時間後に洗浄槽内の第1の水温を前記温度検知手段により検知し、さらに、前記水位検知手段により洗浄水位検知後から所定時間後に、洗浄槽内の第2の水温を前記温度検知手段により検知し、この第1の水温、第2の水温間の温度上昇値が所定値より低い場合は洗浄槽内の洗浄水を排水し、再度給水を行い、前記温度上昇値が前記所定値より高い場合は排水せずに洗浄行程に移行するようにした食器洗い機。
  2. 制御手段は、初期の給水開始時に温度検知手段により雰囲気温度を検知し、雰囲気温度に応じて所定値を補正するようにした請求項1記載の食器洗い機。
  3. 制御手段は、初期給水開始から水位検知手段により洗浄水位検知までの時間を測定し、洗浄水位検知までの時間に応じて所定値を補正するようにした請求項1記載の食器洗い機。
  4. 食器類の出し入れを行うドアと、前記ドアの開閉状態を検知するドア開閉検知手段とを備え、制御手段は、初期の給水開始から第2の水温を検知するまでの間にドアが開けられたことをドア開閉検知手段により検知した場合は、洗浄槽内の洗浄水を排水し、再度給水を行うようにした請求項1記載の食器洗い機。
  5. 制御手段は、食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、温度検知手段により単位時間当たりの雰囲気温度の傾きを検知し、雰囲気温度の傾きが所定値以下になるまでに再運転を開始した場合は、洗浄槽内の水温を前記温度検知手段により検知せずに、前回の温度上昇値を基にして滞留水の有無を判断するようにした請求項1記載の食器洗い機。
  6. 制御手段は、検知した温度上昇値が所定の範囲を越える場合は、温度上昇値が所定値より低いと判断するようにした請求項1記載の食器洗い機。
  7. 制御手段は、食器類の洗浄、すすぎ、乾燥行程の一連の逐次動作終了後、所定時間内に再運転を開始した場合は、洗浄水内の水温を温度検知手段により検知せずに、温度上昇値が所定値より高いと判断するようにした請求項1記載の食器洗い機。
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