JP3660486B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肌の色相を補正して透明感のある明るさを付与し、自然で美しく仕上げることができ、しかも使用感に優れた素肌感覚の化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年メークアップに関し、特に10代後半から20代前半の女性には素肌っぽい仕上がりが好まれる傾向にあり、肌の色相を美しく変化させ、しかも自然で素肌っぽい仕上がりが得られる化粧料が求められている。
【0003】
従来のメークアップ化粧料、例えばファンデーション等には、酸化チタン、酸化鉄等の着色顔料が配合されている。これらの着色顔料は隠蔽力が高いため、これを含有する化粧料を肌に塗布すると、肌の色相を調整することができる。
【0004】
しかしながら、着色顔料の隠蔽力は光の散乱によるものであるため、これを多量に配合すると、シミ、そばかす等は隠れるものの仕上がりにおいて透明感に欠け、素肌っぽい自然な仕上がりは得られない。
【0005】
一方、着色顔料を全く配合しない場合には、光の散乱がないため、透明感は増すものの、肌の色相を変化させることはできない。そこで素肌感と肌の色相の調整の両立を実現するために着色顔料の量を最適化するという方法がとられていた。
【0006】
しかしながら、着色顔料を混合することによる色相のコントロールは基本的に減法混色に基づくものであるために、色を重ねることにより彩度が低下してしまう。このため、この方法では色相は調整できても色がくすんでしまい、明るさに欠け、充分な透明感を得ることができないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、肌の色相を補正し、しかも透明感のある明るさを付与することにより仕上がりが自然で美しく、使用感も良好な素肌感覚の化粧料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実状において、本発明者は鋭意研究を行った結果、特定の色差を有する粉体と着色顔料を配合することにより、肌の色相を補正し、しかも透明感のある明るさが付与されるために自然で美しい仕上がりの化粧料が得られることを見出し本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(A)及び(B)
(A):粉体を黒色の合成皮革上に8mg/100cm2均一塗布し、これを入射光角45°、受光角−45°及び−20°で測色したとき、CIE1976L*a*b*表色系により規定される2つの干渉色(L45,45 * ,a45,45 * ,b45,45 *)及び(L45,20 * ,a45,20 * ,b45,20 *)について、下記式:
ΔE=〔(L45,45 *−L45,20 *)2+(a45,45 *−a45,20 *)2+(b45,45 *−b45,20 *)2〕0.5
により求めた色差(ΔE)が20.3〜32.3である、雲母の表面を酸化チタン及び酸化鉄の混合物の粒子で被覆した平均粒径5〜12μmの粉体 0.1〜30重量%
(B):着色顔料(酸化鉄・酸化チタン焼結有色顔料を除く) 0.5〜4.0重量%
を含有し、外観色がマンセル表色系において、色相5R〜10YR、明度3.0〜8.5、彩度1.5〜10.0の範囲内にあることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0010】
なお、従来、ファンデーション等にパール粉体を配合することは行われているが、この場合には、パール独特の光沢感からギラツキ感を生じてしまい、仕上がり感が悪くなってしまったり、観測角度によってそのパール感や干渉による色調が変化してしまうことがある。これは、従来用いられているパール粉体は、干渉色が光の入射角に対して方向性があり、正反射近傍で強く発現し、その他の方向ではほとんど観測できないためである。
【0011】
これに対し、本発明で用いる(A)成分の粉体は、観測角度による色調変化の少ない、すなわち、正反射近傍のみで干渉色を生ずるのではなく、広範囲において干渉色を観測できるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる(A)成分の粉体の色差(ΔE)を求めるには、まず粉体を黒色の合成皮革上に8mg/100cm2とり、スポンジを使用し合成皮革に軽くこするようにして均一に塗布する。これを、例えば変角分光測定システム(村上色材技術研究所製,GCMS−3)を用い、入射光角45°、受光角−45°及び−20°で測色する。このときの2つの干渉色をCIE1976L*a*b*表色系で規定し、入射光角45°、受光角−45°のときを(L45,45 *, a45,45 *, b45,45 *)、入射光角45°、受光角−20°のときを(L45,20 *, a45,20 *, b45,20 *)とし、これらを用い、前記式よりΔEを求めることができる。なお、このような測定に使用される黒色の合成皮革は、同様にして求められるΔEが7以下のものである。
【0013】
(A)成分の粉体は、このようにして求められるΔEが20.3〜32.3のものである。20.3未満では、肌の色相は変化するものの透明感がなくなってしまい、32.3を超えるものでは、肌を見る角度によって色相が大きく変化し、異和感を生じる。
【0014】
(A)成分の粉体の粒径は、5〜12μmのものが、使用感が良好で、かつギラツキ感を低減することができ好ましい。
【0015】
また、(A)成分の粉体としては、母粉体を金属酸化物粒子で被覆したものが好ましい。この母粉体としては、金属酸化物粒子で被覆されることにより干渉色を発するものが好ましく、雲母を酸化チタン及び酸化鉄の混合物で被覆したものが好ましい。また、酸化チタンと酸化鉄の混合物を用いて被覆する場合には、酸化チタンがルチル型であり、スズを含まないのが好ましい。なお、母粉体を金属酸化物粒子で被覆する方法は特に制限されず、通常の方法に従って行うことができる。
【0016】
また、母粉体の表面を被覆する金属酸化物粒子の光学的厚みをコントロールすることにより、様々な色調をつくりだすことが可能である。そして、例えば干渉色が青〜紫色系を示す粉体は、肌に透明感を与え、干渉色が緑色系を示す粉体は、くすんだ色にならず、肌の赤みを抑え、干渉色がオレンジ〜赤色系を示す粉体は、肌を健康的に見せ、肌のくすみを隠すことが可能となる。
【0017】
更に、(A)成分として、2種以上の粉体を組合わせて用いることにより、様々な色調をつくりだすことも可能である。なお、2種以上の粉体を組合わせて使用する場合には、混合後の粉体のΔEが20.3〜32.3であるのが好ましい。
【0018】
また、(A)成分の粉体は、その表面が疎水化処理されていることが、耐光性の面から好ましい。なお、疎水化処理により、ΔEが変化する場合があるが、処理後のΔEが20.3〜32.3のものであれば、好適に使用することができる。
【0019】
疎水化処理は、疎水化処理剤を用いて行われ、該疎水化処理剤としては、シリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などが挙げられる。
【0020】
シリコーン油としては、通常の化粧料等に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、メチルポリシロキサンエマルジョン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、フェノール変性シリコーン等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸金属塩としては、特に炭素数12〜18のものが好ましく、またそれらの塩としては、例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等の塩が挙げられ、特にアルミニウム塩が好ましい。従って脂肪酸金属塩のうち好ましいものとしては、アルミニウムモノステアレート、アルミニウムジステレート、アルミニウムモノオレエート、アルミニウムモノパルミテート、アルミニウムモノラウレート等が例示されるが、これらの例に限定されない。
【0022】
アルキルリン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩としては、次の一般式(1)又は(2)で表されるものが挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】
〔式中、R1 、R2 及びR3 は炭素数1〜45の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、X1 、X2 及びX3 は水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウムを示す。〕
【0025】
上記一般式(1)及び(2)中、R1 〜R3 で示される炭化水素基は、炭素数1〜45のものであるが、特に炭素数8以上のものが望ましい。炭素数8未満であると、そのアルキルリン酸金属塩が粘着性を示し、滑沢性、延展性が低下するおそれがある。かかる炭化水素基としては、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ヘントリアコンチル、ドトリアコンチル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ドデセニル、ウンデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘンエイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル、ノナコセニル、トリアコンテニル、ヘントリアコンテニル、ドトリアコンテニル、オクタジエニル、ノナジエニル、デカジエニル、ドデカジエニル、ウンデカジエニル、トリデカジエニル、テトラデカジエニル、ペンタデカジエニル、ヘキサデカジエニル、ヘプタデカジエニル、オクタデカジエニル、ノナデカジエニル、エイコサジエニル、ヘンエイコサジエニル、ドコサジエニル、トリコサジエニル、テトラコサジエニル、ペンタコサジエニル、ヘキサコサジエニル、ヘプタコサジエニル、オクタコサジエニル、ノナコサジエニル、トリアコンタジエニル、ヘントリアコンタジエニル、ドトリアコンタジエニル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルウンデシル、2−デシルテトラデシル、2−ウンデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル基等が挙げられる。また、上記一般式(1)及び(2)中、X1 〜X3 で示されるアルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、X1 〜X3 で示されるアンモニウムとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、アルギニン等のアミンから導かれるものが挙げられる。
【0026】
一般式(1)又は(2)で表されるアルキルリン酸又はその塩の具体例としては、ジセチルリン酸、モノラウリルリン酸、モノラウリルリン酸のナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩、ジセチルリン酸のナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩等が挙げられる。
【0027】
N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸を構成する塩基性アミノ酸としては、α,γ−ジアミノ酪酸、オルニチン、リジン、アルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。これらは光学活性体であってもラセミ体であってもよい。長鎖脂肪族アシル基としては炭素数8〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アシル基が挙げられ、単一鎖長のものであっても混合鎖長のものであってもよい。具体的には、2−エチルヘキサノイル、カプリロイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、イソステアロイル、オレオイル、ベヘノイル、ココイル、牛脂脂肪酸アシル、硬化牛脂脂肪酸アシル等が挙げられる。長鎖アシル基の塩基性アミノ酸ヘの結合部位は、α位のアミノ基あるいはω位のアミノ基であるが、アルギニン及びヒスチジンにおいてはα位のアミノ基に限定される。具体例としては、Nε−2−エチルヘキサノイルリジン、Nε−ラウロイルリジン、Nε−ココイルリジン、Nε−パルミトイルリジン、Nε−イソステアロイルリジン、Nε−硬化牛脂脂肪酸アシルリジン、Nα−カプリロイルリジン、Nα−ラウロイルリジン、Nα−ミリストイルリジン、Nα−オレオイルリジン、Nα−ベヘノイルリジン、Nδ−ココイルオルニチン、Nδ−ステアロイルオルニチン、Nδ−牛脂脂肪酸アシルオルニチン、Nα−エチルヘキサノイルオルニチン、Nα−ラウロイルオルニチン、Nα−イソステアロイルオルニチン、Nγ−パルミトイル−α,γ−ジアミノ酪酸、Nα−牛脂脂肪酸アシル−α,γ−ジアミノ酪酸、Nα−カプロイルアルギニン、Nα−ラウロイルアルギニン、Nα−パルミトイルアルギニン、Nα−硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニン、Nα−ココイルヒスチジン、Nα−イソステアロイルヒスチジン等が挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0028】
パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物としては、例えば次の一般式(3)
【0029】
(CmF2m+1CnH2nO)yPO(OH)3-y (3)
〔式中、mは4〜14の整数を示し、nは1〜12の整数を示し、yは1〜3の整数を示す。〕
【0030】
で表されるパーフルオロアルキルリン酸(米国特許第3632744号明細書)、フルオロアルキルジ(オキシエチル)アミンリン酸エステル(特開昭62-250074号公報)、パーフルオロアルキル基を有する樹脂(特開昭55-167209号公報)、四フッ化エチレン樹脂、パーフルオロアルコール、パーフルオロエポキシ化合物、スルホアミド型フルオロリン酸、パーフルオロ硫酸塩、パーフルオロカルボン酸塩、パーフルオロアルキルシラン(特開平2-218603号公報)等が挙げられる。
【0031】
粉体を疎水化処理する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下に示す方法が挙げられる。
【0032】
粉体のシリコーン油による処理は、例えばシリコーン油の一種又は二種以上を適量のヘキサン等に溶解したものに粉体を分散させ、溶剤留去後100〜200℃で2〜10時間処理し、その後乾燥することにより行うことができる。
【0033】
粉体のアルキルリン酸又はその塩による処理は、一般式(1)又は(2)中のX1 とX2 、又はX3 が水素である場合、例えばアルキルリン酸をイソプロピルアルコール、ヘキサン等の溶剤で溶解したものに粉体を分散させ、50℃〜70℃で1〜3時間処理し、溶剤留去後乾燥することにより行うことができる。また一般式(1)又は(2)中のX1 、又はX2 とX3 が水素以外である場合(アルカリ金属又はアンモニウムである場合)は、例えばアルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩を水に溶解したものに粉体を分散させ、50〜70℃で1〜3時間処理し、その後適当な酸で中和した後、熱時濾過し、エタノール水溶液で洗浄後、乾燥することにより行うことができる。
【0034】
また、粉体をN−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸で処理する方法としては乾式法及び湿式法のいずれの方法も用いることができる。乾式法は簡便かつ効果的であって、N−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸の微細粉末を粉体と撹拌混合するか、もしくはN−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸と粉体を混合した後、共粉砕することによって、粉体の表面を容易に処理できる。湿式法は、N−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸が中性付近の水及び通常の油にほとんど溶解しないため、塩化カルシウムを可溶化剤として用いてN−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸を有機溶剤に溶解した後、粉体を接触させ、更に水洗して塩化カルシウムを除去して乾燥することにより、粉体の表面を処理できる。あるいは酸性もしくはアルカリ性の水又は水性溶媒中にN−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸を溶解して粉体を接触させた後、中性付近まで中和して粉体表面にN−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸を析出付着させ、中和によって生じた塩を水洗により除去し、乾燥することによっても同様の表面処理ができる(特開昭61-7202号公報、特開昭61-10503号公報)。
【0035】
粉体に対する疎水化処理剤の処理量は、0.05〜20重量%、特に2〜10重量%が、十分な疎水性、良好な感触及び耐光性が得られ好ましい。
【0036】
このようにして得られる(A)成分は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、全組成中に0.1〜30重量%配合されるが、0.5〜25重量%、特に1.0〜20重量%配合されるのが好ましい。0.1重量%未満では外観色を変化させることができず、30重量%を超えると明るさが強くなりすぎ透明感に欠け、自然な仕上がりが得られない。
【0037】
本発明で用いられる(B)成分の着色顔料としては、通常の化粧料等に用いられるものであれば特に制限されず、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、水酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、コバルトチタン、群青、紺青等が挙げられる。また、焼結等によりこれらを2種又は3種以上複合化したものを用いてもよい。
これらの着色顔料は、平均粒径が0.1〜1.0μm、特に0.2〜0.5μmであるのが好ましい。
【0038】
(B)成分の着色顔料は、その表面を通常用いられる疎水化処理剤を用いて疎水化処理したものであってもよい。疎水化処理剤及び疎水化方法としては、(A)成分と同様のものが挙げられる。
【0039】
本発明の化粧料において、(B)成分の着色顔料は1種又は2種以上を組合せて用いることができ、全組成中に0.5〜4.0重量%配合されるが、1.0〜3.9重量%、特に2.0〜3.7重量%配合されるのが好ましい。0.5重量%未満では肌の色相を変化させることはできず、4.0重量%を超えると、透明感に欠け、素肌っぽい自然な仕上がりが得られない。
【0040】
本発明の化粧料には、前記の必須成分である(A)成分及び(B)成分のほか、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合される成分、例えば各種オイル、界面活性剤、水溶性高分子、他の粉体、保湿剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、色素、無機塩又は有機塩、香料、キレート剤、pH調整剤、水等を配合することができる。
【0041】
オイルとしては、例えば流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツロウ、カルナウバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級アルコール、脂肪酸、高級脂肪酸、エステル油、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、ホホバ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等の化粧品に汎用される油分が用いられる。
【0042】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸石鹸で代表されるアニオン性界面活性剤;及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の化粧品に汎用される界面活性剤が用いられる。
【0043】
水溶性高分子としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等の化粧品に汎用される水溶性高分子が用いられる。
【0044】
他の粉体としては、例えばタルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、含水珪酸、無水珪酸、酸化マグネシウム、ベントナイト、ゼオライト、セラミクスパウダー、水酸化アルミニウム等の無機粉体;ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、四フッ化エチレンパウダー微結晶性セルロース、コメデンプンラウロイルリジン等の有機粉体;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の界面活性剤金属塩粉体;酸化チタンコーティング雲母、酸化チタンコーティングオキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーティングタルク、魚鱗箔、着色酸化チタンコーティング雲母等のパール顔料;アルミニウムパウダー、ステンレスパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末等の化粧品に汎用される粉体、及びシリコン又はフッ素化合物で処理された粉体が用いられる。
【0045】
保湿剤としては、例えばソルビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の化粧品に汎用される保湿剤が用いられる。防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の化粧品に汎用される防腐剤が用いられる。薬剤としては、例えばビタミン類、生薬、消炎剤、殺菌剤等の化粧品に汎用される薬剤が用いられる。紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の化粧品に汎用される紫外線吸収剤が用いられる。
【0046】
色素としては、例えば赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール色素;カルミン酸、ラッカイン酸、ブラジリン、クロシン等の天然色素等の化粧品に汎用される色素が用いられる。
【0047】
無機塩又は有機酸塩としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸;ギ酸、酢酸、ソルビン酸等のカルボン酸;又はサリチル酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアルミニウム塩が挙げられる。
【0048】
好ましい無機塩又は有機酸塩の具体例としては、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、硝酸カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アルミニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられ、特に硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムが好ましい。
【0049】
これらの無機塩又は有機酸塩は、塩の状態で化粧料組成中に配合しても良いが、化粧料製造時に対応する酸物質及び塩基物質を、塩を形成するのに必要な化学量論的量加え、製造してもよい。
また、水は任意の量で配合することができる。
【0050】
本発明の化粧料は、その外観色が肌色、すなわちマンセル表色系において、色相5R〜10YR、明度3.0〜8.5、彩度1.5〜10.0の範囲内であり、好ましくは色相5R〜10YR、明度5〜8、彩度2.5〜5.2の範囲内、特に色相2.0YR〜9.0YR、明度5.2〜8.0、彩度2.7〜4.7の範囲内であるのが好ましい。
なお、本発明において、これらの色相、明度及び彩度は、JIS Z 8721(色の表示方法−三属性による表示)に従って求めたものである。
【0051】
本発明の化粧料は、前記のような外観色になるよう、通常の方法に従って製造することができ、例えば固型化粧料、乳化化粧料(油中水型、水中油型)、液状化粧料、油性化粧料等のいずれの剤型にもすることができ、特に乳化化粧料、更に油中水型乳化化粧料として好適である。
【0052】
【発明の効果】
本発明の化粧料は、肌色補正効果、すなわち、それぞれの人の肌の色をそのまま生かしつつ、肌の色相を変化させることにより透明感のある明るさを付与し、素肌をより美しい素肌に見せる効果に優れたものであり、自然で素肌っぽく、美しい仕上がりが得られるものである。
【0053】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、平均粒径はSK Laser Micron Sizer(セイシン企業製)で湿式にて測定した値である。
【0054】
試験例1
各種パール粉体を黒色の合成皮革上に8mg/100cm2均一塗布し、これを変角分光測定システム(村上色材技術研究所製,GCMS−3)を用い、入射光角45°、受光角−45°及び−20°で測色した。この測定値から、2つの干渉色(L45,45 *, a45,45 *, b45,45 *)及び(L45,20 *, a45,20 *, b45,20 *)の色差(ΔE)を前記式より求めた。この結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
実施例1〜6及び比較例1〜8(O/W型乳液状ファンデーション)
表2〜表7に示す組成のO/W型乳液状ファンデーションを、常法により製造し、これらのファンデーションを使用した際の仕上りを下記評価方法に従って評価した。この結果を表2〜表7に併せて示す。
【0057】
(評価方法)
専門パネラー10名により、顔にファンデーションを塗布したときの仕上り(明るさをもった透明感、自然な素肌感覚、肌色補正効果、美しさ、鏡で見る角度による肌色の違い、ギラツキ感のなさ、仕上りのきめ細かさ)について官能評価し、以下の基準で判定した。
判定基準:
◎:7名以上が良好と回答
○:4〜6名が良好と回答
△:2〜3名が良好と回答
×:1名以下が良好と回答
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
表2〜表7の結果から明らかなように、本発明品はいずれも肌色補正効果に優れると共に、明るい透明感があり、自然で素肌っぽく、しかも美しい仕上がりが得られるものであった。
Claims (5)
- 次の成分(A)及び(B)
(A):粉体を黒色の合成皮革上に8mg/100cm2均一塗布し、これを入射光角45°、受光角−45°及び−20°で測色したとき、CIE1976L*a*b*表色系により規定される2つの干渉色(L45,45 * ,a45,45 * ,b45,45 *)及び(L45,20 * ,a45,20 * ,b45,20 *)について、下記式:ΔE=〔(L45,45 *−L45,20 *)2+(a45,45 *−a45,20 *)2+(b45,45 *−b45,20 *)2〕0.5により求めた色差(ΔE)が20.3〜32.3である、雲母の表面を酸化チタン及び酸化鉄の混合物の粒子で被覆した平均粒径5〜12μmの粉体 0.1〜30重量%
(B):着色顔料(酸化鉄・酸化チタン焼結有色顔料を除く) 0.5〜4.0重量%
を含有し、外観色がマンセル表色系において、色相5R〜10YR、明度3.0〜8.5、彩度1.5〜10.0の範囲内にあることを特徴とする化粧料。 - (A)成分の粉体が、表面が疎水化処理されたものである請求項1記載の化粧料。
- (B)成分の着色顔料が、表面が疎水化処理されたものである請求項1又は2記載の化粧料。
- 乳化化粧料である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
- 油中水型乳化化粧料である請求項4記載の化粧料。
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