JP3563578B2 - くすみ肌色改善剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、素肌の質感を損なうことなく、素肌の持つ肌色のくすみを改善することができるくすみ肌色改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の化粧料、例えばメークアップ化粧料では血行不良や色素の沈着により加齢とともに感じられる肌色のくすみ(明度が低下し黄色の彩度が上昇した状態)をカバーするため、酸化チタンや酸化鉄などの隠蔽力の高い顔量を配合したり、ベンガラ、レーキ顔料や有機顔料などの赤色を加えて肌の色相を変化させることが行われている。
【0003】
しかしながら、隠蔽力の高い顔料を用いた場合には、時として不自然な印象を与えてしまうといった問題がある。これは、その方法が減法混色に基づく色相制御であるために生じるものであり、重ねる色剤が増えるほど化粧肌の明度及び彩度の低下や、化粧の厚ぼったさを引き起こし、透明感を失うことにより素肌特有の質感を損なってしまうことが原因である。
【0004】
また、化粧肌に適度な明度を与えるためには十分な量の白色顔料を必要とするが、このようにすると化粧感を強くさせ、白浮きなどの原因となっていた。
【0005】
さらに、これまで化粧肌色を積極的に変化させる場合、青色や緑色などの顔料が用いられてきたが、このような顔料は肌色領域から著しく逸脱している色であるため、塗布前の状態における化粧料の色は、このような顔料の色が大きく影響し、見た目に自分の肌色に合わせるには不自然な印象を与えていた。
【0006】
このように、従来のメークアップ化粧料では、外観色が自然である化粧料を用い、なおかつ自然に肌の色相を変化させて、くすみ肌色を改善することは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、素肌の質感を損なうことなく、素肌の持つ肌色のくすみを改善することができるくすみ肌色改善剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実状において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、従来使用されている減法混色の理論ではなく、加法混色の原理、つまり光を加えることによる混色の原理を応用し、塗布前に比べCIE1976L*a*b*表色系におけるb*を低下させることのできる粉体を用いることにより、素肌色の明度を低下させることなく、素肌感を損なわず自然に肌色のくすみを改善するくすみ肌色改善剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、雲母の表面を酸化チタンと酸化鉄の混合物で被覆するか、あるいは更にその表面を疎水化処理して得た平均粒径5〜12μmの粉体であって、該粉体を皮膚又は皮膚様の人工皮革からなる肌色下地上に8mg/100cm2となるように均一に塗布した際に、CIE1976L*a*b*表色系で規定される塗布前の測色値(LO *,aO *,bO *)及び塗布後の測色値(L1 *,a1 *,b1 *)から次式:ΔL*=L1 *−LO *、Δb*=b1 *−bO *により求めたΔL*及びΔb*が0.5<ΔL*<10、−30<Δb*<−0.5であり、青色から紫色領域の反射干渉光を有する粉体を含有するくすみ肌色改善剤を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる粉体は、前記式に従って求められる化粧肌色のΔL*、Δb*がそれぞれ0.5<ΔL*<10、−30<Δb*<−0.5のものである。ここで、これらの値を求めるには、まず粉体を塗布する前の皮膚あるいは皮膚様の合成皮革からなる下地の表面を、例えば分光測色計(ミノルタ(株)製、CM−1000)を用い測色する。次に粉体を下地上にとり、スポンジを使用して軽くこすりつけるようにして8mg/100cm2 となるように均一に塗布し、同様にこれを測色する。このとき得られる二つの測色値をCIE1976L*a*b*表色系で規定し、塗布前のものを(L0 *,a0 *,b0 *)、塗布後のものを(L1 *,a1 *,b1 *)とし、これらを用い、前記式よりΔL*、Δb*を求めることができる。なお、このような測定に使用される皮膚あるいは皮膚様の合成皮革は、同様にして求められる測色値L*=45〜85、a*=0〜30、b*=0〜30のもの、特にL*=55〜75、a*=5〜15、b*=15〜25のものが好ましい。
【0012】
さらに本発明のくすみ肌色改善剤は、上記粉体を含有する組成物と該組成物から該粉体のみを除いた媒質の外観色を測定し、CIE1976L*a*b*表色系で規定されるそれぞれの測色値を(L2 *,a2 *,b2 *)及び(L3 *,a3 *,b3 *)としたとき、次式:ΔE*ab=((L3 *−L2 *)2+(a3 *−a2 *)2+(b3 *−b2 *)2)0.5により求めた色差ΔE*abが20未満であるのが好ましく、特に15未満であるのがより好ましい。色差(ΔE*ab)が20以上のものでは媒質本来の色との差が大きくなり、また化粧料の外観色と素肌の色が大きく離れてしまい、素肌に塗布する際見た目に違和感を生じる。
【0013】
ここで、色差(ΔE*ab)を求めるには、粉体をまず体質顔料や油剤あるいは水などの媒質に加え、均一になるように分散させる。このとき、体質顔料などの粉体に分散させた際には、これを金皿に圧縮成型することによって得られた固形物の表面を、例えば分光測色計(ミノルタ(株)製、CM−1000)を用い測色する。また、油剤や水などの液体に分散させた際には、これを測定用セルに入れ、例えば測色計(日本電色工業(株)製、Σ−80)を用い測色する。このとき、当該粉体を含有しない場合(媒質のみ)も同様の手順により測色する。ここで得られた二つの測色値をCIE1976L*a*b*表色系で規定し、当該粉体を含有する場合を(L2 *,a2 *,b2 *)、含有しない場合を(L3 *,a3 *,b3 *)とし、これらを用い、前記式より色差(ΔE*ab)を求めることができる。
【0014】
本発明で母粉体の雲母を被覆する金属酸化物としては、酸化チタンと酸化鉄の混合物が使用される。この場合には、酸化チタンがルチル型であるのが好ましく、さらにスズを含まないのが好ましい。
【0015】
母粉体を金属酸化物粒子で被覆する方法は特に制限されず、通常の方法に従って行えば良い。
【0016】
また、母粉体の表面を被覆する金属酸化物粒子の光学的厚みをコントロールすることにより、様々な色調をつくりだすことが可能であるが、特に反射干渉光が青〜紫色系の干渉色を示す粉体が好ましい。さらに、2種以上の粉体を組み合わせて用いることも可能である。
【0017】
本発明で用いる粉体の粒径は、平均粒径が5μm〜12μmのものが、使用感が良好で、かつギラツキ感を低減し自然な印象を与えることができ好ましい。
【0018】
また、本発明で用いる粉体は、その表面を疎水化処理したものも用いることができる。なお、疎水化処理により、ΔL*、Δb*又はΔE*abが変化する場合があるが、処理後の各値が上記範囲内であれば、好適に使用することができる。
【0019】
なお、疎水化処理は、通常の方法に従い疎水化処理剤を用いて行うことができ、該疎水化処理剤としては、シリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などが挙げられる。
【0020】
シリコーン油としては、通常の化粧料等に用いられるものであれば特に制限されず、例えばジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサンエマルジョン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸金属塩としては、特に炭素数12〜18のものが好ましく、またそれらの塩としては例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等の塩が挙げられ、就中、特にアルミニウム塩が好ましい。
【0022】
アルキルリン酸あるいはそのアルカリ金属塩又はアミン塩としては、炭素数8〜45のアルキル又はアルケニル基を有するモノ又はジ−リン酸エステル、例えばジセチルリン酸、モノラウリルリン酸、モノラウリルリン酸のナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩、ジセチルリン酸のナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩等が挙げられる。
【0023】
N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸を構成する塩基性アミノ酸としては、α,γ−ジアミノ酪酸、オルニチン、リジン、アルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。これらは光学活性体であってもラセミ体であってもよい。長鎖脂肪族アシル基としては炭素数8〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖脂肪族アシル基であって、単一鎖長のものであっても混合鎖長のものであってもよい。
【0024】
パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物としては、例えば
【0025】
【化1】
【0026】
で表わされるパーフルオロアルキルリン酸(米国特許第3632744号)、フルオロアルキルジ(オキシエチル)アミンリン酸エステル(特開昭62−250074号公報)、パーフルオロアルキル基を有する樹脂(特開昭55−167209号公報)、四弗化エチレン樹脂、パーフルオロアルコール、パーフルオロエポキシ化合物、スルホアミド型フルオロリン酸、パーフルオロ硫酸塩、パーフルオロカルボン酸塩、パーフルオロアルキルシラン(特開平2−218603号公報)等が挙げられる。
【0027】
粉体に対する疎水化処理剤の処理量は、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%である。この範囲内においては、充分な疎水性、良好な感触及び耐光性が得られ好ましい。
【0028】
本発明のくすみ肌色改善剤には、上記の必須成分の他に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合される成分、例えば各種オイル、界面活性剤、水溶性高分子、他の粉体、保湿剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、色素、無機塩又は有機酸塩、香料、キレート剤、pH調整剤、水等を配合することができる。
【0029】
オイルとしては、例えば流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツロウ、カルナウバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級アルコール、脂肪酸、高級脂肪酸、エステル油、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、ホホバ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等の化粧品に汎用される油分が用いられる。
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸石鹸で代表されるアニオン性界面活性剤;及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の化粧品に汎用される界面活性剤が用いられる。
水溶性高分子としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等の化粧品に汎用される水溶性高分子が用いられる。
【0030】
他の粉体としては、例えばタルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、含水珪酸、無水珪酸、酸化マグネシウム、ベントナイト、ゼオライト、セラミクスパウダー、水酸化アルミニウム等の無機粉体;ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、四フッ化エチレンパウダー微結晶性セルロース、コメデンプンラウロイルリジン等の有機粉体;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の界面活性剤金属塩粉体;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、水酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、コバルトチタン、群青、紺青等の無機着色粉体;酸化チタンコーティング雲母、酸化チタンコーティングオキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーティングタルク、魚鱗箔、着色酸化チタンコーティング雲母等のパール顔料;アルミニウムパウダー、ステンレスパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末等の化粧品に汎用される粉体、及びシリコーン又はフッ素化合物で処理された粉体が用いられる。
【0031】
保湿剤としては、例えばソルビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の化粧品に汎用される保湿剤が用いられる。防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の化粧品に汎用される防腐剤が用いられる。薬剤としては、例えばビタミン類、生薬、消炎剤、殺菌剤等の化粧品に汎用される薬剤が用いられる。紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の化粧品に汎用される紫外線吸収剤が用いられる。
【0032】
色素としては、例えば赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール色素;カルミン酸、ラッカイン酸、ブラジリン、クロシン等の天然色素等の化粧品に汎用される色素が用いられる。
【0033】
無機塩又は有機酸塩としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸;ギ酸、酢酸、ソルビン酸等のカルボン酸;又はサリチル酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアルミニウム塩が挙げられる。
【0034】
好ましい無機塩又は有機酸塩の具体例としては、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、硝酸カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アルミニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられ、特に硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムが好ましい。
【0035】
これらの無機塩又は有機酸塩は、塩の状態で本発明組成物中に配合しても良いが、本発明組成物製造時に対応する酸物質及び塩基物質を、塩を形成するのに必要な化学量論的量加え、製造してもよい。
また、水は任意の量で配合することができる。
【0036】
本発明のくすみ肌色改善剤は、上記の必須成分である粉体をそのまま直接肌に塗布して使用することができるほか、種々の形態、例えば化粧水、乳液、クリーム等の基礎化粧料;粉白粉、固形白粉、フェイスパウダー、パウダーファンデーション、油性ファンデーション、クリーム状ファンデーション、リキッドファンデーション、コンシーラー、口紅、リップクリーム、頬紅等のメークアップ化粧料などとすることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明のくすみ肌色改善剤は、肌上に塗布することにより肌の色彩的な外観を変化させ、素肌の質感を損なうことなく自然に肌色のくすみを改善することができる。
【0038】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、平均粒径はSK LaserMicron Sizer(セイシン企業製)で湿式にて測定した値である。
【0039】
試験例1
各種粉体を皮膚(28歳男性前腕内側部)上に8mg/100cm2 となるように均一塗布し、塗布前後の表面を分光測色計(ミノルタ(株)製、CM−1000)を用いて、測色した。塗布前後の測色値(L0 *,a0 *,b0 *)及び(L1 *,a1 *,b1 *)のΔL*、Δb*を前記式より求めた。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
試験例2
各種粉体を合成皮革((株)ビューラックス製、バイオプレート)上に8mg/100cm2 となるように均一塗布し、塗布前後の表面を分光測色計(ミノルタ(株)製、CM−1000)を用いて、測色した。塗布前後の測色値(L0 *,a0 *,b0 *)及び(L1 *,a1 *,b1 *)のΔL*、Δb*を前記式より求めた。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
試験例3
紫色系パール剤(Mearl 社製、FLAMENCO SATIN VIOLET 560M)をジメチルポリシロキサンで疎水化処理を施したものについて、これを肌に塗布したときのくすみ感のなさ、明るさ、自然さ及び透明感を評価した。評価は、専門パネル20名により、各項目について、良いを5点、やや良いを4点、普通を3点、やや悪いを2点、悪いを1点として行い、20名の平均値を算出した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3の結果から明らかなように、本発明のくすみ肌色改善剤は、素肌のくすみを解消し、透明感が高く、明るく自然な仕上がりの得られるものであった。
【0046】
実施例1(W/O型乳液)
次に示す組成のW/O型乳液を下記製法により製造した。
【表4】
【0047】
(製法)
成分(1)〜(7)を加熱混合した後、成分(8)を加え、ディスパーで分散し油相部とする。他の成分を混合し70℃とし、この水相部を前述した油相部に徐々に攪拌しながら加えて予備乳化を行った後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後熱交換機によって30℃まで冷却する。
【0048】
比較例1(W/O型乳液)
実施例1において、成分(8)を紫色系顔料(マンガンバイオレット)に代える以外は同様にして乳液を製造した。
【0049】
比較例2(W/O型乳液)
実施例1において、成分(8)を含有しない以外は同様にして乳液を製造した。
【0050】
試験例4
実施例1、比較例1及び2で得られた乳液について、これを肌に塗布したときのくすみ感のなさ、明るさ、自然さ及び透明感を試験例3と同様に評価した。さらに、それぞれの外観色を分光測色計(日本電色工業(株)製、Σ−80)を用いて測色した。比較例2の値を(L3 *,a3 *,b3 *)、実施例1及び比較例1の値を(L2 *,a2 *,b2 *)とし、それぞれの色差(ΔE*ab)を前記式より求めた。結果を表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
表5の結果から明らかなように、本発明のくすみ肌色改善剤を含有した化粧料は素肌のくすみを解消し、透明感が高く、明るく自然な仕上がりの得られるものであった。
【0053】
実施例3(パウダーファンデーション)
次に示す組成のパウダーファンデーションを下記製法により製造した。
【表6】
【0054】
(製法)
成分(1)〜(8)を混合粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、さらに成分(9)〜(11)を80℃に混合溶解したものを加えて均一に混合する。この混合物に成分(12)を加え、混合した後再び粉砕しふるいを通す。これを金皿に圧縮成型する。
【0055】
実施例4(クリーム状ファンデーション)
次に示す組成のクリーム状ファンデーションを下記製法により製造した。
【表7】
【0056】
(製法)
成分(11)〜(14)を混合粉砕する。別に水相成分(7)〜(10)を混合した溶液を調製し、粉砕した顔料を加えて分散した後、75℃に加熱する。油相成分(1)〜(6)を80℃に加熱溶解したものを、先に調製した水相に攪拌しながら加え、乳化する。これを攪拌しながら冷却し、50℃で成分(15)を加え攪拌しながら冷却し、製品を得る。
【0057】
実施例5(粉白粉)
次に示す組成の粉白粉を下記製法により製造した。
【表8】
【0058】
(製法)
全成分を混合し、粉砕機を通して粉砕しふるいを通す。
【0059】
実施例6(固形白粉)
次に示す組成の固形白粉を下記製法により製造した。
【表9】
【0060】
(製法)
成分(1)〜(7)を混合粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、さらに成分(8)〜(10)を80℃に混合溶解したものを加えて均一に混合する。この混合物に成分(11)を加え混合した後再び粉砕しふるいを通す。これを金皿に圧縮成型する。
【0061】
実施例3〜6で得られたくすみ肌色改善剤を含有した化粧料は、肌に塗布する以前の状態で自然な見えを呈し、これを肌に塗布した際にはいずれも透明感が高く、素肌のくすみを改善することができるものであった。
Claims (5)
- 雲母の表面を酸化チタンと酸化鉄の混合物で被覆するか、あるいは更にその表面を疎水化処理して得た平均粒径5〜12μmの粉体であって、該粉体を皮膚又は皮膚様の人工皮革からなる肌色下地上に8mg/100cm2となるように均一に塗布した際に、CIE1976L*a*b*表色系で規定される塗布前の測色値(LO *,aO *,bO *)及び塗布後の測色値(L1 *,a1 *,b1 *)から次式:ΔL*=L1 *−LO *、Δb*=b1 *−bO *により求めたΔL*及びΔb*が0.5<ΔL*<10、−30<Δb*<−0.5であり、青色から紫色領域の反射干渉光を有する粉体を含有するくすみ肌色改善剤。
- 皮膚又は皮膚様の人工皮革からなる肌色下地の測色値がL*=45〜85、a*=0〜30、b*=0〜30である請求項1記載のくすみ肌色改善剤。
- 該粉体を含有する組成物と該組成物から該粉体のみを除いた媒質の外観色を測定し、CIE1976L*a*b*表色系で規定されるそれぞれの測色値を(L2 *,a2 *,b2 *)及び(L3 *,a3 *,b3 *)としたとき、次式:ΔE*ab=((L3 *−L2 *)2+(a3 *−a2 *)2+(b3 *−b2 *)2)0.5により求めた色差ΔE*abが20未満となる該粉体を含有する組成物である請求項1又は2記載のくすみ肌色改善剤。
- 粉体の表面が疎水化処理されたものである請求項1〜3のいずれか1項記載のくすみ肌色改善剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のくすみ肌色改善剤を塗布して、くすみ肌を改善する方法。
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