JP3660090B2 - 電気掃除機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、前側の集塵室用凹部と後側の送風機室用凹部とを区画する隔壁が上方に開放する下ケースに設けられていると共に、この隔壁に前記集塵室用凹部と送風機室用凹部壁連通させる通気穴が設けられた電気掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の電気掃除機としては、上方に開放する樹脂製の下ケースの幅方向に延び且つ前記下ケース内を前部の集塵室用凹部と後部の送風機室用凹部とに区画する隔壁が設けられ、前記隔壁に前記両凹部を連通させる多数の通気穴が設けられ、前記集塵室用凹部内に配設した二次フィルターが前記多数の通気穴を覆うように前記隔壁に保持されていると共に、前記集塵室用凹部が集塵室カバーで開閉可能に閉成され、前記送風機室用凹部が上ケースで閉成され、前記隔壁と上ケースとの間にシール部材が介装されたものが考えられている。
【0003】
この様な上ケース,下ケース,集塵室カバー等の製品は射出成形により形成されている。この射出成形では、通常、複数の成形用の金型を型締めすることにより、前記複数の金型間に製品用のキャビティを形成させて、溶融樹脂を前記キャビティに充填した後、金型に設けた冷却水通路に冷却水を流してキャビティ内の溶融樹脂を固化(凝固)させ、次に、前記複数の金型を型開きすることにより、前記キャビティの形状に形成される樹脂の射出成形製品を取り出す様にしているのが普通である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した下ケースの成形金型は、基本的には上金型と下金型とで構成される。しかし、下ケースの隔壁には前後に開口する通気穴が設けられているために、上述の上金型と下金型の外に、前記通気穴を形成するためのスライド機構を上金型に設ける必要があり、上金型が複雑になるという問題があった。
【0005】
しかも、このスライド機構を設けることで、このスライド機構を設けた部分に冷却水通路を設けることができず、隔壁の部分の固化にかかる時間が長くなり、一つの製品を成形するサイクルが長くなるという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、この様なスライド機構を設けていない金型で下ケースを形成可能な電気掃除機を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1の発明は、上方に開放する樹脂製の下ケースの幅方向及び上下方向に向けて延び且つ前記下ケース内を前部の集塵室用凹部と後部の送風機室用凹部とに区画する隔壁が設けられ、前記隔壁に前記両凹部を連通させる多数の通気穴が設けられていると共に、前記集塵室用凹部が集塵室カバーで開閉可能に閉成され、前記送風機室用凹部が上ケースで閉成され、前記隔壁と上ケースとの間にシール部材が介装された電気掃除機において、前記隔壁は左右に間隔をおいた左隔壁部及び右隔壁部と前記両隔壁部間を覆うフィルタ支持板から構成されていると共に、前記フィルタ支持板には前記左隔壁部及び右隔壁部の上部を支持するアーム部がそれぞれ設けられ、前記アーム部は前記下ケースの左右の側壁まで延設されている電気掃除機としたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は電気掃除機の掃除機本体を示したもので、1は掃除機本体のケース本体である。このケース本体1は、上方に開放する下ケース2、下ケース2の前部上方に配設された集塵室カバー3、下ケース2の後部上方に配設された上ケース4を有する。
【0014】
この下ケース2は、ポリプロピレン等の合成樹脂を成形金型で射出成形することにより形成されている。2aは下ケース2の底壁(図3,図5,図6,図7,図9等参照)、2b,2cは下ケース2の側壁(図2,図4,図5,図7,図8等参照)、2dは下ケース2の前壁、2eは前壁2dに設けられた集塵ホース接続口である。この下ケース2の前後方向の略中央には、その幅方向及び上下方向に向けて延びる隔壁5が設けられている。この隔壁5は、下ケース2内を前部の集塵室用凹部6と後部の送風機室用凹部7に区画している。尚、図5,図6において、2f,2gは、側壁2b,2cの集塵室用凹部6に対応する部分に形成されたシール受溝である。
【0015】
この集塵室用凹部6は集塵室カバー4で開閉可能に閉成され、送風機室用凹部7は上カケース3で閉成されている。そして、集塵室カバー3と集塵室用凹部6との間には集塵室8が形成され、上ケース4と送風機室用凹部7との間には送風機室9が形成され、送風機室9内には電動送風機10が配設されている。この電動送風機10の吸込側端部10aは筒状の弾性シール部材Sを介して下ケース2と上ケース4との間に保持されている。S1は弾性シール部材Sの前端に内方に向けて突設された設けられたフランジである。
【0016】
上述の隔壁5は、左右に分割形成された左隔壁部11及び右隔壁部12と、この隔壁部11,12の下部前面間に位置する下リブ13と、集塵室8内に配設される板状の二次フィルターを支持させる格子状のフィルタ支持板(格子板)14から構成されている。尚、集塵室8には、集塵ホース接続口2eに接続される集塵ホースの端部(図示せず)に連通される紙パックフィルター等の一次フィルタも配設される。
【0017】
この左隔壁部11は底壁2a及び側壁2bと一体に形成され、右隔壁部12は底壁2a及び側壁2cと一体に形成され、下リブ13は隔壁部11,12の下部及び底壁2aに一体に形成されている。しかも、この隔壁部11,12と下リブ13との間には、図6に示した様に切欠空間15が形成されている。
【0018】
また、左隔壁部11の前面(集塵室側の面)には底壁2aから上方に向けて延びる補強リブ16が左右に間隔をおいて一体に形成され、右隔壁部12の前面には底壁2aから上方に向けて延びる補強リブ17が左右に間隔をおいて一体に形成されている。この補強リブ16,17は隔壁部11,12の上端部近傍まで延びていると共に、補強リブ16,17の上端部には図3(a),図5(b),図7,図8に示した如く、上方に開放するアーム係止用の切欠16a,17aがそれぞれ形成されている。
【0019】
また、底壁2aには、下リブ13の直後方に位置させたリブ18が突設されていると共に、リブ18より後方に位置させたシール壁19が一体に設けられている。このリブ18及びシール壁19は下リブ13と平行に左右に延びている。しかも、シール壁19は、図9に示した様に、左右の側壁部19a,19bと、この側壁部19a,19bの下部間を連設する連設壁部19cから正面形状が略U字状に形成されている。そして、このシール壁19に弾性シール部材SのフランジS1が弾接させられている。しかも、このシール壁19の側縁は隔壁部11,12の左側縁に前後に延びる壁部W1,W2で連設されている。20は、リブ13,18間に形成された係合凹部である。また、フィルタ支持板14の下端部は係合凹部20に嵌着されている。
【0020】
上述したフィルタ支持板14は、下ケース2の樹脂材料とは異なるABS樹脂等を成形金型で射出成形することにより、下ケース2とは別体に形成したものである。この様にフィルタ支持板14にABS樹脂を用いることで、フィルタ支持板14はポリプロピレン製の下ケース2より硬質で剛性があると共に下ケース2より高い精度で形成することができる。
【0021】
このフィルタ支持板14の左右両側の上端部には、隔壁部11,12の上部を支持するアーム部21,22がそれぞれ設けられている。このアーム部21,22は、下ケース2の左右の側壁2a,2bまで延びている。しかも、アーム部21,22の下縁部には図5,図6,図12に示した様に前面及び下端に開放する係合凹部21c,22cが長手方向に間隔をおいて複数形成されている。この係合凹部21c,22cを設けることにより、アーム部21,22には薄肉の係合板部21d,22dが形成されている。そして、この係合板部21d,22dが隔壁部11,12と補強リブ16,17の切欠16a,17aとの間に係合保持されて、隔壁部11,12の上端部が前後方向に変形するのを阻止している。また、補強リブ16,17は係合凹部21c,22cの部分でもアーム部21,22を下方から支持している。
【0022】
このアーム部21,22の上縁部には断面形状がL字状で隔壁部11,12にそれぞれ臨む支持面21a,22aがシール受部として形成され、この支持面21a,22aと隔壁部11,12の上端部との間にはシール受溝21b,22bが形成されている。尚、14a,14bは、フィルタ支持板14の上端部に形成され且つシール受溝21b,22bに連設されたシール受溝である。しかも、フィルタ支持板14には、集塵室用凹部6と送風機室用凹部7とを連通させる多数の通気穴14cが設けられている。
【0023】
このシール受溝21b,22b,14a,14bにはゴム製のシール材23が保持されている。このシール材23は、集塵室用凹部6の上部開口端に沿って環状に形成されていて、側部が下ケース2のシール受溝2f,2gに嵌着保持され、前端部が下ケース2の前壁2dに嵌着保持されている。
【0024】
また、図10に示した様に、フィルタ支持板14の左右の側面14d,14dは隔壁部11,12の切欠空間15側端面に当接させられている。しかも、この側面14d,14dには上下に延び且つ隔壁部11,12の切欠空間15側の縁部後面に当接する係止突起24,24が形成され、フィルタ支持板14の左右側縁の下部には後方に突出し且つシール壁19の側壁部19a,19bに当接するシール壁変形阻止用の支持板部25,25が一体に形成され、フィルタ支持板14の左側縁の上部には後方に突出し且つ上ケース4のシール壁4aに当接するシール壁変形阻止用の支持板部25´が一体に形成されている。尚、シール壁4aはシール壁19に対向して上ケース4に設けられている。また、23aは、シール部材23と一体に設けられ且つシール壁19,4a間に介装されたシール部である。
【0025】
さらに、側面14d,14dの下端部には傾斜案内部14e,14eが設けられ、アーム部21,22には図6,図11(a)に示した様に切欠空間15側の補強リブ16,17に切欠空間15側とは反対側から当接する係止突部26,27がそれぞれ設けられている。この係止突部26,27の下端部には、切欠空間15側に位置させて傾斜案内部26a,27aが形成されている。
【0026】
次に、この様な構成の電気掃除機の各部品の組み付け及び各部の作用を説明する。
【0027】
即ち、先ず、フィルタ支持板14の下端部を壁部W1,W2間に挿入すると、フィルタ支持板14の側面が壁部W1,W2により規制されて、フィルタ支持板14の下端部が隔壁部11,12間に挿入される。この際、隔壁部11,12の上端部の間隔が下部間より狭い場合には、フィルタ支持板14の傾斜案内部14e,14eの作用により隔壁部11,12の間隔がフィルタ支持板14の側面14d,14d間の幅に広げられる。この作用は、下ケース2の底壁2aや側壁2b,2cを弾性変形させながら行われる。しかも、フィルタ支持板14の係止突起24,24が隔壁部11,12の後面に当接すると共に、フィルタ支持板14の支持板部25,25がシール壁19の側壁19a,19bにそれぞれ当接して、シール壁19の側壁19a,19bを支持する。
【0028】
この状態で、更にフィルタ支持板14を押し下げると、フィルタ支持板14の係止突部26,27が切欠空間15側の補強リブ16,17に切欠空間15とは反対側から当接する。この際、隔壁部11,12の上部間が下部間よりも広い場合には、係止突部26,27の傾斜案内部26a,27aが隔壁部11,12の間隔を狭めるほうこうに切欠空間15側の補強リブ16,17に当接して、隔壁部11,12の間隔が下部の間隔と同じとなるように矯正する。この作用も、下ケース2の底壁2aや側壁2b,2cを弾性変形させながら行われる。
【0029】
そして、更にフィルタ支持板14を下方に押し下げ、フィルタ支持板14の下端部をリブ13,18間すなわち係合凹部20に嵌着すると、アーム部21,22が補強リブ16,17の切欠16a,17aに係合させられて、隔壁部11,12が前後方向に変形しないように、隔壁部11,12の上縁部を支持し補強する。
【0030】
この補強は、フィルタ支持板14とアーム部21,22により下ケース2の全幅にわたって行われるので、隔壁部11,12の上端部(上縁部)を全幅に渡って補強できると共に、下ケース2の側壁2b,2cの補強を行うこともできる。この結果、隔壁部11,12を薄肉に形成できる
しかも、この状態では、フィルタ支持板14のアーム部21,22の支持面(シール受部)21a,22aと隔壁部11,12の上端部との間にシール受溝21b,22bが形成されと共に、このシール受溝21b,22bシール受溝14a,14bにそれぞれ連設される。この結果、隔壁部11,12を薄肉に形成しても、シール取付部としてのシール受部の幅を充分に確保できる。その上、隔壁部11,12は、補強リブ16,17で更に補強されているので、より薄肉にすることが可能である。
【0031】
従って、この様に隔壁11,12を薄肉に形成できることで、隔壁部11,12を下ケース2に射出成形により形成する際に、下ケース2の底壁2aの外面に隔壁部11,12に対応して大きなヒケによる凹部が形成されるのを回避できることになる。
【0032】
また、フィルタ支持板14を下ケース2とは別体に形成して下ケース2に組み付けているので、下ケース2のを射出成形用の成形金型に前後方向へのスライド機構を設ける必要がなく、成形金型の構造を簡単にできると共に、成形金型の隔壁部11,12を形成するキャビティの周囲にも冷却水通路を設けて、キャビティに溶融樹脂を充填後に、冷却水通路を介して隔壁部11,12に対応する部分も冷却することできる。この結果、下ケース2用の成形金型内のキャビティを全体的に冷却するようにできるので、射出成形サイクルを従来よりも短縮できる。
【0033】
更に、上述のようにフィルタ支持板14を下ケース2に組み付けた状態で、隔壁部11,12,アーム部21,22,フィルタ支持板14の上端部を覆うゴム製のシール部材23を設け、このシール部材23をシール受溝21b,22b,14a,14bに嵌着保持させる。しかも、このシール材23を、集塵室用凹部6の上部開口端に沿って下ケース2のシール受溝2f,2g及び下ケース2の前壁2dに嵌着保持させる。
【0034】
この後、上ケース4で送風機室用凹部7の上部開放端を閉成して、上ケース14を下ケース2に図示しない固定ネジで固定することにより、電動送風機10が下ケース2と上ケース4との間に挟持されると共に、隔壁部11,12の上端部が上ケース4により支持される。この位置では、フィルタ支持板14及びアーム部21,22により補強された隔壁部11,12が上ケース4と、下ケース2のリブ13,18間で保持されることになるので、フィルタ支持板14は電動送風機10の吸引負圧でシール壁19が集塵室8側に変形するのを支持板部25,25を介して確実に阻止することになる。
【0035】
この後、集塵室カバー3は集塵室8を開閉可能に上ケース4の前端部に取り付けられる。この取付構造は、周知の構造が採用できるので、詳細な説明は省略する。尚、フィルタ支持板14は、集塵室8に配設される図示しない二次フィルターで閉成される。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明は、上方に開放する樹脂製の下ケースの幅方向及び上下方向に向けて延び且つ前記下ケース内を前部の集塵室用凹部と後部の送風機室用凹部とに区画する隔壁が設けられ、前記隔壁に前記両凹部を連通させる多数の通気穴が設けられていると共に、前記集塵室用凹部が集塵室カバーで開閉可能に閉成され、前記送風機室用凹部が上ケースで閉成され、前記隔壁と上ケースとの間にシール部材が介装された電気掃除機において、前記隔壁は左右に間隔をおいた左隔壁部及び右隔壁部と前記両隔壁部間を覆うフィルタ支持板から構成されていると共に、前記フィルタ支持板には前記左隔壁部及び右隔壁部の上部を支持するアーム部がそれぞれ設けられ、前記アーム部は前記下ケースの左右の側壁まで延設されている構成としたので、即ち、フィルタ支持板を下ケースとは別体に形成して下ケースに組み付けているので、下ケースを射出成形用の成形金型に前後方向へのスライド機構を設ける必要がなく、成形金型の構造を簡単にできる。
【0042】
しかも、前記アーム部を前記下ケースの左右の側壁まで延設した構成としたので、フィルタ支持板とアーム部により隔壁部を全幅にわたって補強できると共に、下ケースの側壁をフィルタ支持板とアーム部で補強支持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる電気掃除機の断面図である。
【図2】図1に示した電気掃除機の集塵室カバー及び上ケースを取り外した状態の平面図である。
【図3】(a)は図2のA−A線に沿う断面図、(b)は図2のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図2のシール部材を取り外した状態の平面図である。
【図5】(a)は図4のC−C線に沿う断面図、(b)は(a)のF−F線に沿う断面図である。
【図6】図5の分解斜視図である。
【図7】図6のD−D線に沿う断面図である。
【図8】図7のフィルタ支持板を除いた状態の平面図である。
【図9】図1のシール壁の正面図である。
【図10】図5のE−E線に沿う断面図である。
【図11】(a)は図1に示したフィルタ支持板の背面図、(b)は(a)のF−F線に沿う断面図、(c)は(a)の左側面図である。
【符号の説明】
2…下ケース
2b,2c…側壁
3…集塵室カバー
4…上ケース
5…隔壁
6…集塵室用凹部
7…送風機室用凹部
11…左隔壁部
12…右隔壁部
14…フィルタ支持板
16,17…補強リブ
21,22…アーム部
21a,22a…支持面(シール受部)
23…シール部材

Claims (1)

  1. 上方に開放する樹脂製の下ケースの幅方向及び上下方向に向けて延び且つ前記下ケース内を前部の集塵室用凹部と後部の送風機室用凹部とに区画する隔壁が設けられ、前記隔壁に前記両凹部を連通させる多数の通気穴が設けられていると共に、前記集塵室用凹部が集塵室カバーで開閉可能に閉成され、前記送風機室用凹部が上ケースで閉成され、前記隔壁と上ケースとの間にシール部材が介装された電気掃除機において、前記隔壁は左右に間隔をおいた左隔壁部及び右隔壁部と前記両隔壁部間を覆うフィルタ支持板から構成されていると共に、前記フィルタ支持板には前記左隔壁部及び右隔壁部の上部を支持するアーム部がそれぞれ設けられ、前記アーム部は前記下ケースの左右の側壁まで延設されていることを特徴とする電気掃除機。
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