JP3659232B2 - 現像処理液の管理システム及び管理方法及び管理プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リファレンスストリップの第1濃度値と、管理すべき現像処理液により現像されたコントロールストリップの第2濃度値とを比較判断することで、現像処理液の管理を行う現像処理液の管理システム及び管理方法及び管理プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
撮影済みの写真フィルムを現像処理するフィルム現像装置の現像処理液の管理に、リファレンスストリップ及びコントロールストリップが用いられている。これらは、図1に示されているように、写真フィルムの所定の画像パターンが形成されている。リファレンスストリップは、あらかじめフィルムメーカーから現像済みのものが供給され、コントロールストリップは、同じ画像パターンの潜像が形成されたものが供給される。リファレンスストリップとコントロールストリップは、セットで供給され同一のリファレンス・ナンバーで管理され、これにより、適正な現像処理液管理を行うようにしている。そして、管理すべき現像処理液で、上記コントロールストリップを現像処理し、画像パターンを顕在化させる。
【0003】
オペレータは、濃度計を用いて、両ストリップの画像パターンの濃度を測定する。測定結果は、基準となるリファレンスストリップの第1濃度値に対する、コントロールストリップの第2濃度値の差を記録することで行われる。この差が、許容範囲に入っていれば問題はないことになるが、許容範囲外となれば何らかの対処が必要となる。また、現像処理液の管理は、通常は日々行うものであり、コントロールストリップを用いた管理も日々行われる。そして、測定されたデータは、グラフ用紙にプロットしていき、データの推移を見るようにすることもできる。日々のデータの推移から、現在は許容範囲内に入っていたとしても、将来は許容範囲外になることも予想ができ、許容範囲外になる前に未然にトラブルを回避することも可能になり、現像処理液の管理を適確に行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在行われている現像処理液の管理方法は、オペレータが濃度計を使用して各ストリップの画像パターンの濃度を測定し、それをマニュアル的にグラフ化していくものであり、オペレータの負担も多大なものがあった。また、現像処理液の管理のために専用の濃度計を使用し、その測定のために手間がかかっていた。さらに、濃度計を使用して種々のデータを取得しても、そのデータの内容を的確に判断することができなければ、問題点が発生しているような状況下で有効な処置が困難になる。特に、オペレータが専門的知識を有しないアルバイト等の場合には、オペレータの管理負担が多大となる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、濃度計による測定の手間や現像処理液の管理負担を軽減することのできる現像処理液の管理技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る現像処理液の管理システムは、
リファレンスストリップの第1濃度値と、管理すべき現像処理液により現像されたコントロールストリップの第2濃度値とを比較判断することで、現像処理液の管理を行う現像処理液の管理システムであって、
画像データを取得可能なスキャナーと、
前記スキャナーを用いて、前記第1濃度値と前記第2濃度値のデータを取得するデータ取得手段と、
取得されたデータの推移をグラフ化するグラフ化手段と、
前記第2濃度値が許容範囲か否かを判断可能な判断手段と、
前記第2濃度値が前記許容範囲にない場合には、必要に応じて、警告を行うと共に、前記データの推移により推定される異常発生原因の表示を行う警告手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
この構成による現像処理液の管理システムの作用・効果は、以下の通りである。
まず、このシステムは、現像済みの写真フィルムから画像データを取得するスキャナーを備えている。また、リファレンスストリップの第1濃度値(基準の濃度値)とコントロールストリップの第2濃度値を上記スキャナーを利用して測定する。これにより、ストリップの濃度を測定するための濃度計が必要なくなる。
【0007】
また、スキャナーにより取得した第1濃度値と第2濃度値のデータを用いて、グラフ化手段によりデータの推移をグラフ化することができる。このグラフ化手段は、例えば、コンピュータプログラムにより実現することができる。これにより、オペレータの管理の手間を軽減することができる。その結果、濃度計による測定の手間や現像処理液の管理負担を軽減することのできる現像処理液の管理システムを提供することができる。
【0008】
また、この構成によると、第2濃度値が許容範囲か否かを判断手段により判断することができる。この判断手段による『許容範囲か否か』の判断には、データ取得時点において第2濃度値が許容範囲に入っているか否かを判断することだけでなく、データ取得時点では許容範囲内であるが将来的に許容範囲外に外れていくと予想される場合に、その傾向について判断することも含まれるものである。かかる将来の予想は、例えば、過去のデータの推移に基づいて判断することができる。そして、第2濃度値が許容範囲にない場合は、必要に応じて、モニター等に警告することで、オペレータは、現像処理液に関して何らかの異常があったことを直ちに知ることができる。なお、警告手段により警告する場合の条件は、適宜設定することができる。更に、警告を行うと共に、取得されたデータの推移により推定される異常発生原因を表示することにより、専門的知識を有しないオペレータであっても、異常が発生した原因を容易に知ることができ、異常に対する有効な処置を直ちに行うことができる。
【0009】
本発明の好適な実施形態として、前記警告手段が、前記第2濃度値が前記許容範囲にない場合には、必要に応じて、警告を行うと共に、前記データの推移により推定される異常発生原因と対処方法の表示を行うものがあげられる。
【0010】
上記構成によれば、第2濃度値が許容範囲にない場合に、必要に応じて、モニター等への警告を行うと共に、取得されたデータの推移により推定される異常発生原因と対処方法の表示を行うことにより、オペレータは、現像処理液に関して何らかの異常があったことを直ちに知ることができると共に、その異常が発生した原因と対処方法とを容易に知ることができる。したがって、専門的知識を有しないオペレータであっても、異常に対する有効な処置を直ちに行うことができる。
【0011】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記リファレンスストリップ及び前記コントロールストリップには、所定の画像パターンが形成され、前記ストリップの種類毎に前記画像パターンが形成されている位置データを登録しておく登録手段を備えたものがあげられる。
【0012】
リファレンスストリップ及びコントロールストリップは、例えば、メーカーが異なると、画像パターンの内容や位置が異なる。また、新しいコントロールストリップ(画像パターンの異なるもの) が発売された場合や新しい仕様の処理液が発売された場合等には、異なるストリップを用いる必要がある。そこで、ストリップの種類毎に画像パターンの位置データを登録しておくことで、違うタイプのストリップを取り扱う場合にも、作業時間を短くすることができる。
【0013】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第2濃度値が前記許容範囲にある場合には、前記グラフ化を行わないように設定可能であるものがあげられる。
【0014】
第2濃度値が許容範囲にある場合は、現像処理液が正常な状態であるから、このような場合は、オペレータに認知させるためのグラフ化を行わなくても良い。異常が生じた場合にのみ、グラフ化を行いモニターに表示させることで、オペレータの管理工数を軽減することができる。
【0015】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記スキャナーにセットされているストリップが、リファレンスストリップかコントロールストリップであるかを検出するストリップ種検出手段と、
セットすべきストリップ種を間違えた場合に報知させる報知手段とを備えたものがあげられる。
【0016】
リファレンスストリップとコントロールストリップは、同じストリップフィルムであり、スキャナーにセットする時に取り違える可能性がある。そうすると、間違ったデータを取得してしまうことになる。そこで、いずれのストリップであるかを検出し、もし間違えていた場合に、これを報知するようにすることが好ましい。これにより、間違えたデータを取得することを防止し、管理ミスをなくすことができる。報知の形態としては、モニターに表示したりブザーを鳴らすなどの方法がある。
【0017】
本発明の更に別の好適な実施形態として、 前記スキャナーにセットされたストリップの挿入方向を検出する方向検出手段を備えたものがあげられる。
【0018】
ストリップに形成された画像パターンの濃度を正しく測定するためには、ストリップの挿入方向を間違えないようにする必要がある。しかし、ストリップはフィルムと同じ形状であり、先端と後端を間違えて挿入する可能性がある。もし、挿入方向を間違えると、得られる濃度値も間違ったものになり、管理ミスの原因となる。そこで、挿入方向を検出することで、正確な現像処理液の管理を行うことができる。挿入方向は、例えば、画像パターンの濃度変化の順序から自動検出が可能である。
【0019】
本発明に係る現像処理液の管理システムを実現するために、コンピュータにより実行されるプログラムは、画像データを取得可能なスキャナーから、前記第1濃度値と前記第2濃度値のデータを取得する処理と、取得されたデータの推移をグラフ化する処理と、前記第2濃度値が許容範囲か否かを判断する処理と、前記第2濃度値が前記許容範囲にない場合には、必要に応じて、警告を行うと共に、前記データの推移により推定される異常発生原因の表示を行う処理とを行うことを特徴とするものである。この構成による作用・効果は、既に述べた通りである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る現像処理液の管理システムの好適な実施形態を図面を用いて説明する。まず、現像処理液の管理のために用いられるフィルムストリップについて図1により説明する。
【0021】
<フィルムストリップの構成>
図1(a)は、リファレンスストリップ1を示す。ネガフィルム等の写真フィルムの現像を行う現像処理液の管理をするために用いられる。リファレンスストリップ1は、所定の長さの写真フィルムで形成される。このストリップ1は、メーカーから現像済みのものが供給される。すなわち、ストリップ1には、画像パターン1a、スヌケパターン1bが形成されている。画像パターン1aには、段階的に濃度を異ならせたカラー画像部(図例では8通り)が形成されている。スヌケパターン1bは、露光されていない未現像部分の測定箇所を指定するものである。また、参照マーク1cが付されており、リファレンスストリップ1であることが直ちに認識できるようになっている。画像パターン1aの位置は、ストリップ1の端面1xから測定して決められた距離に設けられている。
【0022】
図1(b)は、コントロールストリップ2を示す。コントロールストリップ2は、メーカーから未現像の状態で供給される。ただし、リファレンスストリップ1と同じ画像パターン1a、スヌケパターン1bが潜像として形成されている。コントロールストリップ2は、上記の未現像ものがロール(不図示)に巻き取られた状態でメーカーから供給される。つまり、図1(b)に示される潜像が繰り返し形成されている。
【0023】
コントロールストリップ2を使用するときには、ロールからストリップ2を引き出して切断して使用する。切断を行うための基準として、ストリップ2には、所定ピッチで多数のノッチ2dがあらかじめ形成されている。すなわち、 切断位置2x,2yは、ノッチ2dの位置から距離D1,D2により設定することができる。また、画像パターン2aの位置は、切断位置2yから距離D4で、スヌケパターン2bの位置は、切断位置2xから距離D3で、夫々設定することができる。
【0024】
リファレンスストリップ1の基準となる濃度値(第1濃度値)及びコントロールストリップ2の濃度値(第2濃度値)のデータを取得する場合には、夫々の画像パターン1a,2a及びスヌケパターン1b,2bの濃度値(3色カラーデータ)を取得する。
【0025】
この場合、コントロールストリップ2は未現像であるから、管理対象となる現像処理液によりストリップ2を現像処理し、画像パターン等を顕在化させる。そして、両ストリップ1,2の第1・第2濃度値データを比較して、第2濃度値が第1濃度値に対して差がなければ(又は許容範囲内であれば)、現像処理液の管理状態は良好であると判断するものである。
【0026】
<管理システムの構成>
次に、現像処理液の管理システムの好適な実施形態を図1の模式図を用いて説明する。
【0027】
フィルムプロセッサー3(フィルム現像処理機)は、写真フィルムの現像処理を行う装置である。内部には、現像処理液を収容した現像処理タンクが設けられている。図示はしていないが、現像処理液の管理を行うために、新たな現像処理液を供給する機構、フィルターを介して現像処理液を循環させる機構、現像処理液の温度を調整する機構等が設けられている。
【0028】
スキャナー装置4が設けられており、プリント処理を行うために現像済みの写真フィルムFから画像データを取得する機能の他、ストリップ1,2からも画像データを取得することもできる。写真フィルムFから画像を取得するため、フィルム搬送ユニットであるネガキャリア5が設けられている。ネガキャリア5は、搬送経路に沿って複数個のローラ対5aを備えている。
【0029】
また、画像データを読み取るために、光軸に沿って、読み取り用の光源4a(ハロゲンランプ)、色分解フィルター4b、ミラートンネル4c、ラインセンサー4dを備えている。写真フィルムFをローラ対5aにより所定速度で搬送させることで、ラインセンサー4dにより1ライン毎に画像データを取得することができる。また、ストリップ1,2の画像も同じ方法で取得することができる。
【0030】
画像データ記憶部10は、スキャナー装置4により取得した画像データを記憶する。記憶部10は、RAMあるいはハードディスク等により構成される。記憶された画像データが、写真プリントを作成するためのものであれば、画像処理部11にて画像処理(色や濃度の補正、階調補正、その他の補正)を行う。画像処理により補正された画像データは、露光エンジン12に転送される。
【0031】
露光エンジン12は、写真感光材料であるペーパーに画像を焼付露光するものである。また、露光エンジン12は、露光光を主走査方向に沿ってペーパーに露光しつつ、ペーパーを所定速度で副走査方向に搬送することで、ペーパーに画像(潜像)を形成する。露光エンジン12は、レーザーエンジン、PLZTエンジン、CRTエンジン等の適宜の方式のものを採用することができる。
【0032】
ここでプリンターについて簡単に説明する。ペーパーマガジン14に収容されたロールから、ペーパーPが順次引き出され、ペーパーカッター15によりプリントサイズに切断される。切断されたペーパーに対して、露光エンジン12により走査露光がされる。露光されたペーパーPは、所定の搬送経路に沿って搬送され、現像処理部16に送り込まれる。現像処理部16で、公知の現像処理が施された後に、仕上がりの写真プリントとして装置外部に排出される。
【0033】
一方、画像データ記憶部10に記憶されている画像データが、ストリップ1,2から取得されたデータである場合は、濃度値データ取得手段20により濃度値データが取得される。具体的には、既に説明したとおり、ストリップ1,2の画像パターン1a,2a、スヌケパターン1b,2bの濃度値(R,G,Bのカラーデータ)が取得される。また、取得された濃度値は、濃度値データ記憶部21に記憶される。
【0034】
グラフ化手段22は、取得されたデータを用いてグラフ化する。グラフ化するためのフォーマットデータはあらかじめ記憶されている。このフォーマットデータと濃度値データを組み合わせることで、視覚化されたグラフを得ることができる。グラフは、表示制御部23を介してモニター6に表示させることができる。モニター6は、適宜の形式のもの、例えば、液晶モニター、CRTモニター等を用いることができる。
【0035】
一方、判断手段24は取得されたリファレンスストリップ1の第1濃度値と、コントロールストリップ2の第2濃度値とから、許容範囲に入っているか否かを判断することができる。許容範囲の大きさ(許容範囲データ)は、オペレータにより、あらかじめ入力しておく。なお、許容範囲の大きさは、測定すべき画像の濃度値の大きさに応じて設定できる。
【0036】
また、判断手段24の機能として、現時点での第2濃度値が許容範囲に入っているか否かだけでなく、現時点では許容範囲内ではあるが、将来的には許容範囲外になる可能性をも判断することができる。これは、過去のデータの推移に基づいて、統計学的に判断することができる。
【0037】
警告表示手段25(警告手段に相当)は、判断手段24による判断結果に基づいて、必要に応じて、モニター6に警告表示をさせるための処理を行う。すなわち、 許容範囲から外れていることをモニター6に表示させ、オペレータに対して注意を喚起させる。また、単に警告を行うだけでなく、対処方法をいっしょに表示させるようにすれば、オペレータのメンテナンスに要する時間を短縮化することができる。なお、モニターに警告表示を行う時の条件は、適宜設定することができる。警告表示としては、モニター6への表示に限定されるものではなく、ブザーやLED等を適宜使用してもよい。
【0038】
方向検出手段17は、ストリップ1,2が挿入された方向を検出する。挿入する方向は、基本的には図1の上端が先頭になるように挿入する必要がある。しかし、先端・後端を間違えて挿入することもありうる。 ストリップ1,2の先端と後端を間違えてセットすると、測定されたデータも間違ったものになる。図1にも示すように、画像パターン1aにおける濃度変化の順序はあらかじめ決まっている。そこで、この濃度変化の順序に基づいて先端・後端を検出するようにする。その他の方法として、ストリップ1,2の先頭(先端)位置に目印を形成し、これに基づいて検出をしても良い。
【0039】
ストリップ種検出手段18は、スキャナー4にセットされたストリップが、リファレンスストリップ1かコントロールストリップ2かを検出する。 ストリップ種を間違えると正確な現像処理液の管理を行うことができないからである。図1の例では、リファレンスストリップ1に参照マーク1cが付与されているので、これの有無によりストリップ種を検出することができる。参照マーク1cの検出は、読みとられた画像データに基づいて検出する方法や、センサーにより参照マーク1cを検出する方法がある。
【0040】
報知手段19は、ストリップ種を間違えていた場合に、その旨をモニター6に表示させるための処理を行う。なお、間違えていた場合の報知の方法としては、モニター6への表示ではなく、ブザーやLEDでの表示としてもよい。
【0041】
登録手段26は、ストリップ1,2に関するデータを登録しておくデータベースである。例えば、フィルムメーカー及び種類をID(キーワード)として、画像パターンの位置データを登録しておく。つまり、フィルムのメーカーや種類が異なると、画像パターンも異なるからである。また、新規の写真フィルムが発売された場合には、それに対応するデータを新たに登録すればよい。
【0042】
モード設定部27は、写真プリントを行うモード(第1モード)かストリップの濃度値を読み取るモード(第2モード)かのモードデータを設定する。第1モードであれば、取得した画像データに基づいて写真プリントの作成が行われる。第2モードであれば、取得した画像データに基づいて、濃度値データを取得する。
【0043】
キーボード7(入力手段)は、各種のデータの入力を行ったり、写真フィルムに対して指令を与えたりするものである。例えば、登録手段26へのデータ入力・修正や、モードの設定等を行う。
【0044】
<管理方法の手順>
次に、現像処理液の管理を行う場合の手順を図3のフローチャートにより説明する。なお、現像処理液の管理は、その他の部分の管理も含めて、1日に1回もしくは2回行われる。1日に1回行う場合には、装置を立ち上げる朝一番に行うのが一般的である。
【0045】
まず、ストリップ1,2から濃度値を取得するために、第2モードに設定する(#1)。モード設定は、モニター6の画面表示を見ながら行うことができる。また、読み取るべきストリップについては、あらかじめ入力された現像処理液仕様の設定に対応して、自動的に認識されるように構成されている。次に、ネガキャリア5にリファレンスストリップ1をセットする(#2)。なお、セットすべきストリップは、モニター6に案内表示される。本実施形態では、リファレンスストリップ1を先にセットする構成を説明しているが、コントロールストリップ2を先にセットする構成を採用しても良い。
【0046】
リファレンスストリップ1をセットすることで、自動的に、画像データの取り込みが開始する(#3)。次に、ストリップ1,2のセット間違いがないか否かを判断する(#4)。図1の例では、リファレンスストリップ1には参照マーク1cが付されている。よって、この参照マーク1cがあるか否かにより判断することで、リファレンスストリップ1とコントロールストリップ2のいずれがセットされたかを判断可能である。かかる判断を行うことにより、正しいデータを取得することができる。そして、ストリップ1,2の取り違えがあったものと判断されると、モニター6にエラー報知する(#5)。これにより、オペレータはストリップ1,2のセット間違いがあったことを知ることができる。この場合は、ステップ#2に戻り、正しいストリップ2をセットしなおす。
【0047】
次に、コントロールストリップ2からの画像データも取り込む必要があるので、取り込みが終了していなければ(#6)、ステップ#2に戻りコントロールストリップ2をセットし、以下同様のステップを繰り返す。以上のようにして、両ストリップ1,2からの画像データが得られる。
【0048】
次に、方向検出手段17の機能に基づいて、先端・後端検出処理を行う(#7)。これにより、次のステップ#8で、正しい濃度値を取得することができる。ストリップ1,2の先端・後端を正しく検出した後、得られた画像データに基づいて濃度値データを取得する(#8)。これは、リファレンスストリップ1の第1濃度値とコントロールストリップ2の第2濃度値であり、前者が基準となる。コントロールストリップ2は、測定するたびに新たなものが使用されるが、リファレンスストリップ1は同じものが使用される。ただし、管理を行う場合には、常に、両ストリップ1,2から濃度値を取得する。これは、例えば、スキャナー装置4の特性(ハロゲンランプの特性など) が経時変化により変化する可能性があるからである。
【0049】
評価を行う場合は、第2濃度値の第1濃度値に対する差を求める(#9)。差がなければ、第2濃度値は基準である第1濃度値に等しく、理想的な状態と言うことができる。ただし、現実には差があるのが普通であり、その差の値が、許容範囲内であれば問題はないと判断することができる。
【0050】
許容範囲内であれば、ステップ#11に進み、グラフ化処理を行う。また、許容範囲内になければ、警告表示を行うための処理をする(#10)。グラフ化された結果の表示画面の構成例を図4により説明する(#12)。
【0051】
図4には、(a)(b)(c)の3つの濃度データの推移が示されている。(a)(b)は、画像パターンに含まれるある画像部分のデータの推移である。また、(c)はスヌケパターンの部分のデータの推移である。また、夫々のデータの推移には3種類の折れ線が示されているが、これはカラーの画像データであるのでR,G,Bの3色分のデータが表示されている。
【0052】
グラフの横軸は、日付である。この図例では、1日に2回データの測定を行っている。また、グラフの縦軸は、偏差(第2濃度値−第1濃度値)を示している。また、許容範囲が太い直線で示されている。この許容範囲を示すライン内にデータが入っていれば、OKである。なお、許容範囲は、測定される画像の濃度値の大きさにより異ならせている。
【0053】
このグラフから、日々のデータの推移を知ることができるので、将来の予測を行うことも可能である。また、図例では日付9/11のあたりで、濃度値が許容範囲から外れているのが分かる。この外れ方から(データの推移から)電磁弁の故障による温調不良であると推察可能である。よって、この点もいっしょに画面に表示させることで、オペレータは、問題発生に対する対処を直ちに行うことができる。
【0054】
また、日付9/18〜9/19にかけては、補充系の作動不良により許容範囲から外れたため、現像処理液の交換を行った。グラフの推移から、異常が発生した原因も推定することが可能である。異常発生原因と、データの推移の形態には関連性があるので、そのパターンをいくつか記憶させておくことで、異常発生原因を特定し、対処方法をモニター画面に表示させることができる。
【0055】
本発明による現像処理液の管理システムは、ハードウェア及びソフトウェア(プログラム)により構成することができる。本発明に係る現像処理液の管理システムを実現するために、コンピュータにより実行されるプログラムは、スキャナー4を介して、第1濃度値と第2濃度値のデータを取得する処理(濃度値データ取得手段20の機能)と、取得されたデータの推移をグラフ化する処理(グラフ化手段22の機能)と、第2濃度値が許容範囲か否かを判断可能な処理(判断手段24の機能)と行うものである。また、警告表示手段25による処理、登録手段26へのデータ登録・更新・削除等の処理も同様である。
【0056】
<別実施形態>
本発明による現像処理液の管理システムの対象となる装置構成は、特定の構造のものに限定されるものではない。例えば、スキャナー装置4(イメージプロセッサー) 、プリンター装置13、フィルムプロセッサー3は、夫々独立した装置であってもよい。例えば、スキャナー装置4とプリンター装置13とを一体化した装置構成にしてもよい。さらに、フィルムプロセッサー3も一体化した装置としてもよい。
【0057】
本実施形態では、ストリップの画像濃度を取得するのに位置データに基づいて行っているが、他の方法も考えられる。例えば、画像処理技術を用いて、ストリップフィルムの幅方向中央部の濃度変化から画像パターンを抽出し、これに基づいて必要な箇所の濃度値を取得することもできる。
【0058】
図3のフローチャートでは、いずれかのストリップ1,2を先にセットするものとして処理手順を説明している。これに替えて、いずれのストリップ1,2が先にセットされたとしても、セットし直すことなく処理を続けることができるように構成しても良い。この場合は、いずれか一方のストリップがセットされてデータの取り込みが終了した後、モニター等により、もう一方のストリップをセットするように案内することができる。かかる処理は、ストリップ種検出手段18の機能を利用して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムストリップの構成を示す図
【図2】現像処理液の管理システムの構成を示す模式図
【図3】 現像処理液の管理を行う場合の手順を示すフローチャート
【図4】 濃度値データの推移を示すグラフ
【符号の説明】
1 リファレンスストリップ
1a 画像パターン
2 コントロールストリップ
2a 画像パターン
3 フィルムプロセッサー
4 スキャナー
17 方向検出手段
18 ストリップ種検出手段
19 報知手段
20 濃度値データ取得手段
21 濃度値データ記憶部
22 グラフ化手段
24 表示手段
25 警告表示手段
26 登録手段
Claims (8)
- リファレンスストリップの第1濃度値と、管理すべき現像処理液により現像されたコントロールストリップの第2濃度値とを比較判断することで、現像処理液の管理を行う現像処理液の管理システムであって、
画像データを取得可能なスキャナーと、
前記スキャナーを用いて、前記第1濃度値と前記第2濃度値のデータを取得するデータ取得手段と、
取得されたデータの推移をグラフ化するグラフ化手段と、
前記第2濃度値が許容範囲か否かを判断可能な判断手段と、
前記第2濃度値が前記許容範囲にない場合には、必要に応じて、警告を行うと共に、前記データの推移により推定される異常発生原因の表示を行う警告手段と、を備えたことを特徴とする現像処理液の管理システム。 - 前記警告手段が、前記第2濃度値が前記許容範囲にない場合には、必要に応じて、警告を行うと共に、前記データの推移により推定される異常発生原因と対処方法の表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の現像処理液の管理システム。
- 前記リファレンスストリップ及び前記コントロールストリップには、所定の画像パターンが形成され、前記ストリップの種類毎に前記画像パターンが形成されている位置データを登録しておく登録手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像処理液の管理システム。
- 前記第2濃度値が前記許容範囲にある場合には、前記グラフ化を行わないように設定可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像処理液の管理システム。
- 前記スキャナーにセットされているストリップが、リファレンスストリップかコントロールストリップであるかを検出するストリップ種検出手段と、
セットすべきストリップ種を間違えた場合に報知させる報知手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像処理液の管理システム。 - 前記スキャナーにセットされたストリップの挿入方向を検出する方向検出手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像処理液の管理システム。
- リファレンスストリップの第1濃度値と、管理すべき現像処理液により現像されたコントロールストリップの第2濃度値とを比較判断することで、現像処理液の管理を行う現像処理液の管理方法であって、
画像データを取得可能なスキャナーを用いて、前記第1濃度値と前記第2濃度値のデータを取得するステップと、
取得されたデータの推移をグラフ化するステップと、
前記第2濃度値が許容範囲か否かを判断するステップと、
前記第2濃度値が前記許容範囲にない場合には、必要に応じて、警告を行うと共に、前記データの推移により推定される異常発生原因の表示を行うステップと、を有することを特徴とする現像処理液の管理方法。 - リファレンスストリップの第1濃度値と、管理すべき現像処理液により現像されたコントロールストリップの第2濃度値とを比較判断することで、現像処理液の管理を行う現像処理液の管理プログラムであって、
画像データを取得可能なスキャナーから、前記第1濃度値と前記第2濃度値のデータを取得する処理と、
取得されたデータの推移をグラフ化する処理と、
前記第2濃度値が許容範囲か否かを判断する処理と、
前記第2濃度値が前記許容範囲にない場合には、必要に応じて、警告を行うと共に、前記データの推移により推定される異常発生原因の表示を行う処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする現像処理液の管理プログラム。
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