JP3658524B2 - 磁気シールドボックスカルバートとその形成方法 - Google Patents
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【発明が属する技術分野】
本願発明は、鉄筋コンクリ−ト又は鉄骨鉄筋コンクリ−ト構造材から成るボックスカルバ−ト内を走行する鉄道、自動車等の車両や地中送電線等を発生源とする磁気を、ボックスカルバ−ト内で確実・有効にシ−ルドする磁気シ−ルドボックスカルバ−トとその構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリ−ト又は鉄骨鉄筋コンクリ−トから成るトンネル内を走行する電車や自動車等の車両、或いは地中送電線等を発生源として発生する磁気が、地上・地下の周辺施設で使用されているいろいろな精密電子機器やCRT画像等に悪影響を及ぼす場合、それを防止するためにトンネルを構成する鉄筋コンクリ−ト構造物の内周面側或いは外周面側に磁気シ−ルド材でライニングを施していた。(特開平10−176495号参照)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術は、トンネルを構成する鉄筋コンクリ−ト又は鉄骨鉄筋コンクリ−ト構造物の内周面側或いは外周面側に磁気シ−ルドのためのライニングを施す必要があり、従来から行われている工程にライニングを施す工程を加える必要があり、コストアップの一因となっていた。また、外周面側にライニングを施した場合は腐食等による劣化の問題やそれらの補修の問題等があった。
【0004】
本願発明は、磁気シ−ルドボックスカルバ−トの施工工程を少なくし、当該ボックスカルバ−ト内にある鉄道、自動車、地中送電線等を発生源とする磁気をボックスカルバ−ト内で確実・有効にシ−ルドし、周辺施設の精密電子機器の誤動作、CRT画像の色ずれ・揺れ等を防止することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するものであって、予め埋設予定地での磁気に関する測定やシミュレ−ション解析を行い、磁界の方向、磁気の大きさ・磁気の分布を把握し、それを基にして、鉄筋コンクリ−ト又は鉄骨鉄筋コンクリ−ト構造材から構成されるボックスカルバ−トの表面に磁気シ−ルド鋼板を配置するものであり、磁気シ−ルド鋼板は複数枚重ね合わせて用いられる場合もある。
【0006】
その具体的手段は、鉄道、自動車等の走行、或いは地中送電線等の施設を可能とする空間を備えた、鉄筋コンクリ−ト或いは鉄骨鉄筋コンクリ−トによる底版、側壁および頂版と、その表面に設ける磁気シ−ルド鋼板により構成する磁気シ−ルドボックスカルバ−トであって、磁気シ−ルド鋼板は、平面部に使用される磁気シ−ルド鋼板と、コ−ナ−部に使用される磁気シ−ルド鋼板の組み合わせにより形成されており、磁気シ−ルド鋼板同士の接合部に、磁気シ−ルド鋼板と同じ材料から成る添接板を継目部を塞ぐようにして添接し、ボルト等の結合手段により各磁気シ−ルド鋼板を接合して成ることを特徴とするものである。
【0007】
又磁気シ−ルド鋼板は、磁気をボックスカルバ−ト内にシ−ルドすることだけでなく、永久型枠兼用として用いられる場合には、磁気シ−ルド鋼板の一方の面に補強リブを設けた磁気シ−ルド鋼板を用いることを特徴とするものである。
【0008】
又埋設される現場の地下水位が高い場合には、磁気シ−ルド鋼板同士の接合部に添接される添接板の添接面に止水コ−キング用溝を1条或いは2条設け、止水コ−キング用溝にコ−キング材を詰めて磁気シ−ルド鋼板同士の接合部における継目部を塞ぐようにして添接し、ボルト等の結合手段により磁気シ−ルド鋼板を接合して成ることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明の磁気シールドボックスカルバ−トは、施工が行われる地盤の状態、或いは施工手段により、磁気シ−ルド鋼板を磁気シ−ルドとして使用されるだけでなく、コンクリ−ト打設時の永久型枠として、或いは周囲の地下水位の状況によっては止水鋼板として使用されるものである。
以下、本願発明を図面に示す実施例に基いて説明する。
【0010】
【実施例】
図1は、本願発明の磁気シールドボックスカルバ−トの断面図であり、鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1は、鉄道、自動車等が走行する空間A、或いは地中送電線等の施設を設置する空間Aが形成されている。
【0011】
中心線Lの左側に示す鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1は、磁気シ−ルド鋼板を、内側面および外側面の両面に設けた鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1であり、中心線Lの右側に示す鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1は、磁気シ−ルド鋼板を、内側面だけに設けた鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1であって、異なるタイプの鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1が示されている。
【0012】
内側面或いは外側面に設けられる磁気シ−ルド鋼板2、3には、磁性材料又は所定方向の磁気の遮蔽に有効な方向性磁性材料が使用され、鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1を形成する底版および頂版の上面に設けられる磁気シ−ルド鋼板は、コンクリ−トの表面から露出するようにして予め又は後施工でコンクリ−トに一定の間隔で設けられる埋設ボルト15と同様な間隔でボルト孔14が開けられており、コンクリ−トが硬化した後埋設ボルト15を磁気シ−ルド鋼板のボルト孔14に挿通して結合することにより先行打設コンクリ−トと磁気シ−ルド鋼板とのズレ止めを行っており、これによって両者を一体化することができる。また、硬化したコンクリ−トの表面は粗面であり、先行打設コンクリ−トと磁気シ−ルド鋼板とを密着した状態で接合できるようにするために、モルタル等により硬化したコンクリ−トの表面を平滑面とした後、磁気シ−ルド鋼板が載設される。
【0013】
上記したように底版および頂版の上面に設けられる磁気シ−ルド鋼板は、永久型枠として用いることはなく、後施工となるので磁気シ−ルド鋼板には強度を必要としないことから補強リブは設けられてなく、平板から成る磁気シ−ルド鋼板が使用される。
【0014】
図2は、本願発明の磁気シールドボックスカルバ−トを形成する際に永久型枠として使用される磁気シ−ルド鋼板を構成する単位ユニットパネルの内面側の場合の斜視図であり、使用部所に対応できるように予め所定形状に形成されている。
【0015】
単位ユニットパネルは、平面な部所に使用される磁気シ−ルド鋼板から成る基本パネル4と、コ−ナ−部所に使用される磁気シ−ルド鋼板から成るコ−ナ−パネル5により構成されている。
【0016】
鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1を構成する側壁および頂版の形成には型枠が使用されるが、磁気シ−ルド鋼板を永久型枠として兼用させるため、平板7におけるコンクリ−ト打設側となる面に補強リブ6を縦横に設けた基本パネル4およびコ−ナ−パネル5が使用される。
【0017】
鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1の内側面に設けられる内面磁気シ−ルド鋼板2および外側面に設けられる外面磁気シ−ルド鋼板3は、予め工場等で単位ユニットパネルとして形成されているので、各単位ユニットパネルを適宜選択して使用し、パネル相互を接合して組み立てることにより、内面磁気シ−ルド鋼板2および外面磁気シ−ルド鋼板3が形成される。
【0018】
また、型枠兼用として使用される磁気シ−ルド鋼板から成る基本パネル4およびコ−ナ−パネル5は、平板7の所定の位置に、各パネル同士を接合するための接合用ボルト孔が設けられている。
なお、補強リブ6には、コンクリ−トの廻りをよくするための孔が適当な間隔で設けられることもある。
【0019】
この補強リブ6を設けた基本パネル4およびコ−ナ−パネル5は永久型枠として使用されるので、コンクリ−トの打設圧に充分抵抗できる構造にすると同時にコンクリ−トとの密着性を高め安定させる構造とし、更に基本パネル4、コ−ナ−パネル5、平板7および添接板8には予め防蝕処置が施される。
【0020】
図3は、本願発明の磁気シールドボックスカルバ−トを形成する際に使用される基本パネル4と、基本パネル4同士の継目部からの磁気の漏洩を防止するために用いられる磁気シ−ルド鋼板と同一材料から成る添接板8との分解図、および基本パネル4をボルト9と添接板8とにより接合された状態を示す断面図である。基本パネル4および添接板8には、所定の位置に基本パネル同士を接合するための接合用ボルト孔12、13が設けられている。又、基本パネル4には、ボルト9を螺合する雌ねじが予め設けられる場合がある。
【0021】
一実施例として、内面磁気シ−ルド鋼板2の形成について説明すると、基本パネル4およびコ−ナ−パネル5を適宜選択して組み立てることにより内面磁気シ−ルド鋼板2が形成されるが、その際、基本パネル4の側端面同士を突き合わせ、継目部を塞ぐようにして空間A側から磁気シ−ルド鋼板と同じ材料から成る添接板8を添え、添接板8に形成されたボルト孔13からボルト9を挿通し、更に基本パネル4に形成したボルト孔12へ挿入してナットで締め付けたり、或いは基本パネル4に予め雌ねじ孔を設けて、ボルト9を雌ねじ孔に螺合させることにより接合される。
【0022】
図4は、底版或いは頂版の硬化したコンクリ−トの上面に、内面或いは外面磁気シ−ルド鋼板2、3を形成する基本パネルとしての平板7を設けた斜視図と断面図を示すもので、図2の基本パネル4と異なり補強リブ6は設けられてはいない。
【0023】
底版および頂版の上面には一定の間隔で埋設ボルト15が設けられており、これらの上面に取り付けられる平板7および添設板8にも、同様の間隔で埋設ボルト15に対応するようにしてボルト孔が設けられている。
【0024】
永久型枠兼用の磁気シ−ルド鋼板と異なり、コンクリ−トが硬化した後に磁気シ−ルド鋼板を取り付けるため先行打設コンクリ−トとのズレ止めが必要となり、上記したように、予めまたは後施工でコンクリ−トに一定の間隔で埋設されたズレ止め用の埋設ボルト15を、平板7に設けたボルト孔14に挿入し、平板同士の接合部では更に上方より添接板8が両者に跨るようにして添えられ、添接板8に設けたボルト孔13に埋設ボルト15を挿入してナットにより締め付け固定される。平板同士が接合される以外の箇所には添接板8は使用されず直接ナットにより締め付け固定される。
【0025】
図5は、内面或いは外面磁気シ−ルド鋼板を形成する単位ユニットパネル同士の接合部に、磁気の漏洩を防止するため磁気シ−ルド鋼板と同一材料から成る添接板8を添接し、単位ユニットパネル同士が接合される断面図を示すもので、中心線Lの右側断面図は、ボルト・ナットにより接合された実施例である。また、中心線の左側断面図は他の実施例であって、単位ユニットパネルに予め雌ねじ孔を設け、添接板8の上面からボルト9を雌ねじ孔に螺合させることにより単位ユニットパネル同士が接合されている。
【0026】
ボックスカルバ−トを埋設する現場における地下水位が高いときには磁気シ−ルド鋼板が止水鋼板も兼ねる場合があり、外面磁気シ−ルド鋼板を形成する単位ユニットパネル同士の接合部に用いられる添接板8の添接面に予め止水コ−キング用溝10が1条又は2条設けられ、この止水コ−キング用溝10にコ−キング材11を詰めることにより、添接板8は単位ユニットパネル同士の継目部からの磁気漏洩の防止と止水を行っている。コ−キング材11としては、水膨潤性のものが好ましい。
【0027】
図6は、外面磁気シ−ルド鋼板を形成する4枚の単位ユニットパネルが接合される箇所に、磁気漏洩の防止と止水のために磁気シ−ルド鋼板と同一材料から成る添接板8が交差して設けられた部分を示す平面図と、添接板8が交差する部分を示す拡大平面図である。
【0028】
止水鋼板も兼ねる外面磁気シ−ルド鋼板に使用される添設板8は、止水のために止水コ−キング用溝10が縦横に連続した状態となるように配設し、当該止水コ−キング用溝10にコ−キング材11が連続するようにして設けられる。
【0029】
縦横に設けた添設板8は、その交差部において添設板8がずれることがあり、それによって止水コ−キング用溝10も縦横に連続しない場合が生じるが、添設板8の端縁部に切り欠き部16を設け、当該箇所にコ−キング材11を詰めることにより連続した止水部を形成することができる。
【0030】
次に、本願発明の磁気シ−ルドボックスカルバ−トの形成方法について説明する。最初に鉄筋コンクリ−トボックスカルバ−ト1に配設される磁気シ−ルド鋼板2が配置計画される。
【0031】
磁気シ−ルド鋼板2は、通常、ボックスカルバ−トを構成する底版、側壁および頂版の内側面に配設されるが、必要に応じて外側面にも配設される。しかし、鉄道、自動車、地中送電線等を発生源とする磁気の分布は複雑であり、単に磁気シ−ルド鋼板で一様に閉合することは得策でない。
【0032】
そこで、予め埋設予定地での磁気に関する測定やシミュレ−ション解析を行い、磁界の方向、磁気の大きさ、磁気の分布等を把握する。この測定やシミュレ−ション解析に基いて、磁気の影響を受ける電子機器等の位置・設置環境基準値、磁界の方向、磁気の大きさ、磁気の分布等を考慮して磁気シ−ルド鋼板の配置を決定する。この場合、磁気シ−ルド鋼板を複数枚重ね合わせて使用される場合もある。この配置計画に対して、シ−ルド効果をシミュレ−ション解析により検証を行い、合理的な配置が決められることにより、コストの低減をすることができる。
【0033】
一実施例としてその後、上記配置計画に従ってまず、永久型枠として内側面の磁気シ−ルド鋼板2を組み立てる。組み立ては、内面磁気シ−ルド鋼板を構成する基本パネル4およびコ−ナ−パネル5の側端縁を突き付け、表面側から相互の側端部に跨って添設板8をあてがい、各々のパネルに設けたボルト孔12にボルト9を挿通して両者を固定する。
【0034】
更に、内面磁気シ−ルド鋼板2の裏面側に鉄筋、鉄骨或いはそれらを併用した構造材を組み立てる。この工程は、上記内面磁気シ−ルド鋼板2を組み立てる前の工程でもよいし、磁気シ−ルド鋼板の組み立てと同時進行で施工することもできる。
【0035】
その後、構造材を取り囲むようにして外側面の通常の型枠を組み立てる。この型枠は、上記シミュレ−ションの結果、磁気シ−ルド鋼板を内側面配置のみよりも、内外側面配置或いは外側面配置の方が効果的であると判断した場合、例えば、止水鋼板としての効果を期待したい等の場合には、上記と同様な外面磁気シ−ルド鋼板3が永久型枠として使用される。必要がなければ、通常の型枠が使用される。
磁気シ−ルド鋼板の配置計画後の施工について、一実施例として説明したが、施工手順は施工現場の状況により随時変更されるものである。
【0036】
外面磁気シ−ルド鋼板3は、内面磁気シ−ルド鋼板2と同様に単位ユニットパネルを適宜選択し、パネルの側端縁同士を突き合わせ、その外側より添接板8を跨らせて接合する。
【0037】
その後、内面磁気シ−ルド鋼板2および外面磁気シ−ルド鋼板3又は通常の型枠間にコンクリ−トを打設する。
コンクリ−トの硬化後通常の型枠は取り外されるが、内面或いは外面磁気シ−ルド鋼板2、3の場合はそのまま仕上げ面として残すことになる。
【0038】
内面磁気シ−ルド鋼板2の既製の床版における施工は、硬化した鉄筋コンクリ−ト床版の表面に予めまたは後施工で一定の間隔で設けられた埋設ボルト15と、内面磁気シ−ルド鋼板2に設けたボルト孔が合致すように載設し、隣接する磁気シ−ルド鋼板相互の側端縁を突き合わせ、その側端部に跨るようにして上方から添接板8を添接して接合する。
【0039】
ここで使用される磁気シ−ルド鋼板は、コンクリ−ト硬化後に載設されるので、裏面側に補強リブは設けていない。先行したコンクリ−トとのズレ止めは、予め、又は後施工でコンクリ−トに埋設された埋設ボルト15と磁気シ−ルド鋼板2に設けたボルト孔との接合により行われる。
【0040】
又、既製の頂版の外側面に磁気シ−ルド鋼板3を載設する場合は、永久型枠として使用せず、コンクリ−トの硬化後に、後施工として外面磁気シ−ルド鋼板3を床版施工と同様にして行う。
【0041】
したがって、先行した打設コンクリ−トとのズレ止めは、予めまたは後施工でコンクリ−トに一定の間隔で設けられた埋設ボルト15と、磁気シ−ルド鋼板3に同じ間隔で穿設されたボルト孔との接合によって行われる。
【0042】
上記施工では、内面或いは外面磁気シ−ルド鋼板の組み立ては、現場における磁気シ−ルド鋼板から成る単位ユニットパネル相互を添接板8を介しボルトによる接合で形成されているが、工場等で予め大組みをし、それを現場搬入して設置施工してもよい。
また、磁気シ−ルド鋼板に構造材となる鉄筋等を予め工場等で組み込んで形成し、それを現場搬入してもよい。
【0043】
床版および頂版に取り付ける磁気シ−ルド鋼板は、コンクリ−トが硬化してから施工される後施工による方法で説明したが、内面或いは外面磁気シ−ルド鋼板を構成する単位ユニットパネルの所用箇所に、コンクリ−トのブリ−ジングを解消させる孔を予め設けることにより、底版および頂版における磁気シ−ルド鋼板も、永久型枠兼用の磁気シ−ルド鋼板を使用して施工を行うことができるものである。
【0044】
【発明の効果】
本願発明の磁気シールドボックスカルバ−トは、磁気シ−ルド鋼板を、鉄道、自動車等の走行する空間、或いは地中送電線等の施設が設置される空間側である内側面、或いは必要に応じて外側面にも設けたので、磁気を有効的にシ−ルドすることができ、また、磁気シ−ルド鋼板を複数枚重ね合わせることにより、磁気遮蔽効果を大幅に向上することもできる。
【0045】
また、磁気シ−ルド鋼板相互の接合部に磁気シ−ルド鋼板と同じ材料から成る添接板を添えたことにより、継目部からの磁気の漏洩を防止することが可能となり、周辺施設の精密電子機器の誤動作、CRT画像の色ずれ・揺れ等を防止することができるものである。
更に、上記磁気シ−ルド鋼板として、方向性電磁鋼板などのように一定方向の磁気にのみ有効な方向性のある磁気シ−ルド鋼板を使用すれば、磁気の遮蔽を効率的にできると同時に、コストを低減することができる。
【0046】
また、磁気シ−ルド鋼板は、磁気シ−ルドの他に、コンクリ−ト打設時の型枠の役割を兼ねることができ、型枠兼用として用いるときは、磁気シ−ルド鋼板を形成する平板に補強リブが設けられ、当該補強リブをコンクリ−ト側にして磁気シ−ルド鋼板を配設するので、コンクリ−ト打設時の打設圧に抵抗することができる補強材としての役割をすると同時に、コンクリ−トとの密着性を高めることができる。
【0047】
なお、上記平板と補強リブの合成構造は、本体構造と協同してSRC構造を形成することによる本体構造の設計合理化、施工コストの低減や工期の短縮、耐震性の向上など、幅広い効果が期待できるものである。
【0048】
更に、周囲の地下水位の状況によっては、磁気シ−ルド鋼板が止水効果を兼ねることができ、又、添接板に止水コ−キング用溝を設けて、当該溝に予めコ−キング材を埋め込んでおくことにより、より一層止水効果を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 磁気シールドボックスカルバ−トの断面図である。
【図2】 磁気シ−ルド鋼板を構成する単位ユニットパネルの斜視図である。
【図3】 磁気シ−ルド鋼板を構成する基本パネルと添接板を示す分解図と接合された状態を示す断面図である。
【図4】 硬化したコンクリ−トと磁気シ−ルド鋼板を構成する平板を示す斜視図と断面図である。
【図5】 磁気シ−ルド鋼板を構成する単位ユニットパネルの接合部における添接板の断面図である。
【図6】 添接板が交差する部分を示す平面図と、拡大平面図である。
【符号の説明】
1 鉄筋コンクリートボックスカルバ−ト
2 内側磁気シ−ルド鋼板
3 外側磁気シ−ルド鋼板
4 基本パネル
5 コ−ナ−パネル
6 補強リブ
7 平板
8 添接板
9 ボルト
10 止水コ−キング用溝
11 コ−キング材
12 ボルト孔
13 ボルト孔
14 ボルト孔
15 埋設ボルト
16 切り欠き部
Claims (10)
- 鉄筋コンクリ−ト又は鉄骨鉄筋コンクリ−ト構造材よりなるボックスカルバ−トの表面に磁気シ−ルド鋼板を装着した磁気シ−ルドボックスカルバ−トにおいて、磁気シ−ルド鋼板を構成する基本パネル相互或いはコ−ナ−パネルとの接合部に、前記パネルと同じ材料から成る添接板を表面となる側から両方に跨るように添接し、当該パネルと添接板とを結合手段によって接合して成ることを特徴とする磁気シ−ルドボックスカルバ−ト。
- 上記パネルに添接される添接板の添接面に止水コ−キング用溝を複数形成し、該止水コ−キング用溝にコ−キング材を詰めて成ることを特徴とする請求項1に記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−ト。
- 磁気シ−ルド鋼板は、磁性材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れかに記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−ト。
- 磁気シ−ルド鋼板に塗装等の防蝕処置が施されて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−ト。
- 基本パネルおよびコ−ナ−パネルは、平板と、コンクリート打設側の面に縦横に設けた補強リブとにより永久型枠として形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−ト。
- 埋設予定地での磁界の方向、磁気の大きさ、磁気の分布を把握するために予め磁気に関する測定やシミュレ−ション解析を行い、測定やシミュレ−ション解析結果に基いて磁気シ−ルド鋼板の配置を決定し、この配置計画に従って既製のボックスカルバ−トの表面に磁気シ−ルド鋼板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−トの形成方法。
- 磁気シ−ルド鋼板の組み立ては、基本パネル相互或いはコ−ナ−パネルの側端縁を突き合わせ、表側となる面に、各パネルの側縁部に跨るようにして添接板を添設し、添接板に設けたボルト孔にボルトを挿入して各パネルを接合して成る、既製のボックスカルバートの表面に磁気シールド鋼板を装着する請求項6に記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−トの形成方法。
- 床版を構成するコンクリ−ト面に予め一定の間隔で埋設ボルトを設け、埋設ボルトと同じ間隔でボルト孔が設けられた磁気シ−ルド鋼板をコンクリ−ト上面に載置し、埋設ボルトを磁気シ−ルド鋼板のボルト孔に挿通してナットで締め付けて成ることを特徴とする請求項7に記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−トの形成方法。
- 床版を構成するコンクリ−ト面に後施工で一定の間隔で埋設ボルトを設け、埋設ボルトと同じ間隔でボルト孔が設けられた磁気シ−ルド鋼板をコンクリ−ト上面に載置し、埋設ボルトを磁気シ−ルド鋼板のボルト孔に挿通してナットで締め付けて成ることを特徴とする請求項7に記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−トの形成方法。
- 埋設予定地での磁界の方向、磁気の大きさ、磁気の分布を把握するために予め磁気に関する測定やシミュレ−ション解析を行い、測定やシミュレ−ション解析結果に基いて磁気シ−ルド鋼板の配置を決定し、この配置計画に従って磁気シールド鋼板を組み立て、更に磁気シ−ルド鋼板の裏面側に沿って鉄筋或いは鉄骨鉄筋から成る構造材を組み立て、次いで必要とするところへ当該構造材を取り囲むようにして仮型枠を設けてコンクリ−トを打設し、コンクリ−トの硬化後に仮型枠を取り外して成る磁気シ−ルド鋼板を永久型枠として使用する請求項5に記載の磁気シ−ルドボックスカルバ−トの形成方法。
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