JP3657507B2 - 電子レンジ用シェイクアイス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電子レンジで加熱解凍でき、手でもんだりストローやスプーン等でかき混ぜたりすることで簡単に調製できる、電子レンジ用シェイクアイス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シェイクアイスは、氷塊が縣濁したスラリー状の飲料で、その特有の食感が人気を集めている。一般に、シェイクアイスは、飲食店等で原料を調合、均質化して原料のシェイクアイス用ミックスを調製し、これをフリーザーでフリージングして製造される。この方法では、原料の均質化或いはフリージングを行うための特別の機械設備を要し、食感上好ましい程度に氷塊を形成する等にフリージングを行う必要があり、一般家庭で簡単に作ることは困難であった。
【0003】
一方で、一般家庭でも簡単に作ることが出来るシェイクアイスとして、牛乳等を加えて攪拌することによりシェイクアイスを調製する形態のシェイク用ミックスが市販されているが、これらによって調製されるシェイクは氷塊が形成されず、またスラリー状の重量感のある食感がない点で、上記飲食店で製造販売されているものとは異なり、満足のいくものではない。
【0004】
そこで、一般家庭で簡単に作ることが出来、なおかつ飲食店で作られるものと同等の食感を有するシェイクアイスとして、電子レンジを用いて加熱解凍できるシェイクアイスが種々検討されている。
【0005】
例えば、▲1▼電子レンジで解凍した場合、簡単に微細な氷塊が縣濁したスラリー状の重量感のある食感を有するシェイクが得られ、原料中の油脂含有量を増加させ、特定の甘味料を使用したシェイク用原料(特公平4−65657号公報)、▲2▼オーバーランさせフリージングした組成物、およびオーバーランさせフリージングした組成物と粒状の氷塊との混合物を、上層および下層の二層にて容器に充填し、冷凍した電子レンジ用シェークアイス(特許第2627949号、▲3▼容器に充填された粒径3mm以下の粒状氷塊を40〜80重量%含有する組成物の中心に、粒径4〜6mmの粒状氷塊を40〜80重量%含有する組成物を大略円錐形状に充填して冷凍された電子レンジ用冷菓(特開平10−327759号公報)が提案されている。
【0006】
しかし、前記▲1▼ではシェイク用ミックスの処方が一定のものに限定され、▲2▼では二層構造とすることで製造工程が複雑となり、▲3▼では特別な製造設備を要していた。また、更に食感の改良されたシェイクアイスの要望もあった。
【0007】
また、シェイクアイス特有の清涼感を出すために、シェイクアイス中の固形分を35%程度までに低めに抑えたものを検討したが、電子レンジで解凍した際、盤状の氷結晶が析出し、その氷結晶が原因で、所望のなめらかな食感が得られないことが問題となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、飲食品店等で販売されているような、食してもなめらかで、盤状の氷結晶析出が抑えられることにより、盤状の氷結晶由来の違和感のある食感が感じられず、特有の清涼感のある食感のシェイクアイスを、一般家庭で電子レンジを用いて簡単に作ることが出来る電子レンジ用シェイクアイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、シェイクアイス中にゲル化基材を含むことにより、電子レンジで加熱解凍し、手でもんだりストローやスプーン等でかき混ぜたりすることにより得られたシェイクアイスは、食してもなめらかで、盤状の氷結晶析出が抑えられることにより、盤状の氷結晶由来の違和感のある食感が感じられず、アイス特有の清涼感のあるシェイクアイスとなることを見つけた。更に、ゲル化基材をカッパ−カラギナン、寒天及びジェランガムのうち、少なくとも1種とすることにより、更に良好な食感が得られることが判った。
【0010】
加えて、シェイクアイスの固形分を10〜35重量%に設定することにより、あわせてシェイクアイス特有の良好な清涼感が得られることがわかった。また電子レンジ用シェイクアイスは、シェイクアイス用ミックスを熱時充填しゲル化させた後冷凍することにより製造でき、ミックス原料の処方も制約されることなく、製造工程も容易にできることを見つけた。
【0011】
すなわち、本発明は、下記項1〜4に掲げる電子レンジ用シェイクアイス及びその製造方法である:
【0012】
項1. シェイクアイス用ミックスを熱時充填しゲル化させた後冷凍することを特徴とする電子レンジ用シェイクアイスの製造法。
項2. ゲル化基材が、カッパ−カラギナン、寒天及びジェランガムから選択される1種又は2種以上である項1に記載の電子レンジ用シェイクアイスの製造法。
項3. 固形分を10〜35重量%含有する項1又は2に記載の電子レンジ用シェイクアイス。
項4. 項1乃至3の製造法により製造された電子レンジ用シェイクアイス。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明でいう電子レンジ用シェイクアイスは、ゲル化基材を含むことを特徴とする。本発明でいうゲル化基材とは、シェイクアイス用ミックスをゲル化させるものであれば良いが、具体的には、カッパ−カラギナン、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、ネイティブジェランガム、マクロホモプシスガム、ゼラチン、イオタ−カラギナン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)等のゲル化基剤を挙げることができる。これらは単独で用いても複数のゲル化基材を組み合わせて用いてもよい。中でも、カッパ−カラギナン、寒天及びジェランガムから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。このゲル化基材が特に電子レンジで解凍した後のシェイクアイス中に生じる盤状の氷結晶の析出を抑えることが出来るからである。
【0014】
中でも、中性(pH6〜7)で調製されるシェイクアイスにはカッパ−カラギナン、酸性(pH3〜6、より好ましくは、3.5〜5.5)で調製されるシェイクアイスには寒天を用いるとよい。これらのゲル化剤を使用することにより、得られた電子レンジ用シェイクアイスを電子レンジで解凍した後、盤状の氷結晶の析出を有意に抑えることが出来るからである。
【0015】
更に、本発明の電子レンジ用シェイクアイスは、含まれる固形分が、10〜35重量%の範囲に設定されていることが好ましい。この範囲に設定することで、シェイクアイス特有の清涼感のある風味とすることが出来る。これよりも少ないとシェイクアイスを作成したときに盤状の氷結晶が出来やすくなり、これよりも多いと氷結晶自体が形成しにくくなり、シェイクアイス特有の食感が損なわれるからである。かかる固形分の成分としては、通常シェイクアイス用ミックスに使用される水溶性の固形分であれば特に制限はないが、具体的には、後述のタンパク質、糖質、甘味質、油脂、無脂乳固形分、着香料、着色料、乳化剤、安定剤等を挙げることが出来る。
【0016】
本発明の電子レンジ用シェイクアイスは、前述のもの以外は、通常のシェイクアイスミックスに用いられる原料と同様の構成をとることができ、水、タンパク質、糖質、甘味質、油脂、無脂乳固形分、着香料、着色料、乳化剤、安定剤等より選択された添加材料を、所定の割合で混合させ溶融したものが用いられる。
【0017】
タンパク質としては、通常、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳或いは脱脂加糖練乳などの水溶性の乳由来のタンパク質や、卵由来のタンパク質が好適に用いられる。
【0018】
糖質としては、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、異性化糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類があげられる。
【0019】
甘味質としては、上記糖質の他、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類;サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセサルファムK、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等を挙げることができる。
【0020】
油脂としては、植物油脂、バターや生クリーム等の乳脂肪分、あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等の中から一種又は二種以上を併用することができる。植物油脂の例としては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油及びヤシ油を挙げることができる。
【0021】
安定剤としては、例えば、トラガントガム、タラガム、カラヤガム、グアガム、アラビアガム、ラムダ−カラギナン、CMC、微結晶セルロース、大豆多糖類等を挙げることができる。
【0022】
乳化剤としては、例えば、クエン酸あるいは乳酸等の有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン等などを挙げることができる。
【0023】
また、着香料や着色料は、公知のアイスクリーム生地に添加されるものが選択されて用いられる。また、栄養強化等の目的でビタミン、ミネラル等も含んでいても良い。
【0024】
本発明に係る電子レンジ用シェイクアイスの製造方法であるが、シェイクアイス用ミックスを熱時充填しゲル化させた後冷凍することを特徴とする。上記シェイクアイス用原料を秤量混合し、加温(30〜80℃)溶解し、必要に応じて濾過、ホモジナイズを行った後、熱時(40〜80℃)充填を行う。充填後、放冷(5〜20℃)にてゲル化した後、冷凍(−18℃以下、好ましくは−30℃以下)を行う。充填容器は、電子レンジ加熱に耐えられる容器であれば制限はないが、好ましくは、スタンディングパウチ、カップ等に充填する。なお、殺菌は、68℃、30分以上の条件や、HTST殺菌やUHT殺菌等通常行われる殺菌工程にて行うが、充填前であっても充填後であっても良い。
【0025】
なお、本発明に係る製造方法は、シェイクアイス用ミックスを熱時充填しゲル化させた後冷凍すればよく、その他は通常の冷菓の製造工程により製造すれば良く、前記方法に限定されない。また、本発明では特にオーバーランを行う必要はなく、オーバーラン工程を省略することによって製造工程も容易となる。
【0026】
得られた電子レンジ用シェイクアイスは、製造販売ルートでは冷凍流通される。該シェイクアイスを、一般家庭等において、電子レンジで半解凍し、必要に応じ、手でもんだり、ストローやスプーン等でかき混ぜたりすることで、簡単にシェイクアイスとなる。このシェイクアイスは、スプーンやストロー等で喫食することができ、食してもなめらかで、盤状の氷結晶由来の違和感のある食感が感じられず、シェイクアイス特有の清涼感のある食感となった。
【0027】
また、本発明の電子レンジ用シェイクアイスを製造するに際し、製造工程も複雑な工程を取ることなく、通常の冷菓用設備で製造することが出来、オーバーラン工程も必要ないことから、製造工程が容易となった。また、本発明によれば、シェイクアイス用ミックスの処方も特に限定されず、チョコレート、ストロベリー、バニラ、グレープ等、調整されるpHによる制約もなく、多種の味に調製することができるようになった。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り単位は重量部とし、*印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を示す。
【0029】
実施例1:シェイクアイス(チョコレート味)の調製
下記処方中、香料と色素以外を原料をあわせて、80℃10分間加熱攪拌溶解し、全量補正し、ホモジナイズ(1.47×107Pa=150mPa・s)後、香料、色素を添加混合し、70℃にてスタンディングパウチ容器に充填した。これを10℃30分間冷却してパウチ容器内でゲル化させた後、−30℃1時間急速冷凍して、電子レンジ用シェイクアイス(チョコレート味)を調製した。
【0030】
得られた電子レンジ用シェイクアイスを200W電子レンジにて4分間加熱した後、手でもんでほぐして、チョコレート味のシェイクアイスを得た。得られたシェイクアイスを食したが、なめらかで清涼感のある良好な食感であった。
【0031】
処方(pH6.7 固形分21.0%)
脱脂粉乳 4.0
砂糖 6.0
果糖ブドウ糖液糖 6.0
ヤシ油 5.0
ココア末 1.0
ゲルアップWA* 0.35
(カッパ−カラギナン38.3%、ローカストビーンガム7.1%、乳酸カルシウム6.6%、ブドウ糖48%含有)
乳化剤(ホモゲンNO.690*) 0.3
色素(SRチョコレート色NO.2*) 0.2
香料( ブラックチョコレートフレーバー *) 0.1
水にて合計 100.0とする。
【0032】
比較例として、上記処方のうちゲルアップWAの代わりに、グアーガム0.3部を添加した以外は同様の処方、方法にて電子レンジ用シェイクアイスを調製したが、容器充填後冷却してもゲル化しなかった。また、急速凍結して得られたものを、上記方法と同様に解凍して、チョコレート味のシェイクアイスを得たが、外観は盤状の氷結晶が見られ、食してみても氷結晶由来の違和感のある食感となり、なめらかなシェイク特有の食感とならなかった。
【0033】
実施例2:シェイクアイス(イチゴ味)の調製
下記処方中、香料と色素以外の原料をあわせて、80℃10分間加熱攪拌溶解し、全量補正し、ホモジナイズ(1.47×107Pa=150mPa・s)後、香料、色素を添加混合し、70℃にて紙カップ容器に充填した。これを10℃90分間冷却してパウチ容器内でゲル化させた後、−18℃3時間冷凍して、電子レンジ用シェイクアイス(イチゴ味)を調製した。
【0034】
得られた電子レンジ用シェイクアイスを500W電子レンジにて40秒間加熱した後、ストローで攪拌して、イチゴ味のシェイクアイスを得た。得られたシェイクアイスをストローで食したが、なめらかで清涼感のある良好な食感であった。
【0035】
処方(pH5.5 固形分22.3%)
脱脂粉乳 4.0
砂糖 6.0
果糖ブドウ糖液糖 6.0
水あめ 6.0
ヤシ油 5.0
5倍濃縮透明イチゴ果汁 1.0
クエン酸(結晶)* 1.0
ゲルアップ PIS−AS* 0.35
(寒天21%、ローカストビーンガム13.5%、グアーガム4.5%、クエン酸三ナトリウム7%、メタリン酸ナトリウム3.5%、大豆多糖類30%、乳糖20.5%含有)
乳化剤(ホモゲンNO.690*) 0.3
色素(SRレッドK−3*) 0.05
香料(ストロベリーフレーバーNO.70040*) 0.1
香料( ミルクフレーバーNO.9907 *) 0.1
水にて合計 100.0とする

Claims (4)

  1. シェイクアイス用ミックスを熱時充填しゲル化させた後冷凍することを特徴とする電子レンジ用シェイクアイスの製造法。
  2. ゲル化基材が、カッパ−カラギナン、寒天及びジェランガムから選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の電子レンジ用シェイクアイスの製造法。
  3. 固形分を10〜35重量%含有する請求項1又は2に記載の電子レンジ用シェイクアイス。
  4. 請求項1乃至3の製造法により製造された電子レンジ用シェイクアイス。
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