JP3655680B2 - 非球面形状測定用干渉計 - Google Patents

非球面形状測定用干渉計 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学素子の面形状、特に、非球面形状を測定する干渉計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非球面の形状を干渉計を用いて測定する方法は、従来種々提案されている。かかる測定方法においては、被検面の非球面量が小さい場合には、球面測定用干渉計で評価することもできるが、非球面量が大きくなると測定が困難になるため、何らかの対策が必要になる。その対策として、例えば、干渉計の光路中に非球面波を発生させるヌル原器と呼ばれるものを配置して、非球面の被検面に垂直に光を入射させるようにしたものが従来提案されており、また、この場合に用いるヌル原器として、回折光学素子(DOE)であるホログラムを利用するホログラム原器と呼ばれるものや、ゾーンプレートを利用するゾーンプレート原器と呼ばれるものが提案されている。
【0003】
また、ヌル原器をアライメントする方法として、特開平6−11323号公報には、以下のような方法が提案されている。
(1)測定波発生部材(ヌル原器)の片面に波長λ1の波長に対応した形状測定波面を生成するためのパターンを形成し、その反対面にλ2の波長の光が入射したときに球面波を発生させるパターンを形成して、球面波をアライメントに用いる方法。
(2)測定波発生部材の同一面に、形状測定波面用パターンと、球面波用パターンとの2つを重ねて形成する方法。
(3)測定波発生部材の異なる領域に、形状測定波面用パターンと球面波用パターンとを形成する方法。
(4)測定波発生部材を液晶素子で形成し、形状測定波面用パターンと球面波用パターンとの切り替えを、液晶に印加する電圧分布を変えることにより実現する方法。
【0004】
一方、ヌル原器を、例えば平行光束中に置く場合には容易に位置合わせすることができるが、例えば球面波中に置く場合には、平行光束中に配置する場合に比べてアライメント軸が2軸増えるために、アライメントが困難になる。このように、ヌル原器を球面波中に置く場合のアライメント方法として、例えば、
(5)特公平5−13441号公報に開示されているように、位置合わせマークを有する調整用ホログラム原器を所定位置に配置して、アライメント光学系のレチクルの指標を位置合わせマークに合致させ、次に調整用ホログラム原器と測定用ホログラム原器とを交換する方法。
(6)特開平5−157532号公報に開示されているように、1枚の基板上に測定用の透過型計算機ホログラムと位置合わせ用の反射型計算機ホログラムとを形成し、反射型ホログラムを用いて干渉計に位置合わせした後、基板を所定量移動させて透過型ホログラムを所定の位置にセットして、測定する方法。
がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の非球面形状測定用干渉計にあっては、以下のような問題点がある。
【0006】
問題点1
上記(1)の方法においては、例えば波長λ1の光は、形状測定波面を発生させるためのパターンだけでなく、その反対面の球面波を発生させるパターンにも入射して、2つのパターンで回折されるため、光の利用効率が低下する。このような現象は、波長λ2の光を用いる場合にも、同様に発生する。
【0007】
問題点2
上記(2)の方法においては、同一面に2つのパターンが重ねて形成されているため、入射光が2つのパターンで回折され、これがため形状測定光、アライメント光の利用効率が低下する。
【0008】
問題点3
上記(3)の方法においては、測定波発生部材の異なる領域に2つのパターンが形成されているため、異なる被検面に対応するには、全体を作り直さなければならず、汎用性に欠ける。
【0009】
問題点4
上記(4)の方法においては、液晶素子を用いるため、装置が複雑になると共に、液晶素子の電極パターンが決まっているために、液晶素子に正確な位相分布を持たせることができず、測定精度に限界がある。
【0010】
問題点5
また、上記(1),(2),(3),(4)のいずれの方法においても、測定波面用とアライメント波面用の2つのパターンが必要になる。
【0011】
問題点6
上記(5)の方法においては、測定時に原器を交換する手間が必要になり、また、その原器を交換するという作業が誤差発生原因になる。
【0012】
問題点7
上記(6)の方法においては、反射型ホログラムを用いて位置合わせをした後に基板を高精度に移動させる機構が必要になるため、装置が複雑で高価になる。また、光学的方法で高精度に位置合わせしても、結局最後に用いる機械的移動機構で全体の精度が決定されてしまう。
【0013】
この発明の目的は、特に上記問題点5を解決し、簡単に製作できるヌル原器を用いて高精度の形状測定ができるよう適切に構成した非球面形状測定用干渉計を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、光源と、この光源からの光を参照光と測定光とに分割すると共に、被検面で反射した測定光と前記参照光とを合成して干渉縞を生じさせるための分割合成素子と、この分割合成素子と前記被検面との間に配置した干渉測定用ヌル原器とを有する非球面形状測定用干渉計において、
前記光源と前記分割合成素子との間に選択的に配置される被検面測定用および被検面アライメント用の異なる波長の光を透過するカラーフィルターと、
前記分割合成素子と前記干渉測定用ヌル原器との間に挿脱可能に配置される輪帯状の開口を有する絞りとを有し、
前記干渉測定用ヌル原器は、回折格子からなる被検面測定用パターンを有し、
被検面アライメント時には、前記光源と前記分割合成素子との間に被検面アライメント用の前記カラーフィルターを配置すると共に、前記分割合成素子と前記干渉測定用ヌル原器との間に前記絞りを挿入し、被検面測定時には、前記光源と前記分割合成素子との間に被検面測定用の前記カラーフィルターを配置すると共に、前記分割合成素子と前記干渉測定用ヌル原器との間から前記絞りを取り除くようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明に係る非球面形状測定用干渉計においては、被検面測定用パターンは、被検面測定時に用いるカラーフィルターの波長の光に対して作成されるので、異なる波長の光が入射すると、被検面測定用波面とは異なる波面が形成される。したがって、被検面測定用パターンの所定のピッチ分布を有する一部分に、被検面測定用波長とは異なる波長のカラーフィルターおよび絞りを経てアライメント用の光を入射させれば、ほぼ無収差の球面波からなるアライメント用波面が発生するので、アライメント用波面を発生させるための特別なパターンをヌル原器に形成する必要がない。
【0016】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明とともに開発した第1参考例における光学系全体の構成を示す図である。この第1参考例は、フィゾー型干渉計に適用したもので、光源1、ビームエキスパンダー2、参照平面3、ヌル原器10、ハーフミラー7、瞳結像レンズ8およびスクリーン9を有し、例えば非球面レンズ等の被検対象物(被検レンズ)6の被検面61の形状を測定する。
【0017】
図1において、光源1は、例えばHe−Neレーザーを用い、ビームエキスパンダー2は、レンズ群21,22をもって構成する。また、参照平面3は、ビームエキスパンダー2とヌル原器10との間に配置し、ハーフミラー7は、ビームエキスパンダー2を構成するレンズ群21,22間に配置する。
【0018】
ヌル原器10は、測定用DOE4および被検面アライメント用DOE5を有する。測定用DOE4は、図2aに示すように、光学材料からなる平行平面板を基板とし、その片面に同心円状のリングパターンを有する透過型の回折格子からなる測定用パターン41を形成して構成する。ここで、測定用パターン41は、その断面形状を図2bに示すように、所定の回折次数、例えば1次の回折光に対してブレーズ化するのが好ましい。
【0019】
また、被検面アライメント用DOE5は、図3aに示すように、光学材料からなる平行平面板を基板とし、その中心部を円形にくり抜いて中空に形成すると共に、片面に同心円状のリングパターンを有する透過型の回折格子からなる被検面アライメント用パターン51が形成して構成する。ここで、被検面アライメント用パターン51は、その断面形状を図3bに示すように、所定の回折次数、例えば2次の回折光に対してブレーズ化するのが好ましい。この第1参考例では、図4に示すように、被検面アライメント用DOE5の中空部に、測定用DOE4を嵌合して、両者の相対的位置関係を一定に保持する。
【0020】
図1に示す構成において、光源1から出たレーザ光は、ビームエキスパンダー2により光束径が広げられ、ほぼ平行な光束に変換されて、参照平面3に入射する。参照平面3では、入射光に対して数%の反射光が発生し、その反射光は参照光となり、透過光は測定用DOE4および被検面アライメント用DOE5に入射する。
【0021】
被検面アライメント用DOE5に入射した光束は、被検面アライメント用パターン51により回折作用を受け、被検面61の面頂に集光する輪帯状の球面波に変換される。ここで、被検面アライメント用パターン51の断面形状を、上述したようにブレーズ化しておけば、回折効率がほぼ100%となるので、干渉縞を観察する際にコントラストを向上させることができる。被検面61が所定の位置に置かれていれば、球面波に変換された光束は、被検面61の面頂に収束して反射され、その反射された光束は、再び輪帯状の球面波となって参照平面3、レンズ群22、ハーフミラー7および瞳結像レンズ8を経てスクリーン9に至り、参照平面3で反射された参照光と干渉して輪帯状の干渉縞を形成する。
【0022】
一方、測定用DOE4に入射した光束は、測定用パターン41により回折作用を受けて所定の波面に変換される。ここで、測定用パターン41の断面形状が、上述したようにブレーズ化されていれば、回折効率がほぼ100%となるので、ノイズとなる不要光による干渉縞の発生を有効に防止できる。測定用パターン41により変換された光束は、被検面61にほぼ垂直に入射して反射され、この被検面61で反射された光束は、被検面61に大きな形状誤差がない場合には、往路とほぼ同じ光路を通って、参照平面3、レンズ群22、ハーフミラー7および瞳結像レンズ8を経てスクリーン9に至り、参照平面3で反射された参照光と干渉して干渉縞を形成する。
【0023】
以下、実際に測定を行う手順について説明する。
先ず、被検レンズ6をおおよそ所定の位置に置いて、被検面アライメント用パターン51による干渉縞を観察しながら、図示しない被検レンズ位置調整機構により、被検レンズ6の光軸方向の位置を調整する。この調整において、被検面61の光軸方向の位置が正しくないと、スクリーン9には、図5aに示すように、被検面アライメント用パターン51による干渉縞11と被検面測定用パターン41による干渉縞12との2つの干渉縞が観測され、正しく位置調整されると、図5bに示すように、干渉縞11がヌルになる。
【0024】
次に、図示しない被検レンズ位置調整機構により、被検面61の傾きや、偏心を調整して、被検面測定用パターン41による干渉縞をできるだけヌルに近づける。この際、被検面61の傾きや、偏心を調整すると、面頂の位置が光軸方向にずれる場合があるので、ときどき被検面アライメント用パターン51による干渉縞を確認するのが望ましい。この調整において、被検面61に製作誤差がない場合には、アライメントが終了すると、図5cに示すように、干渉縞11,12がともにヌルになる。
【0025】
被検面61のアライメントが終了した後、被検面61の形状測定に移る前に、図1に示すように、輪帯状の絞り14を光路中に配置して、測定用パターン41以外に入射する光束を遮断するのが望ましい。この状態で、図示しない機構により参照平面3を光軸方向に微動させることにより、位相シフト測定を行うこともできる。
【0026】
この第1参考例では、ヌル原器10を構成する測定用DOE4と、被検面アライメント用DOE5とを別々に作成しているので、測定用DOE4と被検面61の面頂との光軸方向の距離を一定にしておけば、異なる被検面形状に対しても、測定用DOE4と被検面アライメント用DOE5との両方を作り直す必要はなく、測定用DOE4の部分だけを作り替えることによって、容易に対処することができる。
【0027】
また、図1では、被検面61を凹面の非球面としたが、測定用DOE4に形成する測定用パターン41を変更することにより、凸面の非球面に対しても、容易に対処することができる。
【0028】
さらに、上記説明では、光源1として、He−Neレーザを挙げたが、これに限られるわけでなく、他のレーザ、例えばHe−Cdレーザ、Ar+ レーザを用いることもできる。
【0029】
また、上述した第1参考例では、被検面アライメント用DOE5の中空部に、測定用DOE4を嵌合して、両者の相対的位置関係を一定に保持するようにしたが、例えば測定用DOE4を、特定の溶剤にとける接着剤により被検面アライメント用DOE5の中空部に接着したり、図6に示すように、被検面アライメント用DOE5の側面にネジ穴を形成し、そのネジ穴を利用してネジ110により両者を固定するように構成することもできる。
【0030】
あるいは、図7に示すように、測定用DOE4および被検面アライメント用DOE5を、それぞれよく研磨した平行平面基板で製作して、オプティカルコンタクトにより一体化させることもできる。この場合には、両者のリングパターンの中心を一致させる必要があるが、被検面アライメント用DOE5を中空のドーナツ形状に加工する必要はないので、その製作が容易になる。
【0031】
さらに、図8aに示すように、被検面アライメント用パターン51を、異なる球面波を発生させる2つのパターン51Aおよび51Bを同心円状に形成して構成し、これにより図8bに示すように、異なる2つの位置に収束させるようにしたり、あるいは、図8cに示すように、上記の2つのパターン51Aおよび51Bを、同一軸帯上で互い違いに等分に配置して、図8dに示すように、異なる2つの位置に収束させるようにすることもできる。このようにすれば、例えば両面が非球面からなるレンズの異なる面を測定する場合、1つの被検面アライメント用DOE5を用いてアライメントすることができるので、新たにDOEを作る手間が省けるという利点がある。
【0032】
図9は、この発明とともに開発した第2参考例における光学系全体の構成を示す図である。この第2参考例は、参照面として球面を用いる。このため、図1に示す構成において、参照平面3に代えて参照レンズ3′を用いる。この参照レンズ3′は、一般に参照球面31′を含む複数のレンズ素子を有する。この参照レンズ3′の参照球面31′以外の面には、無反射膜をコーティングする。
【0033】
また、この第2参考例では、図10に示すようなヌル原器10′を用いる。このヌル原器10′は、光学材料からなる平行平面板を基板とし、その片面に同心円状のリングパターンを有する回折格子からなる被検面測定用パターン41′と、被検面アライメント用パターン51′と、DOEアライメント用パターン52′とを形成する。ここで、測定用パターン41′および被検面アライメント用パターン51′は、透過型の回折格子とし、その断面形状は所定の回折次数、例えば1次光に対してブレーズ化する。また、DOEアライメント用パターン52′は、その表面にAl(アルミニウム)などの金属薄膜をコートして反射型の回折格子として作用させる。なお、DOEアライメント用パターン52′は、その断面形状を所定の反射回折次数、例えば2次光に対してブレーズ化する。
【0034】
図9に示す構成において、光源1から出たレーザ光は、ビームエキスパンダー2により光束径が広げられ、ほぼ平行な光束に変換されて、参照レンズ3′に入射する。参照レンズ3′は、入射した平行光束を収束する球面波に変換する。ここで、参照レンズ3′の参照球面31′には、無反射コーティングが施されていないので、参照レンズ3′に入射した光束は、参照球面31′で数%が反射され、その反射光が参照光となり、参照レンズ3′により球面波に変換された光束がヌル原器10′に入射することになる。
【0035】
ヌル原器10′に入射した球面波のうち、測定用パターン41′に入射した光束は、回折格子により回折作用を受けて、所定の波面に変換される。ここで、測定用パターン41′は、その断面形状がブレーズ化されているので、回折効率がほぼ100%となり、ノイズとなる不要光による干渉縞の発生が防止される。この測定用パターン41′により変換された光束は、被検レンズ6′の被検面61′にほぼ垂直に入射し、この被検面61′で反射された光束は、被検面61′に大きな形状誤差がない場合には、往路とほぼ同じ光路を通り、参照レンズ3′、レンズ群22、ハーフミラー7および瞳結像レンズ8を経てスクリーン9に至り、参照球面31′で反射された参照光と干渉して干渉縞を形成する。
【0036】
一方、被検面アライメント用パターン51′に入射した光束は、図11に詳細に示すように、ここで回折作用を受けて、被検面61′の面頂に集光する球面波に変換される。この際、被検面アライメント用パターン51′は、その断面形状がブレーズ化されているので、回折効率がほぼ100%となり、したがって干渉縞のコントラストを向上させることができる。ここで、被検面61′が所定の位置に置かれていれば、球面波に変換された光束は、被検面61′の面頂で反射され、この反射された光束は、再び同じ光路をたどって、参照レンズ3′、レンズ群22、ハーフミラー7および瞳結像レンズ8を経てスクリーン9に至り、参照球面31′で反射された参照光と干渉して輪帯状の干渉縞を形成する。
【0037】
さらに、DOEアライメント用パターン52′に入射した光束は、ここで反射回折作用を受け、入射光の光路を逆にたどって発散球面波に変換される。この際、DOEアライメント用パターン52′は、その断面形状がブレーズ化されているので、高い回折効率が得られ、したがって干渉縞のコントラストを向上させることができる。ここで、ヌル原器10′が所定の位置に置かれていれば、反射回折を受けて球面波に変換された光束は、参照レンズ3′、レンズ群22、ハーフミラー7および瞳結像レンズ8を経てスクリーン9に至り、参照球面31′で反射された参照光と干渉して輪帯状の干渉縞を形成する。
【0038】
以下、実際に測定を行う手順について説明する。
先ず、ヌル原器10′を、参照レンズ3′から発生する球面波中に配置する。次に、DOEアライメント用パターン52′の干渉縞がヌルフリンジになるように、図示しない移動機構によりヌル原器10′の位置を調整する。この際、被検レンズ6′を光路中から外しておけば、スクリーン9には、DOEアライメント用パターン52′からの反射回折光による干渉縞のみが現れるので、調整し易くなる。この操作により、測定用パターン41′および被検面アライメント用パターン51′も所定位置にアライメントされたことになる。
【0039】
ヌル原器10′のアライメントが終了後、被検レンズ6′のアライメントおよび被検面61′の形状測定を、上述した第1参考例で説明したと同様にして行う。なお、この際、好適には、DOEアライメント用パターン52′に入射する光束を遮断しておくと、スクリーン9の被検面アライメントパターン51′や測定用パターン41′による干渉縞が見易くなる。
【0040】
この第2参考例によれば、ヌル原器10′に、反射型の回折格子からなるDOEアライメント用パターン52′および透過型の回折格子からなる被検面アライメント用パターン51′を形成したので、球面波中に測定用DOEを配置した場合でも、測定用DOEおよび被検面のアライメントを正確に行うことができる。
【0041】
なお、この第2参考例では、ヌル原器10′に、被検面の測定用パターン41′、被検面アライメントパターン51′およびDOEアライメントパターン52′の3つのパターンを一体に形成したが、第1参考例のように、測定用パターンを形成する部材と、その他のパターンを形成する部材とを別々に製作して、それらを結合してもよい。また、図9では、被検面61′を凸面としたが、測定用パターン41′を変更することにより、凹面に対しても容易に適用することができる。
【0042】
図12aおよび図12bは、この発明の一実施形態を説明するための図で、図12aは測定時の光学系の構成を、図12bはアライメント時の光学系の構成をそれぞれ示す。この光学系の基本的構成は、第1参考例のフィゾー干渉計と同様であるが、この実施形態では、光源1′として、例えば、543nm,604nm,633nmなどの発振波長を持つマルチカラーHe−Neレーザーを用いる。また、光源1′とビームエキスパンダー2との間の光路中には、測定時にはカラーフィルター13aを、アライメント時にはカラーフィルター13bを配置する。ここで、カラーフィルター13aは、光源1′の発振波長のうちの1つである波長λ1の近傍だけを透過するバンドパスフィルターをもって構成し、カラーフィルター13bは、光源1′の発振波長のうちの1つで、波長λ1とは異なる波長λ2の近傍だけを透過するバンドパスフィルターをもって構成する。
【0043】
また、ヌル原器10″は、光学材料からなる平行平面板を基板とし、その片面には、図13に示すように、同心円状のリングパターンを有する透過型の回折格子からなる測定用パターン41″を形成する。ここで、測定用パターン41″は、その断面形状を波長λ1の所定の回折次数、例えば1次光に対してブレーズ化する。
【0044】
さらに、アライメント時においては、参照平面3とヌル原器10″との間の光路中に絞り14を配置する。この絞り14には、所定の半径rの輪帯状スリット15を形成する。この絞り14は、金属板などで作る場合には、図14に示すように、中央の円盤状部分を保持するための保持部が必要となるが、ガラス基板全面にCrなどの金属薄膜を形成し、エッチングにより輪帯状スリット15を形成する場合には、保持部は必要なく、つながったスリット開口部とすることができる。
【0045】
ここで、絞り14のスリット半径rの決め方について、図15を参照して説明する。ヌル原器10″の測定用パターン41″の半径rに対するピッチdの変化を表す関数をd(r)とおき、ヌル原器10″と被検面61″の面頂との距離をLとする。測定用パターン41″は、波長λ1の1次光に対してブレーズ化されているので、波長λ2の光が入射した場合には、1次光以外の次数の光も射出される。ここで、半径rの場所に入射した波長λ2の光が測定用パターン41″に入射した時、そのm次回折光が被検面61″の面頂に集光される条件は、
d(r)・r/(r2+L2)1/2=m・λ2
となる。上記の条件が成り立つ半径rの周辺では、多少の誤差はあるものの、入射した光は同様に被検面61″の面頂に集光する。その条件が成り立つ範囲の半径rに対応する幅の輪帯状スリット15を、絞り14に形成する。
【0046】
なお、この実施形態では、ビームエキスパンダー2および瞳結像レンズ8は、波長λ1およびλ2に対して収差補正がなされたアクロマートとする。
【0047】
次に、実際に測定を行う場合の手順について説明する。
先ず、図12bに示すように、光源1′とビームエキスパンダー2との光路中にカラーフィルター13bを挿入すると共に、参照平面3とヌル原器10″との間の光路中に絞り14を、その輪帯状のスリット15の中心が干渉計の光軸と一致するように挿入する。この状態で、第1参考例で説明したと同様にして、被検レンズ6″を所定の位置に置いて干渉縞を観察しながら、図示しない被検レンズ位置調整機構により被検レンズ6″の光軸方向の位置を調整する。このとき、スクリーン9には、図16aに示すように、絞り14により制限され、測定用パターン41″の一部分に入射した波長λ2の光束による干渉縞11′が観測される。ここで、図16bのように、干渉縞11′がヌルになると、被検面61″の光軸方向の位置が正しく置かれたことになる。
【0048】
被検面61″のアライメントが終了したら、図12aに示すように、カラーフィルター13bの代わりにカラーフィルター13aを挿入すると共に、絞り14を取り除く。次に、図示しない被検レンズ位置調整機構により、被検面61″の傾きや、偏心を調整して測定用パターン41″による干渉縞12′をできるだけヌルに近づける。ここで、被検面61″に製作誤差がなければ、アライメントの終了により、図16cに示すように、干渉縞12′はヌルフリンジになる。
【0049】
被検面61″のアライメントが終了し、その形状測定を行うにあたっては、アライメント用の波長λ2の光は、カラーフィルター13aで遮断されるので、その状態で、図示しない機構により参照平面3を光軸方向に微動させて、位相シフト測定を行うことができる。
【0050】
この実施形態によれば、測定用パターン41″の他にアライメント用パターンを必要としないので、ヌル原器10″を製作するときの工程が簡略化され、したがって簡単に製作できるヌル原器10″を用いて高精度の形状測定ができる。
【0051】
なお、この実施形態では、光源1′としてHe−Neレーザを挙げたが、これに限られるわけでなく、他のレーザ、例えばHe−Cdレーザ(マルチライン)、Ar+レーザ(マルチライン)等を用いることもできる。また、ヌル原器10″に、第2参考例で説明したようなヌル原器アライメント用パターンを形成することもできる。
【0052】
さらに、この実施形態では、干渉計の基本構成としてフィゾー型を用いて説明したが、この発明はトワイマン・グリーン型(マイケルソン型)干渉計に対しても有効に適用することができる。
【0053】
ところで、一般に、DOE(回折光学素子)は、平行平面板上に凹凸の回折格子パターンを形成して構成される。例えば、上述したヌル原器を構成するDOEは、円板状あるいはドーナツ状の平行平面板上に凹凸の回折格子パターンを形成して構成される。しかし、DOEにおける回折格子パターンの間隔は、通常数μmから数100μmであり、また、その高さも波長程度と、非常に微細であるため、DOEが可視光に対して透明な材料からなる場合には、直接目視するとDOEの表と裏の表面が重なって見え、回折格子パターンが形成されている範囲はわかっても、それがDOEのどちらの面にあるのかが非常にわかりにくい。
【0054】
このようなことから、DOEを用いて光学系を組み立てる場合などに、DOEの表裏を間違えやすく、また表裏の判断に時間がかかるという問題がある。このような問題は、特に、図4、図6および図7に示したように、別々に形成した測定用DOE4と被検面アライメント用DOE5とを一体化したヌル原器10を用いて、図1に示したような干渉計を構成する場合には、ヌル原器そのものを組み立てる場合と、それを用いて干渉計を組み立てる場合との双方において生じることになる。
【0055】
以下、このような問題を解決し得るDOEについて説明する。
図17aおよびbは、その第1の例を示すもので、図17aは、DOE71を回折格子パターン側から見た図であり、図17bは、図17aのA−A線断面図である。このDOE71は、可視光に対して十分に透明な材料からなっている。また、DOE71は、同心円状の回折格子パターンを形成した円状の領域72と、その領域の外側の回折格子パターンがない輪帯状の領域73とを有する。この第1の例においては、回折格子パターンがない領域73の最外周部分に、図17bに示すように、陵を面取りした面取り部分74を形成する。なお、この面取り部分74の面取りの量は、反対側の陵75の面取り量に比べて十分に大きく、目視により面取り部分74と反対側の陵75とを容易に区別できる程度とする。
【0056】
このように構成すれば、面取り部分74と反対側の陵75とを目視で容易に識別することができるので、DOE71のどちらの面に面取り部分74があるのか容易にわかる。また、面取り部分74と回折格子パターンを形成した領域72とは、DOE71の同じ面側にあるので、面取り部分74がある面がどちらの面かがわかれば、回折格子パターンを形成した面も容易にわかる。すなわち、面取り部分74は、回折格子パターンを形成した面を示す目印の役割を果たしており、これにより回折格子パターンを形成した面がどちらかを、目視により容易に認識することができる。したがって、このようなDOE71を用いれば、光学系を組み立てる際などに、DOE71の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。
【0057】
以上、第1の例では、回折格子パターンを形成した面を識別するために、一方の面側に面取り部分74を形成したDOE71について説明したが、このような面取り部分74を形成する場合に限らず、図18、図19および図20に示すようにDOE71を構成することもできる。以下、図18を第2の例、図19を第3の例および図20を第4の例として、それぞれに示すDOE71の構成について説明する。
【0058】
図18に示すDOE71は、図17に示したDOEと同様に、同心円状の回折格子パターンを形成した円状の領域72と、その外側にある回折格子パターンのない輪帯状の領域73とを有する。この第2の例では、DOE71の最外周部分に、他の領域より低い段差76を形成する。ここで、段差76は、回折格子パターンの凹凸に比べて十分大きく、目視で段差76があることが容易にわかる程度とする。
【0059】
このように構成すれば、段差76を目視で容易に識別することができるので、DOE71のどちらの面に段差76があるのか容易にわかる。また、段差76と回折格子パターンは同じ面内にあるので、段差76がどちらの面にあるのかわかれば、回折格子パターンを形成した面も容易にわかる。すなわち、段差76は、回折格子パターンを形成した面を示す目印の役割を果たしており、これにより回折格子パターンのある面がどちらか容易に判断できる。
【0060】
したがって、図18に示すDOE71を用いれば、図17の場合と同様に、光学系を組み立てる際などに、DOE71の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。さらに、この第2の例では、面取りよりも狭い範囲で、段差76を深く形成できるので、段差76を認識し易く、またDOE71の有効径を大きく取ることができる利点がある。
【0061】
次に、図19に示すDOE71について説明する。この第3の例は、陵を、ある半径で丸めた形状の曲面77を最外周部分に形成したものである。この曲面77は、同心円状の回折格子パターンを形成した円状の領域72と、その外側の回折格子パターンがない輪帯状の領域73と同じ面側に形成する。また、曲面77の反対側の陵75は、図17に示したDOEの陵と同様とする。なお、曲面77の半径は、曲面77と反対側の陵75とを目視で容易に識別できる程度に大きくする。
【0062】
このように構成すれば、曲面77と陵75とを目視で容易に識別することができるので、DOE71のどちらの面に曲面77があるのか容易にわかる。また、曲面77と回折格子パターンを形成した領域72とは同じ面内にあるので、曲面77がDOE71のどちらの面にあるのかがわかれば、回折格子パターンがどちらにあるのかも容易にわかる。すなわち、曲面77は、回折格子パターンを形成した面を示す目印の役割を果たしており、これにより回折格子パターンのある面がどちらか容易に判断できる。
【0063】
したがって、図19に示すDOE71を用いれば、図17の場合と同様に、光学系を組み立てる際などに、DOE71の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。さらに、この第3の例では、回折格子パターンが形成された面の角が丸まっているので、欠けにくく、また他のものにひっかけにくいという利点もある。
【0064】
以上説明した第1〜3の例では、回折格子パターンが形成された面の最外周部分全体に、面取り部分74、段差76、曲面77などの目印を形成するようにしたが、これらの目印は、例えば図20に第4の例を示すように、外周部の一部にあるだけでもよい。図20に示すDOE71は、図20aに平面図を、図20bに図20aのA−A線断面図を示すように、同心円状の回折格子パターンを形成した円状の領域72と、その外側の回折格子パターンがない輪帯状の領域73とを有する。この第4の例では、回折格子パターンがない領域73内で、有効径外に、複数個の凹部78を形成する。これら各凹部78の深さは、回折格子パターンの凹凸に比べて十分大きく、目視で容易に認識することができる程度とする。また、凹部78の数は、図20では4個であるが、それ以上でもそれ以下でも、また1つでも良い。
【0065】
このように構成すれば、凹部78を目視で容易に認識することができるので、DOE71のどちらの面に凹部78があるのか容易にわかる。また、凹部78と回折格子パターンを形成した領域72とは同じ面内にあるので、凹部78がDOE71のどちらの面にあるのかがわかれば、回折格子パターンがどちらにあるのかも容易にわかる。すなわち、凹部78は、回折格子パターンが形成された面を示す目印の役割を果たしており、これにより回折格子パターンが形成されている面がどちらか容易に判断することができる。
【0066】
したがって、図20に示すDOE71を用いれば、図17の場合と同様に、光学系を組み立てる際などに、DOE71の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。
【0067】
以上、第1〜4の例では、回折格子パターンを形成した面と同じ面内に目印を有するDOEについて説明したが、これらの目印は、回折格子パターンを形成した面と反対の面にあってもよい。この場合、目印が回折格子パターンを形成した面と反対側にあるので、目印がどちらの面にあるかがわかれば、回折格子パターンはその反対の面内にあることになる。したがって、この場合も上述した場合と同様に、光学系を組み立てる際などに、DOE71の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。
【0068】
また、上述したDOE71は、同心円状の回折格子パターンを有するものであったが、直線状の回折格子パターンを有する場合でも、上述した構成を有効に適用することができ、これにより同様の効果を得ることができる。
【0069】
次に、図21を参照して、回折格子パターンを形成した面を識別するための目印を有するDOEの第5の例について説明する。図21aは、DOE79を回折格子パターン側から見た図であり、図21bはその側面を示す図である。このDOE79は、直線状の回折格子パターンを有し、可視光に対して充分に透明な材料からなっている。この例では、DOE79の側面に凹部80を形成する。この凹部80は、その中心と回折格子パターンを形成した面81との間隔が、凹部80の中心と、面81とは反対側の面82との間隔よりも狭く、その差は目視で容易に判断できる程度とする。また、凹部80の深さは、目視で容易に認識することができる程度とする。
【0070】
このように構成すれば、凹部80を目視で容易に認識することができ、その凹部80の位置を見ることによって、どちらの面が回折格子パターンのある面かが容易にわかる。すなわち、凹部80は、どちらの面に回折格子パターンがあるかを示す目印の役割を果たすことになる。したがって、このようなDOE79を用いれば、光学系を組み立てる際などに、DOE79の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。また、凹部80は側面の表面よりへこんでいるので、枠などを付ける際に邪魔にならず、治具などと組み合わせ易い利点がある。
【0071】
なお、図21では、凹部80の形状を長方形としたが、目視で容易に認識することができる程度の大きさと深さがあれば、任意の形とすることができる。また、目印は、側面より飛び出した凸部とすることもできる。この場合には、凸部が側面より外側にあるので、凸部でDOE79を通る光が遮られることがない。したがって、回折格子パターンをDOE79の基板全面に形成することができるので、DOEの大きさに対して有効径の広いDOEを得ることができる。言い換えれば、同じ有効径ならば、より小さなDOEを得ることができる。
【0072】
図22は、目印を有するDOEの第6の例を示すものである。このDOE79は、図21に示したのと同様に直線状の回折格子パターンを有する。この第6の例では、DOE79の側面に、三角形の平板を付けたような形状の凸部83を設ける。この凸部83は、目視で容易にその形状がわかる程度の大きさと高さを有し、かつ回折格子パターンを形成した面の方に底辺84が、それと逆の面の方に頂角85がそれぞれ向くように設ける。
【0073】
かかる構成によれば、凸部83の形状を見ることによって、容易に凸部83の三角形の向きがわかるので、それにより、どちらが回折格子パターンのある面かがわかる。したがって、このようなDOE79を用いれば、光学系を組み立てる際などに、DOE79の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。また、凸部83が側面より外側にあるので、凸部83でDOEを通る光を遮ることがなく、回折格子パターンをDOE79の基板全面に形成することができ、DOEの大きさに比べて有効径の広いDOEを得ることができる。すなわち、第5の例と同様に、同じ有効径ならばより小さなDOEを得ることができる。
【0074】
なお、図22では、凸部83の形状を三角形としたが、回折格子パターンを形成した面に平行な面に対して上下非対称の形状で、目視により容易に認識することができる程度の大きさと高さを有すれば、任意の形状とすることができる。また、このような形状の目印は、側面よりへこんだ凹部であってもよい。この場合には、目印が側面の表面よりへこんでいるので、枠などを付ける際に、邪魔にならず、治具などと組み合わせ易くなる。
【0075】
図21および図22に示したDOE79では、目印を一つとしたが、目印の数は一つに限らず、必要に応じて複数の目印を設けることもよい。また、回折格子パターンも、直線状に限らず、同心円状のものとすることもでき、その場合も同様な目印を付けることで、同様の効果を得ることができる。
【0076】
次に、図23を参照して、目印を有するDOEの第7の例について説明する。図23aは、DOEを回折格子パターン側から見た図であり、図23bは、図23aのA−A線断面図である。このDOE86は、同心円状の回折格子パターンを形成した円状の領域72と、その外側の回折格子パターンのない輪帯状の領域73とを有する。この例では、回折格子パターンのない領域73内に、表面がすりガラス状になっている領域87を形成する。なお、領域87の反対側の面は鏡面とする。
【0077】
このように構成すれば、表面がすりガラス状の領域87とその反対側の面の表面とを目視で容易に区別できるので、DOE86のどちらの面に領域87があるのか目視で容易にわかる。ここで、領域87と回折格子パターンを形成した領域72とは同じ面内にあるので、領域87がある面がわかれば、どちらが回折格子パターンのある面かが容易にわかる。すなわち、表面がすりガラス状の領域17は、回折格子パターンがどちらの面にあるかを示す目印の役割を果たすことになる。
【0078】
したがって、このようなDOE86を用いれば、光学系を組み立てる際などに、DOE86の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。また、DOE86の表裏を判断するための目印が、すりガラス状の細かい凹凸であり、大きな凹凸がないので、普通のDOEと同様に扱うことができる。
【0079】
なお、表面がすりガラス状の領域87は、周辺部1周に亘って存在しなくてもよく、回折格子パターンがない領域73内に、目視で認識できる程度の面積で形成すればよい。また、この領域87は、回折格子パターンを形成した領域72と反対側の面で、有効径外の領域に形成することもできる。この場合も、領域87がどちらの面にあるかがわかれば、回折格子パターンがある面はその反対側の面であることがわかる。
【0080】
さらに、図23では、同心円状の回折格子パターンを有するDOE86を示したが、直線状の回折格子パターンを有するものであっても、この例を有効に適用することができる。また、回折格子パターンのある面を判断するための領域87は、すりガラス状の表面に限らず、裏面の表面と異なり、その違いが目視で容易にわかるようなもの、例えば、目視で認識可能な程度の大きさの格子とすることもできる。
【0081】
図24は、目印を有するDOEの第8の例を示す断面図である。このDOE88は、可視光に対して十分に透明な材料からなり、一方の面側には、同心円状の回折格子パターンを形成した円状の領域72と、その外側の一部、もしくは全体に、図示しない鏡筒と嵌合するように、光軸方向に突出して形成された輪帯状の凸部89を有する。また、回折格子パターンと反対側の面側にも、その有効径外の一部、もしくは全体に、図示しない鏡筒と嵌合するように形成された同様の輪帯状の凸部90を有する。この例では、凸部89と凸部90とを、目視で容易に区別できる程度に、それらの高さ、あるいは幅を異ならせる。
【0082】
このように構成すれば、回折格子パターンを形成した面側にある凸部89と、その反対の面側にある凸部90とは、高さあるいは幅が目視で容易に区別できるほど異なるので、凸部89と凸部90とを比べれば、どちらが回折格子パターンを形成した面側にある凸部であるかが容易にわかる。すなわち、凸部19と凸部20は、それらを比較することにより、回折格子パターンがある面がどちらなのかを容易に判断できるので、これらは回折格子パターンがある面を判断するための目印の役割を果たすことになる。
【0083】
したがって、このようなDOE88を用いれば、光学系を組み立てる際などに、DOE88の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。さらに、凸部89および凸部90は、鏡筒と嵌合するもので、わざわざ後から枠をはめるなどの特別な工程を要することなく、そのまま鏡筒に固定することができる。また、凸部89および凸部90は、回折格子パターンと一体に形成され、回折格子パターンと既にアライメントがあっているので、鏡筒に固定する際に、鏡筒と回折格子パターンのアライメントを合わせる必要がなく、アライメントのための時間や手間を大幅に節約することができる。
【0084】
なお、凸部89および凸部90は、両方ともある必要はなく、枠の設計に基づいて一方だけとすることもできる。この場合には、両方に凸部がある場合よりも、より違いが大きくなるので、回折格子パターンのある面をより判断し易くなる利点がある。また、図24では、同心円状の回折格子パターンを有するDOE88を示したが、直線状の回折格子パターンの場合にも、この例を有効に適用することができる。
【0085】
図25は、目印を有するDOEの第9の例を示す断面図である。このDOE91は、同心円状の回折格子パターンを形成した円状の領域72およびその外側の回折格子パターンのない輪帯状の領域73とを支持する部材92と、この支持部材92とは異なる材料からなり、回折格子パターンのない領域73上に形成した識別部材93とを有する。支持部材92は、例えば、可視光に対して十分透明な材料で形成する。また、識別部材93は、支持部材92との違いが目視で認識できる材料、例えば、透明ではなく色がついた材料や、屈折率が支持部材92の屈折率と大きく異なる材料等で形成し、かつその大きさは、目視で認識することができる程度に大きくする。
【0086】
このように構成すれば、支持部材92と識別部材93とを目視で容易に区別できるので、識別部材93がDOE91のどちらの面にあるかが容易にわかる。ここで、識別部材93は、回折格子パターンを形成した面と同じ側にあるので、識別部材93がDOE91のどちらの面にあるかがわかれば、回折格子パターンがどちらにあるのかも容易にわかる。すなわち、識別部材93はDOE91の回折格子パターンがある面を示す目印の役割を果たすことになる。したがって、かかるDOE91を用いれば、光学系を組み立てる際などに、DOE91の表裏を容易に識別できるので、その表裏を間違えることなく正確に組み込むことができ、作業にかかる時間を短縮することができる。
【0087】
なお、識別部材93は、図25に示したように支持部材92の表面より突出して設ける他、例えば、図26に第10の例を示すように、支持部材92の領域73に溝を形成し、この溝に埋設するようにしてもよい。また、この識別部材93は、回折格子パターンがある面側の他、例えば、回折格子パターンがある面と反対の面に設けることもできるし、あるいは、図27に第11の例を示すように、支持部材92の側面に設けることもできる。ただし、図27に示すように、識別部材93を支持部材92の側面に設ける場合には、回折格子パターンがある面に近い位置か、もしくはその反対の面に近い位置にかたよって設ける。また、上述した識別部材93は、支持部材92の一部にのみ設けることもできる。
【0088】
上述した第1〜11の例の説明では、平行平面板上に回折格子パターンを形成したDOEを示したが、両面とも球面の場合や、一方が平面で他方が球面の場合でも、同様に適用することができる。すなわち、両面とも球面の場合には、両者の曲率半径が近いと、どちらの面に回折格子パターンが形成されているかがわかりにくいが、上記第1〜11の例に示したような目印を形成すれば、回折格子パターン面を容易に判別することができる。また、一方が平面で他方が球面の場合には、球面の曲率半径が大きいと平面に近くなり、目視での判別が困難になるが、両面とも球面である場合と同様に、上記第1〜11の例に示したような目印を形成すれば、回折格子パターン面を容易に判別することができる。
【0089】
以上説明した目印を有するDOEによれば、回折格子パターンを形成した面がどちらであるかを、目視で容易に認識することができる。したがって、このDOEを用いて光学系を組み立てる際などには、回折格子パターンを形成した面と他の面との識別にかかる時間が短縮でき、また、間違いもなくなる。
【0090】
さらに、上記の目印は、回折格子パターンの形成と同時に形成できるので、後から別に形成する場合に比べて、時間や費用の節約になり、したがってDOEを迅速かつ安価に量産することができる。また、後から目印を別に形成する場合には、目印を形成する際に回折格子パターンがどちらの面にあるのかが判断しにくいが、上記のように初めから一体に形成できるので、そのような心配もない。さらに、回折格子パターンを成形する材料と同一材料で目印を形成する場合には、材料の境目がないので、剥がれる危険性もなく、耐久性の高いDOEを得ることができる。
【0091】
付記
1.回折格子パターンを形成した面を少なくとも1つ有する回折光学素子であって、前記回折格子パターンを形成した面を他の面と区別するための識別手段を有することを特徴とする回折光学素子。
2.付記1記載の回折光学素子において、前記回折格子パターンと、該回折格子パターンを形成した面を支持する部材と、前記識別手段とを一体に成形したことを特徴とする回折光学素子。
【0092】
【発明の効果】
この発明に係る非球面形状測定用干渉計によれば、アライメント用のカラーフィルターおよび絞りを経て測定用パターンの一部にアライメント用の波長の光を透過回折させて、被検面アライメント用の波面を発生させるようにしたので、ヌル原器にアライメント用パターンを形成する必要がない。したがって、簡単に製作できるヌル原器を用いて高精度の形状測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明とともに開発した第1参考例における光学系全体の構成を示す図である。
【図2】 図1に示す測定用DOEの構成を示す図である。
【図3】 同じく、被検面アライメント用DOEの構成を示す図である。
【図4】 同じく、ヌル原器の構成を示す図である。
【図5】 図1に示す干渉計による測定方法を説明するための図である。
【図6】 測定用DOEと被検面アライメント用DOEとの他の保持態様を示す図である。
【図7】 同じく、さらに他の保持態様を示す図である。
【図8】 第1参考例におけるヌル原器の変形例を説明するための図である。
【図9】 この発明とともに開発した第2参考例における光学系全体の構成を示す図である。
【図10】 図9に示すヌル原器の構成を示す図である。
【図11】 第2参考例の動作を説明するための図である。
【図12】 この発明の一実施形態を説明するための図である。
【図13】 図12に示すヌル原器の構成を示す図である。
【図14】 同じく、絞りの構成を示す図である。
【図15】 絞りのスリット半径の決め方を説明するための図である。
【図16】 一実施形態の動作を説明するための図である。
【図17】 回折格子パターンを形成した面と他の面とを識別する識別手段を有するDOEの第1の例を示す図である。
【図18】 同じく、第2の例を示す図である。
【図19】 同じく、第3の例を示す図である。
【図20】 同じく、第4の例を示す図である。
【図21】 同じく、第5の例を示す図である。
【図22】 同じく、第6の例を示す図である。
【図23】 同じく、第7の例を示す図である。
【図24】 同じく、第8の例を示す図である。
【図25】 同じく、第9の例を示す図である。
【図26】 同じく、第10の例を示す図である。
【図27】 同じく、第11の例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 ビームエキスパンダー
3 参照平面
4 測定用DOE
41 測定用パターン
5 被検面アライメント用DOE
51 被検面アライメント用パターン
6 被検レンズ
6l 被検面
7 ハーフミラー
8 瞳結像レンズ
9 スクリーン
10 ヌル原器
11 被検面アライメント用パターンの干渉縞
12 被検面測定用パターンの干渉縞
14 絞り

Claims (1)

  1. 光源と、この光源からの光を参照光と測定光とに分割すると共に、被検面で反射した測定光と前記参照光とを合成して干渉縞を生じさせるための分割合成素子と、この分割合成素子と前記被検面との間に配置した干渉測定用ヌル原器とを有する非球面形状測定用干渉計において、
    前記光源と前記分割合成素子との間に選択的に配置される被検面測定用および被検面アライメント用の異なる波長の光を透過するカラーフィルターと、
    前記分割合成素子と前記干渉測定用ヌル原器との間に挿脱可能に配置される輪帯状の開口を有する絞りとを有し、
    前記干渉測定用ヌル原器は、回折格子からなる被検面測定用パターンを有し、
    被検面アライメント時には、前記光源と前記分割合成素子との間に被検面アライメント用の前記カラーフィルターを配置すると共に、前記分割合成素子と前記干渉測定用ヌル原器との間に前記絞りを挿入し、被検面測定時には、前記光源と前記分割合成素子との間に被検面測定用の前記カラーフィルターを配置すると共に、前記分割合成素子と前記干渉測定用ヌル原器との間から前記絞りを取り除くようにしたことを特徴とする非球面形状測定用干渉計。
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