JP5540614B2 - オートコリメータを用いた光学素子の偏心調整方法及び偏心測定方法、並びにレンズ加工方法 - Google Patents

オートコリメータを用いた光学素子の偏心調整方法及び偏心測定方法、並びにレンズ加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、オートコリメータを用いた光学素子の偏心調整方法、及び上記偏心調整方法を行った後に実行可能な光学素子の偏心測定方法、さらに上記偏心調整方法を行なうことで実行可能なレンズ加工方法に関する。
近年、レンズの作製に当たり、研磨によるのではなく金型形状の転写により作製するモールド法が多く用いられている。このモールド法には、レンズ材料としてガラスあるいは熱可塑性樹脂を用いた熱間プレスによる成形、及び、熱硬化性樹脂あるいは紫外線硬化性樹脂を用いた圧縮成形若しくは注型成形などが存在する。モールド法の利点として、金型を一つ作ることで、大量かつ安価にてレンズを生産可能である点、及び研磨する方法では作製困難であった非球面や自由曲面の生産も可能である点が挙げられる。
図16に示すように、レンズ1を成形する金型2,3には、球面や非球面等のレンズ面形状を形成したレンズ金型面2a,3aと、該レンズ金型面2a,3aと同時に加工された平面2b,3bとが存在する。平面2b,3bは、レンズ金型面2a,3aと同時加工されない場合でも、レンズ金型面2a,3aを加工するときの加工基準面とされる場合がある。このような金型2,3にて成形されたレンズ1は、各金型2,3のレンズ金型面2a,3aにて成形されたレンズ面1a,1bと、平面2b,3bにて成形され環状の平面部分であるフランジ面1c,1dとを有する。上述のように金型2,3の平面2b,3bは加工基準面となることから、成形されたレンズ1におけるレンズ面1a,1bの傾きと、金型2,3における平面2b,3bの傾きとは、等価となる。
このようにモールド法でレンズを成形する場合、成形機に取り付けられた2つの金型の位置及び姿勢にズレが生じると、図17に示すように、金型2,3の平行偏心4や傾き偏心5が発生する。このように偏心した金型2,3にて成形された図18に示すレンズ1では、外形あるいはレンズ面1bに対してレンズ面1aが平行偏心6及び傾き偏心7の少なくとも一方が生じる結果となる。レンズによっては、例えば平行偏心6で数μm、傾き偏心7で数分程度の偏心が生じた場合でも、所望のレンズ特性を達成できなくなる場合もある。よって、所望のレンズ特性を達成可能なように、成形機における金型の位置及び姿勢を再調整する必要があり、そのため、成形されたレンズにおける平行偏心6及び傾き偏心7の量及び方向を測定し、金型の位置及び姿勢へフィードバックする必要がある。
このような観点から、例えばレンズにおける平行偏心及び傾き偏心の量及び方向を測定する方法等が従来から提案されており、レンズ、ミラー、及びプリズム等の光学素子の検査には、被検面の精密な角度測定が可能なオートコリメーション法の原理を応用した測定装置(オートコリメータ)が使用されている。
例えば特許文献1には、非球面レンズを形成する2つの光学面と、これら光学面に各々同軸にして上記光学面と一体成形された2つの平面部とを有する非球面レンズにおいて、上記2つの平面部のなす傾き角と、上記2つの光学面の測定軸に対する偏心角とを検出し、これらの検出値により上記非球面レンズの偏心量を演算する方法が開示されている。
又、特許文献2には、被検レンズである非球面レンズを回転することなく、当該非球面レンズの偏心測定を行う方法が開示されている。該偏心測定方法では、非球面レンズの偏心を直接測定せずに、当該非球面レンズに別途設けた球面部と平面部とから間接的に上記偏心を測定している。これは、従来のオートコリメータが球面波しか生成できないことから、非球面に球面波を入射した場合には、その近軸球面における反射光しか検出できない。よって、非球面量が大きいレンズでは、十分な反射光量を得られず測定不能となる、あるいは反射光像が点状にならず面積をもった光像となり検出精度が低下するという不具合が生じる。このような不具合を解消するために、被検用の非球面レンズに偏心測定用の球面部を別途設けることで、特許文献2では間接的に非球面の偏心を測定するためと考えられる。
又、特許文献3にも、非球面レンズに対して、平行偏心量及び傾き偏心量を測定する方法等が開示されている。具体的には、特許文献3では、被検用の非球面レンズにおける平面部を用いることなくレンズ面のみで偏心を測定する方法が開示されている。
特許第3127003号 特開2007−10609号公報 特開2007−47131号公報
しかしながら、上記特許文献1による測定方法では、オートコリメータの測定軸つまりオートコリメータにおける光軸と、被検レンズの回転軸とを一致させ、さらに、非球面レンズにおける一方の平面部をその軸に垂直な平面と一致させる必要がある。しかしながら特許文献1には、そのような一致させるための具体的な方法が開示されていない。
又、特許文献1では、一つのレンズにおけるレンズ面と平面部との検出は、それぞれ別個のオートコリメータを用いて行っている。よって当然に2台のオートコリメータの測定軸を一致させる必要があるが、特許文献1には、その測定軸を一致させる具体的方法が開示されていない。よって、2台のオートコリメータの測定軸が一致していない場合には、その誤差が偏心測定精度を低下させてしまい、高精度な測定ができないという問題がある。
又、上記特許文献2に開示される発明では、上述のように、被検レンズである非球面レンズを回転させずに非球面レンズの偏心測定を行うため、別途、当該非球面レンズに球面部を設ける必要があるという手間が生じる。また、特許文献2における偏心測定方法では、被検レンズを回転させないことから、検出光学系と被検レンズとの相対位置の調整誤差が偏心測定精度を低下させてしまい、高精度な測定を行うことができないという問題がある。さらに又、特許文献2では、平面部及び球面部の偏心測定において、平面部用の検出光学系における光と、球面部用の検出光学系における光とを被検レンズの直前に配置したビームスプリッタにて合成している。よって、これら2つの検出光学系の各光軸が一致していない場合には、その誤差により偏心測定精度が低下し、高精度な測定を行うことができない。又、被検用の非球面レンズの直前に上記ビームスプリッタを配置するという構成上の制約から、被検用レンズによってはレンズ面に垂直に入射光が反射する位置に被検用レンズを配置できない場合や、被検用レンズの上記平面部に光を入射させることができない場合があり、偏心測定が行えないという問題も生じる。このように特許文献2では、測定可能なレンズの形状が制限されるという問題もある。
さらに上記特許文献3に開示される発明では、被検用の非球面レンズにおける平面部に垂直で、被検用の非球面レンズの外形中心を通る軸を基準軸として、当該被検レンズを回転させる必要がある。しかしながら、特許文献3には、その具体的な方法が開示されていない。被検用の非球面レンズ外形から上記基準軸を求める場合、上記非球面レンズ外形における真円度精度及び加工粗さから、上記基準軸を正確に設定することは困難であり、上記基準軸には位置誤差が生じる。よって、上記誤差に起因して、被検レンズの平行偏心量及び傾き偏心量の測定精度は、低下するという問題がある。また、上記平面部の検出を行っていないことから、上記平面部に垂直な軸と上記基準軸との間にも誤差が発生し、その誤差によっても上記測定精度が低下する。
このように、オートコリメータを使用したレンズの偏心を測定する従来の方法では、測定精度が良くないという問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、オートコリメータを用いて光学素子の偏心量を、従来に比べてより高精度にて測定する偏心測定方法、偏心測定を行うに当たり予め実行する上記光学素子の偏心調整方法、及び、該偏心調整方法を利用して実行されるレンズの加工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における光学素子の偏心調整方法は、オートコリメータを用い、かつ光軸を有する光学素子を回転させて上記光学素子における上記光軸と回転軸との偏心を調整する偏心調整方法であって、
上記オートコリメータは、光源からの光束を上記光学素子の被検面に入射させるレンズ機能部と、上記被検面と作用した光束を検出する受光部とを有し、
上記光学素子は、上記被検面に相当する、光学作用面及び該光学作用面と同時に形成された平坦なフランジ面を有し、
上記レンズ機能部は、上記光束からそれぞれ異なる次数の回折光を生成する回折構造を有し、上記回折光を上記光学作用面及び上記フランジ面に照射し、
上記光学作用面及び上記フランジ面と作用して上記受光部で検出された検出結果から、上記光学作用面における光軸と、オートコリメータの光軸に無関係に配置された、上記光学素子の上記回転軸とが一致するように上記光学素子を位置決めする、ことを特徴とする。
上記光学素子はレンズであり、当該レンズの上記位置決めは、
上記レンズの上記フランジ面で反射した回折光の上記受光部での検出から、上記光学作用面に相当する上記レンズのレンズ面における光軸が上記レンズの回転軸に平行になるように上記レンズを位置決めし、次に、上記レンズ面で反射した回折光の上記受光部での検出から、上記レンズの回転軸が上記レンズ面の光軸に一致するように上記レンズを位置決めするようにしてもよい。
上記光源は、異なる波長の光を発する複数の光を照射し、上記フランジ面及び上記レンズ面に対してそれぞれ異なる波長の光を照射するようにしてもよい。
又、本発明の第2態様における光学素子の偏心測定方法は、上記第1態様における偏心調整方法を用い、光学素子における2つの光学作用面の内の一方に相当する第1光学作用面での光軸と、上記光学素子の回転における回転軸とを一致させ、
上記一致させた状態にて、上記光学素子における上記第1光学作用面に対向する第2光学作用面、及び該第2光学作用面と同時に形成された平坦な第2フランジ面に対して、レンズ機能部の回折構造にて生じた異なる次数のそれぞれの回折光を照射し、
上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光をオートコリメータに備わる受光部で検出し、
該検出結果から、上記第1光学作用面における光軸に対する上記第2光学作用面における光軸の相対的な平行偏心及び傾き偏心を求めることを特徴とする。
上記第2態様において、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用する各回折光は、上記偏心調整方法を実行するときに使用する波長とは異なる波長の光にて生成するようにしてもよい。
上記第2態様において、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光が入射する上記受光部が備わるオートコリメータは、上記偏心調整方法を実行するのに使用したオートコリメータと同一物で構成してもよい。
上記第2態様において、上記受光部で検出される各回折光は、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面にて反射して上記受光部に入射するか、あるいは、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面を透過した後、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面に対向して配置されたミラーにて反射して上記受光部に入射するようにしてもよい。
上記第2態様において、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光が入射する上記受光部が備わるオートコリメータは、上記偏心調整方法を実行するのに使用した第1オートコリメータとは別設され上記第1オートコリメータと同じ構成を有する第2オートコリメータであってもよい。
上記第2態様において、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光が入射する上記受光部が備わるオートコリメータは、上記偏心調整方法を実行するのに使用した第1オートコリメータとは別設され、光源からの光束を平行光として上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面に入射するコリメータレンズを有する第2オートコリメータであってもよい。
又、本発明の第3態様における光学素子の偏心測定方法は、上記第1態様における偏心調整方法を用い、光学素子の光学作用面における光軸と、上記光学素子の回転における回転軸とを一致させ、
ここで、上記光学素子はレンズであり上記光学作用面はレンズ面であり、複数のレンズが板状体上にアレイ状に配列されたレンズアレイ体において、
上記レンズ面の光軸と上記回転軸とを一致させた基準レンズ面に対して、上記レンズアレイ体において上記基準レンズ面が存する側面にある他のレンズ面における相対的な平行偏心及び傾き偏心を求めることを特徴とする。
又、本発明の第4態様におけるレンズ加工方法は、光学素子がレンズであり、その片側の光学作用面が成形により第1レンズ面を形成し上記第1レンズ面に対向する対向面が光学作用面を未だ形成していないレンズに対して、上記第1態様における偏心調整方法を行い、上記第1レンズ面の光軸と、上記レンズの回転における回転軸とを一致させ、
一致後、上記回転軸を基準として、上記対向面を加工して光学作用面としての第2レンズ面を形成する、ことを特徴とする。
本発明の上記第1態様における光学素子の偏心調整方法では、オートコリメータを用いて、かつ光学素子を回転させて、当該光学素子における光軸と回転軸との偏心を調整する。このとき、レンズ機能部に設けた回折構造にて生成したそれぞれ異なる次数の回折光を、光学素子の光学作用面とフランジ面とに照射し、受光部での検出結果を元に、光学素子の光学作用面における光軸と、光学素子の回転軸とが一致するように光学素子の位置決めを行う。よって、上記第1態様の偏心調整方法では、オートコリメータにおける測定軸(光軸)と、上記光学素子の光学作用面における光軸とを一致させる必要はなく、光学素子の偏心を容易に調整することが可能となる。
又、本発明の上記第2,第3態様における光学素子の偏心測定方法によれば、上述の第1態様における光学素子の偏心調整方法を行い、光学素子の光学作用面における光軸と光学素子の回転軸とを一致させる。したがって、オートコリメータにおける測定軸(光軸)と、上記光学素子の光学作用面における光軸とを一致させる必要はなく、偏心測定精度を容易に向上させることが可能となる。
さらに、上記偏心測定方法によれば、上記回折構造にて生成したそれぞれ異なる次数の回折光を、光学素子の光学作用面とフランジ面とに照射することから、光学素子の光学作用面とフランジ面とを一度に検出することができる。したがって、オートコリメータは、基本的に一台でよく、上記光学作用面と上記フランジ面とを検出する測定軸は完全に一致した一つの光軸となる。よって、2台のオートコリメータの測定軸の調整誤差が発生せず、従来に比べて偏心測定精度を向上させることができる。
さらに又、上記偏心測定方法によれば、上記回折構造を用いることで、球面波と非球面波とを同時に生成することができることから、被検物に偏心測定用の球面部を別途設ける必要もなくなるという効果がある。また、球面部用の検出光学系と非球面部用の検出光学系とを被検物の直前で合成するという構造も不要であり、被検物の形状が制限されないという効果もある。
さらに、本発明の上記第4態様におけるレンズ加工方法によれば、上述の第1態様における光学素子の偏心調整方法を行うことで、光学素子であるレンズの第1レンズ面における光軸と回転軸とが一致させる。よって、この状態で、上記第1レンズ面に対向する対向面の加工を行うことで、容易に対向面を第2レンズ面に加工することができる。
本発明の実施形態における偏心調整方法を実行する偏心調整装置の概略構成を示すブロック図である。 図1に示すオートコリメータの構成を示す図である。 図2に示す回折構造の一例を示す図である。 図2に示す回折構造の他の例を示す図である。 図1に示すオートコリメータにおいてレンズの傾き偏心の調整動作を説明するための図である。 図1に示すオートコリメータにおいてレンズの平行偏心の調整動作を説明するための図である。 図1に示すオートコリメータの一変形例における構成を示す図である。 図1に示すオートコリメータの他の変形例における構成を示す図である。 本発明の実施形態における偏心測定方法を実行するオートコリメータの動作を示す図である。 図9に示すオートコリメータにて2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求める動作を説明するための図である。 図9に示すオートコリメータにて2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求める動作を説明するための図である。 図9に示すオートコリメータにて2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求める動作を説明するための図である。 図9に示すオートコリメータにて2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求める動作を説明するための図である。 2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求めるための図9に示すオートコリメータの一変形構成例を示す図である。 2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求めるための図9に示すオートコリメータの他の変形構成例を示す図である。 2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求めるための図9に示すオートコリメータのさらに別の変形構成例を示す図である。 2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求めるための図9に示すオートコリメータのさらに別の変形構成例を示す図である。 2つのレンズ面の相対傾き偏心及び相対平行偏心を求めるための図9に示すオートコリメータのさらに別の変形構成例を示す図である。 図1に示すオートコリメータにて測定される被検レンズの他の例を示す平面図である。 図13に示す被検レンズを測定する装置構成を示す図である。 本発明の実施形態におけるレンズ加工方法を説明するための図である。 本発明の実施形態におけるレンズ加工方法を説明するための図である。 モールド法でレンズを作製する場合を説明するための図である。 モールド法でレンズを作製する場合に偏心が生じることを説明するための図である。 偏心が生じたレンズを示す図である。
本発明の実施形態である、光学素子の偏心調整方法、並びに、該偏心調整方法を用いて行う光学素子の偏心測定方法及びレンズの加工方法について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
又、以下に説明する各実施形態では、被検物である光学素子としてレンズを例に採るが、光学素子はレンズに限定するものではなく、光軸を有する光学素子例えばミラー等が含まれる。又、上記レンズは、上述したモールド法により成形されたレンズを例に採るが、その製法を問うものではない。又、単一の材料にてレンズをモールド成形することに限定されず、レンズの材質及び成形方法に制限はない。例えば、研磨加工により形成した球面のガラスレンズブランク上に、熱硬化性樹脂あるいは紫外線硬化性樹脂を塗布し、非球面形状の金型を用いて、圧縮成形または注型成形により、材質が複合された非球面レンズでもよい。
第1実施形態:
まず、光学素子の偏心調整方法について説明する。
光学素子の偏心調整とは、被検物である光学素子における光学作用面における光軸と、当該光学素子の回転軸との偏心が一致するように調整することを言う。ここで上記光学作用面とは、光学素子に入射する光に対して、例えば屈折又は反射等の光学的作用を行う面であり、光学素子が例えばレンズである場合にはレンズ面が相当する。上述のように、本実施形態では、光学素子としてモールド法にて成形されたレンズ1を例に採ることから、レンズ1には、図16に示したように、上記光学作用面に相当するレンズ面1a,1b、及びレンズ面1a,1bと同時に形成され平坦なフランジ面1c、1dが形成されている。又、レンズ1の偏心を誇張したレンズ1を図示する図18を参照して、レンズ1の偏心調整を説明すると、レンズ面1aの光軸7aと、レンズ1の回転軸6aとが一致するようにレンズ1の位置決め調整を行うこと、及び、レンズ面1bの光軸7bと、レンズ1の回転軸6aとが一致するようにレンズ1の位置決め調整を行うことのそれぞれがレンズ1の偏心調整に相当する。
レンズ1に対する具体的な偏心調整方法については、以下の装置構成の説明後に述べる。
上述の偏心調整を行うための偏心調整方法は、例えば図1に示す構成を有する偏心調整装置300を用いて行うことができる。偏心調整装置300は、オートコリメータ100と、レンズ1が載置される位置決め機構210と、コントローラ250とを備える。ここで位置決め機構210は、鉛直方向に平行な鉛直軸に対してレンズ1を傾斜させる傾斜機構211と、レンズ1を載置した傾斜機構211を水平方向(X、Y方向)にスライドさせる水平移動機構212と、水平移動機構212を上記鉛直軸に平行な回転軸の周りに回転させる回転機構213とを有する。尚、レンズ1に対する傾斜機構211、水平移動機構212、及び回転機構213の配置順は、図1に示す順に限定するものではない。
コントローラ250は、オートコリメータ100に備わる受光部120と、位置決め機構210とに接続され、レンズ1におけるレンズ面1a,1bの光軸7a,7bと、レンズ1の回転軸6aとがそれぞれ一致するようにレンズ1をそれぞれ移動させるために位置決め機構210の動作を制御する。尚、レンズ1の上記回転軸6aとは、回転機構213によってレンズ1が回転するときの回転軸である。
上記オートコリメータ100について説明する。
図2に示すように、オートコリメータ100は、基本的構成部分として、レンズ機能部110と、受光部120とを備え、本実施形態では、さらに光源130及びビームスプリッター140を備えている。当該オートコリメータ100において特徴的構成部分の一つであるレンズ機能部110は、コリメータレンズ111と、回折光学素子112とを有し、回折光学素子112は、本実施形態ではコリメータレンズ111に対向する面に回折構造112aを形成しており、該回折構造112aにより、当該回折光学素子112に入射する光束からそれぞれ異なる次数の回折光を生成する。これらの回折光が照射される位置に、被検物であるレンズ1(被検レンズ1とも記す)が配置されている。
本実施形態では、被検レンズ1と一対一に対応した回折光学素子112を設けている。つまり、被検レンズ1に対応した所定次数の回折光が生成されるように、回折構造112aが設計されている。ここで、上記所定次数の回折光とは、被検レンズ1における被検面に対応した像が受光部120にて検出可能となる次数の回折光を意味する。図2に示す本実施形態では、回折構造112aは、0次とn次(nは正又は負の整数)との2つの回折光を生成する。被検レンズ1における上記被検面とは、上述したように、レンズ1のレンズ面1a,1b及びフランジ面1c、1dが相当する。
尚、本実施形態のような態様に限定されず、一つの回折光学素子112にて複数の被検レンズに対応可能なように、回折構造112aは、それぞれ異なる次数を有する3つ以上の回折光を生成するように設計してもよい。
また、回折光を生成するための構造は、一般的に下記のような種々の形態があるが、本実施形態における上記回折構造112aは、それらのいずれの形態をも採ることができる。
即ち、一般的に回折光学素子は、大きくは、振幅変調型と位相変調型とに分類され、位相変調型は、表面レリーフ型(膜厚変調型)と屈折率変調型とに分類される。振幅変調型として、図3に示すような、交互に透明な帯と不透明な帯とを持ったフレネルゾーンプレートがある。その他の振幅変調型としては、干渉縞の強度分布を透過率の分布として記録したいわゆるアナログホログラムがある。
位相変調型の表面レリーフ型としては、図4の(A)に示すバイナリー形状、図4の(C)に示すブレーズ形状、このブレーズ形状を階段状に近似した図4の(B)に示すマルチレベル形状もある。屈折率変調型は、表面の形状で位相差を与えて回折させるのではなく、図4の(D)に示すように、屈折率を変化させて位相差を与えている。
尚、これらの形状は、各々特定の波長での回折効率を向上させた複数の形状を、重畳して形成してもよい。そのように形成することで、一つの回折面で、複数の波長において、個々に回折効率の高い回折光を得ることが可能となる。
又、図4の(A)〜(D)では、回折光学素子の一次元の断面を示すが、図3に示すフレネルゾーンプレートと同様に、軸対象に形成し、球面波又は非球面波を生成してもよい。
光源130は、本実施形態では、単波長のレーザー光を発光する半導体レーザーにて構成され、半導体レーザーの発光部は、焦点面130aの光軸上に位置する。
受光部120は、2次元の受光面を有する例えばCCDイメージセンサあるいはCMOSイメージセンサ等の2次元撮像素子(以下、撮像素子という)で構成され、撮像素子の受光面は、焦点面120aに位置し、その中心が光軸と一致するように設置される。光源130を構成する半導体レーザーの発光部は、直径1〜数μm程度と微少でありながら光出力は数〜数十mWと大きく極めて高輝度であり、また単波長でコヒーレントであるから、コリメータレンズ111によって無収差の平行光束を発生させ、被検物の形状に応じた像を受光部120の撮像素子の受光面上に結像させることができる。
ビームスプリッター140は、例えばハーフミラーやハーフプリズム(半透明プリズム)等にて構成され、光源130より射出されたレーザー光を反射してコリメータレンズ111へ照射し、レンズ1の被検面と作用した光を透過して受光部120へ導く。
以上のように構成されたオートコリメータ100は、次のように動作する。
光源130より射出されたレーザー光は、ビームスプリッター140によって反射され、コリメータレンズ111に入射し、コリメータレンズ111によって精度の高い平行光線となる。この平行光は、回折光学素子112の回折構造112aにて、本実施形態では上述のように0次とn次の2つのそれぞれ異なる次数の回折光となり、集光または発散されて被検レンズ1に入射される。本実施形態では、上記0次の回折光131は、回折光学素子112を単に透過した光に相当し、レンズ1のフランジ面1cに入射する。又、上記n次の回折光132は、レンズ1のレンズ面1aに入射する。
即ち、上述のように回折光学素子112の回折構造112aにて生成された上記n次の回折光は、回折光学素子112又は被検レンズ1の位置調整によって、被検レンズ1の近軸焦点つまり被検レンズ1が球面レンズであれば被検レンズ1のレンズ面1aの曲率中心に光を結像させる。このようにして被検レンズ1に入射された光は、近軸焦点から発せられた光に等価であるので、被検レンズ1のレンズ面1aから垂直に反射される。
本実施形態ではレンズ面1aで反射した反射光は、再び回折光学素子112、コリメータレンズ111、ビームスプリッター140を通過した後、受光部120の受光面に点状に結像する(これを光像という)。受光部120から送出される画像信号から、上記光像の位置を検知することで被検レンズ1の光軸7aの偏心方向及び偏心量を求めることができる。
又、回折構造112aにて生成された上記0次の回折光は、フランジ面1cで垂直に反射して、コリメータレンズ111で光像を受光部120の受光面上に結像する。そして受光部120から送出される画像信号から、上記光像の位置を検知することで平面部であるフランジ面1cの傾き量を求めることができる。
ここで、フランジ面1cについては、既に説明したように、レンズの成形用金型の作製時に、フランジ面1cとなる平面は、レンズ金型面の加工基準として用いられ、レンズ金型面の加工前後に連続して加工されている。つまり、フランジ面1c,1dの傾きは、被検レンズ1のレンズ面1a,1bの傾きと等価であり、被検レンズ1の光軸7a,7bの偏心を測定することができる。
被検レンズ1のレンズ面1a,1bが球面である場合には、平行偏心と傾き偏心が等価なため、オートコリメータ100で測定しても分離することができない。しかしながら、上述のようにレンズ面1a,1bの傾きとフランジ面1c、1dの傾きとは等価である。そこで、上述のようにレンズ面1a,1bとフランジ面1c、1dの偏心を測定することで、レンズ面1a,1bの光軸7a,7bを検出する。
また、被検レンズ1のレンズ面1a,1bが非球面である場合、従来、非球面レンズは、その形状設計式が球面形状の式に多項式を付加していることから、その近軸領域では球面に近似できる為、球面波を非球面に入射し、その近軸球面部のみの反射光で偏心測定を行っていた。しかし、球面に付加した多項式から、非球面は近軸から離れて、半径方向外側にいくほど非球面量が大きくなり、球面形状からは離れる。よって、入射光と反射光の光路が異なることで反射光による光像を形成できない場合や、また一部の反射光を検出できたとしても、仮想の焦点位置が光軸方向にずれている為、光像がぼやけたり、リング状になってしまう場合があった。そしてこれらが球面形状からの反射光によって形成されるオートコリメータの光像に重なることで、撮像素子での光像の位置検出精度を低下させてしまうという問題があった。
しかしながら、本実施形態では、回折光学素子112を用いたことで、球面波だけでなく、非球面波の発生も可能である。回折光学素子112により、非球面のレンズ面に垂直に入射する非球面波を発生させることで、レンズ面への入射光とレンズ面からの反射光との光路が同一となり、光像が1点に集中する。よって、受光部120の撮像素子での光像の位置検出精度を向上させることができる。
さらには、回折光学素子112を用いることで、球面又は非球面だけでなく、それ以外の曲面、例えば放物面や自由曲面に対しても、それらに応じた波面を生成する、つまり対応の次数の回折光を生成することが可能となる。よって、それらの曲面を有する光学素子についても、偏心調整及び偏心測定が可能となる。
尚、本実施形態では、図2に示され、また上述したように、コリメータレンズ111に対向した回折光学素子112の面に、回折構造112aを形成しているが、被検レンズ1に対向する面に回折構造112aを形成してもよい。さらにまた本実施形態では、回折光学素子112が一つで、回折面は1面の構成であるが、これに限らず、複数の回折面、又は複数の回折光学素子を組み合わせた構造を採ることもできる。複数の回折面を設けた場合、それぞれの回折面で回折が行われることから、回折角度をより多様に設定することが可能となり、より多くの光学素子への対応が可能となる。
また、本実施形態では回折光学素子112は、平板であるが、曲面上に回折面を形成してもよい。また、少なくとも一面を回折面とし、その他に屈折面や反射面を組み合わせてもよい。
さらに、上述のように本実施形態では、フランジ面1c、1dへ入射する光として0次の回折光131を用いたが、複数の回折面、屈折面、又は反射面でレンズ機能部110を構成することで、回折光(n次あるいはn’次光)で平行光を生成しフランジ面1c、1dに入射してもよい(レンズ面1a,1bはn次光またはn’次光)。逆に、レンズ面1a,1bに0次光を入射し、フランジ面1c、1dに回折光(n次光)を入射してもよい。
以上説明したオートコリメータ100を備えた偏心調整装置300にて実行される偏心調整方法について、つまりレンズ1の回転軸6aと、レンズ面1a(1b)の光軸7a(7b)とを一致させる偏心調整方法について、以下に具体的に説明する。
この偏心調整方法は、大きく分けて、チルト調整(傾き調整)と、シフト調整(平行調整)との2段階で行われる。尚、上記回転軸6aに対するレンズ面1a(1b)の光軸7a(7b)の傾き(軸の倒れ)をチルト、回転軸6aと直交する平面内での光軸7a(7b)の水平移動をシフトと呼ぶ。
最初に、被検レンズ1のフランジ面1cを用いた検出により、上記チルトの調整を行う。
フランジ面1cを用いることから、回折光学素子112にて生成した、本実施形態では0次の回折光131(透過光)を用い、この0次の回折光131の受光部120での光像からチルト調整を行う。
詳しく説明する。本実施形態ではオートコリメータ100の光軸(測定軸)101aと被検レンズ1の回転軸6aとを一致させる必要はなく、被検レンズ1は、上記傾斜機構211に単に載置される。よって、上記回転機構213によりレンズ1を回転させながら受光部120で検出された、フランジ面1cにおける0次の回折光131の反射光の光像は、図5の(A)に示す、点像による円形の軌跡131aとなる。このような円形軌跡131aの半径が小さくなり、図5の(B)に示すように一つの点像131bになるように、上記傾斜機構211を適宜、駆動する。本実施形態では、円形軌跡131aが点像131bになるように、コントローラ250が受光部120からの画像情報から傾斜機構211の駆動制御を行う。コントローラ250は、円形軌跡131aから点像131bまでの傾斜機構211に対する駆動制御量から、上記チルトの角度を求めることができる。
受光部120の画像内での点像131bの位置を、回転軸6aに対してレンズ面1aにおける光軸7aのチルトが0であることから、チルト原点(以下、131bの符号を付す場合もある)と呼ぶ。受光部120の画像内でのチルト原点131bの位置は、オートコリメータ100の測定軸に対する受光部120の撮像素子の位置による。その撮像素子の位置は、特に規定しないが、被検レンズ1の位置に再帰性反射をするコーナーキューブ等を置き、その点像131bが受光部120の画面中心にくるように、撮像素子の位置を調整しておくと、使いやすい。
尚、受光部120にて得られる画像には、図5の(A)に示すように、回折光学素子112にて生成したn次の回折光132がレンズ面1aで反射し受光部120で検出された点像の円形の軌跡132aも表示される。図5の(A)では、円形軌跡132a内に円形軌跡131aが存在する場合を図示しているが、両円形軌跡131a、132aの位置関係は、被検レンズ1の形状、及び位置決め機構210への被検レンズ1の設置位置等により変化し、図5の(A)の図示の形態に限定されるものではない。
次に、レンズ面1aを用いた検出により、上記シフトの調整を行う。
レンズ面1aを用いることから、回折光学素子112にて生成した、本実施形態ではn次の回折光132を用い、このn次の回折光132の受光部120での光像からシフト調整を行う。
詳しく説明する。上述したチルト調整の場合と同様に、図6の(A)に示す、n次の回折光132による上記円形軌跡132aの半径が小さくなり、図6の(B)に示すように一つの点像132bになるように、上記水平移動機構212を適宜、駆動する。本実施形態では、円形軌跡132aが点像132bになるように、コントローラ250が受光部120からの画像情報から水平移動機構212の駆動制御を行う。コントローラ250は、円形軌跡132aから点像132bまでの水平移動機構212に対する駆動制御量から、上記シフトの距離を求めることができる。
受光部120の画像内での点像132bの位置を、回転軸6aに対してレンズ面1aにおける光軸7aのシフトが0であることから、シフト原点(以下、132bの符号を付す場合もある)と呼ぶ。シフト原点132bが、チルト原点131bと一致しない場合、これは、回折光学素子112の光軸と回転軸6aの相対ずれによるものである。その相対ずれがなければ、シフト原点132bとチルト原点131bとは一致する。しかし、ずれたままでも、その原点位置が分かっていればよく、偏心測定は可能である。被検レンズや、球(真球度の高い軸受用の鋼球やセラミック球が好適)を用いて、その相対ずれを調整して、シフト原点132bとチルト原点131bとを一致するように調整することで、その後の撮像素子上の光像位置から座標検出及びデータ処理が簡易になる。さらには、チルト原点131bを画面中心に調整した後に、シフト原点132bの相対ずれを調整すれば、シフト原点132bも同じく画面中心となり、その後の撮像素子上の光像位置から座標検出及びデータ処理が簡易になる。
尚、回折光学素子112及び回転軸6aの位置が変化すると、撮像素子上でのシフト原点132b及びチルト原点131bの位置が変わるため、回折光学素子112及び回転軸6aは、測定開始から終了まで固定しておくことが必要である。
上述のように、レンズ1の偏心調整に用いた傾斜機構211及び水平移動機構212のステージは、一般に移動距離や移動姿勢(ピッチング、ヨーイング、真直度等)などの誤差により、駆動方向だけでなく、駆動方向以外にも誤差を発生する。その為、レンズ1のシフトを調整する際、それらの位置決め誤差からチルトが発生し、最初に調整したチルトの状態から変化してしまう場合がある。そこで、シフトを調整する際には、チルトの状態の変化の有無を同時に確認する必要がある。一般に上記ステージにおける上記誤差を機械的になくすことは困難である。よって、センサで高精度に位置を検出して、それをフィードバックすることで、高精度な上記ステージの駆動制御を行う。その為、位置を検出するセンサは、高精度を有する必要があり、光学スケールやレーザー測長などの光学的手段を用いることが多い。つまり、本実施形態では、光学的に高精度な検出が可能なオートコリメータ100を、上記センサとして用いて、シフト及びチルトを調整する上記ステージをクローズドループ制御している状態である。
又、本実施形態のように回折光学素子112を用いるのではなく、通常の屈折レンズによるリレーレンズの入れ替えで、シフト及びチルトを調整しようとした場合、その入れ替え作業に時間がかかるだけでなく、リレーレンズの位置再現性が、原点のバラツキとなり、高精度に偏心調整ができない。本実施形態では、リレーレンズに回折光学素子112を用いることで、チルト及びシフトを同時に検出可能である。よって、チルト調整時のシフトずれ、シフト調整時のチルトずれ、を同時にかつ高精度に調整することが可能である。
又、本実施形態では上述のように、光源130として、単波長で発光面積が微少で輝度の高い点光源である半導体レーザーを用いているが、光源130は、この形態に限定するものではない。他の媒体、例えば固体レーザー、液体レーザー、ガスレーザー等を用いたレーザー光源でもよい。さらには、これらのレーザー光を非線形光学結晶に入射し、発生した高調波を光源としてもよい。さらには、図7に示すように、レーザー以外の、他の光源133、例えば、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプなどを使用してもよい。
但し、連続スペクトルを放射する光源、及び複数の輝線スペクトルを有する不連続なスペクトルを放射する光源を使用する場合、バンドパスフィルタ134を併用することが望ましい。特に、バンドパスフィルタ134による光量低下を抑えるために、複数の輝線スペクトルを有する光源の場合は、バンドパスフィルタ134の中心透過波長を輝線スペクトルに合わせて選択することが好ましい。
回折光学素子112は、設計波長と異なる波長に対しては回折効率が低下し、高次回折光の回折効率が増加する。つまり、一部の光が不要な回折光として発生する為に、フレア光となって結像性能が低下する。よって、受光部120の焦点面120aに結像された光像が面積を有し点状にならず、そのために、撮像素子内での位置検出の分解能が低下してしまう。そこで、バンドパスフィルタ134を用いて、回折光学素子112の設計波長付近のみを用いることで、焦点面120aに光像を点状に結像し、分解能の低下を抑えるものである。
又、観察側の焦点面120aと光源133の焦点面133aとは、共役であることから、光源の発光部の面積が分解能に大きな影響を与える。そこで、例えば、タングステンランプのように発光部の面積を大きくしなければ十分な光量が得られない場合には、ピンホール若しくは十字線を刻印した焦点板133bを光源側の焦点面133aに設置し、これをタングステンランプの光源133とコンデンサレンズ135を用いて照明する方が望ましい。
受光部120の焦点面120aには、図2の構成と同様に撮像素子を用いた方が高い分解能が得られるが、簡易的には、図7に示すように焦点面120aを目視で確認するように構成してもよい。
以上の説明では、被検レンズ1のレンズ面1a及びフランジ面1cに対するチルト及びシフトの調整方法を説明したが、対向面である、レンズ面1b及びフランジ面1dに対しても同様にチルト及びシフトの調整を行うことができる。
第2実施形態:
上述した第1実施形態では、光源130あるいは光源133は一つであり、つまり一つの波長の光による構成である。この場合、例えば、上述のように0次光とn次光、又はn’次光とn次光を用いて光学素子の偏心測定を行う。このとき、次数の異なる2つの回折光における光量の比率、つまり回折効率×面積の比率が1:1に近いほど、各光像における明るさの差が小さく、撮像素子で同時に検出しやすい。ここで、上記面積とは、上記レンズ面及び上記フランジ面から反射で返ってくる光束の面積である。一方、上記明るさの差が大きい場合には、撮像素子からの画像信号における画像処理上の問題が発生し、分解能が低下してしまう。
異なる次数の回折光を同時に検出容易にする別の方法として、上述したように、回折光学素子112は、設計波長と異なる波長に対しては回折効率が低下する特性を有することから、この特性を利用して、光源を2つ、つまり波長を2つ用いる方法が考えられる。図8に、このように2つの光源130,136を用いたオートコリメータ101の構成を示す。オートコリメータ101では、2つの光源130,136に対応して2つのビームスプリッター140、141を備えている。
即ち、第1光源130からの第1波長では、0次光とn次光、又はn’次光とn次光の割合を、1:0に近くし、第2光源136からの第2波長では、0次光とn次光、又はn’次光とn次光の割合を、0:1に近くすることで、どちらも明るくすることができる。あるいは、第1波長と第2波長の各光源の明るさを個別に調整することで、明るさの差が小さく、撮像素子で同時に検出しやすくすることも可能である。
上記2つの光源130,136のそれぞれに用いられる単波長の半導体レーザーとして、特に下記の波長のものが汎用品として使用されており、入手容易、低価格、信頼性高のため好適である。つまり、1.1〜1.6μmのもの(光ファイバーなどの通信用途用)、780nm近辺のもの(CDやMDの光読み取りや書き込み用)、650nm近辺のもの(DVDの光読み取りや書き込み用、及び、バーコードの光読み取りやレーザープリンターの書き込み用)、及び400nm近辺のもの(BD(Blu-ray Disc)の光読み取りや書き込み用)である。
又、光源がレーザーの場合には、可変波長レーザーを用いて、波長を切り替えることも可能である。この場合、可変波長レーザーを2つ用いてもよいし、1台であっても高速に波長を複数に切り換えることにより、光源は1つでも、波長を2つにして、同時に測定することが可能である。
又、上述の図7の構成のように、連続スペクトルを放射する光源133を用いる場合には、光源を2つ用いてもよいし、1台であっても2波長を透過することが可能なバンドパスフィルタを用いることで、波長を2つにして、同時に測定することが可能である。
但し、撮像素子は一つであることが必要であり、重要である。なぜならば、レンズ面1aの光軸7aの測定を行う撮像素子と、フランジ面1cの傾きの測定を行う撮像素子とが異なる場合で、さらに、それらの相対的な設置ずれがある場合には、偏心測定の精度が低下してしまうからである。仮に、それらの相対的な設置ずれを小さく抑えることができた場合でも、撮像素子の画素ピッチ等が個体差でばらついて異なる場合には、それによっても偏心測定の精度が低下してしまうからである。
第3実施形態:
上述の第1実施形態では、被検レンズ1のレンズ面1a及びフランジ面1cに対するチルト及びシフトの調整方法を説明した。本第3実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態で説明した方法にて、レンズ1の回転軸6aと、レンズ面1aの光軸7aとを合わせる偏心調整方法を実行した後、さらに、レンズ面1aに対向するレンズ面1bについても偏心調整を実行して、レンズ面1aとレンズ面1bとにおける相対傾き偏心及び相対平行偏心を求める偏心測定方法について説明する。また、このような相対傾き偏心及び相対平行偏心を、本第3実施形態では、1台のオートコリメータにて行う構成を示す。このような相対傾き偏心及び相対平行偏心を求める動作は、上述したコントローラ250にて実行される。
本第3実施形態における、上記相対傾き偏心及び相対平行偏心を求めるための偏心調整装置は、第1実施形態の図2に示すオートコリメータ100と同等の構成を有する図9に示すオートコリメータ100−1を用いる。オートコリメータ100とオートコリメータ100−1との相違点は、以下に説明するように、回折光学素子112に対してオートコリメータ100−1では回折光学素子112−1を有する点である。その他に変更点はない。
一般に、オートコリメータによる測定では、被検物である例えばレンズの外形中心を回転軸として当該レンズを回転させて、その外形中心に対する第1レンズ面の傾き偏心、又は平行偏心のどちらかを測定し、次に、当該レンズを反転して、第2レンズ面の傾き偏心、又は平行偏心のどちらかを測定する。その結果を合わせることで、レンズの外形中心を介して、第1レンズ面と第2レンズ面との相対傾き偏心、又は相対平行偏心のどちらかを算出する。
このとき、上記回転は、Vブロックにレンズを押し当てながら回転させることで、外形中心を回転軸とすることができるが、この方法では、レンズ外形の真円度に依存して、回転軸がブレてしまい、1本の軸に定まらない。つまり、測定精度が低下する。したがって、レンズ外形を基準にすることなく、直接に、第1レンズ面と第2レンズ面との相対傾き偏心、及び相対平行偏心を測定する方が望ましい。
上記第1実施形態では、上述したように、レンズ外形を基準にすることなく、レンズ1のレンズ面の傾き偏心及び平行偏心を調整、測定している。本第3実施形態でも、レンズ外形を基準にすることなく、第1実施形態又は第2実施形態にて説明した方法を用いて、フランジ面1c及びレンズ面1aに対してチルト及びシフトの調整を行い、さらに、同様の方法にて、レンズ面1a及びフランジ面1cの対向面である、レンズ面1b及びフランジ面1dに対してシフト及びチルトの調整を行う。該動作について上記図9を参照して説明するが、フランジ面1c及びレンズ面1aに対するチルト及びシフトの調整動作は、第1実施形態にて既に説明したので、ここでの説明を省略する。
図9に示すオートコリメータ100−1では、回折光学素子112−1の回折構造112aは、上述の0次の回折光131、n次の回折光132に加えて、さらにn’次の回折光132’を生成する。0次の回折光131は、フランジ面1cのみならずフランジ面1dでも反射し、該反射光を受光部120で検出することで、第1実施形態で説明した方法にて、レンズ面1bにおけるチルトの調整が行われる。
尚、フランジ面1c及びフランジ面1dに対して、同じ0次の回折光131の2つの反射光を受光することから、両者を区別する必要があり、例えば次のような手法を採ることができる。即ち、一つの光源で波長変更が可能な光源を用いて波長を異ならせることで区別する、あるいは後述するように異なる光源を用いて波長を異ならせ区別する、又は、フランジ面1cとフランジ面1dとで反射光に相違が生じるようなコーティングを施す、等の手法が考えられる。また、後述の実施形態にて説明するが、別系統のオートコリメータを使用する等の手法も考えられる。
n’次の回折光132’は、レンズ面1bで反射し、該反射光を受光部120で検出することで、第1実施形態で説明した方法にて、レンズ面1bにおけるシフトの調整が行われる。これらの調整結果から、レンズ面1aとレンズ面1bとの相対傾き偏心及び相対平行偏心を上記コントローラ250にて求めることができる。
より詳しく説明する。
図10Aに示すように、フランジ面1c、1dを用いて検出したチルトは、相対傾き偏心の値であるが、レンズ面1a,1bを用いて検出したシフトは、相対平行偏心と相対傾き偏心とが合成された値である。尚、図10Aにおいて、チルト原点131bは、図5を参照して説明したように、フランジ面1c、1dのいずれか一方、例えばフランジ面1cでの反射光から得たチルト原点であり、シフト原点132bは、図6を参照して説明したように、レンズ面1a、1bのいずれか一方、例えばレンズ面1aでの反射光から得たシフト原点である。又、点像131b’は、フランジ面1c、1dのいずれか他方、例えばフランジ面1dでの反射光による点像であり、点像132b’は、レンズ面1a、1bのいずれか他方、例えばレンズ面1bでの反射光による点像である。点像132b’は、相対平行偏心と相対傾き偏心とが合成された状態である。
上述のように、点像132b’は、相対平行偏心と相対傾き偏心とが合成された値であるので、レンズ1を任意の位置で止めた状態で、シフトからチルトを引くことで、相対傾き偏心の値を算出する。図10Bにおいて、点像132b−1は、例えばレンズ面1bでのシフトからチルトを引いた相対傾き偏心に対応した点像である。
相対傾き偏心及び相対平行偏心の測定には、レンズ1を回転させる必要は無いが、回転させた場合には、図10Cに示す軌跡となる。測定精度の確認の為に、シフト原点132b及びチルト原点131bの位置を確認したい場合、少なくともレンズ1を任意の位置と、回転軸6a周りに180度反転させた位置、の2箇所で測定を行うことで確認できる。
尚、図10Dに示すように、レンズ1には偏心の方向の基準として、印1Eを形成しておくことが望ましい。印1Eは、レンズ面1a,1b、及びフランジ面1c、1dの成形と同時に形成してもよいし、測定前に任意の位置に形成してもよい。
図9に示すオートコリメータ100−1では、レンズ面1b、及びフランジ面1dの測定についても、レンズ面1a、及びフランジ面1cの測定と同じ光源130を用いたが、図8を参照して説明した第2実施形態のように、例えば、レンズ面1b及びフランジ面1dの測定について、第2光源136を用いる構成を採っても良い。
また、図9に示すオートコリメータ100−1では、レンズ面1b、及びフランジ面1dの測定は、レンズ面1b及びフランジ面1dにおける反射光を受光して行ったが、図11A及び図11Bに示すように、レンズ面1b及びフランジ面1dを透過した光を用いて行うこともできる。
図11Aは、相対傾き偏心について、フランジ面1dでの反射ではなく、フランジ面1dの透過光を平面ミラー150で反射させて、受光部120で受光するように構成したオートコリメータ100−2を示している。尚、この形態では、検出したチルト量に被検レンズ1の屈折率を考慮する必要がある。
図11Bは、同様に、相対平行偏心について、レンズ面1bでの反射ではなく、レンズ1に入射する0次の回折光がレンズ面1bを透過した光を凹面ミラー151で反射させて、受光部120で受光するように構成したオートコリメータ100−3を示している。尚、この形態では、検出したチルト量に被検レンズ1の屈折率と心厚を考慮する必要がある。
上述したような構成を採ることで、レンズ面1a及びフランジ面1cで作用した光と、レンズ面1b及びフランジ面1dで作用した光とを容易に区別することができ、チルト及びシフトの調整及び測定が容易になるというメリットがある。
第4実施形態:
上述した第3の実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態で説明した方法にて、レンズ1の回転軸6aと、レンズ面1aの光軸7aとを合わせる偏心調整方法を実行した後、これと同じオートコリメータを用いて、レンズ面1aとレンズ面1bとの相対傾き偏心及び相対平行偏心を求めている。これに対し、本第4実施形態では、上記偏心調整方法の実行後、レンズ面1b側から別のオートコリメータを用いて、上記相対傾き偏心及び相対平行偏心を求める形態である。その構成例を図12Aに示す。図12Aにおいて、オートコリメータ100A及びオートコリメータ100Bは、共に上述したオートコリメータ100と同じ構成にてなり、オートコリメータ100Aは、レンズ面1aを調整、測定し、オートコリメータ100Bは、レンズ面1bを測定する。
図12Aに示す構成では、オートコリメータ100A及びオートコリメータ100Bともに、レンズ面1a,1b、及びフランジ面1c、1dでの反射光を各受光部120で受光する形態である。これに対し、図12B及び図12Cに示すように、レンズ面1b、及びフランジ面1dについては、透過光をオートコリメータ100Aに備わる受光部120で検出するように構成してもよい。この構成では、図12B及び図12Cに示すように、オートコリメータ100Cには受光部は設けられず、また、回折光学素子112も設けていない。
また、図12B及び図12Cに示す構成では、透過偏心は屈折を用いるため、偏心量を拡大して検出することができない。レンズ材料の屈折率をn、レンズの両側にある媒質を空気(屈折率は1)とすると、2つの媒質中の入射角・屈折角の関係を表したスネルの法則(屈折の法則)から、偏心量は(n−1)倍になってしまう。例えば、n=1.5の場合、偏心量は0.5倍になってしまう。それに対して、反射偏心は、反射を用いるため、反射する光の入射角と反射角は等しいという反射の法則から、偏心量は2倍に拡大される。つまり、反射偏芯は透過偏芯より感度が高い為、可能であれば、両面ともに反射偏心で測定することがより望ましい。しかし、レンズ内の屈折率分布や心厚を考慮した解析を行いたい場合は、レンズ内に光を入射する透過偏芯の測定が必要である。
第5実施形態:
上述した各実施形態では、1個の被検レンズ1に対する偏心調整及び偏心測定を行う構成を示した。これに対し本実施形態では、複数のレンズが板状体上にアレイ状に配列されたレンズアレイ体におけるレンズについて、レンズ面の光軸と回転軸とを一致させた基準レンズ面に対して、上記レンズアレイ体において上記基準レンズ面が存する側面にある他のレンズ面における相対的な平行偏心及び傾き偏心を求める構成を示す。
即ち、近年、WLO(Wafer Level Optics)と呼ばれる、ウェハー上に、数百〜数千個にものぼるレンズアレイを同時に製造する技術が開発されている。半導体製造技術や設備を応用してウェハー上にレンズを形成しており、金型を用いた注型成形だけでなく、金型を用いない方法で形成されることもある。例えば、フォトマスク(グレイスケールマスク)と感光材料とエッチング技術とを応用して、1バッチで大量に作製されることもある。
これらのレンズは、特に携帯電話のカメラの内、固定焦点タイプの製造において用いられることが多い。半導体製造技術や設備を応用して作製されたレンズは、イメージセンサや基板などの半導体デバイスの製造プロセスと同様の工程、ダイシング(切断)やはんだリフローなどの工程により組み込み、すべての工程を半導体製造技術や設備を応用することで、1バッチで大量にウェハレベルのカメラモジュールを製造することで、安価に製造することが可能となる。
これらのレンズへの要求性能を満たすために、レンズ面の偏心を抑えることが重要である。図13に、上記レンズアレイ体400の一例を示す。個々のレンズ401は、レンズアレイ体400からダイシング(切断)により切り離されるが、その際には、ウェハーのアライメントマーク403を基準にして行われる。また、組み付け時にはウェハー面が取り付け基準となる。つまり、このレンズアレイ体400における個々のレンズ401の偏心は、ウェハーに対する傾き偏心と、アライメントマークに対する平行偏心の精度が求められる。
よって、図14に示すように、第1実施形態等で説明したオートコリメータ100を用いて、レンズアレイ体400における任意の一つのレンズ401(基準レンズとする)に対して、第1実施形態で説明した方法にて、上記基準レンズ401の光軸と当該基準レンズ401における回転軸とを一致させることで、レンズアレイ体400の傾きとオートコリメータ100の光軸101aとを垂直に合わせる。このように偏心を調整したレンズ面を基準レンズ面401aとする。このようにレンズアレイ体400の傾きとオートコリメータ100の光軸101aとを垂直に合わせた状態で、アライメントマーク403を基準として、オートコリメータ100の光軸101aに対して、自動ステージ等でレンズアレイ体400を移動させる。これにより、基準レンズ面401aが存する側面402に存在する他のレンズ401のレンズ面401eについて、基準レンズ面401aに対する相対的な平行偏心及び傾き偏心を求めることができる。
したがって、1バッチで大量にレンズ401の偏心測定が可能となり、半導体デバイスの製造プロセスにおけるタクトタイムに対しても、律速となることなく、製造と同時に検査が可能な、検査システムを構築することが出来る。
尚、図14では円形のレンズアレイ体400を図示するが、その形状は問わない。又、上記基準レンズ401として、図13に示すようにレンズアレイ体400の中央部に存在するレンズ404を選択するのが、成形歪みが少なくて好ましい。
第6実施形態:
上述した各実施形態において、被検レンズ1は、例えば直径数mmほどで比較的サイズが小さく、対向するレンズ面1a,1b共に金型成形されるものを対象としている。一方、レンズの成形方法によっては、片方のレンズ面及びフランジ面のみを金型成形する場合もある。具体的には、例えば直径で数十mm程度の比較的サイズが大きいレンズでは、レンズ形状に対する成形条件の制約から、レンズの片側のみを金型成形にてレンズ面を成型し、レンズの残り片側を後加工によってレンズ面に形成する場合もある。ここで、後加工されるレンズ面は、球面だけでなく、非球面やその他の形状でもよい。また、加工方法も、研磨加工、研削加工、又は切削加工など、その制限はない。このように成形後に加工を行う場合も、レンズの設計性能及び要求性能を満たすために、成形によるレンズ面と、後加工によるレンズ面との相対傾き偏心と相対平行偏心とを小さく抑えることが必要である。
そこで、図15Aに示すように、片側面11aのみがレンズ面10aとして成形され、上記片側面11aに対向する対向面11bは光学作用面(レンズ面)が未だ形成されていないレンズ10に対して、第1実施形態又は第2実施形態にて説明した偏心調整方法を用いて、まず、レンズ10の回転軸6aとレンズ面10aの光軸とを一致させる。
次に、図15Bに示すように、回転軸6aを基準として、上記対向面11bに対して、例えば研磨機構等を用いてレンズ面10bを追加工することで、相対傾き偏心及び相対平行偏心がほとんどないレンズを作製することができる。
尚、後加工するのは、対向面11bにおいてレンズ面10bだけでもよいし、レンズ面10b、及び、フランジ面10d又はコバ面(外径面)12のどちらか、さらには、レンズ面10b、フランジ面10d、及びコバ面12の全てについて行っても良い。
本発明は、オートコリメータを用いた光学素子の偏心調整方法、及び上記偏心調整方法を行った後に実行可能な光学素子の偏心測定方法、さらには上記偏心調整方法を行なうことで実行可能なレンズ加工方法に適用することができる。
1…レンズ、1a,1b…レンズ面、1c,1d…フランジ面、6a…回転軸、
7a,7b…光軸、
100…オートコリメータ、110…レンズ機能部、112…回折光学素子、
112a…回折構造、120…受光部、130…光源、131…0次回折光、
132…n次回折光。

Claims (11)

  1. オートコリメータ(100)を用い、かつ光軸(7a,7b)を有する光学素子(1)を回転させて上記光学素子における上記光軸と回転軸(6a)との偏心を調整する偏心調整方法であって、
    上記オートコリメータは、光源(130)からの光束を上記光学素子の被検面(1a,1c、1b,1d)に入射させるレンズ機能部(110)と、上記被検面と作用した光束を検出する受光部(120)とを有し、
    上記光学素子は、上記被検面に相当する、光学作用面(1a,1b)及び該光学作用面と同時に形成された平坦なフランジ面(1c,1d)を有し、
    上記レンズ機能部は、上記光束からそれぞれ異なる次数の回折光(131、132)を生成する一つの回折構造(112a)を有し、この回折構造によって生成した次数の異なる上記回折光を上記光学作用面及び上記フランジ面に照射し、
    上記光学作用面及び上記フランジ面と作用して上記受光部で検出された、上記光学素子の上記回転に伴う検出結果から、上記光学作用面における光軸と、オートコリメータの光軸(101a)に無関係に配置された、上記光学素子の上記回転軸とが一致するように上記光学素子を位置決めする、
    ことを特徴とする光学素子の偏心調整方法。
  2. 上記光学素子はレンズであり、当該レンズの上記位置決めは、
    上記レンズの上記フランジ面で反射した回折光の上記受光部での検出から、上記光学作用面に相当する上記レンズのレンズ面(1a,1b)における光軸(7a,7b)が上記レンズの回転軸に平行になるように上記レンズを位置決めし、
    次に、上記レンズ面で反射した回折光の上記受光部での検出から、上記レンズの回転軸が上記レンズ面の光軸に一致するように上記レンズを位置決めしてなされる、請求項1記載の偏心調整方法。
  3. 上記光源は、異なる波長の光を発する複数の光を照射し、上記フランジ面及び上記レンズ面に対してそれぞれ異なる波長の光を照射する、請求項2記載の偏心調整方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の偏心調整方法を行い、光学素子(1)における2つの光学作用面の内の一方に相当する第1光学作用面(1a)での光軸(7a)と、上記光学素子の回転における回転軸(6a)とを一致させ、
    上記一致させた状態にて、上記光学素子における上記第1光学作用面に対向する第2光学作用面(1b)、及び該第2光学作用面と同時に形成された平坦な第2フランジ面(1d)に対して、レンズ機能部(110)の回折構造(112a)にて生じた異なる次数のそれぞれの回折光(131、132)を照射し、
    上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光をオートコリメータに備わる受光部(120)で検出し、
    該検出結果から、上記第1光学作用面における光軸に対する上記第2光学作用面における光軸(7b)の相対的な平行偏心及び傾き偏心を求める、
    ことを特徴とする光学素子の偏心測定方法。
  5. 上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用する各回折光は、上記偏心調整方法を実行するときに使用する波長とは異なる波長の光にて生成される、請求項4記載の偏心測定方法。
  6. 上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光が入射する上記受光部が備わるオートコリメータは、上記偏心調整方法を実行するのに使用したオートコリメータと同一物である、請求項4記載の偏心測定方法。
  7. 上記受光部で検出される各回折光は、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面にて反射して上記受光部に入射するか、あるいは、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面を透過した後、上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面に対向して配置されたミラー(150、151)にて反射して上記受光部に入射する、請求項4又は6に記載の偏心測定方法。
  8. 上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光が入射する上記受光部が備わるオートコリメータは、上記偏心調整方法を実行するのに使用した第1オートコリメータ(100A)とは別設され上記第1オートコリメータと同じ構成を有する第2オートコリメータ(100B)である、請求項4記載の偏心測定方法。
  9. 上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面と作用した各回折光が入射する上記受光部が備わるオートコリメータは、上記偏心調整方法を実行するのに使用した第1オートコリメータ(100A)とは別設され、光源(130)からの光束を平行光として上記第2光学作用面及び上記第2フランジ面に入射するコリメータレンズ(111)を有する第2オートコリメータ(100C)である、請求項4記載の偏心測定方法。
  10. 請求項1から3のいずれかに記載の偏心調整方法を行い、光学素子の光学作用面における光軸と、上記光学素子の回転における回転軸とを一致させ、
    ここで、上記光学素子はレンズであり上記光学作用面はレンズ面であり、複数のレンズが板状体上にアレイ状に配列されたレンズアレイ体(400)において、
    上記レンズ面の光軸と上記回転軸とを一致させた基準レンズ面(401a)に対して、上記レンズアレイ体において上記基準レンズ面が存する側面(402)にある他のレンズ面(401e)における相対的な平行偏心及び傾き偏心を求める、
    ことを特徴とする偏心測定方法。
  11. 光学素子がレンズであり、その片側の光学作用面が成形により第1レンズ面(10a)を形成し上記第1レンズ面に対向する対向面(11b)が光学作用面を未だ形成していないレンズ(10)に対して、請求項1から3のいずれかに記載の偏心調整方法を行い、上記第1レンズ面の光軸と、上記レンズの回転における回転軸とを一致させ、
    一致後、上記回転軸を基準として、上記対向面を加工して光学作用面としての第2レンズ面(10b)を形成する、
    ことを特徴とするレンズ加工方法。
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