JP4905193B2 - 凹面回折ミラー及びこれを用いた分光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分光測定用の凹面回折ミラー及びこれを用いた分光装置に関する。
従来から、小型の分光装置を作成するために、光学素子(レンズやミラー)と回折格子とを一体にするという方法が知られている。これに関し、回折格子と凹面ミラーとを復合したものとしては、特許文献1に開示されるように、回折格子の格子溝と平行な面内の曲率とこれに直交する方向の面内の曲率とが互いに異なる凹面ミラーにホログラフィック露光法で製作されるものや、特許文献2に開示されるように、大量生産を可能とするべく、ホログラフィック露光法で作成されたマスター回折格子からレプリカとして製作(レプリカ法)されるものなどがある。
特開平8−271335号公報 特開2006−98428号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、上記ホログラフィック露光法によって不等間隔、非直線格子パターンを記録して製作した回折格子を用いて直接、入射スリットの像を出口スリット上に結ぶようにすることで斜め入射における設計中心波長での収差を補正することができたとしても、他の波長における収差(特に非点収差)が残存する、或いは、非直線回折格子であることから、レプリカを製作するすなわち非直線回折格子からレプリカとして離形することが困難である、などの問題があった。また、特許文献2に開示される技術では、レプリカ法は実質的に2回の転写を行うことから、詳細部分まで設計形状が再現し難いという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、可視領域の全ての波長において良好なスリットの結像性能(波長分解能)を有し且つ大量生産に向く凹面回折ミラー、及びこれを用いた分光装置を提供することを目的とする。
本発明に係る凹面回折ミラーは、凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子が形成された反射面、を備える凹面回折ミラーであって、前記回折格子は、前記反射面の中心点を通る面であるとともに該回折格子の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、前記中心点を通る仮想的な基準球面の該中心点での仮想的な接平面に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が前記基準面と直交する方向に直線となる形状であり、前記反射面の前記基準面方向における断面形状は、前記中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも大きくなる形状であることを特徴とする。
上記構成によれば、凹面回折ミラーが、凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子が形成された反射面、を備える凹面回折ミラーであって、回折格子は、反射面の中心点を通る面であるとともに該回折格子の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、中心点を通る仮想的な基準球面の該中心点での仮想的な接平面に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が基準面と直交する方向に直線となる形状であり、反射面の基準面方向における断面形状は、中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面の曲率よりも大きくなる形状とされる。
このように、反射面の基準面方向における断面形状(回折格子の基準面方向の断面形状)が、一方側で中心から遠ざかるほど曲率が小さくなり、他方側で中心から遠ざかるほど曲率が大きくなる形状(非対称形状)をしているので、反射面の当該一方側及び他方側からの反射光による受光面(受光素子アレイ)上の受光位置のズレを補正することが可能となる。さらに、反射面の基準面方向における断面形状が上記非対称形状であることに加えて、回折格子が基準面に対して面対称で且つ接平面上への投影形状が直線となる形状、換言すれば反射面における基準面と直交する方向(X方向)の断面形状は対称形状とすることで、反射面の“自由度”を上記基準面との直交方向には使用せずに受光面上のこの直交方向での収差は許容し、この方向の収差を許容した分(自由度、パワー)だけ、受光面の受光素子列方向(Y方向)の収差補正能力を向上させる(波長分解能を高める)ことができる、所謂収差バランスをとることが可能となるので、可視領域の全ての波長において良好なスリットの結像性能(Y方向での高い収差補正能力)を有する凹面回折ミラーを得ることができる。また、上述のように回折格子が基準面に対して面対称で且つ接平面上への投影形状が直線となる形状であるので、凹面回折ミラー(例えば凹面回折ミラー用の金型)の製作を機械加工によって容易に行えるようになり、ひいては大量生産に向く安価な凹面回折ミラーを得ることが可能となる。さらに、上記形状の反射面を備える凹面回折ミラーとすることで、この凹面回折ミラーと共にスリット及び受光素子アレイを組み合わせて小型の分光装置を製作することが可能となる。
また、上記構成において、前記回折格子は、前記反射面上に並列配置された複数本の回折格子であり、前記接平面上に該複数本の回折格子が投影されてなる回折格子同士の間隔が等間隔となることが好ましい(請求項2)。
これによれば、回折格子が、反射面上に並列配置された複数本の回折格子であり、接平面上に該複数本の回折格子が投影されてなる回折格子同士の間隔が等間隔すなわちピッチが一定とされるので、凹面回折ミラー(例えば上記金型)の作成に際しての機械加工が一層容易となる。
本発明に係る分光装置は、凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子が形成された反射面、を備える凹面回折ミラーであって、前記回折格子が、前記反射面の中心点を通る面であるとともに該回折格子の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、前記中心点を通る仮想的な基準球面の該中心点での仮想的な接平面に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が前記基準面と直交する方向に直線となる形状であり、前記反射面の前記基準面方向における断面形状が、前記中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも大きくなる形状である凹面回折ミラーと、前記凹面回折ミラーの反射面に対して光を入射するスリットであって、前記基準面の位置で、且つ、前記反射面に対する前記中心点を通る接平面法線よりも前記他方側の位置に配置されたスリットと、前記スリットからの入射光が前記反射面により反射されてなる分散光を波長毎に受光する受光素子アレイとを備えることを特徴とする(請求項3)。
上記構成によれば、分光装置が、凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子が形成された反射面、を備える凹面回折ミラーであって、回折格子が、反射面の中心点を通る面であるとともに該回折格子の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、中心点を通る仮想的な基準球面の該中心点での仮想的な接平面に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が基準面と直交する方向に直線となる形状であり、反射面の基準面方向における断面形状が、中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面の曲率よりも大きくなる形状である凹面回折ミラーと、凹面回折ミラーの反射面に対して光を入射するスリットであって、基準面の位置で、且つ、反射面に対する中心点を通る接平面法線よりも他方側の位置に配置されたスリットと、スリットからの入射光が反射面により反射されてなる分散光を波長毎に受光する受光素子アレイとを備えたものとされる。
このように、反射面の基準面方向における断面形状(回折格子の基準面方向の断面形状)が、一方側で中心から遠ざかるほど曲率が小さくなり、他方側で中心から遠ざかるほど曲率が大きくなる形状(非対称形状)をしているので、反射面の当該一方側及び他方側からの反射光による受光素子アレイ(受光面)上の受光位置のズレを補正することが可能となる。さらに、反射面の基準面方向における断面形状が上記非対称形状であることに加えて、回折格子が基準面に対して面対称で且つ接平面上への投影形状が直線となる形状、換言すれば反射面における基準面と直交する方向(X方向)の断面形状は対称形状とすることで、反射面の“自由度”を上記基準面との直交方向には使用せずに受光素子アレイ上のこの直交方向での収差は許容し、この方向の収差を許容した分(自由度、パワー)だけ、受光素子アレイの受光素子列方向(Y方向)の収差補正能力を向上させる(波長分解能を高める)ことができる、所謂収差バランスをとることが可能となるので、可視領域の全ての波長において良好なスリットの結像性能(Y方向での高い収差補正能力)を有する凹面回折ミラーを備えた分光装置を得ることができる。また、上述のように回折格子が基準面に対して面対称で且つ接平面上への投影形状が直線となる形状であるので、凹面回折ミラー(例えば凹面回折ミラー用の金型)の製作を機械加工によって容易に行えるようになり、ひいては大量生産に向く安価な凹面回折ミラーを得ることが可能となる。そのため、安価な分光装置を得ることが可能となる。さらに、上記形状の反射面を備える凹面回折ミラーとすることで、この凹面回折ミラーと共に、反射面に対する中心点を通る接平面法線よりも他方側の位置に配置させたスリットと、受光素子アレイとを組み合わせて小型の分光装置を容易に製作することが可能となる。
また、上記構成において、前記受光素子アレイは、前記スリットからの入射光の前記反射面による1次回折光を前記分散光として受光し、前記凹面回折ミラーは、ゼロ次回折光を前記受光素子アレイを挟んで前記スリットの反対側に位置させることが可能な前記反射面を備えていることが好ましい(請求項4)。
これによれば、受光素子アレイが、スリットからの入射光の反射面による1次回折光を分散光として受光し、凹面回折ミラーが、ゼロ次回折光を受光素子アレイを挟んでスリットの反対側に位置させることが可能な反射面を備えた構成とされるので、すなわち、スリットに近い方向に波長の長い回折光(1次回折光)をもってくる分光装置とされるので、コマ収差の発生を原理的に抑制し易くなり、その結果、高い分光特性を得ることができる。
また、上記構成において、前記受光素子アレイは、前記スリットからの入射光の前記反射面による1次回折光を前記分散光として受光し、前記凹面回折ミラーは、ゼロ次回折光を前記受光素子アレイと前記スリットとの間に位置させることが可能な前記反射面を備えていることが好ましい(請求項5)。
これによれば、受光素子アレイが、スリットからの入射光の反射面による1次回折光を分散光として受光し、凹面回折ミラーが、ゼロ次回折光を受光素子アレイとスリットとの間に位置させることが可能な反射面を備えた構成とされるので、すなわち、波長の短い方の回折光(ゼロ次回折光)がスリットに近い位置にくる分光装置とされるので、高次回折光がスリットに戻ってノイズとなるつまり迷光の発生を防止(低減)することが可能となり、その結果、高い感度を得ることができる。
また、上記構成において、前記受光素子アレイは、該受光素子アレイの各受光素子が前記基準面と直交する方向に長い矩形であることが好ましい(請求項6)。
これによれば、受光素子アレイの各受光素子が基準面と直交する方向に長い矩形とされるので、波長分解能は維持しながら明るさを向上させて(X方向を長くしてその分だけ光を多く取り込んで)ノイズを低減することが可能となる。
また、上記構成において、前記スリットは、該スリットの各スリット開口が前記基準面と直交する方向に長い矩形であることが好ましい(請求項7)。
これによれば、スリットの各スリット開口が基準面と直交する方向に長い矩形とされるので、波長分解能は維持しながら明るさを向上させて(X方向を長くしてその分だけ光を多く取り込んで)ノイズを低減することが可能となる。
本発明によれば、可視領域の全ての波長において良好なスリットの結像性能(波長分解能)を有し且つ大量生産に向く安価な凹面回折ミラー、及びこれを用いた小型の分光装置を得ることができる。
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係る凹面回折ミラーが適用される分光装置1の一構成例を示す概略断面図である。分光装置1は、スリット2、凹面回折ミラー3及び受光素子アレイ4を備えている。一般的に、小型の分光装置(分光器)を達成するために、分光エンジン部分は、入射スリット、凹面回折ミラー及び受光素子アレイの3つで構成される(例えば上記特許文献1)。本実施形態ではこの分光エンジン部分を分光装置1として説明する。実際には、スリット2へ向けて光を入射させるための光学系、すなわち光源(照明)やレンズ、光源からの光をレンズに導くための反射ミラーや光ファイバーなどの光学系、並びに、受光素子アレイ4からの情報に基づいて所定の分光分析処理等を行う演算処理(制御)装置を備えているが、これらは公知の技術によって構成されるので、ここではこれらの説明は省略する。なお、図1は、スリット2から凹面回折ミラー3への入射光による入射面(plane of incidence:後述の反射面に垂直で且つ入射光線と反射光線とを含む面;入射平面)での光路図を示すものでもある。また、図1中の紙面に垂直な方向をX軸方向(X方向;以降のY、Zも同様)、紙面内の縦方向をY方向、横方向をZ方向とする。
スリット2は、複数の矩形の開口(スリット)が並列に形成されており、これら開口を通して上記光学系による光を凹面回折ミラー3に対して入射させるもの(光学スリット板;図9参照)である。スリット2は、矩形の開口が上記X方向となるように配置されており、図1では1つの開口におけるこのX方向の或る位置(点)から光が入射している様子を示している。
凹面回折ミラー3は、スリット2からの入射光を受光素子アレイ4へ向けて反射させるとともに、該入射光を回折させるもの、すなわち、入射光に対する反射面が凹面形状をしており且つこの反射面の表面に複数の回折格子が形成されてなるもの(反射型の凹面回折格子)である。凹面回折ミラー3は、1次回折によって、ここでの使用波長である360nm〜780nmの光を受光素子アレイ4に集光する。なお、凹面回折ミラー3は、そのスリット2側の開口数(NA:Numerical Aperture)が例えば0.25であり、充分に明るいものとされている。また、凹面回折ミラー3で“反射する”とは、反射及び回折する意味を併せ持つものとする。
受光素子アレイ4は、CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子からなり、凹面回折ミラー3からの光を受光するとともに、この受光情報を上記演算処理装置に出力するものである。具体的には、受光素子アレイ4は、複数の受光素子(撮像素子;画素)が配列されてなる受光(撮像)センサであり、例えば受光素子アレイ4の長手方向(後述の受光面402における紙面方向;Y方向)に、本実施形態での使用波長360nm〜780nmの波長域に対応する例えば105個の受光素子(画素)が所定の間隔で一列に配置(各受光素子が隣接して並列配置)されている。ただし、各受光素子は、入射面と直交する方向に長い矩形形状(X方向に延びた帯形状)となっている。
(凹面回折ミラー3の詳細な説明;自由曲面形状について)
本発明は、凹面回折ミラー3における上記回折格子を有する反射面の形状が、球面のような対称形ではなく、非対称な形状すなわち自由曲面となっていることを主な特徴点とするが、ここで先ず、この自由曲面の形状を決定するに際しての考え方(原理)について、従来の技術を引用しながら説明し、その後、具体的な実際の形状について説明する。
上述のように、分光エンジン部分(分光装置1)は、スリット2、凹面回折ミラー3及び受光素子アレイ4の3つで構成されて小型化が図られているが、スリット2からの入射光を受光素子アレイ4へ向けて(1次回折光として)反射するべく凹面回折ミラー3を傾けて配置しているために、光軸上においても非点収差が発生する。これを回避するために、上記特許文献1では、回折格子の方向とその直交方向とで若干曲率の異なる所謂トロイダル面をベースとして、このベース面の上にホログラフィック露光によって作成した回折ミラーとしている。これによって、設計波長(利用中心波長)における非点収差の補正を可能としている。ところが、このホログラフィック露光法で作成したトロイダル形状の回折ミラーは、回折格子が上下対称の面(すなわち、回折格子の分散方向の断面が上下対称の円形状)となるため、依然として残存の収差がある。
図23は、このトロイダル形状の回折ミラー(凹面回折ミラー)によるスペクトルイメージを示している。符号921で示すように中心波長(ここでは500nm近辺)ではスペクトルの広がりは非常に小さいが、この中心波長からズレた位置では例えば符号922で示すように“弓なり”となってスペクトルが広がってしまう(上記残存の収差に相当)。つまりこのようにスペクトルイメージが“弓なり”に広がると、或る波長に対応する受光素子で検出すべきところが他の波長の受光素子によっても同時に検出されてしまうことになるため、分光特性が悪化する。また、この特許文献1においても、回折格子、入射スリット及び2次元撮像素子(光学素子アレイ)のみで構成した分光器とすることで部品点数の低減が図られているものの、小型化ができているとは言い難く、そのため、小型化するべく光学素子の出力を大きくしようとすると、さらにこの“弓なり”の収差が悪化して分光器の性能劣化が顕著となってしまう。そこで、これら問題を解決するためには、この回折ミラーに最適な自由度を与えることと、この自由度を用いた最適な設計を行うことが必要となる。
図22は、上記トロイダル形状の回折ミラー901を用いた場合の入射面における光路図を示している。同図に示すように、スリットからの入射光における入射光902を中央(センター)位置の入射光とし、この入射光902の回折ミラー901表面での反射位置をセンターCとする。ただし、同図での回折ミラー901は上記入射面での断面図を示しており、その反射面903(円弧状の線;円弧ラインという)はセンターCを挟んで対称形(対称な円形状)となっている。この回折ミラー901の場合、センターCを挟んだ上下位置でつまり図中上側の領域U(上部U)と下側の領域D(下部D)とでスリットからの光の入射角が異なることから、光学素子アレイの受光面904(受光面904のYZ断面での直線方向をS方向とする)では、符号910で示す拡大図(拡大図910)のように、反射面903からの各反射光が1点で交わらない、すなわち各反射光の受光位置にズレを生じている。このため、反射面903(上記円弧ライン)における上記上下方向(Y方向)への非対称性が存在しなければ、この受光位置のズレに対する完全な補正を行うことはできない。すなわち、回折ミラー901(円弧ライン)は少なくともこの上下方向において非対称である必要がある。
(非対称性について)
ただし、光学素子の製造や評価を鑑みた場合、対称性が多いほど評価項目が低減できるというメリットがある。このため、回折ミラー901は、X方向には対称形であることが好ましい。このように、上下方向には非対称形であり且つX方向には対称形であるような自由曲面(自由曲線)形状とすることで、良好な分光特性を有する回折ミラー901を実現することができるが、さらに言えば、上部Uは周辺(周縁、端部)に向かうほどより凹面パワーが弱くなり、下部Dは周辺に向かうほど凹面パワーが強くなるような非対称形であることが好ましい。
すなわち、拡大図910に示されるように、光学素子の受光面904(平面形状、YZ断面で直線形状をしている)におけるS方向の上側の光線(上記上部Uからの反射光線)は、中心光線(センターCからの反射光905)に近づくように(実際には符号911で示すように中心光線よりも下方位置にくる)、一方、下側の光線(上記下部Dからの反射光線)は、符号912で示すように中心光線から遠ざかるように該受光面904に入射している。この状態は所謂コマ収差、具体的には「内方コマ」である。この収差があることで、受光面904でのS方向への光分布が大きくなり、その結果、分光特性が悪化してしまう。したがって、これを補正することが好ましい。すなわち、上述のように、上部Uは周辺に向かうほどより凹面パワーが弱くなり、下部Dは周辺に向かうほど凹面パワーが強くなるような非対称な光学面にすると、この内方コマを低減することが可能である。さらには、内方コマの発生量は一般的には下側の光線の方が大きい(中心光線に対する符号911で示す入射光線のズレ量よりも符号912で示す入射光線のズレ量の方が大きい)ことから、上部Uの周辺に向かうほど凹面パワーを弱くする度合い(傾向)よりも、下部Dの周辺に向かうほど凹面パワーを強くする度合いの方が大きくなるようにすることが一層望ましい。
(凹面回折ミラー3の実際の形状)
先ず、図1に戻って、分光装置1の構成における設定数値を示す。分光装置1のスリット2、凹面回折ミラー3及び受光素子アレイ4は、以下の表1(表1内の単位のX、Y、Z位置の単位はmm)に示す位置に配置される。すなわち、図1でのXYZ座標系を上記図22と同様に設定し、スリット2の射出点201の位置を原点(0、0、0)、符号301で示す点(反射点301)をセンターC(図22と同様)、符号401で示す点を受光素子アレイ4の位置決めの所定の基点(基点401)とすると、センターCの座標位置が(0、0、22.3)、基点401の座標位置が(0、19.2193、3.7401)である。また、凹面回折ミラー3の傾斜角が23°、つまりセンターC(反射点301)における凹面回折ミラー3の反射面302に対する接平面303(接平面303のYZ断面での直線)とY方向とのなす角(或いは接平面303の法線とスリット2からの入射光線とのなす角)が23°であり、受光素子アレイ4の傾斜角が46°、つまり受光素子アレイ4の受光面402とY方向とのなす角が46°である。なお、ここでの反射面302は実際の回折格子による凹凸を考慮しない謂わば仮想の面として考えている。また、図1では、スリット2からの入射光が反射点301及び両周辺付近の反射点304、305の各点で反射した光はそれぞれ、波長に応じて(ここでは7種類の波長を例に示す)異なる受光点403、404・・・に集光されることを示している。
このような配置において、凹面回折ミラー3の反射面302のZ軸方向の形状すなわち自由曲面は、以下の(1)式に示すxy多項式で表される。ただし、このxy多項式の各係数の値は以下の表2に示す。

但し、C=1/Rである(記号「/」は除算を示す)。
また、各部の設計数値を以下に示す。
反射面302上の回折格子のピッチ:2.26μm(詳細は後述する)
スリット2の開口寸法(スリット幅):Y方向90μm、X方向0.90mm
受光素子アレイ4の各CCD(受光素子)の寸法:Y方向50μm、X方向1.00mm(CCD画素数:上記105画素;360nm〜780nm)。ただし、受光素子アレイ4のY方向とは受光面402における紙面方向を示す。
スリット側NA:上記0.25
図2は、X=0断面における、凹面回折ミラー3の自由曲面の基準球面からのズレ量を示すグラフ図である。すなわち、図3に示すように、センターCを通る所定の基準球面311を考えた場合の、接平面303の法線方向における基準球面311と自由曲面312との間の距離を、Y方向(接平面303方向をY方向とする)の全域に亘ってグラフに表したものが図2である。ただし、図3での上部U及び下部Dにおけるズレ量は、それぞれ図2での正値(+)及び負値(−)で示される。図2に対応するこれら基準球面311、自由曲面312、センターCを原点0としたY方向の上下位置(Y高さ)、及びズレ量の数値を以下の表3に示す。
図2、3及び表3に示すように、上部Uの周辺に向かうほど凹面パワーを弱くする度合い(例えばこの周辺端部でのズレ量は約3.5ミクロン)よりも、下部Dの周辺に向かうほど凹面パワーを強くする度合い(例えばこの周辺端部でのズレ量は約7ミクロン)の方が大きくなっている。
このような自由曲面形状を有した反射面302上には、例えば図4に示すような断面(X=0断面)形状が例えば三角形をした回折格子が複数本形成されている。具体的には、回折格子は同図中に示す設計寸法値を有している、すなわち、回折格子320のうちの1つを回折格子321とすると、この回折格子321の三角形T1の高さHが0.2130μm、Y方向における頂点322から頂点323まで(三角形T1と隣接する三角形T2との境界位置からこの三角形T1の山の頂点323まで)の幅Wが2.2309μm、頂点323から頂点324まで(三角形T1の底辺)の距離が2.2603(上記2.26)μm、高さH方向と三角形T1の一辺3211とのなす角が7.90°となっている。
実際には、回折格子320は、図5に示すように自由曲面312上に重畳された形状に形成されている。すなわち、センターCでは上記三角形T1(回折格子321)の形状をしているが、上部U及び下部D側では謂わばズレ量に応じて三角形T1が変形した三角形となっている。これは、符号330の図に仮想的に示す直線状(Y方向に直線)の回折格子列の各三角形が、謂わば接平面303の法線方向に沿って自由曲面312上に変形して貼り付けられた形状であると言える。このとき、各回折格子(各三角形)の上記高さH及び幅Wはいずれの場所でも同じとなる。また、上記角度7.90°は、センターCの位置ではこれと同じ7.90°であるが、その他の位置では異なる角度となる。
ところで、自由曲面312のY方向(上下方向)は上述のような形状であるが、X方向は直線形状になっている。この直線形状というのは、図6に示すように、自由曲面312の各回折格子320を接平面303上に投影したときに符号3031で示すように“直線”となることを示す(この直線状の各回折格子のピッチが上記2.26μmである)。ただし、自由曲面312はX方向にもパワーを持たせている。すなわち上記直線形状はXY平面で考えた場合の2次元的なものであるが、3次元的には、中心線313を挟んでX方向に対称な曲面(曲線)となっている。これは、凹面回折ミラー3で反射した光がX方向でも発散せずに受光素子アレイ4上に好適に集光されるようにするためである。なお、このX方向の曲面は、周辺に向かうほど凹面パワーが(若干;数ミクロン程度)弱くなるような形状とされることが好ましい。これは、球面収差は端にいくほど手前で結像しようとする特性を有しているため、これを補正するものである。
ここで、上記凹面回折ミラー3について纏めると、次のように換言できる。凹面回折ミラー3は、凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子320が形成された反射面302、を備える凹面回折ミラー3(反射型凹面回折格子)であって、この凹面回折ミラー3の回折格子320は、反射面302のセンターC(中心点)を通る面であるとともに該回折格子320の分散方向(YZ平面を含む方向であって、回折格子320のブレーズ方向つまり所謂ブレーズ刻線と直交する方向)の面である仮想的な基準面(センターCを通る上記入射面)に対して面対称(X方向に対称)な形状であり、且つ、センターCを通る仮想的な基準球面311の該センターCを通る仮想的な接平面303に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が上記基準面と直交する方向に直線となる形状であり、反射面302の上記基準面方向における(基準面と平行な面の面内における)断面形状(X座標軸の各位置でのY方向(上下方向)の断面形状)は、センターCを挟んだ一方側の断面形状の曲率(曲がり具合;凹面パワー)が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面311の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面311の曲率よりも大きくなる形状である。
このような形状の自由曲面312を有する凹面回折ミラー3を用いた結果、図7、8に示すように良好な分光特性が得られる。図7は、図9に示すようにスリット2(スリット開口)の各X座標位置、ここでは中心点0(ゼロ)、±0.25mm、±0.45mmの各位置からの入射した異なる波長、ここでは360nm、500nm及び780nmの波長の光による受光素子アレイ4での収差を示す横収差図(横収差図710、720、730)である。横収差図720、730のX座標位置は横収差図710と同じであり、各X位置毎にY−FAN及びX−FANで示す収差(基準からのズレ量)を示している。ただし、Y−FAN、X−FANとは、図10に示すように、凹面回折ミラー3の反射面302全体を「瞳」とする場合の上記センターCを通るX軸位置及びY軸位置での収差を表している。これによれば、いずれの波長及びX座標位置についても、本発明において要望されるY−FANでの小さな収差(収差<<0.25)となる。X−FANでは図に示すような収差を有する(X方向にボケる;長くなる)が、これは許容されるものである(これについては後述する)。
図8は、図7で説明した各波長360nm、500nm及び780nm、並びに各X座標位置0(ゼロ)、±0.25mm、±0.45mmに対応するスポットダイヤグラム(スポットダイヤグラム810、820及び830)である。ただし、例えばスポットダイヤグラム810におけるプロット点群811は、波長780nm及びX座標位置−0.45の場合における、図10に示す瞳全体(全ての点)での反射光による収差(上記図7の符号711及び712で示すY−FAN及びX−FANの収差情報も含む)を示す。また、各スポットダイヤグラムの横軸及び縦軸はそれぞれX方向及びY方向を示す。このように瞳全体での収差を調べた場合でも、各プロット点群のY方向の広がり(幅)は(図中のスケール1.5mmと比べて)充分小さいことが分かる。
因みに、図11は、スリット2から7種類の波長(360、400、500、550、600、700及び780nm;上記105画素に対応する360〜780nmの波長域)の光を入射して凹面回折ミラー3で反射させた場合の、受光素子アレイ4上での光強度分布図(スリットからの光の積算;スペクトルイメージ;横軸はX方向、縦軸はY方向)であるが、この図からも、Y方向つまり画素列方向の広がりが小さい(締まりの良い)、すなわちY方向での収差(ボケ)が小さい良好な分光特性が得られていることが分かる。
ところで、凹面回折ミラー3の反射面302が上記特許文献1に示すようなトロイダル面では、回折ミラーの垂直断面と水平断面方向との光線についての議論は行えているものの所謂スキュー光線(これら断面以外の領域;図10の符号33で示すような、反射面302におけるX軸及びY軸以外の領域での光線)については光線収差を補正するための自由度を有していないので、受光面402における全ての場所において良好な分光性能を有することは原理的に無理である。これに対して、反射面302が自由曲面(例えば上記(1)式に示すxy多項式)である場合、xの奇数次項を使用しない(反射面302のX方向は対称形にする)ようにすれば、対称性を有しながら瞳の全ての位置(反射面302全体)における良好な収差補正を行うことができるため、分光特性が飛躍的に向上する。
このような自由度をどこに用いるかであるが、具体的には小型で良好な分光特性を得るための収差バランスに用いる。以下、このことについて説明する。凹面回折ミラー3は非点収差を有しており、全ての使用波長において、凹面回折ミラー3の回折格子方向(X方向)と同方向の垂直断面(子午切断面)における光線による像面(子午的像)は受光素子アレイ4(受光面402)の手前の位置すなわち凹面回折ミラー3寄り側の位置に存在し、一方、この垂直断面と直交する方向(Y方向)の水平断面(球欠切断面)における光線による像面(球欠的像)は受光素子アレイ4近辺(受光面402上或いは受光面402近傍)に存在する。つまり、Y方向の像面が受光素子アレイ4近辺にくるようにすることで当該Y方向での波長分解能が高まるが、それと同時に全ての波長領域でX方向の収差を除くことは難しい。
分光装置1の波長分解能は極限まで向上させたい。すると、全ての波長において非点収差だけでなく球面収差やコマ収差も補正する必要がある。ところが、本発明では自由曲面が1面(1つ)しかないので、自由曲面という自由度を用いても全ての波長で無収差を達成するのは困難である。そこで、使用領域においては非点収差を許容する設計を行う。つまり、X、Y方向の両方に対して収差補正を行おうとするのではなく(設計波長のみの収差補正を行うのではなく)、Y方向での収差補正のみを行うようにする。すなわち、Y方向の波長分解能を向上する(受光面402上でのY方向のボケを小さくする)べく上述のようにY方向の像面を受光素子アレイ4の位置に一致させるとともに、全ての波長領域においてX方向の焦点位置を受光素子アレイ4の手前に位置させればよい。このように、自由曲面の自由度を、コマ収差の補正及びY方向の像面性向上にのみ用いる。この場合、自由度としては(上記自由曲面が1面であっても)充分事足りるので、非常に良好な分光性能が得られる。なお、X方向の焦点位置を受光素子アレイ4の手前に位置させることはX方向での像のボケ(X方向での収差発生)を意味するが、もともとスリット2(スリット開口)はX方向に長い(Y方向よりも長い)ので、当該ボケることでX方向に広がるものの、受光素子アレイ4も同様にX方向に長いということもあり、このX方向でのボケは基本的には許容してもよいボケである。
(凹面回折ミラー3の製作について)
凹面回折ミラー3の実際の製作について説明する。凹面回折ミラー3は凹面回折ミラー基材に直接加工を施して製作するのではなく、先ず金型基材に対する加工(金型加工;コア加工)を行い金型510を製作する。この金型加工は機械加工で行った。すなわち図12に示すように、1つが上記約220nmの長さの各回折格子をバイト501を用いて加工した(因みに、従来はホログラフィック露光して横からイオンエッチングする)。ただし、金型510の表面には、上記図5で説明した自由曲面312上の回折格子列(回折格子320)の形状に対応する(逆形状の)回折格子(金型回折格子という)が凸面状に形成される。この加工に際しては、例えば10nmの先端径(半径)を有して軸回転するバイト501を用いて、図13(a)に示すように金型部材表面に対して例えば10nmピッチの加工周期で加工(切削加工)することで各金型回折格子を形成する(図13(b)は当該バイト501で加工した後の実際の金型回折格子表面の形状を示している)。このとき、金型510に対してバイト501先端を例えば図14に示すようにX方向に沿って上記10nmピッチで位置をずらしながら直線的に往復させて加工を行う。このような加工によって、金型510上に、X方向に直線の(上記接平面303上に投影して直線である)金型回折格子が形成される。
上記金型加工によって得られた金型510に対して、例えばZEONEX(商標)(シクロオレフィン系の樹脂材料)等の成形材料を用いてインジェクションモールド(射出形成)を行うことで凹面回折ミラー3を成形する。この結果、図15に示すような、上記X方向に直線の金型回折格子に対応して、X方向に直線な回折格子20(ブレーズに近い形状の回折格子20)が形成された凹面回折ミラー3が得られる。なお、シクロオレフィン系の樹脂材料は吸湿特性に優れており、湿度の高いところでも形状変化が小さいので好ましい。ただし、樹脂はこのシクロオレフィン系でなくともよく、ポリカーボネート系やアクリル系の樹脂といった、一般の光学素子で用いられているものであれば、成形性や光学特性が良好に得られるので同じく好ましい。当該凹面回折ミラー3の成形後、回折格子320(反射面302)表面に所定のコーティング(被膜)、例えばアルミコートを実施する。このアルミコートは、420nmの波長の光線が該アルミコートに23度(凹面回折ミラー3の傾斜角23°に相当)入射するときに最も反射率が高くなるような設計とした。具体的には、基材としての上記ZEONEX表面上に、例えば厚み30nmのアルミナ(Al)層、このアルミナ層の上に例えば厚み120nmのアルミニウム(Al)層、さらにこのアルミニウム層の上に例えば厚み125nmのケイ酸(SiO)層がコーティングされた3層コートとした。ただし、当該コーティングの各層の材質或いは層の数はこれに限定されない。
一方の回折格子については、例えば波長400nm(図4に示す高さHの略2倍の長さの波長;213nm×2=420nm≒400;入射光が斜め方向から入射していることを考慮)付近で反射率がピークとなるように設計している。一般に物体光には短い波長が含まれていないことや、受光器の特性から回折格子は青色(波長400nm)近辺での光量が最大になるように、回折格子の高さやコートの特性を設定することが好ましい。実際に上記金型から成形し且つコーティングを施した凹面回折ミラー3に対するAFM(原子間力顕微鏡)測定結果(図16に示すの写真)からも、良好なつまり高精度な回折格子320(格子表面)を有する高精度な凹面回折ミラー3が得られることが分かる。
ところで一般に、自由曲面は研磨等の従来の加工方法での作成が難しく、そのため、NC(数値制御)製作装置等の機械加工による金型作成と成形という加工方法が用いられる。成形はプラスチックモールドの方が転写性が良いので好ましいが、ガラスモールドであってもよい。ガラスを用いた場合、温度膨張の影響を低減できるという効果がある。
また、自由曲面上に重畳された回折格子320の形状を機械加工で作成する場合には、上述のように直線回折格子であることが好ましい。換言すれば、良好なブレーズ(鋸)形状を得るためには機械加工が直線的に行えることが好ましく、この場合、加工を比較的容易に行うことができる。一方、曲線形状の場合は、当該加工が非常に困難となる。また、成形の際の離形時に金型の抜き方向に対して上手く抜けるようにすることが困難であるために、離形不良を発生したり、これが発生しないようにするために回折格子の角度を周辺で小さくするなどの必要があり、この結果、回折効率が低下する。このようなことから曲線回折格子であることは好ましくない。さらに、回折格子間のピッチは一定であることが好ましい。間隔が一定であると、加工が容易であるとともに、品質管理が容易となるすなわち例えば製作時或いは工場出荷時等における検査時にも当該ピッチのみを管理すればよい。一方、不等間隔のピッチである場合には、場所ごとの間隔同士の整合性を調べなければならないので、品質管理上複雑となり、品質の低下やコストアップを招いてしまう。
なお、上記回折格子320を有する凹面回折ミラー3を用いた分光装置1は非常に小型で且つ高性能(分光装置1の分光性能に特に寄与するY方向の収差補正の精度が高い)であるが、さらに性能を良くするためは、スリット2(スリット開口)はX方向により長く、受光素子アレイ4もX方向により長い方が好ましい。これは、Y方向では波長分解能に影響を与えるが、X方向に長くするのであれば、波長分解能はそのままで明るさを向上させて(X方向を長くしてその分だけ光を多く取り込んで)ノイズを低減させることが可能となるからである。
ところで、凹面回折ミラー3での回折次数は、0次、1次、2次、3次・・・(次数が高くなるほど波長が長い)とあるが、1次であることが好ましいつまり受光素子アレイ4で受光する光は1次回折光を用いるのが良い。その理由は、高次の回折光を利用すると回折格子を高くする(上記高さHを大きくする)必要があり、この結果、凹面回折ミラー3の製作難易度が高くなる(一般的にアスペクト比の高い回折格子の作成は難しい)ことになるからである。ただし、“1次”回折光を利用する場合であっても、“0次”回折光をどの位置に配置するのかによって2パターンある。一般的に、回折は0次を中心として±1次、±2次・・・と多くの次数(回折する方向)があり、また、何れの方向の回折を最適にするのかは回折格子の形状と分光装置各部の配置とで決める。これにおいて、回折格子の形状は、上記1次の回折について最適化される形状であることが好ましい(これは、アスペクト比が低いので回折格子が製作し易くなることによる)。そして、何れの方向での1次回折光とするのかは当該配置によって決める。なお、回折格子の回折効率を高次回折において最適にするためには、回折格子の高さ(H)を高くする必要がある。具体的には、例えば2次回折光による回折効率を最適にするには、1次回折光による回折効率を最適にするための当該高さの2倍の高さを有する形状にする必要がある。このように高さが大きいつまり凹凸の度合いが大きな形状を作成すること自体、製造難易度を増加させることになる。上記回折格子のアスペクト比とは、回折格子のピッチに対する高さの割合であるが、このアスペクト比が高くなると、回折格子の斜面角度が大きくなり、その結果、金型の製造及び成形時の離形特性が不利となるために良好な回折格子を作成することが困難となる。従って、上述のように最低次数の1次回折光を用いることが好ましい。
すなわち、第1の実施形態では、図1に示すように、凹面回折ミラー3からの0次回折光は、受光素子アレイ4を挟んでスリット2と反対側(受光素子アレイ4に対する符号Pで示す側)の空間に位置し、この受光素子アレイ4では1次回折光が受光される構成となっている。換言すれば、波長の短い回折光(0次回折光)よりも波長の長い回折光(1次回折光)の方がスリット2に近くなるような配置となっている。このように波長の長い方の回折光がスリット2に近ければ収差補正上有利である。これは、波長の長い方の回折光は回折角度が大きいので回折によるコマ収差が大きくなってしまう(一般的に曲面ミラーは入射角度が大きくなるほど大きなコマ収差が発生してしまう)からである。後述の第2の実施形態の場合と比較しても、スリット2に近い(光軸に近い)方向に波長の長い回折光をもってくる方がコマ収差の発生を原理的に抑制し易く、その結果、高い分光特性が得られる。
(実施形態2)
図17は、第2の実施形態に係る凹面回折ミラーが適用される分光装置1aの一構成例を示す概略断面図である。分光装置1aも分光装置1と同様にスリット2、凹面回折ミラー3及び受光素子アレイ4を備えている。ただし、凹面回折ミラー3の構成と(ここでの凹面回折ミラーを凹面回折ミラー3aとする)、これら各部の配置とが分光装置1とは異なる。
上記第1の実施形態は、上記2パターンのうち、波長の長い回折光(1次回折光)の方がスリット2に近くなるような配置パターンであったが、本実施形態ではもう一方の配置パターンである波長の短い回折光(0次回折光)の方がスリット2に近くなるような配置パターン、すなわち凹面回折ミラー3からの0次回折光が、受光素子アレイ4とスリット2との間(受光素子アレイ4に対して符号Qで示す側)の空間に位置し、受光素子アレイ4では1次回折光が受光される構成となっている。
本実施形態のように波長の短い方の回折光がスリット2に近いと、1次回折光はスリット2と反対側の位置にくることになるので、高次回折光がスリット2に戻ってノイズとなるつまり迷光の発生を防止(低減)することができ、結果として高感度の分光特性を得ることができる。なお、これ以外の構成とする場合は、回折効率自体は低いものの何らかの高次回折光がスリット2に戻ることになり、スリット2の端面における回折や反射等が受光素子アレイ4に入射するのを回避することは困難となる。ただし、上記第1の実施形態よりも本実施形態の分光装置の方が性能に優るというのではなく、より高い分光特性を得たい場合には分光装置1を、より高い感度を得たい場合には分光装置1aを用いるといったように、目的に応じて使い分けることが可能であることを示している。
このような分光装置1aにおいて、分光装置1aのスリット2、凹面回折ミラー3a及び受光素子アレイ4は、上記表1と同様、以下の表4(表4内の単位のX、Y、Z位置の単位はmm)に示す位置に配置される。
このような配置において、凹面回折ミラー3aの反射面302aのZ軸方向の形状すなわち自由曲面は、上記(1)式と同じxy多項式で表される。ただし、この場合のxy多項式の各係数の値は以下の表5に示す。
また、本実施形態での各部の設計数値を以下に示す。
反射面302a上の回折格子のピッチ:2.45μm
スリット2の開口寸法(スリット幅):Y方向90μm、X方向0.90mm
受光素子アレイ4の各CCD(受光素子)の寸法:Y方向50μm、X方向1.00mm(CCD画素数:上記105画素;360nm〜780nm)。
スリット側NA:上記0.20
また、凹面回折ミラー3aの構成も以下のようになっている。すなわち、図18は、図2と同様、X=0断面における凹面回折ミラー3aの自由曲面312’の上記基準球面311からのズレ量を示すグラフ図である。この図18における正値(+)及び負値(−)で示されるズレ量は、それぞれ図17に示す上部U及び下部D(上記図3で説明した上部U及び下部D)におけるズレ量に対応する。図18に対応するこれら基準球面311、自由曲面312’、センターCを原点0としたY方向の上下位置(Y高さ)、及びズレ量の数値を以下の表6に示す。
本実施形態では、図18及び表6に示すように、上部Uの周辺に向かうほど凹面パワーを弱くする度合い(例えばこの周辺端部でのズレ量は約3ミクロン)と、下部Dの周辺に向かうほど凹面パワーを強くする度合いとが略同じ大きさとなっている。
このような自由曲面形状を有した反射面302a上には、図19に示すように、上記図4に示す回折格子320とはY方向において逆向きの形状に形成された回折格子が複数本形成されている。すなわち、回折格子320aのうちの1つを回折格子321aとすると、同図中の設計寸法値に示すように、この回折格子321aの三角形T1’の高さH’が0.2200μm、Y方向における頂点322’から頂点323’まで(三角形T1’と隣接する三角形T2’との境界位置からこの三角形T1’の山の頂点323’まで)の幅W’が2.4220μm、頂点323’から頂点324’まで(三角形T1’の底辺)の距離が2.4500(上記2.45)μm、高さH’方向と三角形T1’の一辺3211’とのなす角が7.03°となっている。実際には本実施形態も上記と同様に、回折格子320aが自由曲面312’上に重畳された形状に形成されている。この場合も各回折格子(各三角形)の上記高さH’及び幅W’はいずれの場所でも同じとなり、また、上記角度7.03°は、センターCの位置ではこれと同じ7.03°であるが、その他の位置では異なる角度となる。
本実施形態の場合も自由曲面312’のY方向(上下方向)は直線形状、すなわち、自由曲面312’の各回折格子320aを接平面303a(図1、図3参照)上に投影したときに 直線となっている(この直線状の各回折格子のピッチが上記2.45μmである)。また同様に、凹面回折ミラー3aで反射した光がX方向でも発散せずに受光素子アレイ4上に好適に集光されるようにするべく、自由曲面312’にはX方向にもパワーを持たせている、すなわち3次元的に中心線313’(図6参照)を挟んでX方向に対称な曲面(曲線)としている。なおこの場合も、X方向の曲面は周辺に向かうほど凹面パワーが(若干;数ミクロン程度)弱くなるような形状とされることが好ましい。
このような形状の自由曲面312’を有する凹面回折ミラー3aを用いた結果、上記図7と同様、図20の横収差図に示すように良好な分光特性が得られる。ただし、この図20も、図9に示すようにスリット2(スリット開口)における中心点0(ゼロ)、±0.25mm、±0.45mmの各X座標位置からの入射した異なる波長360nm、500nm及び780nmの光による受光素子アレイ4での収差を示す横収差図740、750、760)である。横収差図760のX座標位置は横収差図750、740と同じであり、各X位置毎にY−FAN及びX−FAN(反射面302a全体を「瞳」とする場合のセンターCを通るX軸位置及びY軸位置での収差)で示す収差を示している。これによれば、いずれの波長及びX座標位置についても、本発明において要望されるY−FANでの小さな収差(収差<<0.25)となる。この場合もX−FANでは図に示すような収差を有する(X方向にボケる;長くなる)が、これは許容されるものである。また、本実施形態ではスポットダイヤグラムの表示は省略するが、上記図8と同様、各プロット点群のY方向の広がり(幅)は充分小さいものとなる。
この場合も、図21における、スリット2から上記図11と同様に105画素に対応する360〜780nmの波長域での7種類の波長の光を入射して凹面回折ミラー3aで反射させた場合の受光素子アレイ4上での光強度分布図に示すように、Y方向つまり画素列方向の広がりが小さい(Y方向での収差(ボケ)が小さい)良好な分光特性が得られていることが分かる。
なお、本実施形態の場合も、自由曲面の自由度は、Y方向での収差補正(コマ収差の補正及びY方向の像面性向上)にのみに用いられる。すなわちY方向の波長分解能を向上する(受光面402上でのY方向のボケを小さくする)べく上述のようにY方向の像面を受光素子アレイ4の位置に一致させるとともに、全ての波長領域においてX方向の焦点位置が受光素子アレイ4の手前に配置される。この場合も自由度は充分事足りるので非常に良好な分光性能が得られる(X方向でのボケは許容される)。また、凹面回折ミラー3aの製作方法も上記図12〜14で説明した凹面回折ミラー3の製作方法と同様、先ず機械加工して金型を作成し、この金型に対するインジェクションモールドを行った後、回折格子320a(反射面302a)表面にコーティング(上記3層コート)することによって製作する。
以上のように本実施形態に係る凹面回折ミラー3(3a)によれば、凹面回折ミラー3(3a)が、凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子320(320a)が形成された反射面302(302a)、を備える凹面回折ミラー3(3a)であって、回折格子320は、反射面302の中心点(センターC)を通る面であるとともに該回折格子320の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、中心点を通る仮想的な基準球面311の該中心点での仮想的な接平面303(303a)に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が基準面と直交する方向に直線となる形状であり、反射面302の基準面方向における断面形状は、中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面311の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面311の曲率よりも大きくなる形状とされる。
このように、反射面302(302a)の基準面方向における断面形状(回折格子の基準面方向の断面形状)が、一方側で中心から遠ざかるほど曲率が小さくなり、他方側で中心から遠ざかるほど曲率が大きくなる形状(非対称形状)をしているので、反射面302の当該一方側及び他方側からの反射光による受光面402(受光素子アレイ4)上の受光位置のズレを補正することが可能となる。さらに、反射面302の基準面方向における断面形状が上記非対称形状であることに加えて、回折格子320(320a)が基準面に対して面対称で且つ接平面上への投影形状が直線となる形状、換言すれば反射面302における基準面と直交する方向(X方向)の断面形状は対称形状とすることで、反射面302の“自由度”を上記基準面との直交方向には使用せずに受光面402上のこの直交方向での収差は許容し、この方向の収差を許容した分(自由度、パワー)だけ、受光面402の受光素子列方向(Y方向)の収差補正能力を向上させる(波長分解能を高める)ことができる、所謂収差バランスをとることが可能となるので、可視領域の全ての波長において良好なスリットの結像性能(Y方向での高い収差補正能力)を有する凹面回折ミラー3(3a)を得ることができる。また、上述のように回折格子320が基準面に対して面対称で且つ接平面303上への投影形状が直線となる形状であるので、凹面回折ミラー3(例えば凹面回折ミラー3用の金型510)の製作を機械加工によって容易に行えるようになり、ひいては大量生産に向く安価な凹面回折ミラー3(3a)を得ることが可能となる。さらに、上記形状の反射面302(302a)を備える凹面回折ミラー3(3a)とすることで、この凹面回折ミラー3(3a)と共にスリット2及び受光素子アレイ4を組み合わせて小型の分光装置1(1a)を製作することが可能となる。
また、回折格子320(320a)が、反射面302(302a)上に並列配置された複数本の回折格子であり、接平面303(303a)上に該複数本の回折格子が投影されてなる回折格子同士の間隔が等間隔すなわちピッチが一定とされるので、凹面回折ミラー3(3a)(例えば上記金型510)の作成に際しての機械加工が一層容易となる。
また、本実施形態に係る分光装置1(1a)によれば、分光装置1(1a)が、凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子320(320a)が形成された反射面302(302a)、を備える凹面回折ミラー3(3a)であって、回折格子320が、反射面302の中心点(センターC)を通る面であるとともに該回折格子320の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、中心点を通る仮想的な基準球面311の該中心点での仮想的な接平面303(303a)に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が基準面と直交する方向に直線となる形状であり、反射面302の基準面方向における断面形状が、中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面311の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど基準球面311の曲率よりも大きくなる形状である凹面回折ミラー3(3a)と、凹面回折ミラー3(3a)の反射面302(302a)に対して光を入射するスリット2であって、基準面の位置で、且つ、反射面302に対する中心点を通る接平面法線よりも他方側の位置に配置されたスリット2と、スリット2からの入射光が反射面302により反射されてなる分散光を波長毎に受光する受光素子アレイ4とを備えたものとされる。
このように、反射面302(302a)の基準面方向における断面形状(回折格子の基準面方向の断面形状)が、一方側で中心から遠ざかるほど曲率が小さくなり、他方側で中心から遠ざかるほど曲率が大きくなる形状(非対称形状)をしているので、反射面302の当該一方側及び他方側からの反射光による受光素子アレイ4(受光面402)上の受光位置のズレを補正することが可能となる。さらに、反射面302の基準面方向における断面形状が上記非対称形状であることに加えて、回折格子320(320a)が基準面に対して面対称で且つ接平面上への投影形状が直線となる形状、換言すれば反射面302における基準面と直交する方向(X方向)の断面形状は対称形状とすることで、反射面302の“自由度”を上記基準面との直交方向には使用せずに受光素子アレイ4上のこの直交方向での収差は許容し、この方向の収差を許容した分(自由度、パワー)だけ、受光素子アレイ4の受光素子列方向(Y方向)の収差補正能力を向上させる(波長分解能を高める)ことができる、所謂収差バランスをとることが可能となるので、可視領域の全ての波長において良好なスリットの結像性能(Y方向での高い収差補正能力)を有する凹面回折ミラー3(3a)を備えた分光装置1(1a)を得ることができる。また、上述のように回折格子320が基準面に対して面対称で且つ接平面303上への投影形状が直線となる形状であるので、凹面回折ミラー3(3a)(例えば凹面回折ミラー3(3a)用の金型510)の製作を機械加工によって容易に行えるようになり、ひいては大量生産に向く安価な凹面回折ミラー3(3a)を得ることが可能となる。そのため、安価な分光装置1(1a)を得ることが可能となる。さらに、上記形状の反射面302(302a)を備える凹面回折ミラー3(3a)とすることで、この凹面回折ミラー3(3a)と共に、反射面に対する中心点を通る接平面法線よりも他方側の位置に配置させたスリット2と、受光素子アレイ4とを組み合わせて小型の分光装置1(1a)を容易に製作することが可能となる。
また、受光素子アレイ4が、スリット2からの入射光の反射面302による1次回折光を分散光として受光し、凹面回折ミラー3が、ゼロ次回折光を受光素子アレイ4を挟んでスリット2の反対側に位置させることが可能な反射面302を備えた構成とされるので、すなわち、スリット2に近い方向に波長の長い回折光(1次回折光)をもってくる分光装置1とされるので、コマ収差の発生を原理的に抑制し易くなり、その結果、高い分光特性を得ることができる。
また、受光素子アレイ4が、スリット2からの入射光の反射面302aによる1次回折光を分散光として受光し、凹面回折ミラー3aが、ゼロ次回折光を受光素子アレイ4とスリット2との間に位置させることが可能な反射面302aを備えた構成とされるので、すなわち、波長の短い方の回折光(ゼロ次回折光)がスリット2に近い位置にくる分光装置1aとされるので、高次回折光がスリット2に戻ってノイズとなるつまり迷光の発生を防止(低減)することが可能となり、その結果、高い感度を得ることができる。
また、受光素子アレイ4の各受光素子が基準面と直交する方向(X方向)に長い矩形とされるので、波長分解能は維持しながら明るさを向上させて(X方向を長くしてその分だけ光を多く取り込んで)ノイズを低減することが可能となる。
さらに、スリット2の各スリット開口が基準面と直交する方向(X方向)に長い矩形とされるので、波長分解能は維持しながら明るさを向上させて(X方向を長くしてその分だけ光を多く取り込んで)ノイズを低減することが可能となる。
第1の実施形態に係る凹面回折ミラーが適用される分光装置の一構成例を示す概略断面図である。 上記凹面回折ミラーの自由曲面の基準球面からのズレ量を示すグラフ図である。 図2における自由曲面の基準球面からのズレ量について説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーの回折格子の詳細形状を説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーの回折格子の詳細形状を説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーの回折格子の詳細形状を説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーの分光特性を説明するための横収差図である。 上記凹面回折ミラーの分光特性を説明するためのスポットダイヤグラムである。 上記図7、8に示すX位置について説明するための模式図である。 上記図7に示すX−FAN及びY−FANについて説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーによる受光素子アレイ上での光強度分布図である。 上記凹面回折ミラーの製作方法について説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーの製作方法について説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーの製作方法について説明するための模式図である。 上記凹面回折ミラーを実際に製作したものを示す写真図である。 上記凹面回折ミラーの実際の回折格子の原子間力顕微鏡測定結果を示す写真図である。 第2の実施形態に係る凹面回折ミラーが適用される分光装置の一構成例を示す概略断面図である。 上記図17に示す凹面回折ミラーの自由曲面の基準球面からのズレ量を示すグラフ図である。 上記図17に示す凹面回折ミラーの回折格子の詳細形状を説明するための模式図である。 上記図17に示す凹面回折ミラーの分光特性を説明するための横収差図である。 上記図17に示す凹面回折ミラーによる受光素子アレイ上での光強度分布図である。 従来における球面形状の回折ミラーを用いた場合の入射面における光路図である。 従来における球面形状の回折ミラーによるスペクトルイメージを示す写真図である。
符号の説明
1、1a 分光装置
2 スリット
201 射出点
3、3a 凹面回折ミラー
301、304、305 反射点
302、302a 反射面
303、303a 接平面
311 基準球面
312、312’ 自由曲面
320、320a 回折格子
4 受光素子アレイ
401 基点
402 受光面
403、404 受光点
510 金型
710、720、730、740、750、760 横収差図
810、820、830 スポットダイヤグラム
C センター(中心点)
D 下部
U 上部

Claims (7)

  1. 凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子が形成された反射面、を備える凹面回折ミラーであって、
    前記回折格子は、前記反射面の中心点を通る面であるとともに該回折格子の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、前記中心点を通る仮想的な基準球面の該中心点での仮想的な接平面に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が前記基準面と直交する方向に直線となる形状であり、
    前記反射面の前記基準面方向における断面形状は、前記中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも大きくなる形状であることを特徴とする凹面回折ミラー。
  2. 前記回折格子は、前記反射面上に並列配置された複数本の回折格子であり、前記接平面上に該複数本の回折格子が投影されてなる回折格子同士の間隔が等間隔となることを特徴とする請求項1に記載の凹面回折ミラー。
  3. 凹面で且つ非球面であるとともに表面に回折格子が形成された反射面、を備える凹面回折ミラーであって、
    前記回折格子が、前記反射面の中心点を通る面であるとともに該回折格子の分散方向の面である仮想的な基準面に対して面対称な形状であり、且つ、前記中心点を通る仮想的な基準球面の該中心点での仮想的な接平面に対して該接平面法線方向に投影してなる形状が前記基準面と直交する方向に直線となる形状であり、
    前記反射面の前記基準面方向における断面形状が、前記中心点を挟んだ一方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも小さくなり、他方側の断面形状の曲率が該中心点からの離間距離が大きくなるほど前記基準球面の曲率よりも大きくなる形状である凹面回折ミラーと、
    前記凹面回折ミラーの反射面に対して光を入射するスリットであって、
    前記基準面の位置で、且つ、前記反射面に対する前記中心点を通る接平面法線よりも前記他方側の位置に配置されたスリットと、
    前記スリットからの入射光が前記反射面により反射されてなる分散光を波長毎に受光する受光素子アレイとを備えることを特徴とする分光装置。
  4. 前記受光素子アレイは、前記スリットからの入射光の前記反射面による1次回折光を前記分散光として受光し、
    前記凹面回折ミラーは、ゼロ次回折光を前記受光素子アレイを挟んで前記スリットの反対側に位置させることが可能な前記反射面を備えていることを特徴とする請求項3に記載の分光装置。
  5. 前記受光素子アレイは、前記スリットからの入射光の前記反射面による1次回折光を前記分散光として受光し、
    前記凹面回折ミラーは、ゼロ次回折光を前記受光素子アレイと前記スリットとの間に位置させることが可能な前記反射面を備えていることを特徴とする請求項3に記載の分光装置。
  6. 前記受光素子アレイは、該受光素子アレイの各受光素子が前記基準面と直交する方向に長い矩形であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の分光装置。
  7. 前記スリットは、該スリットの各スリット開口が前記基準面と直交する方向に長い矩形であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の分光装置。
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