JP3655509B2 - 検体搬送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は検体搬送システム、特に臨床検査分野において検体検査を自動的に行うのに適した検体搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
検体搬送システムは患者から採取した血液や尿などの検体を検査内容による振分け、前処理、分析、収納、検査結果報告等の処理を自動化したものであるが、システム構成は納入先施設により異なるのが普通である。これは各施設により部屋の広さや柱、配管の位置が異なる上に、接続される装置も異なるためにシステムへのアクセス方向までもが異なるためであり、このような場合にはラック回転ユニットを使用し、ラックの進行方向を変えてシステムを構成する。ラック回転ユニットには、例えば特開平9-43249に示されるようなものがあるが、いずれもラックの進行方向を変換するという点においては共通している。
【0003】
このようにして構成された検体搬送システムで問題となるものとしては例えばリセットがある。リセットを行う場合、搬送ライン及びシステム内部にあるラックの情報は失われるため、そのラックをどこに搬送すればよいのかが不明になってしまう。このような場合、通常は予めリセット用に決めておいた行き先へとラックを搬送して収納し、その後ユーザーが投入位置までラックを運び再度投入することになる。
【0004】
また、別の問題としてラックの渋滞もある。これは処理速度の整合性がとれていない装置を搬送ラインにより接続したり、ある装置が故障等により動かなくなったりした場合に生じるが、渋滞時に至急検体が到着すると、当然ながらラックは既に投入されているラックの処理が行われるまで処理することはできない。そのため人手による前処理を行い、直接分析装置の投入口にラックを投入している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術によれば、システムを構成する装置の一部に何らかのトラブルが生じた場合に行われるリセット処理により、情報が失われた全てのラックは、リセットラックとして収納されるまで、たとえ至急の検体が含まれていたとしても処理待ちされ、更に収納されたラックを再度投入位置まで運ばなければならない。この中に至急検体が含まれる場合には優先的に処理を再開するため必要があるため、収納されたラックの中からそのラックを探し出す必要も生じてくる。
【0006】
これを回避するため、回転ユニット上でラック識別コードを読取り、ラックの進行方向を決定する手段が知られているが、この場合ラック識別コードであるバーコードラベルはラックの前面に貼られている。ラック識別コードを読取る際には、誤読を避けるためにラックの停止位置精度が要求されるためストッパが使用されており、ラックをストッパに当てて停止させることになる。そのため使用時間の経過と共にラック前面に貼付けられたバーコードとストッパの接触により、バーコードラベルが削れていくことが予想され、リセット時だけでなく通常時にも信頼性に問題がある。
【0007】
また、渋滞の場合には至急検体をシステムに投入することができず、マニュアルで遠心分離などの前処理を行わなければならない。
【0008】
いずれの場合も、人手を介して行うため手間と時間がかかってしまうという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、情報の失われたラックであっても、処理を人手による手間なしなしに迅速かつて的確に行うのに適した検体搬送システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、 検体固有の検体識別コード及び前記検体を保持するラック固有のラック識別コードを読み取り、該読み取られた情報にもとづいてコントローラの制御の下に前記ラックを搬送及び処理する検体搬送システムにおいて、前記検体の処理内容に応じて該検体を保持するラックの方向を変える方向転換ユニットを有し、該方向転換ユニットは該方向転換ユニットに搬送されるラックについて前記検体識別コード及び/又はラック識別コードを読み取る手段を有し、前記方向転換ユニットに搬送されるラックを、前記ラック方向転換ユニットが有する前記読み取り手段によって読み取られた情報にもとづいて前記コントローラにより指示された方向に搬送することを特徴とする。
【0011】
これによりリセットラックとして無駄に収納されるラックを大幅に減らすことができ、またリセットラック収納完了までの大幅な時間短縮、収納されたラックを再度投入する人手による手間、再投入したラックが分析装置に到着するまでの無駄な時間をなくすことができる。
【0012】
また、前処理まで完了していたために、収納されたラックを直接分析装置に投入できる場合においても、収納された大量のラックを行き先毎に人手で分ける煩雑な作業が不要となる。
【0013】
また、リセットに限らず、回転動作前にラックの行き先を確認するため、誤った方向にラックを搬送することがなくなる。
【0014】
本発明の別の特徴として、前記搬送ラインは前記方向転換ユニットの第1及び第2の搬送路とそれぞれ通じる第1及び第2の搬送路を有し、前記方向転換ユニットは回転によって前記方向転換ユニットの第1及び第2の搬送路が互いに置換され得るように構成されている。
【0015】
これによれば、ラックの追い越しが可能となる。したがって、立寄りに関係のない搬送路をスキップさせることができ、渋滞の回避だけでなく、通常時でも無駄のない効率的なラック搬送が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による検体搬送システムの一構成例を示すものである。ラック1は振分け装置2の投入部2aに架設される。ラックの投入が開始されると、ID読取り手段3により検体に貼りつけられた検体識別コードである検体バーコード及びラックに貼りつけられたラック識別コードであるラックバーコードの読み取りを行い、そのラックのどの位置にどの検体が架設されているかがコントローラ4に登録される。コントローラ4はその登録された情報にもとづいてラックの搬送及び処理を制御する。
【0017】
振分け装置2により血液検査、生化学検査等行き先が異なる検体を振分け装置2内にある別のラック2b,2cに乗せ替えした後、乗せ替え後のラックは搬送ライン5に運ばれる。その後、ラックは回転によってラックの方向を転換するタイプのラック方向転換ユニット6a、6b、6cにより分岐し、各々の行き先となる装置へと搬送される。図1では、ラック2dは血液検査装置7、2eは遠心、開栓等の前処理装置8に搬送されるラックである。それぞれの装置へと搬送されたラックは検査目的に合う前処理を経て分析が行われ、最終的には分析装置内部の収納部9、10あるいは搬送システムの収納部11に収納される。
【0018】
図2にラックの一例を示す。本例でのラック15にはラック識別コードとしてバーコードラベル16がラックの側面から後面にかけて貼付けられている。また、検体容器には検体識別コードとして同じくバーコードラベル17が貼付けられている。
【0019】
なお、実施例のラックは検体容器が最大5個架設できる構造であるが、10個架設できるラック等、その架設数は任意であってよい。
【0020】
図3にラック回転ユニットの詳細を示すが、ここでは往路と復路を有するラック方向転換ユニットについて説明する。ラック方向転換ユニットは、回転用のモータ20及び往路21のラック搬送ベルト駆動用のモータ21a、復路22のラック搬送ベルト駆動用のモータ22aにより動作する。また、ラックの停止にはラックストッパ21b(往路)、22b(復路)を使用する。回転の位置がどこであるのかは検知板25が検知器23a、23b、23c、23dを遮光する位置により判断する。ここでは検知板25が検知器23aを遮光している状態を回転していない状態と決めて説明する。
【0021】
ラック方向転換ユニットには検体識別コードあるいはラック識別コードを読み取る識別コード読取り手段24が取り付けられる。ここでは識別コード読取り手段24をバーコードリーダとする。また、実施例では識別コード読取り手段24が回転機構部とは別の固定位置に取付けられているが、回転機構部に取付けられ、一緒に回転するものであってもよい。また、実施例でのラックは図2のラック15を仮定したため、バーコードリーダ24はラック15の斜め後方に取付けられているが、ラック15のバーコード16貼付け位置が異なればバーコードリーダ24の取付位置も異なる。
【0022】
搬送ラインからのラック受取りでラック方向転換ユニットは、ラックストッパ21bをライン上に突出し、ラックを停止させ、バーコードリーダ24により検体バーコード17及び/又はラックバーコード16の読取りを行う。そしてコントローラ4に読取ったバーコード情報の問い合わせを行い、コントローラ4はラックの行き先(分岐・合流方向)の指示をラック方向転換ユニット与える。
【0023】
この指示にもとづきラック方向転換ユニットは回転し、ベルト駆動によりラックを次のラインへと搬出する。これにより、リセット等のラックの行き先の情報が失われた場合も含め、確実に目的方向へラックを搬送することが可能となる。
【0024】
次に図1及び図4〜図11を用いてラックの追い越しについて説明する。はじめに、前ラインからラック搬出要求を受けるとラック回転ユニット6bはラックストッパ21bをラインに突出させてからラック30の受取りを開始し、ラック30はラックストッパ21bに当たって停止する。次に検体バーコード17あるいはラックバーコード18の読取りがバーコードリーダ24により行われ、ラック方向転換ユニット6bはラックの行き先をコントローラ4に問い合わせる。ここでコントローラ4がラック30の行き先を前処理装置8への立ち寄りなしで分析装置12であると指示した場合を例に説明する。従来であればラック30は前処理が必要であろうとなかろうと関係なしに往路31aを搬送され、そして前処理装置8で処理されているラックがあると、それらの処理が終了してライン(往路31a)が空かないと分析装置12まで辿り着くことができない。
【0025】
しかし、本発明では、方向転換ユニット6bはコントローラ4から前処理装置8への立ち寄りがないとの指示を受け、ラック方向転換ユニット6bの往路21を、他のラインの復路31bに繋がるようにラック方向転換ユニットを図4の矢印方向に回転させる(回転後は図5)。その後、ラック回転機構の往路21のベルト駆動用モータ21aを通常搬送時とは逆に回転させて、隣の搬送ライン31の復路31bにラック30を搬出する。この場合、搬送ライン31のベルト回転も通常搬送時とは逆(図示矢印方向)に行う。搬出が完了するとラック回転機構6bは図6の矢印方向に回転し、図4の状態に戻る。また、搬送ライン31からラック回転機構6cの手前の搬送ライン32までは、通常のラック受け渡しと同じである。
【0026】
ラック回転ユニット6cは搬送ライン32からのラック搬出要求を受けると、搬送ライン32の復路32bにラック回転機構の往路21が繋がるようにラック回転機構を図7矢印方向に回転させ、ラックストッパ21cをライン上に突出させ、搬送ライン32からラック30を受取り、ラックストッパ21cでラック30を停止させる(図8)。
【0027】
その後、逆にラック回転機構の往路21と搬送ラインの往路32aが繋がる位置までラック回転機構を図9の矢印方向に戻し、確認のため再度バーコードリーダ24により検体バーコード17あるいはラックバーコード18を読取りコントローラ4にラック30の行き先を問い合わせる。そしてコントローラ4の指示に従いラック30を分析装置12に向かう搬送ライン33に搬出する(図10、11)。
【0028】
本発明に実施例によれば、情報の失われたラックがリセットラックとして収納完了するまでの大幅な時間短縮、収納されたラックを再度投入する手間、再投入したラックが分析装置に到着するまでの無駄な時間をなくすことができる。
【0029】
また、収納されたラックを直接分析装置に投入できる場合においても、収納された大量のラックを行き先毎に人手で分ける煩雑な作業が不要となる。
【0030】
また、通常搬送時であっても確実に目的とする装置へと搬送でき、信頼性が向上する。
【0031】
また、ラック回転ユニットに復路を同時に設け、これを復路を有する他の搬送ラインと組み合わせることによりラックの追い越しが可能となり、立寄りに関係のない搬送路のスキップによる渋滞の回避だけでなく、通常時でも無駄のない効率的なラック搬送が可能となる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、情報の失われたラックであっても、処理を人手による手間なしなしに迅速かつて的確に行うのに適した検体搬送システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例を示す検体搬送システムの概念図。
【図2】図1のラック及び検体容器の斜視図。
【図3】図1のラック方向転換ユニットの詳細平面図。
【図4】図1の前処理装置とその前段の処理装置との間のラック方向転換ユニットの平面図であって、直角方向転換を行う場合の第2のステップにおけるラック方向転換ユニットの平面図。
【図5】図1の前処理装置とその前段の処理装置との間のラック方向転換ユニットの平面図であって、直角方向転換を行う場合の第1のステップにおけるラック方向転換ユニットの平面図。
【図6】図1の前処理装置とその前段の処理装置との間のラック方向転換ユニットによる直角方向転換終了後の該ラック方向転換ユニットを、その後段の搬送路との関係において示す平面図。
【図7】図1の搬送ラインの収納部前段におけるラック方向転換ユニットの平面図。
【図8】図1の搬送ラインの収納部前段におけるラック方向転換ユニットの平面図であって、ラック追い越し時の第1ステップにおけるラック方向転換ユニットの平面図。
【図9】図1の搬送ラインの収納部前段におけるラック方向転換ユニットの平面図であって、ラック追い越し時の第2ステップにおけるラック方向転換ユニットの平面図。
【図10】図1の搬送ラインの収納部前段におけるラック方向転換ユニットの平面図であって、ラック追い越し時の第3ステップにおけるラック方向転換ユニットの平面図。
【図11】図1の搬送ラインの収納部前段におけるラック方向転換ユニットの平面図であって、ラック追い越し時の第4ステップにおけるラック方向転換ユニットの平面図。
【符号の説明】
1:ラック、2:振分け装置、2a:振分け装置ラック投入部、2b,2c:振分け装置内のラック、2d ,2e:振分け後のラック、3:ID読取り手段、4:コントローラ、5:搬送ライン、6a,6b,6c:ラック方向転換ユニット、7:血液検査装置、8:前処理装置、9,10:分析装置内部の収納部、11:搬送システムの収納部、12:分析装置、15:ラック、16:ラック識別コード(バーコードラベル)、17:検体識別コード(バーコードラベル)、 20:ラック方向転換ユニットの回転用モータ、21:ラック方向転換ユニットの往路、21a:ラック方向転換ユニット往路ラック搬送ベルト駆動用モータ、21b,21c:ラック方向転換ユニットの往路のラックストッパ、22:ラック回転機構の復路、22a:ラック方向転換ユニットの復路ラック搬送ベルト駆動用モータ、22b,22c:ラック方向転換ユニットの復路のラックストッパ、23a,23b,23c,23d:ラック方向転換ユニットの 回転位置検知器、24:識別コード読取り手段(バーコードリーダ)、25:検知板、30:ラック、31,32,33:搬送ライン、31a:搬送ライン31の往路、31b:搬送ライン31の復路、32a:搬送ライン32の往路、32b:搬送ライン32の復路。
Claims (4)
- 検体固有の検体識別コード及び前記検体を保持するラック固有のラック識別コードを読み取り、該読み取られた情報にもとづいてコントローラの制御の下に前記ラックを搬送及び処理するものであって、前記検体の処理内容に応じて該検体を保持するラックの方向を変える方向転換ユニットを有し、該方向転換ユニットは該方向転換ユニットに搬送されるラックについて前記検体識別コード及び/又はラック識別コードを読み取る手段を有し、前記方向転換ユニットに搬送されるラックを、前記ラック方向転換ユニットが有する前記読み取り手段によって読み取られた情報にもとづいて前記コントローラにより指示された方向に搬送する検体搬送システムにおいて、
前記方向転換ユニットは第1及び第2の搬送路を含み、回転機構によって回転され、前記搬送ラインは第1及び第2の搬送ラインから構成され、前記方向転換ユニットが回転されると、回転に対応して前記方向転換ユニットの第1及び第2の搬送路は前記第1及び第2の搬送ラインのいずれか搬送ラインにそれぞれ繋がれ、かつ前記方向転換ユニットは、搬送されてくるラックを停止させるラックストッパを備え、
停止したラックについて前記検体識別コード及び/又はラック識別コードを前記読み取り手段によって読み取ることを特徴とする検体搬送システム。 - 請求項1において第1及び第2の搬送ラインを備えた前記搬送ラインは、2ラインもしくは3ライン設けられ、前記ラックストッパは、前記方向転換ユニットの各搬送路上に突出するようにしてそれぞれ2ヶ所設けられることを特徴とする検体搬送システム。
- 請求項2において、読み取られた情報にもとづいて前記コントローラは前記ラック方向転換ユニットに回転支持を与え、目的方向の搬送ラインにラックが搬送されることを特徴とする検体搬送システム。
- 請求項1において、前記方向転換ユニットの各搬送路はラック搬送ベルトで構成され、ラック搬送ベルト駆動用モータが設けられることを特徴とする検体搬送システム。
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