JP3654507B2 - シリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は化粧料の原料として好適なシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シリコーンエラストマー球状粒子及びシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンが提案されている。例えば、その製造方法としてはビニル基含有オルガノポリシロキサンとケイ素原子に結合した水素原子含有オルガノポリシロキサンを界面活性剤及び水を使って乳化してエマルジョンを作製した後、白金系触媒を添加し硬化する方法(特開昭56−36546号公報、特開昭62−257939号公報、特開平3−93834号公報)、硬化性オルガノポリシロキサンを噴霧状態で加熱硬化する方法(特開昭59−68333号公報)、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子含有オルガノポリシロキサン及び白金系触媒を0〜25℃の水中で乳化させた後、25℃以上の水中に分散させて硬化する方法(特開昭62−243621号、特開昭63−77942号公報)、ケイ素原子に結合したオレフィン性不飽和基含有オルガノポリシロキサンとメルカプトアルキル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンを水に分散させた後、紫外線照射によって硬化する方法(特開昭63−65692号公報)、アミノ基含有オルガノポリシロキサンとアクリル官能性ラジカル含有オルガノポリシロキサンを液体に分散させた後、硬化する方法(特開昭63−128075号公報)、ケイ素原子に結合したヒドロキシル基含有ジオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子含有オルガノハイドロジェンシロキサン及び硬化触媒を水中に分散させた後、高温度の液体または気体に接触させて硬化する方法(特開昭63−202658号公報)、アクリロキシ基、メタアクリロキシ基またはアクリルアミド基含有オルガノポリシロキサンを液体に分散した後、紫外線照射によって硬化する方法(特開昭63−258639号公報)、シラン化合物及びオルガノポリシロキサンから選ばれる混合物を含窒素芳香族化合物を主成分とする溶媒中で、縮合触媒の存在下に縮合、硬化する方法(特開昭63−312324号公報)、シラン化合物及びオルガノポリシロキサンから選ばれる混合物をアミン、アミドまたはニトリルを主成分とする溶媒中で縮合触媒の存在下に縮合、硬化する方法(特開昭63−312325号公報)、オルガノビニルポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金系触媒をエマルジョンとした後、硬化する方法(特開平1−306471号公報)、ケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基とメルカプト基含有のオルガノポリシロキサンをエマルジョンとした後、光増感剤の存在下に紫外線を照射して硬化する方法(特開平3−95268号公報)、ビニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンのエマルジョンを25℃以上の気体または非相溶性液体中で硬化する方法(特開平4−72358号公報)、ビニル基含有オルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子含有オルガノポリシロキサン及び白金系化合物をノズルを通して水中に噴射,分散させた後、硬化する方法(特開昭61−223032号、特開平1−178523号、特開平2−6109号公報)が提案されている。また、シリコーンゴム粉末の水性デイスパージョンを添加、配合する、水を分散媒としてなる化粧料(特開平10−139624号公報)が提案されている。これらの方法で得られたシリコーンエラストマー球状粒子は、化粧料に配合した場合、表面平滑性付与の効果はあるが、紫外線遮蔽効果を損なう。また、水を分散媒とする化粧料においてはシリコーンエラストマー球状粒子の真比重が小さいため分離するという問題があった。
【0003】
一方、他の材料を含んだシリコーンエラストマー粒子が提案されている。例えば、カーボンブラックのような導電性材料を含んだシリコーンエラストマー粒子(特開昭63−251464号公報)が提案されており、紫外線遮蔽性は期待されるが粒子は黒く着色しているので、殆どの化粧品用途には不適当である。不飽和炭化水素基含有エポキシ化合物を含むシリコーンエラストマー粒子(特開昭64−56735号公報)、エポキシ基、アルケニル基またはアミノ基含有アルコキシシランを含んだシリコーンエラストマー粒子(特開昭64−70558号公報)、シリコーンオイルを含んだシリコーンエラストマー粒子(特開平1−81856号公報)、熱可塑性樹脂粒子を含んだシリコーンエラストマー粒子(特開平2−218710号公報)、熱分解法シリカまたは沈降シリカを含んだシリコーンエラストマー粒子(特開平2−232263号公報)、オルガノポリシロキサンを処理した湿式シリカを含んだシリコーンエラストマー粒子(特開平4−168117号公報)、コロイダルシリカを含んだシリコーンエラストマー粒子(特開平3−281536号公報、特開平10−36675号公報)、カチオン性乳化剤を含んだシリコーンエラストマー粒子(特開平11−1615号公報)が提案されているが、これらは通常のシリコーンエラストマー粒子と同様に紫外線遮蔽効果が期待できず、未処理のシリカを含んだシリコーンエラストマー粒子は、更に表面平滑性が劣るという問題を生じる。また、硬化してエラストマーとなるポリオルガノシロキサン組成物を未硬化の状態で粉体と混合して粉体上に担持させ、その後、このポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて、粉体を含有したシリコーンエラストマー粒子とする方法(特開平3−294357号公報)が提案されているが、球状粒子とすること及び粒径をコントロールすることが困難であるという問題があった。また、酸化チタン微粒子を化粧料に配合して紫外線遮蔽性を付与することは広く応用されているが、表面平滑性を損なったり、分散性が劣るという問題点があり、酸化チタン微粒子を化粧料に配合して紫外線遮蔽性を付与すると同時に、優れた表面平滑性及び分散性をも与えるという酸化チタン微粒子の使用法が待望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は紫外線遮蔽性を有し、且つ、表面平滑性及び分散性に優れたシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は上記問題点を解決するものであって
(A)酸化チタン微粒子を0.1〜50重量%含有し、分子中に−(R1 2SiO)−単位(ここでR1は炭素数1〜6の1価炭化水素基)を70モル%以上含有する平均粒径0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状粒子10〜70重量%、(B)スルホコハク酸ジアルキル塩0.1〜30重量%、(C)水残部からなることを特徴とするシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について更に詳しく説明する。
本発明におけるシリコーンエラストマー球状粒子の平均粒径は0.1〜100μmが必要であり、好ましくは1〜30μmである。これは、平均粒径が0.1μm未満であると表面平滑性が付与されないし、100μmより大きいと表面平滑性が低下し、また、ざらつき感がでるためである。
本発明における成分(A)中の酸化チタン微粒子のオルガノポリシロキサン組成物に対する分散性を改善するために、酸化チタン微粒子にオルガノポリシロキサンを加熱処理してなるオルガノポリシロキサン処理酸化チタン微粒子を使用することが好ましい。
本発明における成分(A)中のシリコーンエラストマー球状粒子の分子中に含有される−(R1 2SiO)−単位のR1は置換または非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、本発明において使用可能なものを例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のアルキル基;フェニル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合する水素原子がハロゲン原子、シアノ基などで置換された炭化水素基、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基などが示されるが、良好な表面平滑性を与えるという点からメチル基が好ましい。分子中の−(R1 2SiO)−の単位は、これが70モル%未満であると表面平滑性に乏しくなるので、70モル%以上含有されることが必要であり、好ましくは80モル%以上である。
【0007】
本発明における分子構造中に−(R1 2SiO)−単位を70モル%以上含有するシリコーンエラストマー球状粒子を得るには、硬化性の−(R1 2SiO)−単位を含むオルガノポリシロキサン組成物を付加反応、縮合反応による硬化、紫外線硬化、放射線硬化などの方法で硬化すればよいが、特に白金系触媒を用いた付加反応による硬化、即ち、1分子中にオレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物を白金系触媒で硬化する方法が最も好ましい。
【0008】
更に、詳述すると、1分子中にオレフィン性不飽和基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンは、平均式R1 cR3 dSiO(4-c-d)/2で表されるものである。ここでR1は前出に同じであり、R3は炭素数2〜6の1価オレフィン性不飽和基である。c、dは0≦c<3、0<d≦3、0.1≦(c+d)≦3で示される正数であり、好ましくは0≦c<2.295、0.005<d≦2.3、0.5≦(c+d)≦2.3である。R3は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基であるが、ビニル基であることが好ましい。このオレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は1mm2/s未満であると硬化性が不充分となるし、10,000mm2/sを超えると粒径分布の狭い粒子を得ることができなくなることから1〜10,000mm2/sが好ましいが、更に、好ましくは5〜3,000mm2/sである。また、このオレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンの構造としては、直鎖状、環状、分岐状いずれであってもよいが、なかでも直鎖状が最も好ましい。
【0009】
また、ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、平均式R1 eHfSiO(4-e-f)/2で表されるものである。ここでR1は前出と同じであり、e、fは、0≦e<3、0<f≦3、0.1≦(e+f)≦3で示される正数であり、好ましくは0≦e<2.295、0.005<f≦2.3、0.5≦(e+f)≦2.3である。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は1mm2/s未満であると硬化性が不充分となるし、10,000mm2/sを超えると分布の狭い粒子を得ることができなくなることから1〜10,000mm2/sが好ましいが、更に、好ましくは5〜300mm2/sである。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造としては、直鎖状、環状、分岐状いずれであっても良いが、なかでも直鎖状が最も好ましい。
【0010】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は上記オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンのオレフィン性不飽和基1個に対し、ケイ素原子に結合した水素原子が0.5個未満となるような量では良好な硬化性を得ることが困難であり、水素原子が5個を超えるような量では、硬化後のゴムの物理的物性が低下するので、0.5〜5個となる配合量が好ましい。より好ましくは0.8〜2個である。
【0011】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンを得る方法を以下に述べる。まず、硬化性オルガノポリシロキサン組成物中に酸化チタン微粒子を分散させるが、このとき、酸化チタンの分散性を向上させるために分散剤を添加してもよい。分散剤は分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物とアクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとをラジカル重合して得たアクリルシリコーン系グラフト共重合体が好ましい。
以下、この分散剤としてのアクリルシリコーン系グラフト共重合体の製造方法について述べる。分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物は一般式(化1)で示される。ここでR4はメチル基または水素原子、R5は場合によりエーテル結合1個または2個で遮断されてもよい直鎖または分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基、R6は炭素原子1〜4個の1価の飽和炭化水素基、nは3〜300の数である。
一方、アクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性不飽和結合を分子中に1個有する化合物を意味し、これを例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;炭素数1〜10のフッ素原子置換炭化水素基含有パーフロロアルキル(メタ)アクリレートが例示される。分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物とアクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとの共重合はベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の通常のラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法などの方法で行えばよいが、得られるグラフト共重合体の分子量を調整しやすい溶液重合法が好ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
次に、酸化チタン微粒子100重量部に対する分散剤の添加量は1〜30重量部が必要であり、好ましくは0.5〜10重量部である。アクリルシリコーン系グラフト共重合体の添加量が1重量部未満では、分散性を向上させる効果がないし、30重量部を超えるとシリコーンエラストマーの特性を損なうおそれがあるからである。
本発明における成分(A)の酸化チタン微粒子とシリコーンエラストマー球状粒子との混合物中の酸化チタンの配合量は0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。0.1重量%未満では紫外線遮蔽効果が乏しくなるし、50重量%を超えると、後述するように酸化チタン微粒子と硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合物を水中乳化分散させることが困難となるためである。この酸化チタンの量を変えることによって、0.97〜2.5の範囲でシリコーンエラストマー球状粒子の真比重を任意に設定することができる。
【0014】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンを得るためには、硬化性オルガノポリシロキサン組成物に酸化チタン微粒子を分散させた後、スルホコハク酸ジアルキル塩及び水を加え、ホモミキサー等の撹拌機を用いて水中に乳化分散させる。スルホコハク酸ジアルキル塩としては、スルホコハク酸ジイソブチルナトリウム、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジシクロヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジ2−エチルヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等が挙げられる。
【0015】
ここで、本発明における成分(A)の酸化チタン微粒子を含有するシリコーンエラストマー球状粒子の配合量は10〜70重量%の範囲が必要であり、好ましくは30〜60重量%である。10重量%未満であると取り扱い容量が大きくなり不経済であるし、70重量%を超えるとディスパージョンの粘度が高くなり取り扱いが不便となるためである。
本発明における成分(B)のスルホコハク酸ジアルキル塩の配合量は0.1〜30重量%の範囲とすることが必要であり、好ましくは1〜10重量%である。0.1重量%未満では乳化分散できないし、30重量%を超えても乳化が困難となるためである。
【0016】
本発明におけるシリコーンエラストマー球状粒子を得るには、酸化チタン微粒子と硬化性オルガノポリシロキサン組成物の混合物にスルホコハク酸ジアルキル塩を添加して水性乳化物を作製した後、オルガノポリシロキサン組成物を硬化する。
付加反応により硬化する方法について述べると、付加反応触媒としては、特に限定されるものではないが、各種の白金化合物、パラジウム化合物などが使用できる。なかでは白金化合物が好ましく、塩化白金酸、オレフィンとの錯体、ビニルシロキサンとの錯体、アルコール変性体などが挙げられる。この白金化合物の添加量は、上記オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物、即ち、硬化性オルガノポリシロキサン組成物に対して白金元素換算で1〜100ppmが好ましい。1ppm未満では付加反応速度が小さくなるし、100ppmを超えても効果は変わらず、不経済であるからである。
付加反応促進または付加反応を完結させるために、付加反応触媒添加後、エマルジョンの安定性を損なわない範囲で分散液を100℃以下で加熱してもよい。
【0017】
以上のようにして得られた本発明のシリコーンエラストマー球状粒子は、水性ディスパージョンをそのまま、あるいは、適宜、水で希釈して水性の材料に添加して使用できる。また、安定性を阻害しない範囲で、界面活性剤を添加することは可能である。シリコーンエラストマー球状粒子とするには、更に、濃縮、乾燥などの操作によって水を除去すればよい。また、例えば、特開平7−196815号公報に開示されている方法によって、更に、シリコーンエラストマー球状粒子をシリコーンレジンで被覆することもできる。
【0018】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中における粘度は25℃における測定値である。
【0019】
(実施例1)
下記式(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン361gと、下記式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン14g〔(Si−H/ビニル基)モル比=1.1〕及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆し、加熱処理した酸化チタン微粒子[商品名:SI−UFTR−Z、三好化成(株)製]125gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した後、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム20gと水200gの混合溶解物を加え6,000rpmで撹拌したところ、O/Wの状態になり、更に、6,000rpmで10分間撹拌し、回転数を2,000rpmとし水278gを加えた。得られた乳化物を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに移し、室温で撹拌下に、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(塩化白金酸含有量0.5重量%)0.6gとポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル1.2gの混合溶解物を添加し、24時間反応させ、200メッシュ金網に通し、酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョンを得た。粒径測定装置マルチサイザーII[ベックマン・コールター(株)製]で酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子の平均粒径を測定したところ、3.7μmであった。また、水性ディスパージョンをスプレードライヤーで乾燥させたところ、弾性のある白色粉末が得られた。この白色粉末を光学顕微鏡で観察したところ球状粒子であり、真比重は1.8であった。
【0020】
(実施例2)
式(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン361gと、式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン14g〔(Si−H/ビニル基)モル比=1.1〕、酸化チタン微粒子[商品名:TTO−S−2、石原産業(株)製]125g及び分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物とアクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとをラジカル重合して得たアクリルシリコーン系グラフト共重合体[商品名:KP−545、不揮発分30%、デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業(株)製]6gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した後、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム20gと水200gの混合溶解物を加え6,000rpmで撹拌したところO/Wの状態になり、更に、6,000rpmで10分間撹拌を行ない、回転数を2,000rpmとし水272gを加えた。得られた乳化物を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに移し、室温で撹拌下に、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(塩化白金酸含有量0.5重量%)0.6gとポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル1.2gの混合溶解物を添加し、24時間反応させ、200メッシュ金網に通し、酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョン及び酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子を得た。実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。
【0021】
【化2】
【化3】
【0022】
(実施例3)
実施例1で使用した式(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン361gと、式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン14g及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆し加熱処理された酸化チタン微粒子[商品名:SI−UFTR−Z、三好化成(株)製]125gを使用する代りに、式(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン476gと式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン19g〔(Si−H/ビニル基)モル比=1.1〕及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆し加熱処理された酸化チタン微粒子[商品名:SI−UFTR−Z、三好化成(株)製]5gとしたほかは、実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョン及び酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子を得た。酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子の真比重は1.0であり、水性ディスパージョンを室温下で1カ月保存したものを観察したところ分離していなかった。実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。
【0023】
(実施例4)
実施例1で使用した式(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン361gと式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン14gを使用する代りに、下記式(化4)で示される粘度60mm2/sのメチルビニルポリシロキサン323gと式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン52g〔(Si−H/ビニル基)〕モル比=1.1〕としたほかは、実施例1と同様にして酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョン及び酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子を得た。実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。
【0024】
【化4】
【0025】
(実施例5)
式(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン361gと、式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン14g[(Si−H/ビニル基)モル比=1.1]及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆し加熱処理された酸化チタン微粒子[商品名:SI−UFTR−Z、三好化成(株)製]125gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した後、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム50gと水200gの混合溶解物を加え6,000rpmで撹拌したところ、O/Wの状態になり、更に、6,000rpmで10分間撹拌し、回転数を2,000rpmとし水248gを加えた。得られた乳化物を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに移し、室温で撹拌下に、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(塩化白金酸含有量0.5重量%)0.6gとポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル1.2gの混合溶解物を添加し、24時間反応させ、200メッシュ金網に通し、酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョンを得、更に、実施例1と同様にして酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子
を得た。実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。
【0026】
(比較例1)
(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン231gと、式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン9g〔(Si−H/ビニル基)モル比=1.1〕及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆し、加熱処理した酸化チタン微粒子[商品名:SI−UFTR−Z、三好化成(株)製]260gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した後、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム20gと水200gの混合溶解物を加え6,000rpmで撹拌したところO/Wの状態にならなかった。更に、水278gを加えたがO/W状態の乳化物とすることはできなかった。結果を表2に示す。
【0027】
(比較例2)
式(化2)で示される粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン481gと、式(化3)で示される粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン19g[(Si−H)モル数/(ビニル基)モル数=1.1]を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌、混合した後、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム20gと水200gの混合溶解物を加え6、000rpmで撹拌したところO/Wの状態になり、更に、6,000rpmで10分間撹拌し、撹拌数を2000rpmとして水278g加えた。得られた乳化物を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに移し、室温で撹拌下に、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(塩化白金酸含有量0.5重量%)0.6gとポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル1.2gの混合溶解物を添加し、24時間反応させ、200メッシュ金網に通し、シリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョンを得た。粒径測定装置マルチサイザーII[ベックマン・コールター(株)製]でシリコーンエラストマー粒子の平均粒径を測定したところ、3.2μmであった。また、水性ディスパージョンをスプレードライヤーで乾燥させたところ、弾性のある白色粉末が得られた。この白色粉末を顕微鏡で観察したところ、球状の粒子であり、真比重は0.97であった。水性ディスパージョンを室温下1カ月保存したものを観察したところ下部が不透明になり分離していた。実施例1と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンはこれを化粧品の原料としたとき、これに紫外線遮蔽性を付与しつつ、且つシリコーンエラストマー粒子に優れた表面平滑性及び分散性をも与える。
Claims (5)
- (A)酸化チタン微粒子を0.1〜50重量%含有し、分子中に
−(R1 2SiO)−単位(ここでR1は炭素数1〜6の1価炭化水素基)
を70モル%以上含有する平均粒径0.1〜100μmのシリコーンエラストマー球状粒子 …10〜70重量%、
(B)スルホコハク酸ジアルキル塩 …0.1〜30重量%、
(C)水 …残部
からなることを特徴とするシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョン。 - 成分(A)中のシリコーンエラストマー球状粒子が、(a)1分子中にオレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなるオルガノポリシロキサン組成物を白金系触媒で硬化させたものである請求項1記載のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョン。
- 成分(A)中の酸化チタン微粒子が、酸化チタン微粒子100重量部に対し、平均式R2 aHbSiO(4-a-b)/2[ここで、R2は炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、0≦a<3、0<b≦3、0.1≦(a+b)≦3]で示されるオルガノポリシロキサン0.1〜20重量部を混合して加熱処理してなるオルガノポリシロキサン処理酸化チタン微粒子である請求項1又は2記載のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョン。
- 成分(A)中の酸化チタン微粒子またはオルガノポリシロキサン処理酸化チタン微粒子100重量部に、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物とアクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとをラジカル重合して得たアクリルシリコーン系グラフト共重合体1〜30重量部を配合した請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョン。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の水性ディスパージョンを乾燥して得られるシリコーンエラストマー球状粒子。
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