JP2024010917A - シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024010917A
JP2024010917A JP2022112513A JP2022112513A JP2024010917A JP 2024010917 A JP2024010917 A JP 2024010917A JP 2022112513 A JP2022112513 A JP 2022112513A JP 2022112513 A JP2022112513 A JP 2022112513A JP 2024010917 A JP2024010917 A JP 2024010917A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicone rubber
group
silica
rubber particles
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022112513A
Other languages
English (en)
Inventor
良範 井口
Yoshinori Iguchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2022112513A priority Critical patent/JP2024010917A/ja
Publication of JP2024010917A publication Critical patent/JP2024010917A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、高強度を有するシリコーンゴム粒子及びその水分散物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、下記のシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物およびシリカ含有シリコーンゴム粒子を提供する。(A-1)シリコーンゴム100質量部に対して(A-2)疎水化処理シリカを1~50質量部含むシリコーンゴム粒子であり、該シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記(A-2)疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、前記シリコーンゴム粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、高強度のシリコーンゴム粒子に関する。より詳細には、シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法に関する。
シリコーンゴム粒子は、樹脂の応力緩和剤、樹脂の光拡散剤、化粧料の感触向上剤、塗料やコーティング剤の艶消し剤、感触向上剤、滑り性向上剤等の用途で使用されている。塗料やコーティング剤用の用途では、シリカ等のフィラーを含有していないシリコーンゴムは強度が弱いため、塗膜が摩擦を受けると、配合されているシリコーンゴム粒子が破壊する場合がある。
特許文献1では、シリカ含有の高強度のシリコーンゴム粒子が提案されている。硬化性液状シリコーン組成物にシリカを混合し、それを、界面活性剤を含む水に分散(乳化)させた後、硬化反応させる方法によって製造されている。ここで使用されるシリカは、湿式シリカを液状のオルガノポリシロキサンによって疎水化処理したものである。疎水化処理されていないシリカを使用した場合、特許文献1にも記載されているように、シリカを配合した硬化性液状シリコーン組成物を乳化する操作において、シリカがシリコーン組成物から分散媒である水相に移行し、シリカを含有したシリコーンゴム粒子を得ることができない。
オルガノポリシロキサンによる疎水化処理の場合、シロキサンがシリカ表面と化学的に修飾しておらず、物理的に吸着しているものもあり、シリカを配合した硬化性液状シリコーン組成物を乳化する操作において、配合したシリカの一部が水相に移行する場合がある。
特開平4-168117号公報
湿式シリカをシランやシラザンにより疎水化する処理は、シリル基が化学的に修飾され十分に疎水化されたシリカとなる。しかし、シランやシラザンにより疎水化したシリカを混合した硬化性液状シリコーン組成物は、硬化性液状シリコーンの乳化に通常使用される界面活性剤では乳化できない。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高強度を有するシリコーンゴム粒子及びその水分散物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、シランやシラザンで疎水化処理されたシリカを含むシリコーンゴム粒子の製造方法において、低HLBの非イオン性界面活性剤を使用することにより、シリカを配合した硬化性液状シリコーン組成物を良好に乳化することができ、シリコーンゴム粒子中にシリカを含むシリコーンゴム粒子を提供できることを見出し、本発明を成すに至った。該シリコーンゴム粒子はシリコーンゴム粒子中にシリカを含むため高強度を有することができる。
すなわち、本発明は、下記のシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物およびシリカ含有シリコーンゴム粒子を提供する。
(A-1)シリコーンゴム100質量部に対して(A-2)疎水化処理シリカを1~50質量部含むシリコーンゴム粒子であり、該シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記(A-2)疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、前記シリコーンゴム粒子。
さらに本発明は、前記(A-1)シリコーンゴムが、(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応硬化物である、前記シリコーンゴム粒子を提供する。
さらに本発明は、前記(A-1)シリコーンゴムが、(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンと(d)ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するシランとの縮合反応硬化物である、前記シリコーンゴム粒子を提供する。
さらに本発明は、前記(A-1)シリコーンゴムが、(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンのラジカル反応硬化物である、前記シリコーンゴム粒子を提供する。
さらに本発明は、疎水化処理シリカを含むシリコーンゴム粒子の製造方法であって、該製造方法は、
(i)オルガノポリシロキサン及びシランから選ばれる少なくも1の硬化性有機ケイ素化合物 100質量部と(A-2)疎水化処理シリカ1~50質量部とを混合する工程、
(ii)前記(i)で得た混合物に、(B)HLB1.0~12.0を有する非イオン性界面活性剤 0.1~20質量部、(C)水 5~2,000質量部、および任意で(D)水溶性高分子 0.05~5質量部を添加して乳化させて、水中油型エマルジョンを得る工程、
(iii)前記水中油型エマルジョン中の前記硬化性有機ケイ素化合物を硬化させてシリコーンゴム粒子の水分散物を得る工程、及び
(iv)前記工程(iii)で得た水分散物から水を除去してシリコーンゴム粒子を得る工程を含み、
前記シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、前記シリコーンゴム粒子の製造方法を提供する。
さらに本発明は、疎水化処理シリカを含むシリコーンゴム粒子の水分散物の製造方法であって、該製造方法は、
(i)オルガノポリシロキサン及びシランから選ばれる少なくも1の硬化性有機ケイ素化合物 100質量部と(A-2)疎水化処理シリカ1~50質量部とを混合する工程、
(ii)前記(i)で得た混合物に(B)HLB1.0~12.0を有する非イオン性界面活性剤 0.1~20質量部、(C)水 5~2,000質量部、および任意で(D)水溶性高分子 0.05~5質量部を添加して乳化させて、水中油型エマルジョンを得る工程、及び
(iii)前記水中油型エマルジョン中の前記硬化性有機ケイ素化合物を硬化させてシリコーンゴム粒子の水分散物を得る工程を含み、
前記シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、
前記水分散物の製造方法を提供する。
本発明のシリコーンゴム粒子は粒子中にシリカを含むため機械的強度が高い。従って、該シリコーンゴム粒子の水分散物は、摩擦を受ける塗料やコーティング剤用として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(A)シリカ含有シリコーンゴム粒子
(A)成分は、(A-1)シリコーンゴム中に(A-2)疎水化処理シリカを含有する粒子である。粒子中の疎水化処理シリカ(A-2)の量は、(A-1)シリコーンゴム100質量部に対し、1~50質量部の範囲であり、好ましくは3~35質量部、より好ましくは5~30質量部である。疎水化処理シリカの量が上記下限値より少ないと、機械的強度の向上が低いものとなる。疎水化処理シリカの量が上記上限値より多いと、後述する硬化性液状シリコーンと疎水化シリカの混合物が流動性のないものとなり、それを乳化することが困難となる。
粒子の形状は球状である。本明細書において、「球状」とは、粒子の形状が、真球であるだけでなく、最長軸の長さ/最短軸の長さ(アスペクト比)が平均して、通常、1.0~4.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.0~1.6、さらにより好ましくは1.0~1.4の範囲にある、変形した球でもあることを意味する。粒子の形状は粒子を光学顕微鏡、電子顕微鏡等にて観察することにより確認することができる。また、動的画像解析法の粒子形状分析装置によって測定できる。
粒子の体積平均粒径は、0.5~100μmであり、好ましくは1~40μm、より好ましくは2~20μmである。体積平均粒径はコールターカウンター法(電気抵抗法)により測定される。
シリコーンゴム粒子は、べたつきがないことが好ましく、そのゴム硬度は、JIS K6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定で、5~95の範囲であることが好ましく、より好ましくは20~85である。なお、ゴム硬度は、粒子の組成にて、JIS K 6253に規定されている形状・寸法の試験片を作製して測定した値をいう。
シリコーンゴムの機械的強度は、JIS K 6251に規定されている方法で測定した切断時引張り強さが0.5~10MPaであることが好ましく、より好ましくは0.8~5MPaである。また、切断時伸びは5~1000%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10~500%である。なお、切断時引張り強さおよび切断時伸びは、粒子の組成にて、JIS K 6251に規定されているダンベル状 3号形試験片の形状・寸法の厚さ1mmのシートを作製して測定した値をいう。
上記シリコーンゴム粒子中には、無官能のシリコーンオイル、無機系粉末(シリカを除く)、有機系粉末及び酸化防止剤等を含有していてもよい。
(A-1)シリコーンゴムは、式-(R SiO2/2-で示される線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化物から成るのがよい。ここで、式中のRは、置換又は非置換の、炭素原子数1~30の1価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1~22、より好ましくは1~18である。fは5~5,000、好ましくは10~2,000、より好ましくは20~1,000の正の整数である。
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、トリアコンチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アミノ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられ、全R中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
上記シリコーンゴムは、好ましくは硬化性液状シリコーン組成物の硬化物である。硬化性液状シリコーン組成物としては、付加反応型、縮合反応型、およびラジカル反応硬化型等が例示される。硬化性液状シリコーン組成物とは、上記硬化反応の反応性基を有するオルガノポリシロキサン及びシランから選ばれる少なくも1の硬化性有機ケイ化合物と、好ましくは硬化触媒とを含有するものである。前記硬化性有機ケイ化合物とは、1分子中に両方の反応性基を有する有機ケイ化合物であってもよいし、または一方の反応性基を有する有機ケイ化合物と該反応性基と反応する反応性基を有する他方の有機ケイ化合物との組合せであってもよい。
本発明の一の態様は、シリコーンゴムを与える硬化性液状シリコーン組成物において、前記硬化性有機ケイ素化合物が(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
別の態様は、シリコーンゴムを与える硬化性液状シリコーン組成物において、前記硬化性有機ケイ素化合物が(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン及び(d)ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するシランである。
また別の態様は、シリコーンゴムを与える硬化性液状シリコーン組成物において、前記硬化性有機ケイ素化合物が(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンである。
本発明の(A-1)シリコーンゴムの一の態様は、好ましくは(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応硬化物である。該付加反応硬化物を与える硬化性液状シリコーン組成物は、(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含み、好ましくはさらに付加反応用触媒を含有するのがよい。以下、詳細に説明する。
(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、好ましくは、下記平均組成式(2)で示され、1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するのがよい。
2 3 SiO(4-g-h)/2 (2)
式中、Rは、互いに独立に、非置換もしくは置換の、アルケニル基を有さない、炭素原子数1~30の1価炭化水素基であり、Rは、互いに独立に、炭素原子数2~6のアルケニル基であり、gおよびhは0<g<3、0<h≦3および0.1≦g+h≦3を満たす正数である。
は、炭素原子数1~30の一価炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1~22、より好ましくは炭素原子数1~18の一価炭化水素基である。R2としては、Rのために例示した一価炭化水素基のうち、アルケニル基を除いた1価炭化水素基が挙げられ、50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が挙げられ、好ましくはビニル基である。
gおよびhは、好ましくは0<g≦2.295、0.005≦h≦2.3、0.5≦g+h≦2.3を満たす正数である。
アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、1分子中にアルケニル基を好ましくは2~500個有するのがよい。アルケニル基量は、好ましくは5.4×10-4~1.1mol/100gである。オルガノポリシロキサンの重合度は、好ましくは2~5,000、より好ましくは10~2,000、さらに好ましくは20~1,000である。
(a)成分は、25℃における粘度0.7~100,000mm/sを有するのが好ましく、より好ましくは2~10,000mm/sを有する。さらに好ましくは5~1,000mm/s、さらに好ましくは10~500mm/sを有する。(a)成分の構造は、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状あるいは分岐状が好ましい。また、アルケニル基の結合箇所は特に制限されず、分子の側鎖及び末端のいずれのケイ素原子に結合していてもよい。
直鎖状のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024010917000001
式中、R及びRは上記の通りであり、iは正数、jは0又は正数、kは0、1、2又は3であり、ただしjおよびkはj+2×k≧2を満たす数である。
分岐状のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、RSiO3/2の単位により分岐している下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024010917000002

式中、R及びRは上記の通りであり、lは正数であり、mは0又は正数であり、nは正数であり、oは0、1、2又は3であり、ただし、mおよびoはm+o≧1を満たす数である。
SiO4/2の単位により分岐している構造を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(5)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024010917000003

式中、R及びRは上記の通りであり、pは正数であり、qは0又は正数であり、rは正数であり、sは0、1、2又は3であり、ただしqおよびsはq+s≧1を満たす数である。
また、下記の単位式(6)で表され、1分子当たり2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンも例示される。
[R SiO1/2[R(RSiO1/2[SiO4/2
[(OR)SiO3/2 (6)
式中、R及びRは上記の通りであり、Rは水素原子または非置換の炭素原子数1~6の一価炭化水素基であり、tは0又は正数であり、uは正数であり、vは正数であり、wは0又は正数である。
(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、好ましくは下記平均組成式(7)で示され、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基と呼称する)を少なくとも2個有する。
(4-x-y)/2 (7)
式中、Rは、互いに独立に、非置換もしくは置換の、アルケニル基を有さない、炭素原子数1~30の1価炭化水素基であり、xおよびyは、0<x<3、0<y≦3および0.1≦x+y≦3を満たす正数である。
は、炭素原子数1~30の一価炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1~22、より好ましくは炭素原子数1~18の一価炭化水素基である。Rとしては、Rのために例示した一価炭化水素基のうちアルケニル基を除いた1価炭化水素基が挙げられ、50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
xおよびyは、好ましくは0<x≦2.295、0.005≦y≦2.3および0.5≦x+y≦2.3を満たす正数である。
1分子中のSiH基数は、好ましくは2~500である。SiH基量は、好ましくは5.3×10-4~1.7mol/100gである。重合度は、好ましくは2~5,000、より好ましくは10~2,000、さらに好ましくは20~1,000である。
(b)成分の25℃における粘度は、0.4~100,000mm/sが好ましく、より好ましくは2~10,000mm/sである。さらに好ましくは5~1,000mm/s、さらに好ましくは10~500mm/sを有する。(b)成分の構造は、直鎖状、環状、分岐状いずれであってもよいが、直鎖状あるいは分岐状が好ましい。また、ケイ素原子に結合した水素原子の結合箇所は特に制限されず、分子の側鎖及び末端のいずれのケイ素原子に結合していてもよい。
直鎖状構造を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(8)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024010917000004

式中、Rは上述した通りであり、zは正数、aは0又は正数、bは0、1、2又は3、ただしaおよびbはa+2×b≧2を満たす数である。
分岐状構造を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、RSiO3/2単位により分岐している下記一般式(9)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024010917000005
式中、Rは上述した通りであり、cは正数、dは0又は正数、eは正数、fは0、1、2又は3、ただしd及びfは、d+f≧1を満たす数である。
SiO4/2単位により分岐しているオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(10)で表されるものが例示される。
Figure 2024010917000006

式中、Rは上記と同じであり、gは正数、hは0又は正数、iは正数、jは0、1、2又は3、ただしhおよびjはh+j≧1を満たす数である。
また、下記の単位式(11)で表され、1分子当たり2個以上のSiH基を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
[R SiO1/2k1[H(RSiO1/2l1[SiO4/2m1
[(OR)SiO3/2n1
(11)
式中、Rは上述した通りであり、Rは水素原子または非置換の炭素原子数1~6の一価炭化水素基であり、kは0又は正数、lは正数、mは正数、nは0又は正数である。
上記の通り、(a)成分は1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであり、(b)成分は1分子中にSiH基を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるが、アルケニル基を2個のみ有する(a)とSiH基を2個のみ有する(b)との組合せを除いた組成であるのがよい。すなわち、より好ましくは、(a)成分がアルケニル基を2個有するとき(b)成分の少なくとも1はSiH基を3個以上有するものとし、また、(b)成分がSiH基を2個有するとき(a)成分の少なくとも1はアルケニル基を3個以上有するものとする。
上記(a)成分に対する(b)成分の量は、(a)成分中のアルケニル基1個に対する(b)成分中のSiH基の個数比が0.5~2となる量であり、好ましくは0.7~1.5、さらに好ましくは0.8~1.3となる量である。
付加反応用触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる白金族金属系触媒が挙げられる。例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;
PtCl・XHO、HPtCl・XHO、NaHPtCl・XHO、
KHPtCl・XHO、NaPtCl・XHO、KPtCl・XHO、
PtCl・XHO、PtCl、NaHPtCl・XHO(式中、Xは0~6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとのコンプレックス、白金とビニル基含有シロキサンとのコンプレックス;白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム-オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)等が挙げられる。
白金族金属系触媒の配合量は、ヒドロシリル化反応触媒としての有効量でよい。例えば(a)成分と(b)成分の合計量に対する白金族金属系触媒成分中の白金族金属量が質量換算で、0.1~500ppmとなる量が好ましく、より好ましくは1~100ppmである。
本発明の(A-1)シリコーンゴムの別の態様は、好ましくは(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンと(d)ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するシランとの縮合反応硬化物である。該縮合反応硬化物を与える硬化性液状シリコーン組成物は、(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンと(d)ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するシランとを含み、好ましくはさらに縮合反応用触媒を含有するのがよい。以下、詳細に説明する。
(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンは、好ましくは下記平均組成式(12)で示され、1分子中にケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を少なくとも2個有する。
o1 p1SiO(4-o1-p1)/2 (12)
式中、Rは、互いに独立に、非置換もしくは置換の炭素原子数1~30の1価炭化水素基であり、Rは、互いに独立に、ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基であり、oおよびpは0<o<3、0<p≦3および0.1≦o+p≦3を満たす正数である。
は、炭素原子数1~30の一価炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1~22、より好ましくは炭素原子数1~18の一価炭化水素基である。Rとしては、上記Rのために例示した1価炭化水素基が挙げられ、50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
は、互いに独立に、ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基である。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メチルエチルケトオキシム、ジメチルケトオキシム基等のオキシム基;アセトキシ基、アミノキシ基が例示され、好ましくはアルコキシ基である。Rは、好ましくはケイ素原子に結合する水酸基である。
およびpは、好ましくは0<o≦2.295、0.005≦p≦2.3および0.5≦o+p≦2.3を満たす正数である。
(c)成分の25℃における粘度は、1~100,000mm/sが好ましく、より好ましくは2~10,000mm/sである。さらに好ましくは10~1,000mm/sを有する。(c)成分の構造は、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状あるいは分岐単位が少ない分岐状が好ましい。また、ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基の結合箇所は特に制限されず、分子の側鎖及び末端のいずれのケイ素原子に結合していてもよい。
が水酸基であり直鎖状構造を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024010917000007

式中、Rは上述した通りであり、qは正数、rは0又は正数、sは0、1、2又は3、ただしrおよびsはr+2×s≧2を満たす数である。
が水酸基であり、分岐状構造を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、RSiO3/2の単位により分岐している下記一般式(14)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024010917000008
式中、Rは上述した通りであり、tは正数、uは0又は正数、vは正数、wは0、1、2又は3、ただしuおよびwはu+w≧1を満たす数である。
SiO4/2の単位により分岐しているオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(15)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024010917000009

式中、Rは上述した通りであり、xは正数、yは0又は正数、zは正数、aは0、1、2又は3であり、ただしy及びaは、y+a≧1を満たす数である。
(d)成分は、一分子中にケイ素原子に結合する加水分解性基を少なくとも3個有するシランである。ケイ素原子結合加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メチルエチルケトオキシム、ジメチルケトオキシム基等のオキシム基;アセトキシ基が例示され、好ましくはアルコキシ基である。
加水分解性基がアルコキシであるシランは、下記式(16)および(17)で表され、またこれらの部分加水分解縮合物でもよい。
Si(OR10 (16)
Si(OR11 (17)
式中、Rは、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、R10はおよびR11は、非置換の炭素原子数1~6の一価炭化水素基である。
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。
10はおよびR11は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、好ましくはメチル基又はエチル基である。
(c)成分に対する(d)成分の量は、(c)成分中のケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基1個に対する(d)成分中のケイ素原子に結合する加水分解性基の個数比が0.8以上となる量であり、好ましくは1.0以上となる量である。
(d)成分は(c)成分の架橋剤であるが、(d)成分同士で縮合反応しうるため、(c)成分中のケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基1個に対する(d)成分中のケイ素原子に結合する加水分解性基の個数比は大過剰であってもよい。
(d)成分の量の上限は、(c)成分100質量部あたり(d)成分50質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量以下である。
縮合反応用触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジオクチル錫ジラウレート、オクテン酸錫、ラウリン酸錫等の有機錫化合物;チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンオクタンジオレエート等の有機チタン化合物;塩酸、硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の酸性化合物;アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ性化合物が例示される。
縮合反応用触媒の配合量は、縮合反応触媒としての有効量でよい。(d)成分と(c)成分の合計量100質量部に対して、0.001~10質量部となる量が好ましく、より好ましくは0.01~5質量部である。
本発明の(A―1)シリコーンゴムのさらに別の態様は、好ましくは(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンのラジカル反応硬化物である。該ラジカル反応硬化物を与える硬化性液状シリコーン組成物は(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンを含み、好ましくはラジカル発生剤を含むのがよい。
(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンは好ましくは下記平均組成式(18)で示され、1分子中にラジカル重合反応性基を少なくとも1個有する。
12 b213 c2SiO(4-b2-c2)/2 (18)
式中、R12は、互いに独立に、非置換もしくは置換の、ラジカル重合反応性基を有さない、炭素原子数1~30の1価炭化水素基であり、R13は、互いに独立に、炭素原子数2~10のラジカル重合反応性基を有する炭化水素基であり、b2およびc2は0<b<3、0<c≦3および0.1≦b+c≦3を満たす正数である。
12は、炭素原子数1~30の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1~22、より好ましくは炭素原子数1~18の一価炭化水素基である。R12は、上記Rのために例示した一価炭化水素基のうち、アルケニル基、およびアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基の置換基で置換した炭化水素基を除いた1価炭化水素基が挙げられる。R12の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
13のラジカル重合反応性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、イソプレニル基、及びスチリル基等が挙げられ、好ましくは、アクリロイル基、及びメタクリロイル基である。
およびcは、好ましくは0<b≦2.295、0.005≦c≦2.3、および0.5≦b+c≦2.3を満たす正数である。
(e)成分の25℃における粘度は1~100,000mm/sが好ましく、より好ましくは2~10,000mm/sである。さらに好ましくは5~1,000mm/s、さらに好ましくは10~500mm/sを有する。(e)成分の構造は、直鎖状、環状、分岐状いずれであってもよいが、直鎖状あるいは分岐単位が少ない分岐状が好ましい。また、ラジカル重合反応性基の結合箇所は特に制限されず、分子の側鎖及び末端のいずれのケイ素原子に結合していてもよい。
ラジカル重合反応性基としてメタクリルロイル基を有し、直鎖状構造を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(19)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024010917000010
式中、R12は上記と同じであり、R14は下記式(20)で表される。
Figure 2024010917000011
は正数、eは0又は正数、fは0、1、2又は3、gは0、1、2又は3、ただしe、fおよびgのいずれかは1以上である。
13中のラジカル重合反応性基がメタクリルロイル基であり、分岐状構造を有する化合物としては、例えば、R12SiO3/2の単位により分岐している下記一般式(21)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024010917000012
式中、R12は上述の通りであり、R14は上記式(20)で表され、hは正数であり、iは0又は正数であり、jは正数であり、kは0、1、2又は3、ただしiおよびkのいずれかは1以上である。
SiO4/2単位により分岐しているオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(22)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024010917000013
式中、R12は上述の通りであり、R14は上記式(20)で表され、lは正数であり、mは0又は正数であり、nは正数であり、oは0、1、2又は3であり、ただしmおよびoのいずれかは1以上である。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤、または光重合開始剤などが例示される。これらの中では、レドックス系開始剤または光重合開始剤が好ましい。
レドックス系開始剤としては、特に硫酸第一鉄とピロリン酸ナトリウムとブドウ糖とハイドロパーオキサイドとを組み合わせたレドックス系開始剤や、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩とロンガリットとハイドロパーオキサイドとを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチループロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイドが例示される。
(A-2)疎水化処理シリカにおけるシリカは、沈降シリカ等の湿式シリカ、シリカキセロゲル、ヒュームドシリカ等の乾式シリカが例示される。これらシリカはいずれも親水性シリカである。疎水化処理シリカは、これらシリカを疎水化処理したものである。
シリカの疎水化は、親水性シリカの親水性基をトリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基またはポリジオルガノシロキシ基により修飾して行われたものが好ましい。より好ましい修飾基はトリメチルシリル基、ジメチルシリル基、モノメチルシリル基である。それら疎水化処理は、従来公知の方法によって、即ち、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノジシラザン、オルガノクロロシランの部分加水分解縮合物、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物を処理することによって行うことができる。有機ケイ素化合物は、好ましくはメチル基を含むシランまたはシラザンである。より詳細には、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、および1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザンである。
疎水化は、少なくとも撹拌下でシリカが水に分散しない状態まで処理されていることが好ましい。すなわち、疎水化度は0より大きい値が好ましく、より好ましくは5以上、更に好ましくは40以上である。疎水性が低いと、後述のシリカを配合した硬化性液状シリコーン組成物を乳化する操作において、シリカがシリコーン組成物から分散媒である水相に移行し、シリカを含有したシリコーンゴム粒子を得ることができない。疎水化度の上限は特に制限はないが、好ましくは疎水化度が80以下、より好ましくは70以下である。疎水化度とは、メタノールウェッタビリティーとも呼ばれ、撹拌下のメタノール水溶液に粉体が全量分散するメタノール濃度(体積%)値である。値が高いほど、疎水性が高いことを示す。
(A-2)疎水化処理シリカは、微粉末であり、BET法による比表面積100m/g以上を有するものが好ましく、より好ましくは100~500m/g、更に好ましくは150~400m/gを有するものである。
本発明は、さらに、上記(A)シリコーンゴム粒子:100質量部、(B)HLB1.0~12.0を有する非イオン性界面活性剤:0.1~20質量部、及び(C)水:5~2,000質量部を含む、シリコーンゴム粒子の水分散物を提供する。
(B)非イオン性界面活性剤
(B)非イオン性界面活性剤は(A)シリコーンゴム粒子の分散剤として機能する。また、後述する(A)シリコーンゴム粒子の水分散物の製造において、オルガノポリシロキサン及びシランと疎水化処理シリカの混合物の乳化剤としても機能する。
(B)成分はHLB1.0~12.0を有し、好ましくは3.0~11.5、より好ましくは6.0~11.0、さらに好ましくは6.5~10.5の範囲を有する。HLBが12.0より大きいと(A)シリコーンゴム粒子の分散安定性が低下する。また、オルガノポリシロキサン及びシランと疎水化処理シリカの混合物を乳化する工程において乳化ができない、あるいは、オルガノポリシロキサン及びシランを硬化して得られるシリコーンゴム粒子が凝集する恐れがある。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用する場合、平均のHLBが1.0~12.0、好ましくは3.0~11.5、さらに好ましくは6.0~11.0、よりさらに好ましくは6.5~10.5の範囲であればよく、HLBが12.0より大きい非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。その場合のHLBは15.0以下、好ましくは13.0以下、さらに好ましくは12.5以下が好ましい。
なお、本発明におけるHLB値は、下記式
HLB=[ポリオキシエチレン部分およびアルコール部分の分子量/界面活性剤の分子量]×20
で示されるGriffin式で算出された値である。HLB値の異なる2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用する場合は、上記HLB値は加重平均値となる。
上記HLBを有する非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(B)非イオン性界面活性剤の量は、(A)シリコーンゴム粒子100質量部に対して0.1~20質量部であり、好ましくは1~18質量部、より好ましくは3~15質量部である。非イオン性界面活性剤の量が上記下限値より少ないと(A)シリコーンゴム粒子の分散安定性が低下する。また、シリカを配合した硬化性液状シリコーン組成物を乳化する操作において、乳化ができなかったり、得られるシリコーンゴム粒子が凝集したりする。また、上記上限値より多くしても、(A)シリコーンゴム粒子の水分散性能を高めることがなく、塗料やコーティング剤用の用途では、塗膜の物性を低下させるおそれがある。
(D)水溶性高分子
本発明の水分散液はさらに水溶性高分子を含んでいてよい。(D)水溶性高分子は、(B)成分の分散性能および乳化性能の助剤として機能し、また、水分散物の粘度を高くする作用によって(A)シリコーンゴム粒子の沈降を抑制する。
(D)成分としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等の天然の水溶性高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子等の半合成の水溶性高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール1500、4000、6000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等の合成の水溶性高分子が例示される。
(D)水溶性高分子の量は(A)成分100質量部に対して0~5質量部であり、好ましくは0.05~5質量部であり、より好ましくは0.05~3質量部であり、より好ましくは0.1~1.5質量部である。上記上限値より多いと、分散液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となる。
(C)水
水は上記シリコーンゴム粒子の分散媒である。水分散物中の水の量は(A)シリコーンゴム粒子100質量部に対して5~2,000質量部であり、好ましくは10~100質量部である。
本発明のシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物には、上記(A)~(D)成分以外に、必要に応じて、種々の添加剤を配合することができる。例えば、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、着色剤等が例示される。アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または、両性界面活性剤は、後記する製造方法において、乳化することができなかったり、硬化反応中に凝集粒が生成したり、エマルションが破壊したりするおそれがあるため、配合しないほうが好ましい。
[シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物の製造方法]
本発明のシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物は、下記の工程(i)~(iii)を有する方法によって製造される。
(i)オルガノポリシロキサン及びシランから選ばれる少なくも1の硬化性有機ケイ素化合物 100質量部と(A-2)疎水化処理シリカ1~50質量部とを混合する工程、
(ii)前記(i)で得た混合物に(B)HLB1.0~12.0を有する非イオン性界面活性剤 0.1~20質量部、(C)水 5~2,000質量部、および任意で(D)水溶性高分子 0.05~5質量部を添加して乳化させて、水中油型エマルジョンを得る工程、及び
(iii)前記水中油型エマルジョン中の前記硬化性有機ケイ素化合物を硬化させてシリコーンゴム粒子の水分散物を得る工程。
オルガノポリシロキサン及びシランと疎水化処理シリカを混合するには、例えばゲートミキサー、ニーダー、加圧ニーダー、二軸混練基、インテンシブミキサー等の混練機や、ホモディスパー、ホモミキサー等の攪拌機を使用することができる。
混合は、室温(例えば1~30℃)で行えばよいが、 200℃未満の加熱下で行ってもよい。また、上記したシリカの疎水化処理用の有機ケイ素化合物や疎水化処理を行うためのアルカリ性触媒を添加してもよい。アルカリ性触媒を添加した条件では、必要に応じて混合処理を行った後に中和剤を添加して中和反応を行うことができる。
(A-2)疎水化処理シリカの代わりに、水にシリカが分散したタイプのコロイダルシリカを使用することはできない。分散媒が水であるため、このようなコロイダルシリカはオルガノポリシロキサン及びシランと混ざらない。また、オルガノポリシロキサン及びシランを乳化する工程で上記コロイダルシリカを添加しても、シリカが親水性であるため、オルガノポリシロキサン及びシラン中に入らない。
乳化に使用する非イオン性界面活性剤(B)はHLB1.0~12.0を有し、好ましくは3.0~11.5、より好ましくは6.0~11.0、さらに好ましくは6.5~10.5の範囲である。乳化の際には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤は使用しないことが好ましい。乳化を行うには、一般的な乳化分散機を用いればよい。その例としては、ホモディスパー等の高速回転遠心放射型攪拌機;ホモミキサー等の高速回転剪断型攪拌機;ホモジナイザー等の高圧噴射式乳化分散機;コロイドミル;超音波乳化機等が挙げられる。
硬化用触媒やラジカル発生剤は、上記工程(i)にて予めオルガノポリシロキサン及びシランと混合してもよいし、上記工程(ii)にて水中油型エマルジョンを得た後に配合してもよい。
上記シリコーンゴム粒子が、無官能性シリコーンオイル、無機系粉末(シリカを除く)、有機系粉末及び酸化防止剤等のその他の成分を含有する場合は、工程(i)にてオルガノポリシロキサン及びシランと混合するのがよい。配合量は、本発明のシリコーンゴム粒子の特性を損ねない範囲において適宜調整されればよい。
硬化用触媒やラジカル発生剤を、エマルジョンを作製した後に(上記工程(ii)にて)配合する方法において、硬化用触媒やラジカル発生剤の水に対する分散性が悪い場合には、界面活性剤に溶解した状態でエマルジョンに添加するか、界面活性剤でエマルジョン形態にして添加することが好ましい。ここで使用する界面活性剤は、非イオン性であることが好ましく、さらには、高HLBを有するのがよい。オルガノポリシロキサン及びシランと疎水化処理シリカの混合物の乳化の際に使用した非イオン性界面活性剤との平均HLBが1.0~12.0の範囲になるよう、そのHLBおよび使用量を設定する必要がある。平均HLBは、好ましくは3.0~11.5、より好ましくは6.0~11.0、さらに好ましくは6.5~10.5の範囲である。平均HLBが12.0より大きいと、硬化反応中にシリコーンが凝集したり、エマルジョンが破壊したりする。HLBが12.0より大きい非イオン性界面活性剤を使用する場合、そのHLBは15.0以下、好ましくは13.0以下、さらに好ましくは12.5以下が好ましい。
上記工程(iii)において、付加反応または縮合反応で硬化する場合、反応は室温(1~30℃)で行ってもよいが、反応が完結しない場合には、100℃未満の加熱下で行ってもよい。
上記工程(iii)において、ラジカル反応で硬化する場合、レドックス系開始剤を使用する場合は100℃未満で加熱すればよく、光重合開始剤を使用する場合は紫外線等の光を照射すればよい。
[シリカ含有シリコーンゴム粒子の製造方法]
本発明のシリカ含有シリコーンゴム粒子は、上記の工程で得られたシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物から水を除去することにより得ることができる(工程(iv))。
水の除去は、例えば、水分散物を常圧下又は減圧下に加熱して揮発させることにより行うことができる。より詳細には、分散液を加熱下で静置して除去する方法、分散液を加熱下で攪拌流動させながら除去する方法、スプレードライヤーのように熱風気流中に分散液を噴霧、分散させる方法、流動熱媒体を利用する方法等が挙げられる。なお、この操作の前処理として、無機塩などの添加により粒子を凝集させた後、加圧ろ過等の濾過分離、遠心分離、デカンテーション等の方法で濃縮してもよいし、さらに必要ならば濃縮物を水やアルコール等で洗浄してもよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、例中、動粘度は25℃において毛管粘度計を用いて測定した値であり、濃度及び含有率を表す「%」は「質量%」を示す。
[実施例1]
下記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン186g(a―1)、下記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン30g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.14個となる配合量)、
Figure 2024010917000014
Figure 2024010917000015
および、乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。
次いで、前記混合物に、サンノニックSS-30(B-1、商品名、三洋化成工業(株)製、ポリオキシエチレンアルキル(C1225~C1429)エーテル、HLB=8.0)20gとセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し1.3質量部となる量)の混合物と水300gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油型となり、増粘が認められた。さらに、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水436g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し水の合計量が307質量部となる量)を加えたところ、均一な白色の水中油型エマルジョンが得られた。
このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、撹拌下に白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%) 0.5gと、ファインサーフTD-70(B-2、商品名、青木油脂工業(株)製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB=12.0)1.0gの混合溶解物を添加し、同温度で5時間撹拌して、シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を得た。
水分散物中の非イオン性界面活性剤(B)の平均HLBは8.2である。非イオン性界面活性剤はシリコーンゴム粒子100質量部に対し8.8質量部となる量である。
水分散物を100メッシュスクリーンで濾過した場合、シリカ含有シリコーンゴム粒子の保持された量(すなわち、凝集物の量)は濾過された合計量の1.0%未満であった。
水分散物中のシリカ含有シリコーンゴム粒子について、形状を光学顕微鏡にて観察したところ球状であり、体積平均粒径を粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(商品名、ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ6μmであった。
シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの硬度を以下のように測定した。
上記と同じビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、疎水化処理シリカ(A-2-1)、および白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが10mmになるようアルミニウムシャーレに流し込んだ。
25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムの硬度をJIS K6253に規定されているタイプAデュロメータで測定したところ、62であった。
また、シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの切断時引張り強さおよび切断時伸びを以下のように測定した。
上記と同じビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、疎水化処理シリカ(A-2-1)、および白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが約1mmになるようポリプロピレン製トレイに流し込んだ。
25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムシートを得た。このシリコーンゴムシートをJIS K6251に規定されているダンベル状 3号形試験片の形状・寸法にカットし、JIS K6251に規定されている方法に準じて切断時引張り強さおよび切断時伸びを測定したところ、それぞれ1.4MPa、52%であった。
[実施例2~8]
実施例1において、ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、および疎水化処理シリカ(A-2-1)の混合物の乳化に使用した非イオン性界面活性剤(サンノニックSS-30)を、表1に示す非イオン性界面活性剤に替えた他は、実施例1の工程を繰り返してシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を得た。
得られたシリコーンゴム粒子の水分散液について、実施例1と同じ方法にて評価した。
水分散物中の非イオン性界面活性剤(B)の平均HLBを表1に、該水分散液を100メッシュスクリーンで濾過した場合のシリカ含有シリコーンゴム粒子の保持された量(すなわち、凝集物の量)を表4に示す。
また、水分散物中のシリカ含有シリコーンゴム粒子の形状の観察結果および体積平均粒径の測定結果を表4に示す。
[実施例9~10]
実施例1において、ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、および疎水化処理シリカ(A-2-1)の混合物の乳化に使用した水溶性高分子(セロゲンWS-C)30gを、表1に示す水溶性高分子および量に替えた他は、実施例1の工程を繰り返してシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を得た。
表中、D-2は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH-10000、信越化学工業株式会社製)である。
得られたシリコーンゴム粒子の水分散液について、実施例1と同じ方法にて評価した。
水分散物中の非イオン性界面活性剤(B)の平均HLBを表1に、分散液を100メッシュスクリーンで濾過した場合のシリカ含有シリコーンゴム粒子の保持された量を表4に示す。また、シリカ含有シリコーンゴム粒子の形状の観察結果および体積平均粒径の測定結果を表4に示す。
[実施例11]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン165g(a-1)、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン27g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.15個となる配合量)、および乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)48g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し25.0質量部となる量)とをゲートミキサーに仕込み、均一になるまで混合した。
得られた混合物に、サンノニックSS-30(B-1、商品名、三洋化成工業(株)製、ポリオキシエチレンアルキル(C1225~C1429)エーテル、HLB=8.0)20gとセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し1.3質量部となる量)の混合物、および水600gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油型となり、増粘が認められた。さらに、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水136g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し水の合計量が307質量部となる量)を加えたところ、均一な白色の水中油型エマルジョンが得られた。
このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、撹拌下に白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.5gとファインサーフTD-70(B-2、商品名、青木油脂工業(株)製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB=12.0)1.0gの混合溶解物を添加し、同温度で5時間撹拌し、シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を得た。水分散物中の非イオン性界面活性剤(B)の平均HLBは、8.2である。非イオン性界面活性剤はシリコーンゴム粒子100質量部に対し8.8質量部となる量である。
水分散物を100メッシュスクリーンで濾過した場合、シリカ含有シリコーンゴム粒子の保持された量(すなわち、凝集物の量)は濾過された合計量の1.0質量%未満であった。
水分散物中のシリカ含有シリコーンゴム粒子について、形状を光学顕微鏡にて観察したところ球状であり、体積平均粒径を粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(商品名、ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ3μmであった。
シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの硬度を以下のように測定した。
上記と同じビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、疎水化処理シリカ(A-2-1)、および白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが10mmになるようアルミニウムシャーレに流し込んだ。
25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムの硬度をJIS K6253に規定されているタイプAデュロメータで測定したところ、71であった。
また、シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの切断時引張り強さおよび切断時伸びを以下のように測定した。
上記と同じビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、疎水化処理シリカ(A-2-1)、および白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが約1mmになるようポリプロピレン製トレイに流し込んだ。
25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムシートを得た。このシリコーンゴムシートをJIS K6251に規定されているダンベル状 3号形試験片の形状・寸法にカットし、JIS K6251に規定されている方法に準じて切断時引張り強さおよび切断時伸びを測定したところ、それぞれ1.9MPa、54%であった。
[実施例12]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン196g(a-1)、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン32g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.15個となる配合量)、および乾式シリカを1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-2、BET法による比表面積300m/g、疎水化度55)12g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し5.3質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。
次いで、サンノニックSS-30(B-1、商品名、三洋化成工業(株)製、ポリオキシエチレンアルキル(C1225~C1429)エーテル、HLB=8.0)20gとセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し1.3質量部となる量)の混合物と水300gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油型となり、増粘が認められた。さらに、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水436g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し水の合計量が307質量部となる量)を加えたところ、均一な白色の水中油型エマルジョンが得られた。
このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、撹拌下に白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.5gとファインサーフTD-70(B-2、商品名、青木油脂工業(株)製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB=12.0)1.0gの混合溶解物を添加し、同温度で5時間撹拌し、シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を得た。水分散物中の非イオン性界面活性剤の平均HLBは8.2である。非イオン性界面活性剤はシリコーンゴム粒子100質量部に対し8.8質量部となる量である。
水分散物を100メッシュスクリーンで濾過した場合、シリカ含有シリコーンゴム粒子の保持された量(すなわち、凝集物の量)は濾過された合計量の1.0質量%未満であった。
水分散物中のシリカ含有シリコーンゴム粒子について、形状を光学顕微鏡にて観察したところ球状であり、体積平均粒径を粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(商品名、ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ7μmであった。
シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの硬度を以下のように測定した。
上記と同じビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、疎水化処理シリカ(A-2-2)、および白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが10mmになるようアルミニウムシャーレに流し込んだ。
25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムの硬度をJIS K6253に規定されているタイプAデュロメータで測定したところ、57であった。
また、シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの切断時引張り強さおよび切断時伸びを以下のように測定した。
上記と同じビニル基含有ジメチルポリシロキサン(a-1)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(b-1)、疎水化処理シリカ(A-2-2)、および白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが約1mmになるようポリプロピレン製トレイに流し込んだ。
25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムシートを得た。このシリコーンゴムシートをJIS K6251に規定されているダンベル状 3号形試験片の形状・寸法にカットし、JIS K6251に規定されている方法に準じて切断時引張り強さおよび切断時伸びを測定したところ、それぞれ1.2MPa、48%であった。
[実施例13]
下記平均式(25)で示される、動粘度が690mm2/sの水酸基含有ジメチルポリシロキサン205g(c-1)、
Figure 2024010917000016
フェニルトリエトキシシラン11g(d-1、水酸基1個に対しエトキシ基が6.7個となる配合量)、および、乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.4質量部となる量)とをゲートミキサーに仕込み、均一になるまで混合した。
得られた混合物に、サンノニックSS-30(B-1、商品名、三洋化成工業(株)製、ポリオキシエチレンアルキル(C1225~C1429)エーテル、HLB=8.0)20gとセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し1.4質量部となる量)の混合物、および水600gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油型となり、増粘が認められ、さらに、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水135g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し合計の水量が312質量部となる量)を加えたところ、均一な白色の水中油型エマルジョンが得られた。
このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、ジオクチル錫ジラウレート1.0gとファインサーフTD-70(D-2、商品名、青木油脂工業(株)製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB=12.0)1.0gの混合溶解物を添加し、同温度で24時間撹拌し、シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を得た。水分散物中の非イオン性界面活性剤の平均HLBは、8.2である。非イオン性界面活性剤はシリコーンゴム粒子100質量部に対し10.0質量部となる量である。
水分散物を100メッシュスクリーンで濾過した場合、シリカ含有シリコーンゴム粒子の保持された量(すなわち、凝集物の量)は濾過された合計量の1.0質量%未満であった。
水分散物中のシリカ含有シリコーンゴム粒子について、形状を光学顕微鏡にて観察したところ球状であり、体積平均粒径を粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(商品名、ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ4μmであった。
シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの硬度を以下のように測定した。上記と同じ水酸基含有ジメチルポリシロキサン(c-1)、フェニルトリエトキシシラン(d-1)、疎水化処理シリカ(A-2-1)、およびジオクチル錫ジラウレートを、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが10mmになるようアルミニウムシャーレに流し込んだ。25℃で48時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムの硬度をJIS K6253に規定されているタイプAデュロメータで測定したところ、40であった。
シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの切断時引張り強さおよび切断時伸びを以下のように測定した。
上記と同じ水酸基含有ジメチルポリシロキサン(c-1)、フェニルトリエトキシシラン(d-1)、疎水化処理シリカ(A-2-1)、およびジオクチル錫ジラウレートを、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが約1mmになるようポリプロピレン製トレイに流し込んだ。
25℃で48時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムシートを得た。このシリコーンゴムシートをJIS K6251に規定されているダンベル状 3号形試験片の形状・寸法にカットし、JIS K6251に規定されている方法に準じて切断時引張り強さおよび切断時伸びを測定したところ、それぞれ1.2MPa、190%であった。
[実施例14]
下記平均式(26)で示される、動粘度が180mm2/sのメタクリロイル基含有ジメチルポリシロキサン216g(e-1)、
Figure 2024010917000017
乾式シリカをジメチルジクロロシランで処理した疎水化処理シリカ(A-2-3、BET法による比表面積200m/g、疎水化度48)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン2gとをゲートミキサーに仕込み、均一になるまで混合した。
得られた混合物に、サンノニックSS-30(B-1、商品名、三洋化成工業(株)製、ポリオキシエチレンアルキル(C1225~C1429)エーテル、HLB=8.0)20g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し8.3質量部となる量)とセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し1.3質量部となる量)の混合物、および水(C)600gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油型となり、増粘が認められた。さらに、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水135g(得られるシリコーンゴム粒子100質量部に対し水の合計量が306質量部となる量)を加えたところ、均一な白色の水中油型エマルジョンが得られた。
このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、光化学反応用LED光源(356nm波長、507mW)のプローブをエマルジョンに差し込み、照射を開始した。同温度で4時間攪拌しながら照射を続けることで、シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を得た。
水分散物を100メッシュスクリーンで濾過した場合、シリカ含有シリコーンゴム粒子の保持された量(すなわち、凝集物の量)は濾過された合計量の1.0質量%未満であった。
水分散物中のシリカ含有シリコーンゴム粒子について、形状を光学顕微鏡にて観察したところ球状であり、体積平均粒径を粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(商品名、ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ4μmであった。
シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの硬度を以下のように測定した。
上記と同じメタクリロイル基含有ジメチルポリシロキサン(e-1)、疎水化処理シリカ(A-2-3)、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンを、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが10mmになるようアルミニウムシャーレに流し込んだ。窒素雰囲気下、UV-LED照射機(波長365nm、154mW)で5分間照射し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムの硬度をJIS K6253に規定されているタイプAデュロメータで測定したところ、48であった。
また、シリカ含有シリコーンゴム粒子を構成するシリカ含有シリコーンゴムの切断時引張り強さおよび切断時伸びを以下のように測定した。
上記と同じメタクリロイル基含有ジメチルポリシロキサン(e-1)、疎水化処理シリカ(A-2-3)、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンを、上記に記載の配合比にて混合し、厚みが約1mmになるようポリプロピレン製トレイに流し込んだ。窒素雰囲気下、UV-LED照射機(波長365nm、154mW)で5分間照射し、べたつきのないシリカ含有シリコーンゴムシートを得た。このシリコーンゴムシートをJIS K6251に規定されているダンベル状 3号形試験片の形状・寸法にカットし、JIS K6251に規定されている方法に準じて切断時引張り強さおよび切断時伸びを測定したところ、それぞれ1.5MPa、190%であった。
[比較例1]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン186g(a-1、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン30g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.14個となる配合量)、および乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ((A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。
次いで、該混合物に、サンノニックSS-70(B-10、商品名、三洋化成工業(株)製、ポリオキシエチレンアルキル(C1225~C1429)エーテル、HLB=12.1)20gとセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3gの混合物と水(C)300gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油型となり、増粘が認められた。さらに、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水436gを加えたところ、均一な白色の水中油型エマルジョンが得られた。
このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、撹拌下に白金-ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.5gとファインサーフTD-70(B-2、商品名、青木油脂工業(株)製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB=12.0)1.0gの混合溶解物を添加し、同温度で撹拌し続けたところ、しばらくしてエマルジョン粒子全体が凝集を起こし、エマルジョンが破壊した。
[比較例2]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン186g(a-1)、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン30g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.14個となる配合量)、および乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。
次いで、該混合物に、タージトールTMN-6 <90%水溶液>(B-11、商品名、ダウ・ケミカル日本(株)製、ポリオキシエチレントリメチルノニルエーテルの90%水溶液、HLB=13.1) 22gとセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3gの混合物と水298gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、ポリシロキサンと疎水化処理シリカの混合物は水に全く分散せず、乳化できなかった。
[比較例3]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン186g(a-1)、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン30g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.14個となる配合量)、および乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。
次いで、該混合物に、エマルゲン123P(B-12、商品名、花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB=16.9)20gとセロゲンWS-C(D-1、商品名、第一工業製薬(株)製、カルボキシメチルセルロースナトリウム)3gの混合物と水300gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、ポリシロキサンと疎水化処理シリカの混合物は水に全く分散せず、乳化できなかった。
[比較例4]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン186g(a-1)、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン30g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.14個となる配合量)、および乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。
次いで、ニッコールSLS(B-13、商品名、日光ケミカルズ(株)製、アニオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム)20gと水(C)300gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、ポリシロキサンと疎水化処理シリカの混合物は水に全く分散せず、乳化できなかった。
[比較例5]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン186g(a-1)、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン30g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.14個となる配合量)、および乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。
次いで、ニッサンカチオンBB(B-14、商品名、日油(株)製、カチオン性界面活性剤、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの30%水溶液)67gと水253gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、ポリシロキサンと疎水化処理シリカの混合物は水に全く分散せず、乳化できなかった。
[比較例6]
上記平均式(23)で示される、動粘度が55mm2/sのビニル基含有ジメチルポリシロキサン186g(a-1)、上記平均式(24)で示される、動粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン30g(b-1、ビニル基1個に対しSiH基が1.14個となる配合量)、および乾式シリカをヘキサメチルジシラザンで処理した疎水化処理シリカ(A-2-1、BET法による比表面積300m/g、疎水化度60)24g(得られるシリコーンゴム100質量部に対し11.1質量部となる量)とを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌混合した。次いで、アンヒトール20BS(B-15、商品名、花王(株)製、両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの31%水溶液)65gと水(C)255gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、ポリシロキサンと疎水化処理シリカの混合物は水に全く分散せず、乳化できなかった。
※比較例2~6は、オルガノポリシロキサンと疎水化処理シリカの混合物が水に分散せず乳化しなかった。
[実施例15]
実施例1で得られたシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を、スプレードライヤーを用い、入り口温度150℃、出口温度80℃の条件で水を揮発除去し、シリカ含有シリコーンゴム粒子を得た。
得られたシリカ含有シリコーンゴム粒子はべたつきのないものであり、形状を電子顕微鏡にて観察したところ球状であった。また、シリカは観察されなかった。これよりシリカはシリコーンゴム粒子中に存在していると判断される。
[実施例16]
実施例13で得られたシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を、スプレードライヤーを用い、入り口温度150℃、出口温度80℃の条件で水を揮発除去し、シリカ含有シリコーンゴム粒子を得た。
得られたシリカ含有シリコーンゴム粒子はべたつきのないものであり、形状を電子顕微鏡にて観察したところ球状であった。また、シリカは観察されなかった。これよりシリカはシリコーンゴム粒子中に存在していると判断される。
[実施例17]
実施例14で得られたシリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物を、スプレードライヤーを用い、入り口温度150℃、出口温度80℃の条件で水を揮発除去し、シリカ含有シリコーンゴム粒子を得た。
得られたシリカ含有シリコーンゴム粒子はべたつきのないものであり、形状を電子顕微鏡にて観察したところ球状であった。また、シリカは観察されなかった。これよりシリカはシリコーンゴム粒子中に存在していると判断される。
上記の通り、本発明は、疎水化処理されたシリカを含むシリコーンゴム粒子の製造方法において低HLBの非イオン性界面活性剤を使用することにより、オルガノポリシロキサンと疎水化処理シリカの混合物を水中で良好に乳化することができる。本発明のシリコーンゴム粒子は粒子中にシリカを含むため、高強度を有することができる。
本発明のシリコーンゴム粒子は機械的強度が高く、該シリコーンゴム粒子の水分散物は、摩擦を受ける塗料やコーティング剤用として有用である。

Claims (18)

  1. (A-1)シリコーンゴム100質量部に対して(A-2)疎水化処理シリカを1~50質量部含むシリコーンゴム粒子であり、該シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記(A-2)疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、前記シリコーンゴム粒子。
  2. 前記(A-1)シリコーンゴムが、(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応硬化物である、請求項1記載のシリコーンゴム粒子。
  3. 前記(A-1)シリコーンゴムが、(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンと(d)ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するシランとの縮合反応硬化物である、請求項1記載のシリコーンゴム粒子。
  4. 前記(A-1)シリコーンゴムが、(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンのラジカル反応硬化物である、請求項1記載のシリコーンゴム粒子。
  5. 前記疎水化処理シリカが、親水性シリカをトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、および1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシランまたはシラザンで疎水化処理したものである、請求項1~4のいずれか1項記載のシリコーンゴム粒子。
  6. 前記シリコーンゴム粒子が、JIS K6251に規定されている方法で測定した切断時引張り強さ0.5~10MPaを有する、請求項1~4のいずれか1項記載のシリコーンゴム粒子。
  7. (A)(A-1)シリコーンゴム100質量部に対して(A-2)疎水化処理シリカを1~50質量部含むシリコーンゴム粒子:100質量部、
    (B)HLB1.0~12.0を有する非イオン性界面活性剤:0.1~20質量部、及び
    (C)水:5~2,000質量部
    を含む、シリコーンゴム粒子の水分散物であり、
    前記シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、前記水分散物。
  8. 前記シリコーンゴムが、(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応硬化物である、請求項7記載の水分散物。
  9. 前記シリコーンゴムが、(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンと(d)ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するシランとの縮合反応硬化物である、請求項7記載の水分散物。
  10. 前記シリコーンゴムが、(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンのラジカル反応硬化物である、請求項7記載の水分散物。
  11. さらに(D)水溶性高分子を前記シリコーンゴム粒子100質量部に対し0.05~5質量部で含む、請求項7~10のいずれか1項記載の水分散物。
  12. 前記疎水化処理シリカが、親水性シリカをトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、および1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシランまたはシラザンで疎水化処理したものである、請求項7~10のいずれか1項記載の水分散物。
  13. 疎水化処理シリカを含むシリコーンゴム粒子の製造方法であって、
    (i)オルガノポリシロキサン及びシランから選ばれる少なくも1の硬化性有機ケイ素化合物100質量部と(A-2)疎水化処理シリカ 1~50質量部とを混合する工程、
    (ii)前記(i)で得た混合物に、(B)HLB1.0~12.0を有する非イオン性界面活性剤 0.1~20質量部、(C)水 5~2,000質量部、および任意で(D)水溶性高分子 0.05~5質量部を添加して乳化させて、水中油型エマルジョンを得る工程、
    (iii)前記水中油型エマルジョン中の前記硬化性有機ケイ素化合物を硬化させてシリコーンゴム粒子の水分散物を得る工程、及び
    (iv)前記工程(iii)で得た水分散物から水を除去してシリコーンゴム粒子を得る工程を含み、
    前記シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、前記製造方法。
  14. 疎水化処理シリカを含むシリコーンゴム粒子の水分散物の製造方法であって、
    (i)オルガノポリシロキサン及びシランから選ばれる少なくとも1の硬化性有機ケイ素化合物 100質量部と(A-2)疎水化処理シリカ 1~50質量部とを混合する工程、
    (ii)前記(i)で得た混合物に(B)HLB1.0~12.0を有する非イオン性界面活性剤 0.1~20質量部、(C)水 5~2,000質量部、および任意で(D)水溶性高分子 0.05~5質量部を添加して乳化させて、水中油型エマルジョンを得る工程、及び
    (iii)前記水中油型エマルジョン中の前記硬化性有機ケイ素化合物を硬化させてシリコーンゴム粒子の水分散物を得る工程を含み、
    前記シリコーンゴム粒子は体積平均粒径0.5~100μmを有し及び球状であり、前記疎水化処理シリカは、トリオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、モノオルガノシリル基、及びポリジオルガノシロキシ基から選ばれる少なくとも1により疎水化されていることを特徴とする、前記製造方法。
  15. 前記疎水化処理シリカが、親水性シリカをトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、および1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザンから選択される少なくとも1種のシランまたはシラザンで疎水化処理したものである、請求項13又は14記載の製造方法。
  16. 前記硬化性有機ケイ素化合物が(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び(b)ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、請求項13又は14記載の製造方法。
  17. 前記硬化性有機ケイ素化合物が(c)ケイ素原子に結合する水酸基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン及び(d)ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するシランである、請求項13又は14記載の製造方法。
  18. 前記硬化性有機ケイ素化合物が(e)ラジカル重合反応性基を有するオルガノポリシロキサンである、請求項13又は14記載の製造方法。
JP2022112513A 2022-07-13 2022-07-13 シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法 Pending JP2024010917A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022112513A JP2024010917A (ja) 2022-07-13 2022-07-13 シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022112513A JP2024010917A (ja) 2022-07-13 2022-07-13 シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024010917A true JP2024010917A (ja) 2024-01-25

Family

ID=89622020

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022112513A Pending JP2024010917A (ja) 2022-07-13 2022-07-13 シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024010917A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5607001B2 (ja) シリコーン微粒子及びその製造方法
EP2182022B1 (en) Silicone microparticles comprising silicone elastomer spherical microparticles coated with polyorganosilesquioxane, and method of producing same
JP4371480B2 (ja) 有機架橋粒子、そのサスペンジョン、およびそれらの製造方法
US11485826B2 (en) Production method for silica-coated spherical silicone elastomer particles and silica-coated spherical silicone elastomer particles
JP2004210944A (ja) 複合シリコーンゴム粒子およびその製造方法
EP3608352A1 (en) Silicone particles and method for producing same
JP2024010917A (ja) シリカ含有シリコーンゴム粒子の水分散物、およびシリカ含有シリコーンゴム粒子、並びにそれらの製造方法
EP3434715B1 (en) Silicone particles and method for producing same
JP7426283B2 (ja) ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子及びこれを製造する方法、並びにポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子及びこれを製造する方法
WO2021132073A1 (ja) 水性シリコーンエラストマーの水分散物である繊維処理剤、及び皮膜
JP4751516B2 (ja) エマルジョン、およびその製造方法
JP7200925B2 (ja) シリコーン弾性体粒子及び空隙を有するシリコーンエラストマー粒子、ならびにこれらの製造方法
WO2023276648A1 (ja) シリコーンゴム球状粒子用液状組成物、シリコーンゴム球状粒子およびその製造方法、およびシリコーン複合粒子およびその製造方法
KR101682449B1 (ko) 에멀젼, 이의 제조 방법 및 실리콘 오일 조성물
JP5363540B2 (ja) 複合粒子の製造方法
WO2022138329A1 (ja) モノマー組成物及びその製造方法、並びにモノマー組成物を含む化粧料又は化粧料原料
WO2021132078A1 (ja) シリコーン弾性体粒子及び空隙を有するシリコーンエラストマー粒子、ならびにこれらの製造方法、シリコーン弾性体及びその製造方法、シリコーンエラストマー多孔体の製造方法
WO2024090322A1 (ja) シリコーンゴム粒子およびシリコーンゴム粒子の水分散体
WO2021111757A1 (ja) シリコーン粒子及びその製造方法
CN114746461A (zh) 亲水性有机硅颗粒及其制造方法
JP2023165354A (ja) シリコーン粒子の製造方法