JP3654487B2 - 海藻群落造成法 - Google Patents

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  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
  • Artificial Fish Reefs (AREA)
  • Cultivation Of Seaweed (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は海藻群落造成用コンクリートブロックおよび海藻群落を形成した海藻礁に係り、海面下における各帯域、特に漸深帯上部および下部において有効な海藻類の着生、生育を図り、アワビ、サザエやウニなどの植食動物を幼稚仔から育成して成長体まで成長させて世代交替のサイクルを順調に図ることのできる各世代に適応した海藻群落を造成するとともに、各種水生生物の棲息場や産卵場を兼ねた海藻群落造成用コンクリートブロックおよびその海藻礁を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
海藻類の着生、生育を図ることについては従来からそれなりの研究が図られてきた。即ち我が国の沿岸岩礁域は、アラメ、カジメ、ホンダワラ類など地球上最大の生産力を持つ海中林が形成されてアワビ、サザエやウニなど磯根資源が豊富に生息する場となっており、これら海藻群落を効率的に造成することは、漁業生産の増大に寄与するばかりでなく、沿岸環境を健全に維持することとなることから、従来から種々の検討が重ねられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記したような従来技術によるものでは、海面下にある漸深帯域の上部や下部の如きにおけるアワビやサザエ、ウニなどの幼稚仔ないしそれらの生長体の生育に必要な海藻の生長に適した条件を満足するようなものを求め難い。即ち、大型海藻は植食動物を近寄らせないための忌避物質を放出することから、体力の弱い幼稚仔は生存できない。そこで、一般的には、アワビやサザエ、ウニなどの幼稚仔は小型の海藻や付着珪藻類を餌として生長することから、そうした小型の海藻や付着珪藻等の生育に適した海藻礁を形成することが必要である。
【0004】
しかし、小型海藻の生育場に大型の海藻が入植すると日陰になり小型海藻が枯れて幼稚仔の餌場が確保できなくなり生長体まで生長できず、その結果、アワビ、サザエやウニ等の数が減少することになる。自然状態で幼稚仔を生長させるためには大型の海藻の侵入を防止しつつ小型海藻の生育を図ることが必要であるが、このような条件を適切に満足する技術ないし方法は未だ確立されていない。そこで現状では幼稚仔から養殖である程度まで大きくして大型海藻を食べられるようにしてから何十万個と放流し、そのために多大な費用と人手をかけている。
【0005】
また、上記したようなアワビ等の幼稚仔は、生長すると大型の海藻(アラメ、カジメ、コンブ等)を餌として生長する。これら大型の一年生または多年生の海藻は、その生育の場として、根が活着しやすい構造が必要であり、この大型の海藻の生育場(海中林と呼ばれている)こそが沿岸付近での生態系の基礎となっている。適当な海藻群落を造成するために、材料として各種ブロックや天然石を投入しても、当初は小型海藻が生育するがすぐに大型の海藻に遷移してしまい、大型海藻のみの海中林を形成することとなってしまい、したがって、ある程度の大きさのアワビ等しか生活できないこととなる。
【0006】
なお、海中林を構成する海藻の寿命は短いコンブで約1年、長いアラメで約6年であり、生長体は年々減少するから、単なるブロック等を投入しただけでは海中林は数年で衰退してしまう。つまり、長期に亘って小型海藻のみや大型海藻のみが生存するような条件を満足する海藻礁を的確に形成することができる技術は見当たらない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記したような従来技術における課題を解消することについて検討を重ねて創案されたものであって、大型海藻の入植を防止して小型海藻のみを生育できる幼稚仔用海藻群落造成用コンクリートブロックと、大型海藻の生育場とできる生長体用ブロックを、自然のサイクルを維持しながら長期に亘って形成することに成功したものであって以下の如くである。
【0008】
(1) 上部をポーラスコンクリートとし、下部を普通コンクリートあるいはコンクリート強度をアップしたポーラスコンクリートの複合構造とした海藻群落造成用コンクリートブロックにおいて、上部のポーラスコンクリートの表面を崩壊させて特定の海藻を剥離させることを特徴とする海藻群落造成法。
【0009】
(2) 前記(1)項に記載の海藻群落造成用コンクリートブロックの上部のポーラスコンクリート層に酸化鉄の被膜を形成したり、骨材とほぼ同じ大きさの鉄片または鉄ファイバーを混入した海藻群落造成用コンクリートブロックを用いたことを特徴とする海藻群落造成法。
【0010】
(3) 前記(1)〜(2)の何れか1つに記載した海藻群落造成用コンクリートブロックの製造時に栄養塩を混入して形成した海藻群落造成用コンクリートブロックを用いたことを特徴とする海藻群落造成法。
【0011】
(4) 前記(1)〜(3)の何れか1つに記載した海藻群落造成用コンクリートブロックの上部のポーラスコンクリートに用いられている骨材の一部または全部を、カキやホタテやサザエなどの貝殻に代えた海藻群落造成用コンクリートブロックを用いたことを特徴とする海藻群落造成法。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記したような本発明によるものの具体的な実施態様を添付図面に示すものについて説明すると、本発明においては図1に示すように海藻群落造成用コンクリートブロック部体10の上部に、一定厚さのポーラスコンクリート層1による海藻類着生層を形成するもので、ポーラスコンクリートは骨材粒子がセメントをバインダーとして連結される構造であり、多様な孔径で連通しているため、単なるコンクリートの表面積に比べ数百倍以上の表面積を有しているので、海藻の生殖細胞が着生する面積が大で、且つ微細な凹凸を持つため生殖細胞が補足され易い。また生長した場合でも、ポーラスコンクリート層の空隙の中に仮根の足が強固にくい込んでいるので、台風による波浪で海藻礁の全滅などの災害等も防止できる大きな利点がある。
【0013】
また、海藻は陸上の植物と異なり、根は定着するための仮根でしかなく、海藻の種類により仮根の大きさも異なる。目的とする海藻を優先して生育させるためには、仮根の大きさに合わせてポーラスコンクリートの骨材の粒径を変えてやればよい。大型の海藻ほど波浪を受ける面積が大きく、剥がそうとする力に対して仮根の定着力はより大きな力が必要となる。骨材を結合しているセメントや混和材料の配合およびバインダーの水セメント比、空隙率などを調整することで骨材同士の結合力を変えることができる。
【0014】
なお、近年のリサイクルの高まりからして、汚泥焼却灰や石炭灰を混和材料として混入することで、セメント量を減らして目的の強度を得ることも可能である。また、漁業生産で放置されるカキ、アワビ、サザエ等の貝殻を骨材として、ポーラスコンクリートの一部あるいは全部に使用することで、単なる廃棄物を再度海に帰して有効に利用することができる。したがって、小型海藻を優先的に生育させるためには、その定着力に合わせて骨材の結合力を少なくすることで、大型海藻は剥離して生長できなくなり、小型海藻のみが生育できる海藻群落造成用コンクリートブロックとすることが可能である。
【0015】
また、反対に持続して大型海藻のみの海中林を構成するためには、陸上の森林においても、長年に亘って自然状態を維持するためには、若木が育つための部分的に日の当たる空地を必要とするが、それと同様に海中においても大型海藻の定着力に合わせて骨材の結合力を設定してやり、且つバインダーであるセメントが表面層から劣化して一定年数が経過すると、高齢個体のみが部分的に剥離する構造とすることで、剥離した空き地に大型海藻の生殖細胞が着生して、若年から成年、老年までの各種年代の成長体が共存するので、長期間連続して安定した海藻礁を形成できる。
【0016】
なお、平成9年12月の温暖化防止京都会議において、日本は温室効果ガスの総排出量を1990年のレベルに比べて6%削減することが決定したり、平成8年11月には世界食糧サミットにおいて、全ての人に食糧を供給するという課題を掲げ、さらに赤潮や磯焼け問題などで、近年ますます地球環境問題が取りざたされている。政府によると、二酸化炭素とメタンの排出量を国内の省エネで2.5%、外国との排出権取引や共同実施で1.8%、森林の吸収効果で3.7%削減し、一方、代替フロンなどの排出量が2%増加し、差し引き6%となる見込みだが、実効性を疑問視する声も多い。そこで日本は、四方を海に囲まれており、磯焼け等で藻場が年々大幅に減少しているが、これを回復あるいは増産することで、これら諸問題の一部は解決できるものと思われるし、実効性は高い。
【0017】
二酸化炭素に関しては、現行では森林の吸収分を排出量から差し引くことができるようになっているが、これに海藻の吸収分を加えることができれば、さらに排出量を減らすことができる。すなわち沿岸域に生育している海藻類は、例えばアラメ海中林などは、生長時において陸上の松植林の2.5〜4.0倍、熱帯多雨林の1.5〜2.0倍もの二酸化炭素吸収力を誇り、これらを増殖することでさらに二酸化炭素吸収量を増やすことができるようになる。また、成長体の海藻を回収して食品原料として活用することもできるし、光合成時に二酸化炭素の吸収と酸素の供給を行い、成長時において赤潮の原因物質である窒素やリン等の栄養塩類を取り込むので、河川から流れ込む汚濁物質の浄化に寄与するとともに、赤潮の発生をも減少させることができる。さらにある種の藻類は各種工業・薬品原料ともなりうる。
【0018】
このように、大規模な海藻群落を造成したり、ウニ、サザエ、アワビなどの磯根資源を増産したり、付着海藻に二酸化炭素や窒素やリンなどを大量に吸収させたりと、使用目的に応じて空隙率やコンクリート強度、成形体の大きさや厚さ、重量などは、設定される海域条件や海藻の如何に即応して適宣に選ぶことができる。
【0019】
上記のような本発明コンクリートブロックの形状については図1に示すような方形状のものや、図2に示すような六角形状、図3に示すような八角形状のもの、図4のような円形のもの、図5のような角形その他の台形状のもの、図6に示すように海藻群落造成用コンクリートブロック10の底面に交差する溝部11を設けて海水の流通(分流)を図り、波などのエネルギー拡散をもたらすと共に流速の低下を得しめ、さらに、四隅部12が支持脚として作用し、海底の凹凸その他の条件に即応せしめ、内部を水中生物の棲息場、避難場とする。また、この溝部は平行するものとしても、ブロックの並べ方で同様の効果を得ることができる。なお、このような溝部11ないし支持脚状突部12は、前記した図2〜図5のものにおいても適宣に採用することができることは当然である。多数個のブロックが連結された場合には、前記したような分流ないしエネルギーの拡散低減効果が大きく得られて、表層の海藻群落に蝟集した魚類その他の水中生物に対し、安全な棲息場を提供する。
【0020】
また図6で示したような、底部に溝部を形成した本発明のブロックを砂地等の軟弱地盤に設置する場合において、底部溝部の流水により脚状突部周辺が洗堀され、ブロックが沈砂する危険性があり、これを防止するためブロック下面全面に樹脂あるいは鋼材による目の細かいネットを埋設して一体的に形成することで、脚状突部に加わる荷重を分散して沈砂を防止できるので、各種水生生物の棲息場を確保できる。
【0021】
図7以下には、本発明によるさらに別の各種ブロック形態が示されている。即ち図7のものは、正八角形状のブロックにおいて1つおきの側面において溝状凹部13を縦設し、該凹部13にフック部14を設けてブロック10相互の連結を図り、しかも海底部分に通ずる上下方向の水流を得しめるようにしたものであり、フック部14に代わるものとして、図8に示すように溝状凹部13とそれに嵌合する溝状凹部13aを設けたブロック、あるいは図9に示すようにブロック10の各側面に切欠部13bを設けたものとし、これらを噛み合わせて相互の連結を図るものとすることもできる。また、図10に示したものはブロック10の中央部に底部まで開口した貫通孔15を形成したもので、海藻による海中林形成後は稚魚や小型魚などの棲息ないし避難場所を提供するようにしたものであって、前記した図6の脚状突部12ないし底面溝部11と併用することによってそれらの機能を十二分に発揮することができる。
【0022】
さらに図11には、ブロック10の上面に幾何学的形状の凹凸16を形成した場合が示され、ブロック10の上面における潮流に、渦流その他の変化を与えることができ、生殖細胞の着生面積を増やすと共に運搬流を弱め降下をしやすいようにする。また、大小の海藻類を付着させて各種生物の生息を容易とする形状としては、ピラミッド状、階段状等の様々な形状をとり得ることは言うまでもない。なおこのような図7〜図11の構成は、ブロック10の形状および構成として前記した図2〜図6のものに対し、適宣に採用することができることも明らかである。
【0023】
図12〜図13には、ブロック10の上部をポーラスコンクリート層1として、該コンクリート層表面を自然環境に即応するため、20〜50cmの凹凸の自然石状擬石ないし擬岩模様17を形成した場合が示されており、浮遊する生殖細胞(胞子等)が大小の凹凸が壁となって補足され易く、かつ流速が減少して沈降着生し易くなる。このように、凹凸により着生面積が増加して、さらに着生率がアップすることは明らかである。仮根がポーラスコンクリート層1の空隙部に入り込み活着しやすくなっているが、自然石状の凹凸とすることで噛む力も加わり、より活着力が増加する。
【0024】
また、仮根の定着面積もフラット形状より小さくて済み、剥離した場合でも周りの海藻類を引き込むことが少なく、生息域による影響を小さくできる。図13は図12の端部に連結のためのコーナー部18を設けて、係止するためのフック部14を突設させたものである。図14のものは天然石19を埋設したもので、海藻類の活着生成しやすいと言われている、新生代第3紀前半起源の岩石が好ましいことは一般的に知られている如くであるが、このような岩石のみ成らず目的に応じて適宣の材質のものを採用することができる。
【0025】
図15、図16には、上記したような本発明ブロックにおいて、その側面に着生した海藻類を食用する、アワビ、サザエやウニなどの生物の凹入した棲息域3が形成された状態を示してあり、ブロックの側面に凹入した棲息域が、1段または多段に形成してある。ブロックの底面には図6に示したものと同様に、交差する溝部11と脚状突部12、12が配設されていて、設定される海底面の凹凸に即応して安定な設定がなされるようになっており、溝部11では、波浪あるいは海水の通過で分流、減速し、波のエネルギーを分散させてブロックの安全を図ると共に、海水の流通を確保する。また、複数を連続して使用することで、波のエネルギーをさらに拡散してブロックの長期安定化を図ることができ、台風などの突発的な現象にも対処しやすい。
【0026】
前記したアワビ、サザエやウニなどの植食動物の棲息域3の断面形状については、図17に代表的に示したように上下面が対称的な傾斜をなして、アワビ4などの付着生育に適した条件を形成するが、また別に図18に若干例を示すように、上面を直角状に切込み5とし、あるいは下面を直角状に切込み5として残る下面または上面を傾斜させた状態とすることができ、あるいは単純な円弧状凹入面6とすることができる。
【0027】
図19には、前述した棲息域を、全周に凹入するのではなく穿孔穴27として側面に部分的に設け、表面を自然石状擬石ないし擬岩模様17として形成された場合が示されている。この穿孔穴27は棲息域と組み合わせて使用しても良く、穿孔穴とすることで、低気圧の通過により波が高く、周囲の流速が非常に大きくなった場合でも、該穿孔穴内には波浪あるいは海水流が入りこまないので、各種水生生物に安全で安定した避難場所あるいは生息場所を提供する。
【0028】
さらに図20には、図10のブロックと同様に、中央部に底部まで開口した貫通孔15を形成するとともに、前述した穿孔穴を該貫通孔15にまで到達するように設けて、図19とは逆に穿孔内に海水が通水できるように形成したブロックを示している。ブロック上面に海藻が繁茂すると貫通孔15内は閉塞域となり、ブロック周辺が荒れていても比較的静穏なので、ここで避難もしくは生息できるため、穿孔27aが外域との出入り口、あるいは新鮮な海水の入れ換え路として利用され、大型魚から稚魚まで集まり、棲息場や隠れ家、あるいは避難場として利用される。
【0029】
また、上記した穿孔27aを、素焼き土管を埋設して形成することで、ミズタコ等に棲息場と産卵場を提供し、土管内に産み付けられた卵に常に新鮮な海水が通水し、潮通しが良い状態が維持され、卵に酸素を供給したり、卵嚢に付着物が付くのを防ぐとともに、ふ化しても土管内であるので、外敵から身を守りながら生長することができる。さらに、上面のポーラス層に住み着いた微小動物を捕食するために、タコの好物であるカニや貝類も蝟集するので、一度住み着いたタコはここを離れることは少なく、ブロックを中心として増えていき、タコ資源の回復を早期に図ることができる。この図19、図20の穿孔穴や穿孔は、前記した各種ブロックや後述するブロックに組み合わせて使用して良いことは、言うまでもないことである。
【0030】
図21〜図23には近くに自然の藻場がなく、あるいは全く別の場所に設置するような場合などには着生基質材7を、あるいは着生した海藻が他の生物から食害されるおそれのある場合などに、植食動物這い上がり防止として摂食阻害物質含浸材8を取付けるようにした本発明の構成が示されている。即ち、図21のものはポーラスコンクリート層1の海藻類着生層としては、前記した図12〜14、あるいは図16に示したものと同様であるが、そのブロック側面に対して遊走子、配偶体、幼胞子体などの生殖細胞を含浸、付着させ、あるいは織込み、もしくは散布し、あるいは別の場所から成熟した母藻を搬入して挟み込み、移植するようにロープやひも等の着生基質材7に付着着生させたものを、フック等の止着材9で取付けたもので、それによってポーラスコンクリート層1における表面に、胞子体等を効率的且つ均等に付着着生させることができる。
【0031】
図22および図23のものは、着生基質材7が複数本採用されたもの、およびブロックの凹入部3に採用されて効率的に生殖細胞、配偶体、胞子体等を付着着生させるようになっているが、このような図21〜23の着生基質材7には、場合によっては海藻を他の植食動物などの食害から護るため、目的とする動物の嫌忌する化学物質などを含浸させた摂食阻害物質含浸材8として、該動物がポーラスコンクリート部分に近接することを阻止し、あるいは目的動物の好む化学物質を含浸させることで反対に誘引し、何れにしても効果的なポーラスコンクリート部分における海藻類の生育を図らしめる。図24には図23の凹入部3内における取付状態が断面的に示してある。
【0032】
さらに図25および図26には、ネット、ひも、ロープ、シート等の着生基質材7がブロック上に張設された場合を示し、何れにしてもポーラスコンクリート部分に近接して、上記したような効果を得しめている。さらに効果を上げる方法として、種苗パネルを直接挟み込んだり、母藻を移植することは前記に記載の通りである。また、図27と図28には、全体がポーラスコンクリートとされた場合のブロック20が示されている。これは海水汚濁防止用として、河川から流入する汚濁物質の浄化等に使用されるのもで、河口部に設置して、アカモク等5m位に成長する大型海藻2aを簾状に一面の膜を形成することで、流速を落とし、SSやBODを沈降除去させると共に、海藻の生長に伴ってN(窒素)、P(リン)を取込み消化除去する。
【0033】
なお、ポーラスコンクリート層1に酸化鉄の皮膜を形成したり、鉄片、鉄ファイバーを混入することで鉄イオンが放出され、これがPと反応してリン酸鉄としてPを除去すると共に、海藻は鉄分を多く含むことが知られており、放出された鉄イオンを吸収しながら成長することができる。この鉄分はポーラスコンクリート層1の内部から徐々に放出されることで、長期に亘ってその効果を維持することができる。また、早期に効果を得る手段としてブロックの製造時に栄養塩を混入することで、海藻の成長を早めることができ、ブロックから徐々に滲み出すことから効果が長期に亘って持続できる。
【0034】
リンを除去したり、海藻の成長を早めるさらに別の方法として、上部のポーラスコンクリート層1に用いられている骨材の一部もしくは全部を、カキやホタテやサザエなどの貝殻に代えて形成することで、貝殻から溶出したカルシウムが、海水中のPと反応して、リン酸カルシウム(アパタイト)の結晶を生じてPを除去することができるし、アパタイトとして保持したリンを栄養として、目的の海藻の生育量および生育速度を向上することもできる。さらに、廃材であり処理に困っている貝殻をリサイクルできるし、廃材であるので価格が安く経済的でもある。
【0035】
また、ポーラスコンクリート部分の空間は多様な微生物や原生動物のすみかになり、河川からの流入水の通過による接触酸化により浄化がさらに促され、増殖した余剰物は他の甲殻動物に、甲殻類は魚類に食べられ、食物連鎖により長期に亘って機能を維持できる。このような場合においは、表層の海藻、ポーラス部の生息生物に合わせて上部から下部におけるポーラスコンクリートの粒度を変えた複層構造のものとすることができ、例えば、上部を小粒子骨材層23とし、下部を次第に大粒子骨材層24としたり、その逆としたりすることができる。ただし、この場合でもコンクリートブロック20の下部に当たるポーラス部は、長期間の耐久性を確保するためコンクリート強度をアップさせることは前述の通りである。
【0036】
次に、このブロックを段重ねしたり反転して組み合わせることで、重量や高さを増やし、海流への抵抗力をアップさせたり、水深の深い場所に設置しても光の当たる面をなるべく水面に近づけられるようにできるし、魚礁を兼ねたブロックとしても形成できるので、以下それらについて説明する。図29には、図5に示した本発明によるブロック10を最上段にして、その下段には該ブロックの全体を普通コンクリートとしたブロック20aを採用し、あわせて3段に積み重ねて連結した状態を示している。海藻類の生長には太陽の光が必要であるので、海藻類着生層であるポーラス層1は、図のように最上段のブロックのみに形成するだけでよい。また、このように積み重ねて用いることで、水深の深い場所に設置しても、ブロック単体を設置した場合に比べ、ポーラス層1の水深が浅くなり水面に近づくので、より多く光合成を行うことができ、生長量が増えるとともに多くの二酸化炭素を吸収することができる。
【0037】
さらに、上部のポーラスコンクリート層1の表面には、目的とする小型もしくは大型の海藻群落が形成されることは言うまでもなく、ブロック10と20aの間、もしくはブロック20aと20aの間が、大きく凹入した棲息域3aとなるので、魚類などにとっての最適な避難場所あるいは生息場所が増えることになるし、大きな庇ともなり背面の天井部が平らなので、ヤリイカなどの産卵床にもなり、海藻礁としてのみでなく、ヤリイカの産卵礁や魚礁を兼ねたものとしての機能を持たせたものとすることができる。
【0038】
本発明によるブロックを段積みして使用する場合においては、上記した以外にも図30に示すように、例えば図6のブロックの底面の溝部をさらに広くして、大きな空間部28となるように形成したブロック10、および全体を普通コンクリートとしたブロック20aを段積みすることで、光の当たる水深を浅くできるとともに、ブロックの下部空間28は避難場所や生息場所、および産卵場所として各種水生生物に使用されるだけではなく、海水のエネルギーを低減してブロックの長期安定化を図るといった、前述の効果を適宣に得しめることができる。特に図30においては、ブロック中央に貫通孔15が形成されており、該貫通孔を通って、常に新鮮な海水が空間部内に供給され、潮通しが良く、卵嚢に酸素を供給し、付着物が付きにくい状態となるので、ブロック底面の天井部はヤリイカにとって最適な産卵場として提供される。
【0039】
これらの段積みしたブロックの連結方法は、図31に示すように、段積みした全ブロックを貫通する連結用挿通孔15aに、端部にねじ切りを施した鉄筋棒29を挿入し、その両端をナット30で締めて全ブロックを一体に固定する。この連結はブロック製造後や施工前に行われるので、段積みした状態にて迅速に施工を行うことができる。
【0040】
図32には、図6で示したブロックの底面の溝部を大きくし、広い空間部28を形成したブロック同士を反転させて、脚状突部12、12同士が接するように連結部31にて連結し、単に段重ねした場合よりも大きな空間部を形成したものであり、さらに下段のブロックのポーラス層1が海底面に接している場合を示している。図のように連結した場合においては、ブロック周辺の海水の流速が非常に大きくなって、万一ブロックが転倒したり回転した場合でも、海底面に面しているポーラス層が再びブロック上部に現れ、常に海藻類着生層をブロック表面に維持しておくことができる。
【0041】
このようにブロック同士を反転して、脚状突部同士を連結することで、段重ねして使用したものに比べ、空間部28が著しく大きくなり、より大型あるいはたくさんの魚類や水生生物などが生息できるようになるし、通水断面が大きくなることで、スムーズに海水が通過するので、海水のエネルギーを効率よく分散でき、ブロックの長期安定化を図ることができる。
【0042】
また、この場合の連結方法は、脚状突部12、12の下端部に埋設された箱型の連結金具33、33に、ボルト32を挿入し、これをナット30で締め付けて連結する図33に示した方法を採用しているが、箱型の連結金具33の一方をインサート金具34に代えて、これに連結金具33を介してボルト32を挿入して一体化する図34に示す連結方法を適宜採用しても良い。また、別に図35に示すように、ブロック側面にインサート金具34を埋設して、連結用プレート34を介してボルト32で連結する方法もある。とくに図33および図34、図35の連結方法は、図31に示したブロック全部に挿通孔を設けて連結する方法よりも、加工する箇所が小さくて済み、経済的であるが、より強固にブロック同士を一体化させたい場合には図31の連結方法を採用するなど、施工場所や条件に応じて適宣に使い分けることができる。
【0043】
次に、水深がさらに深く、海藻が育つのに十分な光が海底まで届かないような場所や、海水流が渦となったりして非常に大きな流速である場所に、本発明の海藻群落造成用ブロックを設置する場合の例として、図15で説明したブロックを3段に積み重ねて、重量をさらに増やしたものを図36に示す。図のように、海藻類着生層であるポーラス層1が、最上段のみではなく2段目以降にも採用された場合、海藻は着生層の全面ではなく、光の当たる周側などの一部分でしか生えてこないが、ポーラス層の持つ大きな表面積や微細な凹凸の存在のため、付着珪藻類の増殖が活性化され、これを餌とするエビが好んで棲息するようになるので、エビ礁を兼ねた海藻礁として使用することができる。
【0044】
さらに、図12で説明したブロックの底面に空間部を設けて4段に積み重ねたものを図37に示す。この場合は、本発明によるブロック10は最上段だけに使用し、下段には普通コンクリート20aとしたブロックを使用し、それぞれのブロックの連結は図35の方法を採用している。このように、段数をさらに増やして積み重ねていくことで、海藻の着生するポーラス層1が水面に近づき、太陽の光の届く浅い水深に位置できることになるので、ブロックを水深の深い場所に設置した場合でも、海藻群落を造成し、生長量や二酸化炭素吸収量を多くすることができるし、重量が増えることで、海流に対して抵抗力がアップし、海底面に安定に設定することができる。また、ブロック下部に空間部28を形成することで、海水のエネルギーを効率的に分散、低減して、ブロックの転倒を防止するとともに、長期安定化を図ることができるし、海藻礁の機能を保持したまま前述した魚礁としての機能を付加したものとすることができる。
【0045】
また、さらに段数を増やして段重ねすると、転倒の恐れが出てくるので、図38で示すように、最下段に「田」状に4個平面的に連結したブロック20aを用い、その中央部の上面に、3段、4段、もしくはそれ以上に段重ねしたブロックを連結することで、海底面に安定に設定することができる。さらに段数を増やしたいときは、上記した4個の連結したブロックのさらに下側に、平面的に連結した9個のブロックを採用し、さらにその下に16個のブロックを採用するなど、下段部分のブロック数を増やし、ピラミッド状とすることで、より海底面に対して安定に設定することができる。
【0046】
図39〜図41には本発明によるブロックの海底における一般的な設定状態が示されている。即ち、図39は基本的な設定状態であって、図28に示したような全体がポーラスコンクリートとされたブロック20が、適当な間隔をとって河口部近くの海底22に設定される。図40のものは図6に示したようなブロック10の底部に四隅部が支持脚12として突設されたものが沿岸岩礁域等の安定した地盤上に配設された状態を示し、さらに図41には、流速の早い場所や波浪の高い場所や不安定な砂地盤域等において、安定した設定条件を形成する手法として、多数個のブロック10がフック部14で連結されて、全体として剛性を高めて設定された状態が示されている。
【0047】
このようなブロック10の連結は、図42に示すようなブロック10の側面に形成された、縦溝13内に設けられたフック部14、14に、シャックルのような連結材21を係止することにより、各ブロック10を密接状態に連結することができる。また、図43に示すように、シャックルにチェーンやワイヤー等を組み合わせて長くした連結材21aを用いて、点在状態として連結することもできる。これらの連結方法は、段重ねしたり反転して組み合わせたりして、重量や高さを増やしたものについても同様に採用されることは言うまでもなく、光の届きにくい水深の深い海底においても、好ましい海藻群落を造成することができる。
【0048】
さらに本発明においては、組成を異にした複数種類のブロックを併用して、それぞれのブロックの特質を有効に利用した小型海藻2や大型海藻2aの群落造成を図ることができる。即ち、図44として示すように小型の海藻2や付着珪藻の生育に適した海藻礁と、大型海藻2aの生育に適した海藻礁とを併用せしめて、それらの海藻を共に有効に生育させようとするもので、既述したように小型海藻2の生育場には、大型海藻2aが侵入しやすいのが一般的であるが、本発明においては、ポーラスコンクリートによる海藻類着生層として骨材粒径や材質を変えて、海藻の仮根の大きさに合わせて活着率を高めると共に、セメントや混和材料の配合を変えて表層の剥離のスピードを調整して、目的とする海藻のみを成育させ得る。
【0049】
つまり第1ブロック25においては、小型海藻2のみを生育させようとするものであるが、このような第1ブロック25に大型海藻2aが侵入生育しようとすると、大型海藻2aの着生した部分のブロックが崩壊して、大型海藻2aは生育することができず、実質的に小型海藻2のみが着生し、従ってこの小型海藻2を食用とするアワビ、サザエやウニの幼稚仔のみが適切に成育する。これに対し第2ブロック26においては大型海藻2aが着生し、こうして着生した大型海藻2aは前記のような幼稚仔を忌避する物質を放出するから、上記幼稚仔は第2ブロック26に近寄らないで、第1ブロック25の小型海藻2で成長し、食欲の旺盛な若い生長体になってから、第2ブロック26の大型海藻2aに移行して効率よく生育せしめられる。
【0050】
前記したような第1ブロック25および第2ブロック26は、それらの単一体による集合体または両者を組合せて成る集合体のどちらとしても良く、海底において0〜200m、好ましくは0.5〜2mの間隔をとって設置することにより、各ブロックに海藻群落の生育を行わしめ、アワビ、サザエやウニなどの幼稚仔が第1ブロック25で適度に成長した後、スムーズに第2ブロック26に移動して、連続した成長が図られ、自然のサイクルを長年に亘って持続することができる。この海藻礁には、甲殻類やそれを餌とする魚類が蝟集して、沿岸漁業の活性化を図ることもできる。
【0051】
上記したような本発明によるものは、海藻群落造成用コンクリートブロックの上部に、ポーラスコンクリート層による海藻類着生層を形成したことによって、海底などにおける安定な設定を図るとともに、ポーラスコンクリート層を小型海藻や大型海藻のみとする好ましい海藻類の着生層として、各種水生動物の棲息場や産卵場、避難場となり、漁業生産量を回復・増大できるばかりか、二酸化炭素や窒素、リンを大量に吸収したり、食品・工業・薬品等の原料ともなる海藻群落を効果的に造成できる海藻礁を適切に形成せしめる。
【0052】
また、上記したようなブロックの底面に、平行または交差する溝部を形成することで、波浪のエネルギーを減衰させると共に、流速を減少して植食動物や甲殻類や魚類等の各種生物の産卵場や隠れ家、すみかなどの住み良い環境を提供する。また、複数個の支持脚を配設したことによって、それなりの軟弱性や凹凸を有する海底に対し、有効且つ安定に設定せしめて上述したような海藻磯を的確に形成せしめる。
【0053】
さらに、前記したポーラスコンクリート層による海藻類着生層に、複数個の突出部を配設し、生殖細胞の運搬流の接触面積を大きくすると共に、海藻類の着生面積を拡大し、大小の海藻の生育を容易にしたり、周側に溝や凹部や貫通孔等を配設して、水生動物などの産卵場やすみかを提供する。
【0054】
なお、上記したブロックの表面を大小の自然石または擬岩による突出部にすることによって、生殖細胞の運搬流の接触面積をさらに広げることができると共に、減速させることで沈降着生させ活着率をアップする。さらに、表面は自然環境に即応した水中景観ないし流水作用を得しめ、水中生物などに対しても好ましい水域を形成せしめる。また、鉄イオンを放出できるように酸化鉄の皮膜を形成したり、鉄材を混入することで長期に亘って内湾の富栄養化を引き起こすPの除去、および海藻の生長に必要な鉄分を供給できる。さらに、栄養塩を予めブロックに混入することで、海藻の成長を早め、目的とする海藻礁を早期に形成できる。
【0055】
上記した全てのブロックのポーラス層に、1部または全部の骨材に代えてカキやホタテやサザエなどの貝殻を用いることによって、処理に困っている貝殻をリサイクルできるし、溶出したカルシウムがリンと反応してリンを除去したり、あるいは保持したリンを栄養に海藻の生育量を増やすことができる。
【0056】
上記したブロックの周側に複数個の係止部を配設し、母藻の移植または種菌供給用パネルの定着を図るようにしたことによって、前述したようなポーラスコンクリート層1におけるより広範囲な海藻類の着生、成長を容易且つ的確化して、生殖細胞の浮遊していない海域においても上述したような作用を有効に達成せしめる。
【0057】
上記したような何れかのコンクリートブロックであって、ポーラスコンクリート層1による海藻類着生層における骨材粒径や材質、およびセメントや混和材料の配合を変えることで、植食動物の幼稚仔用の小型海藻群落造成用コンクリートブロック、あるいは成長体用の大型海藻群落造成用コンクリートブロック等、目的とする色々な海藻礁を形成することができる。
【0058】
上述してきたブロックを段重ねしたり、反転して組み合わせて使用することで、水深が深く光の当たらない場所においても、海藻着生層は光の当たる浅い水深に位置できるので、好ましい海藻群落を造成できるとともに、重量が増えるので海流に対して抵抗力が増し、より安定に海底に設定できる。またブロック間に、流速が弱く大きな空間が形成され、甲殻類や魚類、その他水生動物に生息場所や避難場所、および産卵場所を提供することになるので、海藻礁を兼ねた魚礁、タコ礁、エビ礁、ヤリイカ礁としての機能を持たせることができる。
【0059】
上述したような小型海藻群落造成用ブロック、大型海藻群落造成用ブロックのそれぞれの群落による海藻礁を、0〜200mの間隔をとって海底に設定することにより、各ブロックにおける各々の効率的成長育成を得しめ、しかも小型海藻ブロックにおいて適度に成長した生物の幼稚仔などが、大型海藻ブロックに移って連続した成長育成を適切に得しめる。
【0060】
【発明の効果】
上記したような本発明によるときは、海底の如きに安定且つ効果的な海藻類着生層を形成せしめ、目的とする海藻類の有効且つ合理的な着生、成長を図り、長期に亘って維持できるので、沿岸生態系の正常化が図られるとともに、海藻による二酸化炭素の吸収が行われ、地球温暖化の防止に貢献できるし、生長、増産した海藻は食糧にもなるので、食糧問題の解決にもなる。さらに、アワビ、サザエやウニ等の植食動物の生育を早めて増産化できるとともに、海藻を餌とする甲殻類や魚類が蝟集し、ブロック間の空間を棲息場とすることから、沿岸漁業の漁獲高も増え、その上、海水域の浄化などを適切に図るものであるから工業的および商業的にもその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックの基本的形態を示した斜面図である。
【図2】 六角形とした本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図3】 八角形とした本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図4】 円柱状とした本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図5】 台形状とした本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図6】 底部に脚状の突部を形成した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図7】 側面に溝状凹部を形成した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図8】 側面に溝状凹部と溝状凸部を形成した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。。
【図9】 側面に切込み部を形成した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図10】 上面に貫通孔を形成した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図11】 上面に幾何学的凹凸形状を形成した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図12】 自然石状擬石ないし擬岩模様を表面に採用した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図13】 図12の端部にコーナー部を設けた本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図14】 天然石を埋設した本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックを示した斜面図である。
【図15】 本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックの側面に凹入した棲息域を形成したものの斜面図である。
【図16】 図15とは別の形態による本発明による海藻群落造成用コンクリートブロックの側面に凹入した棲息域を形成したものの斜面図である。
【図17】 図15、16に示した切込部の断面形状にについての1例を示した説明図である。
【図18】 図15、16に示した切込部の断面形状にについての図17とは別の変形例を示した説明図である。
【図19】 本発明によるブロックの周側に凹部を配設したものの1例を示した斜面図である。
【図20】 本発明によるブロックの周側に穿孔を配設したものの1例を示した斜面図である。
【図21】 本発明によるものにおいて種苗その他の化学物質を含浸させた基材を側面に取り付けるようにしたものの1例を示した斜面図である。
【図22】 本発明によるものにおいて種苗その他の化学物質を含浸させた基材を側面に取り付けるようにしたものの別の1例を示した斜面図である。
【図23】 本発明によるものにおいて種苗その他の化学物質を含浸させた基材を側面に取り付けるようにしたもののさらに別の1例を示した斜面図である。
【図24】 図19〜図21に示した基材取付部の部分的な断面図である。
【図25】 基材をブロック表面に取り付けるようにしたもので、基材間に母藻または種苗供給用パネルを固定できるようにしたものの1例を示す斜面図である。
【図26】 基材をブロック表面に取り付けるようにしたもので、基材間に母藻または種苗供給用パネルを固定できるようにしたものの別の1例を示す斜面図である。
【図27】 ブロック全体をポーラスコンクリートとした場合の1例を示した斜面図である。
【図28】 ブロック全体をポーラスコンクリートとした場合の別の1例を示した斜面図である。
【図29】 本発明のブロックを段重ねして連結したものの1例を示した斜面図である。
【図30】 本発明のブロックを段重ねして連結したものの別の1例を示した斜面図である。
【図31】 ブロック体を段重ねした場合の連結構成の1例を部分的に示した断面図である。
【図32】 本発明のブロックを段重ねして連結したもののさらに別の1例を示した斜面図である。
【図33】 ブロック体を段重ねした場合の連結構成の別の1例を部分的に示した断面図である。
【図34】 ブロック体を段重ねした場合の連結構成のさらに別の1例を部分的に示した断面図である。
【図35】 ブロック体を段重ねした場合の連結構成のさらに別の1例を部分的に示した断面図である。
【図36】 本発明のブロックを段重ねして連結したもののさらに別の1例を示した斜面図である。
【図37】 本発明のブロックを段重ねして連結したもののさらに別の1例を示した斜面図である。
【図38】 平面的に連結した本発明のブロックの上に、さらに段重ねして連結したものの1例を示した斜面図である。
【図39】 海底における本発明ブロックによる設定状態の1例を示した側面図である。
【図40】 海底における本発明ブロックによる設定状態の別の1例を示した側面図である。
【図41】 海底における本発明ブロックによる設定状態のさらに別の1例を示した側面図である。
【図42】 ブロック体を並列に敷設した場合の連結構成の1例を部分的に示した断面図である。
【図43】 ブロック体を並列に敷設した場合の連結構成の別の1例を部分的に示した断面図である。
【図44】 本発明による実施構成の1つとして小型海藻礁と大型海藻礁を併用するようにしたものの説明図である。
【符号の説明】
1 ポーラスコンクリート層
2 小型海藻
2a 大型海藻
3、3a 凹入した棲息域
4 生息アワビ
5 直角状切込み
6 円弧状凹入面
7 着生基質材
8 摂食阻害物質含浸材
9 止着材
10 海藻群落造成用コンクリートブロック
11 溝部
12 脚状突部
13 溝状凹部
13a 溝状凸部
13b 切込み部
14 フック部
15 貫通孔
15a 連結用挿通孔
16 幾何学的形状の凹凸
17 擬石ないし擬岩模様
18 コーナー部
19 天然石
20 全体がポーラスコンクリートとされたブロック
20a 全体が普通コンクリートとされたブロック
21 連結材
21a 長い連結材
22 海底
23 小粒子骨材層
24 大粒子骨材層
25 第1ブロック
26 第2ブロック
27 穿孔穴
27a 穿孔
28 空間部
29 鉄筋棒
30 ナット
31 連結部
32 ボルト
33 箱型の連結金具
34 インサート金具
35 連結用プレート

Claims (4)

  1. 上部をポーラスコンクリートとし、下部を普通コンクリートあるいはコンクリート強度をアップしたポーラスコンクリートの複合構造とした海藻群落造成用コンクリートブロックにおいて、上部のポーラスコンクリートの表面を崩壊させて特定の海藻を剥離させることを特徴とする海藻群落造成法。
  2. 請求項1に記載の海藻群落造成用コンクリートブロックの上部のポーラスコンクリート層に酸化鉄の被膜を形成したり、骨材とほぼ同じ大きさの鉄片または鉄ファイバーを混入した海藻群落造成用コンクリートブロックを用いたことを特徴とする海藻群落造成法。
  3. 請求項1〜2の何れか1つに記載した海藻群落造成用コンクリートブロックの製造時に栄養塩を混入して形成した海藻群落造成用コンクリートブロックを用いたことを特徴とする海藻群落造成法。
  4. 請求項1〜3の何れか1つに記載した海藻群落造成用コンクリートブロックの上部のポーラスコンクリートに用いられている骨材の一部または全部を、カキやホタテやサザエなどの貝殻に代えた海藻群落造成用コンクリートブロックを用いたことを特徴とする海藻群落造成法。
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