JP3907044B2 - 自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法及び沿岸湿地 - Google Patents

自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法及び沿岸湿地 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法及び沿岸湿地に関し、とくに自然分解可能な植物材料を利用して有機物や栄養塩等の底質材料を持続的に供給する沿岸湿地育成方法及びその方法により育成した沿岸湿地に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近は、図3(A)のように埋め立て32や護岸等の人工構造物30によって直線化された海岸を勾配のある自然な海岸に再生し、衰弱しつつある生態系を健全なものに蘇らせる自然再生型事業が提案されている(例えば、21世紀『環の国』づくり会議報告書)。具体的には、同図(B)に示すように自然の生態系を蘇らせるために必要な沿岸湿地、例えば湿生植物8が生育するヨシ原7a、干潟生物4が生息する干潟2、藻類22が生育する藻場20等の保全・再生・造成が提唱されている。
【0003】
また、特定の生物(例えばアサリ、カニ、ゴカイ、アマモ等)の生息に適する干潟2、藻場20の底質材料や構造の研究・開発も進められている。例えば特開2000-314116号公報は、複数の原料タンクにそれぞれ砂、細粒分、軽量材料、有機物、腐植土、肥料、バクテリア、稚貝、種子のうちの任意のものを入れ、これらを生物の生息可能な地盤高や平面配置に応じて所望の生物の生息条件に最適な底質を提供できる砂となるよう混合装置によってブレンドし、散布装置によって干潟造成海域に散布する干潟被覆砂の製造方法及び装置を開示している。生物の生息条件に適するように有機物や腐植土等を混合した底質土を造成海域に客土することにより、生物が継続的に生息できる干潟の再生・創出が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の保全又は再生した干潟2や藻場20は、波浪等により底質土が流出しやすい問題点がある。このような干潟2や藻場20では、河口等に自然に形成される河口型干潟と異なり、河川等からの底質材料や栄養分の供給が期待できない。このため底質土が流出すると、藻場20では藻類22が生育できなくなり、干潟2では干潟生物4の生息が困難になり、貧弱な生物相の干潟環境になってしまう。
【0005】
前記公報のように有機物や腐植土等を混合した底質土を散布した場合でも、散布当初は豊富な生物相が創出できるものの、時間の経過と共に底質土が流出して生物相が貧弱になりがちである。底質土の流出を防ぐために防波堤等の構造物の建造が提案されているが、広大な干潟や藻場からの底質土の流出を防ぐためには大掛りな構造物が必要となるため、構造物の建造費ひいては沿岸湿地の再生費の高騰を招く。直線化された海岸に健全な沿岸生態系を蘇らせるためには、防波堤等の新たな構造物を建造せずに自然に近い沿岸湿地を保全・再生できることが望ましい。
【0006】
そこで本発明の目的は、自然に近い沿岸生態系を保全又は再生できる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法及び沿岸湿地を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
図1の実施例を参照するに、本発明の自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法は、満潮汀線HWLから海底まで緩やかに下降傾斜する沿岸土1の満潮汀線HWL上に沿って自然分解可能な植物材料6が置かれる植物材料帯5を設け、植物材料6の自然分解による生成物10を潮の干満に応じて沿岸土1上に堆積させてなるものである。好ましくは、植物材料帯5に淡水12を流入させて植物材料6の自然分解を促す。沿岸土1上の干潟2の区域に干潟生物4の生息に適する干潟底質土3を客土してもよい。
【0008】
また、図1の実施例を参照するに、本発明の自然分解性植物材料利用の沿岸湿地は、満潮汀線HWLから海底まで緩やかに下降傾斜させて客土した沿岸土1、沿岸土1の満潮汀線HWL上に沿って設けた自然分解可能な植物材料6が置かれる植物材料帯5、及び植物材料帯5の海側端縁に設けた透水壁18を備え、植物材料6の自然分解による生成物10を潮の干満に応じて沿岸土1上に堆積させてなるものである。
【0009】
好ましくは、植物材料帯5に淡水12を供給する淡水供給設備13を設ける。更に好ましくは、植物材料帯5の岸側に接する植栽帯7を設け、植栽帯7上の植物8の枯死体を植物材料6とする。植栽帯7に湿生植物8の生息に適する湿地底質土9を客土してもよい。植栽帯7に満潮汀線HWL以上の高さから淡水12を流入させ、植栽帯7に植物材料帯5へ連なる地下水位15を形成することが望ましい。この場合、地下水位15を湿生植物8の生息に適する深さとすることが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、岸から海底へ緩やかに下降傾斜する沿岸土1上に干潟2を育成する本発明の一実施例を示す。本発明の適用対象の一例は図2に示すように埋め立て32や人工構造物30により直線化された海岸に人工的に造成した沿岸土1であるが、例えば図1のように生態系が衰弱した天然又は人工の沿岸土1における干潟2や藻場20の保全・再生にも本発明を有効に適用できる。
【0011】
図1を参照するに、沿岸土1に干潟2を育成するため、沿岸土1の満潮汀線HWL上に沿って植物材料帯5を設ける。植物材料帯5は少なくとも一部分が大潮時又は満潮時に海水33で覆われ且つ干潮時に干上がり、冠水と干出とを繰り返す沿岸土1上の領域である。植物材料帯5には、自然分解可能な植物材料6を載置する。植物材料6の一例は後述する植物8の枯死体であるが、落葉、雑草、刈草、もみ殻、剪定枝、間伐材、その他の植物性廃棄物等を植物材料6として利用できる。載置された植物材料6は冠水と干出の繰り返しにより物理的・化学的に分解され、また海水中の微生物やその他自然界の微生物により分解される。植物材料帯5の底部では微生物による嫌気的な腐敗・発酵による植物材料6の分解も期待できる。
【0012】
図示例の植物材料帯5は、分解前の植物材料6の流失を防ぐため、海側端縁上に沿って透水壁18を設けている。透水壁18は、比較的大きな植物材料6の通過を阻止し海水や比較的小さな分解生成物10(底質材料)を通すものであれば足り、例えば透水性コンクリート壁、木質矢板、土留め、石積壁、その他の適当な孔を設けた壁体や網体等とすることができる。但し、例えば適当な係止手段や埋設により植物材料6を係留して流失を防ぐことも可能であり、この場合は透水壁18を省略してもよい。
【0013】
また図示例では、植物材料帯5に淡水供給設備13を設け、植物材料帯5に淡水12を流入させている。淡水12の流入により植物材料帯5を汽水域とすることができ、汽水域の微生物による植物材料6の分解の促進が期待できる。淡水12は、岸側で備蓄した雨水や地下水等とすることができる。なお、図示例では岸側の植栽帯7を介して淡水12を植物材料帯5に供給しているが、淡水供給設備13から植物材料帯5へ淡水12を直接流入させることもできる。
【0014】
図示例の淡水供給設備13は、植物材料帯5の岸側に沿って透水壁16を介して設けた淡水流路14を有し、透水壁16の透過淡水12を植物材料帯5へ供給する。例えば、岸側で備蓄した雨水や地下水等を淡水流路14へ導入する。透水壁16は透水コンクリート壁、適当な孔を設けた壁体、石積壁等であるが、植物材料帯5等からの土壌や分解生成物10の吸い込みを防ぐため適当なフィルター材を設置することが望ましい。淡水流路14を有孔管とし、有孔管の周壁を透水壁16としてもよい。植物材料帯5に供給された淡水12は徐々に海水と混じりあい、海水に近い塩分となって沿岸土1の干潟域(沿岸土1上の満潮汀線HWLから干潮汀線LWLまでの部分)へ流れ出す。
【0015】
植物材料帯5で植物材料6の分解により生じた有機物や栄養塩類その他の分解生成物10は、潮の干満に応じて透水壁18を通過して植物材料帯5から沿岸土1上の干潟域へ運ばれ、少なくとも一部分が沿岸土1上の干潟域に堆積して底質材料となる。干潟域でカニ類、貝類、ゴカイその他の多毛類等の干潟生物4を生息させるためには、干潟生物4の餌となる有機物やクロロフィル、フェオフィチン(フェオ色素)、栄養塩類等が必要である。干潟域に堆積した分解生成物10は、直接的又は間接的にこれら干潟生物4の餌となる。また後述するように、沿岸土1の干潮汀線LWLより低い海底域に藻場20を育成する場合は、分解生成物10が藻場20に生える藻類22の増殖に寄与する。
【0016】
図示例のように、沿岸土1上の干潟域に干潟底質土3を客土し、干潟底質土3上に植物材料帯5からの分解生成物10を堆積させてもよい。本発明者の調査によれば、例えばアサリの生息を図るためには干潟底質土3を粒径0.2〜1.0mm、泥分率1〜30%、強熱減量2.0〜5.0%とすることが好ましい。またゴカイでは通過質量百分率50%の粒径D50(以下、中央粒径という。)を0.09〜0.3mm、強熱減量を0.5〜6.0%とし、スナガニ類では中央粒径D50を0.02〜0.3mm、強熱減量を2.0%以上とすることが好ましい。本発明では、沿岸土1上の干潟域に所要粒径の干潟底質土3を客土しておけば、植物材料帯5からの分解生成物10の堆積により干潟底質土3に適当な強熱減量を与えることができるので、干潟域をアサリ・ゴカイ・スナガニ類等の干潟生物4の生息に適する干潟2として育成することができる。必要に応じて植物材料帯5の底部にも干潟底質土3を客土し、植物材料帯5を干潟生物4の生息場所としてもよい(図2参照)。
【0017】
但し、干潟底質土3の客土は本発明の必須の要件ではない。適当な粒径の沿岸土1の満潮汀線HWL上に沿って植物材料帯5を設け、植物材料帯5からの分解生成物10の堆積により沿岸土1の干潟域に適当な強熱減量を与えることが期待できる。例えば強熱減量不足により生物相が貧弱となった天然又は人工の沿岸土1を、多様な生物相の干潟2として保全又は再生することが期待できる。
【0018】
本発明によれば、植物材料帯5から継続的に分解生成物10を沿岸土1上の干潟域に底質材料として供給できるので、波浪等による底質材料の流出分を植物材料帯5からの分解生成物10で補うことができ、干潟生物4の生息に適する干潟環境を長期間維持できる干潟2を育成できる。例えば、近くに河川等がない沿岸域や比較的急勾配で底質材料が流出し易い沿岸域における干潟2の育成に有効に適用できる。干潟生物4の生息が維持できれば、これら生態系中位の生物を餌とする生態系上位の鳥類等の生息も図ることができ、自然に近い多様な生物相の海岸を蘇らせることが期待できる。
【0019】
こうして本発明の目的である「自然に近い沿岸生態系を保全又は再生できる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法及び沿岸湿地」の提供が達成できる。
【0020】
【実施例】
図示例では、植物材料帯5の岸側に沿って植栽帯7を設けている。この場合は、植栽帯7上の植物8の枯死体を植物材料帯5用の植物材料6として再利用できる。自然の海岸で生息する生物のなかには、ライフスタイル(餌場、産卵場、休息場等)や生活史(浮遊幼生期、稚児期、成体期等)に応じて複数の生息環境を必要とするものがある。干潟2と植栽帯7とを連ねて一体的に保全・再生することにより、このような生物を含む多様な生物が生息可能な沿岸湿地の育成が期待できる。
【0021】
植栽帯7には、ナガミノオニシバ、クサヨシ、アイアシ、ギシギシ、ヨシ、フクド、ウラギク、シオクグ、ホウキギク、ハマサジ、ハママツナ等の湿生植物8を生息させることが好ましい。この場合は必要に応じて、植栽帯7に湿生植物8の生息に適する湿地底質土9を客土する。例えば植栽帯7にヨシを生息させる場合は、中央粒径0.02〜0.3mm程度の砂質土を50〜60cmの厚さで客土することが好ましい。湿地底質土9として、腐植土や山土等を利用してもよい。例えば春から夏にかけて植栽帯7で湿生植物8を生育させ、冬季に枯れた湿生植物8を刈り取って植栽帯7に載置する。刈り取り作業には、NPO環境団体活動や学校環境教育実習等の協力を求めることができる。但し、植栽帯7の植物8は湿生植物に限定されない。
【0022】
植栽帯7には植物8の生育に必要な淡水12を供給することが望ましい。また湿生植物8を育てる場合は、植栽帯7に湿生植物8の生育に適する深さの地下水位とすることが望ましい。自然のヨシ原における本発明者の調査によれば、地下水面深さ(地表面から地下水位までの深さ)が15cm以上になるとヨシのバイオマスが減少し、35cm以上になると著しく減少する。このため、例えば植栽帯7にヨシを育てる場合は、地下水位を地下水面深さ35cm以下、好ましくは15cm以下とすることが好ましい。
【0023】
図示例では、淡水供給設備13から植栽帯7へ満潮汀線HWL以上の高さで淡水12を供給し、植栽帯7に植物材料帯5へ連なる地下水位15を形成している。また、地下水位15を湿生植物8の生育に適する深さとしている。植栽帯7における地下水位15は、淡水供給設備13からの淡水供給高さ及び流量と湿地底質土9の透水係数とにより調節できる(ダルシーの法則)。植栽帯7を通過した淡水12は植物材料帯5に流れ込み、上述したように植物材料帯5における植物材料6の分解促進に寄与する。
【0024】
なお、植栽帯7を通過する間に、植物8による淡水12中の負荷(例えば有機物・窒素・リン等)の浄化が期待できる。従って、淡水12として雨水や中水、廃水処理後の放流水等を利用した場合でも、植物材料帯5及び干潟2への負荷物質の流れ込みは最小限の抑えることができる。また、図1では湿地底質土9の土留めのために植栽帯7と植物材料帯5との間に透水壁17を設けているが、透水壁17は本発明に必須のものではない。図2に示すように、植栽帯7と植物材料帯5と干潟2とは空間的に連接ないし隣接させて設けることができ、この場合は植栽帯7と植物材料帯5との間の透水壁17を省略することができる。
【0025】
本発明において、植物材料帯5に沿って植栽帯7を設ける場合は、岸から海へ向かう方向の植栽帯7と植物材料帯5と沿岸土1上の干潟域との長さ(スペース)の比率を3〜4:1〜2:5〜6とすることが好ましい(図1(B)参照)。この比率は一般ヨシ原が群生している河口干潟(例えば江奈干潟、小網代干潟等)を現地観察して算出したものである。
【0026】
更に図示例では、沿岸土1上の干潮汀線LWLより低い海底域(藻場20)に藻類22の生育に適する藻場底質土21を客土している。上述したように、本発明では植物材料帯5からの分解生成物10の堆積により藻場底質土21に対して適当な有機物、栄養塩類等を底質材料として付与することが期待でき、干潮汀線LWLより低い海底域に藻場20が育成できる。沿岸土1上に植栽帯7、干潟2、藻場20という3つの生物生息環境を連接ないし隣接させて一体的に育成することにより、自然に極めて近い健全な海岸環境の育成が期待できる。
【0027】
本発明は、図2に示すような人工構造物(護岸)30により直線化された海岸の再生に効果的に利用できる。図2の実施例では、沿岸土1を岸から沖へ向かう方向に緩やかに下降傾斜させて客土し、沿岸土1上の満潮汀線HWLより高い区域、満潮汀線HWLと干潮汀線LWLとの間の区域、及び干潮汀線LWLより低い区域にそれぞれ湿地底質土9、干潟底質土3、及び藻場底質土21を客土することにより、岸から沖へ向かう方向に沿って湿生植物8の植栽帯7、干潟2、藻場20を連ねて一体的に育成している。また、植栽帯7と干潟2との間に満潮汀線HWL上に沿って植物材料帯5を設け、植物材料帯5から干潟2及び藻場20へ分解生成物10を底質材料として持続的に供給している。このため、例えば護岸30の海側水域が狭く比較的急勾配の沿岸土1しか造成できない場合でも、自然に近い安定した干潟2や藻場20を育成することができる。なお同図では、護岸30に淡水導入孔19を穿ち、導入孔19を介して岸側から植栽帯7及び植物材料帯5へ淡水12を供給しているが、淡水12の供給方法は図示例に限定されない。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法及び沿岸湿地は、満潮汀線から海底まで緩やかに下降傾斜する沿岸土の満潮汀線上に沿って自然分解可能な植物材料が置かれる植物材料帯を設け、植物材料の自然分解生成物を潮の干満に応じて沿岸土上へ堆積させるので、次の顕著な効果を奏する。
【0029】
(イ)植物材料帯から沿岸土に分解生成物を底質材料として供給できるので、底質材料が流出し易い沿岸土上にも自然に近い安定した干潟を育成できる。
(ロ)沿岸土上に干潟底質土を客土しておけば、自然に近い干潟を一層容易に育成できる。
(ハ)植物材料帯から底質材料が補充できるので、狭い水域に造成した比較的急勾配の沿岸土上にも自然に近い干潟の育成が期待できる。
(ニ)干潮汀線より低い海底域に藻場底質土を客土することにより、干潟と藻場とを空間的に連ねて一体的に育成できる。
(ホ)植物材料帯に沿って湿生植物の植栽帯を設け、湿生植物・干潟生物・藻類等の複数の生物生息環境を隣接させて育成することにより、種類・量が豊富な自然に近い海岸生態系の保全・再生が期待できる。
(ヘ)植栽帯を介して植物材料帯へ雨水等を流入させることにより、植栽帯の水質浄化を利用して、汚染を防ぎつつ植物材料帯を汽水域とすることができる。
(ト)植物材料帯及び植栽帯における二酸化炭素の吸収により、気候変化の緩和の役割が期待できる。
(チ)直立護岸により直線化された既存の水際線を勾配のある自然な海岸に育成する自然再生型の海岸造成事業への寄与が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例の説明図である。
【図2】は、本発明の他の実施例の説明図である。
【図3】は、従来の直立護岸を設けた海岸(A)と自然の海岸(B)との相異を表わす説明図である。
【符号の説明】
1…沿岸土 2…干潟
3…干潟底質土 4…干潟生物
5…植物材料帯 6…植物材料
7…植栽帯 7a…ヨシ原
8…湿生植物 9…湿地底質土
10…分解生成物 12…淡水
13…淡水供給設備 14…流路
15…地下水位 16…透水壁
17…透水壁 18…透水壁
19…導入孔 20…藻場
21…藻場底質土 22…藻類
30…人工構造物(護岸) 31…岸
32…埋め立て 33…海水

Claims (21)

  1. 満潮汀線から海底まで緩やかに下降傾斜する沿岸土の満潮汀線上に沿って自然分解可能な植物材料が置かれる植物材料帯を設け、前記植物材料の自然分解による生成物を潮の干満に応じて沿岸土上に堆積させてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  2. 請求項1の育成方法において、前記植物材料帯に淡水を流入させて植物材料の自然分解を促してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  3. 請求項1又は2の育成方法において、前記沿岸土上の干潟域に干潟生物の生息に適する干潟底質土を客土してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  4. 請求項1から3の何れかの育成方法において、前記植物材料帯の岸側に接して植栽帯を設け、植栽帯上の植物枯死体を前記植物材料としてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  5. 請求項4の育成方法において、前記植栽帯に湿生植物の生息に適する湿地底質土を客土してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  6. 請求項4又は5の育成方法において、前記植栽帯に満潮汀線以上の高さから淡水を流入させ、前記植栽帯に植物材料帯へ連なる地下水位を形成してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  7. 請求項6の育成方法において、前記地下水位を湿生植物の生息に適する深さとしてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  8. 請求項4から7の何れかの育成方法において、岸から海へ向かう方向の植栽帯と植物材料帯と沿岸土上の干潟域との長さの比率を3〜4:1〜2:5〜6としてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  9. 請求項1から8の何れかの育成方法において、前記植物材料帯の海側端縁に透水壁を設けてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  10. 請求項9の育成方法において、前記透水壁を透水性コンクリート製、木質矢板製、土留め製又は石積壁製としてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  11. 請求項1又は10の何れかの育成方法において、前記沿岸土上の干潮汀線より低い海底域に藻類の生育に適する藻場底質土を客土してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法。
  12. 満潮汀線から海底まで緩やかに下降傾斜させて客土した沿岸土、沿岸土の満潮汀線上に沿って設けた自然分解可能な植物材料が置かれる植物材料帯、及び植物材料帯の海側端縁に設けた透水壁を備え、前記植物材料の自然分解による生成物を潮の干満に応じて沿岸土上に堆積させてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  13. 請求項12の湿地において、前記植物材料帯に淡水を供給する淡水供給設備を設けてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  14. 請求項12又は13の湿地において、前記沿岸土上の干潟域に干潟生物の生息に適する干潟底質土を客土してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  15. 請求項12から14の何れかの湿地において、前記植物材料帯の岸側に接する植栽帯を設けてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  16. 請求項15の湿地において、前記植栽帯に湿生植物の生息に適する湿地底質土を客土してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  17. 請求項15又は16の湿地において、前記植栽帯に満潮汀線以上の高さから淡水を供給する淡水供給設備を設け、前記植栽帯に植物材料帯へ連なる地下水位を形成してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  18. 請求項17の湿地において、前記地下水位を湿生植物の生息に適する深さとしてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  19. 請求項15から18の何れかの湿地において、岸から海へ向かう方向の植栽帯と植物材料帯と沿岸土上の干潟域との長さの比率を3〜4:1〜2:5〜6としてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  20. 請求項12から19の何れかの湿地において、前記透水壁を透水性コンクリート製、木質矢板製、土留め製又は石積壁製としてなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
  21. 請求項12から20の何れかの湿地において、前記沿岸土上の干潮汀線より低い海底域に藻類の生育に適する藻場底質土を客土してなる自然分解性植物材料利用の沿岸湿地。
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