JP3654331B2 - 半導体製造方法および半導体発光素子 - Google Patents

半導体製造方法および半導体発光素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用半導体レーザ,光書き込み用半導体レーザ,発光ダイオード,赤外光用フォトダイオード等の光デバイスに用いられる半導体製造方法および半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーを用いた光通信システムは、現在、主に幹線系で用いられているが、将来は各家庭を含めた加入者系での利用が考えられている。これを実現するためにはシステムの小型化,低コスト化が必要であり、温度制御用のペルチェ素子が不要なシステムの実現が必要である。このため、半導体レーザには低しきい値動作と温度変化による特性変化の少ない高特性温度の素子が望まれている。
【0003】
このような素子を実現することを意図した材料として、特開平6−37355号には、Nと他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体であるGaInNAs系材料をGaAs基板上に形成することが提案されており、GaAsより格子定数が大きいGaInAsにNを添加することで格子定数をGaAsに格子整合させることが可能であり、さらに、バンドギャップエネルギーが小さくなり1.3μm,1.5μm帯での発光が可能な材料であるとされている。ここで、GaInNAs系材料の成長方法には、活性窒素を用いた低圧MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)法を用いている。
【0004】
また、文献「Jpn.J.Appl.Phys.Vol.35(1996)pp.1273-1275」では、近藤らによりバンドラインナップが計算されている。この文献では、GaAs格子整合系でAlGaAsをクラッド層に用いることで、伝導帯のバンド不連続が大きくなる。このため高特性温度半導体レーザが実現できると予想されている。なお、GaAs格子整合系の成長方法には、活性窒素を用いたガスソースMBE(molecular beam epitaxy)法を用いている。
【0005】
また、N(窒素)元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体の成長に関して特開平6−37355号では、高周波プラズマにより活性化した窒素ガスもしくは窒素化合物ガスを窒素源としたMOCVD法について述べられており、また、特開平7−154023号や特開平9−283857号では、DMHy(ジメチルヒドラジン)を窒素源としたMOCVD法について述べられており、また、特開平6−334168号では、活性化窒素を用いたMBE法について述べられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
N元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体は、N元素の原子半径が他の元素の原子半径に比べて小さいことに起因して、混晶組成のほとんどが非混和領域にあり、結晶成長が非常に難しい。非平衡度の高いMOCVD法(有機金属気相成長法)やMBE法(分子線エピタキシー法)によりわずかの窒素組成の結晶が成長可能となるものである。このような成長の困難な材料の結晶成長においては、特に成長初期の成長核形成が非常に重要である。しかしながら、従来技術では成長初期の成長核形成については述べられていない。
【0007】
本発明は、成長核形成を促進させ、V族元素にN元素を含んだ結晶性の良好な混晶半導体を容易に得ることの可能な半導体製造方法および半導体発光素子を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、V族元素としてN(窒素)元素および他の1種以上のV族元素と、III族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体を含んだ化合物半導体を、N元素を含まない半導体層上に成長する半導体製造方法において、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層を、N元素を含まない半導体層上に成長する前に、 III 族原料を供給せず、V族の構成元素であるN元素の原料および他のV族元素の原料を同時に供給し、表面のV族元素の一部をNに置換する工程を含むことを特徴としている。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の半導体製造方法において、N元素の原料としてDMHy(ジメチルヒドラジン),MMHy(モノメチルヒドラジン)等の有機系窒素化合物を用いることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の半導体製造方法において、上記N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層は、GaxIn1-xyAs1-y(0≦x≦1,0<y<1)からなることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の半導体製造方法において、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層を、N元素を含まない半導体層上に成長する前に、 III 族原料を供給せず、少なくともN原料として有機系窒素化合物を供給し、界面にN(窒素)とともにC(炭素)を取り込ませる反応の生じる工程を含むことを特徴としている。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の半導体製造方法を用いて作製されたことを特徴とする半導体発光素子である
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の半導体製造方法は、V族元素としてN(窒素)元素および他の1種以上のV族元素と、III族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体を含んだ化合物半導体を、Nを含まない半導体層上に成長するものであって、N元素と他の1種以上のV族元素とを構成元素として含んだ半導体層を成長する前に、III族原料を供給せず、少なくともN元素の原料を供給し、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部をNに置換するようになっている。
【0015】
N元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体は、非混和領域が大きく結晶成長は難しい。このような成長の困難な材料の結晶成長においては、特に成長初期の成長核形成が非常に重要である。本発明では、N元素を含まない半導体層上にN元素と他のV族元素とを含んだIII−V族混晶半導体を成長する前に、III族原料を供給せず、少なくともN元素の原料を供給することで、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部を容易に均一にNに置換することができる。すなわち、結晶は、下地の情報を反映して成長する性質がある。本発明では、N元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体が表面に存在するので、これを成長のきっかけとすることができ、N元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体を容易にかつ良好に成長することができる。
【0016】
また、本発明では、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層を、N元素を含まない半導体層上に成長する前に、III族原料を供給せず、V族の構成元素であるN元素の原料および他のV族元素の原料を同時に供給し、表面のV族元素の一部をNに置換することができる。
【0017】
N元素を含まない半導体層上にN元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体を成長する前に、III族原料を供給せず、Nの原料および他のV族元素の原料を同時に供給することで、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部を容易に均一にNに置換することができるとともに、他のV族元素の原料も同時に供給することにより下地結晶のV族元素の過剰な脱離を防ぐことができ、結晶欠陥である空孔の発生が抑制され、結晶性が極めて良好になる。
【0018】
なお、本発明において、N元素の原料として、DMHy(ジメチルヒドラジン),MMHy(モノメチルヒドラジン)等の有機系窒素化合物を用いることができる。
【0019】
高温ほど成長層を形成する各元素の蒸気圧が高くなり、特に、N(窒素)を添加することが困難になるので、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部をNに置換する工程は低温で行なうのが望ましい。DMHy(ジメチルヒドラジン),MMHy(モノメチルヒドラジン)等の有機系窒素化合物は、分解温度が低く、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部を低温で容易にNに置換することが可能である。
【0020】
また、本発明において、上記N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層は、例えば、GaxIn1-xyAs1-y(0≦x≦1,0<y<1)からなっている。
【0021】
GaInNAsは、GaInAsとGaInNとの混晶であり、GaAsより格子定数が大きいGaInAsに、GaAsより格子定数が小さいGaInNを添加したGaInNAsは、格子定数をGaAsに格子整合させることが可能であり、さらにバンドギャップエネルギーが小さくなり、光通信で使用される1.3μm,1.5μm帯での発光が可能な材料である。すなわち、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層がGaxIn1-xyAs1-y(0≦x≦1,0<y<1)からなる場合、この半導体層は、GaAs格子整合系となるので、AlGaAs等のワイドギャップ材料をクラッド層に用いることで伝導帯のバンド不連続を大きくすることができる。これにより、注入キャリアのオーバーフローを防ぐことができ、高特性温度半導体レーザを実現できる。
【0022】
また、本発明に係る半導体積層構造は、V族構成元素としてN(窒素)元素および他の1種以上のV族元素と、III族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体を含んだ化合物半導体を、N元素を含まない半導体層上に成長したものであって、N元素を含まない半導体層と、N元素と他の1種以上のV族元素とを構成元素として含んだ半導体層との界面に、炭素が添加されたものとなっている。
【0023】
上記N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部をNに置換する際、窒素と同時に炭素が取り込まれていることがわかった。炭素の取り込みは、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部をN(窒素)に置換するメカニズム上必要である。
【0024】
また、上記の半導体積層構造を用いて、半導体発光素子(半導体レーザまたは発光ダイオード)を作製できる。
【0025】
本発明では、N元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体を容易にかつ良好な結晶性で成長することができるので、これを用いて半導体発光素子(半導体レーザまたは発光ダイオード)を作製する場合、発光特性は向上し、発光効率の高い発光ダイオード,低しきい値電流の半導体レーザを得ることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0027】
実施例1
実施例1では、図1に示すような半導体積層構造を作製した。なお、この実施例1では、Nと他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体にはGaInNAsを用いた。
【0028】
すなわち、実施例1では、n−GaAs基板1上に、n−GaAsバッファ層2,n−AlGaAs層3(膜厚0.2μm),GaAs層4(膜厚0.1μm),圧縮歪を有するGaInNAs量子井戸層5(膜厚7nm),GaAs層6(膜厚50nm),p−AlGaAs層7(膜厚50nm)が、順次に形成(成長)されている。また、図1の半導体積層構造では、GaAs層4とGaInNAs量子井戸層5との界面8は、GaAs層4の表面のAsの一部をNに置換した界面(GaNAs)となっている。
【0029】
なお、図1の半導体積層構造の成長方法はMOCVD法で行なった。原料にはTMG(トリメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウム),AsH3(アルシン),そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。
【0030】
これらの原料および水素ガスが、成長室中の加熱したサセプター上に置かれたGaAs基板1上に供給され、成長が行なわれる。実施例1では、GaInNAs層5は600℃で成長した。また、GaInNAs層5のN組成は、AsH3に対するDMHyの供給量比を増やすほど、また、成長温度を下げるほど、また、成長速度を上げるほど、大きくなる傾向がある。GaInNAs材料系の成長は、III族原料の供給律則で成長が行なわれる。つまり、III族原料を供給すると成長が始まる。本発明の成長方法では、GaAs層4上にGaInNAs層5を成長するときには、III族原料(実施例1では、TMI,TMG)を供給する前に、N(窒素)の原料(実施例1ではDMHy)を先行導入し、GaAs層4の表面のAsの一部を、Nに置換するようにしている。すなわち、GaAs層4とGaInNAs量子井戸層5との界面8は、GaAs層4の表面のAsの一部をNに置換した界面(GaNAs)となっている。実施例1では、Nの原料(DMHy)を30秒間、先行導入した。この時、他のV族元素であるAsの原料のAsH3も同時に供給した。DMHyおよびAsH3の供給量は、GaInNAs層5の成長時のDMHyおよびAsH3の供給量と同じにした。
【0031】
図2には、DMHyの先行導入時間0秒(III族原料とDMHyを同時に供給)で成長したエピウエハ(サンプルA)と、実施例1(DMHyの先行導入時間30秒)により成長したエピウエハ(サンプルB)との、室温でのPL(photo luminescence)強度特性が示されている。なお、サンプルAは、PL特性の目盛を10倍にしたものとして示されている。図2から、実施例1(サンプルB)の方がPL強度は1桁以上高くなっており、結晶性が改善されていることがわかる。このことから、III族原料を供給する前に、N(窒素)の原料(実施例1ではDMHy)を先行導入することが有効であることがわかる。
【0032】
すなわち、N元素を含まない半導体層GaAs上にN元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体GaInNAsを成長する前に、III族原料を供給せず、Nの原料DMHyおよび他のV族元素の原料AsH3を同時に供給すると、GaAs層4の表面のV族元素の一部を容易にかつ均一にNに置換し、GaNAsとすることができる。
【0033】
また、結晶成長では下地の情報を反映して成長する性質があり、実施例1の場合、GaInNAs層5の成長に先立って、その下地に、N元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体であるGaNAsが表面(界面)に存在するので、これを成長のきっかけとすることができ、容易に良好なGaInNAs層5を成長することができたと考えられる。また、GaAs層4の表面のV族元素の一部のみをNに置換するので、As元素も表面に存在する。同時に、他のV族元素の原料AsH3も供給することにより、下地結晶のV族元素の過剰な脱離を防ぐことができ、結晶欠陥であるV族の空孔の発生が抑制されて、結晶性が極めて良好になったと考えられる。
【0034】
また、図3には、GaAs層4/GaInNAs層5/GaAs層6の構造のSIMS分析による各元素(N(窒素),C(炭素))の濃度プロファイルを示す。図3から、N(窒素)の添加されたGaInNAs層5とその下地のGaAs層4との間(深さ約0.15μmのところ)に、C(炭素)が存在していることがわかる。データは示さないが、この炭素(C)の濃度は、窒素(N)の濃度とともに高くなるので、DMHyのメチル基の炭素(C)に起因していると考えられる。このことは、炭素の取り込まれは、Nを含まない半導体層の表面のV族元素の一部をNに置換するメカニズム上必要であると考えられる。
【0035】
実施例1では、DMHyの先行導入時間を30秒としたが、PL強度が強くなるような任意の時間に設定することができる。また、実施例1では、MOCVD法での成長の例を示したが、MBE法等の他の成長方法を用いることもできる。また、窒素の原料にDMHyを用いたが、窒素の原料として、活性化した窒素やNH3等他の窒素化合物を用いることもできる。もちろん、窒素以外の原料として他の材料を用いても良い。また、実施例1では、Nと他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体として、GaInNAsの例を示したが、この他にも、Nと他のV族元素を含んだ任意のIII−V族混晶半導体を成長する場合にも適用できる。
【0036】
実施例2
実施例2では、図4に示すような半導体発光素子(半導体レーザ素子)を作製した。なお、以下では、最も基本的な構造である絶縁膜ストライプ型レーザを例にして説明する。層構造としてはSCH−SQW(Separate Confinement Heterostructure Single Quantum Well)構造である。
【0037】
すなわち、図4の半導体発光素子では、n−GaAs基板11上に、n−GaAsバッファ層12,n−Al0.4Ga0.6As下部クラッド層13(膜厚が1.5μm),GaAs光ガイド層14(膜厚が120nm),PL波長1.3μmのGa0.8In0.20.02As0.98である井戸層15(膜厚が10nm,圧縮歪約1%),GaAs光ガイド層16(膜厚が120nm),p−Al0.4Ga0.6As上部クラッド層17(膜厚が1.5μm),p−GaAsコンタクト層18(膜厚が0.3μm)が順次に形成されている。また、図4の半導体発光素子では、GaAs層14とGaInNAs量子井戸層15との界面22は、GaAs層14の表面のAsの一部をNに置換した界面(GaNAs)となっている。
【0038】
また、この半導体発光素子では、その表面に、p側電極19が電流注入部となる部分を除去した絶縁膜20を介して形成されており、裏面にはn側電極21が形成されている。
【0039】
なお、成長方法はMOCVD法で行なった。原料にはTMA(トリメチルアルミニウム),TMG(トリメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウム),AsH3(アルシン),そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。また、この実施例では、GaInNAsの井戸層15は600℃で成長した。
【0040】
ここで、GaInNAs層15のN組成は、AsH3に対するDMHyの供給量比を増やすほど、また、成長温度を下げるほど、また、成長速度を上げるほど、大きくなる傾向があった。本発明の成長方法では、GaInNAs層15を成長するときには、III族原料を供給する前に窒素の原料(実施例2ではDMHy)を先行導入するようにしている。実施例2では、DMHyを60秒間先行導入した。この時、他のV族元素であるAsの原料のAsH3も同時に供給した。DMHyおよびAsH3の供給量は、GaInNAs層成長時の供給量と同じにした。実施例2では、DMHyの先行導入時間を60秒としたが、DMHyの先行導入時間としては、発光効率が高くなるような任意の時間に設定することができる。また、上述の例では、MOCVD法での成長の例を示したが、MBE法等の他の成長方法を用いることもできる。また、窒素の原料にDMHyを用いたが、窒素の原料として、活性化した窒素やNH3等の他の窒素化合物を用いることもできる。また、積層構造として単一量子井戸構造(SQW)の例を示したが、複数の量子井戸を用いた構造(MQW)や、通常のダブルヘテロ接合(DH)等を用いることもできる。
【0041】
得られた素子を評価したところ、DMHyの先行導入時間0秒(III族原料とDMHyを同時に供給)で成長した素子よりもしきい値電流密度を低減することができ、また温度特性も良好であった。
【0042】
Nと他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体GaInNAsは、非混和領域が大きく結晶成長は難しい。このような成長の困難な材料の結晶成長においては、特に成長初期の成長核形成が非常に重要である。Nを含まない半導体層(GaAs層14)上に、Nと他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体(GaInNAs層15)を成長する前に、III族原料(実施例2では、TMI,TMG)を供給せず、Nの原料DMHyおよび他のV族元素の原料AsH3を同時に供給すると、GaAs層14の表面のV族元素(As)の一部を容易に均一にNに置換することができる(図4に示すように、GaAs層14とGaInNAs層15との界面22を、GaAs層14の表面のAsの一部をNに置換した界面(GaNAs)にすることができる)。結晶は、下地の情報を反映して成長する性質がある。Nと他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体であるGaNAsがGaAs層14の表面に存在するので、これを成長のきっかけとして、容易に良好なGaInNAs層15を成長することができたと考えられる。また、GaAs層14の表面のV族元素の一部のみをNに置換するので、As元素も表面に存在する。同時に、他のV族元素の原料AsH3も供給することにより、下地結晶のV族元素の過剰な脱離を防ぐことができ、結晶欠陥であるV族の空孔の発生が抑制されるので、結晶性が極めて良好になったと考えられる。
【0043】
なお、本発明は、発光素子のみならず、受光素子や電子素子等にも適用できる。すなわち、GaxIn1-xyAs1-y(0≦x≦1,0<y<1)のようなNと他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体を用いた半導体素子の全てに適用できる。
【0044】
上記の各実施例では、超格子積層構造における各原子組成や積層構成を限定したが、もちろん、これらに、他の組成や他の構成を用いることもできる。すなわち、V族元素としてNと他のV族元素を含み、III族元素として複数種のIII族元素を含んだ半導体材料であれば、同様の効果を得ることができる。また、本発明の半導体発光素子は、光通信用半導体レーザ,光書き込み用半導体レーザとして用いることができ、また、これ以外にも、発光ダイオード、赤外光用フォトダイオードとして用いることもできる。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1記載の発明によれば、N元素を含まない半導体層上にN元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体を成長する前に、III族原料を供給せず、Nの原料および他のV族元素の原料を同時に供給することで、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部を容易に均一にNに置換することができるとともに、他のV族元素の原料も同時に供給することにより下地結晶のV族元素の過剰な脱離を防ぐことができ、結晶欠陥である空孔の発生が抑制され、結晶性が極めて良好になる。
【0047】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の半導体製造方法において、N元素の原料としてDMHy(ジメチルヒドラジン),MMHy(モノメチルヒドラジン)等の有機系窒素化合物を用いるので、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部を低温で容易にNに置換することが可能である。すなわち、高温ほど成長層を形成する各元素の蒸気圧が高くなり、特に、N(窒素)を添加することが困難になるので、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部をNに置換する工程は低温で行なうのが望ましい。DMHy(ジメチルヒドラジン),MMHy(モノメチルヒドラジン)等の有機系窒素化合物は、分解温度が低く、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部を低温で容易にNに置換することが可能である。
【0048】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の半導体製造方法において、上記N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層は、GaxIn1-xyAs1-y(0≦x≦1,0<y<1)からなるので、格子定数をGaAsに格子整合させることが可能であり、さらにバンドギャップエネルギーが小さくなり、光通信で使用される1.3μm,1.5μm帯での発光が可能な材料である。すなわち、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層がGaxIn1-xyAs1-y(0≦x≦1,0<y<1)からなる場合、この半導体層は、GaAs格子整合系となるので、AlGaAs等のワイドギャップ材料をクラッド層に用いることで伝導帯のバンド不連続を大きくすることができる。これにより、注入キャリアのオーバーフローを防ぐことができ、高特性温度半導体レーザを実現できる。
【0049】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の半導体製造方法において、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層を、N元素を含まない半導体層上に成長する前に、 III 族原料を供給せず、少なくともN原料として有機系窒素化合物を供給し、界面にN(窒素)とともにC(炭素)を取り込ませる反応の生じる工程を含むことを特徴としている。ここで、N元素を含まない半導体層と、N元素と他の1種以上のV族元素とを構成元素として含んだ半導体層との界面への炭素の取り込みは、N元素を含まない半導体層の表面のV族元素の一部をN(窒素)に置換するメカニズム上必要である。
【0050】
また、請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の半導体製造方法を用いて作製されたことを特徴とする半導体発光素子であるので、N元素と他のV族元素を含んだIII−V族混晶半導体を容易にかつ良好な結晶性で成長することができ、これを用いて半導体発光素子(半導体レーザまたは発光ダイオード)を作製する場合、発光特性は向上し、発光効率の高い発光ダイオード,低しきい値電流の半導体レーザを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の半導体積層構造を示す図である。
【図2】DMHyの先行導入時間0秒(III族原料とDMHyを同時に供給)で成長したエピウエハ(サンプルA)と、実施例1(DMHyの先行導入時間30秒)により成長されたエピウエハ(サンプルB)との、室温でのPL(photo luminescence)強度特性を示す図である。
【図3】GaAs層/GaInNAs層/GaAs層の構造のSIMS分析による各元素(N(窒素),C(炭素))の濃度プロファイルを示す図である。
【図4】本発明の実施例2の半導体発光素子を示す図である。
【符号の説明】
1 n−GaAs基板
2 n−GaAsバッファ層
3 n−AlGaAs層
4 GaAs層
5 GaInNAs量子井戸層
6 GaAs層
7 p−AlGaAs層
11 n−GaAs基板
12 n−GaAsバッファ層
13 n−Al0.4Ga0.6As下部クラッド層
14 GaAs光ガイド層
15 Ga0.8In0.20.02As0.98量子井戸層
16 GaAs光ガイド層
17 p−Al0.4Ga0.6As上部クラッド層
18 p−GaAsコンタクト層
19 p側電極
20 絶縁膜
21 n側電極

Claims (5)

  1. V族元素としてN ( 窒素 ) 元素および他の1種以上のV族元素と、 III 族元素とから構成される III −V族混晶半導体を含んだ化合物半導体を、N元素を含まない半導体層上に成長する半導体製造方法において、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層を、N元素を含まない半導体層上に成長する前に、III族原料を供給せず、V族の構成元素であるN元素の原料および他のV族元素の原料を同時に供給し、表面のV族元素の一部をNに置換する工程を含むことを特徴とする半導体製造方法。
  2. 請求項1記載の半導体製造方法において、N元素の原料としてDMHy(ジメチルヒドラジン),MMHy(モノメチルヒドラジン)等の有機系窒素化合物を用いることを特徴とする半導体製造方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の半導体製造方法において、上記N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層は、GaxIn1-xyAs1-y(0≦x≦1,0<y<1)からなることを特徴とする半導体製造方法。
  4. 請求項1記載の半導体製造方法において、N元素と他の1種以上のV族元素とを含んだ半導体層を、N元素を含まない半導体層上に成長する前に、 III 族原料を供給せず、少なくともN原料として有機系窒素化合物を供給し、界面にN(窒素)とともにC(炭素)を取り込ませる反応の生じる工程を含むことを特徴とする半導体製造方法。
  5. 請求項4記載の半導体製造方法を用いて作製されたことを特徴とする半導体発光素子。
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