JP4097238B2 - 半導体積層構造及び半導体発光素子 - Google Patents

半導体積層構造及び半導体発光素子 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用半導体レーザ,光書き込み用半導体レーザ,発光ダイオード,赤外光用フォトダイオード等の光デバイスに用いられる半導体積層構造及び半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりカラーディスプレー等に用いられる高輝度緑色〜赤色発光ダイオード等の発光素子や、光書き込み用等に用いられる可視光半導体レーザの材料としてAlGaInP系材料の研究開発が行なわれている。AlGaInNP系はGaAs基板に格子整合するIII−V族半導体のなかで最も大きい直接遷移型の材料であり、バンドギャップエネルギーは最大で約2.3eV(波長540nm)が得られる。
【0003】
AlGaInNP系はヘテロ接合を形成すると、伝導帯のバンドオフセット比が小さく、活性層(発光層)とクラッド層(活性層よりバンドギャップの大きい材料からなる)の伝導帯側のバンド不連続(ΔEc)が小さいので、注入キャリア(電子)が活性層からクラッド層にオーバーフローしやすく、半導体レーザの発振しきい値電流の温度依存性が大きく、温度特性が悪いなどの問題があった。この問題を解決するため、構造が複雑となるが活性層とクラッド層の間に多重量子障壁(MQB)構造を設け、注入キャリアを閉じ込める構造が特開平4−114486号に提案されている。
【0004】
また、半導体レーザを作製するためにはクラッド層を用いキャリアと光を活性層に閉じ込める構造が必要であるが、上述の理由により通常のバルク活性層のダブルヘテロ(DH)構造ではあまり大きなバンドギャップの材料を活性層に用いることができない。室温連続発振は活性層に(Al0.19Ga0.81)0.5In0.5Pを用いた構造で、発振波長632.7nmが報告されている。そこで発振波長を短波長化するために活性層を量子井戸(QW)構造とする方法が行なわれており、さらに低しきい値化するために特開平6−77592号に示されるように量子井戸層に歪みを加えた歪量子井戸構造の提案も行なわれている。
【0005】
(Al0.08Ga0.92)0.45In0.55Pを井戸層に用いた圧縮歪多重量子井戸活性層と多重量子障壁(MQB)構造を組み合わせた素子で615nmでの室温連続発振がHamadaらにより「Electronics Letter, Vol.128, No.19 (1992) p1834」で報告されている。しかしながら、温度特性が非常に悪いので実用的ではない。
【0006】
さらに、可視発光素子をSiまたはGaP基板上に得るためにV族元素としてN(窒素)を含んだIII−V族混晶半導体材料が特開平7−7223号に提案されている。例えばInNSb,AlNSb系材料である。混晶のバンドギャップエネルギーはそれぞれInNとInSb、AlNとAlSbの間を線形であるとして見積もっている。AlN0.4Sb0.6でSi基板に格子整合しバンドギャップエネルギーはおよそ4eVである。このような材料が存在し形成できれば確かに紫外光までの発光素子が形成できる。しかしながら、このようなV族元素としてN(窒素)を含んだIII−V族混晶半導体材料はほとんどが非混和領域にあり、通常の成長方法では結晶成長は困難であり、非平衡度の高い成長方法であるMOCVD法やMBE法により形成できるものである。それでも現在N組成は10%程度が限界でありN組成40%の混晶は作製が非常に困難である。さらに致命的なのは特開平6−334168号に示されているように、この材料系はNの電気陰性度が大きいために混晶のバンドギャップに大きなボーイングが生じる。つまり、InNSbやAlSbにNを添加していくとバンドギャップは小さい方に向かっていく。このため、Si基板やGaP基板等に格子整合する混晶では、InSbやAlSbのバンドギャップよりも大きくなるどころか逆に小さくなってしまう。よって特開平7−7223号に提案されているようなことは実現困難であると考えられる。逆に混晶のバンドギャップに大きなボーイングが生じることを利用して、GaAs基板上のGaInNAs系材料で赤外光である1.5μm等の長波長発光素子を形成することが特開平6−37355号に提案されている。従来技術では、V族元素にNを含んだ混晶半導体GaInNAs層の成長は、Gaの原料,Inの原料,Nの原料,Asの原料を同時に供給し、厚さ方向に同一組成の混晶を成長している。しかし、このようなV族にNを含んだ混晶半導体は終端物質から数%の混晶しか得られていない。
【0007】
また、これらV族元素としてNを含んだ混晶を得るために、特開平7−263744号では、III族原子とN以外のV族原子とからなる第1の単原子層とIII族原子とN原子とからなる第2の単原子層とを規則的に積層した単原子超格子構造が提案されている。例えば、第1の単原子層としてGaP単原子層を6層、第2の単原子層としてGaN単原子層を2層、ある並べ方で8原子層積層し、これを単位格子とし、この単位格子をさらに規則的に積層し発光層とする。この方法によれば、GaNP混晶と同じバンドギャップを有する積層超格子構造を得ることができ、従来成長が困難であった大きい窒素組成のGaNP等のNを含んだ混晶を得ることを意図している。
【0008】
しかしながら特開平7−263744号の方法では、V族元素がNのみからなるIII族−窒素化合物単原子層を用いているので、N組成が大きく、特定の組成の混晶(例えばN組成12.5%,25%,37.5%,50%,62.5%,75%,87.5%)は構造上得ることが可能であるが、形成できない組成がある。例えば1%などの小さいN組成の混晶半導体を形成しようとすると、窒素化合物以外のIII−V族化合物単原子層を99原子層とV族がNのみからなるIII族−窒素化合物単原子層を1原子層用いる必要があるが、窒素化合物以外のIII−V族化合物層が30nm程度連続して存在することになりバルクとしての特性が現れるので、この超格子積層構造は混晶とは見なせない。このように、従来では、任意の組成の混晶半導体を形成することができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、V族元素としてNおよび少なくとも他の1種のV族元素と、複数のIII族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体の積層構造において、従来困難であった平均組成の混晶を容易に得ることができ、Nおよび少なくとも他の1種以上のV族元素で構成されるIII−V族混晶半導体を用い、ヘテロ障壁ΔEcおよびΔEvをともにレーザ発振するために必要なほど大きくすることの可能な半導体積層構造を提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、V族元素としてNおよび少なくとも他の1種のV族元素と、複数のIII族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体を有する半導体発光素子において、温度特性の良好な赤色半導体レーザ,室温において600nm以下の短波長で発振する可視半導体レーザや、高発光効率の可視発光ダイオードなどの半導体発光素子を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、Nおよび他のV族元素と、複数のIII族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体の積層構造において、前記積層構造は、(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)の混晶とみなせ、Nを含んだ単原子層を1層以上積層したものとNを含まない単原子層を1層以上積層したものとを積層し、これらの平均の組成の混晶半導体としてなる超格子積層構造として構成されており、上記Nを含んだ単原子層はAlを含まないGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)であり、上記Nを含まない単原子層はAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)であり、上記Nを含んだ単原子層と上記Nを含まずAlを含んだ単原子層との間に、AlとNを含まないGa y In 1-y ( 0≦y≦1 ) が挿入され積層されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の半導体積層構造である超格子積層構造が発光層に用いられていることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
長波長(1.3μm,1.5μm帯)レーザの従来材料であるInP基板上のGaInPAs系材料は、伝導帯のヘテロ障壁ΔEcが小さく、注入キャリア(電子)が活性層からクラッド層にオーバーフローしやすく半導体レーザの発振しきい値電流の温度依存性が大きく、温度特性が悪いなどの問題があった。
【0018】
一方、GaInNAsは、GaAs基板に格子整合することが可能でしかも長波長レーザの波長に適するバンドギャップをもつことができる材料である。GaInNAsは、GaAs基板に形成でき、ワイドギャップのAlGaAs,GaInPをクラッド層に用いることができるので、ヘテロ障壁ΔEcおよびΔEvの大きな接合が可能となり、レーザの温度特性が良好になる利点がある。
【0019】
しかし、V族元素にNを含んだ混晶半導体はそのほとんどが非混和領域にあり結晶成長が非常に難しい。非平衡度の高いMOCVD法(有機金属気相成長法)やMBE法(分子線エピタキシー法)によりわずかの窒素組成の結晶が成長可能となるものである。混晶半導体は構成元素数が多いほど非混和性が強くなる。また同じ混晶でも中間の組成の混晶ほど非混和性が強くなる。つまり二元化合物が最も成長しやすい。V族元素にNを含んだ混晶半導体においても同様なことが言える。
【0020】
すなわち、GaInNAsよりもGaNAsの方が成長しやすい。また、GaInNAsの中でもGaNAsに近い材料の方が成長しやすい。次表(表1)には、このことを裏付けるデータが示されている。すなわち、表1には、GaAs基板上にIn組成を変えたGaInNAsのN組成が示されている。ここで、N組成はSIMS分析(二次イオン質量分析法)により求めた結果である。
【0021】
【表1】
Figure 0004097238
【0022】
なお、GaInNAsの成長方法はMOCVD法で行なった。原料にはTMG(トリメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウム),AsH3(アルシン)、そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。成長温度は630℃である。表1では、In原料TMIの供給量のみを変化させた。
【0023】
表1から、In組成を増やすほどN濃度が減少していることがわかる。このように従来の成長方法ではIn組成が大きくなるほどNの取り込まれ効率が低下するという問題があった。つまり成長困難な組成のGaInNAsがあることがわかった。
【0024】
V族元素にNを含んだ混晶半導体の他の応用について説明する。図1には、GaAsとGaAsにNを添加したGaNAsとを接合した場合のバンド構造が示されている。近藤らによる文献「応用物理第65巻第2号(1996) p148」に述べられているように、Nを数%添加すると、バンドギャップは小さくなり(Eg1>Eg2),さらに伝導帯(c)および価電子帯(v)のエネルギーは小さくなる。すなわち、GaAsをクラッド層、GaNAsを活性層としたヘテロ構造では、価電子帯(v)のエネルギーは活性層の方が小さく、ホールを活性層(GaNAs)に閉じ込めることができず、この構造のままでは発光素子には向かないことがわかる。しかし注目すべきは大きな伝導帯のバンド不連続(ΔEc)が生じることである。また、バンドギャップが充分大きいクラッド層を用いるなど、クラッド層と活性層の組成を適切に選べば、ホールも活性層に閉じ込めることが可能になる。
【0025】
本願の発明者は、この現象を可視レーザ用材料AlGaInP系に応用し、ヘテロ障壁ΔEcおよびΔEvをともにレーザ発振するために必要なほど大きくできる新しい材料系を提案し、温度特性の良好な赤色半導体レーザ、室温において600nm以下の短波長で発振する可視半導体レーザや、高発光効率の可視発光ダイオードなどを提供することを意図している。
【0026】
上述のように、Nを添加することでバンドギャップが小さくなるので、N添加する材料を大きなバンドギャップの材料にする必要がある。図2には、従来の短波長可視レーザのバンド構造が示され、また、図3には、本発明の短波長可視レーザのバンド構造が示されている。図2に示すGaInP(例えば波長650nm)を活性層とした従来の素子に対し、図3に示すように、Alを添加してバンドギャップを大きくしたAlGaInPにNを添加して同じバンドギャップにすれば、同じ発光波長で大きな伝導帯のバンド不連続(ΔEc)を得ることができる。伝導帯側のバンド不連続(ΔEc)が大きいことは、注入キャリア(電子)が活性層からクラッド層にオーバーフローするのを防ぎ、半導体レーザの発振しきい値電流の温度依存性を小さくする効果がある。
【0027】
しかしながら、AlGaInPにN添加を行なうと、AlGaInNP自体の結晶性が著しく低下し、良好な結晶性を得るのが困難であることが本願の発明者の実験より明らかになった。例えばAlのIII族組成比が0.1の組成に対して、わずかのNを添加するのみでも結晶表面に凹凸が発生する。このような結晶性の低下は、非発光再結合過程を増加させ、発振しきい電流値が高くなってしまう。このために、AlGaInNPを活性層とした素子では高い発光効率を得ることは難しい。
【0028】
ところが、GaInPにN添加を行なった場合では、AlGaInNPのような顕著な結晶性の低下はみられなかった。図4,図5は、それぞれGaAs基板上にMOCVD法によって成長を行なったAlGaInNP,GaInNPの表面の顕微鏡写真である。AlGaInNP,GaInNPの各々の膜厚は1μmである。また、基板には、(100)面方位に対し、[011]方向に15゜傾斜下面方位を持つものを用いた。また、キャリアガスにはH2を用い、原料ガスにはTMG,TMA,TMI,PH3を用いた。また、Nの原料にはDMHyを用いた。AlGaInNP,GaInNPの両試料とも、基板に格子整合する条件に対してN添加を行なった。組成は、Al0.1Ga0.5In0.5z21-z2,Ga0.5In0.5z11-z1である。GaInNPの成長は、V族流量比[DMHy]/[PH3]がAlGaInNPの約17倍多く、温度もAlGaInNPよりも低い条件で行なっている。成長温度が高い程Nの取り込まれは効率は低下する。このことから、Nの取り込まれ量はGaInNP結晶の方が非常に多く、表面荒れが起こり易い成長条件であるといえる。また一般にN組成が大きいほど結晶性は低下する。しかしながら、AlGaInP結晶では表面上に荒れが生じたが、一方GaInNP結晶では表面は鏡面であった。GaInNPは実際にN添加による長波長化も観測できた。室温PL(Photo luminescence)測定により、N無添加のものに比べて、30nmの長波長化、つまり、バンドギャップエネルギーが減少していることを確認した。N濃度は1.1×1020[cm-3](NのV族組成比0.5%)であった。
【0029】
結晶性の低下の原因は、AlGaInNPが5元系であるためと考えられる。構成元素が多い程、非混和性が大きく、結晶成長は難しいからである。また、Al原子が含まれていることも原因として挙げられる。Alが化学的に活性で3次元成長し易いと考えられるためである。AlGaInPでは、元々Alのディープレベルにより発光効率が低い等の問題があるが、これに加えてN添加による結晶性低下も著しく、良質の結晶を得るのは困難である。GaInNPは根本的に構成元素数がAlGaInNPより少ない点において、良質な結晶成長が容易であるという利点を持っている。さらにAlを含まないことから発光効率も高く、さらにN添加を行なった場合でも良好な結晶が成長可能である。しかし、Nの添加はバンドギャップを小さくする効果があるので同じ発光波長を維持するためには同じ格子定数の材料ではバンドギャップを大きくする効果のあるAlを添加する必要がある。このように、Alの添加されたAlGaInNPは成長が困難であることがわかった。
【0030】
さらに、本願の発明者の実験からAlGaInP上に直接GaInNPを成長するよりも、AlGaInPとGaInNPとの間に、AlとNを含まない層を挿入することで、GaInNPの結晶性が良好になることが分かった。
【0031】
本願の発明者は、実際に、GaAs基板上にSQW(Single quantum well)構造をMOCVD法によりエピタキシャル成長して形成した。図6にはこの構造が示されており、各層の構成は、GaAs基板1側から順に、アンドープGaAsバッファー層2(厚さ0.2[μm]),アンドープAlGaInPバリア層3(厚さ0.2[μm]),アンドープGaInP中間層4(厚さ12[Å]),アンドープGaInNP活性層5(厚さ350[Å]),アンドープGaInP中間層6(厚さ12[Å]),アンドープAlGaInPバリア層7(厚さ500[Å])である。
【0032】
GaInP中間層4,6の厚さは、それぞれ、およそ4原子層厚であり、活性層5に対し十分薄い。また、GaAs基板1には、(100)面方位に対して[011]方向に15゜傾斜した面方位のGaAs基板を用いた。また、原料にはTMG,TMI,TMA,PH3,AsH3を用い、Nの原料としてDMHyを用い、キャリアガスにH2を用いている。また、バリア層3,7には、基板1に格子整合する組成のAlGaInPを用いている。また、中間層4,6には、基板1に対し1%の引っ張り歪みとなる組成のGaInPを用い、GaInNP活性層5には前記中間層4,6の条件にN添加したものを用いた。
【0033】
図7には、図6の構造(図7(c))と、図6の構造と成長条件が同じで中間層4,6を挿入していない構造(図7(b))、およびN添加を行なっていないGaInP活性層をもつ構造(図7(a))の室温でのPL測定結果が示されている。図7(c)では、活性層5がN添加されていることにより、ピーク発光波長が665nmとなり、N添加されていない図7(a)でのピーク発光波長(626nm)に対し、39nmの波長変化が得られている。ここで、図7(c)の長波長化はバンドギャップが小さくなったことを示す。これに対し、中間層を用いていない図7(b)では、発光効率の低下が確認された。これは、成長面の構成元素にAl原子が含まれているからであると考えられる。このヘテロ接合界面での結晶性がGaInNP活性層、およびその上層膜の結晶性に影響を与えているのである。すなわち、Nを含んだGaInNPはもともと非混和性の大きい材料であり、さらにAlが非常に活性であることから3次元成長しやすく、結晶性が低下するものと考えられる。この問題は、図6の構造(図7(c))のように、AlGaInPガイド層(またはクラッド層;バリア層)3,7と、GaInNP活性層5とを、AlとNを含まない適切なIII−V族半導体層(中間層)4,6で分離することで改善することができることがわかった。
【0034】
このことから、本発明の半導体積層構造は、Nおよび他のV族元素と、複数のIII族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体の積層構造において、前記積層構造は、III族元素とV族元素とからなる単原子層を有し、単原子層としてNを含んだ少なくとも1種類の単原子層とNを含まない少なくとも1種類の単原子層とが積層されて、これらの平均の組成の混晶半導体としてなる超格子積層構造として構成されていることを特徴としている。
【0035】
すなわち、超格子積層構造は、複数のIII−V族混晶半導体からなる単原子層により構成されており、各層が充分薄い場合、これらの平均組成の混晶半導体と同じバンドギャップをもつことができる。添加しやすい層にNを添加し、Nを添加する層とNを添加しない層とを組み合わせて構成することにより、これらの平均組成の混晶半導体を積層方向に単一に構成した場合に比べて、従来困難であった平均組成の混晶を容易に得ることができる。
【0036】
具体例として、上記半導体積層構造において、III−V族混晶半導体はGaxIn1-xyAs1-y(0<x<1,0<y<1)であり、Nを含んだ少なくとも1種類の単原子層はGax1In1-x1yAs1-y(0<x1≦1,0<y<1)であり、Nを含まない少なくとも1種類の単原子層はGax2In1-x2As(0≦x2<x1≦1)である。
【0037】
この例では、超格子積層構造は、上述のように III−V族混晶半導体からなる複数種の単原子層により構成されており、各層が充分薄い場合、これらの平均組成の混晶半導体と同じバンドギャップをもつことができる。すなわち、上記の例では、In組成が小さいかもしくはInを含まない窒素の取り込まれやすい第1の単原子層を含んで構成されているので、III族元素がこれらの平均組成となるような単一組成で構成した場合に比べて、Nの取り込まれ効率が向上し容易に結晶性の良好なGaInNAsを形成できる。
【0038】
また、本発明の半導体積層構造において、他の具体例として、III−V族混晶半導体は、(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)であり、Nを含んだ少なくとも1種類の単原子層はAlを含まないGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)であり、Nを含まない少なくとも1種類の単原子層はAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)である。
【0039】
この例では、Nを容易に添加できるGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)とN添加しないワイドギャップのAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)とを組み合わせて超格子積層構造からなるIII−V族混晶半導体(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)を構成することにより、GayIn1-yz1-z(0<y≦1,0<z<1)により大きな伝導帯のバンド不連続(ΔEc)を得ることができ、N添加によるバンドギャップが小さくなる分を(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)により補正することができる。これにより、従来困難であった組成の混晶半導体を容易に得ることができる。
【0040】
また、上記の半導体積層構造において、Alを含まないGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)からなる単原子層とAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)からなる単原子層との間に、AlとNを含まないGayIn1-yP(0≦y≦1)が挿入され積層されている。
【0041】
Nを含んだGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)とNを含まないAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)との間に、NとAlを含まないGayIn1-yP(0≦y≦1)が挿入されていることで、GayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)成長前の表面にはAlが含まれておらず、これにより、結晶性の良好なGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)を成長でき、超格子積層構造からなる(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)を良好な結晶性で形成できる。
【0042】
また、本発明では、上記の半導体積層構造である超格子積層構造を発光層に用いて半導体発光素子を形成することができる。この場合には、従来成長が困難な組成の結晶成長が容易になり、上記超格子積層構造は伝導帯のバンド不連続を大きくできる材料であるので、温度特性の良好な赤色半導体レーザ、室温において600nm以下の短波長で発振する可視半導体レーザ、高発光効率の可視発光ダイオードおよび温度特性の良好な光通信用レーザなどを容易に提供することができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0044】
実施例1
実施例1では、図8に示すような半導体積層構造を作製した。なお、図8はGaAs基板上のGaInNAsによる長波長レーザの例であり、最も基本的な構造である絶縁膜ストライプ型レーザを例にして説明する。層構造としてはSCH−SQW(Separate Confinement Heterostructure Single Quantum Well)構造である。図8の積層構造の成長方法はMOCVD法で行なった。原料にはTMG(トリメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウム),PH3(フォスフィン),AsH3(アルシン),そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。
【0045】
すなわち、図8の半導体積層構造は、n−GaAs基板11上に、n−GaAsバッファ層12、n−Ga0.5In0.5P下部クラッド層13(膜厚が1.5μm),GaAs光ガイド層14(膜厚が100nm),平均組成Ga0.67In0.330.01As0.99である量子井戸層15(膜厚が8nm),GaAs光ガイド層16(膜厚が100nm),p−Ga0.5In0.5P上部クラッド層17(膜厚が1.5μm),p−GaAsコンタクト層18(膜厚が0.4μm)が順次に形成されたものとなっている。
【0046】
また、この素子では、その表面に、p側電極19が、電流注入部となる部分を除去した絶縁膜20を介して形成されており、また、裏面にはn側電極21が形成されている。
【0047】
ところで、図8において、量子井戸層15は、1原子層のInAsと2原子層のGaNAsとを、9.5ペア、交互に積層した超格子構造から構成されている。InAs層とGaNAs層とは、それぞれ充分に薄いので、この量子井戸層15はGaInNAsの混晶とみなせ、その平均組成は、上述のようにGa0.67In0.330.01As0.99であった。GaInNAsはIn組成が小さいほど窒素の取り込まれ効率が高い。上記量子井戸層15は、窒素の取り込まれ効率が高いGaNAsを含んで構成されているので、GaInNAsを単一組成で形成した場合に比べて大きい窒素組成を得やすく、超格子構造を用いた方が容易に形成できる。
【0048】
上記の例では、量子井戸層15はInAs層とGaNAs層とから構成したが、Nを添加する層はIn組成の小さいGax1In1-x1yAs1-y(0<x1≦1,0<y<1),Nを含まない層はIn組成の大きいGax2In1-x2As(0≦x2<x1≦1)であれば良い。このように本発明によれば積層方向に単一組成で成長する場合にその成長が困難であった組成の材料を容易に形成できる。
【0049】
図8の素子を評価したところ、発振波長は1.3μmであり温度特性は良好であった。また、量子井戸層15が均一組成から成る素子に比べてしきい値電流密度は低下した。
【0050】
実施例2
実施例2では、図9に示すような半導体発光素子(半導体レーザ素子)を作製した。なお、図9はGaAs基板上のAlGaInNP系材料による短波長可視レーザの例であり、最も基本的な構造である絶縁膜ストライプ型レーザを例にして説明する。層構造としてはSCH−MQW(Separate Confinement Heterostructure Multiple Quantum Well)構造である。なお、成長方法はMOCVD法で行なった。原料にはTMG(トリメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウム),PH3(フォスフィン),AsH3(アルシン),そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。
【0051】
すなわち、図9の半導体発光素子では、n−GaAs基板31上に、n−GaAsバッファ層32,n−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P下部クラッド層33(膜厚が1.0μm),(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P下部光ガイド層34(膜厚が50nm),GaAs基板31に格子整合する3層の(Al0.1Ga0.9)0.5In0.50.0050.995井戸層35(膜厚が6nm)と2層の(Al0.5Ga0.5)0.5In0. 5Pバリア層36(膜厚が8nm)、(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P上部光ガイド層37(膜厚が50nm),p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P上部クラッド層38(膜厚が1.0μm),p−Ga0.5In0.5Pキャップ層39(膜厚が0.1μm),p−GaAsコンタクト層40(膜厚が0.4μm)が順次に形成されている。また、この半導体発光素子では、その表面に、p側電極41が電流注入部となる部分を除去した絶縁膜42を介して形成されており、裏面にはn側電極43が形成されている。
【0052】
ここで、量子井戸層35は、(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P下部光ガイド層34上に、約2原子層(mono-layer)のGa0.5In0.5P,約5原子層のGa0.5In0.50.010.99約2原子層のGa0.5In0.5P,約2原子層のAl0.5In0.5P,約2原子層のGa0.5In0.5P,約5原子層のGa0.5In0.50.010.99約2原子層のGa0.5In0.5Pを順次積層した超格子構造から構成されている。この場合、それぞれの層は、充分に厚さが薄いので、量子井戸層35はAlGaInNPの混晶とみなせ、その平均組成は(Al0.1Ga0.9)0.5In0.50.0050.995であった。NはAlを含まない3元混晶GaInPに添加しているので、4元混晶AlGaInPに添加する場合に比べて結晶性は良好となる。Nの添加はバンドギャップを小さくするが伝導帯および価電子帯のエネルギーを下げる効果がある。一方、ワイドギャップのAlGaInP層を含んで構成されているので、N添加によりバンドギャップが小さくなる分を補正することができる。さらに、Nを含んだ層とAlを含んだ層は直接接合されておらず、これらの間に、NとAlを含まないGaInPが挿入されているので、GaInNPの結晶性の低下を招かなくて済む。このように、従来では積層方向に均一組成での結晶成長が困難であった混晶を良好な結晶性で得ることができる。上記の超格子構造を用いた井戸層35によれば、Nの添加によりバンドギャップは小さくなるが、伝導帯および価電子帯のエネルギーを下げる効果があるので、ガイド層に対して大きな伝導帯のバンド不連続(ΔEc)を得ることができる。図9の素子を評価したところ、温度特性が良好な可視レーザが得られた。
【0053】
実施例3
実施例3では、図10に示すような半導体発光素子(半導体レーザ素子)を作製した。なお、図10はGaAs基板上のAlGaInNP系材料による短波長可視レーザの例であり、最も簡単な構造である絶縁膜ストライプ型レーザを例にして説明する。層構造としてはSCH−MQW(Separate Confinement Heterostructure Multiple Quantum Well)構造である。また、井戸層はGaAs基板より格子定数が小さく、引っ張り歪み有している。AlGaInP系材料は格子定数が小さいほどAlGaPに近づくのでワイドギャップになる。短波長化に有利である。成長方法はMOCVD法で行なった。原料にはTMA(トリメチルアルミニウム),TMG(トリメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウム),AsH3(アルシン),PH3(フォスフィン)そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。
【0054】
すなわち、図10の半導体発光素子では、n−GaAs基板51上に、n−GaAsバッファ層52,n−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P下部クラッド層53(膜厚が1.0μm),(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P下部光ガイド層54(膜厚が50nm),GaAs基板51よりも格子定数の大きい(Al0.1Ga0.9)0.65In0.350.0050.995井戸層55(膜厚が20nm),(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P上部光ガイド層56(膜厚が50nm),p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P上部クラッド層57(膜厚が1.0μm),p−Ga0.5In0.5Pキャップ層58(膜厚が0.1μm),p−GaAsコンタクト層59(膜厚が0.4μm)が順次に形成されている。また、この半導体発光素子では、その表面に、p側電極60が電流注入部となる部分を除去した絶縁膜61を介して形成されており、裏面にはn側電極62が形成されている。
【0055】
ここで、量子井戸層55は、(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P下部光ガイド層上に、約2原子層のGa0.65In0.35P,約1原子層のAl0.65In0.35P、約2原子層のGa0.65In0.35P,約5原子層のGa0.65In0.350.010.99を1ユニットとして、7ユニットが順次積層されている。そして、その上に、約2原子層のGa0.65In0.35Pが積層されて井戸層55となっている。この場合、それぞれの層は充分に厚さが薄いので、量子井戸層55は、AlGaInNPの混晶とみなせ、その平均組成は(Al0.1Ga0.9)0.65In0.350.0050.995であった。NはAlを含まない3元混晶GaInPに添加しているので、4元混晶AlGaInPに添加する場合に比べて結晶性は良好となる。Nの添加はバンドギャップを小さくするが伝導帯および価電子帯のエネルギーを下げる効果がある。一方、ワイドギャップのAlGaInP層を含んで構成されているので、N添加によりバンドギャップが小さくなる分を補正することができる。さらに、Nを含んだ層とAlを含んだ層は直接接合されておらず、これらの間に、NとAlを含まないGaInPが挿入されているので、GaInNPの結晶性の低下を招かなくて済む。このように、従来では積層方向に均一組成での結晶成長が困難であった混晶を良好な結晶性で得ることができる。上記の超格子構造を用いた井戸層55によれば、Nの添加によりバンドギャップは小さくなるが、伝導帯および価電子帯のエネルギーを下げる効果があるので、ガイド層に対して大きな伝導帯のバンド不連続(ΔEc)を得ることができる。図10の素子を評価したところ、温度特性が良好な波長630nmの可視レーザが得られた。
【0056】
このように、本発明の超格子積層構造は、複数のIII−V族混晶半導体からなる単原子層により構成されており、Nを容易に添加できるGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)とN添加しないワイドギャップのAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)を組み合わせて(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)を構成し、さらにはNを含んだ層とAlを含んだ層が直接接合されておらず、これらの間にNとAlを含まない層が挿入されていれば良い。
【0057】
上記各実施例では、超格子積層構造における各原子組成や積層構成を限定したが、もちろん、これらに、他の組成や他の構成を用いることもできる。すなわち、V族元素としてNと他のV族元素を含み、III族元素として複数種のIII族元素を含んだ半導体材料であれば、同様の効果を得ることができる。また、本発明の半導体発光素子は、光通信用半導体レーザ,光書き込み用半導体レーザとして用いることができ、また、これ以外にも発光ダイオード、赤外光用フォトダイオードとして用いることもできる。
【0058】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1記載の発明によれば、Nおよび他のV族元素と、複数のIII族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体の積層構造において、前記積層構造は、(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)の混晶とみなせ、Nを含んだ単原子層を1層以上積層したものとNを含まない単原子層を1層以上積層したものとを積層し、これらの平均の組成の混晶半導体としてなる超格子積層構造として構成されており、上記Nを含んだ単原子層はAlを含まないGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)であり、上記Nを含まない単原子層はAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)であるので、GayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)により大きな伝導帯のバンド不連続(ΔEc)を得ることができ、N添加によるバンドギャップが小さくなる分を(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)により補正することができる。これにより従来困難であった組成の混晶半導体を容易に得ることができる。
【0061】
また、請求項1記載の発明によれば、上記Nを含んだ単原子層と上記Nを含まずAlを含んだ単原子層との間に、AlとNを含まないGayIn1-yP(0≦y≦1)が挿入され積層されており、GayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)成長前の表面にAlが含まれていないので、結晶性の良好なGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)を成長でき、超格子積層構造からなる(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)を良好な結晶性で形成できる。
【0062】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の半導体積層構造である超格子積層構造が発光層に用いられた半導体発光素子を形成することにより、従来成長が困難な組成の結晶成長が容易になり、また、上記超格子積層構造は伝導帯のバンド不連続を大きくできる材料であるので、温度特性の良好な赤色半導体レーザ、室温において600nm以下の短波長で発振する可視半導体レーザ、高発光効率の可視発光ダイオードおよび温度特性の良好な光通信用レーザなどを容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GaAsとGaAsにNを添加したGaNAsとを接合した場合のバンド構造を示す図である。
【図2】従来の短波長可視レーザのバンド構造を示す図である。
【図3】本発明の短波長可視レーザのバンドを示す図である。
【図4】GaAs基板上にMOCVD法によって成長を行なったAlGaInNPの表面の顕微鏡写真を示す図である。
【図5】GaAs基板上にMOCVD法によって成長を行なったGaInNPの表面の顕微鏡写真を示す図である。
【図6】本発明に係る半導体積層構造の構成例を示す図である。
【図7】図6の構造と、図6の構造と成長条件が同じで中間層を挿入していない構造と、N添加を行なっていないGaInP活性層をもつ構造の、室温でのPL測定結果を示す図である。
【図8】実施例1の半導体積層構造を示す図である。
【図9】実施例2の半導体積層構造を示す図である。
【図10】実施例3の半導体積層構造を示す図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板
2 GaAsバッファ層
3 AlGaInPバリア層
4 GaInP中間層
5 GaInNP活性層
6 GaInP中間層
7 AlGaInPバリア層
11 n−GaAs基板
12 n−GaAsバッファ層
13 n−Ga0.5In0.5P下部クラッド層
14 GaAs光ガイド層
15 平均組成Ga0.67In0.330.01As0.99である量子井戸層
16 GaAs光ガイド層
17 p−Ga0.5In0.5P上部クラッド層
18 p−GaAsコンタクト層
19 p側電極
20 絶縁膜
21 n側電極
31 n−GaAs基板
32 n−GaAsバッファ層
33 n−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P下部クラッド層
34 (Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P下部光ガイド層
35 (Al0.1Ga0.9)0.5In0.50.0050.995井戸層
36 (Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pバリア層
37 (Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P上部光ガイド層
38 p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P上部クラッド層
39 p−Ga0.5In0.5Pキャップ層
40 p−GaAsコンタクト層
41 p側電極
42 絶縁膜
43 n側電極
51 n−GaAs基板
52 n−GaAsバッファ層
53 n−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P下部クラッド層
54 (Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P下部光ガイド層
55 (Al0.1Ga0.9)0.65In0.350.0050.995井戸層
56 (Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P上部光ガイド層
57 p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P上部クラッド層
58 p−Ga0.5In0.5Pキャップ層
59 p−GaAsコンタクト層
60 p側電極
61 絶縁膜
62 n側電極

Claims (2)

  1. Nおよび他のV族元素と、複数のIII族元素とから構成されるIII−V族混晶半導体の積層構造において、前記積層構造は、(AlxGa1-x)yIn1-yz1-z(0<x≦1,0<y≦1,0<z<1)の混晶とみなせ、Nを含んだ単原子層を1層以上積層したものとNを含まない単原子層を1層以上積層したものとを積層し、これらの平均の組成の混晶半導体としてなる超格子積層構造として構成されており、上記Nを含んだ単原子層はAlを含まないGayIn1-yz1-z(0≦y≦1,0<z<1)であり、上記Nを含まない単原子層はAlを含んだ(AlxGa1-x)yIn1-yP(0<x≦1,0<y≦1)であり、上記Nを含んだ単原子層と上記Nを含まずAlを含んだ単原子層との間に、AlとNを含まないGa y In 1-y ( 0≦y≦1 ) が挿入され積層されていることを特徴とする半導体積層構造。
  2. 請求項1記載の半導体積層構造である超格子積層構造が発光層に用いられていることを特徴とする半導体発光素子。
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