JP3653621B2 - 眼底カメラの光学系 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、照明光源からの照明光を被検眼に対向して配設された対物レンズを介して被検眼の眼底に照射し、その眼底により反射されて対物レンズを通過した反射像をこの対物レンズの後方に配設された撮影絞りを介して受像することにより眼底像を撮影する眼底カメラの光学系の改良に関し、更に詳しくは、合焦用の指標を眼底に投影して撮影を行う眼底カメラの光学系の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図1に示す光学構成の眼底カメラが知られている(例えば、特開平4−352937号公報参照)。その図1において、1は照明光学系、2は撮影光学系である。照明光学系1は観察用の照明光源3、コンデンサレンズ4、撮影用の照明光源5、コンデンサレンズ6、リングスリット7、光学部材8、リングスリット9、リレーレンズ10、ミラー11、黒点板12、リレーレンズ13、孔空きミラー14、対物レンズ15を有する。対物レンズ15は被検眼Eに対向して配設されている。リングスリット7は被検眼Eの瞳孔と共役な位置に配設されている。黒点板12は対物レンズ15への照明光の入射の際にこの照明光の一部を表面反射する表面反射面15aに関し、後述する撮影絞りと共役な位置に設けられている。この黒点板12は黒点12aを有する。黒点12aは照明光学系1の光軸O1と同心である。この黒点12aは有害反射光除去用として用いられ、その詳細な作用については、例えば、特公昭60−57852号公報を参照されたい。照明光源3、5からの照明光は対物レンズ15を介して被検眼Eに導かれ、その瞳孔を通って眼底Efに照射される。
【0003】
撮影光学系2は照明光学系1と共用の対物レンズ15、孔空きミラー14を有すると共に、撮影絞り16、合焦レンズ17、変倍レンズ18、結像レンズ19、跳ね上げミラー20、撮影カメラ21を有する。符号Fはその撮影カメラ21のフィルムを示している。跳ね上げミラー20の反射方向前方には、反射プリズム22、接眼レンズ23が設けられ、跳ね上げミラー20、反射プリズム22、接眼レンズ23は接眼光学系24を構成している。眼底Efにより反射された反射光は、対物レンズ15を通過し、孔空きミラー14の孔部14a、撮影絞り16、合焦レンズ17、変倍レンズ18、結像レンズ19を経由して跳ね上げミラー20に導かれる。跳ね上げミラー20は観察時に撮影光学系2の撮影光路に挿入され、眼底Efからの反射像が跳ね上げミラー20により反射されて接眼光学系24に導かれ、眼底像が観察される。
【0004】
光学部材8は合焦指標投影系25の一部を構成し、後述する指標光を照明光学系1の照明光路に合流させる役割を有する。その光学部材8には図2に示されているように透明板の一面側に縦方向に間隔を開けて一対の反射面8a、8bが形成されている。合焦指標投影系25は指標光発生用の光源26、コンデンサレンズ27、スプリットプリズム28、29、指標板30、リレーレンズ31、ミラー32を有する。指標板30は図3に分解斜視図で示されているように一対の透過窓30a、30bを有する。一対の指標光はスプリットプリズム28、29を透過屈折して、指標板30の一対の透光窓30a、30b、リレーレンズ31を透過した後、ミラー32で反射され、光学部材8の反射面8a、8bで反射されることにより照明光路に合流される。その一対の透過窓30a、30bは合焦指標投影系25の光軸O2を挟んで対称位置に配置され、その一対の透過窓30a、30bを透過した一対の指標光により一対の指標が形成され、その一対の指標はリレーレンズ10と黒点板12との間の中間点R1で一次空中結像され、その中間点R1で一次空中結像された一対の指標は孔空きミラー14と対物レンズ15との間の中間点R2で二次空中結像され、対物レンズ15を介して、眼底Efに投影される。撮影者が例えば合焦レンズ17を撮影光学系2の光軸O3に沿って移動させると、スプリットプリズム28、29、指標板30から構成されるスプリットプリズムユニット33がその合焦レンズ17の移動に連動して光軸O2に沿って移動し、撮影者は、この一対の指標を観察しつつこれが一致する方向に合焦レンズ17を移動させて眼底像の合焦を行う。
【0005】
【解決しようとする課題】
この従来の眼底カメラの光学系では、被検眼が近視の場合、合焦レンズ17の被検眼Eから光軸に沿って遠ざかる方向の移動に連動して、スプリットプリズムユニット33がリレーレンズ31に近づく方向に移動し、一対の指標が一次空中結像される中間点R1が黒点板12に近づく方向に移動するため、その一対の指標が黒点12aによってケラレるおそれがあり、特に被検者が強度の近視の場合、眼底Efに投影された一対の指標の一部が欠けて、一対の指標の分離・合致を判断しずらく、オートファーカス機構を有する眼底カメラの光学系では、その正確な作動を保証し難いこととなる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、被検眼が近視の場合でも、一対の指標が黒点によってケラレるのを確実に防止できる眼底カメラの光学系を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる眼底カメラの光学系は、上記課題を解決するため、照明光源からの照明光を被検眼に対向して配設された対物レンズを介して被検眼の眼底に照射する照明光学系と、前記被検眼の眼底により反射されて前記対物レンズを通過した反射像を該対物レンズの後方に配設された撮影絞りを介して受像することにより眼底像を撮影する撮影光学系と、合焦用の指標を形成する指標光を前記眼底に投影する合焦指標投影光学系とを備え、
前記照明光学系の照明光路には、前記対物レンズへの前記照明光の入射の際に該照明光の一部を表面反射する表面反射面に関して前記撮影絞りと共役な位置に有害反射光除去用の黒点を有する黒点板が設けられ、該黒点板と前記照明光源との間の照明光路には、前記合焦用の指標を前記照明光路に合流させる光学部材が設けられ、前記黒点は前記照明光学系の光軸と同心であり、前記指標は前記黒点に対して偏心され、光学部材は照明光を透過し、指標光を反射する反射ミラーであり、被検眼の虹彩と略共役な位置に設けられている。
【0008】
本発明によれば、一対の指標が黒点に対して偏心されているので、一対の指標が黒点を避けて黒点板を通過することとなり、従って、一対の指標の一次空中結像が黒点板に近づけられたとしても、その一対の指標が黒点によってケラレるのを防止できる。
【0009】
好ましくは、その反射ミラーは透明板と一対の反射面とから構成され、一対の反射面は横方向に間隔を開けている。更に、好ましくは、照明光と指標光との波長が互いに異なっている。この場合、照明光は可視光であり、指標光は赤外光であるのが望ましい。また、照明光と指標光とが波長の互いに異なる赤外光であっても良く、指標光の波長が長波長側にずれているとなお良い。合焦指標投影光学系は指標形成用の2孔絞りを有し、2孔絞りの2個の孔が被検眼に対して縦に配列されていても良いが、横に配列することが被検眼の上瞼により一対の指標の一方がケラレないようにするために望ましい。更に、その一対の指標が被検眼の下部に投影されるのが、指標を撮影者に見やすくさせるうえで望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】
【実施の形態1】
図4は本発明に係わる眼底カメラの実施の形態1の光学系を示し、この光学系において、従来例と同一構成要素については同一符号を付して説明することとする。
【0012】
この発明では、合焦指標投影光学系25のリレーレンズ31の光軸O2に対してコンデンサレンズ27の光軸O4が上方向に偏心されている。光源26、指標板30の中心O5はコンデンサレンズ27の光軸O4と同軸に配置され、光軸O2に対して偏心されている。指標板30には従来と同様にスプリットプリズム28、29が貼着されると共に、透過窓30a、30bが形成されている。その指標板30とスプリットプリズム28、29とからなるスプリットプリズムユニット33の配置は図1に示す従来の指標板30とスプリットプリズム28、29とからなるスプリットプリズムユニット33の配置に対して90度回転している。すなわち、図4に示す指標板30とスプリットプリズム28、29とからなるスプリットプリズムユニット33を下側から目視したとき、このスプリットプリズムユニット33は、図5に示すように、図1に示す従来の指標板30とスプリットプリズム28、29とからなるスプリットプリズムユニット33を横から見た場合と同一空間配置をとることとなる。この一対の透過窓30a、30bは縦方向に配列され、指標板30の中心O5を境に対称的に形成されている。その一対の指標(透過窓)はリレーレンズ31、ミラー32、光学部材8、リングスリット9、リレーレンズ10、ミラー11を経由して黒点板12の手前の中間点R1で一次空中結像される。その一対の指標の一次空中結像点の中心を代表して符号O5´で示す。この中心O5´は指標板30の中心O5の空中結像点であり、この中心O5´は照明光学系1の光軸O1に対して下方向に偏心している。その一対の指標は黒点12aを避けて黒点板12を通過し、リレーレンズ13、孔空きミラー14を経由して対物レンズ15とその孔空きミラー14との間の中間点R2で二次空中結像される。その一対の指標の一次空中結像点の中心を代表して符号O5´´で示す。この中心O5´´は照明光学系1(対物レンズ15)の光軸O1に対して上方向に偏心している。その一対の指標は対物レンズ15により眼底Efの中心よりも下側に投影され、図7(イ)〜図7(ハ)において、符号q1、q2は眼底Efに投影された指標像を示している。その一対の指標像q1、q2は眼底Efの下側に形成されているので、撮影者はその一対の指標像q1、q2を無理なく楽に肉眼視することができる。
【0013】
照明光学系1の光学部材8の中心O6とリレーレンズ31の光軸O2とは同心とされ、その中心O6は被検眼Eの虹彩Iと共役とされている。その光学部材8は図2に示す光学部材8を90度回転させて照明光学系1の照明光路に配置され、従って、その反射面8a、8bは図8に示すように横方向に間隔を開けた空間配置をとることとなる。その反射面8a、8bを横方向に配列した理由は以下の通りである。従来のように、一対の指標光を縦方向に配列された反射面8a、8bにより反射させることとすると、一対の指標の一方が被検眼の上瞼によってケラレ易くなるからである。光学部材8を被検眼Eの虹彩Iと共役とした理由は、以下の通りである。光学部材8を虹彩Iと共役とし、眼底Efとは非共役としたので、反射面8a、8bの像が眼底Efに形成されるのを防止できるのに加え、光学部材8の両面にゴミ、ほこり等の異物が付着したとしても、かつ、光学部材8の両面に傷が発生したとしても、その異物の像、傷の像が眼底Efに投影されるのを防止できる。なお、照明光学系1の作用は従来と同様である。
【0014】
撮影光学系2には画角50度用の従来の変倍レンズ18と交換可能に画角35度用の変倍レンズ18´、画角20度用の変倍レンズ18´´が設けられている。図7において、(イ)は画角50度の変倍レンズ18を撮影光路に挿入して接眼光学系24を通して眼底Efを肉眼視した場合を示し、(ロ)は画角35度の変倍レンズ18´を撮影光路に挿入して接眼光学系24を通して眼底Efを肉眼視した場合を示し、(ハ)は画角20度の変倍レンズ18´´を撮影光路に挿入して接眼光学系24を通して眼底Efを肉眼視した場合を示している。なお、図6(イ)、(ロ)において、符号Pは乳頭、符号P´は中心窩を示している。接眼光学系24には反射プリズム22の手前に視野絞り22´が設けられている。合焦レンズ17は被検眼Eが正視眼のときには0位置に維持され、遠視の時には光軸O3に沿って+方向に移動され、近視の時には光軸O3に沿って−方向に移動される。スプリットプリズムユニット33はその合焦レンズ17の移動に連動して光軸O2に沿って移動され、一対の指標の一次空中結像点としての中間点R1は被検眼Eが近視の時、光軸O1に沿って黒点12aに近づく方向に移動することとなるが、一対の指標は黒点12aに対して偏心しているので、黒点12aによってケラレるのを防止できる。撮影者はその合焦レンズ17を光軸O3に沿って移動させると、一対の指標像q1、q2が、図7(イ)〜図7(ハ)において矢印y方向に移動し、この一対の指標像q1の下縁q1´と指標像q2の上縁q2´との合致・非合致に基づき眼底像の合焦状態を検出できる。
【0015】
なお、一対の指標の黒点12aに対する偏心量、指標板の移動量等は、変倍の大きさ等を考慮して決定する。
【0016】
【実施の形態2】
図9は本発明に係わる眼底カメラの実施の形態2の光学系を示し、この光学系において、従来例と同一構成要素については同一符号を付して説明することとする。この発明の実施の形態2では、指標光投影光学系25は、2個の赤外LED34、35と1個のスリット開口36aを有するスリット板36とリレーレンズ31と2個の孔37a、37bを有する2孔絞り37とリレーレンズ31´とから構成されている。そのスリット開口36aの中心はリレーレンズ31の光軸O2に対して上側に偏心されている。赤外LED34、35は交互に点滅され、一方の赤外LED34から出射された赤外光はスリット開口36aを通って2孔絞り37の一方の孔37aを通って眼底Efに投影され、他方の赤外LED35から出射された赤外光はスリット開口36aを通って2孔絞り37の他方孔37bを通って眼底Efに投影される。この発明の実施の形態2では、指標光投影光学系25は実施の形態1の構成とは異なる構成とされているが、実施の形態1の構成と同じものを用いても良い。照明光学系1には、照明光源3の可視照明光をコンデンサレンズ4に向けて反射する凹面鏡3´が設けられている。リングスリット7を挟んでその両側には、リングスリット7´、7´´が設けられ、リングスリット7´は被検眼Eの角膜と共役とされ、リングスリット7´´は被検眼Eの水晶体の後面と共役とされている。リングスリット7´とコンデンサレンズ6との間には、可視蛍光撮影を行う時には可視蛍光用のエキサイタフィルタ37が挿入されると共に、撮影者の色の好みに応じてフィルタ38が挿入される。光学部材8には、指標光の波長と照明光の波長とが異なっており、指標光の波長(中心波長850nm)を全透過させるために、ダイクロイックミラーが用いられている。撮影光学系2には、撮影絞り16と合焦レンズ17との間の撮影光路に、必要に応じて視度補正レンズ38、乱視補正レンズ39が挿入される。また、可視蛍光撮影時にはバリアフィルタ40が挿入される。接眼光学系24にはダイクロイックミラー41が設けられ、このダイクロイックミラー41は赤外光を透過し、可視光を反射する特性を有し、図10はそのダイクロイックミラー41の光学特性を示しており、光学部材8として用いるダイクロイックミラーの光学特性もこれと同様の光学特性を有し、指標光850nmよりも少し短い波長(800nm近傍)から急速に立ち上がる曲線Crを描いている。その図10において、横軸は光の波長を示し、縦軸は透過率を示す。
【0017】
そのダイクロイックミラー41の後面には、微小反射ミラー42が設けられている。この微小反射ミラー42の反射方向前方には光検出手段としての一次元ラインセンサ43が設けられている。一次元ラインセンサ43は一対の指標の偏心方向と同一方向にθ1だけ偏心して設けられ、この一次元ラインセンサ43は眼底Efと共役関係を保つように配置されている。その一次元ラインセンサ43は一対の指標光を受光する。その一次元ラインセンサ43の配設方向と指標像q1、q2との関係が図11(イ)ないし図11(ハ)に示されている。この図11において、符号43´は一次元ラインセンサ43の共役像を示している。指標像q1、q2は赤外光であるため、肉眼視できないが、ここでは、説明の便宜のため、肉眼視できるものとして図11にあえて示した。眼底像が合焦状態にないときには、破線で示すように、指標像q1と指標像q2とが点滅しつつスプリットして投影される。眼底像が合焦状態にあるときには、実線で示すように、指標像q1と指標像q2とが重なるために、常時点灯しているかのようにして、眼底Efに投影される。一次元ラインセンサ43の受光出力は図示を略すオートフォーカス用の処理回路に入力されている。その処理回路は一方の指標光の受光出力と他方の受光出力との差分をとり、この差分出力が所定の許容幅内に収束するように合焦レンズ17を駆動する。その原理は特公昭62−51618号公報の第(3)頁第5欄第7行から同欄第28行までに記載されているので必要とあれば同公報を参照されたい。
【0018】
ダイクロイックミラー41は図示を略すTVリレーレンズが装着されて、TVカメラで眼底像を撮像するときには、破線で示すように、TVリレーレンズの撮影光路Xから退避される。符号X´はその眼底Efの共役点を示し、TVリレーレンズは共役点X´に空中結像された眼底像をTVカメラにリレーする。接眼光学系24には、ダイクロイックミラー41と接眼レンズ23との間に、フィールドレンズ44が設けられている。フィールドレンズ44には図12に示すようにクロスヘアー45が設けられると共に、一次元ラインセンサ43の検出範囲を表示するために、オートフォーカス領域を示す指示枠46が設けられている。
【0019】
以上、実施の形態2について説明したが、変形例として以下に説明する構成が考えられる。
【0020】
【変形例】
赤外蛍光撮影を行うときには、照明光学系1の照明光路に可視蛍光用のエキサイタフィルタ37の代わりに図示を略す赤外蛍光用のエキサイタフィルタを挿入し、撮影光学系2の撮影光路に可視蛍光用のバリアフィルタ40の代わりに図示を略す赤外蛍光用のバリアフィルタを挿入する。図13において、実線Y1は赤外蛍光用のエキサイタフィルタの透過特性を示し、破線Y2は赤外蛍光用のバリアフィルタの透過特性を示している。この変形例の光学部材8のダイクロイックミラーの光学特性、ダイクロイックミラー42の光学特性は、その赤外蛍光用のエキサイタフィルタ、バリアフィルタの透過特性に応じて、図14に示すように、図10に示す光学部材8のダイクロイックミラーの光学特性、ダイクロイックミラー42の光学特性に対して100nmほど長波長側にずれる構成とされ、これに応じて赤外LED34、35の中心波長も100nmほど長波長側にずれて、950nmとされている。なお、赤外蛍光撮影を行う場合には、赤外のレーザーダイオードを使用する構成とすることもできる。この場合には、赤外蛍光用のエキサイタフィルタは不要である(特開平7−51232号公報参照)。
【0021】
ここで、指標光の赤外波長を赤外蛍光用としての照明光の赤外波長よりも長波長側にずらしたわけは、同一波長域とすると、指標光が照明光に埋もれからであり、また、光学系の構成をダイククイックミラーの光学特性を変更するのみで、赤外蛍光撮影を容易に行うことができるからである。
【0022】
なお、視度補正レンズ38、乱視補正レンズ39を撮影光学系2の撮影光路に挿入するような屈折異常が被検眼Eにある場合には、合焦用の指標の機能、オートフォーカス機能を停止させることとする。
【0023】
また、これらの発明の実施の形態では、合焦指標光学系のうち、その光源から指標までを全て偏心させているが、偏心量があまり大きくなければ、指標のみを偏心させる構成としても構わない。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係わる眼底カメラの光学系は、以上説明したように、黒点に対して指標が偏心されているので、被検眼が近視の場合でも、その指標が黒点によってケラレるのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の眼底カメラの光学系を示す図である。
【図2】 図1に示す光学部材の平面図であって、指標光を反射する反射面の配列方向を説明するための図である。
【図3】 図1に示す指標板とスプリットプリズムとからなる組立体の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】 発明の実施の形態1に係わる眼底カメラの光学系を示す図である。
【図5】 図4に示す指標板とスプリットプリズムとからなる組立体の空間配置を説明するための図であって、(イ)はその組立体を下側から目視した場合を示す、(ロ)は(イ)に示す組立体を右側から目視した場合を示す。
【図6】 図4に示す光学系において、眼底に投影された一対の指標像を接眼光学系を介して目視した場合を示し、(イ)は画角50度、(ロ)は画角35度、(ハ)は画角20度をそれぞれ示している。
【図7】 図4に示す光学部材の平面図であって、指標光を反射する反射面の配列方向を説明するための図である。
【図8】 発明の実施の形態2に係わる眼底カメラの光学系を示す図である。
【図9】 ダイクロイックミラーの反射特性を示す光学特性図である。
【図10】 図8に示す光学系において、眼底に投影された一対の指標像を接眼光学系を介して目視した場合を示し、(イ)は画角50度、(ロ)は画角35度、(ハ)は画角20度をそれぞれ示している。
【図11】 図8に示すフィールドレンズに設けられたクロスヘアーと合焦用指示枠とを示す図である。
【図12】 赤外蛍光撮影用のエキサイタフィルターとバリアフィルターとを説明するための光学特性図である。
【図13】 変形例の場合のダイクロイックミラーの光学特性図である。
【符号の説明】
1…照明光学系
2…撮影光学系
12…黒点板
12a…黒点
15…対物レンズ
16…撮影絞り
25…合焦指標投影光学系
E…被検眼
Ef…眼底
O1…照明系1の光軸
q1、q2…指標像

Claims (10)

  1. 照明光源からの照明光を被検眼に対向して配設された対物レンズを介して被検眼の眼底に照射する照明光学系と、前記被検眼の眼底により反射されて前記対物レンズを通過した反射像を該対物レンズの後方に配設された撮影絞りを介して受像することにより眼底像を撮影する撮影光学系と、合焦用の指標を形成する指標光を前記眼底に投影する合焦指標投影光学系とを備え、
    前記照明光学系の照明光路には、前記対物レンズへの前記照明光の入射の際に該照明光の一部を表面反射する表面反射面に関して前記撮影絞りと共役な位置に有害反射光除去用の黒点を有する黒点板が設けられ、該黒点板と前記照明光源との間の照明光路には、前記合焦用の指標を前記照明光路に合流させる光学部材が設けられ、前記黒点は前記照明光学系の光軸と同心であり、前記指標は前記黒点に対して偏心され、前記光学部材は前記照明光を透過しかつ前記指標光を反射する反射ミラーであり、前記被検眼の虹彩と略共役な位置に設けられている眼底カメラの光学系。
  2. 前記照明光と前記指標光との波長が互いに異なっている請求項1に記載の眼底カメラの光学系。
  3. 前記照明光は可視光であり、前記指標光は赤外光である請求項1に記載の眼底カメラの光学系。
  4. 前記照明光と前記指標光とが波長の互いに異なる赤外光であり、前記指標光の波長が長波長側にずれている請求項1に記載の眼底カメラの光学系。
  5. 前記合焦指標投影光学系は前記指標形成用の2孔絞りを有し、該2孔絞りの2個の孔が前記被検眼に対して横に配列されている請求項1に記載の眼底カメラの光学系。
  6. 前記撮影光学系から分岐して接眼光学系が設けられ、その光軸より下の方向に前記指標の偏心方向が対応している請求項1に記載の眼底カメラの光学系。
  7. 前記指標が前記被検眼の下部に投影される請求項1に記載の眼底カメラの光学系。
  8. 前記反射ミラーは前記照明光を透過する透明板と該透明板に形成されて一対の指標光をそれぞれ反射する一対の反射面とから構成され、一対の反射面は横方向に間隔を開けて設けられている請求項1に記載の眼底カメラの光学系。
  9. 前記指標光を検出する光検出手段が前記撮影光学系から分岐させた位置に設けられ、前記接眼光学系に前記光検出手段の検出範囲を表示したことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の眼底カメラの光学系。
  10. 前記光検出手段が指標の偏心方向と同一の方向に偏心していることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の眼底カメラの光学系。
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