JP3653563B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータの回転数を制御するモータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、モータ制御装置の従来の技術について説明する。図4はモータ制御装置の従来例を示す断面構成図であり、この図において符号101は制御回路を有するセラミック基板、102はセラミック基板101上に実装されたICであり、このIC102は制御回路の一部により構成されている。なお、図4にはIC102のみ示し、制御回路の他の部分は図示しない。また、103はセラミック基板101上に実装されたモータへ制御された電圧を印加するためのパワー素子、104はパワー素子103から発せられる熱を放熱するためのヒートシンク、105はセラミック基板101、パワー素子103並びにヒートシンク104を収納し、保護するためのインサート成形されたケースであり、105aはインサート(GND)、105bはこのモータ制御装置の取り付け部でケース105により形成しているものである。また、符号106は樹脂により構成されたカバー、107はノイズ対策のための鉄製のシールドカバーをそれぞれ示している。
【0003】
次に、上記のような従来のモータ制御装置の構造について説明する。モータの制御回路を有するセラミック基板101は、モータへ電圧を印加するためのパワー素子103から発せられる熱を放熱するために、アルミダイカスト製のヒートシンク104に接着剤により接着され、固定されている。
【0004】
また、インサート成形されたケース105およびカバー106は、セラミック基板101、IC102並びにパワー素子103を保護することおよびモータや電源などの外部との接続を目的としており、ヒートシンク104とケース105、およびケース105とカバー106がそれぞれ接着剤によって固定され、セラミック基板101上に取り付けられた制御回路と接続するリードフレーム101aとケース105に一体成形されているインサートとは溶接によって接続されている。
【0005】
このモータ制御装置は、ノイズ対策のために鉄製のシールドカバー107により覆われており、このモータ装置を取り付ける際に、記載していないネジによって止めることでヒートシンク104に電気的に接地している。さらに、シールド効果を向上させるために、セラミック基板101の制御回路に接続されたインサート(GND)105aは取り付け部105bに露出しており、ヒートシンク104に電気的に接続され接地されている。
【0006】
なお、別の従来技術が特開平8−18183号公報に開示されている。この技術によれば、混成集積回路装置の構成要素であるコイル等の発熱部品の下部にスリットを設けて絶縁体を挟み込み、放熱性を保持したままでコイルとアルミ放熱板との絶縁性を確保することが可能となるというものであり、ノイズ対策のシールドカバーを有するモータ制御装置の構造例が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の図4に示したようなモータ制御装置は以上のように構成されているため、部品点数が多く組み立て性が悪いという問題があった。また、シールド効果を得るための部品点数が多いためにシールド部品とGNDとの接続の信頼性にも問題があり、十分なシールド効果を得ることができなかった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、電波免疫性を損なうことなく部品点数を削除でき組み立て性を向上させ、また、パワー素子の放熱性を妨げることのない安価なモータ制御装置を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明によるモータ制御装置は、ICを含む制御回路が一面に配置された基板、上記基板の他面に接して配置されたヒートシンク、上記制御回路と電気的に接続され、制御対象となるモータに電圧を印加するパワー素子を備えたモータ制御装置において、上記基板の他面と上記ヒートシンクの一面の一部の間に隙間を設け、かつ上記制御回路のGNDと上記ヒートシンクとを電気的に非接続とするものである。
【0010】
また、この発明によるモータ制御装置は、上記のような構成において、基板の他面とヒートシンクの一面との間の隙間は、ICが配置された領域に形成されているものである。
【0011】
さらに、この発明によるモータ制御装置は、上記のような構成において、基板はセラミック基板であり、パワー素子は、上記基板のICが配置されていない領域に配置するものである。
【0012】
また、この発明によるモータ制御装置は、上記のような構成において、基板の他面とヒートシンクの一面との間の隙間は、上記基板の外周以外の領域に形成し、上記基板の外周において、上記基板の他面と上記ヒートシンクとが接し、上記隙間を形成した領域に位置する上記基板の一面にICを配置したものである。
【0013】
さらに、この発明によるモータ制御装置は、上記のような構成において、基板はプリント基板であり、パワー素子は、上記基板の他面と接するヒートシンクの一面の延在した面上に配置するものである。
【0014】
また、この発明によるモータ制御装置は、上記のような構成において、基板の他面とヒートシンクの一面との間の隙間の間隔は1mm程度の大きさとするものである。
【0015】
さらに、この発明によるモータ制御装置は、上記のような構成において、基板、ICおよびパワー素子は樹脂製のケースおよびカバーによって保護され、上記ケースおよび上記カバーはヒートシンクとは電気的に非導通であるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明によるモータ制御装置の断面構成図を示している。この図において、符号1はICを含む制御回路を有するセラミック基板、1aはセラミック基板上に取り付けられたリードフレーム、2はセラミック基板1上に実装されたICであり、このIC2は制御回路の一部を構成している。また、3はセラミック基板1の上面(セラミック基板1の一面に相当する。)に実装されたモータへ制御された電圧を印加するためのパワー素子、4はパワー素子3から発せられる熱を放熱するためのヒートシンクであり、セラミック基板1の裏面(セラミック基板1の他面に相当する。)とヒートシンク4の上面(ヒートシンク4の一面に相当する。)が接し、ヒートシンク4はセラミック基板1の外周よりもさらに外側に張り出した状態に形成され、IC2が配置形成された領域においては、セラミック基板1とヒートシンク4との間に隙間4aが設けられた状態となっている。
【0017】
さらに、符号5はセラミック基板1、IC2、パワー素子3、ヒートシンク4を格納し、保護するためのインサート成形された樹脂により構成されるケース、5aはインサート、5bはこのモータ制御装置の取り付け部であり、ケース5の一部によって構成されている。また、符号6は、このモータ制御装置の表面を保護するための樹脂により構成されるカバーを示しており、鉄製のカバーは含まれていない。
【0018】
次に、図1に示すモータ制御装置の構造について詳細に説明する。モータの制御回路を有するセラミック基板1は基板の上面にIC2を含む制御回路およびパワー素子3が実装されたものであり、パワー素子3から発せられる熱を放熱するためのアルミダイカストなどの金属製のヒートシンク4に接着剤により接続され、固定されている。なお、ヒートシンク4はセラミック基板1上に実装されたIC2の周辺に1mm以上の隙間4aを設けた構造となっている。ヒートシンク4と接着剤により固定されたセラミック基板1はインサート成形されたケース5およびカバー6により収納され、保護されている。
【0019】
ヒートシンク4とケース5は接着剤によって固定され、また、ケース5はモータや電源などの外部との接続を目的としておりセラミック基板1に取り付けられた制御回路と接続するリードフレーム1aとケース5のインサート5aとは溶接によって接続されている。
なお、ヒートシンク4とケース5のインサート5aとは電気的な接続を施しておらず、ヒートシンク4とケース5およびカバー6とは電気的に非導通であり、またシールドカバーに相当するものは設けていない。
【0020】
次に、この発明によるモータ制御装置と、従来の構造の図4に示すモータ制御装置の誤動作開始電界強度測定結果を図2に示し、比較検討する。
図2は、電界強度(V/ m)の搬送波周波数(MHz)依存性を示すものである。この図2から、従来のモータ制御装置を用いた場合は、搬送波周波数400〜800MHzで、電界強度はおよそ60〜170V/ mの範囲で変動し、不安定であり、誤動作の原因となっていることが分かる。
これに対し、この発明によるモータ制御装置を用いた場合、400〜1000MHzの搬送波周波数の範囲において、電界強度は安定値を保ち、誤動作を起こすことはない。
【0021】
このように、モータ制御装置のIC2の配置領域に相当する領域のヒートシンク4とセラミック基板1との間に隙間4aを設け、IC2をヒートシンク4から浮かすこと、および制御回路のGNDとヒートシンク4とを電気的に接続しないこと、つまりIC2をGNDから遠ざけることにより、電波免疫性を向上させることが可能である。なお、隙間4aはIC2周辺にのみ設けることにより、パワー素子3の放熱を妨げることはない。
この発明によるモータ制御装置は、例えば軽四車用のラジエータファンのコントローラに適用することが可能である。
【0022】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2のモータ制御装置について説明する。図3は、実施の形態2のモータ制御装置の断面構成図である。
図3において符号1bはICを含む制御回路を有するプリント基板であり、また8はパワー素子3をヒートシンク4に固定するためのネジを示しており、その他、既に説明のために用いた符号と同一符号は同一、若しくは相当部分を示すものである。
【0023】
実施の形態1においては、パワー素子3がセラミック基板1上に載置された例を示したが、この実施の形態2では、基板としてプリント基板1bを用いており、パワー素子3をプリント基板1b上に実装すると放熱が十分に行えず、プリント基板1bの耐熱温度を超える可能性があるため、パワー素子3はヒートシンク4上に直接的に接するように載置されている。また、IC2を搭載するプリント基板1bはヒートシンク4に固定されているが、IC2の配置された位置およびその周囲に位置する領域はヒートシンク4から浮いた状態となっており、両者の間には隙間4aが設けられている。
【0024】
なお、リードフレーム1aに溶接されたインサート5aとヒートシンク4とは電気的に接続された状態とはなっておらず、また、従来技術のシールドカバーに相当するものは設けていない。また、ネジ8を用いてパワー素子3とヒートシンク4とを接続する例を示したが、接着剤によって接続することも可能である。
【0025】
この実施の形態2の場合も、実施の形態1の場合と同様に、樹脂ケース5はモータや電源などの外部との接続を目的としているため、プリント基板1bに取り付けられた制御回路と接続するリードフレーム1aとケース5のインサート5aとは溶接により接続されている。
【0026】
以上のように構成されているため、この実施の形態2によるモータ制御装置は実施の形態1の場合と同様に、隙間4aをヒートシンク4に設けIC2を浮かすことおよび制御回路のGNDとヒートシンク4を電気的に接続しないこと、つまりICをGNDから遠ざけることにより電波免疫性を向上させることが可能であることは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】
この発明のモータ制御装置によれば、基板とヒートシンクの一面の間に隙間を設け、かつ上記制御回路のGNDと上記ヒートシンクとを電気的に非接続とすることによって、ICをGNDから遠ざけることができ、電波免疫性を向上させることが可能となる。また、従来ではモータ制御装置の構成要素として用いていたノイズ対策のための鉄製のシールドカバーを廃止でき、部品数を少なくすることが可能であるため、組み立て性を向上させることができる。
【0028】
さらに、この発明のモータ制御装置によれば、基板とヒートシンクの一面との間の隙間は、ICが配置形成された領域に設け、上記ICが配置されていない他の領域に位置する上記基板は上記ヒートシンクと接している状態とするため、基板に発熱する素子が配置された場合においても、その放熱を妨げることはない。
【0029】
また、この発明のモータ制御装置によれば、パワー素子は、ICが配置されていない領域に位置する基板に配置するため、このパワー素子の発熱をヒートシンク側に放熱することを妨げることはない。
【0030】
さらに、この発明のモータ制御装置によれば、基板とヒートシンクの一面との間の隙間は、上記基板の外周以外の領域に設け、上記基板の外周において、上記基板と上記ヒートシンクとが接し、上記隙間を形成した領域に位置する上記基板の上面にICを配置するため、ICをGNDから遠ざけることができ、電波免疫性を向上させることが可能である。
【0031】
また、この発明のモータ制御装置によれば、パワー素子は、基板と接するヒートシンクの一面の延在した面上に配置するため、パワー素子の発熱をヒートシンク側に放熱させることが可能となる。
【0032】
さらに、この発明のモータ制御装置によれば、基板とヒートシンクの一面との間の隙間の間隔は1mm程度の大きさとすることで、十分に電波免疫性を向上させることが可能である。
【0033】
また、この発明のモータ制御装置によれば、ケースおよびカバーは樹脂によって構成されているもののみを用いており、従来のように鉄製のシールドカバーを用いることなく、十分な電波免疫性を確保した上で、安価に製品を製造することが可能となる。また、ケース及びカバーはヒートシンクとは電気的に非導通であるため、ケース及びカバーを介して、ヒートシンクと制御回路とが電気的に接続させない構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるモータ制御装置を示す断面構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の説明に必要な図である。
【図3】 この発明の実施の形態2によるモータ制御装置を示す断面構成図である。
【図4】 従来の技術の説明のために必要な図である。
【符号の説明】
1. セラミック基板 1a. リードフレーム 1b. プリント基板、
2. IC 3. パワー素子 4. ヒートシンク、
4a. 隙間 5. ケース 5a. インサート、
5b. 取りつけ部 6. カバー 8ネジ。

Claims (4)

  1. ICを含む制御回路が一面に配置された基板、上記基板の他面に接して配置されたヒートシンク、上記制御回路と電気的に接続され、制御対象となるモータに電圧を印加するパワー素子を備えたモータ制御装置において、上記基板、ICおよびパワー素子を樹脂製のケースおよびカバーによって格納保護し、上記ケースおよび上記カバーはヒートシンクとは電気的に非導通とすると共に、上記基板の少なくともICが配置された領域の他面と上記ヒートシンクの一面の一部の間に隙間を設け、かつ上記制御回路のGNDと上記ヒートシンクとを電気的に非接続とすることにより、電波免疫性を向上させるようにしたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 基板はセラミック基板であり、パワー素子は、上記基板のICが配置されていない領域に配置することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 基板はプリント基板であり、該基板の他面とヒートシンクの一面との間の隙間は、上記基板の外周以外の領域に形成し、上記基板の外周において、上記基板の他面と上記ヒートシンクとが接し、上記隙間を形成した領域に位置する上記基板の一面にICを配置すると共に、パワー素子は、上記基板の他面と接するヒートシンクの一面の延在した面上に配置することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 基板の他面とヒートシンクの一面との間の隙間の間隔は1mm程度の大きさであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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