JP3653321B2 - カメラ用フォーカルプレンシャッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ用のフォーカルプレンシャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近のフォーカルプレンシャッタは、各々複数枚の羽根を複数のアームで枢支して先羽根群と後羽根群とを構成し、各羽根群のアームを各駆動部材によって回動させることにより、アパーチャの開閉作動を行わせるようにしている。そして、この種のシャッタは、例えば特開平1−280739号公報に開示されているように、各駆動部材の枢軸をシャッタ地板の一方の面に立設し、各羽根群のアームの枢軸をシャッタ地板の他方の面に立設しているのが普通である。そのため、組立時には、先ず一方の面に該駆動部材や、その駆動制御を行う電磁石等を組付け、その後、該シャッタ地板を裏返して、各羽根群等を他方の面に組付けるようにしていた。
【0003】
しかしながら、このように各部品をシャッタ地板に両面から組付けるようにすると、組立作業の自動化が難しいという見地から、実公平6−41226号公報に記載のものが提案されている。このシャッタは、完成状態でレンズ側となる部品から順次フィルム側の部品を組付けて行くようにし、組立作業の自動化を容易にしたものである。そして、駆動部材を枢支した収容室と羽根群を枢支した収容室とを隔離するために補助部材(下板構造部材)を特設し、羽根群の枢軸をこの補助部材に立設するようにしている。そのため、この補助部材が駆動部材の枢軸の先端を受けているとはいえ、駆動部材の枢軸と羽根群の枢軸とは別部材に立設されていることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、駆動部材の枢軸と羽根群の枢軸との間には、厳しい位置精度が要求されることは周知である。しかるに、上記の実公平6−41226号公報に記載のものは、駆動部材の枢軸と羽根群の枢軸とが別部材に立設されているため、両部材の加工精度を一段と良くしなければならず、また、両部材同志の組立精度も良くしなければならないという問題点がある。更に、上記の補助部材を特設することから部品点数が多くなるという問題点がある。更には、電磁石等の端子をプリント配線板に接続するようにする場合には、結局はシャッタ地板(台板構造部材)を裏返して半田付けしなければならないという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高精度な作動特性を有するシャッタ開閉機構を、従来に比べて特に組立精度に配慮することなく、容易に一方向から組付けられるようにしたカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、露光用の開口部を有しフィルム側に配置されたベース部材と、該開口部に対向させる露光用の開口部を有しレンズ側に配置されたカバー部材との間に、各駆動部材によって走行される先羽根群と後羽根群との羽根室を構成したカメラ用フォーカルプレンシャッタにおいて、先羽根群と後羽根群の各枢軸と、前記駆動部材の各枢軸とを含む複数の軸を、前記ベース部材のレンズ側の面に光軸と略平行に立設して、前記先羽根群と前記後羽根群と前記各駆動部材とを前記各々の枢軸に対してレンズ側から組付けるようにする。
【0007】
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、前記各羽根群が複数枚の羽根と複数のアームで構成されており、また前記駆動部材の各枢軸にはその軸方向に二つの軸受部が設けられており、該枢軸には該羽根群のアームの一つと該駆動部材とが枢支されているようにする。
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、前記ベース部材に立設された一部の軸の先端部が、レンズ取付け部材の取付け部であるようにする。
【0008】
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、前記ベース部材が合成樹脂製であり、前記各羽根群の枢軸、前記各駆動部材の枢軸、前記ベース部材と前記カバー部材との間に配置される羽根室構成用の間座、前記羽根群の光軸方向への動きを押さえる羽根押さえ板、光軸と直交する方向からの羽根室への遮光用折曲部、のうち少なくとも一つを該ベース部材と一体成形にて形成するようにする。
【0009】
更に、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、前記ベース部材が合成樹脂製であり、前記複数の軸を一体成形にて形成し、該ベース部材のフィルム側の面をフィルムとの接触面とし、その面にガイドレールを形成するようにする。
更にまた、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、前記ベース部材が、フィルムとの接触面を有するカメラ本体部品と合成樹脂で一体成形されているようにする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、各々図1乃至図5に示した五つの実施例について説明する。図1乃至図4は各実施例の分解斜視図であり、図5はシャッタユニットとカメラボデーとの組立構成を示す説明図である。また、各実施例の説明に用いられる符号は、実質的に同じ部材,同じ部位に同じ符号を用いている。
【0011】
第1実施例
先ず、図1によって本発明の第1実施例を説明する。カメラに組み込まれたとき、一番フィルム面側に配置されるベース基板1は合成樹脂製であって、略中央部に露光用の開口部1aを有している。このベース基板1には、光軸に平行に、長い二つの軸1b,1cと、短い二つの軸1d,1eと、四つ(一つは先羽根群の陰にかくれている)の軸付きの間座1fとが、一体成形によって設けられている。そして、軸1b,1cは、三つの段部を形成した直径の異なる四つの軸部からなり、一番細い軸部の先端には図面上明らかではないがネジ穴が形成されている。
【0012】
このベース基板1には、更に、四つの可撓性を有する爪1gと、肉厚に形成した羽根押さえ部1hと、遮光用折曲部1iとが一体成形されている。羽根押さえ部1hは、先羽根群を構成している各羽根の先端が光軸方向へ移動し、羽根間の密着性が損なわれるのを防止するために、該移動を押さえる役目をしており、これにより従来この位置に配置されていた後述するような羽根押さえ板を設けずに済むようにしている。また、遮光用折曲部1iは、光軸に対して直交するようにして図の右上方から入射する光を遮るためのものである。図の右上方はカメラの上側になり、一眼レフカメラにおいてファインダ系からの漏光が入射してくる方向に当たっている。
【0013】
先羽根群2は、4枚の羽根2a,2b,2c,2dと、それらを枢支する二つのアーム2e,2fから構成されている。アーム2eには二つの孔2e1 ,2e2 が形成され、アーム2fには二つの孔2f1 ,2f2 が形成されている。中間板3には、略中央部に露光用の開口部3aが形成され、四隅には孔3bが形成されているが、図においては夫々の一部が後羽根群の陰に隠れている。後羽根群4は、4枚の羽根4a,4b,4c,4dと、それらを枢支する二つのアーム4e,4fから構成されている。アーム4eには二つの孔4e1 ,4e2 が形成され、アーム4fには二つの孔4f1 ,4f2 が形成されている。
【0014】
羽根押さえ板5は、二つの孔5aを有しており、後羽根群4を構成している各羽根4a,4b,4c,4dの先端が光軸方向へ移動し、羽根間の密着性が損なわれるのを防止するために、該移動を押さえる役目をしている。カバー基板6は合成樹脂製であって、略中央部に露光用の開口部6aを有している。このカバー基板6には、光軸に平行な軸付きの台座6bと、孔付きの台座6c,6dとが、一体成形によって設けられている。また、略四隅には係合部6eと孔6fとが夫々形成され、更にその外に三つの孔6g,6h,6iと二つの弧状孔6j,6kが形成されている。
【0015】
先羽根駆動部材7と後羽根駆動部材8は、夫々、筒部7a,8a、駆動ピン7b,8b、鉄片取付部7c,8cを有している。鉄片取付部7c,8cには電磁石に吸引保持される鉄片が取り付けられるが、その構成は周知であり且つ特に明示することもないので図示を省略している。駆動バネ9,10は、夫々一端を駆動部材7,8に掛け、該駆動部材7,8を時計方向へ付勢するコイルバネである。また、ラチェット筒11,12には夫々駆動バネ9,10の他端が掛けられ、製作時にラチェット筒11,12を回転させることによって、ばね力を調整するようになっている。駆動部材7,8とラチェット筒11,12に駆動バネ9,10を掛けるための構成は周知であるため詳細な説明を省略する。
【0016】
セット部材13は、駆動部材7,8を反時計方向へ回転させてシャッタをチャージさせる部材であり、筒部13aと、各駆動部材7,8に係合する押動部13b,13cを有していて、組立状態においては図示していないバネによって反時計方向へ付勢されるようになっている。2箇所で折り曲げられた取付け板14には、その下段部に孔14aが、上段部に孔14b,14cが形成されている。また、下段部には四つ一組の小さい孔群が二組形成され、上段部には下方への折曲部14fが形成されている。この折曲部14fには、明示されていないが、左右に爪部が形成されており、それらの爪部はラチェット筒11,12の外周に形成されているラチェット歯に係合する。
【0017】
電磁石15,16は、コイルを巻回した略U字形の鉄心15a,16aを枠体15b,16bに取り付けたものであり、この枠体15b,16bには、上方に各々二つの端子15b1 ,16b1 と一つの位置決めピン15b2 ,16b2 が設けられ、下方には各々4本一組の位置決めピン15b3 ,16b3 が設けられている。プリント配線板17には各二つ一組の孔17a,17bが形成され、その外にも孔17c,17d,17e,17fが形成されている。ビス18,19は、これまで説明した全ての部品をベース基板1に順次組付けた後、最後に止めるためのものである。
【0018】
次に、上記した各部品の組立て方を説明する。先ず、ベース基板1に先羽根群2を組付けるが、その場合にはアーム2eの孔2e1 を軸1bの一番太い軸部に、またアーム2fの孔2f1 を軸1dに各々回転可能に嵌合させる。アーム2fの孔2f2 は図示していない周知のバネ掛け用の孔であり、このバネは、先羽根群2の各枢着部における嵌合公差(ガタ)に影響されず、先羽根群2の走行が安定して行われるようにするために、アーム2fを偏倚させるためのものである。次に、中間板3の四隅の孔3bを、間座1fに嵌め込む。
【0019】
その後、後羽根群4を組付けるが、そのときには先羽根群2の場合と同様にして、アーム4eの孔4e1 を軸1cの一番太い軸部に、またアーム4fの孔4f1 を軸1eに嵌合させる。孔4f2 の存在理由は上記した孔2f2 の場合と同じである。後羽根群4のための羽根押さえ板5は、その二つの孔5aを、ベース基板1の開口部1aの右側にある二つの間座1fに嵌め込む。カバー基板6の組付けは、台座6c,6dの孔を軸1b,1cの二番目に太い軸部に、また孔6g,6hを軸1d,1eの細い軸部に、更に四つの孔6fを間座1fの軸部に嵌め込み、最後に四つの爪1gを係合部6eに係合させベース基板1に止めるようにする。孔6iはカメラ本体への取付け孔である。
【0020】
先羽根駆動部材7の組付けは、筒部7aを軸1bの三番目に太い軸部に回転可能に嵌め込み、駆動ピン7bを弧状孔6jを貫通させてアーム2eの孔2e2 に嵌合させる。同様にして、後羽根駆動部材8は、筒部8aを軸1cに嵌め込み、駆動ピン8bを弧状孔6kを貫通させてアーム4eの孔4e2 に嵌合させる。駆動バネ9,10を、駆動部材7,8の各筒部7a,8aに巻装した後、ラチェット筒11,12を上記した軸1b,1cの三番目に太い軸部に回転可能に嵌め込む。他方、セット部材13の筒部13aを台座6bの軸部に嵌合させる。
【0021】
次に、取付け板14を組付けるには、孔14aを台座6bの軸部に、また孔14b,14cを夫々軸1b,1cの一番細い軸部に嵌合させる。そして、電磁石15,16の各四つの位置決めピン15b3,16b3を、取付け板14の孔群14d,14eに嵌め込む。その後、プリント配線板17を組付けるが、その組付け方は、夫々二つの孔17a,17bを電磁石15,16の端子15b1,16b1に、また孔17c,17dを電磁石15,16の位置決めピン15b2,16b2に、更に17e,17fを軸1b,1cに嵌め込む。そして、最後に、軸1b,1cの先端に形成された図示していないネジ穴に、ビス18,19を螺合させて止める。
【0022】
このようにして、全部品が組付けられた後、端子15b1,16b1をプリント配線板17に半田付けし、駆動バネ9,10の調整を行う。この調整は、取付け板14の折曲部14fに形成された図示していない爪部を夫々ラチェット筒11,12から外し、ラチェット筒11,12を回転させ、所期のばね力の得られる位置で該爪部を夫々ラチェット筒11,12に噛合させるようにして行う。
上記のように、本実施例によれば、プリント配線板17も含めて全ての部品を同一方向から組付けることができ、しかも重要な軸は全てベース基板1に立設しているので部品間の調整が殆ど不要であり、組立作業が極めて容易となっている。
【0023】
尚、上記の実施例の露光作動は、当業者であれば極めて容易に理解できるところであるが、簡単に説明をしておく。セット部材13を時計方向へ回転させると、駆動部材7,8に設けられた図示していない被押動部を押動部13b,13cで押し、駆動部材7,8を反時計方向へ回転させる。駆動部材7,8は駆動バネ9,10を緊張させ、鉄片取付部7c,8cに取り付けられた図示していない鉄片が電磁石15,16の鉄心15a,16aに接触した位置で停止する。この状態がシャッタのチャージ状態であり、先羽根群2は展開状態となり、開口部1a,3a,6aを覆っており、後羽根群4は重畳状態となって、開口部1a,3a,6a外で格納状態となっている。
【0024】
カメラのシャッターボタンを押すと、最初に電磁石15,16のコイルに通電され、駆動部材7,8が磁気的に吸着保持される。その段階で、セット部材13は駆動部材7,8から離れ図示していないバネによって退避位置に復帰する。次に、制御回路によって順次電磁石15,16に対する通電が断たれ、先ず先羽根駆動部材7が駆動バネ9によって、次に後羽根駆動部材8が駆動バネ10によって夫々時計方向へ回転し、所定のスリットを形成して露光走行を行う。そして、最後に、先羽根群2は重畳状態となって開口部1a,3a,6a外で格納状態となり、また後羽根群4は展開状態となって開口部1a,3a,6aを覆い、露光作動を終了する。
【0025】
第2実施例
次に、図2を用いて本発明の第2実施例を説明する。既に述べたように、本実施例については、第1実施例と実質的に同じ部品、同じ部位には同じ符号を付け、異なる点についてのみ説明する。本実施例のベース基板1にも四つ(一つは先羽根群2の陰にかくれている)の軸付きの間座1fが一体成形によって形成されているが、そのうち軸1bに一番近い位置にある間座1fの軸部の先端には、図面上明らかではないがネジ穴が形成されている。また、本実施例においては、第1実施例において軸1b,1cの近傍に形成されていた二つの爪1gが形成されておらず、開口部1aを挟んで反対側に二つ形成されているだけである。
【0026】
先羽根群2の構成は、第1実施例の場合と全く同じである。後羽根群4の構成も、第1実施例の場合と全く同じである。また、本実施例においては、第1実施例における羽根押さえ板5を設けていない。本実施例においては、該羽根押さえ板5に代えて、カバー基板6に、ベース基板1の羽根押さえ部1hと同様な肉厚の羽根押さえ部6mを形成している。
【0027】
本実施例においては、カバー基板6に、第1実施例における取付け板14を設けなくて済むような工夫がなされている。即ち、カバー基板6は、開口部6aのセット部材13を枢着する側が一体成形によって二段構成になっており、その上段部に二つの孔6n,6pが形成され、またラチェット筒11,12に噛合する爪部6q,6rが形成されている。また、軸付きの台座6bは、その軸部が長く形成され、その先端部にネジ穴が形成されている。従って、セット部材13の筒部13aも長くなっている。駆動部材7,8には、明示されていないが、下方にも筒部7a,8aと同じような筒部が、同心的且つ所定の長さで設けられている。
【0028】
駆動バネ9,10と、ラチェット筒11,12とは、第1実施例の場合と全く同じである。電磁石15,16は、枠体15b,16bの形状が第1実施例のものと異なっている。即ち、下方の位置決めピンは設けられておらず、その代わり上方の位置決めピン15b2 ,16b2 が3本に増えている。そのため、プリント配線板17には、該位置決めピン15b2 ,16b2 を嵌め込むために各々三つの孔17g,17hが形成されている。このプリント配線板17には、その外、孔17iが形成されている。更に、本実施例においては、新たにビス20,21が必要となる。
【0029】
次に、組立て方を説明する。ベース基板1に対する先羽根群2、中間板3、後羽根群4の組付け方は、第1実施例の場合と同じである。その後、本実施例においてはカバー基板6を組付ける前に、各駆動部材7,8、駆動バネ9,10、ラチェット筒11,12を軸1b,1cに組付ける。その場合、上記したように駆動部材7,8の下側に設けられた図示していない筒部が、軸1b,1cの二番目に太い軸部に嵌合する。そして、該筒部の先端面の一部は、アーム2e,4eが図において上方へ大きく移動しないように押さえることになる。従って、該筒部に代えて筒状の間座を嵌合させるようにしてもよい。尚、この状態においては、各駆動部材7,8の本体部の厚さを含む筒部7a,8aは、第1実施例の場合と同様に軸1b,1cの三番目に太い軸部に嵌合している。
【0030】
この状態でカバー基板6を組付ける。その場合、孔6n,6pを軸1b,1cの一番細い軸部に、また四つの孔6fを間座1fの軸部に嵌め込み、その後、二つの爪1gを各係合部6eに係合させると共に、軸部の先端にネジ穴を形成した間座1fにビス20を螺合させ、ベース基板1に止めるようにする。次に、セット部材13の筒部13aを台座6bの軸部に嵌合させる。尚、この構成においては、アーム2f,4fに対する軸1d,1eからの抜け止め手段を設けていないが、アーム2e,4eが駆動部材7,8によって軸方向への移動を押さえられていることと、各羽根群2,4が大きな平面的構成体であることから、抜ける心配は全くない。必要ならば、Eリングを取り付けるようにしてもよい。
【0031】
本実施例においては、プリント配線板17に予め電磁石15,16を組付けておく。その組付け方は、電磁石15,16の端子15b1,16b1を夫々二つの孔17a,17bに、また電磁石15,16の三つの位置決めピン15b2,16b2を夫々三つの孔17g,17hに嵌め込み、端子15b1,16b1をプリント配線板17に半田付けする。その後、プリント配線板17の孔17e,17fを軸1b,1cに嵌め込み、孔17iを台座6bの軸部に嵌め込む。そして、最後に、軸1b,1c及び台座6bの軸部の各先端に形成された図示していないネジ穴に、ビス18,19,21を螺合させて止める。
【0032】
このように、本実施例によれば、全ての部品を同一方向から組付けることができ、しかも主な軸は全てベース基板1に立設しているので部品間の調整が殆ど不要であり、組立作業が極めて容易となっている。
尚、本実施例の露光作動は、第1実施例の場合と同じであるため、その説明を省略する。
【0033】
第3実施例
次に、図3を用いて本発明の第3実施例を説明する。本実施例については、第1実施例及び第2実施例の場合と実質的に同じ部品、同じ部位には同じ符号を付け、主に異なる点についてのみ説明する。本実施例のベース基板1は、軸1b,1cが太さの異なる三つの軸部を有している以外は、第2実施例におけるベース基板1と同じである。また、中間板3は第1実施例と全く同じである。本実施例が第1実施例及び第2実施例の場合と大きく異なる点は、先羽根群2と後羽根群4の構成にある。
【0034】
本実施例の先羽根群2と後羽根群4は、各々アーム2e,4eが、第1実施例及び第2実施例における各駆動部材7,8を兼用している点に特徴がある。即ち、各アーム2e,4eは合成樹脂製であって、各羽根2a〜2d,4a〜4dとの枢着部の厚さが順次変わるように形成されており、しかも軸1b,1cに回転可能に嵌合する筒部2e3 ,4e3 が形成され且つ鉄片取付部2e4 ,4e4 が形成されている。
【0035】
本実施例のカバー基板6は、第2実施例において、孔6n,6p、爪部6q,6rを形成している上段部を設けず、且つ台座6bを第1実施例の台座6bと同じにした以外は第2実施例のカバー基板6と略同じである。また、駆動バネ9,10、ラチェット筒11,12、セット部材13、取付け板14、電磁石15,16、プリント配線板17の各形状は、第1実施例に示した各部材の形状と全く同じであるため、細部の説明は省略する。
【0036】
次に、本実施例の組立て方を簡単に説明する。ベース基板1に対する先羽根群2、中間板3、後羽根群4の組付け方は、第1実施例の場合と殆ど同じである。異なる点は、本実施例においてはアーム2e,4eの筒部2e3 ,4e3 を軸1b,1cに嵌合させる点である。その後、カバー基板6を組付ける。その場合、四つの孔6fを間座1fの軸部に嵌め込み、その後、二つの爪1gを各係合部6eに係合させると共に、軸部の先端にネジ穴を形成している間座1fにビス20を螺合させ、ベース基板1に止めるようにする。尚、アーム2f,4fの抜け止めについては第2実施例において説明した通りであり、むしろ、アーム2e,4eに筒部2e3 ,4e3 が設けられた関係で本実施例の方が有利といえる。
【0037】
その後、台座6bの軸部にセット部材13を回転可能に取り付け、また、ベース基板1の軸1b,1cに駆動バネ9,10、ラチェット筒11,12、取付け板14を取り付け、更に、プリント配線板17をビス18,19によって軸1b,1cに取り付ける前に電磁石15,16を取付け板14に取り付けるが、それらの組付け方は第1実施例の場合と同じであるから、説明を省略する。
【0038】
このように、本実施例によれば、全ての部品を同一方向から組付けることができ、しかも主な軸は全てベース基板1に立設しているので部品間の調整が殆ど不要であり、組立作業が極めて容易となっている。
尚、本実施例の露光作動は、鉄片取付部2e4 4e4 に取り付けられた図示していない鉄片部材を、電磁石15,16の鉄心15a,16aに吸着保持させるようにする以外は、第1実施例及び第2実施例の場合と同じであるため、その説明を省略する。
【0039】
第4実施例
次に、図4を用いて本発明の第4実施例を説明する。本実施例においても、上記各実施例の場合と実質的に同じ部品、同じ部位には同じ符号を付け、主に異なる点についてのみ説明するが、本実施例は上記各実施例のようにシャッタユニットとして組立てる場合ではなく、カメラ本体側の部品と共に組立てるようにした場合の実施例であるため、図4においては上記の各実施例に示した一部の部品の図示を省略し、且つ図示した部品もこれまで示したものと実質的に同等のものには細部の形状を簡略化して示してある。
【0040】
カメラボデー22は合成樹脂製であり、露光用の開口部22aが形成されている。このカメラボデー22には、光軸に平行に、長い三つの軸22b,22c,22dと、短い二つの軸22e,22fと、三つの軸付きの間座22gとが、一体成形によって設けられている。そして、軸22b,22cは直径の異なる五つの軸部からなり、一番細い軸部の先端には図面上明らかではないがネジ穴が形成されている。また、軸22dは直径の異なる二つの軸部からなり、細い軸部の先端には図面上明らかではないがネジ穴が形成されている。三つの軸付きの間座22gの先端にも、夫々図面上明らかではないがネジ穴が形成されている。更に、羽根押さえ部22hと、遮光用折曲部22iも一体成形されている。
【0041】
先羽根群2は、3枚の羽根2a,2b,2cと、それらを枢支する二つのアーム2e,2fから構成されている。アーム2eには二つの孔2e1 ,2e2 が形成され、アーム2fには孔2f1 が形成されている。中間板3は、第3実施例のものと同じである。後羽根群4は、3枚の羽根4a,4b,4cと、それらを枢支する二つのアーム4e,4fから構成されている。アーム4eには二つの孔4e1 ,4e2 が形成され、アーム4fには孔4f1 が形成されている。
【0042】
本実施例のカバー基板6は、第1実施例のものと可なり似ている。異なる点は、四つの係合部6eと、孔6iとが形成されていないことと、逆に羽根押さえ板5に代わる羽根押さえ部6mが形成されていることである。その他、一部、形状的に異なる部位もあるが、実質的には第1実施例のものと同じである。ところで、本実施例においても第1実施例のものと同じ駆動部材7,8、駆動バネ9,10、ラチェット筒11,12、セット部材13、取付け板14、電磁石15,16、プリント配線板17が設けられているが、それらの殆どは図示を省略されており、駆動部材7,8とセット部材13のみが図示されている。
【0043】
更に、本実施例においては、カメラ本体側の前板23をシャッタと共に取り付けるようになっている。この前板23は、通常、レンズユニットを取り付けるものであり、そのマウント部23aが形成されている。また、この前板23は、ミラーボックス23bと一体化することが多く、本実施例においてはその場合を示してある。その外、前板23には取付け用の三つの孔23cが形成されている。更に、取付け用のビス24,25,26が新たに用意されている。
【0044】
次に、本実施例の組立て方を簡単に説明する。カメラボデー22に対する先羽根群2の組付け方は、第1実施例の場合と同じである。中間板3は、四つの孔3bを、三つの間座22gと軸22dに嵌め込むようにする。後羽根群4の組付け方は、第1実施例の場合と同じである。カバー基板6は、四つの孔6fを三つの間座22gの軸部と軸22dに嵌め込み、また、孔6c,6dを軸22b,22cに、孔6g,6hを軸22e,22fに嵌め込む。そして、間座22gの軸部に形成されたネジ穴にビス20,25,26を螺合させ、カメラボデー22に止めるようにする。
【0045】
その後、第1実施例の場合と同じように、台座6bの軸部にセット部材13を回転可能に取り付け、また、軸22b,22cの三番目に太い軸部に駆動部材7,8、駆動バネ9,10、ラチェット筒11,12を嵌め込む。次に、取付け板14を軸22b,22cの四番目に太い軸部に嵌め込み、そこに電磁石15,16を取付ける。更に、プリント配線板17を嵌め込んだ後、前板23を軸22b,22c,22dの一番細い軸部に嵌め込んで、各軸部のネジ穴にビス18,19,24を螺合させ、組付けを終了する。
【0046】
このように、本実施例によれば、全ての部品を同一方向からカメラボデー22に組付けることができ、しかも主な軸は全てベースとなるカメラボデー22に立設しているので部品間の調整が殆ど不要であり、組立作業が極めて容易且つ効率的に行える。
尚、本実施例の露光作動は、上記した各実施例の場合と実質的に同じであるため、その説明を省略する。
【0047】
第5実施例
最後に、図5を用いて本発明の第5実施例を説明する。本実施例においては、カメラボデー22に、第4実施例における開口部22aよりも大きな開口部22bが形成されている。この開口部22bに、第1乃至第3実施例のシャッタユニットのベース基板1が嵌め込まれ、カメラボデー22に取り付けられることになる。従って、本実施例においては、ベース基板1が従来のカメラ本体側の部品の一部を兼用したことになる。そのため、ベース基板1のフィルム側の面にはフィルムの摺接する2本のレール部Lが形成されている。
【0048】
また、この図では、上記の各実施例で説明したシャッタの開閉機構部をブロックで示しており、符号Mを付けてある。更に、本実施例においては、ベース基板1が従来のカメラボデーの一部を兼用することから、カバー基板6に形成される取付け用の孔6iが複数箇所に設けられている。
このような本実施例においても、全ての部品を同一方向から組付けることができ、しかも主な軸は全てベース基板1に立設しているので部品間の調整が殆ど不要であり、組立作業が極めて容易且つ効率的に行える。
【0049】
尚、上記の各実施例においては、駆動部材7,8とラチェット筒11,12とを、軸1b,1cの同じ太さの軸部に嵌合させるものとして説明したが、実際にはもう一つ異なる太さの軸部を設け、別々の軸部に嵌合させるのが普通である。図面が見にくくなるため、便宜上、上記のように説明した。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、シャッタのベース基板やカメラボデーのようなベース部材に対して、全ての部品を同一方向から組付けることができ、しかも主な軸は全てベース部材に立設しているので、部品間の調整が殆ど不要であり、しかも部品点数も従来と変わりなく、組立作業が極めて容易且つ効率的に行えるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の分解斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例の分解斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例の分解斜視図である。
【図4】本発明の第4実施例の分解斜視図である。
【図5】本発明の第5実施例の説明図であり、シャッタユニットとカメラボデーとの組立構成を示している。
【符号の説明】
1 ベース基板
1b,1c,1d,1e,22b,22c,22d,22e,22f 軸
1f,22g 軸付き間座
1g 爪
2 先羽根群
2e,2f,4e,4f アーム
2e1 ,2f1 ,3b,4e1 ,4f1 ,5a,6f,6g,6n,6p,14a,14b,14c,17a,17b,17c,17d,17e,17f,17g,17h,17i,23c 孔
3 中間板
4 後羽根群
5 後羽根押さえ板
6 カバー基板
6b,6c,6d 軸付き台座
6e 係合部
7 先羽根駆動部材
2e3 ,4e3 ,7a,8a,13a 筒部
8 後羽根駆動部材
9,10 駆動バネ
11,12 ラチェット筒
13 セット部材
14 取付け板
15,16 電磁石
15b1 ,16b1 端子
15b2 ,15b3 ,16b2 ,16b3 位置決めピン
17 プリント配線板
18,19,20,21,24,25,26 ビス
22 カメラボデー
23 前板

Claims (6)

  1. 露光用の開口部を有しフィルム側に配置されたベース部材と、該開口部に対向させる露光用の開口部を有しレンズ側に配置されたカバー部材との間に、各駆動部材によって走行される先羽根群と後羽根群との羽根室を構成したカメラ用フォーカルプレンシャッタにおいて、先羽根群と後羽根群の各枢軸と、前記駆動部材の各枢軸とを含む複数の軸を、前記ベース部材のレンズ側の面に光軸と略平行に立設して、前記先羽根群と前記後羽根群と前記各駆動部材とを前記各々の枢軸に対してレンズ側から組付けるようにしたことを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  2. 前記各羽根群が複数枚の羽根と複数のアームで構成されており、また前記駆動部材の各枢軸にはその軸方向に二つの軸受部が設けられており、該枢軸には該羽根群のアームの一つと該駆動部材とが枢支されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  3. 前記ベース部材に立設された一部の軸の先端部が、レンズ取付け部材の取付け部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  4. 前記ベース部材が合成樹脂製であり、前記各羽根群の枢軸、前記各駆動部材の枢軸、前記ベース部材と前記カバー部材との間に配置される羽根室構成用の間座、前記羽根群の光軸方向への動きを押さえる羽根押さえ部、光軸と直交する方向からの羽根室への遮光用折曲部、のうち少なくとも一つを該ベース部材と一体成形にて形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  5. 前記ベース部材が合成樹脂製であり、前記複数の軸を一体成形にて形成し、該ベース部材のフィルム側の面をフィルムとの接触面とし、その面にガイドレールを形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  6. 前記ベース部材が、フィルムとの接触面を有するカメラ本体部品と合成樹脂で一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
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