JP3561337B2 - カメラ用駆動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、カメラに内蔵され、シャッタの開閉作動や、絞りの開口調整作動や、距離調整時,変倍時におけるレンズの移動等を電動で行うのに適したカメラ用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近のカメラは、小型化,低コスト化が要求されている反面、上記のような各作動を電動で行えるようにすることが要求されている。そのため、それらの駆動装置は、基板に対して取り付け面積を極力少なくすることは基より、部品点数を少なくし且つ基板面に対して嵩高にならないように構成しなければならない。そのような要求の中にあって、光軸の側方位置に駆動装置を配置するに当たり、光軸に対して径方向への寸法を出来るだけ小さくし且つ光軸方向の薄型化を図るべく、光軸を中心にして円弧状に配置することのできるモータを用いることが知られており、実開平1−116583号公報記載のものも含め数多くの提案がなされている。
【0003】
このタイプのモータは、コイルを巻回した鉄芯(ヨーク)部材の脚部を、着磁された回転子の周面の一部に対向させて配置したものであるが、該回転子と該鉄芯部材の取り付け構成は、一旦、二枚の枠部材の間に取り付けてから基板へ取り付けるようにする場合と、枠部材の一方を省略し、基板と他方の枠部材の間に取り付けるようにした場合とがあり、基板面に対して嵩高にならず薄く構成したいときには、後者の取り付け構成が有利となる。
【0004】
ところで、このようなタイプのモータをカメラに用いるに当たっては、一般に減速歯車機構が必要となる。そこで、上記した後者の取り付け構成のモータと、この減速歯車機構とを基板の同一面に配置する場合には、減速歯車と鉄芯(ヨーク)部材との間に、少なくとも減速歯車の回転軸を支承するために、支承板を介在させる必要がある。そのような事例を図5によって説明する。この図は断面図であるため平面的な配置が分かりにくいが、実施例の説明に用いている第2図と同様にして切断した図であるため、不明確な平面構成については実施例の説明に用いている第1図との対比において類推することが可能である。
【0005】
図5は絞り開口の調整作動を行う駆動装置を示したもので、基板31とカバー板32との間には羽根室が形成され、3枚の絞り羽根33(1枚のみ示す)が収容されている。駆動リング34は光軸を中心に回転可能に配置されており、そのピン34aは、光軸を中心に円弧状に形成された孔31aと、絞り羽根33に形成された円孔とを貫通し、その先端はカバー板32に円弧状に形成された溝32a内に嵌入している。また、絞り羽根33のピン33aはカバー板32に形成されたカム溝32b内に嵌入している。
【0006】
基板31には支承板35がビス36によって止められており、回り止めの意味も含めてピン31bを支承板35の孔に嵌合させている。支承板35の上には一方の鉄芯部材37が載置されている。この鉄芯部材37はピン35aに嵌合しており、その脚部にはコイル37aが巻回されている。もう一方の鉄芯部材38は、その脚部にコイル38aを巻回しており、水平位置が鉄芯部材37と同じになるようにして基板31に載置され、図示していないビスによって基板31に取り付けられている。枠部材39は合成樹脂製であって、可撓性のあるフック部39aを係合部35bに係合させ、夫々鉄芯部材37を支承板35に、また鉄芯部材38を基板31に押しつけるようにし、支承板35に取り付けられている。尚、上記のピン35aが孔39bに嵌合している。
【0007】
永久磁石40aを有する回転子40が、基板31と枠部材39に軸受けされており、その周面が鉄芯部材37,38の脚部の端面に対向するように配置されている。また、この回転子40には一体的に出力歯車41が形成されている。相互に噛合している減速歯車42,43は、夫々基板31と支承板35に軸受けされており、減速歯車42は出力歯車41に、また減速歯車43は駆動リング34の歯部34bに噛合している。従って、この構成によって、回転子40の回転は減速されて駆動リング34に伝達され、回転子40が一方方向へ回転した場合には絞り開口を大きくし、逆方向へ回転した場合には小さくすることができるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように支承板を設けた構成は、少なくとも支承板の厚さ寸法分だけ光軸方向(図5において上下方向)にスペースを必要とするため、光軸方向に対する装置全体としての薄型化にとって極めて不利であり、また、その存在によって部品点数,組立工数等の点からコスト的にも不利であり、これらの点についての構造的な改善策が要望されていた。
【0009】
本発明は、このような点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、従来のような支承板を設けず、減速歯車を、モータ回転子をカバーしている枠部材と基板とによって支承することにより、薄型化と低コスト化を図ることのできるカメラ用駆動装置を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、回転子と減速歯車との組み付け後に、上記枠部材が減速歯車を支承している面の反対面に、鉄芯部材を簡単に組み付けることができるようにしたカメラ用駆動装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用駆動装置は、永久磁石を有する回転子と、前記回転子の周面に所定の間隔で対向配置された複数の脚部を有し少なくともその一つの脚部にコイルを巻回している鉄芯部材と、前記回転子と一体的に回転する出力歯車と、前記出力歯車に噛合し自己の回転軸の一端を基板に指示されており前記回転子の回転を被駆動部材に伝達する少なくとも一つの減速歯車と、前記基板に取り付けられ該基板との間で少なくとも前記回転子を囲むと共に前記減速歯車の回転軸の他端を支持していて該減速歯車の回転軸を支持している面と反対の面に前記鉄芯部材を取り付けている枠部材とで構成する。
この構成によって、駆動装置を相対的に薄型化し且つ低コスト化を図ることができる。また、この構成によって、鉄芯部材の組み付けを、駆動装置全体の組み立て作業の最終段階で簡単に行えるようになる。
【0011】
また、本発明のカメラ用駆動装置は、好ましくは、前記枠部材に、前記鉄芯部材の脚部を前記回転子の周面に対して所定の対向位置に配置するための規制部を形成するようにする。
この構成によって、既に組み付けられている回転子と、最終段階で組み付けられる前記鉄芯部材との位置合わせが簡単となる。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例を図1乃至図3を用いて説明する。本実施例は、本発明を一眼レフカメラの自動絞り装置に適用した例であって、図1は最小絞り開口状態を示す平面図であり、図2は図1の要部を一部展開状態で示した断面図であり、図3は絞り全開状態を示す平面図である。
【0013】
最初に、図1及び図2を用いて本実施例の構成を説明する。外形が略円形をしている基板1の中央部には光軸を中心に円形状の開口部1aが形成されている。この基板1の背面側には略同一の外形形状をしたカバー板2が取り付けられており、カバー板2の中央部には図示していないが開口部1aと略同一形状の開口部が形成され、それらの開口部によって被写体光をカメラ内部に導入するようになっている。基板1とカバー板2との間には羽根室が形成され、3枚の絞り羽根3が収容されている。
【0014】
駆動リング4は基板1上で光軸を中心に回転可能に配置されており、三つのピン4aは、夫々基板1に光軸を中心にして円弧状に形成された孔1bと、各絞り羽根3に形成された円孔とを貫通し、その先端はカバー板2に円弧状に形成された溝2a内に嵌入している。また、絞り羽根3のピン3aはカバー板2に形成されたカム溝2b内に嵌入している。枠部材5は合成樹脂製であって、2箇所において夫々可撓性のあるフック部5aを基板1の係合部1cに係合させ、基板1に取り付けられている。尚、位置決めのために基板1のピン1dが枠部材5の孔5bに嵌合している。
【0015】
枠部材5の上には二つの鉄芯部材6が載置されている。各鉄芯部材6は、孔6aをピン5cに嵌合させ、フック部5dによって取り付けられている。各鉄芯部材6は、夫々二つの脚部6b,6cを有し、各脚部6bには夫々コイル6dが巻回されている。枠部材5には円筒部5eが形成されており、各鉄芯部材6の脚部6b,6cは、夫々それらの先端部を、円筒部5eに個別に設けられた孔5fに挿入している。
【0016】
4極構成の永久磁石7aを有する回転子7が、基板1と枠部材5に軸受けされており、その周面が各鉄芯部材6の脚部6b,6cの端面に対向するように配置されている。また、この回転子7には一体的に出力歯車8が形成されている。相互に噛合している減速歯車9,10は、夫々基板1と枠部材5に軸受けされており、枠部材5に対する軸受け部は、一方の鉄芯部材6(図1において右側の鉄芯部材)を取り付けている位置の反対面となっている。そして、減速歯車9は出力歯車7に、また減速歯車10は駆動リング4の歯部4bに噛合している。従って、この構成によって、回転子7の回転は減速されて駆動リング4に伝達され、回転子7が一方方向へ回転した場合には絞り開口を大きくし、逆方向へ回転した場合には小さくすることができるようになっている。
【0017】
次に、本実施例の作動を説明する。既に述べたように、本実施例は一眼レフカメラの自動絞り装置である。このような絞り装置の場合には、カメラの不使用時には、フォーカルプレンシャッタからの漏光防止対策として、絞り羽根3を出来るだけ絞り込むようにしておくのが普通である。図1はこのような状態を示しており、3枚の絞り羽根3によって開口部1aの殆どが閉鎖され、最小開口状態となされている。そこで、撮影に先立って電源スイッチを閉じると、周知のように二つの鉄芯部材6の夫々のコイル6aにパルス電流が供給され、回転子7は時計方向へ回転する。
【0018】
回転子7の時計方向への回転は、出力歯車8,減速歯車9,10を介して駆動リング4に伝えられ、駆動リング4は反時計方向へ回転される。このとき、絞り羽根3は駆動リング4のピン4aによって動かされるが、絞り羽根3のピン3aがカム溝2bに案内されて、光軸から徐々に遠ざかっていくため、3枚の絞り羽根3によって形成されている開口の大きさが徐々に大きくなり、やがて開口部1aを全開した状態で停止する。この状態が図3に示されている。従って、この状態では、ハーフミラーによってファインダに導かれる被写体光が最大となるので、被写体像が見やすくなる。
【0019】
このようにして被写体像を捕らえシャッタをレリーズすると、シャッタが開閉走行を行う前に、ハーフミラーのはね上げと相前後して、二つのコイル6aに電流を供給し、上記とは逆のパルス制御を行う。従って、回転子7は反時計方向へ回転し、出力歯車8,減速歯車9,10を介して駆動リング4は時計方向へ回転する。そのため、3枚の絞り羽根3は徐々に開口面積を絞り込み、所定の絞り開口位置で停止する。このときの停止位置、即ち絞り開口の大きさは、予め撮影者が選択する場合もあるし、測光回路によって自動的に決定される場合もある。その後シャッタが開閉されるが、その作動が終了するとハーフミラーが原位置へ復帰すると共にコイル6aに通電して回転子7を時計方向へ回転させ、絞り羽根3を図1の状態に復帰させ、一連の作動が終了する。
【0020】
上記の説明からも分かるように、この構成によって、図5に示した支承板35が不要となるので、駆動装置を全体的に薄型化し且つ低コスト化を図ることができ、特に円筒部5e以外の部分において薄型化が顕著となる。また、この構成によれば、鉄芯部材6の組み付けを駆動装置全体の組み立て作業の最終段階で行うので、組み立て作業がし易く、万が一、組み立て作業終了後において鉄芯部材6の位置調整,組み付け直し等を必要とする場合にも極めて有利となる。更に、鉄芯部材6の組み付けは、先ず脚部6b,6cの先端を円筒部5eに形成された個別の孔5fに挿入し、次に孔6aをピン5cに嵌合させてフック部5dで固定するので、回転子7の周面に対して各脚部6b,6cの端面の位置合わせが簡単となる。
【0021】
上記のように本実施例に用いられているモータは、回転子7が4極であって各鉄芯部材6には二つの脚部6b,6cが設けられているが、本発明においては、図4に示すように、回転子17が6極であって各鉄芯部材16には三つの脚部16b,16c,16dが設けられ、脚部16bに夫々コイル16eが巻回されているようなモータを用いることも可能であり、回転子の極数や脚部の数が限定されるものではない。尚、図4において孔16aは、上記実施例における孔6aに相当する孔である。また、各鉄芯部材16の脚部16b,16cの各端面と回転子17の周面との間隔は同じであるが、脚部16dの端面と回転子17の周面との間隔はΔdだけ大きくなっており、脚部16dは補極の役割をしている。
【0022】
この図4に示されているモータの作動について簡単に説明しておく。先ず、図4において、回転子17と右側の鉄芯部材16との関係について説明する。図の状態は静止位置を示しており、この状態では脚部16cは回転子17のN極に正対しているが、脚部16b,16dは上記N極を挟んでいる各S極との対向位置が上記N極寄りとなっている。従って、コイル16eに通電し、脚部16bの先端がS極となり、脚部16c,16dの先端がN極となると、回転子17には、脚部16b,16cによって反発力が、また脚部16dによって吸引力が作用するため、回転子17は時計方向へ回転する。
【0023】
回転子17が60度回転した時、コイル16eに逆方向に通電すると、各脚部16b,16c,16dの極性が反転し、回転子17は更に時計方向へ60度回転する。このように交互にパルス制御されることによって、回転子17は時計方向へ60度ずつ回転し、コイル16eへの通電が行われなければ、その位置で停止する。従って、回転子17は、右側の鉄芯部材16との関係においては時計方向にのみ回転される。他方、回転子17の左側にある鉄芯部材16は、右側の鉄芯部材16と対称的な構成をしているので、上記したようなコイル16eに対するパルス制御によって、回転子17を反時計方向へのみ60度ずつ回転させることができる。
【0024】
上記の実施例は、本発明を自動絞りの駆動装置に適用した場合で説明したが、前にも述べたように本発明はシャッタ開閉用の駆動装置としても、またレンズ繰り出し用の駆動装置としても適用することができるものである。また、被駆動部材(実施例においては駆動リング4)は往復回転するものに限定されず、直線的に往復作動するものも、また一方方向へ回転するものも含まれる。特に、レンズ繰り出し装置の場合には比較的一方方向へ回転させるようにすることが考えられる。被駆動部材を一方方向へ回転させるようにした駆動装置に図4に示したモータを適用する場合には、一方の鉄芯部材が不要となるため、スペース的にもコスト的にも有利となる。
【0025】
【発明の効果】
上記のように、本発明は、モータ回転子をカバーしている枠部材と基板とによって減速歯車を支承するので、全体として光軸方向の高さを薄型化することができ、カメラの設計上スペース的に極めて有利である。しかも部品点数が少なくなって低コスト化を図ることも可能となる。また、回転子と減速歯車との組み付け後に、鉄芯部材を、減速歯車を支承している上記枠部材の反対面に組み付けるようにできるので、組み付け作業が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】最小絞り開口状態を示す実施例の平面図である。
【図2】図1の要部を一部展開状態で示した断面図である。
【図3】絞り全開状態を示す実施例の平面図である。
【図4】実施例に適用できる他のモータ例を示す説明図である。
【図5】従来例の一部展開断面図である。
【符号の説明】
1 基板
1a 開口部
1b,5b,5f,6a,16a 孔
1c 係合部
1d,3a,4a,5c ピン
2 カバー板
2a 溝
2b カム溝
3 絞り羽根
4 駆動リング
4b 歯部
5 枠部材
5a,5d フック部
5e 円筒部
6,16 鉄芯部材
6b,6c,16b,16c,16d 脚部
6d,16e コイル
7,17 回転子
7a 永久磁石
8 出力歯車
9,10 減速歯車
Claims (2)
- 永久磁石を有する回転子と、前記回転子の周面に所定の間隔で対向配置された複数の脚部を有し少なくともその一つの脚部にコイルを巻回している鉄芯部材と、前記回転子と一体的に回転する出力歯車と、前記出力歯車に噛合し自己の回転軸の一端を基板に指示されており前記回転子の回転を被駆動部材に伝達する少なくとも一つの減速歯車と、前記基板に取り付けられ該基板との間で少なくとも前記回転子を囲むと共に前記減速歯車の回転軸の他端を支持していて該減速歯車の回転軸を支持している面と反対の面に前記鉄芯部材を取り付けている枠部材と、を備えていることを特徴とするカメラ用駆動装置。
- 前記枠部材に、前記鉄芯部材の脚部を前記回転子の周面に対して所定の対向位置に配置するための規制部を形成していることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用駆動装置。
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