JP3977506B2 - カメラ用シャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影に際して、円形の露光開口を、シャッタ羽根の往復作動によって開閉するようにした一般にレンズシャッタと称されているカメラ用シャッタに関するものであり、特にシャッタ羽根のほかに絞り羽根を備えていて、絞り羽根が露光開口の面積を規制した場合には、それに応じてシャッタ羽根の作動ストロークも好適に規制されるようにしたカメラ用シャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
シャッタ羽根と絞り羽根とが夫々の駆動手段によって独立して機能するように構成されているカメラ用シャッタにおいては、シャッタ羽根が、絞り開口を開いた直後に閉鎖できるようにすると、大きな露光値(以下、高速という)での撮影が可能になって好ましい。そして、そのような機能を有する機構としては、設定された絞り開口に応じて、シャッタ羽根の開き作動の開始位置を変え、シャッタ羽根の全体の作動ストロークは変えないが、その開始位置からピンホールまでのストロークを変えるようにしたものが、古くから知られている。しかしながら、そのような構成は、撮影前に、作動開始位置からピンホールまでのストロークを大きくしても、露光開口を覆っているようにしなければならないことから、シャッタ羽根の面積を必要以上に大きくしなければならず、高速を得るためには決して有利とは言えない。そのため、今日では全く採用されていない。
【0003】
また、絞り羽根のほかに開き用のシャッタ羽根と閉じ用のシャッタ羽根を設け、設定された絞り開口を、開き用のシャッタ羽根が開いた直後に、閉じ用のシャッタ羽根が閉鎖するようにすることも考えられるが、そのように構成した場合には、シャッタ羽根が2組必要になってしまい、且つその2組のシャッタ羽根を一つのシャッタ室に収容させるわけにもいかないので、絞り羽根の駆動手段も含めて三つの駆動手段との連結構成が複雑になり、コンパクト化が難しいばかりでなく、組立調整や修理が難しい構成になってしまう。そこで、第3の方法として、シャッタ羽根の開き作動のストロークを、設定された絞り開口に対応させて制限してしまうようにすることが考えられる。しかし、そのような構成にする場合にも、コンパクト化でき、確実に制御できる構成にすることは、そう簡単なことではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
シャッタ羽根の開き作動のストロークを制限できるようにするためには、先ず駆動手段の駆動量を直接制限させるようにすることが考えられる。しかし、モータの回転や、強力な駆動ばねによって駆動される部材の回転を、絞り開口に対応した回転位置で直接停止させるようにすることは至難である。そのため、次に、駆動手段とシャッタ羽根との間に仲介部材(一般に、開閉部材と称されているものなど)を設け、その仲介部材の作動を、絞り開口に対応した位置にセットされた規制手段(可動ストッパ)に当接させ、停止させるようにすることが考えられる。しかし、そのようにした場合には、その仲介部材とシャッタ羽根との連結部(通常、ピンと長孔による嵌合部)に公差が設けられているため、仲介部材が例え直ちに停止しても、シャッタ羽根は直ちに停止できず、大きく揺動を繰り返すことになる。そのため、シャッタ羽根の停止時機が遅れ、また、その停止位置も安定しない。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、絞り羽根自身に規制手段を設けるか、又は絞り羽根によって動かされ絞り羽根の位置に対応して安定した位置を得ることができる部材に規制手段を設けることにより、シャッタ羽根の開き作動において、シャッタ羽根自身をその規制手段に直接当接させることによって、シャッタ羽根の開き作動を、絞り開口に応じた位置で好適に停止させることができるようにしたカメラ用シャッタを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用シャッタは、円形の露光開口を開閉するために往復作動する1枚構成の又は相対的に往復作動する2枚構成のシャッタ羽根と、前記シャッタ羽根を往復作動させるシャッタ駆動手段と、前記露光開口の面積を規制するために規制位置まで往復作動する1枚構成の又は相対的に往復作動する2枚構成の絞り羽根と、前記絞り羽根を往復作動させる絞り駆動手段と、前記絞り羽根によって変位され前記シャッタ羽根の作動軌跡内に進退し得るシャッタ規制手段とを備え、前記絞り羽根が前記露光開口の規制位置にあるとき、前記シャッタ羽根は、前記露光開口の全開前に前記シャッタ規制手段に当接し、その開き作動を阻止されるようにする。
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記シャッタ規制手段が、前記絞り羽根に設けられているようにすると好適である。
又は、前記シャッタ規制手段が、前記絞り羽根を介して作動する部材に設けられているようにすると好適である。
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記絞り羽根が、前記露光開口よりも小さな円形の開口部を有する1枚構成の絞り羽根であって、前記シャッタ羽根が相対的に往復作動する2枚構成のシャッタ羽根であり、その絞り羽根が前記露光開口の規制位置にあるとき、一方のシャッタ羽根が前記シャッタ規制手段に当接するようにすると好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図示した二つの実施例によって説明する。図面は、図1〜図6が第1実施例を示し、図7〜図10が第2実施例を示したものであるが、図6のタイミングチャートは第2実施例にも適用可能なものである。尚、第1実施例と第2実施例を構成する部材のうち、同一の部材及び同一の部位には同じ符号を付けている。
【0008】
〔第1実施例〕
先ず、図1〜図5に示した第1実施例の構成から説明する。尚、図1は本実施例の非撮影時の状態を示した平面図であって、シャッタ地板の表面側に取り付けられた構成部品を透視的に示したものであり、図2は主にモータの構成を理解し易くするための断面図である。また、図3は図1の状態からシャッタ羽根を作動させ、露光開口を全開にした状態を示す平面図である。更に、図4は図1の状態から絞り羽根を作動させ、絞り開口部を露光開口に臨ませた状態を示す平面図であり、図5は図4の状態からシャッタ羽根を作動させ、絞り開口部を全開にした状態を示す平面図である。
【0009】
最初に、本実施例の全体構成の骨格について説明しておく。シャッタ地板1と補助地板2は合成樹脂製であって、両者は、補助地板2に形成された可撓性を有する三つのフック部2a,2a,2aをシャッタ地板1の窪みに係合させて、相互に取り付けられている。また、シャッタ地板1と補助地板2の間には図示していない適宜な方法で仕切り板3が取り付けられていて、シャッタ地板1と仕切り板3の間にはシャッタ室が、補助地板2と仕切り板3の間には絞り室が形成されている。
【0010】
更に、シャッタ地板1には、シャッタ駆動用のモータM1が、シャッタ地板1に形成された二つのフック部1a,1aによって取り付けられ、絞り駆動用のモータM2が、同じく二つのフック部1b,1bによって取り付けられている。また、シャッタ地板1と補助地板2には円形の開口部1c,2bが形成されており、それらのうち直径の小さい方が露光開口の大きさを規制することになるが、本実施例においては、これらの開口部1c,2bは、同心円の同じ直径ということにしておく。そして、このようなユニットは、補助地板2を対物レンズ側にしてカメラに組み込まれることになる。
【0011】
次に、シャッタ駆動用のモータM1と絞り駆動用のモータM2の構成を説明する。これらのモータM1,M2は、ムービングマグネット型モータと称されていて、少なくともカメラ業界では周知であり、永久磁石製の回転子は、固定子のコイルに対して正方向に通電すると正方向へ、逆方向へ通電すると逆方向へ、いずれも所定の角度だけ回転するモータである。また、本実施例においては、これらのモータM1,M2は全く同じ構成をしているので、それらを構成している部材,部位には同じ符号を付け、主に図2を参照しながらシャッタ駆動用のモータM1の構成を中心にして説明する。
【0012】
このモータM1の回転子4は径方向に着磁された2極の永久磁石製であって、それと一体的に回転する駆動ピン5を有している。そして、モータM1の駆動ピン5は、シャッタ地板1,仕切り板3,補助地板2に形成されている長孔1d,3a,2cを貫通している。また、モータM2の駆動ピン5も、同様にしてシャッタ地板1,仕切り板3,補助地板2に形成された長孔を貫通しているが、シャッタ地板1に形成された長孔1eのみが図1をはじめとする他の平面図に示されている。
【0013】
この回転子4は、固定子を構成する上枠6と下枠7に軸受けされており、その上枠6と下枠7の周りには、それらに外壁面に形成されている凹部内において、回転子4の軸受部を包むようにしてコイル8が巻回されており、また、上枠6の周りには円筒形のヨーク9が取り付けられている。更に、図1に示すように、上枠6には、回転子4の周面に対向する所定の位置に、磁性体棒10が取り付けられている。この磁性体棒10は、コイル8の非通電状態において、回転子4の位置を安定化させるためのものであって、その作用については後述の説明によって理解することができる。
【0014】
次に、主に図1を用いてシャッタ羽根と絞り羽根の構成について説明する。先ず、本実施例におけるシャッタ羽根は、相対的に作動する2枚構成のシャッタ羽根であって、それらのシャッタ羽根11,12は、シャッタ地板1と仕切り板3の間に形成されたシャッタ室内において、シャッタ地板1に設けられた軸1f,1gに枢着され、また、それらに形成されている長孔11a,12aには、上記したモータM1の駆動ピン5が嵌合されている。
【0015】
また、図1は、コイル8の非通電状態を示しているが、このとき回転子4は、そのS極と磁性体棒10との配置関係によって、時計方向への回転力が付与されている。そのため、駆動ピン5は、シャッタ羽根11を時計方向へ回転させ、またシャッタ羽根12を反時計方向へ回転させようとしている。しかし、シャッタ羽根11が、シャッタ地板1に設けられたストッパ1hに接触しているので、その回転が阻止され、シャッタ羽根11,12による開口部1c,2b(露光開口)の閉鎖状態が安定して保たれるようになっている。尚、シャッタ室内には、シャッタ地板1に設けられたもう一つのストッパ1iがあるが、これは、開口部1c,2bを全開にした後、シャッタ羽根12が当接するストッパである。
【0016】
他方、本実施例における絞り羽根は、1枚構成の絞り羽根13であって、仕切り板3と補助地板2の間に形成された絞り室に配置されている。この絞り羽根13は、絞り室内まで伸長したシャッタ地板1の軸1jに枢着され、開口部1c,2bよりも小さな円形の開口部13aと、シャッタ室まで伸長させた折曲状の規制部13bと、溝13cとを有し、その溝13cには上記したモータM2の駆動ピン5を嵌合させている。図1は、モータM2のコイル8に通電していない状態を示しているが、既にモータM1の場合で説明したように、このとき回転子4は、時計方向へ回転力が付与されているが、絞り羽根13がシャッタ地板1に設けられたストッパ1kに接触し、その回転を阻止されている。
【0017】
次に、本実施例の作動を説明する。図1は、本実施例の非撮影時の状態を示しており、二つのモータM1,M2のコイル8,8には通電されていないが、上記した理由によって、カメラをどのような姿勢にしても、シャッタ羽根11,12は開口部1c,2bの閉鎖状態を保ち、絞り羽根13は開口部1c,2bから退避した状態を保つようになっている。そこで、このような状態からの作動を、図1のほか図3〜図6も用いて説明する。
【0018】
先ず、絞り羽根13の開口部13aによって露光開口の面積を規制せずに撮影を行う場合について説明する。図6においては、その場合を実線で表している。図1から分かるように、非撮影時の状態においては、絞り羽根13は、開口部1c,2bから退避していて、ストッパ1kに接触しているので、この場合には、絞り駆動用モータM2には、通電を行わない。従って、最初からシャッタ駆動用モータM1のコイル8に通電することになる。
【0019】
そこで、図1の状態において、シャッタ駆動用モータM1のコイル8に正方向の通電を行うと、回転子4は反時計方向へ回転を開始する。このとき、シャッタ羽根11,12の長孔11a,12aに対する駆動ピン5の嵌合には若干の公差があるため、シャッタ羽根11,12は、駆動ピン5(即ち、回転子4)の作動よりも若干遅れて開き作動を開始することになる。そして、シャッタ羽根11は、軸1fで反時計方向に回転し、また、シャッタ羽根12は、軸1gで時計方向に回転して、両者の重なりを減じつつ開口部1c,2bを開いて行き、全開後に、シャッタ羽根12がストッパ1iに当接することによって、シャッタ羽根11,12の開き作動が停止する。その状態が図3に示されている。
【0020】
シャッタ駆動用モータM1の構成次第では、この状態においてコイル8への通電を断っても全開状態を保たせておけるようにすることが可能であるが、本実施例においては全開状態を保たせるために通電を続けることになる。そして、所定の時間が経過すると、制御回路からの信号によって、コイル8に対し逆方向への通電が行われる。そのため、回転子4は時計方向へ回転するが、上記した理由と同じ理由によって、その逆通電の開始よりも若干遅れ、シャッタ羽根11,12は駆動ピン5に押されて閉じ作動を開始する。そして、開口部1c,2bを閉じた後、シャッタ羽根11がストッパ1hに当接することによって、シャッタ羽根11,12の閉じ作動が停止する。その後、シャッタ駆動用モータM1のコイル8に対する通電を断った状態が、図1に示された状態である。
【0021】
次に、露光開口の面積を、絞り羽根13の開口部13aによって規制しておいてから撮影を行う場合について説明する。図6においては、その場合を点線で表している。そこで、先ず最初に、絞り駆動用モータM2のコイル8に正方向の通電を行う。そのため、モータM2の回転子4は図1において反時計方向へ回転し、駆動ピン5によって、絞り羽根13を軸1jで反時計方向へ回転させる。そして、この絞り羽根13の回転は、ストッパ1hに当接することによって停止する。その状態が図4に示されている。そして、この状態においては、絞り羽根13の開口部13aが、開口部1c,2bと同心的に配置され、露光開口の面積を所定の領域に規制し得るようになっており、また、規制部13bが、シャッタ羽根11の作動軌跡内に臨まされている。更に、この状態が得られた後も、モータM2のコイル8には、正方向への通電が続けられている。
【0022】
その後、シャッタ駆動用モータM1のコイル8に対し正方向の通電が行われると、既に説明したようにして、回転子4は反時計方向へ回転し、駆動ピン5によってシャッタ羽根11,12に開き作動を行わせる。そして、このシャッタ羽根11,12の開き作動は、絞り羽根13の開口部13aを全開にした段階で、シャッタ羽根11が規制部13bに当接することによって停止する。このとき、本実施例においては、一方のシャッタ羽根11のみが規制部13bに当接するように構成されているので、その当接直後においては、シャッタ羽根11,12の相対的な作動関係が崩れることになる。従って、長孔11a,12aと駆動ピン5との嵌合部において、シャッタ羽根11,12は、駆動ピン5に対して異なる方向から力を加えることになるため、両者の力が相殺され、大きなバウンドを生じることなく、スムーズに停止する。その停止状態が図5に示されている。
【0023】
本実施例においては、この状態を長く続けてからシャッタ羽根11,12に閉じ作動を行わせるようにすることも可能であるが、上記のように開口部13aを全開した直後にシャッタ羽根11,12をスムーズに停止させることができるため、その停止後、直ちにシャッタ羽根11,12に閉じ作動を行わせることが可能となり、シャッタの高速制御が可能になっている。図6には、そのようにして制御される場合が示されている。
【0024】
即ち、シャッタ羽根11,12の開き作動が停止すると、直ちに、シャッタ駆動用モータM1のコイル8に逆方向への通電が行われる。そのため、その逆通電の開始時機より若干遅れて、シャッタ羽根11,12が閉じ作動を開始する。そして、開口部13aを閉じた後、シャッタ羽根11がストッパ1hに当接し、閉じ作動が停止する。従って、その後、直ちにモータM1のコイル8に対する通電を断つようにしてもよいが、本実施例においては、その前に絞り駆動用モータM2のコイル8に逆方向の通電を行って回転子4を時計方向へ回転させ、駆動ピン5によって絞り羽根13を図1の状態に復帰させておいてから断つようにし、シャッタ羽根11,12の閉鎖状態が、絞り羽根13の復帰時の振動によって影響を受けないようにしている。
【0025】
〔第2実施例〕
次に、図7〜図10に示された第2実施例について説明する。尚、図7は本実施例の非撮影時の状態を示した平面図であって、シャッタ地板の表面側に取り付けられた構成部品を透視的に示したものであり、図8は本実施例の構成を理解し易くするための断面図である。また、図9は図7の状態からシャッタ羽根を作動させ、露光開口を全開にした状態を示す平面図である。更に、図10は図7の状態から絞り羽根を作動させ、絞り開口部を露光開口に臨ませた後、シャッタ羽根を作動させ、絞り開口部を全開にした状態を示す平面図である。
【0026】
また、本実施例の構成は、第1実施例の構成に対して、新たにシャッタ規制部材14と、その規制部材14に回転力を付勢するばね15を設けたことと、それに伴っって一部の部材の形状が変わっただけであり、殆どの構成は第1実施例の場合と同じである。そのため、同じ部材,同じ部位には同じ符号を付けて説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0027】
本実施例においては、シャッタ地板1に、新たに長孔1m,1nが形成され、且つ軸1p,ばね掛け1qが設けられている。また、補助地板2にも、長孔1mと同じ形状の長孔2dが形成されている。そして、軸1pの先端には、可撓性を有する二つのフック部1p1 ,1p2 が形成されており、シャッタ規制部材14が、そのフック部1p1 ,1p2 を撓ませることによって、軸1pに回転可能に取り付けられている。シャッタ規制部材14には、ピン14a,規制部14b,ばね掛け14cが設けられていて、ピン14aは長孔1m,2dに挿入され、規制部14bは長孔1nに挿入されている。
【0028】
また、ばね15は軸1pに巻回されていて、その一端をばね掛け1qに、他端をばね掛け14cに掛けている。そのため、シャッタ規制部材14は、ばね15によって反時計方向へ回転するように付勢されており、ピン14aは常に絞り羽根13と接触するようになっている。また、シャッタ規制部材14が、ばね15の付勢力に抗して時計方向へ回転された場合には、規制部14bをシャッタ羽根11の作動軌跡内に臨ませるようになっている。尚、本実施例の絞り羽根13には、第1実施例において設けられていた規制部13bが設けられていない。
【0029】
次に、本実施例の作動を説明するが、第1実施例の説明と重複し、詳しく説明をするまでもないところについては、簡略化して説明する。また、上記したように、図6は本実施例の作動説明にも適用されるものである。図7は、本実施例の非撮影時の状態を示している。そのため、図1に示した第1実施例の場合と同様に、二つのモータM1,M2のコイル8,8には通電されていないが、カメラをどのような姿勢にしても、シャッタ羽根11,12は開口部1c,2bの閉鎖状態を保ち、絞り羽根13は開口部1c,2bから退避した状態を保つようになっている。尚、本実施例の場合は、絞り羽根13がシャッタ規制部材14のピン14aによって時計方向へ回転するように押されているので、この状態における絞り羽根13の位置は、第1実施例の場合よりも安定している。
【0030】
そこで、先ず、絞り羽根13の開口部13aによって露光開口の面積を規制せずに撮影を行う場合について説明する。本実施例においても、上記したように非撮影時の状態においては、絞り羽根13が、開口部1c,2bから退避していて、ストッパ1kに接触した状態になっている。そして、シャッタ規制部材14の規制部14bはシャッタ羽根11の作動軌跡外に逃げている。そのため、絞り駆動用モータM2には通電を行わず、最初からシャッタ駆動用モータM1のコイル8に通電し、シャッタ羽根11,12に開閉作動を行わせるだけである。従って、その開閉作動は、第1実施例の場合と全く同じであり、図6において実線で表したように作動するだけであるから、シャッタ羽根11,12による開口部1c,2bの全開状態を図9に示し、詳しい説明を省略する。
【0031】
次に、露光開口の面積を、絞り羽根13の開口部13aによって規制しておいてから撮影を行う場合について説明する。本実施例の場合にも、その作動を行うときは、図6に点線で表わされたようにして行われる。従って、先ず、絞り駆動用モータM2のコイル8に正方向への通電を行う。それによって、モータM2の回転子4は図7において反時計方向へ回転するが、その回転は、絞り羽根13がストッパ1hに当接することによって停止する。また、この反時計方向への回転に際し、絞り羽根13がピン14aを押すので、シャッタ規制部材14は、ばね15の付勢力に抗して時計方向へ回転され、規制部14bをシャッタ羽根11の作動軌跡内に臨ませる。そして、この絞り羽根13の停止状態においては、開口部13aが開口部1c,2bと同心的に配置されており、また、この状態が得られた後も、モータM2のコイル8には、正方向への通電が続けられている。
【0032】
その後、シャッタ駆動用モータM1のコイル8に対し正方向の通電が行われると、第1実施例において既に説明したように、回転子4は反時計方向へ回転し、駆動ピン5によってシャッタ羽根11,12に開き作動を行わせる。そして、この開き作動は、絞り羽根13の開口部13aを全開にした段階で、シャッタ羽根11がシャッタ規制部材14の規制部14bに当接することによって停止する。このとき、ばね15の付勢力に加えてシャッタ規制部材14を反時計方向へ回転させる力が、シャッタ羽根11によって加えられるが、モータM2によって絞り羽根13に与えられている反時計方向への回転力が大きいため、絞り羽根13が動かされてしまうようなことはない。また、本実施例においても、一方のシャッタ羽根11のみが規制部14bに当接するので、シャッタ羽根11,12のバウンドを最小限に抑えて、スムーズに停止する。その停止状態が図10に示されている。
【0033】
本実施例においても、このように開口部13aを全開した直後にシャッタ羽根11,12をスムーズに停止させることができるから、その停止後、直ちにシャッタ羽根11,12に閉じ作動を行わせることが可能である。そのため、シャッタ羽根11,12の開き作動が停止した段階で、直ちに、シャッタ駆動用モータM1のコイル8に逆方向への通電が行われると、その通電開始時機よりも若干遅れて、シャッタ羽根11,12が閉じ作動を開始する。そして、開口部13aを閉じ、シャッタ羽根11がストッパ1hに当接することによって閉じ作動が停止する。その後、絞り駆動用モータM2のコイル8に逆方向の通電を行い、絞り羽根13を図7の状態に復帰させておいてからシャッタ駆動用モータM1のコイル8に対する通電を断ち、当初の状態に復帰する。
【0034】
尚、上記の各実施例においては、いずれもシャッタ羽根の構成を、お互いに逆方向へ相対的に往復作動する2枚構成のシャッタ羽根としたが、本発明は周知のような1枚構成のシャッタ羽根であっても差し支えない。また、上記の各実施例においては、いずれも絞り羽根を1枚構成にしているが、それを各実施例におけるシャッタ羽根のように相対的に往復作動する2枚構成にし、その一方によってシャッタ羽根に対する規制部の位置が決定するようにしても差し支えない。更に、上記の各実施例においては、シャッタ羽根と絞り羽根を、ムービングマグネット型モータによって駆動しているが、本発明の駆動手段はこの種のモータに限定されるものではないし、また、モータに限定されるものでもない。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、絞り開口に対応させてシャッタ羽根の開き作動のストロークを変えるために、絞り羽根自身に規制手段を設けるか、又は絞り羽根によって動かされ絞り羽根の位置に対応して安定した位置を得ることができる部材に規制手段を設け、シャッタ羽根の開き作動時に、シャッタ羽根自身をその規制手段に直接当接させるようにしたから、シャッタ羽根が所定の位置で好適に停止し、閉じ作動を迅速に行わせることが可能になる。また、構成が簡単であることから、製作時に行われる、絞り羽根とシャッタ羽根の位置調整も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の非撮影時の状態を示した平面図であって、シャッタ地板の表面側に取り付けられた構成部品を透視的に示したものである。
【図2】主にモータの構成を理解し易くするために示した第1実施例の断面図である。
【図3】図1の状態からシャッタ羽根を作動させ、露光開口を全開にした状態を示す平面図である。
【図4】図1の状態から絞り羽根を作動させ、絞り開口部を露光開口に臨ませた状態を示す平面図である。
【図5】図4の状態からシャッタ羽根を作動させ、絞り開口部を全開にした状態を示す平面図である。
【図6】第1実施例の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】第2実施例の非撮影時の状態を示した平面図であって、シャッタ地板の表面側に取り付けられた構成部品を透視的に示したものである。
【図8】第2実施例の構成を理解し易くするために示した断面図である。
【図9】図7の状態からシャッタ羽根を作動させ、露光開口を全開にした状態を示す平面図である。
【図10】図7の状態から絞り開口部を露光開口に臨ませた後、シャッタ羽根を作動させ、絞り開口部を全開にした状態を示す平面図である。
【符号の説明】
M1 シャッタ駆動用モータ
M2 絞り駆動用モータ
1 シャッタ地板
1a,1b,1p1 ,1p2 , 2a フック部
1c,2b,13a 開口部
1d,1e,1m,1n,2c,2d,3a,11a,12a 長孔
1f,1g,1j,1p 軸
1h,1i,1k ストッパ
1q,14c ばね掛け
2 補助地板
3 仕切り板
4 回転子
5 駆動ピン
6 上枠
7 下枠
8 コイル
9 ヨーク
10 磁性体棒
11,12 シャッタ羽根
13 絞り羽根
13b,14b 規制部
13c 溝
14 シャッタ規制部材
14a ピン
15 ばね
Claims (4)
- 円形の露光開口を開閉するために往復作動する1枚構成の又は相対的に往復作動する2枚構成のシャッタ羽根と、前記シャッタ羽根を往復作動させるシャッタ駆動手段と、前記露光開口の面積を規制するために規制位置まで往復作動する1枚構成の又は相対的に往復作動する2枚構成の絞り羽根と、前記絞り羽根を往復作動させる絞り駆動手段と、前記絞り羽根によって変位され前記シャッタ羽根の作動軌跡内に進退し得るシャッタ規制手段とを備え、前記絞り羽根が前記露光開口の規制位置にあるとき、前記シャッタ羽根は、前記露光開口の全開前に前記シャッタ規制手段に当接し、その開き作動を阻止されるようにしたことを特徴とするカメラ用シャッタ。
- 前記シャッタ規制手段が、前記絞り羽根に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用シャッタ。
- 前記シャッタ規制手段が、前記絞り羽根を介して作動する部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用シャッタ。
- 前記絞り羽根が、前記露光開口よりも小さな円形の開口部を有する1枚構成の絞り羽根であって、前記シャッタ羽根が相対的に往復作動する2枚構成のシャッタ羽根であり、その絞り羽根が前記露光開口の規制位置にあるとき、一方のシャッタ羽根が前記シャッタ規制手段に当接するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカメラ用シャッタ。
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JP04958398A JP3977506B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | カメラ用シャッタ |
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-
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- 1998-03-02 JP JP04958398A patent/JP3977506B2/ja not_active Expired - Lifetime
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