JP3652267B2 - 刈取収穫機の姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行装置の接地部に対して、前部に刈取部を昇降操作自在に備える機体本体の前後傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段と、前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段と、この前後傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御するピッチング制御を実行する制御手段とが設けられている刈取収穫機の姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記刈取収穫機は、走行地面に隆起部や傾斜があっても、制御手段が前記ピッチング制御を実行することにより、機体本体を水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角になる姿勢に維持しながら作業したり走行できるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記刈取収穫機の一例としてのコンバインでは、図19に示すように、未刈茎稈群Mの外周に沿う1つの作業工程M1〜M4での刈取り走行(イ)と、この刈取り走行(イ)を終えて次の作業工程(M2〜M4)に移動する作業工程切り換え用の旋回走行とを行なって刈取り収穫作業が行なわれる。
そして、作業工程切り換え用の旋回走行は次の如く行われる。
すなわち、1つの作業工程M1〜M4の終端に達すると、この位置から未刈茎稈群Mに接近する側に向けて前進旋回走行(ロ)させる。次に、1 つの作業工程M1〜M4と交差する次の作業工程M2〜M4の手前箇所に後進旋回走行(ハ)させる。その後、次の作業工程M2〜M4に向けて前進走行(ニ)させて行われる。
この作業工程切り換え用の旋回走行では、先の走行の跡を移動することから、土の盛り上がりが出来ている箇所を移動することになり、ピッチング制御が頻繁に実行されることが多々ある。また、傾斜角検出手段では殊に重力式のものでは応答遅れが発生し、この応答遅れによる修正遅れが発生する場合がある。このため、従来、次の作業工程の始端部に到達して刈取りを開始する際、刈取部を所定の刈り高さ位置に下降調節しても、この調節の後にピッチング制御が実行されて刈取部の対地高さが変化し、再度調節する必要が生じる場合があった。また、この再調節手間を不要にするには、刈り高さの作業工程の始端部に到達しても、ピッチング制御が完了するのを待ってから刈取部を所定の刈り高さ位置に調節せねばならない場合があった。つまり、次の作業工程の始端部に到達しても、刈取部の高さ調節を繰り返して行なうとか、ピッチング制御が完了するまで待つ必要があり、直ちには刈取りを開始できないとう場合があった。
【0004】
本発明の目的は、ピッチング制御をオンにして移動走行しても、次の作業工程の始端部に到達すると、極力迅速に刈取りを開始していける刈取収穫機の姿勢制御装置を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、冒頭に記した刈取収穫機の姿勢制御装置において、前記走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態を検出する機体状態検出手段と、この機体状態検出手段による検出傾斜状態を記憶する記憶手段と、刈取りの開始及び終了を検出する作業状態検出手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記機体状態検出手段及び前記作業状態検出手段の検出情報に基づいて、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出傾斜状態を前記記憶手段に記憶させ、刈取り開始が検出されると、前記ピッチング制御の実行を停止して、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態が前記記憶手段による記憶傾斜状態になるように前記姿勢変更操作手段を作動させる強制傾斜制御を実行するように構成されている。
【0006】
つまり、1つの作業工程の刈取りを終えると、このときの走行装置の接地部に対する機体本体の傾斜状態が機体状態検出手段によって検出され、記憶手段によって記憶される。そして、次の作業工程に向けて移動走行する際、制御をオンにしておいてピッチング制御を実行させながら走行しても、次の作業工程の始端部に到達して刈取りを開始する際、制御手段による前記強制傾斜制御が実行され、走行装置の接地部に対する機体本体の傾斜状態が記憶手段による記憶傾斜状態に自動的に調整される。すなわち、次の作業工程の始端部に到達して刈取りを開始するまでは、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態が、前記ピッチング制御の実行のために如何なる状態になっていても、次の作業工程の始端部に到達して刈取りを開始するときには、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態が前の作業工程での刈取りを終えたときのものに強制的に調整される。そして、作業工程が異なっても、地面などの条件が変化しないとか変化しても大きくは変化しないことから、次の作業工程の始端部に到達して刈取りを開始する際、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜角が適切なものになっており、刈取部を適切な刈り高さ位置に迅速に調節できる。
【0007】
従って、前記した移動走行を行なう際、ピッチング制御をオンしておけば、地面の隆起部や傾斜にかかわらず、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を設定傾斜角に維持しながら走行できる。その割には、次の作業工程の始端部に到達して刈取りを開始していく際、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜角が前記強制傾斜制御のために適切なものになっていて、刈取部を適切な刈り高さ位置に迅速に調節して速やかに刈取りを開始し、能率よく作業ができる。
【0008】
請求項2によれば、請求項1において、未刈茎稈群の外周に沿う1つの作業工程の終端に達するに伴って、前記未刈茎稈群に接近する側に向けて前進旋回走行させ、次に、1 つの作業工程と交差する次の作業工程の手前箇所に後進旋回走行させ、その後、次の作業工程に向けて前進走行させる作業工程切り換え用の旋回走行を行なわせて刈取り収穫作業を行なうように構成され、
前記作業状態検出手段は、前記作業工程切り換え用の旋回走行において、後進旋回走行の後の前進走行が開始されたことを検出する又はその前進走行が開始されてから設定距離走行したことを検出することによって、刈取りが開始されたと検出するように構成されている。
【0009】
つまり、作業工程切り換え用の旋回走行において、後進旋回走行の後の前進走行が開始されたことを検出する又はその前進走行が開始されてから設定距離走行したことを検出することによって、刈取りが開始されたと検出されるものだから、機体が植立穀稈に対する接近を検出することによって刈取りが開始されたと検出される手段などに比して構造簡単に作業状態検出手段を得られる。
【0010】
従って、刈取り開始が検出されると前記強制傾斜制御が実行されるものを、作業状態検出手段の面から構造簡単に得てコスト面などで有利に得られる。
【0011】
請求項3によれば、請求項1又は2において、前記姿勢変更操作手段が前記走行装置の接地部に対する前記機体本体の左右傾斜角を変更操作するように構成され、前記機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段と、前記走行装置の接地部に対する機体本体の高さを検出する機体状態検出手段と、この機体状態検出手段による検出高さを記憶する記憶手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記左右傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御するローリング制御を実行するように構成され、且つ、前記作業状態検出手段及び前記機体状態検出手段の検出情報に基づいて、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出高さを前記記憶手段に記憶させ、前記機体状態検出手段による検出高さが前記記憶手段による記憶高さより低下させないで前記ローリング制御を実行するように構成されている。
【0012】
すなわち、1つの作業工程の刈取りを終えると、このときの走行装置の接地部に対する機体本体の高さが機体状態検出手段によって検出され、記憶手段によって記憶される。そして、次の作業工程に向けて移動走行する際、地面に隆起部や傾斜があれば、制御手段による前記ローリング制御が実行され、且つ、このローリング制御は、走行装置の接地部に対する機体本体の高さを記憶手段による記憶高さより低くさせないで実行される。
これにより、地面の隆起部や傾斜にかかわらず、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を設定傾斜角に維持しながら走行できる。
ローリング制御が実行されることによって、走行装置の接地部に対する機体本体の高さが低くなると、殊に圃場端部で移動走行するときは走行面が傾斜していることが多々あることから、刈取部が低下する側へのピッチング制御が実行されたとき、刈取部の横一端側が地面に突っ込む事態が発生する場合がある。ところが、走行装置の接地部に対する機体本体の高さが、前の作業工程での刈取りを終えたときの高さより低くならないようにしてローリング制御が実行されることから、前記した刈取部の突っ込みトラブルを発生しにくくしながらピッチング及びローリング制御を実行させられる。
【0013】
従って、前記した移動走行を行なう際、地面の隆起部や傾斜にかかわらず、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角も左右傾斜角も設定傾斜角に維持しながら、しかも、刈取部が地面に突っ込む事態を発生しにくくしながら走行できる。
【0014】
請求項4によれば、請求項3において、前記制御手段が、通常制御モードと湿田制御モードとに切り換え自在に構成され、前記通常制御モードでは、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出高さを前記記憶手段に記憶させ、前記機体状態検出手段による検出高さが前記記憶手段による記憶高さより低下させないで前記ローリング制御を実行し、前記湿田制御モードでは、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出傾斜状態を前記記憶手段に記憶させ、刈取り開始が検出されると、前記ピッチング制御の実行を停止して、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態が前記記憶手段による記憶傾斜状態になるように前記姿勢変更操作手段を作動させる強制傾斜制御を実行するように構成されている。
【0015】
すなわち、乾田など地面が硬い場合、通常制御モードに切り換える。すると、乾田では刈取部が地面に突っ込むと破損しやすくなるが、ピッチング制御及びローリング制御を実行させながら移動走行する際、走行装置の接地部に対する機体本体の高さを前の作業工程での刈取りを終えたときの高さより低くさせないでローリング制御され、刈取部の前記破損事故を発生しにくくしながら機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角も前後傾斜角も設定傾斜角に維持させながら走行できる。
【0016】
湿田では、湿田制御モードに切り換える。すると、湿田では前進時に走行装置が前上り状態になってピッチング制御が実行されやすくなるが、次の作業工程の始端部に到達して刈取りを開始していく際、前記強制傾斜制御が実行されて走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜角が前の刈取り終了時のものに調整され、刈取部を所定の刈り高さ位置に迅速に調節できる。
【0017】
従って、機体本体をローリング制御とピッチング制御とによって設定姿勢に維持しながら移動走行できる割には、乾田など走行面が硬い場合には、通常制御モードに切り換えることにより、刈取部が地面に衝突して変形したり破損するなどのトラブルを発生しにくくしながら走行でき、湿田では、湿田制御モードに切り換えることにより、次の作業工程の始端部に迅速に到達して刈取りを開始する際、刈取部を所定の刈り高さ位置に迅速に下降調節して速やかに刈取りを開始していける。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、左右一対のクローラ走行装置1L,1Rによって支持されるように構成してあるとともに搭乗型の運転部2、運転座席の下方に位置する原動部を備えている機体本体Vの機体フレーム11に脱穀装置3や穀粒タンク4などを搭載し、引起装置5やバリカン型の刈取装置7などを備える刈取部10の刈取部フレーム10aの基端部を、前記機体フレーム11の前部に位置する支持部11aに機体横向きの軸芯P1まわりで回動自在に連結し、刈取部フレーム10aに一端側が連結し、他端側が機体フレーム11に連結している屈伸自在なリンク機構10bと、機体フレーム11とにわたって油圧式のリフトシリンダC1を取付け、機体本体Vの原動部から刈取部10に動力伝達するように構成して、コンバインを構成してある。このコンバインは、稲・麦などの収穫作業を行うものであり、詳しくは次の如く構成してある。
【0019】
すなわち、リフトシリンダC1によって刈取部フレーム10aを軸芯P1まわりで上下に揺動操作することにより、刈取部10を機体本体Vに対して昇降操作する。つまり、引起装置5の下端や刈取装置7が地面上近くに位置して穀稈の刈取りを行なう下降作業位置と、機体本体Vに対して上昇エンドやその近くまで上昇して刈取りしないで走行する上昇非作業位置とに昇降操作する。そして、刈取部10を作業位置にして機体本体Vを走行させると、刈取部10は、分草具6によって稲・麦などの植立穀稈を刈取り対象と非刈取り対象とに分草し、刈取り対象の植立穀稈を引起装置5によって引起こし処理するとともにその株元を刈取装置7によって切断し、刈取装置7からの刈取穀稈を株元側に挟持搬送作用する株元側搬送部と、穂先側に係止搬送作用する穂先側搬送部とで成る搬送装置8によって機体後方に搬送し、脱穀装置3の脱穀フィードチェーン3aの搬送始端部に供給する。脱穀装置3は、前記搬送装置8からの刈取穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン3aによって挟持して搬送しながら穂先側を扱室に供給して回動する扱胴によって扱き処理し、脱穀排ワラを脱穀フィードチェーン3aによって扱室から搬出する。脱穀装置3からの脱穀粒をコンベアによって穀粒タンク4に搬送して貯留していく。
【0020】
刈取り収穫作業は、図19に示す如く走行して行なう。
すなわち、未刈穀稈群Mの外周に沿う1つの作業工程M1〜M4での刈取り走行(イ)と、この刈取り走行(イ)を終えて次の作業工程(M2〜M4)に移動する作業工程切り換え用の旋回走行とを行なう。そして、作業工程切り換え用の旋回走行は次の如く行う。
すなわち、1つの作業工程M1〜M4の終端に達すると、この位置から未刈穀稈群Mに接近する側に向けて前進旋回走行(ロ)する。この前進旋回走行(ロ)によって所定距離を走行すると、次に、1 つの作業工程M1〜M4と交差する次の作業工程M2〜M4の手前箇所に後進旋回走行(ハ)する。この後進旋回走行(ハ)によって所定距離を走行すると、その後、次の作業工程M2〜M4に向けて前進走行(ニ)する。
【0021】
図2に示すように、左側のクローラ走行装置1Lは、機体本体Vの機体フレーム11が備えている支持フレーム12の前端側に前ベルクランク17aを介して前端側が連結し、前記支持フレーム12の後端側に後ベルクランク17bと補助リンク17b1とを介して後端側が連結している機体本体の前後方向に長いトラックフレーム16と、前記支持フレーム12の前端部によって回動自在に支持されている駆動自在なクローラ駆動スプロケット13と、前記支持フレーム12の前後方向での中間部に遊転自在に支持されている上部転輪14aと、前記トラックフレーム16の長手方向での複数箇所に遊転自在に支持されている接地転輪14と、前記トラックフレーム16の後端部に遊転自在に支持されているクローラ緊張輪15と、前記複数個の輪体15,13,14a,14の全てにわたって巻回しているゴム製の無端クローラベルトBとによって構成してある。
【0022】
前ベルクランク17aのうち、支持フレーム12に回動自在に連結している回転支軸部からトラックフレーム16の方とは反対側に一体回動自在に延出している揺動自在なアーム部と、支持フレーム12によって支持されているシリンダブラケットとにわたって油圧式で複動型の前シリンダC2を取付け、後リンク17bのうち、支持フレーム12に回動自在に連結している回転支軸部からトラックフレーム16の方とは反対側に一体回動自在に延出している揺動自在なアーム部と、支持フレーム12によって支持されているシリンダブラケットとにわたって油圧式で複動型の後シリンダC3を取付けてある。
すなわち、前シリンダC2が前ベルクランク17aを軸芯P2まわりで支持フレーム12に対して回動操作してトラックフレーム16の前端側を機体フレーム11に対して昇降操作し、後シリンダC3が後ベルクランク17bを軸芯P3まわりで支持フレーム12に対して回動操作してトラックフレーム16の後端側を機体フレーム12に対して昇降操作するように構成してある。
【0023】
右側のクローラ走行装置1Rは、左側のクローラ走行装置1Lと同一の構成を備えており、左側のクローラ走行装置1Lにおいても、右側のクローラ走行装置1Rにおいても、前シリンダC2,C4と後シリンダC3,C5とを駆動操作することにより、前シリンダC2,C4と後シリンダC3,C5の駆動力によってトラックフレーム12が機体フレーム11に対して昇降する。
【0024】
これにより、図2に示すように、左右の前シリンダC2,C4を最も伸張させ、且つ、左右の後シリンダC3,C5を最も短縮させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16が機体フレーム11に最も近づいてほぼ平行になった状態になる。このときの機体本体Vの姿勢が下限基準姿勢である。
【0025】
図3に示すように、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の後シリンダC3,C5をそのままの状態に維持しながら左右の前シリンダC2,C4を短縮作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16の前端側が後端側より機体フレーム11に対して下降した状態になる。すなわち、機体本体Vを前部側がクローラ走行装置1L,1Rの接地部に対して離間する方向に姿勢変更(前上昇操作)することになる。
図4に示すように、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の前シリンダC2,C4をそのままの状態に維持しながら左右の後シリンダC3,C5を伸長作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16の後端側が前端側より機体フレーム11に対して下降した状態になる。機体本体Vを後部側がクローラ走行装置1L,1Rの接地部に対して離間する方向に姿勢変更(後上昇操作)することになる。
図5に示すように、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の前シリンダC2,C4を短縮作動させ、且つ、左右の後シリンダC3,C5を伸長作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16が機体フレーム11に対してほぼ平行に下降した状態になる。機体本体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して平行姿勢のまま離間する方向に姿勢変更(上昇操作)することになる。
【0026】
左側のクローラ走行装置1Lにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が、右側のクローラ走行装置1Rにおけるトラックフレーム16のそれより小になる側に各油圧シリンダC2〜C5を操作させると、機体本体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して右上げ方向に姿勢変更(左傾斜操作)することになる。
【0027】
右側のクローラ走行装置1Rにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が、左側のクローラ走行装置1Lにおけるトラックフレーム16のそれより小に側に各油圧シリンダC2〜C5を操作させると、機体本体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して左上げ方向に姿勢変更(右傾斜操作)することになる。
【0028】
したがって、左側の前シリンダC2(以下、単に左前シリンダC2と呼称する。)と、左側の後シリンダC3(以下、単に左後シリンダC3と呼称する。)と、右側の前シリンダC4(以下、単に右前シリンダC4と呼称する。)と、右側の後シリンダC5(以下、単に右後シリンダC5と呼称する。)とが、走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの左右傾斜角及び前後傾斜角を変更操作する姿勢変更操作手段100を構成している。そして、左前シリンダC2が、機体本体Vにおける左側前部に昇降操作するべく作用する駆動手段となっており、機体本体Vにおける左側前部の走行装置1L,1Rの接地部に対する高さを変更調節する。左後シリンダC3が、機体本体Vにおける左側後部に昇降操作するべく作用する駆動手段となっており、機体本体Vにおける左側後部の走行装置1L,1Rの接地部に対する高さを変更調節する。右前シリンダC4が、機体本体Vにおける右側前部に昇降操作するべく作用する駆動手段となっており、機体本体Vにおける右側前部での走行装置1L,1Rの接地部に対する高さを変更調節する。右後シリンダC5が、機体本体における右側後部に昇降操作するべく作用する駆動手段になっており、機体本体における右側後部での走行装置1L,1Rの接地部に対する高さを変更調節する。
【0029】
左右のクローラ走行装置1L,1Rにおける前記各ベルクランク17a,17bの回転支軸部に対応する箇所に、その回転支軸部の回動量に基づいて前記各油圧シリンダC2,C3,C4,C5の操作量(油圧シリンダC2〜C5の伸縮作動したストローク量)を検出する操作量検出手段としてのポテンショメータ形のストロ−クセンサ18,19,20,21が設けられており、このストロークセンサ18〜21が、走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの前後傾斜状態及び高さを検出する機体状態検出手段500を構成している。
すなわち、各ストロークセンサ18〜21にて検出される4個の油圧シリンダC2〜C5の走行装置1L,1Rの接地部に対する各高さ位置の差に基づいて、機体本体Vの傾斜状態を求める。例えば、図10の場合について説明すると、斜線で示される位置の機体本体Vは、左前部の高さが最も低く、次に、右前部、左後部、右後部の順で高くなっているので、この場合、機体本体Vは全体として前傾側に傾斜した状態であることが検出される。尚、図中a2は、左前部の最高を示し、a0は、左前部の最低を示す。b2は、左後部の最高を示し、b0は、左後部の最低を示す。c2は、右前部の最高を示し、c0は、右前部の最低を示す。d2は、右後部の最高を示し、d0は、右後部の最低を示す。
また、各ストロークセンサ18〜21にて検出される4個の油圧シリンダC2〜C5の走行装置1L,1Rの接地部に対する高さ位置に基づいて、走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの高さを求める。
【0030】
機体本体Vには、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段としての重力式の左右傾斜角センサ23、及び、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段としての重力式の前後傾斜角センサ24が備えられている。
【0031】
前記分草具6の後方側箇所に、刈取部10の地面に対する高さを検出する超音波式の刈高さセンサ9が設けられている。詳述はしないが、この刈高さセンサ9は、下方側に向けて超音波を発信してから受信するまでの時間を計測することで、刈取部10の地面に対する高さを検出するように非接触式に構成されている。
【0032】
伝動系を図6に示す如く構成してある。
すなわち、機体本体Vの原動部に搭載されたエンジンEから出力された動力は、脱穀クラッチ45を介して脱穀装置3に伝達されるとともに、走行クラッチ46及び油圧式の無段変速装置47を介して左右のクローラ走行装置1L,1Rのミッション部48に伝達され、ミッション部48に伝達された動力は、クローラ走行装置1L,1Rに伝達されるとともに、刈取クラッチ49を介して刈取部10に伝達される。図中、50は、ミッション部48への入力回転数に基づいて車速を検出する車速センサである。上記無段変速装置47は、前記搭乗運転部2に設けた変速レバー51によって変速操作される。
【0033】
図6に示すように、変速レバー51の基端部付近に中立スイッチ52と後進スイッチ54とを設けてある。変速レバー51が中立位置Nにあると、変速レバー51の基部に変速操作レバー51と一体回動するように付設してある一対の検出対象体としての一方の中立カム51aが中立スイッチ52の操作部に押圧作用してこの中立スイッチ52をオンに操作し、他方の後進側カム51bが後進スイッチ54の操作部から離れていて後進スイッチ54をオフにしている。変速レバー51が中立位置Nから前進側の操作域Fに操作されると、前記中立カム51aが中立スイッチ52の操作部から離れて中立スイッチ52がオフになり、他方の後進側カム51bが後進スイッチ54の操作部から離れていて後進スイッチ54がオフになっている。変速レバー51が中立位置Nから後進側の操作域Rに操作されると、前記中立カム51aが中立スイッチ52の操作部から離れて中立スイッチ52がオフになり、前記後進カム51bが後進スイッチ54の操作部に押圧作用してこの後進スイッチ54をオンに操作する。
【0034】
つまり、前記中立スイッチ52と前記後進スイッチ54とが、機体本体Vの前進走行や後進走行の停止を検出したり、機体本体Vの前進走行の開始を検出する走行状態検出手段400を構成している。
すなわち、後進スイッチ54がオフになっており、中立スイッチ52がオフからオンに切り換わったことを検出することにより、機体本体Vが前進走行を停止したと検出できる。後進スイッチ54がオンからオフに切り換わったことを検出し、中立スイッチ52がオフからオンに切り換わってことを検出することにより、機体本体Vが後進走行を停止したと検出できる。後進スイッチ54がオフになっており、中立スイッチ52がオンからオフに切り換わったことを検出することにより、機体本体Vが前進走行を開始したと検出できる。
【0035】
前記搬送装置8の始端部に、刈取穀稈に当接したときにオン状態となり、刈取穀稈が外れたときにオフ状態となる株元センサ53が設けられており、この株元スイッチ53と前記中立スイッチ52と前記後進スイッチ54とが、刈取りの開始及び終了を検出する作業状態検出手段300を構成している。
すなわち、刈取作業を止めると、刈取穀稈が刈取部10に入り込まなくて株元センサ53が穀稈に当接しなくなることにより、株元スイッチ53がオンからオフに切り換わったことを検出することにより、刈取りが終了されたと検出するようにしてある。そして、前進走行するに伴って植立穀稈が刈取部10に入り込んで刈取り処理されることにより、中立スイッチ52がオンからオフに切り換わるとともに後進スイッチ54がオフになっていることを検出して前進走行が開始されたことを検出することにより、刈取りが開始されたと検出するようにしてある。
【0036】
図7に示すように、機体本体Vに設けたマイクロコンピュータ利用の制御装置22に、前記各ストロークセンサ18〜21、刈高さセンサ9、左右傾斜角センサ23、前後傾斜角センサ24、中立スイッチ52、後進スイッチ54、及び株元センサ53の各検出情報が入力されている。又、搭乗運転部2の操作パネルに設けた姿勢変更スイッチユニットSUと、前上げスイッチ40a及び後上げスイッチ40bの各操作情報も制御装置22に入力されている。
【0037】
さらに、搭乗運転部2の操作パネルには、機体本体Vに対する刈取部10の地面に対する高さ即ち刈取高さを設定するボリューム式の刈高さ設定器39、刈取部10の上昇指令及び下降指令を指令する刈取昇降レバー28の操作に基づいて、刈取部上昇を指令する上昇スイッチSW1、刈取部下降を指令する下降スイッチSW2等が備えられ、これらの情報も前記制御装置22に入力されている。
【0038】
図8に示すように、上記姿勢変更スイッチユニットSUには、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を設定する左右傾斜角設定器25、水平制御(後述のローリング制御)を入り切りする水平自動スイッチ26、水平制御の入り状態を示す水平ランプ26a、前後制御(後述のピッチング制御)を入り切りする前後自動スイッチ27、前後制御の入り状態を示す前後ランプ27aが設けられ、さらに、十字レバー式の操作具36にて作動する、右上げスイッチ37a、左上げスイッチ37b、機体上げスイッチ38a及び機体下げスイッチ38bが設けられている。
【0039】
上記十字レバー式の操作具36の操作について説明すると、操作具36を左側に倒したときに、右上げスイッチ37aがオン作動して右上げ操作(左傾斜操作)が指令され、操作具36を右側に倒したときに、左上げスイッチ37bがオン作動して左上げ操作(右傾斜操作)が指令される。又、操作具36を後方側に倒したときに、機体上げスイッチ38aがオン作動して機体上げ操作が指令され、操作具36を前方側に倒したときに、機体下げスイッチ38bがオン作動して機体下げ操作が指令される。
【0040】
前記前上げスイッチ40aと後上げスイッチ40bとは、前記操作具36の握り部に設けてある。そして、前上げスイッチ40aがオンすると機体前上げ操作(後傾斜操作)が指令され、後上げスイッチ40bがオンすると機体後上げ操作(前傾斜操作)が指令される。
【0041】
又、上記左右傾斜角設定器25には、水平スイッチ25a、左傾斜スイッチ25b及び右傾斜スイッチ25cが備えられている。つまり、水平スイッチ25aを押すと、設定左右傾斜角として水平状態に対応する傾斜角が設定され、左傾斜スイッチ25bを押すと、現在設定されている設定左右傾斜角が設定角度づつ左傾斜方向に修正され、右傾斜スイッチ25cを押すと、現在設定されている設定左右傾斜角が設定角度づつ右傾斜方向に修正される。そして、左右傾斜角設定器25にて設定されている左右傾斜角については、搭乗運転部2の前方側に設けた表示装置(図示しない)に、図9に示すように、1〜7の7段階(角度0の段階4が水平状態を表わし、プラスの角度が右傾斜方向、マイナスの角度が左傾斜方向を夫々表わす)のいずれであるかが表示される。尚、前後傾斜角については、傾斜角0(水平状態)が設定前後傾斜角として予め設定されている。
【0042】
前記姿勢変更スイッチユニットSUには、湿田モードスイッチ35a及び通常モードスイッチ35bが設けられている。
湿田モードスイッチ35aは、湿田で作業する際に押し操作して制御装置22に湿田制御モードの信号を入力するものであり、通常モードスイッチ35bは、乾田など、泥土層がないとかあっても浅い圃場で作業する際に押し操作して制御装置22に通常制御モードの信号を入力するものである。
【0043】
湿田モードスイッチ35aを押し操作して湿田制御モードを入力すればその湿田モードスイッチ35aの操作部が点灯して表示するように、通常モードスイッチ35bを押し操作して通常制御モードを入力すればその通常モードスイッチ35bの操作部が点灯して表示するように各スイッチ35a,35bの操作部を表示ランプに兼用してある。
【0044】
一方、制御装置22からは、前記リフトシリンダC1及び前記4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2〜C5を制御するための電磁制御弁29〜33に対する駆動信号が夫々出力されている。
尚、前記制御装置22は、刈取作業中において、刈高さセンサ9の検出値が刈高さ設定器39にて設定された設定刈高さに維持されるように前記リフトシリンダC1を作動させる刈高さ制御を実行する。
【0045】
上記制御装置22を利用して、前記前後傾斜角センサ24の検出情報に基づいて、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角としての傾斜角0 (水平状態)に維持されるように、前記姿勢変更操作手段100の作動を制御するピッチング制御を実行し、かつ、前記左右傾斜角センサ23の検出情報に基づいて、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段100の作動を制御するローリング制御を実行する前記制御手段200が構成されている。
【0046】
そして、上記制御手段200は、上記ピッチング制御においては、前記4個の油圧シリンダC2〜C5のうち、左側前部及び右側前部に位置する2個の油圧シリンダ(左前シリンダC2と右前シリンダC4)を駆動停止させた状態で、左側後部及び右側後部に位置する2個の油圧シリンダ(左後シリンダC3と右後シリンダC5)を駆動操作するように構成され、且つ、上記ローリング制御においては、前記4個の油圧シリンダC2〜C5のうち、左側前部及び左側後部に位置する2個の油圧シリンダ(左前シリンダC2と左後シリンダC3)と、右側前部及び右側後部に位置する2個の油圧シリンダ(右前シリンダC4と右後シリンダC5)のいずれか一方の2個の油圧シリンダC2〜C5を駆動停止させた状態で、他方の2個の油圧シリンダC2〜C5を駆動操作するように構成されている。
【0047】
次に、前記ローリング制御、及びピッチング制御による姿勢変更操作について具体的に説明する。
即ち、ローリング制御の場合は、走行面が左下がり状態であれば、前記下限基準姿勢(図2)にある状態から、左側のクローラ走行装置1Lにおいて、左前シリンダC2を短縮作動させ、且つ、左後シリンダC3を伸長作動させると、機体本体Vが接地部に対して左上り傾斜姿勢(右傾斜姿勢)に変化して、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を水平状態にすることができる。又、走行面が右下がり状態であれば、前記下限基準姿勢にある状態から、右側のクローラ走行装置1Rにおいて、右前シリンダC4を短縮作動させ、且つ、右後シリンダC5を伸長作動させると、機体本体Vが接地部に対して右上り傾斜姿勢(左傾斜姿勢)に変化して、機体本体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を水平状態にすることができる。
【0048】
ピッチング制御の場合は、走行面が前下がり状態であれば、前記下限基準姿勢(図2)にある状態から、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を同時に短縮作動させると、機体本体Vの前部側が左右のクローラ走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して後傾姿勢に姿勢変化して、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を水平状態にすることができる。又、走行面が前上がり状態であれば、前記下限基準姿勢にある状態から、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を同時に伸長作動させると、機体本体Vの後部側が左右のクローラ走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して前傾姿勢に姿勢変化して、機体本体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を水平状態にすることができる。
【0049】
また、ピッチング制御の場合、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を停止させながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を同時に伸長作動させると、機体本体Vの後部側が上昇し、機体本体Vが左右のクローラ走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して前傾側に姿勢変化する。そして、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を停止させながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を同時に短縮作動させると、機体本体Vの後部側が下降し、機体本体Vが左右のクローラ走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して後傾側に姿勢変化する。すなわち、左右のクローラ走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの前後傾斜角が前基準で変化する。
【0050】
制御装置22のメモリーにより、前記機体状態検出手段500によって検出される走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの前後傾斜状態と高さとを記憶させる記憶手段56が構成されている。
【0051】
そして、制御手段200は、前記水平自動スイッチ26がオンに操作され、前記前後自動スイッチ27がオフに操作された場合には、前記ローリング制御と前記ピッチング制御のうちのローリング制御のみを実行し、水平自動スイッチ26と前後自動スイッチ27の両方がオンに操作された場合には、前記ローリング制御と前記ピッチング制御の両制御を実行するように構成されている。また、前記通常モードスイッチ35bからの信号が制御装置22に入力された場合には、通常制御モードに切り換わり、湿田モードスイッチ35aからの信号が制御装置22に入力された場合には、湿田制御モードに切り換わるように構成されている。そして、通常制御モードに切り換えられた場合、前記作業状態検出手段300によって刈取り中が検出されていると、前記ローリング制御を前記ピッチング制御より優先して先に実行しながらローリング制御とピッチング制御とを実行し、前記作業状態検出手段300によって刈取り終了が検出されると、前記左右傾斜角センサ23による検出情報と、前記記憶手段56による記憶情報とに基づいて前記4個の油圧シリンダC2〜C5の作動を制御する非作業用ローリング制御と、前記ピッチング制御とを実行するように、かつ、非作業用ローリング制御をピッチンング制御より優先して先に実行するように構成されている。そして、湿田制御モードに切り換えられた場合、前記作業状態検出手段300によって刈取り中が検出されていると、前記ピッチング制御を前記ローリング制御に優先して先に実行しながらピッチング制御とローリング制御とを実行し、前記作業状態検出手段300によって刈取り終了が検出されると、前記ピッチング制御を前記ローリング制御に優先して先に実行しながらピッチング制御とローリング制御とを実行し、且つ、前記記憶手段56による記憶情報と、前記走行状態検出手段400による検出情報とに基づいて前記4個の油圧シリンダC2〜C5の作動を制御する強制傾斜制御を実行するように構成されている。
【0052】
前記非作業用のローリング制御は、作業状態検出手段300によって刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段500による検出高さを前記記憶手段56に記憶させ、前記機体状態検出手段500による検出高さが前記記憶手段56による記憶高さより低下させないようにしながら前記4個の油圧シリンダC2〜C5の作動を制御するローリング制御である。
【0053】
前記強制傾斜制御は、作業状態検出手段300によって刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段500による検出前後傾斜状態を前記記憶手段56に記憶させ、この後、作業状態検出手段300によって刈取り開始が検出されると、前記ピッチング制御の実行を停止して、走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの前後傾斜状態が記憶手段56による記憶傾斜状態になるように左後シリンダC3及び右後シリンダC5の作動を制御し、さらに、走行状態検出手段400によって機体本体Vの前進走行が停止したことを検出されたときには、前記ピッチング制御の実行を停止して、機体本体Vの左右後部が下限位置まで下降するように左後シリンダC3及び右後シリンダC5の作動を制御し、さらに、走行状態検出手段400によって機体本体Vの後進走行が停止したことを検出されたときには、前記ピッチング制御の実行を停止して、機体本体Vの左右前部が下限位置まで下降するように左前シリンダC2、右前シリンダC5の作動を制御するものである。
尚、制御手段200は、機体本体Vの後進走行が停止されてその左右前部が下降するように左前シリンダC2及び右前シリンダC4を短縮作動させる制御を実行している最中に、機体本体Vの前進走行が開始されたことを検出されたときは、左右前部が下降しながら左右後部が上昇するように、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を短縮作動させる制御と、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を伸長作動させる制御とを同時に実行するように構成されている。
【0054】
次に、制御装置22による姿勢変更動作について、図11〜図18のフローチャートに基づいて説明する。
図11、図12に示すように、先ず、手動操作指令(左右傾斜、前後傾斜、上下昇降)がされた否かを判断し、手動操作指令がされた場合には、手動姿勢変更処理を実行する。
上記手動操作指令がされていない場合は、水平自動スイッチ26と前後自動スイッチ27を調べ、水平自動スイッチ26がオンしていないときは、ローリング制御及びピッチング制御のいずれも実行しない。水平自動スイッチ26がオンしているときに、前後自動スイッチ27がオンしていなければ、ローリング制御だけを実行する。
【0055】
水平自動スイッチ26と前後自動スイッチ27が共にオンしているときは、湿田モードスイッチ35aと通常モードスイッチ35bを調べ、通常モードスイッチ35bがオンし、湿田モードスイッチ35aがオフしていると、通常制御モードに切り換わり、通常モードスイッチ35bがオフし、湿田モードスイッチ35aがオンしていると、湿田制御モードに切り換わる。
【0056】
通常制御モードの場合、作業状態検出手段300の株元スイッチ53と中立スイッチ52と後進スイッチ54とを調べ、刈取りが終了したか否かを判断し、刈取り中であると判断した場合、ローリング制御とピッチング制御とを実行する。このとき、ローリング制御をピッチング制御より優先して先に実行する。
刈取りが終了したと判断した場合、刈取りが終了したときの機体状態検出手段500による検出高さを読み取って記憶手段56に記憶させる処理を行ない、非作業用のローリング制御と、ピッチング制御とを実行する。このとき、非作業用のローリング制御をピッチン制御より優先して先に実行する。
【0057】
湿田制御モードの場合、作業状態検出手段300の株元スイッチ53と中立スイッチ52と後進スイッチ54とを調べ、刈取りが終了したか否かを判断し、刈取り中であると判断した場合、ピッチング制御とローリング制御とを実行する。このとき、ピッチング制御をローリング制御より優先して先に実行する。
刈取りが終了したと判断した場合、刈取りが終了したときの機体状態検出手段500による検出前後傾斜状態を読み取って記憶手段56に記憶させる処理を行ない、ローリング制御とピッチング制御と強制傾斜制御とを実行する。このとき、ピッチング制御をローリング制御より優先して先に実行する。
【0058】
図13に示すように、手動姿勢変更処理では、左上げスイッチ37bにて左上げが指令されていれば、右傾斜処理を実行する。尚、右傾斜処理では、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に達するまで、右前シリンダC4を伸長作動させるとともに右後シリンダC5を短縮作動させ、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2を短縮作動させるとともに左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0059】
又、右上げスイッチ37aにて右上げが指令されていれば、左傾斜処理を実行する。尚、左傾斜処理では、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2を伸長作動させるとともに左後シリンダC3を短縮作動させ、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されれば、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、右前シリンダC4を短縮作動させるとともに右後シリンダC5を伸長作動させる。
【0060】
又、後上げスイッチ40bにて後上げが指令されていれば、前傾斜処理を実行する。尚、前傾斜処理では、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を伸長作動させ、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作されれば、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を伸長作動させる。
【0061】
又、前上げスイッチ40aにて前上げが指令されていれば、後傾斜処理を実行する。尚、後傾斜処理では、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を短縮作動させ、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を短縮作動させる。
【0062】
又、機体上げスイッチ38aにて機体上げが指令されていれば、機体上昇処理を実行する。尚、機体上昇処理では、左前シリンダC2が上限位置になるまで短縮作動させ、左後シリンダC3が上限位置になるまで伸長作動させ、右前シリンダC4が上限位置になるまで短縮作動させ、右後シリンダC5が上限位置になるまで伸長作動させる。
【0063】
又、機体下げスイッチ38bにて機体下げが指令されていれば、機体下降処理を実行する。尚、機体下降処理では、左前シリンダC2が下限位置になるまで伸長作動させ、左後シリンダC3が下限位置になるまで短縮作動させ、右前シリンダC4が下限位置になるまで伸長作動させ、右後シリンダC5が下限位置になるまで短縮作動させる。
【0064】
図14に示すように、ローリング制御では、左右傾斜角センサ23の検出値と設定左右傾斜角に対応する信号値との偏差がローリング用の不感帯を機体本体Vの左傾斜側に外れていれば、機体右側の前後に位置する各ストロークセンサ20、21の検出情報に基づいて、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC4,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC4,C5のいずれかが下限位置に達するまで、右前シリンダC4を伸長作動させるとともに右後シリンダC5を短縮作動させる。右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2を短縮作動させるとともに左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0065】
上記左右傾斜角センサ23の検出値と設定左右傾斜角に対応する信号値との偏差がローリング用の不感帯を機体本体Vの右傾斜側に外れていれば、機体左側の前後に位置する各ストロークセンサ18、19の検出情報に基づいて、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C3がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC2,C3のいずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2を伸長作動させるとともに左後シリンダC3を短縮作動させる。左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されれば、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、右前シリンダC4を短縮作動させるとともに右後シリンダC5を伸長作動させる。
このようにして、機体本体Vの高さを極力低くするようにしながら、機体本体Vの左右傾斜角と左右傾斜角設定器25にて設定された設定左右傾斜角との角度ずれが不感帯内に収まるようにローリング制御を実行するのである。
【0066】
図15に示すように、ピッチング制御では、前後傾斜角センサ24の検出値と水平状態に対応する信号値との偏差がピッチング制御の不感帯を機体本体Vの前傾斜側に外れていれば、機体後部に位置する左右のストロークセンサ19、21の検出情報に基づいて、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC3,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC3,C5のいずれかが下限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を短縮作動させる。
【0067】
前後傾斜角センサ24の検出値と水平状態に対応する信号値との偏差がピッチング制御の不感帯を機体本体Vの後傾斜側に外れていれば、機体後部に位置する左右のストロークセンサ19,20の検出情報に基づいて、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC3,C5がいずれも上限位置に操作されていなければ、その両シリンダC3,C5のいずれかが下限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を伸長作動させる。
このピッチング制御は、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を停止させてままにして実行する。つまり、前側基準で実行する。
【0068】
図16に示すように、非作業用のローリング制御では、左右傾斜角センサ23の検出値と設定左右傾斜角に対応する信号値との偏差がローリング用の不感帯を機体本体Vの左傾斜側に外れていれば、機体状態検出手段500の機体右側の前後に位置する各ストロークセンサ20、21の検出情報と、記憶手段56による記憶高さとに基づいて、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが記憶高さ以上に操作されているか否かを判断し、両シリンダC4,C5がいずれも記憶高さ以上にあれば、その両シリンダC4,C5のいずれかが記憶手段56による記憶高さに達するまで、右前シリンダC4を伸長作動させるとともに右後シリンダC5を短縮作動させる。右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが記憶高さに操作されれば、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2を短縮作動させるとともに左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0069】
上記左右傾斜角センサ23の検出値と設定左右傾斜角に対応する信号値との偏差がローリング用の不感帯を機体本体Vの右傾斜側に外れていれば、機体状態検出手段500の機体左側の前後に位置する各ストロークセンサ18、19の検出情報と、記憶手段56による検出高さとに基づいて、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが記憶高さ以上に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C3がいずれも記憶高さ以上にあれば、その両シリンダC2,C3のいずれかが記憶手段56による記憶高さに達するまで、左前シリンダC2を伸長作動させるとともに左後シリンダC3を短縮作動させる。左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが記憶高さに操作されれば、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、右前シリンダC4を短縮作動させるとともに右後シリンダC5を伸長作動させる。
このようにして、走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの高さを記憶手段56による記憶高さより低くさせなようにしながら、機体本体Vの左右傾斜角と、左右傾斜角設定器25にて設定された設定左右傾斜角との角度ずれが不感帯内に収まるようにローリング制御を実行するのである。
【0070】
図17、図18に示すように、前記強制傾斜制御では、先ず強制前傾フラグがオンしているか否かを調べ、強制前傾フラグがオンしていないときは、後進走行を停止したか否かを調べて、後進走行を停止したときに、左前シリンダC2及び右前シリンダC4の何れも下限位置に操作されていなければ、強制前傾フラグをオンする。
そして、この強制前傾フラグをオンしたとき、及び、上記において強制前傾フラグがオンしているときは、左前シリンダC2及び右前シリンダC4の何れかが下限位置に操作されるまで、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を伸長作動させ、左前シリンダC2及び右前シリンダC4の何れかが下限位置に操作されると、強制前傾フラグをオフする。
【0071】
前記強制前傾フラグがオフで、且つ、後進走行を停止していない場合は、前進走行を停止したか否かを調べて、前進走行を停止したときに、左後シリンダC3及び右後シリンダC5の何れも下限位置に操作されていなければ、強制後傾フラグをオンする。そして、この強制後傾フラグをオンしたとき、及び、上記において強制後傾フラグがオンしているときは、左後シリンダC3及び右後シリンダC5の何れかが下限位置に操作されるまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を短縮作動させ、左後シリンダC3及び右後シリンダC5の何れかが下限位置に操作されると、強制後傾フラグをオフする。
【0072】
つまり、湿田では、後進走行する際にはコンバイン全体が前傾側になる現象が発生し、前進走行する際にはコンバイン全体が後傾側になる現象が発生する。この現象が発生すると、ピッチング制御が実行されることになるが、このピッチング制御だけでは、傾斜センサ24の応答遅れに起因する修正遅れが出ることがある。ところが、前記強制傾斜制御が実行されると、これから前進するべく後進走行を停止されたとき、後に実際に前進走行して機体本体Vが成る傾斜方向に事前に機体本体Vを調整することになり、また、これから後進するべく前進走行を停止されたとき、後に実際に後進走行して機体本体Vが成る傾斜方向に事前に機体本体Vを調整することになる。この結果、実際に前進走行するときも、後進走行するときも、通常のピッチング制御だけでは発生することがある修正遅れを強制傾斜制御によってカバーし、機体本体Vを設定傾斜角に遅れなく維持しながら走行できる。
【0073】
前記強制前傾フラグ及び前記強制後傾フラグがオフで、且つ、後進走行及び前進走行を停止していない場合は、作業状態検出手段300の検出情報に基づいて刈取りを開始されたか否かを調べて、刈取りを開始されたときに、左後シリンダC3及び右後シリンダC5の少なくとも一方が記憶手段56による記憶高さに操作されていなければ、強制復帰フラグをオンする。そして、この強制復帰フラグをオンしたとき、及び、上記において強制復帰フラグがオンしているときは、左後シリンダC3及び右後シリンダC5が記憶高さに操作されるまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を駆動作動させ、左後シリンダC3及び右後シリンダC5が記憶高さに操作されると、強制復帰フラグをオフする。すなわち、刈取りの開始が検出されると、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を刈取り終了時に検出されて記憶された記憶高さに強制的に復帰させることにより、走行装置1L,1Rの接地部に対する機体本体Vの前後傾斜状態を、刈取り終了時にあった前後傾斜状態に強制的に復帰させるように制御される。
【0074】
〔別実施形態〕
上記実施形態の作業状態検出手段300は、機体本体Vの前進走行が開始されたことを検出することによって刈取りが開始されたと検出するように構成されている。すなわち、前記作業工程切り換え用の旋回走行において、前記後進旋回走行(ハ)の後の前記前進走行(ニ)が開始されると、この後早期に次の作業工程の植立穀稈が刈取部10に入り込むという状態で走行されるものとして設定しているのである。従って、前記前進走行(ニ)が比較的長い距離にわたって行われ、この前進走行(ニ)を開始しても、すぐには次の作業工程の植立穀稈が刈取部10に入り込まず、ある程度の走行距離を走行することによって初めて次の作業工程の植立穀稈が刈取部10に入り込むという状態で走行される場合には、前記作業状態検出手段300として、前進走行(ニ)が開始されてから前記走行距離に相当するものとして設定した設定距離が走行されたことを検出することによって、刈取りが開始されたと検出するように構成して実施するとよい。
【0075】
また、このように、前進走行が開始されたことの検出や、前進走行の開始から設定距離走行したことの検出によって刈取りの開始を検出するように構成する他、刈取部10の始端付近に接触式や非接触式のセンサーを設け、このセンサーの検出範囲に植立穀稈が入ってセンサーが検出作動することによって刈取りが開始されたと検出する構成を採用して実施してもよい。
【0076】
前記非作業用ローリング制御において低下させないようにされる機体本体Vの高さとしては、刈取りが終了されたときの機体本体Vの左側と右側の平均高さを採用したり、機体本体Vの左側と右側の高い方の高さを採用して実施してもよい。
【0077】
上記実施形態では、エンジンEからの動力を油圧式の無段変速装置47によって変速して走行装置1L,1Rに伝達するとともに、作業状態検出手段300を、上記無段変速装置47を変速操作する変速レバー51が中立位置に操作されているか否かを検出する中立スイッチ52、及び、変速レバー51が後進操作域に操作されているか否かを検出する後進スイッチ54にて構成したが、これに限るものではない。例えば、無段変速装置ではなく、スイッチ操作によって複数段 (例えば、低速、中速、高速の3段式)に切り換えられる有段式の変速装置で変速された動力を走行装置に伝達する場合には、その各変速位置(低速、中速、高速)に切り換えられていることを検出する検出スイッチにて構成してもよい。
【0078】
上記実施形態では、走行装置を、左右一対のクローラ走行装置1L,1Rで構成したが、これに限るものではなく、例えば、単一の走行装置でもよく、又、クローラ式ではなく車輪式の走行装置でもよい。
【0079】
上記実施形態では、左右傾斜角検出手段23及び前後傾斜角検出手段24を、重力式の傾斜角センサ23,24にて構成したが、これに限るものではなく、例えばレーザージャイロ等の角速度を検出するセンサの検出信号を積分して傾斜角を検出する手段でもよい。
【0080】
上記実施形態では、姿勢変更操作手段100を、機体本体Vの前後左右の4箇所に位置した4個の駆動手段C2〜C5にて構成したが、例えば、左右の走行装置を一体的に前後方向に傾斜させる1個の駆動種手段(ピッチング用油圧シリンダ)にて構成してもよい。
又、上記4個の駆動手段C2〜C5を構成する場合も、油圧シリンダ以外に、電動モータとネジ送り機構等からなる他の駆動手段にて構成してもよい。
【0081】
上記実施形態では、制御手段200は、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を停止させながら左後シリンダC3及び右後シリンダC5の作動を制御するという前基準のピッチン制御を実行するように構成したが、左前シリンダC2及び右前シリンダC4をも作動させるピッチング制御を実行するように構成して実施してもよい。この場合、強制傾斜制御として、4個油圧シリンダC2〜C5を刈取り終了時に記憶された操作状態に強制的に作動させる制御を実行するように構成する。
【0082】
上記実施形態では、機体本体Vの走行装置1L,1Rの接地部に対する前後傾斜を検出する傾斜状態検出手段18〜21を、上記各駆動手段C2〜C5の駆動操作量を検出するストロークセンサ18〜21にて構成したが、これに限るものではない。
【0083】
上記実施形態では、刈取収穫機としてコンバインを例示したが、以外の各種茎稈や、茎稈以外の各種の作物を収穫対象すると各種の刈取収穫機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの前部を示す側面図
【図2】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図3】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図4】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図5】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図6】伝動系統図
【図7】制御構成を示すブロック図
【図8】姿勢変更操作用のスイッチユニットの正面図
【図9】左右傾斜角の設定値を示す説明図
【図10】傾斜状態検出要領の説明図
【図11】制御作動を示すフローチャート
【図12】制御作動を示すフローチャート
【図13】制御作動を示すフローチャート
【図14】ローリング制御を示すフローチャート
【図15】ピッチング制御を示すフローチャート
【図16】非作業用ローリング制御を示すフローチャート
【図17】強制傾斜制御を示すフローチャート
【図18】強制傾斜制御を示すフローチャート
【図19】作業工程切り換え用の旋回走行を示す説明図
【符号の説明】
1L,1R 走行装置
10 刈取部
23 左右傾斜角検出手段
24 前後傾斜角検出手段
56 記憶手段
100 姿勢変更操作手段
200 制御手段
300 作業状態検出手段
500 機体状態検出手段
V 機体本体
M 未刈茎稈群
M1〜M4 作業工程

Claims (4)

  1. 走行装置の接地部に対して、前部に刈取部を昇降操作自在に備える機体本体の前後傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段と、前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段と、この前後傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御するピッチング制御を実行する制御手段とが設けられている刈取収穫機の姿勢制御装置であって、
    前記走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態を検出する機体状態検出手段と、この機体状態検出手段による検出傾斜状態を記憶する記憶手段と、刈取りの開始及び終了を検出する作業状態検出手段とが設けられ、
    前記制御手段は、前記機体状態検出手段及び前記作業状態検出手段の検出情報に基づいて、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出傾斜状態を前記記憶手段に記憶させ、刈取り開始が検出されると、前記ピッチング制御の実行を停止して、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態が前記記憶手段による記憶傾斜状態になるように前記姿勢変更操作手段を作動させる強制傾斜制御を実行するように構成されている刈取収穫機の姿勢制御装置。
  2. 未刈茎稈群の外周に沿う1つの作業工程の終端に達するに伴って、前記未刈茎稈群に接近する側に向けて前進旋回走行させ、次に、1 つの作業工程と交差する次の作業工程の手前箇所に後進旋回走行させ、その後、次の作業工程に向けて前進走行させる作業工程切り換え用の旋回走行を行なわせて刈取り収穫作業を行なうように構成され、
    前記作業状態検出手段は、前記作業工程切り換え用の旋回走行において、後進旋回走行の後の前進走行が開始されたことを検出する又はその前進走行が開始されてから設定距離走行したことを検出することによって、刈取りが開始されたと検出するように構成されている請求項1記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
  3. 前記姿勢変更操作手段が前記走行装置の接地部に対する前記機体本体の左右傾斜角を変更操作するように構成され、前記機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段と、前記走行装置の接地部に対する機体本体の高さを検出する機体状態検出手段と、この機体状態検出手段による検出高さを記憶する記憶手段とが設けられ、
    前記制御手段は、前記左右傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御するローリング制御を実行するように構成され、且つ、前記作業状態検出手段及び前記機体状態検出手段の検出情報に基づいて、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出高さを前記記憶手段に記憶させ、前記機体状態検出手段による検出高さが前記記憶手段による記憶高さより低下させないで前記ローリング制御を実行するように構成されている請求項1又は2記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
  4. 前記制御手段が、通常制御モードと湿田制御モードとに切り換え自在に構成され、前記通常制御モードでは、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出高さを前記記憶手段に記憶させ、前記機体状態検出手段による検出高さが前記記憶手段による記憶高さより低下させないで前記ローリング制御を実行し、前記湿田制御モードでは、刈取り終了が検出されると、このときの前記機体状態検出手段による検出傾斜状態を前記記憶手段に記憶させ、刈取り開始が検出されると、前記ピッチング制御の実行を停止して、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜状態が前記記憶手段による記憶傾斜状態になるように前記姿勢変更操作手段を作動させる強制傾斜制御を実行するように構成されている請求項3記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
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