JP3651655B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機の制御装置に関するものであり、特に調圧弁及び電磁弁を収納するバルブボディが上下に分割された形式のものの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような従来の自動変速機の制御装置としては、例えば特開平8−270779号公報に記載されるようなものがある。この自動変速機の制御装置は、例えばセレクトレバーと共に手動操作されるマニュアル弁を設けておき、例えば非走行状態を示すNレンジ或いはPレンジと、例えば走行状態を示すDレンジ或いはRレンジとで、作動油の油圧が作用するスプール弁の受圧面積を変えることにより、非走行状態でのポンプの負荷を軽減するようにしたものである。ちなみに、自動変速機内の摩擦係合要素に対する作動油圧を制御するための圧力制御弁は、スプールの移動量によって弁開度を調整して供給油圧を増減圧する調圧弁と、この調圧弁へのパイロット圧(出力圧)を出力する電磁弁とで構成され、一般的には電磁弁をデューティ比制御することにより、供給油圧を調整できるようにしてある。また、これらの弁は、一般的に自動変速機の下部に設けられたバルブボディ内に内装されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的なバルブボディは、その内部にスプールなどを内装しなければならない関係から、上下に分割されていることが多い。そして、レイアウトの自由度を確保するために、例えば図12のように、スプール弁と電磁弁との間に油圧振動吸収用のアキュームレータを介装すると共に、電磁弁も、スプール弁も、アキュームレータも分割されたバルブボディの下半体に組付け、電磁弁及びスプール弁間の油路を、一旦、分割されたバルブボディの上半体を通って、下半体の二つの弁を接続するようにした場合、油圧振動の増幅や、変速制御応答性の低下が生じることが判明した。
【0004】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、レイアウトの自由度を確保しながら、油圧振動の増幅や変速制御応答性の低下を回避することができる自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る自動変速機の制御装置は、油圧に応じて係合又は解放される摩擦係合要素と、この摩擦係合要素に供給する油圧を調圧する調圧弁と、この調圧弁を制御するための出力圧を出力する電磁弁と、上下二つのバルブボディから構成されて、前記調圧弁及び電磁弁を収納するコントロールバルブとを備えた自動変速機の制御装置において、前記調圧弁と電磁弁との間の油路を、前記上下二つのバルブボディの間で往復するように形成し、この油路に連通するアキュームレータを上側のバルブボディに配置し、そのアキュームレータ内のピストンの油圧がかかる油圧室側を、前記上側のバルブボディに形成される前記油路の最上部に連通させると共に、このアキュームレータのピストンは、シール部材を介することなく、前記上側のバルブボディのシリンダと直接接触し、前記アキュームレータ内の油圧室側と反対側に、作動油の排出通路を兼ねる空気排出通路を設け、前記油路に油圧がかかったときに、前記油路の最上部の空気が前記空気排出通路から排出されることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のうち請求項に係る自動変速機の制御装置は、油圧に応じて係合又は解放される摩擦係合要素と、この摩擦係合要素に供給する油圧を調圧する調圧弁と、この調圧弁を制御するための出力圧を出力する電磁弁と、この電磁弁の油圧振動を吸収するアキュームレータと、上下二つのバルブボディから構成されて、前記調圧弁及び電磁弁を収納するコントロールバルブとを備えた自動変速機の制御装置において、前記電磁弁とアキュームレータとの間の油路を、前記上下二つのバルブボディの間で往復するように形成し、この油路に連通する調圧弁を上側のバルブボディに配置し、前記油路に連通する当該調圧弁のポートを、前記上側のバルブボディに形成される前記油路の最上部に連通させると共に、前記上側のバルブボディのシリンダ部に挿入された前記調圧弁のスプールはプラグにより閉塞され、このプラグの前記出力圧がかかる側と反対側に、作動油の排出通路を兼ねる空気排出通路を設け、前記油路に油圧がかかったときに、前記油路の最上部の空気が前記空気排出通路から排出されることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のうち請求項に係る自動変速機の制御装置は、前記請求項2の発明において、前記空気排出通路には、前記プラグを係止するピンが挿入されていることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動変速機の制御装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す自動変速機のスケルトンである。この自動変速機内の基本的な変速構造は既存の2列の遊星歯車機構からなり、各遊星歯車機構を構成するサンギヤ,ピニオン,リングギヤの何れかを固定したり開放したりすることで入出力回転数の比,即ち減速比を変更できるようになっている。この自動変速機の構造は、十分に周知な既存のものであるので、ここでは主要な構成要素の名称及び符号の説明に止める。即ち、図中の符号G1 は入力側遊星歯車機構であり、S1 はサンギヤ、P1 はピニオン、R1 はリングギヤ、C1 はキャリアである。また、符号G2 は出力側遊星歯車機構であり、S2 はサンギヤ、P2 はピニオン、R2 はリングギヤ、C2 はキャリアである。また、符号Eは、トルクコンバータT/Cのポンプインペラーに接続されているエンジンの出力軸、符号IはトルクコンバータT/Cのタービンライナに接続されているインプットシャフト(入力軸)であり、符号Oは、図示されない駆動輪に接続されるアウトプットシャフトである。
【0009】
また、前記入力側遊星歯車機構G1 のキャリアC1 とインプットシャフトIとの間にはハイクラッチH/Cが介装されていると共に、当該キャリアC1 とケースとの間にはワンウエイクラッチOWCが介装され、両者の連結部材の外側にローアンドリバースブレーキLR/Bが配設されている。また、同じく入力側遊星歯車機構G1 のサンギヤS1 とインプットシャフトIとの間にはリバースクラッチR/Cが介装され、両者の連結部材の外側に2−4ブレーキ2−4Bが配設されている。また、入力側遊星歯車機構G1 のリングギヤR1 と、出力側遊星歯車機構G2 のキャリアC2 と、アウトプットシャフトOとが連結されている。また、出力側遊星歯車機構G2 のサンギヤS2 とインプットシャフトIとが連結されている。また、同じく出力側遊星歯車機構G2 のリングギヤR2 と前記ワンウエイクラッチOWCとの間にはロークラッチL/Cが介装されている。従って、この自動変速機では、後退時には前記リバースクラッチR/C及びローアンドリバースブレーキLR/Bを締結し、その他の摩擦係合要素は解放する。同様に、最も減速比が大きい1速では、ロークラッチL/C及びローアンドリバースブレーキLR/Bを締結し、その他の摩擦係合要素は解放する。また、それより減速比の小さい2速では、ロークラッチL/C及び2−4ブレーキ2−4Bを締結し、その他の摩擦係合要素は解放する。また、それより減速比の小さい3速では、ロークラッチL/C及びハイクラッチH/Cを締結し、その他の摩擦係合要素は解放する。また、それより減速比の小さい4速では、ハイクラッチH/C及び2−4ブレーキ2−4Bを締結し、その他の摩擦係合要素は解放する。
【0010】
この自動変速機のケースの下部には共通のバルブボディが取付けられ、そのバルブボディに各種のバルブを取付けてアクチュエータユニットが構成されている。前記各摩擦要素L/C、H/C、2−4B、LR/B、R/Cは、夫々、図2に示すように、このアクチュエータユニット内に内装された各種の圧力制御弁1L/C 〜1R/C からの作動油圧によって係合・解放される。各圧力制御弁1L/C 〜1R/C には、ライン圧PL を元圧とし、そこからパイロットバルブ2で分岐したパイロット圧PPLT と、マニュアルバルブ3で分岐したスプール供給圧PS-FWD 、PS-RVS とが供給され、それを圧力制御して各摩擦係合要素に出力する。なお、リバースクラッチ用圧力制御弁1R/C を除く各圧力制御弁には、前記マニュアルバルブ3で分岐した前進用スプール供給圧PS-FWD が、当該リバースクラッチ用圧力制御弁1R/C には後退用スプール供給圧PS-RVS が供給されるようになっている。また、各スプール供給圧PS-FWD 、PS-RVS は、ライン圧PL に等しい。
【0011】
前記各圧力制御弁1L/C 〜1R/C は、凡そ図3のような構成になっている。即ち、前記パイロット圧PPLT からスプールパイロット圧PS-PLT を創成するソレノイドバルブ(電磁弁)4と、このスプールパイロット圧PS-PLT によって、前記スプール供給圧PS-FWD 、PS-RVS から摩擦係合要素供給圧PL/C 〜PR/C を出力するスプール弁(調圧弁)5とを備えている。また、本実施形態では、前記ソレノイドバルブ4とスプール弁5との連通路に油圧振動吸収用のアキュームレータ14を介装している。このうち、ソレノイドバルブ4は、周知のように、コイルへの供給電流値に応じてプランジャの移動量が増加し、それと共に、例えばここではパイロット圧側とスプールパイロット圧側とを遮断するボールが移動されて流路が開き、パイロット圧PPLT がスプールパイロット圧側に連通してスプールパイロット圧PS-PLT を増圧する。このソレノイドバルブ4のコイルへの供給電流値は、後述する自動変速機コントロールユニット6からの駆動信号によって制御されるが、ここではデューティ比に応じてパルス電圧信号のパルス幅を制御するデューティ比制御が用いられている。
【0012】
一方、前記スプール弁5は、スプールパイロット圧PS-PLT の増圧と共にスプールが移動して流路が開き、スプール供給圧PS-FWD 、PS-RVS が摩擦要素供給圧PL/C 〜PR/C を増圧する。従って、この実施形態では、圧力制御弁1L/C 〜1R/C 中のソレノイドバルブ4へのデューティ比が大きいと、スプールパイロット圧PS-PLT 及び摩擦要素供給圧PL/C 〜PR/C がリニアに増圧される。また、アキュームレータ14は、後段に詳述するように、摺動抵抗を小さくするため、ピストンにシールを介装しないものである。また、油圧振動を吸収するためだけのものであることから、所謂棚圧を創成するためのアキュームレータに比して容量が小さい。
【0013】
一方、前記エンジンの吸気管路には、運転者によるアクセルペダルの踏込み量に応じて開閉するスロットルバルブが配設されており、このスロットルバルブには、その開度が零であることを検出するアイドルスイッチが取付けられている。また、前記エンジンの出力軸Eには、その回転速度(以下、エンジン回転数とも記す)を検出するエンジン回転数センサ10が取付けられている。また、前記アクチュエータユニットには、リザーバ内の作動油の温度を検出する油温センサ9が設けられている。また、自動変速機のシフトポジションを選択するセレクトレバーには、選択されたセレクト位置を検出し、それに応じたセレクト位置信号を出力するセレクト位置スイッチ7が取付けられている。ちなみに、このセレクト位置信号は、実車のセレクト位置に合わせて、P,R,N,D,2,Lに相当する信号になっている。また、前記自動変速機のインプットシャフトIには、前記トルクコンバータT/Cのタービン回転数を検出するタービン回転数センサ11が取付けられ、アウトプットシャフトOには、実質的に車速と等価な出力軸回転数センサ12が取付けられている。また、ブレーキペダルにはブレーキペダルの踏み込みによってONされるブレーキスイッチ13も設けられている。
【0014】
前記自動変速機コントロールユニット6は、例えば図示されない演算処理等を実行することで、自動変速機並びにアクチュエータユニットを制御するための制御信号を出力するマイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータから出力される制御信号を、実際のアクチュエータ,即ち前記各ソレノイドに適合する駆動信号に変換する駆動回路とを備えて構成される。
【0015】
次に、本発明の自動変速機の制御装置の第1実施形態として、前記圧力制御弁の具体的な構成について図4を用いて説明する。この実施形態では、前述したバルブボディは、上下に分割されていて、セパレートプレート17を挟んで上半体16と下半体15とを接合しており、各ソレノイドバルブ4とスプール弁5との連通路(油路)18は上半体16と下半体15との間で往復するように構成されている。本実施形態では、ソレノイドバルブ4及びスプール弁5は共にバルブボディの下半体15に取付けられており、アキュームレータ14はバルブボディの上半体16に取付けられている。つまり、アキュームレータ14はバルブボディの上部に配置されていることになり、同時に上半体16と下半体15との間で往復する油路18の最上部よりも更に上方に位置している。
【0016】
前記アキュームレータ14は、シリンダ21の内部にピストン22を挿入し、その開口部をプラグ23で閉塞している。シリンダ21のプラグ23側端部には、油路18と連通するアキュームレータ油室が形成されており、このアキュームレータ油室の少なくとも一部は、前記上半体16に形成された油路18の最上部よりも更に上方に位置している。また、シリンダ21のプラグ23側端部、つまりピストン22に油圧がかかるアキュームレータ油室側と反対側端部には、上向きの空気排出通路24が開設されている。なお、この空気排出通路24は、後述のように作動油も排出されるので比較的直径が大きい。
【0017】
このアキュームレータ14は前述のように、ソレノイドバルブ4の油圧振動を吸収するためのものであることから、ピストン22の摺動抵抗を小さくするために、ピストン22とシリンダ21とが直接接触しており、何らのシール構造も介装されていない。アキュームレータ14内のピストン22は、リターンスプリング25によって図示左方に押圧されているが、ポート26からアキュームレータ油室へ前記ソレノイドパイロット圧PS-PLT が入ると、ピストン22の左方に油圧がかかり、その油圧に応じてピストン22が図示右方に移動する。但し、ピストン22とシリンダ21との間にシール構造が介装されていないために、ピストン22の右方、つまり油圧がかかる側と反対側に作動油がリークするが、作動油は前記空気排出通路24から排出される。また、もし油路18の最上部に空気が溜まっていても、油圧がかかることにより、この作動油の流れに沿って、空気がアキュームレータ油室に流れ、更に作動油と共に前記空気排出通路24から排出される。このとき、前記空気排出通路24は、アキュームレータ14内にあってピストン22に油圧がかかる側と反対側に上向きに開設されているため、当該ピストン22に油圧がかかると、有効に空気排出通路24から排出され、これにより油路18中の空気は完全に排出される。
【0018】
次に、油路中に空気が存在すると、油圧振動が大きくなったり、変速制御応答性が低下したりすることについて説明する。
前述した図3の圧力制御弁では、例えば図5、図6のような油圧出力特性がある。即ち、前述したようにソレノイドバルブのデューティ比が大きいほど、コイルへの供給電流値が大きくなってプランジャの移動量が大きくなるので、ソレノイドバルブからの出力圧(図ではSOL出力圧)は次第に大きくなり、それに伴って各摩擦要素への出力圧(図ではクラッチ圧)も次第に大きくなる(共に図中の空気のない場合)。
【0019】
ところで、例えば前述した油路に空気が溜まっていると、気体は液体よりも遙かに圧力変化に伴う容積変化が大きいので、例えば油圧を変化させようとしても空気の容積が変化してしまい、油圧変化の応答が遅くなることがある。これが、図5に破線で示すようなデューティ比変化に対する油圧変化の応答遅れであり、例えば前述のような変速制御を司る圧力制御弁では、結果的に変速制御の応答性が低下してしまう。なお、このような油圧変化の応答性の低下を中たるみとも称する。
【0020】
また、例えば油路中に溜まっている空気が移動するようなときには、その移動に伴って自励振動が生じることがあり、これが、図6に示すような油圧振動の起因となることもある。なお、夫々の油圧振動周波数は、溜まっている空気の容積に応じて変化する。
従って、油路中に空気が溜まっていないときの、例えばアップシフト時の出力軸トルク及びクラッチ圧特性が図7のようなものであるとき、前述した油路中の空気溜まりによる油圧変化の中たるみがあると、実質的なクラッチ圧及び出力軸トルクは図8に破線で示すように、空気がない場合に比して応答遅れが生じてしまう。これは、即ち変速制御応答性の低下に他ならない。
【0021】
また、同様に油路中の空気溜まりによる油圧振動があると、実質的なクラッチ圧及び出力軸トルクは図9に破線で示すように、空気がない場合に比して出力軸トルク変動となって表れ、これが変速時の車両振動や異音の発生原因になってしまう。
これに対して、前記図4の圧力制御弁では、シール構造のないアキュームレータ14をバルブボディの上半体16に配置し、つまりバルブボディの上部に配置し、プラグ23側、即ちピストン22の圧がかかる側と反対側に空気排出通路24を設けて、油圧がかかると、油路18の最上部に溜まっている空気が移動し、空気排出通路24から排出されるようにしてあるので、レイアウトの自由度を確保しながら、且つ油路18中に空気が溜まることはなく、油圧振動が大きくなったり、変速制御応答性が低下したりするのを回避することができる。また、前記空気排出通路24は、作動油の排出路を兼ねているので、比較的径の大きな孔とすることができ、目詰まりすることがなく、加工工数も減らすことができる。また、アキュームレータ14中のピストン22にはシール構造がないので、油路の最上部の空気は、ピストン22とシリンダ21との間の隙間を通って空気排出通路24側に移動し易いことから、より空気の排出性が高まる。
【0022】
次に、本発明の自動変速機の制御装置の第2実施形態について説明する。この実施形態の車両の概略構成は、前記第1実施形態の図1乃至図3と同様である。そして、本実施形態では、前記図3の圧力制御弁の具体的な構成が、前記第1実施形態の図4のものから図10のものに変更されている。但し、この実施形態でも、バルブボディは上下に分割されていて、セパレートプレート17を挟んで上半体16と下半体15とを接合している。また、本実施形態で、レイアウトの関係から、各ソレノイドバルブ4とアキュームレータ14との油路18は上半体16と下半体15との間で往復するように構成されている。
【0023】
一方、本実施形態では、ソレノイドバルブ4及びアキュームレータ14がバルブボディの下半体15に取付けられており、スプール弁5がバルブボディの上半体16に取付けられている。つまり、スプール弁5はバルブボディの上部に配置されていることになり、同時にソレノイドバルブ4とスプール弁5との油路18の最上部よりも更に上方に位置している。なお、アキュームレータ14は、前記第1実施形態と同様に、油圧振動を吸収するために、ピストン22とシリンダ21との間にシール構造を介装していない。
【0024】
前記スプール弁5は、シリンダ27の内部にスプール28を挿入し、その開口部をピン40で抜け止めされたプラグ29で閉塞している。スプール28には、前記スプールパイロット圧PS-PLT が図示右方のポート31からかかることになる。また、スプール28のプラグ29側端部には、前記プラグ29を係止するピン40の一端が挿入された上向きの空気排出通路32が開設されている。そして、前記ポート31は油路18の最上部よりも更に上方に位置している。ポート31から前記スプールパイロット圧PS-PLT が入ると、シリンダ27とプラグ29との間に作動油が漏れ、前記空気排出通路32から排出される。また、バルブ組み付け時に油路18の最上部に空気が溜まってしまったとしても、この作動油の流れに沿って、空気がシリンダ27内に流れ、更に作動油と共に前記空気排出通路32から排出される。このとき、前記空気排出通路32は、スプール28のポート31に油圧がかかる側と反対側に上向きに開設されているため、当該スプール28のポート31に油圧がかかると、有効に空気排出通路32から排出され、これにより油路中の空気は完全に排出される。
【0025】
従って、スプール弁5のポート31が油路18の最上部よりも更に上方に位置しているので、油路18の最上部に溜まっている空気が作動油と共に移動し、空気排出通路32から排出可能となり、バルブボディの下半体15と上半体16とを往復する油路18中に空気が溜まることはなく、油圧振動が大きくなったり、変速制御応答性が低下したりするのを回避することができると共に、油路18をバルブボディの上半体と下半体とを往復させることができるため、レイアウトの自由度が広がる。また、前記空気排出通路32は、ピン40の係止孔と作動油の排出路とを兼ねているので、比較的径の大きな孔とすることができ、目詰まりすることがなく、加工工数も低減する。
【0026】
次に、本発明の自動変速機の制御装置の第3実施形態について説明する。この実施形態の車両の概要構成は、前記第1実施形態の図1乃至図3と同様である。そして、本実施形態では、前記図3の圧力制御弁の具体的な構成が、前記第1実施形態の図4のものから図11のものに変更されている。但し、この実施形態でも、バルブボディは上下に分割されていて、セパレートプレート17を挟んで上半体16と下半体15とを接合している。また、本実施形態でも、レイアウトの関係から、各ソレノイドバルブ4とスプール弁5との油路18は上半体16と下半体15との間で往復するように構成されている。
【0027】
一方、本実施形態では、ソレノイドバルブ4及びアキュームレータ14及びスプール弁5の全てがバルブボディの下半体15に取付けられており、少なくともこの圧力制御弁の構成要素の中では、バルブボディの上半体16には、途中の油路18があるだけである。なお、アキュームレータ14は、前記第1実施形態と同様に、油圧振動を吸収するために、ピストン22とシリンダ21との間にシール構造を介装していない。
【0028】
そして、前記バルブボディの上半体16に形成されている油路の最上部には、上向きの空気排出通路33が形成されている。この空気排出通路33は、バルブボディの上半体16に形成されている油路18の最上部から当該上半体16の上面に貫通する貫通孔36と、座面34が形成され且つ前記貫通孔36よりやや小径のステム35と、このステム35を貫通孔36に上方から差し込んで、その下端部に取付けられたサークリップなどの抜け止め37とから構成されている。従って、油圧のかかっていない状態では、ステム35が下方に位置してその座面34がバルブボディの上半体16の上面に接触して貫通孔36を閉塞しているが、油圧がかかると、それが座面34などに作用して上方に持ち上げ、貫通孔36とステム35外周との間に隙間ができ、そこから作動油が排出される。また、もし油路18内に空気が溜まっていると、この作動油の流れに沿って、空気が作動油と共に前記空気排出通路33から排出される。このとき、前記空気排出通路33は上向きに開設されているため、油圧がかかると有効に空気排出通路33から排出され、これにより油路18中の空気は完全に排出される。
【0029】
従って、油路18中に溜まっている空気が移動し、空気排出通路33から排出されるようにしてあるので、油路18中に空気が溜まることはなく、油圧振動が大きくなったり、変速制御応答性が低下したりするのを回避することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る自動変速機の制御装置によれば、アキュームレータを例えば上半体のように一方のバルブボディに配置し、ピストンの圧がかかる油圧室を上半体バルブボディに形成されている油路の最上部に連通すると共に、当該ピストン油圧室側と反対側に空気排出通路を設けて、油圧がかかると、油路の最上部に溜まっている空気が移動し、空気排出通路から排出されるようにしてあるので、レイアウトの自由度を確保しながら、且つ油路中に空気が溜まることはなく、油圧振動が大きくなったり、変速制御応答性が低下したりするのを回避することができる。また、前記空気排出通路は、作動油の排出路を兼ねているので、比較的径の大きな孔とすることができ、目詰まりすることがなく、加工工数も減らすことができる。
【0031】
また、アキュームレータ中のピストンとシリンダとの間にはシール構造がないので、油路の最上部の空気は、ピストンとシリンダとの間の隙間を通って空気排出通路側に移動し易いことから、より空気の排出性が高まる。
また、本発明のうち請求項に係る自動変速機の制御装置によれば、調圧弁を例えば上半体のように一方のバルブボディに配置し、その調圧弁のうち、油路に連通するポートを上半体バルブボディに形成されている油路の最上に連通すると共に、スプールに油圧がかかる側と反対側に空気排出通路を設けて、油圧がかかると、油路の最上部に溜まっている空気が移動し、空気排出通路から排出されるようにしてあるので、レイアウトの自由度を確保しながら、且つ油路中に空気が溜まることはなく、油圧振動が大きくなったり、変速制御応答性が低下したりするのを回避することができる。
【0032】
また、前記空気排出通路は、プラグを係止するためのピンの係止孔と作動油の排出路とを兼ねているので、比較的径の大きな孔とすることができ、目詰まりすることがなく、加工工数も低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機の一例を示すスケルトン図である。
【図2】図1の自動変速機のアクチュエータの回路図である。
【図3】変速を制御する圧力制御弁の説明図である。
【図4】図3の圧力制御弁の具体的構成の第1実施形態を示す縦断面図である。
【図5】油路中に空気があるときの中たるみ現象の説明図である。
【図6】油路中に空気があるときの油圧振動の説明図である。
【図7】油路中に空気がないときの変速時の出力軸トルクと摩擦係合要素への作動油圧との説明図である。
【図8】油路中の空気によって中たるみ現象が生じたときの変速時の出力軸トルクと摩擦係合要素への作動油圧との説明図である。
【図9】油路中の空気によって油圧振動が生じたときの変速時の出力軸トルクと摩擦係合要素への作動油圧との説明図である。
【図10】図3の圧力制御弁の具体的構成の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図11】図3の圧力制御弁の具体的構成の第3実施形態を示す縦断面図である。
【図12】従来の変速制御弁の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
L/C 〜1R/C は圧力制御弁
2はパイロットバルブ
3はマニュアルバルブ
4はソレノイドバルブ
5はスプール弁
6は自動変速機コントロールユニット
14はアキュームレータ
15は下半体(バルブボディ)
16は上半体(バルブボディ)
22はピストン
23はプラグ
24は空気排出通路
28はスプール
32は空気排出通路
33は空気排出通路
40はピン

Claims (3)

  1. 油圧に応じて係合又は解放される摩擦係合要素と、この摩擦係合要素に供給する油圧を調圧する調圧弁と、この調圧弁を制御するための出力圧を出力する電磁弁と、上下二つのバルブボディから構成されて、前記調圧弁及び電磁弁を収納するコントロールバルブとを備えた自動変速機の制御装置において、前記調圧弁と電磁弁との間の油路を、前記上下二つのバルブボディの間で往復するように形成し、この油路に連通するアキュームレータを上側のバルブボディに配置し、そのアキュームレータ内のピストンの油圧がかかる油圧室側を、前記上側のバルブボディに形成される前記油路の最上部に連通させると共に、このアキュームレータのピストンは、シール部材を介することなく、前記上側のバルブボディのシリンダと直接接触し、前記アキュームレータ内の油圧室側と反対側に、作動油の排出通路を兼ねる空気排出通路を設け、前記油路に油圧がかかったときに、前記油路の最上部の空気が前記空気排出通路から排出されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 油圧に応じて係合又は解放される摩擦係合要素と、この摩擦係合要素に供給する油圧を調圧する調圧弁と、この調圧弁を制御するための出力圧を出力する電磁弁と、この電磁弁の油圧振動を吸収するアキュームレータと、上下二つのバルブボディから構成されて、前記調圧弁及び電磁弁を収納するコントロールバルブとを備えた自動変速機の制御装置において、前記電磁弁とアキュームレータとの間の油路を、前記上下二つのバルブボディの間で往復するように形成し、この油路に連通する調圧弁を上側のバルブボディに配置し、前記油路に連通する当該調圧弁のポートを、前記上側のバルブボディに形成される前記油路の最上部に連通させると共に、前記上側のバルブボディのシリンダ部に挿入された前記調圧弁のスプールはプラグにより閉塞され、このプラグの前記出力圧がかかる側と反対側に、作動油の排出通路を兼ねる空気排出通路を設け、前記油路に油圧がかかったときに、前記油路の最上部の空気が前記空気排出通路から排出されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  3. 前記空気排出通路には、前記プラグを係止するピンが挿入されていることを特徴とする請求項に記載の自動変速機の制御装置。
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