JP3651539B2 - 多層配線基板の製造プロセスの評価方法 - Google Patents

多層配線基板の製造プロセスの評価方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層配線基板の製造プロセスの評価方法に係り、とくに基板の積層−スルーホールの下孔明け−下孔めっきプロセス−表裏面層パターニングプロセスの評価方法に関する。
【0002】
多層配線基板の製造プロセスラインのこれらのプロセスを経て完成された多層配線基板を検査し、その検査結果から各プロセスの処理条件を評価する方法では、ラインに検査結果をフィードバックするのが遅くなったり、不良品を発生したプロセス元が判りにくいなどの問題があって、専門の検査員でなくとも誰でも同一基準で基板の検査ができて処理条件の評価が同一の尺度で迅速かつ容易にできることが要望されている。
【0003】
【従来の技術】
多層配線基板は、別プロセスにより片面に内層となる配線パターンを形成した配線基板を用意し、複数の配線基板の間にプリプレグを挟んで位置合わせして重ね、それを熱圧着して積層し多層配線基板とする。
【0004】
多層配線基板を製作する製造プロセスラインは、前記配線基板を積層する積層プロセスと、大小径のスルーホール(大径はリード部品を接続し、小径は層間を接続する)の下孔明けプロセスと、その下孔にめっきを施すめっきプロセスと、積層された多層配線基板の表裏層にスルーホールランドを含む配線パターンを形成するパターニングプロセスとを含んで構成されている。
【0005】
従来の評価方法は、これらのプロセスを経て完成された製品(多層配線基板)を抜き取り、ボイド発生の有無、スルーホールの位置ずれやスルーホールの導通検査によるめっき不良(必要に応じてサンプリング断面検査を行う)を検査し、その検査結果から各プロセスの処理や加工条件を評価する。
【0006】
検査は、専門の検査員あるいはライン作業者自身で行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような上記評価方法によれば、製品完成後に抜き取ったサンプル品では、仕様が異なれば大きさ、基板の積層数、スルーホールなどの位置及び数、配線パターンの形状などが一定していないため統一した尺度で評価ができないとか、多層配線基板の種類が多様化し見逃しなどの検査ミスもあって欠陥箇所の検出力が低いとか、また例えばスルーホールの数が少ないと評価する母数が小さくなるため多数のサンプル品が必要になるといった問題があった。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明は製造プロセスラインの立ち上がり時に製品とは別に流して製作した評価用多層基板を検査し、各プロセスの処理条件を評価する多層配線基板の製造プロセスの評価方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多層配線基板の製造プロセスの評価方法においては、配線基板の積層プロセスとスルーホールの下孔明けプロセスとスルーホールめっきプロセスと表裏面層パターニングプロセスとを含む多層配線基板の製造プロセスラインの立ち上がり前に、表裏基板との間にボイド検査用パターンを配置した内層基板を挟んで積層し、該積層基板の表裏面に孔ずれ検査用パターンとスルーホール導通検査用パターンとを形成した評価用多層基板を製品とは別に製作し、該評価用多層基板の前記それぞれの検査用パターンを検査し、該検査結果により前記それぞれのプロセスの処理条件及び状態を評価するように構成する。
【0010】
このように構成することにより、基板積層前に形成されたボイド検査用パターンで積層プロセスにおける残留ガスによるボイド発生の有無がチェックできる。また、積層基板の四隅の一隅を基準に周縁部に明けたスルーホールの下孔で孔ずれ検査用パターンを形成し、その位置ずれを検査することにより、下孔明けプロセスにおけるドリルヘッドの直交方向の位置出し不良及び加工テーブルへのセット不良をチェックすることができる。
【0011】
また、表裏面層パターニングプロセスにおいて、スルーホール導通検査用パターンは、複数のスルーホールを表裏面層で交互に連続接続した1本の配線として形成することにより、その両端2点の導通検査でめっきプロセスにおけるスルーホールのめっき不良をチェックすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施例に基づいて本発明の要旨を詳細に説明する。
本発明の多層配線基板の製造プロセスの評価方法は、製造プロセスラインの立ち上がり時に製品とは別に流して製作した評価用多層基板を検査し、その検査結果により配線基板の積層プロセスと、スルーホールの下孔明けプロセスと、該下孔のめっきプロセスと、表裏面に配線パターンを形成するパターニングプロセスの処理条件や状態を評価する。
【0013】
評価用多層基板の検査対象としては、単層とは異なり積層された多層配線基板であることからボイド発生の有無と、下孔の位置ずれ、又はスルーホールに対するスルーホールランドの位置ずれと、スルーホールの電気的導通不良である。
【0014】
図1は本発明の一実施例の評価用基板の平面図を示す。
図は、大きさが縦510mm×横340mm、厚さが2mmで表裏層を含め6層の評価用多層基板10を例示する。評価用多層基板10の四隅に図示しない孔明け装置の加工テーブルにセットする直径5mmの位置決め孔1を配置し、その内側の領域(点線で囲まれた領域A)にボイド検査用パターン2(図2の部分拡大図参照)と、孔ずれ検出用パターン3(図3の部分拡大図参照)と、スルーホール導通検査用パターン4(図4の部分拡大図参照)を配置する。
【0015】
まず、ボイド検査用パターン2について説明する。(図1,図2参照)
ボイド発生要因の1つは、積層プロセスにおいて、溶融したプリプレグの流れが悪くて内層とプリプレグ間にガスが残って密着不足となるためで、製品基板ではべた状の配線パターンで囲まれた部分に生じ易く、製品基板の中央部分に発生し易い。
【0016】
そのため、ボイド検査用パターン2は、図1乃至図2に示すように、4つのかぎ形パターン21aを互いに対称に幅5mmの隙間G(ガス抜き通路)を開けて1辺が30mm方形の四隅に配置し、内側に1辺が20mm方形のパターンのない領域S(図2)を有する格子状べたパターン21で構成し、ボイドが発生し易い内層(例えば、第3または第4内層)の中央領域B(図1)に複数箇所配置する。(図1は3箇所を破線でなく実線で示す)
このボイド検査用パターンを検査することにより、ボイド発生の有無を検査することができる。
【0017】
つぎに、孔ずれ検出用パターン3について説明する。(図1,図3参照)
下孔の位置ずれの要因の1つは、孔明け精度である。孔明け装置のドリルヘッドの直交方向の位置出し不良や加工テーブルへのセット不良が原因となり、積層厚さが厚いほどドリルが曲がって裏面では位置ずれする場合もある。
【0018】
孔ずれ検出用パターン3は、スルーホールの下孔明けプロセスにおいて、積層基板の四隅を含む周縁部に複数の下孔3aを明けて構成する。図3に示すように、この下孔3aの直径は製品と同じ最小径の0.35mm(斜線部分)とし、1辺が最小寸法0.75mmの正方形のスルーホールランド3bの中心に明ける。
【0019】
下孔3aは、積層基板の四隅の一隅を基準(原点P)にステッピングして明けるため一定方向にずれる傾向があり、原点Pから離れるほどずれが累積される。そのため、下孔は四隅のどの隅を原点Pにしても検査可能なように領域Aの四隅を含んで例えば、2辺の6箇所に均等配置する。
【0020】
この孔ずれ検出用パターンを検査することにより、スルーホールがスルーホールランドの中心にない場合、スルーホールの位置ずれかスルーホールランドの位置ずれかの何れかであり、それぞれを検査し判定する。あるいは、スルーホールが表裏面間で横ずれしていないか検査する。
【0021】
つぎに、スルーホール導通検査用パターン4について説明する。(図1,図4参照)
スルーホールのめっき不良を検査するために、積層基板を中央領域Bで2分した両側の領域C,Dのそれぞれにスルーホール導通検査用パターン4を配置する。なお、領域D内のスルーホール導通検査用パターン4は図示を省略している。
【0022】
このスルーホール導通検査用パターン4は、下孔明けプロセスにおいて、横方向Xにピッチ2.54mm、縦方向Yにピッチ5.08mmで配置される0.75mm角のスルーホールランド4bの中心に小径0.35mmの下孔4aを明け、さらにめっきプロセスにおいてこの下孔4aにめっき(図示略)を施し、さらに公知のフォトリソグラフィ技術により表裏面の銅箔をエッチングして配線パターンを形成するパターニングプロセスにおいて、スルーホールランド4bとスルーホールランド4b間を表面層の接続パターン4b−1と裏面層の接続パターン4b−2とで交互に接続して形成した一本の配線で構成する。
【0023】
この1本の配線、即ちスルーホール導通検査用パターンの両端を導通検査することでスルーホールめっきの不良を検査することができる。
なお、縦方向Yのピッチ5.08mmで配置された小径0.35mmの下孔4aの中間にリード部品接続用の大径0.75mmの下孔5aを明け、直径1.10mmのスルーホールランド5bを形成しておき、前記孔ずれ及び導通を検査している。
【0024】
このように、製造プロセスラインの立ち上がり時に製品とは別に流してボイド検査用パターンと、孔ずれ検出用パターンと、スルーホール導通検査用パターンとを形成した評価用多層基板を検査し、その検査結果により配線基板の積層プロセスと、スルーホールの下孔明けプロセスと、該下孔のめっきプロセスと、表裏面に配線パターンを形成するパターニングプロセスの処理条件や状態を評価することができる。
【0025】
また、評価用多層基板は前記検査用パターンを一定の基準で形成しているため、見逃しなどの検査ミスも殆どなく、仕様の異なる多層配線基板に対しても同じ検査用パターンで検査すため、各プロセスを統一した尺度で評価ができる。
【0026】
また、評価用多層基板に形成するスルーホール導通検査用パターンのスルーホールを例えば、20000個形成して1本の配線に接続することで母数を格段に大きくできるため、スルーホールめっきプロセスの評価の精度を一層に向上することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、製造プロセスラインの立ち上がり前に流して製作した評価用多層基板に一定基準で形成された検査用パターンは、専門の検査員でなくとも誰でも同一尺度で検査ができ、その検査結果を早期にラインの各プロセスにフィードバックすることにより、不良品の発生したプロセスの処理条件や状態の評価が迅速かつ容易にできるため、種々の仕様の多層配線基板を高品質に安定して製作できるといった産業上極めて有用な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による一実施例の評価用多層基板の平面図
【図2】 図1のボイド検査用パターンの部分拡大図
【図3】 図1の孔ずれ検出用パターンの部分拡大図
【図4】 図1のスルーホール導通検査用パターン及び大径スルーホールの部分拡大図
【符号の説明】
2:ボイド検査用パターン
3:孔ずれ検出用パターン
4:スルーホール導通検査用パターン

Claims (2)

  1. 配線基板の積層プロセスとスルーホールの下孔明けプロセスとスルーホールめっきプロセスと表裏面層パターニングプロセスとを含む多層配線基板の製造プロセスラインの立ち上がり前に、
    表裏基板との間にボイド検査用パターンを配置した内層基板を挟んで積層し、該積層基板の表裏面に孔ずれ検査用パターンとスルーホール導通検査用パターンとを形成した評価用多層基板を製品とは別に製作し、該評価用多層基板の前記それぞれの検査用パターンを検査し、該検査結果により前記それぞれのプロセスの処理条件及び状態を評価することを特徴とする多層配線基板の製造プロセスの評価方法。
  2. 前記ボイド検査用パターンは、かぎ形パターンを互いに対称に隙間を開けて方形の四隅に配置したべた状格子パターンで形成し、
    前記孔ずれ検査用パターンは、前記積層基板の四隅を含む周縁部の一隅を基準に該周縁部の複数箇所にスルーホールで形成し、
    前記スルーホール導通検査用パターンは、複数のスルーホール間を表面層の接続パターンと裏面層の接続パターンとで交互に接続して一本の配線で形成することを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造プロセスの評価方法。
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