JP3651514B2 - 感光体ベルトの駆動機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置における像担持体ベルトの駆動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いた画像形成は、感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とし、このトナー像を直接あるいは中間転写媒体を介して用紙等の記録媒体に転写し、定着させることにより行なわれる。
【0003】
上記感光体あるいは中間転写媒体等の像担持体の一つとしてベルト状のもの、すなわち像担持体ベルトが知られている。
【0004】
また、このような像担持体ベルトの駆動機構としては、図5(a)に示すように、像担持体ベルト1の両側縁部に沿って一連の穴2を設け、この穴2にスプロケット3,3’の歯(あるいは突起)4を係合させて駆動する機構が知られている。図中矢印Yは像担持体ベルト1の進行方向を示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような駆動機構によると、図5(b)に示すように、像担持体ベルト1の穴2の口縁2aとスプロケットの歯4との間には、ベルト1の幅方向(矢印X1,X2方向)において隙間cが生じる。
【0006】
このような隙間cがあると、像担持体ベルト1は、矢印Y方向に回転駆動される過程で矢印X1,X2方向に移動し得る状態、すなわち蛇行し得る状態となる。
【0007】
像担持体ベルト1が蛇行すると、これが感光体ベルトである場合には、その表面に例えばレーザー光を照射して静電潜像を形成する際に、照射位置に狂いが生じ、正確な画像が形成されなくなる。特に、感光体ベルトが1回転する毎に異なる色のトナーを感光体ベルト上に重ね合わせてカラー画像を形成しようとすると、その重ね合わせが不正確になり、鮮明な画像が得られなくなるという問題が生じる。また、像担持体ベルトが中間転写ベルトであり、この中間転写ベルト上で異色のトナー像を重ね合わせる場合も同様であり、鮮明な画像が得られなくなる。
【0008】
このような問題は、ベルト両側に位置するスプロケットのうちの一方のスプロケット例えば図5(a)において左側に位置するスプロケット3’をベルト幅方向外側に向けて(矢印X2方向に向けて)常時付勢することによって解決することが可能である。
【0009】
しかしながら、このような構成とすると、一方のスプロケットを付勢するためのバネ等の付勢手段が必要になるため、構造が複雑化するという別の問題が生ずる。
【0010】
本発明の目的は、以上のような問題を解決し、簡単な構造で、像担持体ベルトを蛇行させることなく回転駆動することができる像担持体ベルトの駆動機構を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の感光体ベルトの駆動機構は、両側縁部に沿って一連の穴が形成された無端状でかつ円筒状に形成された感光体ベルトと、
この感光体ベルトの内側に配置され、前記穴と係合して感光体ベルトを回転駆動するスプロケットが両端に設けられた単一の駆動ローラと、
前記感光体ベルトの外周面において当該ベルトの幅方向に当接し、前記感光体ベルトを介して前記駆動ローラに向けて押圧されている、感光体ベルトの表面を一様に帯電させるための帯電手段、感光体ベルト上の静電潜像にトナーを付与するための現像手段、感光体ベルト上のトナーを転写媒体に転写させる転写手段、感光体ベルト上に残留しているトナーを除去するためのクリーニング手段のうちの少なくとも一つの手段によって構成されている当接部材とを備え、
この当接部材と外周面との当接部分が前記感光体ベルトの進行方向と直交する方向に対して傾斜しているとともに、前記感光体ベルトの幅方向に関し、前記当接部分が前記感光体ベルトの進行方向と直交する方向に対して傾斜していることで生じる感光体ベルトに対する付勢力に比べて、前記感光体ベルトの内面と前記駆動ローラの外周面との間に生じる摩擦力と、前記感光体ベルトの外周面と前記当接部材との間に生じる摩擦力との総和の方が小さくなるように、前記感光体ベルトの内面と駆動ローラの外周面とが形成されていることを特徴とする。
【0014】
【作用効果】
請求項1記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、像担持体ベルトの両側縁部に沿って形成された一連の穴に、スプロケットの歯(あるいは突起,以下同じ)が係合することによって像担持体ベルトが回転駆動される。
【0015】
そして、当接部材が、像担持体ベルトの外周面において当該ベルトの幅方向に当接しており、この当接部材と外周面との当接部分が像担持体ベルトの進行方向と直交する方向に対して傾斜しているので、この傾斜している当接部分においては、像担持体ベルトに対し、当該ベルトをその進行方向と直交する方向に付勢する分力が発生する。
【0016】
すなわち、像担持体ベルトは、この分力によって進行方向と直交する方向に付勢されることとなる。
【0017】
したがって、スプロケットの歯と像担持体ベルトの穴の口縁との間に形成される隙間は、常に片側にのみ形成されることとなり、像担持体ベルトの蛇行が防止されることとなる。
【0018】
請求項2記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、請求項1記載の像担持体ベルトの駆動機構において、前記像担持体ベルトが感光体ベルトであり、前記当接部材は、感光体ベルトの表面を一様に帯電させるための帯電手段、感光体ベルト上の静電潜像にトナーを付与するための現像手段、感光体ベルト上のトナーを転写媒体に転写させる転写手段、感光体ベルト上に残留しているトナーを除去するためのクリーニング手段のうちの少なくとも一つの手段によって構成されているので、その手段の他に別途当接部材を設ける必要がなくなる。
【0019】
したがって、一層簡単な構造で、像担持体ベルトを蛇行させることなく回転駆動することができる。
【0020】
請求項3記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、請求項1または2記載の像担持体ベルトの駆動機構において、前記像担持体ベルトは円筒状に形成されており、前記スプロケットは、像担持体ベルトの内側に配置されたローラの両端に設けられており、前記当接部材は像担持体ベルトを介して前記ローラに向けて押圧されている構成となっているので、駆動機構の小型化を図ることができると同時に、当接部材を、より少ない部品点数で確実にベルトに対して当接させることができる。
【0021】
すなわち、従来の像担持体ベルトの駆動機構としては、像担持体ベルトを少なくとも2本のローラで支持し回転駆動する機構が知られている。
【0022】
しかしながら、このような従来の機構では、像担持体ベルトを支持するために少なくとも2本のローラが必要なために、構造が複雑になるばかりでなく装置が大型化してしまうという問題があった。
【0023】
これに対し、請求項3記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、像担持体ベルトが円筒状に形成されており、これを駆動するスプロケットが、像担持体ベルトの内側に配置されたローラの両端に設けられているので、駆動機構の小型化を図ることが可能である。また、当接部材は、上記ローラに向けて押圧されていることによって、像担持体ベルトに当接しているので、当接部材の押圧力を受けるべきローラ以外の部品を要することなく当接部材を像担持体ベルトに対して確実に当接させることができる。
【0024】
したがって、この請求項3記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、駆動機構の小型化を図ることができると同時に、当接部材を、より少ない部品点数で確実にベルトに対して当接させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係る像担持体ベルトの駆動機構の第1の実施の形態の要部を示す部分平面図である。この図において、図5(a)に示した駆動機構と同一の部分には同じ符号を付してその説明は省略する。
【0027】
図1(a)において、5は当接部材であり、この実施の形態においてはローラで構成されている。
【0028】
このローラ5は、その軸端5a,5aが図示しない適宜の支持手段によって支持されており、像担持体ベルト1の外周面1aにおいて当該ベルト1の幅方向に当接している。
【0029】
そして、このローラ5と、像担持体ベルト1の外周面1aとの当接部分Tは、像担持体ベルト1の進行方向Yと直交する方向に対して角度θだけ傾斜している。
【0030】
このような構成によれば、ローラ5と外周面1aとの当接部分Tが角度θだけ傾斜していることによって、当接部分Tにおいては、像担持体ベルト1に対し、当該ベルト1をその進行方向Yと直交する方向(矢印X2方向)に付勢する分力Fxが発生する。
【0031】
すなわち、像担持体ベルト1は、この分力Fxによって進行方向と直交する方向(矢印X2方向)に付勢されることとなる。
【0032】
したがって、像担持体ベルト1の幅方向(矢印X1,X2方向)において、図1右方のスプロケット3の歯4と穴2の口縁2aとの間に形成される隙間c’は、図1(b)に示すように、常に片側(この場合左側)にのみ形成されることとなり、像担持体ベルト1の蛇行が防止されることとなる。別言すれば、像担持体ベルト1は、その穴2の口縁2aが右方のスプロケット3の歯4の側面(この場合右側面)に当接されるように付勢されながら駆動されることとなるので、これによって蛇行が防止されることとなる。
【0033】
像担持体ベルト1の蛇行が防止される結果として、これが感光体ベルトである場合には、その表面に例えばレーザー光を照射して静電潜像を形成する際の照射位置に狂いが生じにくくなって、正確な画像を形成することが可能となる。特に、感光体ベルトが1回転する毎に異なる色のトナーを感光体ベルト上に重ね合わせてカラー画像を形成しようとする場合には、その重ね合わせの精度が向上し、鮮明な画像を得ることが可能となる。また、像担持体ベルト1が中間転写ベルトであり、この中間転写ベルト上で異色のトナー像を重ね合わせる場合にも、同様に、鮮明な画像を得ることが可能となる。
【0034】
なお、傾斜させる角度θは、図においては、説明を分かりやすくするために大きく表してあるが、実際には、極めて微小、例えば、0.01〜1度程度に設定してある。
【0035】
<第2の実施の形態>
図2は本発明に係る像担持体ベルトの駆動機構の第2の実施の形態を用いた画像形成装置の模式図、図3は図2におけるIII矢視拡大図である。
【0036】
これらの図において、10は像担持体ベルトとしての感光体ベルト、20はスプロケット22,22’を有する駆動ローラ、31,32はそれぞれ当接部材としての帯電手段とクリーニング手段である。なお、33は転写手段、34は露光手段、35は現像手段、36は除電手段である。
【0037】
感光体ベルト10は、円筒状に形成された可撓性を有するベルトであり、その両側縁部に沿って一連の穴11が形成されている。感光体ベルト10は、可撓性を有する基材上に感光層を形成することにより構成されている。例えば、基材としては、電鋳法にて作製したニッケルシームレス管を用いることができる。感光層は、いわゆるOPC(有機感光体)をディッピング法で形成することができる。このような感光体ベルト10の可撓性すなわち柔軟さは、基材の厚みと径とを調整することにより決定することが可能であるから、使用される画像形成装置に応じて適宜設定することが可能である。例えば、基材厚み20〜200μm、基材直径10〜300mmの範囲で適宜設定する。なお、OPCは主として樹脂からなるので、可撓性の面では優れるが、基材との密着性を確保し、レーザー光の干渉対策を施すために、基材とOPCとの間に下引き層を形成することが望ましい。下引き層としては、酸化亜鉛、酸化チタン等のレーザー光を吸収可能な粒子をナイロン樹脂等の樹脂に分散させた層が好適である。
【0038】
感光体ベルト10の穴11は、例えば、上記電鋳法にてニッケルシームレス管(基材)を作製する際にマスキング等により同時に形成することができる。
【0039】
駆動ローラ20は、感光体ベルト10の内径よりも小さな外径を有しており、感光体ベルト10の内部に配置されている。この駆動ローラ20は金属製であり、図4(a)(b)(c)に示すように、軸21と、この軸21に固定された一対のスプロケット22,22’(図1参照)と、このスプロケット22,22’に固定された円筒状スリーブ23とを有している。軸21には歯車24が固定されており、図示しない駆動源からの動力により、歯車24を介してローラ20が回転駆動されるようになっている。
【0040】
図4において、40はガイド部材であり、全体としてほぼ半円弧状に形成されている。このガイド部材40は、半円弧状の押さえ部41,41と、この押さえ部41,41の間に形成された、スプロケット22のピン22aを逃がすためのスリット42と、前記押さえ部41,41をその両端部において一体的に連結している連結部43,43とを有している。ガイド部材40は、連結部43,43を利用することによって図示しないフレームに取り付けられており、取り付けられた状態では、その押さえ部41,41が、その内面で感光体ベルト10の両端部分(穴11(ピン22a)の両側部分)をその半径方向ほぼ180度に亙って、スプロケット22に向け軽く押圧するようになっている。
【0041】
感光体ベルト10の内径は、駆動ローラ20の外径よりも大きく構成されているから、ガイド部材40によって感光体ベルト10が駆動ローラ20に向けて押圧されると、図2および図4(a)(b)に示すように、ガイド部材40によって押圧されている範囲(半径方向ほぼ180度の範囲)では、感光体ベルト10の内面10bと駆動ローラ20の外周面20bとが密に接触する(密接部分をAで示す)。一方、この密接部分Aと反対側においては、感光体ベルト10と駆動ローラ20との周長差によって感光体ベルト10が駆動ローラ20から離間する(離間部分をBで示す)。
【0042】
そして、密接部分Aにおいては、ガイド部材40の押さえ部41,41が、その内面で感光体ベルト10の両端部分をスプロケット22に向けて軽く押圧しているから、感光体ベルト10の穴11とスプロケットのピン22aとが確実に係合し、駆動ローラ20(すなわちスプロケット22)によって感光体ベルト10が確実に駆動されるようになっている。なお、このガイド部材40は、図2、図3においては図示が省略されているが、スプロケット22,22’に対応させて一対設けられている。
【0043】
すなわち、感光体ベルト10は、ガイド部材40によって押圧されている範囲では、駆動ローラ20に密接した状態で回転駆動され、ガイド部材40によって押圧されていない範囲では、駆動ローラ20から離間した状態で回転することとなる。
【0044】
したがって、感光体ベルト10は、駆動ローラ20との密接部分Aをいわば疑似硬質材として、また離間部分Bを疑似軟質材として利用することができる。すなわち、密接部分Aにおいては感光体ベルト10が硬質(金属製)の駆動ローラ20に密接しているから、硬質材と同様に利用することができ、離間部分Bにおいては、感光体ベルト10が駆動ローラ20から離間していて感光体ベルト10本来の可撓性が得られるから、軟質材と同様に利用することができる。
【0045】
図2に示すように、帯電手段31、クリーニング手段32、および除電手段36は、密接部分Aに配置されており、転写手段33は密接部分Aと離間部分Bとの境界部分に配置されており、現像手段35は離間部分Bに配置されている。
【0046】
図2、図3に示すように、帯電手段31は感光体ベルト10の表面(外周面10a)に当接して回転する帯電ローラで構成されており、感光体ベルト10の表面を一様に帯電させるようになっている。この帯電ローラ31は、図3に示すように、その軸端31a,31aが図示しない適宜の支持手段によって支持され、図示しない付勢手段によって駆動ローラ20に向けて押圧力F1で押圧されていることにより、感光体ベルト10の外周面10aにおいて当該ベルト10の幅方向に当接している。
【0047】
そして、この帯電ローラ31と、感光体ベルト10の外周面10aとの当接部分T1は、感光体ベルト10の進行方向Yと直交する方向に対して角度θだけ傾斜している。
【0048】
クリーニング手段32は、感光体ベルト10の外周面10aに当接して残留トナーを掻き落とすクリーニングブレード32aと、このブレード32aによって掻き落とされたトナーを回収するトナー回収室32bとを有している。クリーニング手段32は、図示しない付勢手段によって駆動ローラ20に向けて押圧力F2で押圧されていることにより、そのクリーニングブレード32aが感光体ベルト10の外周面10aにおいて当該ベルト10の幅方向に当接している。
【0049】
そして、クリーニングブレード32aと、感光体ベルト10の外周面10aとの当接部分T2は、感光体ベルト10の進行方向Yと直交する方向に対して角度θだけ傾斜している。
【0050】
転写手段33は、転写ローラで構成されている。この転写ローラ31は、感光体ベルト10と当接して回転可能である。
【0051】
露光手段34は、感光体ベルト10に向けてレーザー光Lを照射することにより感光体ベルト10上に静電潜像を形成するようになっている。34aは露光位置であり、上記密接部分A上に形成されている。
【0052】
現像手段35は、感光体ベルト10の表面に当接して回転し、感光体ベルト10の表面にトナーを付着させてトナー像を形成する現像ローラ35aと、この現像ローラ35aに供給されるトナーが収容されたトナー貯留室35bとを備えている。
【0053】
除電手段36は除電ランプで構成されており、感光体ベルト10の表面に一様に光を照射することにより、その表面の除電を行なうようになっている。
【0054】
以上のような画像形成装置による画像形成動作は次の通りである。
【0055】
図示しない駆動手段によって駆動ローラ20が回転駆動され、これによって感光体ベルト10も回転駆動される。
【0056】
その過程において、感光体ベルト10は、先ず除電手段36によって除電された後、帯電ローラ31によって一様に帯電させられる。
【0057】
次いで、露光位置34aにおいてレーザー光Lが照射されることにより感光体ベルト10上に静電潜像が形成され、この静電潜像は現像手段35で現像されてトナー像となる。
【0058】
このトナー像は、転写ローラ33と感光体ベルト10との間に供給される転写媒体(用紙等の記録媒体あるいは中間転写ベルト)Dに転写ローラ33によって転写される。
【0059】
この際完全に転写されることなく感光体ベルト10の表面に残留したトナーは、クリーニング手段32のクリーニングブレード32aによって掻き落とされる。
【0060】
その後、感光体ベルト10は、再び除電手段36によって除電され、次の画像形成がなされる。
【0061】
以上のような画像形成装置によれば、次のような作用効果が得られる。
【0062】
(a)感光体ベルト10の外周面10aと、帯電ローラ33との当接部分T1、およびクリーニングブレード32aとの当接部分T2が、それぞれ角度θだけ傾斜していることによって、当接部分T1,T2においては、感光体ベルト10に対し、当該ベルト10をその進行方向Yと直交する方向(矢印X2方向)に付勢する分力Fx1,Fx2が発生する。
【0063】
すなわち、感光体ベルト10は、これらの分力Fx1,Fx2によって進行方向と直交する方向(矢印X2方向)に付勢されることとなる。
【0064】
したがって、感光体ベルト10の幅方向(矢印X1,X2方向)において、図3右方のスプロケット22のピン22aと穴11の口縁11aとの間に形成される隙間c’は、図3に示すように、常に片側(この場合左側)にのみ形成されることとなり、感光体ベルト10の蛇行が防止されることとなる。別言すれば、感光体ベルト10は、その穴11の口縁11aが右方のスプロケット22のピン22aの側面(この場合右側面)に当接されるように付勢されながら駆動されることとなるので、これによって蛇行が防止されることとなる。
【0065】
したがって、感光体ベルト10に対するレーザー光Lの照射位置に狂いが生じにくくなり、正確な画像を形成することが可能となる。しかも、レーザー光Lの照射位置34aは、密接部分A、すなわち感光体ベルト10の挙動が非常に安定している部分において形成されているので、より一層正確な画像を形成することが可能となる。
【0066】
なお、帯電ローラ33とクリーニングブレード32aの当接部分T1,T2においては、感光体ベルト10と駆動ローラ20とが密着することとなるから、感光体ベルト10の内面10bと駆動ローラ20の外周面20bとの間の摩擦係数υが大きいと、感光体ベルト10が駆動ローラ20上においてその軸線方向(この場合矢印X2方向)に移動し難くなる。
【0067】
そこで、この実施の形態においては、上記摩擦係数υが小さくなるように、感光体ベルト10の内面10bと駆動ローラ20の外周面20bとを形成してある。
【0068】
具体的には、
Fx1+Fx2>(μ1+υ)F1+(μ2+υ)F2
μ1:感光体ベルト外周面10aと帯電ローラ31との摩擦係数
μ2:感光体ベルト外周面10aとクリーニングブレード32aとの摩擦係数となるように、形成してある。
【0069】
当接部材が複数個ある場合、上式は次のように一般化することができる。
【0070】
ΣFxi>Σ(μi+υ)Fi
Fxi:i番目の当接部材によるベルト幅方向への付勢力
μi:i番目の当接部材とベルト外周面との摩擦係数
Fi:i番目の当接部材のベルトに対する押圧力
(b)当接部材が、画像形成のために必要な部材、すなわち、感光体ベルト10の表面を一様に帯電させるための帯電手段31、感光体ベルト10上に残留しているトナーを除去するためのクリーニング手段32によって構成されているので、これらの手段の他に、感光体ベルトを幅方向に付勢するための当接部材を別途設ける必要がなくなる。
【0071】
したがって、一層簡単な構造で、感光体ベルト10を蛇行させることなく回転駆動することができる。
【0072】
(c)感光体ベルト10が円筒状に形成されており、スプロケット22,22’が、感光体ベルト10の内側に配置された駆動ローラ20の両端に設けられており、帯電手段31およびクリーニング手段32は感光体ベルト10を介して駆動ローラ20に向けて押圧されている構成となっているので、駆動機構の小型化を図ることができると同時に、帯電手段31およびクリーニング手段32を、より少ない部品点数で確実に感光体ベルト10に対して当接させることができる。
【0073】
すなわち、従来の像担持体ベルトの駆動機構としては、像担持体ベルトを少なくとも2本のローラで支持し回転駆動する機構が知られている。
【0074】
しかしながら、このような従来の機構では、像担持体ベルトを支持するために少なくとも2本のローラが必要なために、構造が複雑になるばかりでなく装置が大型化してしまうという問題があった。
【0075】
これに対し、この実施の形態の画像形成装置における感光体ベルト10の駆動機構によれば、感光体ベルト10が円筒状に形成されており、これを駆動するスプロケット22,22’が、感光体ベルト10の内側に配置された駆動ローラ20の両端に設けられているので、駆動機構の小型化を図ることが可能である。また、帯電手段31およびクリーニング手段32は、駆動ローラ20に向けて押圧されていることによって、感光体ベルト10に当接しているので、帯電手段31およびクリーニング手段32の押圧力F1,F2を受けるべき駆動ローラ以外の部品を要することなく感光体ベルト10に対して確実に当接させることができる。
【0076】
したがって、この実施の形態の画像形成装置における感光体ベルト10の駆動機構によれば、駆動機構の小型化を図ることができると同時に、帯電手段31およびクリーニング手段32を、より少ない部品点数で確実に感光体ベルト10に対して当接させることができる。
【0077】
(d)前述したように、この実施の形態の感光体ベルト10は、その穴11の口縁11aが右方のスプロケット22のピン22aの側面に当接されるように付勢されながら駆動されることとなるので、右方のスプロケット22と係合する穴の口縁11aには他方のスプロケット22’と係合する穴の口縁に比べて大きな力が作用する。
【0078】
一方、この実施の形態の感光体ベルト10は、両側縁部に沿って一連の穴が形成されたニッケルシームレス管等の基材上に樹脂をディッピングして感光層を形成することによって構成することができるので、ディッピングの際に同時に、基材の両側縁部に沿って形成された一連の穴のうち少なくとも一側縁部に沿って形成された一連の穴を上記樹脂でコーティングすることが可能である。
【0079】
したがって、このコーティングされた側の穴を右方のスプロケット22と係合させるように感光体ベルト10を配置した場合には、コーティングされた樹脂が穴の補強材としての役割を果たすこととなるので、別途穴を補強する必要がなくなる。
【0080】
また、上述したように、この実施の形態の感光体ベルト10は、その穴11の口縁11aが右方のスプロケット22のピン22aの側面に当接されるように付勢されながら駆動されることとなるので、右方のスプロケット22と係合する穴の口縁11aの精度は、駆動される感光体ベルト10の幅方向の位置精度に影響を及ぼす。
【0081】
したがって、基材(すなわち穴の口縁)が十分な強度を有している場合には、コーティングされていない側の穴を右方のスプロケット22と係合させるように感光体ベルト10を配置することにより、駆動される感光体ベルト10の幅方向の位置精度を向上させることができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0083】
例えば、
(1)上記第2の実施の形態では、当接部材として帯電手段31とクリーニング手段32とを採用したが、転写ローラ33を採用することもできる。また、除電手段36を除電ローラで構成した場合には、この除電ローラを当接部材として採用することもできる。さらに、感光体ベルト10とローラ20との密接部分Aに現像手段を配置した場合には、その現像ローラを当接部材として採用することもできる。
【0084】
(2)上記第2の実施の形態では、ベルトの両端部分(穴の両側部分)をスプロケットに向けて押圧する手段として、上述したようなガイド部材40を採用したが、これに限らず、適宜の付勢手段を作用することができる。例えば、摩擦パッドや、小さなローラ群で構成することも可能である。
【0085】
(3)図4に示した駆動機構は、感光体ベルトに限らず、中間転写ベルトの駆動機構としても用いることができる。
【0086】
【発明の効果】
請求項1記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、簡単な構造で、像担持体ベルトを蛇行させることなく回転駆動することができる。
【0087】
また、請求項記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、一層簡単な構造で、像担持体ベルトを蛇行させることなく回転駆動することができる。
【0088】
さらに、請求項記載の像担持体ベルトの駆動機構によれば、さらに、駆動機構の小型化を図ることができると同時に、当接部材を、より少ない部品点数で確実にベルトに対して当接させることができる。
【0089】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る像担持体ベルトの駆動機構の第1の実施の形態の要部を示す部分平面図、(b)は図(a)の部分拡大図。
【図2】本発明に係る像担持体ベルトの駆動機構の第2の実施の形態を用いた画像形成装置の模式図。
【図3】図2におけるIII矢視拡大図。
【図4】図2に示したものの感光体ベルトと駆動ローラとを主として示す図で、(a)は部分平面図、(b)は図(a)におけるb−b断面図、(c)は図(b)におけるc−c部分省略断面図。
【図5】(a)は従来の駆動機構を示す部分平面図、(b)は図(a)の部分拡大図。
【符号の説明】
1 像担持体ベルト
2 穴
3 スプロケット
5 当接部材
10 感光体ベルト
11 穴
20 ローラ
22 スプロケット
31 帯電ローラ
32 クリーニング手段
33 転写ローラ
35 現像手段

Claims (1)

  1. 両側縁部に沿って一連の穴が形成された無端状でかつ円筒状に形成された感光体ベルトと、
    この感光体ベルトの内側に配置され、前記穴と係合して感光体ベルトを回転駆動するスプロケットが両端に設けられた単一の駆動ローラと、
    前記感光体ベルトの外周面において当該ベルトの幅方向に当接し、前記感光体ベルトを介して前記駆動ローラに向けて押圧されている、感光体ベルトの表面を一様に帯電させるための帯電手段、感光体ベルト上の静電潜像にトナーを付与するための現像手段、感光体ベルト上のトナーを転写媒体に転写させる転写手段、感光体ベルト上に残留しているトナーを除去するためのクリーニング手段のうちの少なくとも一つの手段によって構成されている当接部材とを備え、
    この当接部材と外周面との当接部分が前記感光体ベルトの進行方向と直交する方向に対して傾斜しているとともに、前記感光体ベルトの幅方向に関し、前記当接部分が前記感光体ベルトの進行方向と直交する方向に対して傾斜していることで生じる感光体ベルトに対する付勢力に比べて、前記感光体ベルトの内面と前記駆動ローラの外周面との間に生じる摩擦力と、前記感光体ベルトの外周面と前記当接部材との間に生じる摩擦力との総和の方が小さくなるように、前記感光体ベルトの内面と駆動ローラの外周面とが形成されていることを特徴とする感光体ベルトの駆動機構。
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