JP3552226B2 - 像担持体ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術によって画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に用いられる像担持体ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いた画像形成装置は、外周面に感光層を有する感光体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段と、この現像手段により現像されたトナー像を用紙等の転写媒体に転写させる転写手段とを有している。
【0003】
感光体としては、外周面に感光層が形成された硬質の感光体ドラムと、表面に感光層が形成された可撓性を有する感光体ベルトとが一般に知られている。
【0004】
また、帯電手段、現像手段、および転写手段としては、それぞれ、前記感光体の表面に接触させるローラ状のものが知られており、そのローラとしては、硬質のものと軟質ゴムからなるものとが知られている。
【0005】
感光体として硬質の感光体ドラムを用い、またこれに接触させるローラとしても硬質のものを用いる場合には、感光体ドラムおよび硬質ローラを高精度に製造するには自ずと限界があり、必ず誤差が生ずるから、両者を均一に接触させることは困難である。両者が均一に接触しないと、局部的に隙間が生じて帯電むら、現像むら、転写むらが生じたり、必要以上に強く圧接されて感光ドラムや硬質ローラに傷がついたりするという問題が生ずる。
【0006】
したがって、感光体とこれに接触させるローラとを両者とも硬質のもので構成するということは通常行なわれておらず、感光体として硬質の感光体ドラムを用いる場合には、ローラを軟質ゴムで構成する、ローラとして硬質のものを用いる場合には、感光体として可撓性を有する感光体ベルトを用いる、ということが行なわれている。
【0007】
しかしながら、感光体に接触させるローラを軟質ゴムで構成した場合には、次のような問題があった。
【0008】
感光体に接触させる帯電ローラ等をゴムローラで構成する場合には、これに導電性を付与するために、カーボン等の導電性粒子を分散させるということが行なわれるが、カーボン分散度のムラやバラツキでゴム硬度が変化し、ローラ表面における硬度がばらつくために、感光体に対する良好な密着状態が得られなくなるという問題があった。
【0009】
逆に、感光体に対する良好な密着状態を得るべく、カーボンの分散量を小さくすると、導電性にバラツキが生じ、帯電むらの原因になるという問題があった。
【0010】
また、柔軟性を高めるために、配合剤として可塑剤を加えたものを用いると、長期間の使用や使用環境によって、可塑剤が表面に滲み出してくる場合があり、この可塑剤が感光体に付着して感光体中の光導電材料が変性したり、ローラに感光体が張り付いて感光体表面が剥がれてしまうという問題があった。
【0011】
このような問題は、ローラとして硬質のものを用い、感光体として可撓性を有する感光体ベルトを用いることにより解決することができる。
【0012】
しかしながら、感光体として感光体ベルトを用いた場合には、これを支持するために少なくとも2本の支持ローラが必要なために、構造が複雑になるばかりでなく装置が大型化してしまうという問題があった。
【0013】
以上のような問題を全て解決しようとしたものとして、従来、特公平4−69383号(特開昭59−192260号)公報記載の感光体ドラムが知られている。
【0014】
この特公平4−69383号公報記載の感光体ドラムを、図7〜図9に示す。
【0015】
この感光体ドラム1は、回転軸2と、この回転軸2に支持され、かつフリー状態で円筒状をなす弾性変形可能な弾性材料層3と、この弾性材料層3のまわりに装着された外側層4とを有している。外側層4は、弾性変形可能な感光体支持層5と、この支持層5の表面に支持された感光層6とを有している。弾性材料層3は、回転軸2と外側層4との間に、実質的に隙間を形成することなく充填されている。
【0016】
このような感光ドラム1は、弾性変形可能な外側層4と、弾性材料層3とを有しているため、その表面に外力が加えられると、この表面は弾性変形することが可能である。
【0017】
図7において、7は帯電チャージャ、10は現像ローラ、13は転写チャージャである。
【0018】
画像形成時には、感光体ドラム1が図7における時計方向に回転駆動され、帯電チャージャ7によってドラム1の感光層6が所定の極性に帯電される。この帯電部分に光8が照射されることによりドラム1上に静電潜像が形成される。この潜像は、図中矢印方向に回転する現像ローラ10に担持されるトナーにより現像されて可視像化され、転写チャージャ13によって転写紙12に転写される。
【0019】
なお、図7において、14は分離チャージャ、15はクリーニングブレード、16は除電チャージャである。
【0020】
以上のような構成によれば、感光ドラム1の表面が弾性変形可能であるため、現像ローラ10を感光体ドラム1に押し付け、感光ドラム1の表面をその半径方向に弾性変形させることができる。このため、感光ドラム1および現像ローラ10の周面がその中心軸線に対し多少偏心し、あるいはこれらの外径に多少製造上のバラツキがあったり、また、現像ローラ10の少なくとも表面が剛体からできていても、ドラム表面や現像ローラに傷を付けるといった不都合を伴うことなく、現像ローラ10上のトナーを感光体ドラム1に従来よりも確実かつ安定した状態で接触させることができ、現像ローラ10上のトナーと、ドラム1の表面とに大きな間隙ができることによる可視像の画質低下を抑制することができる。
【0021】
すなわち、この感光ドラム1によれば、硬質の現像ローラを用いても、感光ドラムや現像ローラに傷がつくということがなく、また、装置の大型化も防止することができる。
【0022】
なお、この感光ドラムと同様な感光ドラムは、特開昭58−90655号公報にも開示されている。
【0023】
一方、特開昭58−86550号公報には、軽量化および誘導渦電流の発生防止を図る目的で、図10に示すように、電鋳法によって作成した厚さ0.01〜2mmの非磁性金属(Cu,Al,W,Mo等)からなる無端ベルトをドラム基体31とし、このドラム基体31の上に像担持層(光導電性物質層)32を形成し、ドラム基体31の両端を円板状の端板33で鋼鉄製の軸34に固設したドラム状像担持体部材が開示されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特公平4−69383号公報記載の感光体ドラム1(図7〜図9参照)は、回転軸2と外側層4との間に、弾性材料層3を、実質的に隙間を形成することなく充填した構成であるため、次のような問題を有している。
【0025】
感光層6は弾性材料層3の上に形成されているため、感光層6は軸線方向に微小な力で変位する。感光層6には、これと圧接する現像ローラ10やクリーニングブレード15等の圧接部材が配設されるため、感光層6の回転軸と圧接部材の軸等が傾いていたり、圧接力が軸方向において不均一であったりすると、感光層6は軸線方向にスラスト力を受け、このスラスト力によって軸線方向に変位することとなる。そして、このスラスト力は変動するため、感光層6に形成された画像も軸線方向に変位することとなり、結果として、軸線方向における画像の位置精度が劣化するという問題がある。特に、多色の色重ねを行なう場合には、色重ね精度の劣化が色相のズレとなって、画像が著しく劣化するという問題がある。
【0026】
また、このような感光体ドラム1を製造する方法としては、
(1)先ず、感光層支持層5上に感光層6を形成した外側層4を作製し、次いで、軸2と外側層4とを所定間隔になるように配置し、軸2と外側層4との空間に、加熱された弾性材料を流し込んで弾性材料層3を形成することにより製造する方法
(2)先ず、軸2と感光体支持層5とを所定間隔になるように配置して軸2と感光体支持層5との空間に、加熱された弾性材料を流し込んで弾性材料層3を形成し、次いで、感光層支持層5上に感光層6を形成することにより製造する方法
(3)外側層4の内径よりも多少大きな外径を有する筒状弾性部材を作製し、この筒状弾性部材を、径方向に圧縮した状態で外側層4内に挿入することによって弾性材料層3を形成することにより製造する方法
が考えられる。
【0027】
しかし、上記(1)の方法では、外側層4の表面に感光層6が形成された状態で、外側層4の内部に、加熱した弾性材料を流し込むという作業が行なわれることとなるから、熱等によって感光体特性が劣化するという問題がある。また、感光層6の表面に傷が付いたり、異物(弾性材料等の異物)が付着するおそれがある。
【0028】
上記(2)の方法では、弾性材料層3が形成された後に感光層6が形成されることとなるから、感光層塗工時の洗浄液や塗工液によって弾性材料層3の膨潤、溶解、あるいは硬化が生じ、その結果、弾性材料層としての機能が低下するおそれがある。
【0029】
したがって、上記(1)(2)の方法では所望の感光体ドラム1を得ることが極めて困難である。
【0030】
また、上記(3)の方法では、筒状弾性部材が圧縮状態から解放されて外側層4に向け膨張する過程で、不均一に膨張するおそれがある。このため、軸2と外側層4との同軸度が損なわれ、感光体ドラム1が回転した際の振れが非常に大きくなるおそれがある。画像形成装置においては、感光体の周囲に、感光体と当接する帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段等の当接部材が配置されるため、感光体の振れが大きくなると、感光体と当接部材との接触状態が不安定になり、画像ムラが発生するという問題が生じる。
【0031】
一方、前述した特開昭58−86550号公報記載のドラム状像担持体部材(図10参照)において、そのドラム基体31が内方に容易に撓むことができるように構成すれば、このドラム基体31を疑似軟質材として利用することができるようになると考えられ、上記特公平4−69383号公報記載の感光体ドラム1(図7〜図9参照)における問題が解決されることが期待できる。
【0032】
しかしながら、この特開昭58−86550号公報には、ドラム基体31を疑似軟質材として利用することについては何等記載されていない。
【0033】
しかも、このドラム状像担持体部材(図10参照)は、ドラム基体31の両端を単なる円板状の端板33で直接支持する構造であるから、ドラム基体31を疑似軟質材として利用しようとすると次のような問題が生じる。
【0034】
すなわち、ドラム基体31と円板状の端板33には嵌め合い公差があるから、端板33にドラム基体31を例えば接着等によって固定しようとすると、その公差分だけドラム基体31が端板33の周面から部分的に浮いた状態となってしまう。このため、端板33の周面自体が真円度の高いものであったとしてもドラム基体31の真円度が劣化し、像担持層(光導電性物質層)32の振れが大きくなって硬質ローラ等の当接部材との確実で安定した接触状態を得ることが極めて困難になってしまう。嵌め合い公差を極力小さくすれば、この問題は多少改善されるが、そうするとドラム基体31と端板33とを嵌め合わせること、すなわち製造が著しく困難になる。
【0035】
本発明は以上のような問題を解決しようとするもので、その目的は、真円度を向上させることが可能で硬質ローラ等の当接部材との確実で安定した接触状態が得られるとともに、製造が簡単な像担持体ユニットを提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の像担持体ユニットは、一対の円板状部材と、これら一対の円板状部材によって両端部が支持固定される可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体とを有するものであって、
前記円板状部材に設けられ、像担持体の端部を円周方向外側から支持する、像担持体と同心状でかつ円筒状の支持部と、
この支持部に対して前記像担持体の端部を介して円周方向内側に配置された弾性体からなる弾性リングと、
この弾性リングに対して前記支持部と反対側に設けられ、弾性リングの前記支持部に向かう変形以外の変形を規制する規制部と、
前記弾性リングをその軸線方向へ押圧して弾性リングを前記支持部に向けて円周方向においてほぼ均一に膨出させるリング状の押圧部材と、
を備え、前記円筒状支持部の内周面と弾性リングの外周面とで、前記像担持体の端部を前記円筒状支持部の内周面で位置決めしつつ挟圧したことを特徴とする。
請求項2記載の像担持体ユニットは、請求項1記載の像担持体ユニットにおいて、前記像担持体の内方には、当該像担持体に対してその外方から当接部材が当接されるその当接位置において像担持体を内方から支持するバックアップ部材が設けられており、かつこのバックアップ部材の半径方向の位置決めが前記支持部でなされていることを特徴とする。
【0037】
【作用効果】
請求項1記載の像担持体ユニットは、可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体の両端部が、一対の円板状部材によって支持固定された構成となっているので、像担持体は、円板状部材によって支持されていない中央部分が内方に変形可能である。
【0038】
したがって、この像担持体の中央部分は、いわば疑似軟質材として利用することが可能であるため、これに当接される部材が硬質のもの(例えば硬質のローラ)であっても、その硬質部材と接触させて、像担持体上に像を形成し、あるいは像を担持させることができる。
【0039】
そして、この像担持体ユニットは、その円板状部材に、像担持体の端部を支持する像担持体と同心状の支持部が設けられ、この支持部に対しては像担持体の端部を介して弾性体からなる弾性リングが配置され、この弾性リングに対しては前記支持部と反対側に、弾性リングの前記支持部に向かう変形以外の変形を規制する規制部が設けられており、前記弾性リングをその軸線方向へ押圧するリング状の押圧部材を備えているので、この押圧部材によって弾性リングを押圧すると、この弾性リングが前記支持部に向かって、円周方向においてほぼ均一に膨出するように変形し、この膨出部によって像担持体の端部が支持部との間に挟圧されるようにして固定されることとなる。
【0040】
したがって、固定された像担持体の端部は支持部に沿うこととなり、この支持部は像担持体と同心状であって、高真円度に作成することが可能であるから、結果として、一対の円板状部材の支持部によって両端が支持固定された像担持体の真円度も向上させることが可能となる。
【0041】
しかも、前記支持部は像担持体の端部を円周方向外側から支持する構成であり、前記弾性リングは支持部に対して像担持体の端部を介して円周方向内側に配置されているから、押圧部材によって弾性リングが押圧されると、この弾性リングは、円周方向外方に向かって膨出するように変形し、この膨出部によって像担持体の端部は円周方向外方に押し広げられるようにして支持部との間に挟圧されることとなる。
【0042】
したがって、像担持体の端部に凹凸(軸線方向からみた凹凸)が生じなくなり、結果として、像担持体の真円度が一層向上することとなる。
【0043】
また、この像担持体ユニットは、各部材を上述したように配置し、押圧部材で弾性リングを押圧して像担持体の端部を固定することによって製造することができ、前述した特公平4−69383号公報記載の感光体ドラム1(図7〜図9参照)のように弾性材料層を充填する必要がなく、また、前述した特開昭58−86550号公報記載のドラム状像担持体部材(図10参照)のように嵌め合い公差を過度に小さくする必要もないから、簡単に製造することが可能である。
【0044】
すなわち、この請求項1記載の像担持体ユニットによれば、真円度を向上させることが可能で硬質ローラ等の当接部材との確実で安定した接触状態が得られるとともに、製造が簡単であるという効果が得られる。
【0045】
しかも、前記押圧部材による弾性リングの押圧を解除することによって像担持体の端部の固定を解除することができ、消耗品である像担持体と、長期使用が可能な円板状部材等とを分解することができるから、像担持体以外の部品のリサイクル利用が可能になるという効果も得られる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0047】
図1は本発明に係る像担持体ユニットの一実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)、図2は左側面図、図3は上記像担持体ユニットを画像形成装置に組み込んだ状態を示す部分側面図である。
【0048】
主として図1に示すように、この像担持体ユニット100は、軸110と、この軸110に取り付けられた一対の円板状部材120,130と、これら一対の円板状部材120,130によって両端部が支持固定され円板状部材120,130とともに回転する可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体140とを備えている。
【0049】
また、この実施の形態のものは、像担持体140の内方において軸110に取り付けられ、像担持体140に対してその外方から当接部材としてのクリーニング部材210(図3参照)、帯電ローラ220(図3参照)、転写ローラ230(図3参照)が当接されるその当接位置において像担持体140を内方から支持するバックアップ部材としての第1バックアップローラ151、第2バックアップローラ152、第3バックアップローラ153と、これらのバックアップローラを前記支持方向(半径方向外方)に向けて付勢する付勢手段160とを備えている。
【0050】
図1に示すように、軸110は、像担持体140の内方に配置される大径部111と、この大径部111の両端から突設され、円板状部材120,130を貫通する小径部112,113とを備えている。小径部112,113には、この像担持体ユニット100を画像形成装置のフレームF(一部のみ図示)に取り付けるための側板181,182が取り付けられている。これら側板181,182と軸110との円周方向の位置決めは、それぞれピン183で行なわれている。また、一方の小径部112には、リング状の凹溝112aが形成されており、像担持体ユニット100を画像形成装置に組み込む際には、この凹溝112aが画像形成装置のフレームFと係合することによって、フレームFに対する位置決めがなされるようになっている。なお、この軸110は、それ自身では回転しない。
【0051】
一対の円板状部材120,130は、いずれもベアリング114を介して軸110に回転可能に設けられている。これら一対の円板状部材120,130およびベアリング114は、止め輪115,116によって軸110の軸線方向におけるスライドが規制されている。左方のベアリング114と側板182との間には、ガタ防止用の圧縮コイルバネ117が設けられている。
【0052】
一対の円板状部材120,130には、その内側面に円筒状の支持部121,131が像担持体140と同心状に形成されており、この支持部121,131によって像担持体140の両端部141が円周方向外側から支持されている。
【0053】
そして、像担持体140の両端部141は、この実施の形態では、次のような構造によって固定されている。
【0054】
図4はその固定構造を示す図であり、図1の部分拡大図である。この固定構造は、左右対称であるから、左方の円板状部材130側について説明するが、対応する右側の部材については括弧書きでその符号を記す。
【0055】
図1および図4に示すように、この固定構造は、円板状部材130(120)の内側において前記支持部131(121)の内周側に配置された規制部としてのリング状部材133(123)と、このリング状部材133(123)と前記支持部131(121)との間において支持部131(121)に対して像担持体140の端部141を介して円周方向内側に配置されたゴム等の弾性体からなる弾性リング134(124)と、リング状部材133(123)と前記支持部131(121)との間に配置された押圧部材としてのリング状スライダ135(125)と、このリング状スライダ135(125)をスライドさせるネジ136(126)とを備えている。
【0056】
図4に示すように、リング状部材133は、筒状部133aと、これと一体のフランジ133bと、筒状部133aの先端において外側にリング状に一体的に形成されたストッパ部133cとを有しており、フランジ133bが図示しない適宜の固定手段(例えばネジ)によって円板状部材130に固定されている。なお、図1において、123dはリング状部材123(133)を円板状部材120(130)に固定するネジのためのネジ穴である。
【0057】
弾性リング134は、ストッパ部133cの内側に配置され、リング状スライダ135を後述するように矢印X2方向にスライドさせる前の状態にあっては、図4に実線で示すように、その外周面134bと前記支持部131の内周面131bとの間に隙間Cが形成される。したがって、この状態においては、像担持体140の端部141を隙間Cに挿入することができる。
【0058】
リング状スライダ135は、弾性リング134と円板状部材130との間に配置されている。
【0059】
ネジ136は円板状部材130に螺合しており、その先端136aがリング状スライダ135に当接可能である。なお、ネジ136は円周方向に等間隔で複数本(この実施の形態では図2に示すように6本)設けられている。
【0060】
したがって、このような構造において、ネジ136を回転させると、その先端136aがリング状スライダ135に当接して、これを矢印X2方向にスライドさせることとなる。
【0061】
リング状スライダ135が矢印X2方向にスライドすると、そのリング状の先端面135aがリング状部材133のストッパ部133cとの間で弾性リング134を押圧する。
【0062】
弾性リング134は、リング状部材133の筒状部133aおよびストッパ部133cによって、支持部131に向かう変形以外の変形が規制されるので、押圧された弾性リング134の外周面134bは、図4に仮想線で示すように、支持部131に向かって(円周方向外方に向かって)円周方向においてほぼ均一に膨出しようとする(なおこの状態は概念的に描いてある)。しかし、実際には、この膨出は支持部131および像担持体140の端部141によって阻害されるので、結果として、像担持体の端部141は弾性リング134の外周面134bによって押し広げられつつ支持部131と弾性リングの外周面134bとで挟圧された状態となる。また、像担持体の端部141は支持部131の内周面131bでその半径方向の位置決めがなされた状態となる。
【0063】
すなわち、この固定構造によれば、ネジ136を回転させてリング状スライダ135をスライドさせることによって、円周方向においてほぼ均一に膨出する弾性リング134の外周面134bと支持部131とで像担持体140の端部141を挟圧してこれを支持部131に位置決めしつつ固定することができる。
【0064】
図1に示すように、他方の円板状部材120には、その外側面に駆動用のギア122が固定されている。
【0065】
像担持体140は、この実施の形態では感光体として構成されており、可撓性を有する基材の表面(外周面)に感光層を形成することにより構成されている。基材としては、例えば、電鋳法にて作製したニッケルシームレス管を用いることができる。感光層は、いわゆるOPC(有機感光体)をディッピング法で形成することができる。このような感光体140の可撓性すなわち柔軟さは、基材の厚みと径とを調整することにより決定することが可能であるから、使用される画像形成装置に応じて適宜設定することが可能である。例えば、基材厚み20〜200μm、基材直径10〜300mmの範囲で適宜設定する。なお、OPCは主として樹脂からなるので、可撓性の面では優れるが、基材との密着性を確保し、レーザー光の干渉対策を施すために、基材とOPCとの間に下引き層を形成することが望ましい。下引き層としては、酸化亜鉛、酸化チタン等のレーザー光を吸収可能な粒子をナイロン樹脂等の樹脂に分散させた層が好適である。
【0066】
バックアップローラ151,152,153は、図1、図3、および図5に示すように、一対の取付板170,170、および付勢手段160を介して軸110に取り付けられている。バックアップローラ151,152,153の取付構造は、基本的に同じ構造であるので、バックアップローラ151を代表させて説明する。
【0067】
軸110には、その大径部111の両側にフランジ175,175が固定されており、このフランジ175に取付板170が固定される。
【0068】
図5に示すように、取付板170の中央部には、軸110の小径部112または113の挿通孔171が設けられており、この挿通孔171に、軸の小径部が挿通され、上記フランジ175に対して、図示しないネジ等で取付板170が固定される。取付板170には、付勢手段160の取付空所172が形成されている。
【0069】
付勢手段160は、バックアップローラ151の軸端151aを回転可能に支持する軸受部材161,161と、この軸受部材161,161を軸110の半径方向外方に向けて付勢する圧縮バネ162,162とを備えている。
【0070】
軸受部材161の両側部には、ガイド溝161a,161aが設けられており、これらガイド溝161a,161aに、取付板170の取付空所172をなす側縁部172a,172aが図6(a)に示すように係合していることによって、軸受部材161は軸110の半径方向(図6(b)の矢印Y方向)にスライド可能に取付板170に取り付けられる。
【0071】
圧縮バネ162は、軸受部材161と前記フランジ175の筒状部176との間に設けられている。
【0072】
以上のようなバックアップローラ151,152,153は、前記圧縮バネ162を収縮させるようにして像担持体140内部に配置され、配置された状態では、圧縮バネ162の付勢力が上記支持部121,131の内周面121b,131bで受けられた状態で像担持体140を内方から支持することとなる。
【0073】
そして、以上のような像担持体ユニット100は、図3に示すように、画像形成装置に組み込まれ、駆動用のギア122に画像形成装置本体の駆動ギア(図示せず)が噛み合うことによって、その像担持体(感光体)140が矢印a方向に回転駆動される。
【0074】
図3において、220は前述した帯電ローラ、Lは感光体140表面を選択的に露光するレーザー光、300(Y,M,C,K)は現像ローラ、230は前述した転写ローラ、210は前述したクリーニング部材である。
【0075】
帯電ローラ220は、感光体140の外周面に当接して外周面を一様に帯電させるようになっている。
【0076】
レーザー光Lは、図示しない露光手段から発せられ、感光体140の表面を選択的に露光して感光体140の表面に静電潜像を形成するようになっている。
【0077】
各現像ローラ300(Y,M,C,K)は、それぞれ感光体140に対して接離可能に構成されており、いずれか1つの現像ローラのみが感光体140に当接し得るようになっている。現像ローラ300(Y)はイエロートナーを、300(M)はマゼンタトナーを、300(C)はシアントナーを、300(K)はブラックトナーを感光体140上に供給する。これらの現像ローラは、表面を粗面化した金属ローラ、または、硬質の樹脂ローラで構成されている。
【0078】
転写ローラ230と感光体140との間には中間転写ベルト400が循環駆動されるようになっており、この中間転写ベルト400に対しては、図示しない2次転写ローラが対向配置されている。中間転写ベルト400が循環駆動される過程で、転写ローラ230(1次転写ローラ)と感光体140との間において、感光体140上のトナー像が中間転写ベルト400上に転写され、中間転写ベルト400上に転写されたトナー像が、2次転写ローラとの間に供給される用紙等の記録媒体に転写されるようになっている。
【0079】
クリーニング部材210は、クリーニングブレードで構成されている。このクリーニングブレード210、および帯電ローラ220は、サブケース240に組み込まれている。このサブケース240は、前述した側板181,182(図1参照)を利用して像担持体ユニット100と組み合わせて単一のユニットとすることができる。
【0080】
この画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成することのできる装置であり、その作動は次の通りである。
【0081】
(i)図示しないホストコンピュータ(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が入力されると、感光体140および中間転写ベルト400が回転駆動される。
【0082】
(ii)感光体140の外周面が帯電ローラ220によって一様に帯電される。
【0083】
(iii)一様に帯電した感光体140の外周面に、図示しない露光手段によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光Lがなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0084】
(iv)感光体140には、第1色目(例えばイエロー)用の現像ローラ300Yのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目(例えばイエロー)のトナー像が感光体140上に形成される。
【0085】
(v)感光体140上に形成されたトナー像が、1次転写部すなわち、感光体140と1次転写ローラ230との間において中間転写ベルト400上に転写される。このとき、2次転写ローラは中間転写ベルト400から離間している。
【0086】
(vi)感光体140上に残留しているトナーがクリーニング部材210によって除去された後、除電手段(図示せず)によって感光体140が除電される。
【0087】
(vii)上記(ii)〜(vi)の動作が必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号の内容に応じて、第2色目、第3色目、第4色目、と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト400上において重ね合わされて中間転写ベルト400上に形成される。
【0088】
(viii)所定のタイミングで2次転写部(中間転写ベルト400と2次転写ローラとの接触部)に用紙等の記録媒体が供給され、中間転写ベルト400上のトナー像(基本的にはフルカラー画像)が記録媒体上に転写される。
【0089】
以上のような像担持体ユニット100によれば、次のような作用効果が得られる。
【0090】
(a)可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体140の両端部141が、一対の円板状部材120,130によって支持固定された構成となっているので、像担持体140は、円板状部材120,130によって支持されていない中央部分142が内方に変形可能である。
【0091】
したがって、この像担持体140の中央部分142は、いわば疑似軟質材として利用することが可能であるため、これに当接される部材が硬質のもの(例えば硬質の現像ローラ300)であっても、その硬質部材と接触させて、像担持体140上に像を形成し、あるいは像を担持させることができる。
【0092】
(b)円板状部材120,130に、像担持体140の端部141を支持する像担持体140と同心状の支持部121,131が設けられ、この支持部121,131に対しては像担持体140の端部141を介して弾性体からなる弾性リング124,134が配置され、この弾性リング124,134に対しては前記支持部121,131と反対側に、弾性リング124,134の支持部121,131に向かう変形以外の変形を規制する規制部133が設けられており、弾性リング124,134をその軸線方向へ押圧するリング状の押圧部材125,135を備えているので、この押圧部材125,135によって弾性リング124,134を押圧すると、この弾性リング124,134が支持部121,131に向かって、円周方向においてほぼ均一に膨出するように変形し、この膨出部によって像担持体140の端部141が支持部121,131との間に挟圧されるようにして固定されることとなる。
【0093】
したがって、固定された像担持体140の端部141は支持部121,131に沿うこととなり、この支持部121,131は像担持体140と同心状であって、高真円度に作成することが可能であるから、結果として、一対の円板状部材120,130の支持部121,131によって両端141が支持固定された像担持体140の真円度も向上させることが可能となる。
【0094】
(c)しかも、支持部121,131は像担持体140の端部141を円周方向外側から支持する構成であり、弾性リング124,134は支持部121,131に対して像担持体の端部141を介して円周方向内側に配置されているから、押圧部材125,135によって弾性リング124,134が押圧されると、この弾性リング124,134は、円周方向外方に向かって膨出するように変形し、この膨出部によって像担持体の端部141は円周方向外方に押し広げられるようにして支持部121,131との間に挟圧されることとなる。
【0095】
したがって、像担持体140の端部141に凹凸(軸線方向からみた凹凸)が生じなくなり、結果として、像担持体140の真円度が一層向上することとなる。
【0096】
(d)この像担持体ユニット100は、各部材を上述したように配置し、押圧部材125,135で弾性リング124,134を押圧して像担持体の端部141を固定することによって製造することができ、前述した特公平4−69383号公報記載の感光体ドラム1(図7〜図9参照)のように弾性材料層を充填する必要がなく、また、前述した特開昭58−86550号公報記載のドラム状像担持体部材(図10参照)のように嵌め合い公差を過度に小さくする必要もないから、簡単に製造することが可能である。
【0097】
以上のように、この実施の形態の像担持体ユニット100によれば、真円度を向上させることが可能で硬質ローラ等の当接部材との確実で安定した接触状態が得られるとともに、製造が簡単であるという効果が得られる。
【0098】
(e)しかも、押圧部材125,135による弾性リング124,134の押圧を解除することによって像担持体140の端部141の固定を解除することができ、消耗品である像担持体140と、長期使用が可能な円板状部材120,130等とを分解することができるから、像担持体以外の部品のリサイクル利用が可能になるという効果も得られる。
【0099】
(f)像担持体140に対しては、その外周面に、当接部材としてのクリーニング部材210、帯電ローラ220、転写ローラ230が当接されるが、その当接位置においては、像担持体140がバックアップ部材151,152,153によって内方から支持されているので、これら当接部材を確実に当接させることができる。
【0100】
すなわち、クリーニング部材210および帯電ローラ220を像担持体140に確実に当接させて、像担持体140の外周面に残存したトナーを確実に除去し、また確実に帯電させることができる。また、転写位置においても、転写ローラ230部分における中間転写ベルト400に対して像担持体140を確実に当接させることができる。
【0101】
しかも、仮にこれらのバックアップ部材151等がない状態でクリーニング部材210等を像担持体140に当接させたとすると、薄肉円筒状である像担持体140がクリープ変形するおそれがあるが、この実施の形態の像担持体ユニット100によれば、このようなおそれもなくなる。
【0102】
さらに、バックアップ部材151等は、付勢手段160によって付勢された状態で像担持体140を内方から支持することとなるので、像担持体140とバックアップ部材151等との位置精度が向上する。
【0103】
しかも、円板状部材120,130には、バックアップ部材151等の位置決めと像担持体140の半径方向の位置決めとを同時に行なう支持部121,131が設けられており、共通の位置決め部によって像担持体140とバックアップ部材151等とが位置決めされるので、像担持体140とバックアップ部材151等との位置精度が一層向上する。
【0104】
さらに、上記付勢手段160による付勢力が支持部121,131によって受けられることとなるので、像担持体140に不要な力が作用することが防止され、したがって、像担持体140内面、特にその中央部分142の内面の摩耗が低減される。また、支持部121,131に対する像担持体140の固定強度を過大にする必要がなくなり、低コスト化も図ることができる。
【0105】
(g)軸110に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材120,130によって像担持体140の両端部141が支持固定されているとともに、像担持体140の内方においてバックアップ部材151等が軸110に取り付けられていることによってユニット化されているので、取扱いが容易になる。
【0106】
【実施例】
バックアップ部材の半径方向の位置精度は、±100μm程度とすることが望ましい。また、円周方向(像担持体140の回転方向)の位置精度は、±1゜以内程度とする事が望ましい。
【0107】
像担持体140に対する、帯電ローラ220、現像ローラ310、転写ローラ230の当接量(像担持体140の凹み量)は0.5mm以下とすることが望ましい。
【0108】
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0109】
例えば、
▲1▼リング状スライダ135の先端面135aを、図4に仮想線135a’で示すように傾斜させ、これによって弾性リング124,134の支持部121,131に向かう変形を助長するようにしても良い。
【0110】
▲2▼上記実施の形態では像担持体ユニットを感光体ユニットとして説明したが、本発明の像担持体ユニットは、これに限らず、中間転写媒体ユニットとしても構成することができる。この場合、像担持体は薄肉円筒状の中間転写媒体となる。
【0111】
▲3▼上記実施の形態においては、バックアップ部材を設けたが、バックアップ部材は、設けなくてもかまわない。
【0112】
【発明の効果】
請求項1記載の像担持体ユニットによれば、真円度を向上させることが可能で硬質ローラ等の当接部材との確実で安定した接触状態が得られるとともに、製造が簡単であるという効果が得られる。
【0113】
しかも、像担持体の端部に凹凸(軸線方向からみた凹凸)が生じなくなり、結果として、像担持体の真円度が一層向上する。
【0114】
さらに、像担持体以外の部品のリサイクル利用が可能になるという効果も得られる。
【0115】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る像担持体ユニットの第1の実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)。
【図2】上記像担持体ユニットの左側面図。
【図3】上記像担持体ユニットを画像形成装置に組み込んだ状態を示す部分側面図。
【図4】像担持体端部の固定構造を示す図で、図1の部分拡大図。
【図5】バックアップローラの取付構造を示す図で、(a)は分解部分正面図、(b)は側面図。
【図6】バックアップローラの取付構造を示す図で、(a)は横断面図(図(b)におけるa−a断面図、(b)は部分側面図。
【図7】従来技術の説明図。
【図8】従来技術の説明図。
【図9】従来技術の説明図。
【図10】従来技術の説明図。
【符号の説明】
100 像担持体ユニット
110 軸
120 円板状部材
121 支持部
123 リング状部材(規制部)
124 弾性リング
125 リング状スライダ(押圧部材)
130 円板状部材
131 支持部
133 リング状部材(規制部)
134 弾性リング
135 リング状スライダ(押圧部材)
140 像担持体
Claims (2)
- 一対の円板状部材と、これら一対の円板状部材によって両端部が支持固定される可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体とを有するものであって、
前記円板状部材に設けられ、像担持体の端部を円周方向外側から支持する、像担持体と同心状でかつ円筒状の支持部と、
この支持部に対して前記像担持体の端部を介して円周方向内側に配置された弾性体からなる弾性リングと、
この弾性リングに対して前記支持部と反対側に設けられ、弾性リングの前記支持部に向かう変形以外の変形を規制する規制部と、
前記弾性リングをその軸線方向へ押圧して弾性リングを前記支持部に向けて円周方向においてほぼ均一に膨出させるリング状の押圧部材と、
を備え、前記円筒状支持部の内周面と弾性リングの外周面とで、前記像担持体の端部を前記円筒状支持部の内周面で位置決めしつつ挟圧したことを特徴とする像担持体ユニット。 - 前記像担持体の内方には、当該像担持体に対してその外方から当接部材が当接されるその当接位置において像担持体を内方から支持するバックアップ部材が設けられており、かつこのバックアップ部材の半径方向の位置決めが前記支持部でなされていることを特徴とする請求項1記載の像担持体ユニット。
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