JP3661448B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術により画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いた画像形成装置は、外周面に像担持層としての感光層を有し回転駆動される感光体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段と、この現像手段により現像されたトナー像を用紙または中間転写体等の記録媒体に転写させる転写手段と、転写後に感光体表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード等を有するクリーニング手段とを備えている。
【0003】
感光体としては、外周面に感光層が形成された硬質の感光体ドラムと、表面に感光層が形成された可撓性を有する感光体ベルトとが一般に知られている。
【0004】
また、感光体表面の静電潜像にトナーを付与する現像手段としては、現像ローラの表面にトナーを担持させ、この現像ローラを感光体表面に接触させるという手段が一般に知られており、その現像ローラとしては、硬質のものと弾性体からなるものとが知られている。
【0005】
感光体として硬質の感光体ドラムを用い、また現像ローラとしても硬質のものを用いる場合には、感光体ドラムおよび現像ローラを高精度に製造するには自ずと限界があり、必ず誤差が生ずるから、両者を均一に接触させるということは極めて困難である。このため、局部的に隙間が生じて現像むらが生じたり、必要以上に強く圧接されて感光ドラムや現像ローラに傷がついたりするという問題が生ずる。
【0006】
したがって、感光体と現像ローラとを両者とも硬質のもので構成するということは通常行なわれておらず、感光体として硬質の感光体ドラムを用いる場合には現像ローラを弾性体で構成する、現像ローラとして硬質のものを用いる場合には感光体として可撓性を有する感光体ベルトを用いる、ということが行なわれている。
【0007】
しかしながら、現像ローラを弾性体で構成した場合には、現像ローラの回転に伴ってトナーが飛散する等の問題があった。
【0008】
また、感光体として感光体ベルトを用いた場合には、これを支持するために少なくとも2本のローラが必要なために、構造が複雑になるばかりでなく装置が大型化してしまうという問題があった。
【0009】
以上のような問題を全て解決しようとしたものとして、従来、特公平4−69383号(特開昭59−192260号)公報記載の感光体ドラムが知られている。
【0010】
この特公平4−69383号公報記載の感光体ドラムを、図4〜図6に示す。
【0011】
この感光体ドラム1は、回転軸2と、この回転軸2に支持され、かつフリー状態で円筒状をなす弾性変形可能な弾性材料層3と、この弾性材料層3のまわりに装着された外側層4とを有している。外側層4は、弾性変形可能な感光体支持層5と、この支持層5の表面に支持された感光層6とを有している。弾性材料層3は、回転軸2と外側層4との間に、実質的に隙間を形成することなく充填されている。
【0012】
このような感光ドラム1は、弾性変形可能な外側層4と、弾性材料層3とを有しているため、その表面に外力が加えられると、この表面は弾性変形することが可能である。
【0013】
図4において、7は帯電チャージャ、9は現像ローラ、60は転写チャージャである。
【0014】
画像形成時には、感光体ドラム1が図4において時計方向に回転駆動され、帯電チャージャ7によってドラム1の感光層6が所定の極性に帯電される。この帯電部分に光8が照射されることによりドラム1上に静電潜像が形成される。この潜像は、図中矢印方向に回転する現像ローラ9に担持されるトナーにより現像されて可視像化され、転写チャージャ60によって転写紙Sに転写される。
【0015】
なお、図4において、61は分離チャージャ、62はクリーニングブレード、63は除電チャージャである。
【0016】
以上のような構成によれば、感光ドラム1の表面が弾性変形可能であるため、現像ローラ9を感光体ドラム1に押し付け、感光ドラム1の表面をその半径方向に弾性変形させることができる。このため、感光ドラム1および現像ローラ9の周面がその中心軸線に対し多少偏心し、あるいはこれらの外径に多少の製造上のバラツキがあり、あるいはまた、現像ローラ9の少なくとも表面が剛体からできていても、ドラム表面や現像ローラに傷を付けるといった不都合を伴うことなく、現像ローラ9上のトナーを感光体ドラム1に従来よりも安定した状態で接触させることができる。したがって、現像ローラ9上のトナーと、ドラム1の表面との間に大きな間隙が生じることによる可視像の画質低下を抑制することができる。
【0017】
すなわち、この感光ドラム1によれば、硬質の現像ローラを用いても、感光ドラムや現像ローラに傷がつくということがなく、また、装置の大型化も防止することができる。
【0018】
なお、この感光ドラムと同様な感光ドラムは、特開昭58−90655号公報にも開示されている。
【0019】
一方、特開昭58−86550号公報には、軽量化および誘導渦電流の発生防止を図る目的で、図7に示すように、電鋳法によって作成した厚さ0.01〜2mmの非磁性金属(Cu,Al,W,Mo等)からなる無端ベルトをドラム基体71とし、このドラム基体71の上に像担持層(光導電性物質層)72を形成し、ドラム基体71の両端を円板状の端板73で鋼鉄製の軸74に固設したドラム状像担持体部材が開示されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特公平4−69383号公報記載の感光体ドラム1(図4〜図6参照)は、回転軸2と外側層4との間に、弾性材料層3を、実質的に隙間を形成することなく充填した構成であるため、次のような問題を有している。
【0021】
感光層6は弾性材料層3の上に形成されているため、感光層6は軸線方向に微小な力で変位する。感光層6には、これと圧接する現像ローラ9やクリーニングブレード62等の圧接部材が配設されるため、感光層6の回転軸と圧接部材の軸等が傾いていたり、圧接力が軸方向において不均一であったりすると、感光層6は軸線方向にスラスト力を受け、このスラスト力によって軸線方向に変位することとなる。そして、このスラスト力は変動するため、感光層6に形成された画像も軸線方向に変位することとなり、結果として、軸線方向における画像の位置精度が劣化するという問題がある。特に、多色の色重ねを行なう場合には、色重ね精度の劣化が色相のズレとなって、画像が著しく劣化するという問題がある。
【0022】
また、このような感光体ドラム1を製造する方法としては、
(1)先ず、感光層支持層5上に感光層6を形成した外側層4を作製し、次いで、軸2と外側層4とを所定間隔になるように配置し、軸2と外側層4との空間に、加熱された弾性材料を流し込んで弾性材料層3を形成することにより製造する方法
(2)先ず、軸2と感光体支持層5とを所定間隔になるように配置して軸2と感光体支持層5との空間に、加熱された弾性材料を流し込んで弾性材料層3を形成し、次いで、感光層支持層5上に感光層6を形成することにより製造する方法
(3)外側層4の内径よりも多少大きな外径を有する筒状弾性部材を作製し、この筒状弾性部材を、径方向に圧縮した状態で外側層4内に挿入することによって弾性材料層3を形成することにより製造する方法
が考えられる。
【0023】
しかし、上記(1)の方法では、外側層4の表面に感光層6が形成された状態で、外側層4の内部に、加熱した弾性材料を流し込むという作業が行なわれることとなるから、熱等によって感光体特性が劣化するという問題がある。また、感光層6の表面に傷が付いたり、異物(弾性材料等の異物)が付着するおそれがある。
【0024】
上記(2)の方法では、弾性材料層3が形成された後に感光層6が形成されることとなるから、感光層塗工時の洗浄液や塗工液によって弾性材料層3の膨潤、溶解、あるいは硬化が生じ、その結果、弾性材料層としての機能が低下するおそれがある。
【0025】
したがって、上記(1)(2)の方法では所望の感光体ドラム1を得ることが極めて困難である。
【0026】
また、上記(3)の方法では、筒状弾性部材が圧縮状態から解放されて外側層4に向け膨張する過程で、不均一に膨張するおそれがある。このため、軸2と外側層4との同軸度が損なわれ、感光体ドラム1が回転した際の振れが非常に大きくなるおそれがある。画像形成装置においては、感光体の周囲に、感光体と当接する現像ローラが配置されるため、感光体の振れが大きくなると、感光体と現像ローラとの接触状態が不安定になり、画像ムラが発生するという問題が生じる。
【0027】
すなわち、図4に示した感光体ドラム1では、その製造が困難であると同時に、必ずしも良好な画像が得難いという問題がある。
【0028】
一方、前述した特開昭58−86550号公報記載のドラム状像担持体部材(図7参照)において、そのドラム基体71が内方に容易に撓むことができるように構成すれば、このドラム基体71を疑似軟質材として利用することが可能となり、したがって、現像ローラが硬質のものであっても、感光体ベルトを用いることなく、現像ローラとの確実で安定した接触状態が得られることが期待できる。また、この技術(図7参照)によれば、上述した感光体ドラム1(図4参照)の問題点も解消されることが期待できる。
【0029】
しかしながら、上記公報には、ドラム基体71を疑似軟質材として利用することについては何等記載されていない。
【0030】
また、仮に、図7に示したドラム基体71を、疑似軟質材として利用しようとすると、次のような問題が生じる。
【0031】
前述したように、一般に電子写真技術を用いた画像形成装置においては、感光体表面に現像ローラ(図4の符号9参照)が当接されるとともに、トナー像の転写後に感光体表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード(図4の符号62参照)が設けられ、通常このクリーニングブレードは感光体表面に常時当接して感光体表面に残留したトナーを掻き落とすようになっている。
【0032】
このような状況において、ドラム基体71を薄肉状に構成すると、クリーニングブレードが常時当接されていることから、画像形成装置の不使用状態が長期間におよんだときに、クリーニングブレードの当接部においてドラム基体71が凹状にクリープ変形し、その後画像形成装置が使用された場合、前記凹状の変形部が現像ローラ位置に達した際、感光体と現像ローラとの当接が不確実となって、現像不良すなわち画像不良が生じるおそれがあるという問題がある。
【0033】
このような問題は、クリーニングブレードに限らず、感光体に常時当接している当接部材を備えている場合に生じる。例えば、帯電手段が、感光体に常時当接する帯電ローラ等で構成されている場合にも生ずることとなる。
【0034】
本発明の目的は、以上のような問題を解決し、感光体に常時当接している当接部材を備えているにもかかわらず、また、現像手段が硬質の現像ローラ等であっても、現像手段と感光体との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、適正な画像を形成することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の画像形成装置は、可撓性を有する薄肉円筒状の感光体と、この感光体の両端部を内方から支持する一対の円板状部材とを有し,前記感光体における円板状部材で支持されていない中央部分の内方にいかなるバックアップ部材も有しない感光体ユニットと、
その感光体に対して接離可能に構成され、画像形成時に感光体の表面に当接して感光体の表面に形成されている潜像を現像する現像手段と、
前記感光体に常時当接している当接部材とを備えた画像形成装置であって、
前記現像手段の感光体に対する当接深さが、前記当接部材の感光体に対する当接深さよりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0036】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記現像手段は、軸を有する現像ローラであり、その軸の両端部に設けられたコロを、前記円板状部材により内方から支持されている感光体の両端部に当接させることにより、現像ローラの感光体に対する当接深さが規定されていることを特徴とする。
【0037】
【作用効果】
請求項1記載の画像形成装置によれば、その感光体ユニットが、可撓性を有する薄肉円筒状の感光体と、この感光体の両端部を内方から支持する一対の円板状部材とを有する構成となっているので、感光体における円板状部材で支持されていない中央部分は半径方向内方に容易に撓み得る。すなわち、この中央部分は疑似軟質材として利用することができるので、現像手段が硬質のローラであったとしても、そのローラを画像形成時に感光体に対して確実に安定した状態で接触させることが可能となる。
【0038】
一方、クリーニングブレード等の当接部材は、感光体に常時当接している構成としてあるので、この当接部材を接離可能に構成する場合に比べて、構造の簡素化を図ることができる。
【0039】
ところで、このように感光体に常時当接している当接部材を備えているものにおいて、仮に何等の方策も講じないとしたならば、前述したように、画像形成装置の不使用状態が長期間におよび、クリーニングブレード等の当接部材の当接部において感光体が凹状にクリープ変形し、その後画像形成装置が使用されて前記凹状の変形部が現像位置に達した際に、感光体と現像手段との当接が不確実となって現像不良が生じるおそれがある。
【0040】
これに対し、この請求項1記載の画像形成装置によれば、前記現像手段の感光体に対する当接深さが、前記当接部材の感光体に対する当接深さよりも大きく設定されているので、当接部材との当接によって感光体に凹状のクリープ変形が生じたとしても、この凹部が現像位置に達した場合には、現像手段が当該凹部の深さよりも大きな深さで感光体に当接することとなる。
【0041】
このため、感光体が前記凹部よりも大きく変形し(当該凹状の変形が吸収ないし是正されるように大きく変形し)、結果として、前記凹部においても、現像手段と感光体との当接が確保されることとなり、現像不良が生じなくなる。
【0042】
なお、現像手段は感光体に対して接離可能に構成されており、画像形成時以外は感光体に対する当接を解除することができるので、当接深さが大きくても、感光体への当接によるクリープ変形を防止することができる。
【0043】
以上のように、この請求項1記載の画像形成装置によれば、感光体に常時当接している当接部材を備えているにもかかわらず、また、現像手段が硬質の現像ローラ等であっても、感光体と現像手段との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、適正な画像を形成することができる。
【0044】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置において、前記現像手段は、軸を有する現像ローラであり、その軸の両端部に設けられたコロを、前記円板状部材により内方から支持されている感光体の両端部に当接させることにより、現像ローラの感光体に対する当接深さが規定されている構成となっているので、現像ローラの感光体に対する当接深さ(すなわち感光体の撓み量)を精度良く規制することができることとなる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0046】
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施の形態の要部を示す概略図、図2は主として感光体ユニットを示す断面図である。
【0047】
先ず、この画像形成装置の概要について説明する。
【0048】
この画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーによる現像器を用いてフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0049】
図1において、10は感光体ユニット(図2参照)であり、感光体11を有している。感光体ユニット10は、後述する回転駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。
【0050】
感光体11は、薄肉円筒状の導電性を有する基体11a(図2参照)と、その表面に形成された感光層11bとを有している。なお、感光層11bは極めて薄いために、図では明確には現れていない。
【0051】
感光体11の周りには、その回転方向に沿って、帯電手段としての帯電ローラ20、現像手段としての現像ローラ21(Y,C,M,K)、中間転写ベルト22、およびクリーニング手段30が配置される。
【0052】
帯電ローラ20は、感光体11の外周面に常時当接して従動回転し、感光体11の外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体11の外周面には、図示しない露光ユニットによって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体11上に静電潜像が形成される。
【0053】
この静電潜像は、現像ローラ21でトナーが付与されて現像される。
【0054】
現像ローラとして、イエロー用の現像ローラ21Y、シアン用の現像ローラ21C、マゼンタ用の現像ローラ21M、およびブラック用の現像ローラ21Kが設けられている。これら現像ローラ21Y,21C,21M,21Kは、それぞれ図示しない接離機構によりに感光体11に対して接離可能に構成されており、画像形成時に、選択的に1つの現像ローラ21のみが感光体11に当接し得るようになっている。したがって、これらの現像ローラ21は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのうちのいずれかのトナーを感光体11の表面に付与して感光体11上の静電潜像を現像する。現像ローラ21は、硬質のローラ例えば、表面を粗面化した金属ローラ、または、硬質の樹脂ローラで構成されている。なお、非画像形成動作時には、全ての現像ローラが前記接離機構の作動により感光体11から離間する。
【0055】
現像されたトナー像は、一次転写部T1で中間転写ベルト22上に転写される。
【0056】
クリーニング手段30は、上記転写後に、感光体11の外周面に残留し付着しているトナー(図示せず)を掻き落とすクリーニングブレード31と、このクリーニングブレード31によって掻き落とされたトナーを受ける受け部32とを備えている。
【0057】
クリーニングブレード31は、ブレード付勢バネ33の付勢力およびブレード31自身の弾性力によって、その先端部(縁部)が感光体11の表面に常時当接している。
【0058】
中間転写ベルト22は、駆動ローラ23と、4本の従動ローラ24(1本のみ図示)に張架されおり、感光体11と略同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0059】
図示の従動ローラ24は、駆動ローラ23との間で中間転写ベルト22がそれ自身の張力によって感光体11に圧接される位置に配置されており、感光体11と中間転写ベルト22との圧接部において一次転写部T1が形成されている。
【0060】
中間転写ベルト22が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体11上のトナー像が中間転写ベルト22上に転写され、中間転写ベルト22上に転写されたトナー像は、図示しない二次転写部において、用紙等のシート(記録材)に転写される。
【0061】
二次転写部でトナー像が転写されたシートは、図示しない定着器を通ることによってそのトナー像が定着された後、適所、例えば装置本体のシート受け部に排出される。
【0062】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。
【0063】
(i)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置の制御部に入力されると、感光体11、各現像ローラ21、および中間転写ベルト22が回転駆動される。
【0064】
(ii)感光体11の外周面が帯電ローラ20によって一様に帯電される。
【0065】
(iii)一様に帯電した感光体11の外周面に、露光ユニットによって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0066】
(iv)感光体11には、第1色目(例えばイエロー)用の現像ローラ21Yのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目(例えばイエロー)のトナー像が感光体11上に形成される。
【0067】
(v)中間転写ベルト22には上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体11上に形成されたトナー像が、一次転写部T1において中間転写ベルト22上に転写される。
【0068】
(vi)感光体11上に残留しているトナーがクリーニング手段30によって除去された後、除電手段25(図1参照)からの除電光L2によって感光体11が除電される。
【0069】
(vii)上記(ii)〜(vi)の動作が必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号の内容に応じて、第2色目、第3色目、第4色目、と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト22上において重ね合わされて中間転写ベルト22上に形成される。
【0070】
(viii)所定のタイミングでシートが供給され、二次転写部において、中間転写ベルト22上のトナー像(基本的には4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像)がシート上に転写される。なお、二次転写後に中間転写ベルト22上に残留しているトナーは、図示しない接離機構を有するベルトクリーナによって除去される。
【0071】
次に、感光体ユニット10について説明する。
【0072】
図2に示すように、感光体ユニット10は、左右一対の軸12L,12Rと、これらの軸12L,12Rに対してそれぞれ固定された一対の円板状部材13L,13Rと、これら一対の円板状部材13L,13Rの外周面と固定用リング14とによって両端部11cが支持固定され、軸12(L,R)および円板状部材13(L,R)とともに回転する可撓性を有する薄肉円筒状の感光体11とを備えている。一方の円板状部材13Lには駆動手段をなす歯車16が固定されている。歯車16は、円板状部材13Lと別体に作成されており、複数本(例えば3本(1本のみ図示))のネジ17で円板状部材13Lに固定されている。
【0073】
円板状部材13の外周面の外径は、感光体11の内径よりも極僅かだけ大きく形成されており、感光体11の端部に円板状部材13が圧入されている。この圧入が円滑になされるように、円板状部材13の内側には、テーパ面が形成されている。この圧入によって、感光体11と円板状部材13とは略良好に結合されるが、両者の結合をより一層確実にするために、固定用リング14が設けられている。固定用リング14は、リング状の円板部14aと、これと一体の短い筒状部14bとを有している。円板部14aには、その円周方向において等間隔に複数個(例えば8個(1つのみ図示))のネジ挿入用の孔14cが設けられている。筒状部14bには、感光体11の端部11cおよび円板状部材13の外側部分が圧入されるようになっている。この圧入が円滑になされるように、筒状部14bの内周面には僅かな傾斜のテーパ面が形成されている。
【0074】
感光体11は、先ず、その端部11cに円板状部材13を圧入し、次いで両者を固定用リング14の筒状部14bに圧入し(固定用リング14を感光体11の端部11cおよび円板状部材13の外側にかぶせ)、固定用リング14をネジ15で円板状部材13に固定することによって、円板状部材13に完全に固定される。
【0075】
感光体11は、前述したように、可撓性を有する薄肉円筒状の導電性基体11aの表面(外周面)に感光層11bを形成することにより構成されている。
【0076】
基体11aとしては、例えば、電鋳法にて作製したニッケルシームレス管、インパクト加工にて作成したアルミシームレス管、合成樹脂による薄肉管等を採用することができる。
【0077】
このような基体11aの表面に像担持層としての感光層11bが塗布(例えばディッピング)等により形成されて、感光体11が得られる。
【0078】
このような感光体11の可撓性すなわち柔軟さは、基体11aの厚みと径とを調整することにより決定することが可能であるから、使用される画像形成装置に応じて適宜設定することが可能である。例えば、基体厚み20〜300μm、基体直径10〜300mmの範囲で適宜設定する。なお、感光層(OPC)は主として樹脂からなるので、可撓性の面では優れるが、基体との密着性を確保し、レーザー光の干渉対策を施すために、基体とOPCとの間に下引き層を形成することが望ましい。下引き層としては、酸化亜鉛、酸化チタン等のレーザー光を吸収可能な粒子をナイロン樹脂等の樹脂に分散させた層が好適である。
【0079】
以上のようにして得られた感光体ユニット10は、図1に示したように画像形成装置に着脱可能に装着され、装着された状態で、歯車16に画像形成装置本体の駆動ギア(図示せず)が噛み合うことによって、感光体11が矢印方向に回転駆動されることとなる。
【0080】
以上のような画像形成装置によれば、その感光体ユニット10が、可撓性を有する薄肉円筒状の感光体11と、この感光体11の両端部11cを内方から支持する一対の円板状部材13(L,R)とを有する構成となっているので、感光体11における円板状部材13(L,R)で支持されていない中央部分11f(図2参照)は半径方向内方に容易に撓み得る。すなわち、この中央部分11fは疑似軟質材として利用することができるので、現像手段が硬質のローラ21であったとしても、そのローラ21を画像形成時に感光体11に対して確実に安定した状態で接触させることが可能となる。
【0081】
一方、当接部材であるクリーニングブレード31,帯電ローラ20は、感光体11に常時当接している構成としてあるので、この当接部材を接離可能に構成する場合に比べて、構造の簡素化を図ることができる。
【0082】
ところで、このように感光体11に常時当接している当接部材を備えているものにおいて、仮に何等の方策も講じないとしたならば、前述したような問題が生じるおそれがある。
【0083】
すなわち、画像形成装置の不使用状態が長期間におよび、例えば図3(a)に示すようにクリーニングブレード31の当接部において感光体11が凹状にクリープ変形し(変形部を符号C1で示す)、その後画像形成装置が使用されて図3(b)に示すように前記凹状の変形部C1が現像位置に達した際に、感光体11と現像ローラ21との当接が不確実となって現像不良が生じるおそれがある。
【0084】
そこで、この実施の形態では、現像ローラ21の感光体11に対する当接深さd2(図3(b)参照)が、クリーニングブレード31の感光体11に対する当接深さd1(図3(a)参照)よりも大きくなるように構成してある。また同様に、現像ローラ21の感光体11に対する当接深さd2(図3(b)参照)が、帯電ローラ20の感光体11に対する当接深さよりも大きくなるように構成してある。なお、帯電ローラ20の感光体11に対する当接深さは、クリーニングブレード31の感光体11に対する当接深さd1と略同程度となるように構成してある。
【0085】
また、この実施の形態では、図2に示すように、現像ローラ21は、その軸21aの両端部にコロ21bを設け、このコロ21bを、円板状部材13により内方から支持されている感光体11の両端部11cに当接させることにより、現像ローラ21の感光体11に対する当接深さ(食い込み深さ)d2を規定する構成としてある。
【0086】
なお、図3は概念図であるため上記当接深さd1,d2を分かりやすく概念的に描いてあるが、これら当接深さd1,d2は実際には微小であるため、図1、図2においては現れていない。例えば、現像ローラ21の感光体11に対する当接深さd2は0.3〜0.5mm程度に設定され、クリーニングブレード31の感光体11に対する当接深さd1はd2以下に設定される。
【0087】
この実施の形態の画像形成装置によれば、現像ローラ21の感光体11に対する当接深さd2(図3(b)参照)が、クリーニングブレード31等の感光体11に対する当接深さd1(図3(a)参照)よりも大きくなるように設定されているので、クリーニングブレード31等との当接によって感光体11に凹状のクリープ変形C1が生じたとしても、この凹部C1が現像位置に達した場合には、図3(b)に示すように現像ローラ21が当該凹部C1の深さd1よりも大きな深さd2で感光体11に当接することとなる。
【0088】
このため、現像位置では感光体11が凹部(C1)よりも大きく変形C2し(当該凹状C1の変形が吸収ないし是正されるように大きく変形C2し)、結果として、前記凹部C1部分においても、現像ローラ21と感光体11との当接が確保されることとなり、現像不良が生じなくなる。
【0089】
なお、現像ローラ21は感光体11に対して接離可能に構成されており、画像形成時以外は感光体11に対する当接が解除されるので、当接深さd2が大きくても、感光体11への当接によるクリープ変形は生じない。
【0090】
以上のように、この実施の形態の画像形成装置によれば、感光体11に常時当接している当接部材(クリーニングブレード31等)を備えているにもかかわらず、また、現像手段が硬質の現像ローラ21であっても、感光体と現像手段との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、適正な画像を形成することができる。
【0091】
さらに、前記現像手段は、軸21aを有する現像ローラ21であり、その軸21aの両端部に設けられたコロ21bを、円板状部材13により内方から支持されている感光体11の両端部11cに当接させることにより、現像ローラ21の感光体11に対する当接深さd2が規定されている構成となっているので、現像ローラ21の感光体11に対する当接深さd2(すなわち感光体の撓み量d2)を精度良く規制することができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0093】
例えば、クリーニングブレード31、帯電ローラ20のうちいづれか一方は、感光体11に対して接離可能に構成してもよい。
【0094】
【発明の効果】
請求項1,2記載のいずれの画像形成装置によっても、感光体に常時当接している当接部材を備えているにもかかわらず、また、現像手段が硬質の現像ローラ等であっても、感光体と現像手段との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、適正な画像を形成することができる。
【0095】
さらに、請求項2記載の画像形成装置によれば、現像ローラの感光体に対する当接深さ(すなわち感光体の撓み量)を精度良く規制することができる。
【0096】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施の形態の要部を示す概略図。
【図2】主として感光体ユニットを示す断面図。
【図3】(a)(b)は作用説明図。
【図4】従来技術の説明図。
【図5】従来技術の説明図。
【図6】従来技術の説明図。
【図7】従来技術の説明図。
【符号の説明】
10 感光体ユニット
11 感光体
11c 両端部
13 円板状部材
20 帯電ローラ(当接部材)
21a 軸
21b コロ
21 現像ローラ(現像手段)
31 クリーニングブレード(当接部材)
Claims (2)
- 可撓性を有する薄肉円筒状の感光体と、この感光体の両端部を内方から支持する一対の円板状部材とを有し,前記感光体における円板状部材で支持されていない中央部分の内方にいかなるバックアップ部材も有しない感光体ユニットと、
その感光体に対して接離可能に構成され、画像形成時に感光体の表面に当接して感光体の表面に形成されている潜像を現像する現像手段と、
前記感光体に常時当接している当接部材とを備えた画像形成装置であって、
前記現像手段の感光体に対する当接深さが、前記当接部材の感光体に対する当接深さよりも大きく設定されていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記現像手段は、軸を有する現像ローラであり、その軸の両端部に設けられたコロを、前記円板状部材により内方から支持されている感光体の両端部に当接させることにより、現像ローラの感光体に対する当接深さが規定されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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